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一日千秋エレジーア

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●ノスタルジア
 ――乾く。

 空気はむしろじっとりと不快なまでに重く水気を帯びているのに、心はどうしようもなく乾いていた。
 力は充足に滾り、この剛腕は叩けば何もかもを微塵に打ち砕くというのに――立ち塞がる岩肌を砕けど砕けど、拓く景色はまたも薄暗き洞ばかり。
 焦燥に駆られれば、振るう腕はますます速度を増して壁へと大穴を作り出し、その眼前への前進を援ける。

 ――誰か。私をこのような地下深き洞へ閉じ込めるのは。

 大きな一つだけの瞳を閉じれば、懐かしき荒野がありありと思い出されるというのに。それと程遠い場所に立ち、生じた懐郷の念は次第に怒りと憎しみへ形を変える。
 ――取り戻すのだ。この目に、我が愛しき荒野の景色を。

「GRRrrrrrrrrrrrrhhhhAAAAA!!!!!!」

 咆哮響く此処はアルダワ、地下迷宮の奥深く。
 目覚めた巨人は今、懐かしき空を目指して進軍する。

●予知
「サイクロプスだ。これは猟兵が攻略しなければ、確実にアルダワの迷宮を突破されてしまうぞ」
 グリモアベースで男――アルノルト・クラヴリー(華烈・f12400)は警戒の声を張った。
「アルダワ学園迷宮のフロアボス。死霊兵を伴って上層へ向かっているが――何に掻き立てられているんだか知らないが、進軍速度が異様に速い。正直、こうして話している時間も惜しいくらいだ」
 やや早口のアルノルト曰く――死霊兵もサイクロプスも、単純に歩行が速いというだけでなく動きそのものが俊敏であるという。
 戦うにもその点注意が必要だろうが、今は先ず上層へ進む速さが脅威だ。
「現状、学園や学生達はこの動きに気付いていないんだ。この速さでは、気付く頃には学園施設一歩手前まで接近を許してしまう可能性が高い。それだけ速い。……逆に言うと、直ちに俺達が介入出来れば学生達に接触させずに戦闘を終えられる」
 学園側や学生が気付いていない今ならば、戦闘に彼等を巻き込む心配は一切無いのだ。だからこそ、急がなければならない――既に手の中にグリモアを浮かべ告げるアルノルトに、猟兵達は頷いた。
「この進軍は、先ず死霊兵が先行している。迷宮内は飾り気のない岩洞だが中は広い、戦うに不便はないだろうが――ただこの広さの中に死霊兵がひしめいているんだ」
 つまり、死霊兵は数が多い。ある程度の数を殲滅するまでは、恐らく乱戦となるだろう。
「暫く戦っていれば、遅れてサイクロプスも到達するだろう。こいつが厄介だ。デカブツの割に言った通り動きが速くてな。興奮状態の今、振るう力も驚異的だ。……俺も槍を交えたかったくらいにはな」
 戦い好きのアルノルトの所感はともかく、警戒が必要な速さ・強さであることは間違いない。戦いは激しいものとなるだろう。
 だが、撃破さえ出来ればアルダワそのものに被害は無い。状況は猟兵に味方している。
「サイクロプスが何を考えて上層へ向かうかは知れないが――そもそも言葉も解らない以上、考えるだけ意味はない。要は拳で語り合うしかないってことだ。……シンプルだろう?」
 語る男がニッと不敵に笑んだ瞬間、青い光が辺りに満ちた。アルノルトの転移の光――やがて眼前に広がる景色は、息詰まる様な暗く湿った岩洞の中。
 だが、その重さを感じさせない軽い調子で、アルノルトは猟兵達の背を押した。
「今日のアルダワの地上は気持ちの良い晴天だ。戦い終えたら、中庭でも借りて軽食でも食べよう。……武運を祈る!」
 先ずは、死霊兵。前方に見えた敵影目掛け駆け出した猟兵達に、今日の結末が託された。



 蔦(つた)がお送りします。
 宜しくお願い致します。

 さて、今回の舞台はアルダワ魔法学園。地下迷宮での戦いへご案内します。
 以下の構成でお送りします。

 第1章: VS死霊兵(対多数の乱戦です)
 第2章: VSサイクロプス(1体/ボス戦)
 第3章: アルダワ魔法学園・中庭で軽食(非戦闘パート)

 進軍さえ阻止出来れば、敵が学生と接触したり学園施設へ到達することはありません。全力の戦闘プレイング、お待ちしております!
 初心者さんで具体的な戦闘の立ち回りが浮かばない、難しい~という方は、近接し戦うのか遠距離か、積極攻撃か仲間の支援か、どんな思いで戦いに臨むか、などご自分のキャラクターらしい戦闘特徴をプレイングに書いてみてください。蔦の方で頑張って広げます!

 第三章は晴天下での軽食です。丁度お昼時。
 プレイングにてお声掛けいただけましたら、この章のみアルノルトがお傍に伺います。
 アルダワは学園だからきっと売店くらい在るはず! 何が出来るかの詳細は三章導入部にてお知らせしますので、能力内容は気にせずに、行動をご指定ください。

●ご注意ください
 各章、プレイングに受付時間を設けさせていただきます。蔦のマスターページにて都度告知致しますので、ご確認の上ご参加ください。
 また、蔦はプレイングの全採用を保証しておりません。着順でもありません。
 内容に問題がなくともプレイングお返しの可能性がある点、予めご了承の上ご参加を検討ください。

 それでは。猟兵の皆さんの活躍、アルノルトと共に心待ちにしております!
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第1章 集団戦 『死霊兵』

POW   :    剣の一撃
【血に濡れた近接武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    弓の一射
【血に汚れた遠距離武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    連続攻撃
【弓の一射】が命中した対象に対し、高威力高命中の【剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

華切・ウカ
キトリちゃん(f02354)と一緒にがんばります!

この先には進ませません。
そう――皆で、楽しいお昼をするためにも…!
キトリちゃん、参りましょう!!
お弁当作って持ってきてくれるって、いってましたから!
ふふふ、うさぎリンゴは、お願いしておきました!

ウカは自身の本体である花鋏を複製して。
遠距離武器で攻撃してくるなら、それを叩き落していくのみ、です!
攻撃力を高めてくるなら、数で対しましょう
命中率も、数で。攻撃回数も、もちろん数で!!
戦法が同じ?
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、です!!
きにしたら、だめ!

キトリちゃん、攻撃はウカが払います。
やっちゃって、くださいな!


キトリ・フローエ
ウカ(f07517)と一緒に

もちろんよ、ウカ!
あたたかいおひさまの下、皆で食べるお弁当なんて美味しいに決まってるじゃない!
デザートにうさぎリンゴはあるかしら?
ランチタイムを守るためにも、全力で頑張るわ
というわけで、ここから先は一匹たりとも絶対に通さないんだから、覚悟してよね!

あたしは最初から全力で、空色の花嵐で死霊兵達を攻撃
精霊杖を一振り、きらきらのお星様みたいな花弁に変えて
纏めて躯の海へ送り返してあげる!
弓矢が飛んできそうになったら第六感を頼りに回避を試みるけど
もし当たってもオーラの守りで耐え抜いてみせるわ

ウカが傷を負ったらシンフォニック・キュアで回復
お昼の前のちょうどいい運動になるかしら?



「――この先には進ませません!」
 転移の完了、地に足付くと同時に――前線へと華切・ウカ(空鋏・f07517)が飛び出した。
 迫る死霊の群れへタタタ、と足音は細かく速く。はたりと振袖閃く手が魔力帯びれば、周囲中空に鈍の花鋏が顕現する。
 ユーベルコード『錬成カミヤドリ』――その一つを掴みニッと笑んだウカの金瞳は、戦いの果てを思って煌く。
「そう――皆で、楽しいお昼をするためにも……! キトリちゃん、参りましょう!!」
「もちろんよ、ウカ!」
 全ては楽しい青空ランチの為に――ウカの声に応じるはキトリ・フローエ(星導・f02354)。死霊が射掛ける矢を一つ、また一つと振っては返す刃で弾くウカに、伴うキトリが空を翔ければ羽から光の粒子が散った。
「ランチタイムを守るためにも、全力で頑張るわ! あたたかいおひさまの下、皆で食べるお弁当なんて美味しいに決まってるじゃない!」
 強気の笑顔で宣言して、キトリはウカの横を離れひゅっと空へ舞い上がる。
 小高い位置でぴたりと停止。花蔦絡む精霊杖を頭上へ高く掲げれば、花閉じ込めた先端が注いだ魔力に輝いた。
 キトリを中心に巻き起こる風の名は――ユーベルコード『空色の花嵐(アズール・テンペスト)』。
「――というわけで、ここから先は一匹たりとも絶対に通さないんだから、覚悟してよね!」
 渦巻く風の中心で、キトリは杖をしゃらりと振った。羽同様に光の粒子が軌道を追って煌くと、それは青と白の花弁となって空から死霊たちへと降り注ぐ。
 無数に、無数に――風に乗って空へ拡がり、ひしめく死霊へ殺到していく。
「キトリちゃん、綺麗……!」
 友の生み出す美しい攻めの光景に感嘆の声を上げながら、しかし警戒解かぬウカは膝折り思い切り大地を蹴った。
 舞い上がり――バキン! キトリへ飛来した矢の一つを、ウカは空中で叩き折った。
 続々と矢は放たれるけれど、空すら蹴って踊る様に駆けるウカは、己が複製たる『華切』でそれらを全て叩き落としていく。一人空へと浮かびどうしても無防備になるキトリを守る、ウカの死霊の矢への対処法は――少々強引だが『ひたすら数で対すること』。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、です!! キトリちゃん、攻撃はウカが払います! やっちゃって、くださいな!」
 ――スタン! やがて地表へ軽やかな着地を決めて友へとニコっと笑ったウカに、キトリも一瞬目尻を緩め、しかし強気に声を張った。
「――ええ! 纏めて躯の海へ送り返してあげる! お昼の前のちょうどいい運動になるかしら?」
「お弁当作って持ってきてくれるって、いってました!」
「デザートにうさぎリンゴはあるかしら?」
「ふふふ、うさぎリンゴは、お願いしておきました!」
 ――緊張感と、先に待つ楽しさへの期待とを両立させて。
 絆を武器に、二人は二人で一つとばかり、戦場を縦横無尽に駆け回る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

葦野・詞波
槍を交えたかったという彼には悪いが。
代わりを務めさせて貰おう。

何にそれほど焦がれているのかは知らないが。
ここから先は生憎と行き止まりだ、亡霊。

どうしても行きたいというのなら。
焦がれる気持ちが本物なら。私を斃して行くといい。
それなら私は止めはしない。止めようも無いからな。
私一人斃せないような半端な気持ちなら、ここで終わりだ。

しかし、敵の数が多いのは困り物だな。
乱戦に持ち込んで弓矢が使い悪くなれば良いが
亡霊が仲間を気を遣うかは怪しいな。
敵の亡骸を盾にできれば儲け物か。

槍を振るって【ドラゴニック・エンド】。
一体ずつ屠って、串刺しだ。
どれだけ串刺しに出来るかは技量が試される所か。


雨糸・咲
異常な進行速度
大量の死霊兵
…彼等は生前、どういう人達だったのでしょう?

何が起きているのか気になりますが、
今はとにかく壁とならなくては
学園と学生さん達には、絶対に手出しさせません

第六感を働かせ
聞き耳で敵の動きを察知
フェイントを交えて回避しつつ攻撃を

どなたかを狙う者がいれば武器落としで援護
なぎ払いで動きを阻害したり
高速詠唱で隙を突いたり
他の方が動き易いよう、補助的な役割を担います

個々に相手にしていたのではキリがないですね…
ごめんなさい、急がなくてはいけないので

真白の杖を白菊の花弁に変え、戦場へ降らせます

※アドリブ・他の方との絡み歓迎



 光の花弁、その眼にも鮮烈な攻撃を受けて――騒がしさを増してなお、死霊は前行く足を止めない。
「――何にそれほど焦がれているのかは知らないが。ここから先は生憎と行き止まりだ、亡霊」
 その進路へと、立ち塞がるは葦野・詞波(赤頭巾・f09892)。竜の騎士たる槍を眼前にくるりと取り回せば、正面から飛来する無数の矢をその回転で跳ね飛ばす。
「どうしても行きたいというのなら。焦がれる気持ちが本物なら、私を斃して行くといい。それなら私は止めはしない。止めようも無いからな。……だが」
 しかし、言葉の果てが近付くと同時に――ひゅっと音立て槍は詞波の手の中にぴたりと止まる。
「――私一人斃せないような半端な気持ちなら、ここで終わりだ」
 形の良い唇が言葉を閉じた瞬間に、詞波の体は前へと駆けた。
 『ドラゴニック・エンド』――突撃乗せて突き出す槍は死霊の盾を砕いたけれど、同時に差し出された血塗れの剣と重なり、その先に続くドラゴン召喚には至らない。
 甲高い金属の刃が打ち合う音が、洞内に反響して戦場特有の緊迫感を演出する。その間にも、横から新たな刃が詞波目掛けて差し出され、掠めた白髪がぱらりと落ちた。
 数が多い――迫る敵の更に背後に弓で狙う敵影を認めれば、詞波の額を一筋汗が滑り落ちて――。
「個々に相手にしていたのではキリがないですね……ごめんなさい、急がなくてはいけないので」
 ――不意に。後方からの声と同時に、詞波の銀瞳の視界をひらりと花弁が横切った。
 ひとひら、またひとひらと次第に数を増し頭上から死霊達へと殺到していく、それは小さな白き菊花。
 雨糸・咲(希旻・f01982)のユーベルコード『雪白華(ユキシロノハナ)』――詞波を援けたその攻めは、風のなかに菊花の香までもを纏い、戦場一帯へ広がっていく。
(「異常な進行速度。大量の死霊兵。……彼等は生前、どういう人達だったのでしょう?」)
 深みある茶の瞳を細め、眼前の敵に思い馳せれど、咲はそれが意味の無い事だとも知っている。骸の海から染み出し、受肉したものがオブリビオン――今生きる者の脅威となる以上、倒さなければならない存在には違い無いからだ。
「……何が起きているのか気になりますが、今はとにかく壁とならなくては。学園と学生さん達には、絶対に手出しさせません」
 だから花弁の嵐を自在に操り、先は更に詠唱を重ねる。敵の視界を奪うが如く、魔力を戦場の大気へと広く散らせば、その大気を斬る様に詞波は再び前へと槍で突撃、三体ほどの死霊を纏めて串刺す。
「――槍を交えたかったという彼には悪いが。代わりを務めさせて貰おう」
 抜いた槍をひゅん! と手回し、崩れた死霊へ詞波はそう吐き、視線を次なる標的へ向ける。
 連携を重ねながら――だが今暫く、死霊狩りは終えられそうにない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シエン・イロハ
シノ(f04537)と参加
SPD選択

シノの攻撃範囲に敵以外が入り込みそうなら『時間稼ぎ』『殺気』『恫喝』等で一瞬だけ足止め出来るよう対策
はいはい、討ち逃したのはこっちで叩き折りゃいいんだろ

上部に登れるなら『クライミング』『地形の利用』で上へ
敵の攻撃は『見切り』『吹き飛ばし』『衝撃波』等で回避か叩き落とす
此方からの攻撃は『先制攻撃』『範囲攻撃』『投擲』『2回攻撃』『武器落とし』で腕のや脚の関節、骨が細く脆い部分等を狙いシーブズ・ギャンビット使用

高低差利用不可の場合は槍で対処
攻撃に使用する技能は同一
回避時『敵を盾にする』も使用

トドメよりも敵の攻撃力や行動力の低下を優先
文字通りの骨折り損にしてやるよ


シノ・グラジオラス
シエン(f04536)と参加。アドリブ等は歓迎
SPD選択

何か狙ってるのか?まあ、知ったこっちゃないし知る術もないか

初手に【人狼咆哮】
ただしシエンより先行して、『視力』で確認して味方が範囲内にいない辺りまで移動
『地形の利用』をしながら『吹き飛ばし』で道をこじ開けるが、
それでも味方を巻きこみそうなら、すまんが祈ってくれ
シエン、露払いはしといたぞ

以降は燎牙で『2回攻撃』と『鎧無視攻撃』『カウンター』を使い、
懐まで距離を詰めて背骨狙いで確実に1体ずつ潰す
倒れた後も足掻かれると厄介だ、頭と腕も踏み潰しておこう

敵からの攻撃は『武器受け』するが、
ダメージ受けたら『激痛耐性』『生命力吸収』でカバー


黛・夢乃丞
つまり、だ。
思う存分暴れられるってことだよな(ニヤリと笑みを浮かべ)
やってやろうじゃねぇか、俺の薙刀でなぎ倒してやらぁ!

■戦闘
なぎなたを構え前線に躍り出て
目の前の骸骨をなぎ倒す
「オラァッ!かかってこいやぁぁ!!」
どこか溌剌としてなぎなたを振り回しながらも
囲まれたりしたら
UC【フォックスファイア】にて
「ったく、おまえら邪魔だーーっ!」
と全方位に狐火を放出
「あの世に還りやがれっ!」

敵の攻撃には【武器受け】からの【カウンター】狙い
【2回攻撃】で手数を増やしつつ、仲間が狙われたらなぎなたで【かばう】
「おらおらっ、行くぜっ!」
学園のためと言うより日頃のうさを晴らすように戦う

※アドリブ、絡み大歓迎です!



「――つまり、だ。思う存分暴れられるってことだよな」
 終わらぬとは、つまりそういうことだ――薙刀を手の中ひらりと返し、黛・夢乃丞(妖狐の戦巫女・f12250)は切れ長の萩の瞳をニィと妖しく笑みに細めた。
「やってやろうじゃねぇか! 俺の薙刀でなぎ倒してやらぁ!」
 声高に叫べば、構えに一瞬静止した姿は一転、薙刀の切っ先を前に伸ばして突撃する。
 そのまま一気に最高速度で前線へ――死霊の体を突いた瞬間に刃をひらりと上に返すと、剥き出しの肋骨が砕け頭蓋が空へと跳ね飛んだ。
「オラァッ! かかってこいやぁぁ!!」
 躍動する身体と心をかけらも隠さぬ勝気な笑みで、夢乃丞は振り上げた刀を今度は柄尻を先に真横へ薙いだ。
 それはまるで棍術だ。間差し出される剣も飛来する矢も、回転する薙刀の柄に巻き込まれて夢乃丞へは届かない。
 同時に次々と骨を巻き上げ、その進軍は快進撃――しかし進む毎死霊は増え、次々と押し寄せる。
 剣と比べた長さの利か薙刀の間合いには中々入って来られないながらも、次第に密集し囲う死霊に――夢乃丞はち、と小さく舌打ちした。
「……ったく、おまえら邪魔だ――っ!」
 叫ぶと同時、振る薙刀が炎を纏った。
 ユーベルコード『フォックスファイア』。紅蓮の熱量を纏って描かれる斬線が、弧を描いて斬り裂く瞬間気流を生み出し死霊を周囲から吹き飛ばす。
「おらおらっ、行くぜっ!」
 尚もその熱は止まない。次第に炎は勢いを増して、夢乃丞からまるで炎の幕の様に全方位へと広がった。
 その常ならぬ熱量に、骨は黒ずみ、次第に灰化し消えていく――その派手な立ち回りとは一線を画し、静かに前へと抜けていく影が二つ。
 前塞ぐ死霊兵を擦れ違い様に斬り倒しながら、シノ・グラジオラス(火燼・f04537)とシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)は前線の更に先、猟兵未踏の場所を目指す。やや先行するシノの空を縫い留めた様なブルーアイは、何をか探って敵陣中を縦横無尽に駆け回っていた
(「こんな急いで侵攻とは、何か狙ってるのか? ……まあ、知ったこっちゃないし知る術もないか」)
 ふと過った考えは、目の前に弓構える敵見付ければ即座に放棄。射られた矢を瞬時身を低くして回避すると、シノは折った膝をバネに、黒剣『燎牙』を踏み出す一歩で突き出した。
 前への突き出しは弓兵の頭蓋を弾き、後続の死霊達までも次々と後方へ雪崩れ倒した。結果生まれた前方の空間へ飛び出すと、立ち止まる刹那、シノは二っと口角を上げる。
「……すまんが、祈ってくれ」
 射程範囲の仲間へと、呟き落ちて――直後放つは深く無差別に至る獣の声。ユーベルコード『人狼咆哮』。
 シノを中心に、円描く様に死霊が次々倒れ伏した。しかし全てとはいかない――カタカタと骨を鳴らして迫り来る討ち逃した死霊を前に、黒剣をすらりと構えながらシノはふっと静かに笑んだ。
「――シエン、露払いはしといたぞ」
「はいはい、……討ち逃したのはこっちで叩き折りゃいいんだろ」
 ――それは、刹那の出来事だった。
 シノにじり、と近付いていた無数の死霊が一斉に宙に舞い上がった。骨がバラバラに乱れ飛び、それらは斬り裂かれた様に細切れだ。――否、斬り裂かれたのだ。
 骨粉落ちるその中に、ダガーを閃かすシエンが在った。ユーベルコード『シーブズ・ギャンビット』――ダースで持つ愛刀『プラエドー』を紛失も厭わず投げ刺し、突き立て、斬り付けるその瞬速たる怒涛の攻めに、死霊達は次々沈黙。
 カラン、と最後に洞内に寂しく鳴いた一本の大腿骨すら――ダン! と荒く音を立て、シエンの足が踏みつけた。
「――文字通りの骨折り損にしてやるよ」
 折れ砕けた骨を見下し、紅蓮の男はペロリと笑んだ口の端を舐める。
 ――しかしそれも一瞬のこと。赤青対極色の視線を交わしたシノとシエンは、未だ騒がしき敵陣の中を、再び風切り駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

玖・珂
よくも此れだけの死霊兵がいたものだ
災魔を封印した学園は底が知れぬな

背を預けられる者がおれば良いのだが生憎独り
気遣い不要なれば敢て飛び込んでみようか

手近な敵を糸雨で絡め取り怪力で敵陣へ投擲
ダッシュし体勢崩れた敵を盾にして
暗視、早業で頸椎や関節へ黒爪を穿つぞ

敵に囲まれたなら羽雲を手元に
長杖を旋廻し間合いを計りつつ応戦
ダメージを受け脆くなっているところを砕いてやろう

地に膝が突くまで死合うのも一興だが
まだ大物が残っておるのであろう
鮮血が眼に付けば引き際か

流した血、敵の武器に付いた血も花弁の刃に変えて
赤い絨毯を織り上げよう

引いた後は支援に徹するぞ

己の実力はこの程度だと知れたなら漏れる嘆息
修錬を積まねばな



 そんな二つの背を黒曜石の瞳で見送り、玖・珂(モノトーン・f07438)はふう、と一つ息を吐いた。
「よくも此れだけの死霊兵がいたものだ。災魔を封印した学園は底が知れぬな」
 骨鳴る音が騒がしいこの戦場に今生憎と珂は独り。あの二人の様に背を預け戦う相棒は無いけれど――くい、と鐵纏う両手に目に見えぬ何かを手繰れば、その口元は口角を上げた。
「気遣い不要なれば、敢て飛び込んでみようか」
 瞬間――腕一閃。真横から後方へ強く引いた珂の左手に従って、眼前無数の死霊達が、視界左へ雪崩れる様に吹き飛んだ。
 死霊を絡め、引いたその正体は鋼の糸だ。舞う土煙に乱れた軍勢を目にすれば、糸解き駆けるその最中、珂は黒爪で頸椎、関節、敵の要骨を突き穿つ。
 しかし進む珂の右頬に突如、ばしんと鋭い痛みが走った。
「鮮血か。……修錬を積まねばな」
 不良なる視界の中、流れ矢が頬を掠めたのだ。不意の未熟に嘆息落とし、引き際かと珂は白肌伝う紅を拭った。――同時、魔力によってそれを中空へと浮かべると、それらは次第に無数の花弁をかたち作る。
 ユーベルコード『空言の褥(サンゲ)』。
「――おやすみ」
 呟く刹那、緋色の花弁は鋭さを帯びて死霊目掛け空を奔った。ドドド、と音立て地に落ちる血は地の一面に赤花を散らし、その様はさながら赤い絨毯。
「地に膝が突くまで死合うのも一興だが――まだ大物が残っておるのであろう」
 ――だから、今しばらくは温存する、と。
 紅い花咲く景色の中に、続く戦いの先を見据えて。こののちを猟兵達の支援と定め、珂は再びその鐵の手に暗き鋼の糸を手繰った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と
学び舎とは、かくも巨大なものだったのか

さておき、狩り放題とは面白い
数が多い故、師父は陰に入られよ

【餓竜顕現】にて鋼の竜を喚び出し傍らへ
師の壁となるように布陣する
他猟兵との連携も意識

黒剣を掲げ、敢えて気を引く
随分と痩せているな
腹が減っているのではないか?

巧く誘き寄せられれば餓竜と共に薙ぎ払う
上空、低位置に避けられたものとて師父が逃がしはすまい
降り来る弓矢が師に当たらぬよう
餓竜の長い腕や武器を活かし広範囲をも縦横に
後方から寄られれば時に尾も使い、接近を防ぐ

……、御身の自慢の使役か、そうか

師の使うものどもに良く似た姿
何処か、哀れだ
粉々にされれば二度と迷い出ずに済むだろう
疾く眠れ


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
ふん、数が多いばかりの雑兵に我等が後れを取る訳がなかろう
――ああ
上手く守ってみせよ、ジジ

仕込み杖で魔方陣を描き
召喚するは【ドラゴンゾンビ】
死霊には我が盾として、我が矛として行動を命じる
範囲攻撃で周囲の敵の一掃を図るとしよう
ジジが、死霊が壁として在る間は幾分か余裕がある筈
上空――弓の放射に気を配り、此方に向けて放たれた際は死霊に払わせる
我が第六感もある程度は働いてくれるだろうよ

ジジは勿論、他猟兵達との連携も忘れておらん
死角を敵が狙おうものならば声掛けは怠らぬ
此方の射程内ならば悉くを我が死霊の一撃で沈めてくれよう

ふふん、私が使役する死霊に死角はない
…まあ我が従者には及ばぬがな



「ふん、数が多いばかりの雑兵に我等が後れを取る訳がなかろう」
 地の一面に紅纏った洞内を、更に後方から押し寄せる死霊兵が踏み荒らす――その圧倒的な数を前にしながらも、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は不敵に笑むと、杖先でコン、と地面を叩いた。
 鈴でも鳴る様に響く音は、アルバが描く金色の魔力線の描出によるものだ。その輝く様を横目に見つめ、傍らのジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)は師と仰ぐアルバの言葉に無色の顔の口元にだけ笑みを浮かべた。
「……狩り放題とは面白い。数が多い故、師父は陰に入られよ」
 背に入れる様にアルバの前へとジャハルが立てば、詠唱を閉じたアルバの陣が、一際強い光を放つ。
「――ああ。上手く守ってみせよ、ジジ」
 応と答える言葉の代わりに、ジャハルは強く前へ大地を蹴った。
 勇んで向かうは死霊の群れ。その手に握る黒剣に、内に騒ぐ竜の血から魔力が一気に流れ込んだ。
 死霊とアルバの中間位置でそれを大地へ突き刺すと、バチリと火花弾けた其処に、魔を喚ぶ紋章が浮かび上がる。
「――映せ」
 繰り出すは――ユーベルコード『餓竜顕現』。
 ジャハルの求める声に応じて、紋から生まれ出でしは巨大な影。鱗は鋼、窪んだ眼窩に妖しく灯るは魔力の光――ジャハルの身の丈二倍はあろうかという黒き半人の暴竜は、背にアルバを守りながらジャハルが振るう黒剣に従い死霊を一斉に薙ぎ払った。
(「師の使うものどもに良く似た姿。……何処か、哀れだ」)
 今日の敵へと、思いながらもジャハルは攻める手を止めない。二度、三度と翻る暴竜とジャハルの黒剣は次々と敵を斬り伏せ、細かく打ち砕いていく。
「粉々にされれば二度と迷い出ずに済むだろう。――疾く眠れ」
 砕けた骨が散乱し、洞内に騒がしく音が響く――その中に在って意識的に黒剣と共に挑発の言葉を突き出すジャハルは、死霊の敵意を惹き付ける。
「随分と痩せているな。腹が減っているのではないか?」
 結果、少々遠くの敵影までもがジャハルへ向けて矢を向けたけれど――ジャハルが近くを斬り裂く手を止めないのは、この先あの敵影どもを脅威が襲うと知るからだ。
「――此れなるは我が盾。我が矛。さあ、思いの儘に蹂躙せよ」
 響く凜と低い声ののちに、視界の中から射られた矢ごと敵影が消え失せた。
 ――否。宙より降りた不死たる竜に、頭から喰われたのだ。腐した身体は矢にも怯まず、次々と死霊兵らを襲い、喰らい、蹂躙していく。
 アルバのユーベルコード――『死への憧憬(メメント・モリ)』。
「ふふん、悉くを我が死霊の一撃で沈めてくれよう。……私が使役する死霊に死角はない」
 姿こそ巨大なる暴竜に遮られ見えないが、幾分得意げに響いたアルバの声に、ジャハルは小さく呟きを落とした。
「……、御身の自慢の使役か、そうか」
 その声は平時の通りに無表情ながら、幾分拗ねた様な色を帯びた。あまりにも小さく、騒がしき戦場下には決して響きはしないだろう――そうとも思ってジャハルは再び黒剣を暴竜と共に縦横無尽に振り回すけれど、その影に隠れるアルバの耳には届いていて。
「……ふっ、……まあ我が従者には及ばぬがな」
 思わず小さく笑んだアルバの、しかしわざと囁く程に微かな声は、ジャハルに届くことは無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キアン・ウロパラクト
さて、敵をはっ倒したら飯が食えるんだと。
これは張り切らなきゃいけないな。

敵が骨ってことなら火付けても効きにくいか。
それならテーブルナイフでもってざくざくバラしてこうかね。
剣で防がれたって追加注文はもう入ってるんだよ!
大盛りよろしくデカくなったナイフで周りの敵ごとなぎ倒すぜ。
すぐバラバラになる辺りあれだ、
カルなんとかいうの足りてないんじゃないか?

しかしコイツら肉付きじゃないから
食えるとこないんだよなー。
せめて出汁でも取れないもんかねぇ。


セリオス・アリス
アドリブ歓迎

お日さんがのぼってるうちに飯といきてえな
その為にもちゃっちゃと片付けますか
さあて、昼飯前の運動だ!

【青星の盟約】を歌い手数を素早さを重視で自身を強化
攻撃されるのを待ってるほど気が長く無いんでな!
『ダッシュ』で『先制攻撃』
剣を持つ腕ごと吹き飛ばすように下から斬りつけ
返す刃で横凪ぎに骨を『砕く』ようにで『2回攻撃』
剣戟は『見切り』なるべく避けて『カウンター』
盾で剣を受けられたら足払いで対処しよう

風の魔力を靴に送り加速して
生き急いでるかのように速く
踊るように優雅に敵を斬りつける

剣が止められたら脚、足も止められたら拳
お前らも色々武器を持ってるようだがこっちも1つじゃ無いんでな!



「さて、敵をはっ倒したら飯が食えるんだと。これは張り切らなきゃいけないな!」
 剣戟鳴り響く洞内で、ぐっと身体を伸ばすキアン・ウロパラクト(フーディアン・f01189)は傍近いセリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)へ明るく声を掛けた。
 ニッと口角上がった口元に、白い八重歯を覗かせて。感情そのままの明るい笑顔に、セリオスも笑んで応える。
「お日さんがのぼってるうちに飯といきてえな。その為にもちゃっちゃと片付けますか!」
 戦いの先に楽しみもあれば、挑む心には気合も十分。眼前でぱしりと自身の拳を掴んだセリオスの猛き声に、キアンもつられて眼差し強く敵陣を見渡すけれど――その視界には骨、骨、骨。
「……しかしコイツら肉付きじゃないから食えるとこないんだよなー。せめて出汁でも取れないもんかねぇ」
 幾分気持ちがしょんぼりすれば、ユキヒョウの耳がしなりと前へ垂れ下がった。苦笑し「まぁまぁ」と取り成したセリオスは、青の瞳でゆるりと周囲を見回すと、口の端上げた強気の笑みで死霊を強い視線で射抜く。
「――さあて、昼飯前の運動だ! こちとら攻撃されるのを待ってるほど気が長く無いんでな!」
 宣言し、その喉震わせ解き放つは根源魔力を導く歌。ユーベルコード『青星の盟約(オース・オブ・ディーヴァ)』。
 洞内に反響して深く、強く響く声はセリオスの芯を揺らして魔力を引き出し、その全身に行き渡る。黒く艶めく髪の一筋、その毛先に至るまで――やがて全身が暗くも眩い輝きを帯びれば、駆け出す速度は瞬時に敵陣へとその身体を差し入れた。
 低く懐へ飛び込む様な構えから、光纏う純白の剣は肩を斬り上げ弓持つ骨兵の腕を高く吹き飛ばす。一転、振り上げからの返す刃は右へと流れ、側面から骨兵の体を上下二つに叩き割った。
 更に腰から体を捻り、もう一閃――奔った刃は、しかし死霊の剣に重なり甲高い金属音と火花を散らす。
「お前らも色々武器を持ってるようだが! こっちも一つじゃ無いんでな!」
 しかしセリオスは止まらない。交わす剣はそのままに、靴に帯びた魔力の風で速度を増した回し蹴りが、死霊の体を吹き飛ばした。
「どーしたお前ら! 実は凄えのは数だけか!?」
 長い髪をばさりと払い、敵陣の真ん中でセリオスは挑発的な声を上げる。その様子に感化されたか――すぅと細めたキアンの灰の瞳が、静かに野生の狩人たる獣の鋭い光を帯びた。
「骨ってことなら火付けても効きにくいか。それならテーブルナイフでもってざくざくバラしてこうかね」
 ――瞬時、前へ。
 音も無く駆るその脚は瞬速だ。一瞬で死霊の隣に間合いを詰めて、先ずは右手を真横に一閃。バラバラと砕け落ちる体に更に左手を突き込めば、砕けた一体の先に連なるもう一体までをも穿ち砕いた。
 両の手に操るその武器は、まるで爪の様に無数に構えたよく磨かれた銀のテーブルナイフ――。
「そらよ、おかわりだ!」
 左後背に出来た隙に、新手の死霊兵が振り下ろした剣を、キアンは回転の勢い乗せた右手でガチン! と力強く打ち払う。体の流れに伴い振った左手のナイフでもう一撃、しかしそれは死霊の剣によって防がれる――。
「剣で防がれたって追加注文はもう入ってるんだよ!」
 だがその瞬間、左手のナイフが強い魔力の光を帯びた。むくむくと突如大きくなる得物――ユーベルコード『武器増し増し』だ。
 巨大化したテーブルナイフが、受け止めた剣ごと死霊を真横に強く薙ぎ払った。無論、一体ではない。巨大化し、回転の遠心力も加えたその一閃には風が巻き起こり、リーチ以上に、無数の死霊を斬り、叩き、砕き、吹き飛ばして蹴散らした。
「すぐバラバラになる辺りあれだ、カルなんとかいうの足りてないんじゃないか?」
 ぱらぱらと骨の残骸が地に落ちる空間で、ニィ、と笑んで覗いたキアンの八重歯が鋭く光る。
 迫る敵兵、骨砕く破裂音。騒がしき戦場は――まだまだ、静けさには程遠い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

筧・清史郎
普段は人や物と言の葉を交わし合うのが好きだが
明々白々たる斬り合いというのも悪くはない
さあ、油断せず参ろうか

戦闘時
突出しすぎぬ程度に複数の敵に接敵、まずは攻撃回数重視【桜華葬閃】
2回攻撃や範囲攻撃を駆使し有象無象を薙ぎ払う
敵に囲まれ孤立する事のない様、躱せる余地ある場所に斬り込むもしくは他猟兵と協力し合えれば
死霊兵の剣も確りと剣筋を見切り躱し、カウンターの一閃を返す
躱せぬならば扇で武器受け
「速さだけでは、俺にはその刃は届かない」
弱っていたり隙をみせた敵を狙い確実に仕留めるべく命中重視【桜華葬閃】
「その剣筋は疾うに見切った。仕舞いだ」

どれ程の敏捷性を誇ろうとも、学園へは俺たちが決して辿り着かせない


イェルクロルト・レイン
暴れて、いいんだろ。
それさえわかればなんでもいい。
前を塞ぐもの全て、裂いて、抉って、燃やしてやる。
近頃どうにも心揺さぶるものばかりだから、
こーゆーとこ、探してたンだ。

懐に潜りこみ、攻撃傾倒。
狼の如く吼え、戦闘狂は常より瞳を輝かせ、
獣化させた腕を奮い、白炎を纏いて敵を焼く。
自ら傷を受けようが構わない、アルゴフィリア。
零れる血さえも炎に変えて。

誰かいるなら多少気は遣ってやるが、
巻き込まぬよう配慮するのは苦手だ。
何も考えずただ奮い、蹂躙するのが向いている。

この熱が、この痛みが、おれの生きてる証だから。

遊んでくれよ、もっと。
鬱憤溜まってんだ、晴らさせてくれ。



「――暴れて、いいんだろ。それさえわかればなんでもいい」
 その騒がしさの中に、寧ろ自ら飛び込んだのはイェルクロルト・レイン(叛逆の骸・f00036)だ。
 未踏の敵陣深くへ、単身乗り込み構える身体は深く低く、懐へ飛び込んでは獣化した腕を振るうその都度、上がる吠声は悦びに震える。
「前を塞ぐもの全て、裂いて、抉って、燃やしてやる。――近頃どうにも心揺さぶるものばかりだから、こーゆーとこ、探してたンだ……!」
 駆け足に揺れる狼耳は垂れて気怠げ、しかし黄金の瞳は日常の緩さを忘れた様に鋭く戦意に輝いた。放つ言葉が結末に向かう程帯びていく高揚感に、イェルクロルトは口元を笑みに歪め、獣化の腕で死霊兵達を存分に裂き、掴み潰して深く戦いへと傾倒していく。
 進む毎に穿ち、砕き、叩き割り――そして夢中の余りに擦れ違い様に斬られようとも、その脚も心も敵陣への逆流は止まらない。
「――遊んでくれよ、もっと。鬱憤溜まってんだ、晴らさせてくれ……!」
 傷持つ熱、身を突く痛みすら生きる証。そして溢れる鮮血は、零れた傍から地には落ちずに熱と化して舞い上がる。
 イェルクロルトの、穢れの炎――獣化した腕、否、更に拡がり全身を包む白炎は、彼独自のユーベルコード『CLARUS』だ。
 物理に偏った攻撃が、炎を纏いて延焼という新たな属性を伴った。燃える腕で穿つ度に、移ろう熱は密集する死霊達へみるみる広がり舞台を業火の地獄へと変えていく。
 後先など知らなかった。ただただ、目の前を蹂躙するイェルクロルトは今、敵の姿しか見えていない――。
「――普段は人や物と言の葉を交わし合うのが好きだが、明々白々たる斬り合いというのも悪くはない」
 そんな熱さと狂気までもを帯びた洞内に、不意に静かな低音が渡った。
 蒼く鋭き斬線が、突如イェルクロルトの目の前を駆け抜けた。真っ直ぐに、どこまでも澄み渡った一閃は戦場に死霊の骸を直線上に無数積み上げ、一瞬で空間に静寂を齎した。
 『桜華葬閃』――その斬撃の終いに立つは、カチリと一度刀を鞘に収めた筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)。
「……さあ、油断せず参ろうか」
 しかし静の声で呟く刹那に、骸の道を凄まじい速度で引き返す清史郎が繰り出すは再びの抜刀術。
 愛刀『蒼桜綴』を駆け様に抜き去り、真横へと倒して次々と武者に刃を当てれば、ただその通過だけで死霊の骸は更に連なり、屍の道は幅を増して沈黙の空間を生み出した。
 立ち止まり、今度は刀を鞘には収めずひゅっと穢れを振り払った清史郎は、ゆるりと振り向き、口元に穏やかさを、紅蓮の瞳に苛烈な心を宿して微笑む。
「速さだけでは、俺にはその刃は届かない」
 それを挑発と受け止めたか、破壊免れた死霊達が再びカタカタと蠢くと、清史郎目掛けて殺到した。その進軍はやはり速い。しかし――桜花を抱く扇の一振りでそれを躱すと、ひらりと軽い跳躍で、舞い降りた先はイェルクロルトの直ぐ隣。
「……巻き込まぬよう配慮するのは苦手だ。何も考えずただ奮い、蹂躙するのが向いている」
「構わない。俺とて自由に舞うのみだ」
 背を合わせ、互いに何処か素っ気ない言葉ながらも、交わす心には互いの存在を確かに認めて。直後両者の両側面から振り下ろされた死霊の剣を、清史郎の剣、イェルクロルトの炎の腕がそれぞれに受け留めた。
 イェルクロルトの視界の隅に、蒼く光る桜の意匠が閃いた。一方清史郎の視界の隅には、白き炎がちらりと舞い――肌に感じる熱量の増加に撃破を察した清史郎は、自身も受け止めた剣刃に添って刀を滑らせ、死霊を叩く様に斬り伏せた。
「どれ程の敏捷性を誇ろうとも。学園へは俺たちが決して辿り着かせない」
 この断言には笑みを浮かべて――二つの影は、互いに背を預ける如く、真逆へ向かって再び敵陣を舞い踊る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アレクシス・ミラ
サイクロプスが来る前にこいつらをどうにかしないといけないね
敵の戦力は出来るだけ減らしていこう
…征こう。僕たちなら、進軍を止められる

僕は前線で戦おう。猟兵なりたてであまり装備は揃えられていないが…敵の注意を引きつけることはできるはずだ。騎士として、皆の戦の助けになれるよう戦う
前で戦っている分、防御は剣で『武器受け』、受け止めた後は『怪力』で押し返し、斬りつける
最小限の動きで最大限の力を。【絶望の福音】でかわし、カウンターを狙う
全て躱してみせるとも

この運命…変えさせてもらう!


境・花世
了解、ただ斃せばいいんだね
こういう仕事が一番得意だ

早業ダッシュ先陣を切って駆け、
翻す扇から次々と風を起こす
纏めて骨を薙ぎ倒せば、
積み上がってく死屍累々

ああ、元から屍なんだっけ?

尚も押し寄せてくのるなら
薄く笑って右目の花に触れる
全てに根を張って、
爛漫に咲き誇って、
一斉に突き刺さる花びらの刃は
勢い良く兵を駆逐するだろう

来ないならこっちから行くよと
高速移動で敵の影濃い方へ突っ込んで
血も痛みも、削れていく音も
そんなのは別にどうだっていい

己が身から放つ花びらと
扇で巻き起こす風とを
がむしゃらにただ、出し尽くして
最後の敵が視界から消えるまで
血に濡れたままで、立っている

※アドリブ・絡み大歓迎


リル・ルリ
■アドリブ、絡み等歓迎

「戦うのは得意ではなくて。でも、困っている人がいるならば、力になりたい、とおもう」
いつも守られてばかりだから
僕にも出来ることをしたい

僕は歌が得意だ
【歌唱】を活かして遠距離から攻撃するか、仲間たちの支援をする、かな
【空中戦】と【野生の勘】で攻撃を察して躱したりしながら、後衛から戦うよ

「死霊ならば、安らかに――眠らせてあげる」
君のいるべき場所へおかえり
これが君のためのレクイエムだ
歌うのは「光の歌」

他に一緒に戦う仲間がいるならば、「凱歌の歌」も添えて――君の力を上げられれば
大丈夫、安心して戦えるように守るから
…守らせて?

晴れの日の下でのごはんはきっと美味しい
楽しみを胸に
歌おうか



「サイクロプスが来る前にこいつらをどうにかしないといけないね。……征こう。僕たちなら、進軍を止められる」
 呟き前線へ駆け出す金の髪――此方はアレクシス・ミラ(夜明けの赤星・f14882)だ。朝空の蒼宿す瞳鋭くも美しい聖騎士は、剣握る腕を真横に払い、その一閃で眼前の死霊を薙ぎ払う。
「了解、ただ斃せばいいんだね」
 伴い前線へ躍り出るのは境・花世(*葬・f11024)だ。アレクシスの拓いた空間に飛び込むと、ぱんっと小気味良い音を響かせ扇を開放、翻し生まれる空気の流れに死霊を絡げ、空へ、地へ、壁へ、あらゆる向きへと捲き上げていく。
 まるで舞う様に立ち回り、戦場を駆けるその女は爛漫に、だが強気に笑んで悪霊を誘う。――華がある、との文字通り、喪われし右目には八重咲牡丹を咲かせていた。
「こういう仕事が一番得意だ!」
 強気の声で纏めて骨兵を薙ぎ払えば、辺りはやがて死屍累々――。
「――ああ、元から屍なんだっけ?」
 それでも押し寄せる死霊の群れに、花世の唇が薄い笑みをかたち作った。
 そっと右目の大輪へ触れれば、花は根を張り、輝くほどに咲き乱れる。
 ユーベルコード『紅葬(レストインピース)』。
 咲き散らした八重咲牡丹の花びらが、払う花世の扇風に乗り一斉に死霊達へと降り注ぐ。乾いた身に血はあらずとも――血啜る花弁は、死霊の命を求めて殺到、みるみる一面を駆逐していく。
 その間にも飛来する矢が花世の白肌を傷つけようとも、そんなのは別にどうでも良かった。
 最後の敵が、視界から消えるまで――がむしゃらに己が力を出し尽くし、此処に血に濡れたまま、立っている。
 その美しさを目の当たりにして、今は後方に立つリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)は名を示す様な瑠璃の瞳の視線を落とした。
(「戦うのは、得意ではなくて。……でも、困っている人がいるならば、力になりたい、とおもう」)
 いつも、守られてばかり。あんな風に、傷付いても奮い立つ強さにはまだ至れなくても――顔を上げたルリの心には、確かな願いが息付いた。
(「僕にも出来ることをしたい……!」)
 すう、と一つ決意の息を吸い、少年は喉から旋律を解き放つ。
 ルリは、歌が得意だ――だから、ルリが繰り出す力はルリ独自の、でもルリの長所を最大限に生かす技。
 ユーベルコード――『光の歌(ルチア)』。
「死霊ならば、君のいるべき場所へおかえり。安らかに――眠らせてあげる」
 奏でるは、黄金の旋律。玲瓏たる銀細工の歌声――羽生えた様に軽やかに。光纏う様に高らかに洞内へ至るその声は破魔の力を帯び、死霊達は浄化でもするかの様に辺りから次第に消え去っていく。
 ――それは、心優しき少年の、魔すら鎮める鎮魂歌。
(「晴れの日の下でのごはんは、きっと美味しい」)
 戦いの果てに、そんな未来が在ると聞いた。閉じた瞳に浮かんだ景色は幸せそのもの――ほわりと胸が温かくなれば、響く歌声はさらに燦然と、辺りを鎮め渡っていく。
「楽しみを胸に、歌おう。……大丈夫、安心して戦えるように守るから」
 にこりと笑んで、ルリの旋律は――自然な流れで、その調子を強き凱歌へと繋いでいく。
 『凱旋の歌(ヴィクトワール)』――心昂らせ希望、勇気を喚ぶ儚くも力強い歌声は、その恩恵をアレクシスへと齎した。
 心が軽い。身体が軽い――鼓舞する魔力をその身に受けて、握る剣はすらりと死霊の群れの中へと閃いた。
 縦横無尽に駆ける合間も、アレクシスは飛来する矢を叩き斬り、振り落ちる剣は打って火花、そのまま渾身の力で押し返しては掲げた剣で斬り付ける。
 装備は正直整えられていなかった。しかし、惹き付けることは出来る筈――守る騎士たらんとする気高き心は、最小限の身のこなしに最大限の戦果を得るべく、魔力をその青き瞳に湛えた。
「――全て躱してみせるとも!」
 告げた瞬間、迫った死霊を躱した力――ユーベルコード『絶望の福音』。
 未来を知るかの様な的確な回避は、剣振り下ろした死霊に、致命的な隙を生んだ。地に突き刺さった剣、抜く間遅れたその一瞬は攻めるに十分な勝利の一手。
「この運命……変えさせてもらう!」
 真上から、真っ直ぐ振り下ろす一閃が、死霊を骸の海へと還す。
 掴み取りたい勝利へ向けて、猟兵達が駆け巡る戦場――しかし変化は、突然の轟音と共にやって来た。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『サイクロプス』

POW   :    叩きつける
単純で重い【剛腕から繰り出される拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暴れまわる
【目に付くものに拳を振り下ろしながら咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    憤怒の咆哮
【嚇怒の表情で口】から【心が委縮する咆哮】を放ち、【衝撃と恐怖】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 それは、まるで地鳴りであった。

「GRuuuuuuuuuuuuuuaaaaAAAAAAA!!!!」

 地を、いや、洞内全てを揺るがし響き渡る低く昏く怒りに満ちた獰猛の声。未だ視界には死霊兵がまばらに散在していたが、その総てが小さく思えて来る程に――それは、その声だけで戦場に深い混沌の闇を落とした。

 ズシン……

 ――鈍い音が、した。

 ズシン!

 二度目の音で、死霊兵達が出で来る洞の奥の壁が突如半球を描いて隆起した。
 もう、何が来るのかを猟兵達は知っている。予知はこう語られたのだ。
 ――サイクロプス。これを猟兵が攻略しなければ、確実にアルダワの迷宮を突破されてしまう、と。

「GRRRRRrrrraaaAAAAAA!!!!!!」

 二度目の吠声ともう一つ、洞内揺らぐ衝撃が走った時には半球はガラガラと礫を散らして崩れ落ち、そこに――ぬっと筋肉質の巨大な腕が突き出された。
 形容し難いその姿。腕に次いで大穴から現れたは苔色よりも濁った鈍緑の皮膚に、いかにも強靭な体を突き刺す金の楔からは千切れた鎖が動く度じゃらりと音を立てる。
 大きなただ一つの瞳は存外に円らであるが、ぎょろりと向いた視線を前に――いや、そもそもあの巨大な威容を前に、誰が可愛いなどと言えるものか!

「GRRrrrrrrrrrrrrhhhhAAAAA!!!!!!」

 何をか、誰をかそれほど憎んでこの巨人が雄叫び上げるか、それを知る術は無い。
 しかし確かなことは、――今凄まじい速度で此方へ向かってくるこれを猟兵が止められなければ、アルダワ魔法学園に危機迫るという紛れも無い事実だけ!
 戦いは正念場――立つだけで肌を叩く威圧にも立ち向かい、猟兵達は迫り来る威容を迎え撃つべく今、その手に武器を構えた。
水衛・巽
嫌やわぁ怖いわぁ(棒)
…冗談はさておき真面目にやりましょうか。

まずは定石通り、七星七縛符で拘束。
力自慢だろうが速かろうが、
要は抑え込めば被害は減らせるわけでしょ?
生命力吸収もあるしとことんまでつきあおうじゃないの!

あとは、そうね、
単眼だから距離感つかむのは苦手そうかしら?
だとするとヒット&アウェイで翻弄、が上策な気もするけど、
地形もろとも殴りに来そうな所が厄介ね。
まあ、動きを封じさえすれば全解決なんだけど。
そこまで簡単にいくかどうか…


セリオス・アリス
アドリブ歓迎

はッ…!ようやっと本命のお出ましか
待ちくたびれたぜ
【望みを叶える呪い歌】を歌いスピードをあげて『先制攻撃』
厄介そうなその腕斬り落としてやる!
『ダッシュ』で勢いをつけ『ジャンプ』
相手の腕を狙って炎の『属性攻撃』を込めた斬撃の『2回攻撃』
ああくっそ、骨ほど脆くねえってか
巨体を蹴って距離をとり

ビリビリと肌が震える様な感覚に口角をあげる
攻撃を『見切り』
『ジャンプ』で振り下ろされた物の上へ
不安定な足場を一気に駆け上がり
靴に風の魔力を送り旋風を炸裂
勢いをつけて
敵の肩に『全力』の炎をのせた『捨て身の一撃』を突き立てる
これでッ…どうだぁ!?

ヤれりゃそれが1番いいが、少しでも敵の威力を殺いでやる!



「はッ……! ようやっと本命のお出ましか!!」
 今日の進軍、その最大の脅威であるサイクロプスの突進を前に、セリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)は眼前の死霊を剣一閃で斬り払うと、巨人に正面から対峙する。
「待ちくたびれたぜ! ――さァ存分に暴れさせてもらおうか!!」
 ニィイと笑む、その口を開き魔力を帯びて溢れたのは『望みを叶える呪い歌(アズ・アイ・ウィッシュ)』。望むままにと謡う旋律が、セリオスの底、心奥深くから根源の魔力を呼び起こした。
 揺れる大気が波を起こし洞内一帯に反響すれば、音の支配を嫌う様に巨人もまた咆哮する。
「G――RRRuuuuhhhhAAAAAAAAA!!!!!」
「はッ……耳障りなんだよ、下手くそ!!」
 歌というにはあまりに凶暴なその声を鼻で笑って駆け出すと、根源魔力を纏ったセリオスの体は軽やかに、サイクロプスにも匹敵する速度を叩き出す。
 その速さで往く先は――巨人の腕。まるで山の様に聳えた立つ巨人の体を駆駆け上がり、セリオスは右腕の付根へと垂直に剣を突き立てた。
「GYAAAAAAAAA!!!!!」
「……ッ!!」
 手応えで、拙いと悟った。突き刺し、重力に乗って地へ降る流れで腕を斬り落とそうと想定したが――余分の無い巨人の鋼の肉体は硬く、剣が滑るを許さない。
 舌打ちしたセリオスは植わった剣身を引き抜くと、巨体を蹴って空へとその身を翻した。
「ああくっそ……骨ほど脆くねえってか!!」
 宙を降りる間のセリオスは無防備だ。次なる一手を闇色の瞳で探る間に、サイクロプスの左手がセリオスを掴まんと伸びて――。
「――嫌やわぁ、怖いわぁ、と。……冗談はさておき真面目にやりましょうか」
 何処か棒読みの言葉ののちに、品と仄かな色香漂うたおやかな声が鳴り響く。
 セリオスとサイクロプスの左手の間に、突如飛来した輝く護符が陣を張った。バシン! と障壁の様に激しい音立て巨人の腕を弾くと、セリオスが地へ降りる間に、サイクロプスをみるみる巨大な七星の陣がバチバチと火花散らして捕縛する。
 ユーベルコード『七星七縛符』――命吸い上げる魔力を手繰る、女と見紛う美貌の男は水衛・巽(鬼祓・f01428)。
「力自慢だろうが速かろうが、要は抑え込めば被害は減らせるわけでしょ? ――とことんまでつきあおうじゃないの!」
 形の良い唇が描く弧をより深く刻めば、眼前の手に一枚残る符に更なる魔力が注がれる。
 すると拘束の陣はよりその強度を増して、巨人を縛る七星描く魔力線は雷電放って洞内を眩い光で満たした。
(「あとは、……そうね、単眼だから距離感つかむのは苦手そうかしら? だとするとヒット&アウェイで翻弄、が上策な気もするけど……」)
 藍の瞳で敵を見つめ、冷静に戦力を分析する傍ら――巽の頬を、一筋汗が滑り落ちる。――見た目には圧倒の陣を敷いていると見せかけて、その実巽にも余裕は無かった。
 束縛の陰陽術を今は何とか維持出来ているけれど――拘束解くべく強引に体を広げんとするサイクロプスの力と、巽単身の魔力で競り合っている状態なのだ。
(「地形もろとも殴りに来そうな所が厄介ね。……拘束だけじゃ長くは保たない。何か、決定打を……!」)
 考える間にも、ぐぐ、と束縛の術が力に押し戻されている。いけない――維持が危ういと、巽がもう一度魔力を絞り出そうとした、その時だった。
「――さんきゅな、巽! 充分だぜ!!」
 巽に救われたセリオスが、再び巨人目掛けて駆けた。
 暗くも眩い輝きを纏って進む様はまるで流星。攻撃射程へ迫る直後に七星の拘束解けた巨人は、大きく怒りの咆哮を上げ右腕を振り上げると、セリオス目掛けて振り下ろした。
「GYAAAAaaaaahhhhh!!!!!!」
「……待ってたぜ、それをな!!」
 狙っていたから、セリオスはそれを回避する。
 再び、落ちた巨人の右腕の上を肩目掛けて駆け昇る。到る最後の一歩の瞬間、靴裏に風の魔力を送り旋風を炸裂させると、その反動でついた勢いと魔力の炎を上乗せて、セリオスは巨人の肩を斬り付けた。
「これでッ……どうだぁ!?」
「GYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」」
 流石に腕は落ちはしない。……しかし、今度は傷から血飛沫が上がり、ダメージと解る確かな手応え。
 巨人の痛みの絶叫響き渡った洞内で――戦いは、まだこの先も過熱する。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と

良く知った師父の術
分からず屋め

其の意志――弟子ならば相応の覚悟を以て応えねばなるまい

瞬きの間とて余計な時間はかけられん
黒剣を手に【竜血咒】を用いる
他猟兵との連携も重視

師が巻き込まれる事だけは防ぎながらも
詠唱に合わせ魔法が放たれる射線を開く

振り下ろされる拳は第六感にも頼り後方へ回避
破壊される地形に紛れ
翼で敵の頭上へと翔け急襲を
空中とて遅れはとらぬ

よく吼える奴だな、喧しい
避ける手間が惜しく
怪力で受けきれるなら敢えて受け
カウンターで其の首抉ってくれようか

言われなくとも承知している
荒れ狂う、明快なまでの強敵
何の遠慮とて不要
急ぎでなければもう少し楽しみたかったが、残念だ


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
くそ、彼奴の叫びは聞くに堪えん
びりりと身を軋ませる叫びを封じんと、放つは金紅石の針
…ふん、今更気付いたか?

呪紋を刻んだ従者に分からず屋はどちらだと毒吐きながら
己の第六感を信じ、可能な限り攻撃を見切る
奴の一撃は脅威だが、単純なものだ
ならば視線や腕の動きによって攻撃のタイミングや範囲を割り出せるやも知れぬ
その際、予測範囲に猟兵がいる場合は即座に警告を
私とて彼奴の業を止めるだけでは物足りぬ故な
麻痺を齎す魔術を行使する事で牽制を試みよう
ふふん、我が渾身の魔力を注いでやるのだ
有難く喰らい、そして咽び泣くが良い

私が文字通り身を削っておるのだ
仕留め損なったならば承知せんぞ
――征け、ジジ



「……くそ、彼奴の叫びは聞くに堪えん」
 痛みの絶叫、その声刃が輝石の体にビリビリと酷く反響する――片耳抑え酷く不快気に舌打ちしたアルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は、すい、と下から掬い上げる様に差し出した手に魔力で編んだ金の細針を浮かべる。
 その光り輝く針が何かを、従者たるジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)は知っていた。命削って敵の手封じる諸刃の針――ユーベルコード『戒めの光芒(ゲルギア)』だと断ずれば、は、と一つやはり気に入らぬと言った面持ちで息落とし、巨人の威容へ体を向ける。
「……分からず屋め」
「ふん、今更気付いたか?」
 一方で、当のアルバは落ち着いたものだ。鼻で笑って従者へこう言ってのけると、その表情から不快は消え去り片端上がった口元にはありありと自信が浮かんだ。
 その様子に――諦観帯びてふ、と腹深くからもう一つ重い息を吐き出すと、ジャハルは伏せていた顔を僅かに上げ、暗く鋭き竜眼で対する巨人を強く射抜く。
「其の意志――弟子ならば相応の覚悟を以て応えねばなるまい」
 直後、ジャハル身体を闇が取り巻き、力の奔流が風となって周囲を巡った。
 背に一房流れる髪と周囲の死霊を跳ね散らして広がる暴風は一瞬だったが、その刹那にジャハルの黒肌全身には呪紋が浮かび、全身に巡る竜族の血は力を覚醒、沸騰する様に熱く脈打ち体内を駆け巡る。
 ユーベルコード――『竜血咒(リュウケツジュ)』
「瞬きの間とて余計な時間はかけられん」
 呟くが早いか、ジャハルの体が前傾と当時に前へと跳ねた。
 覚醒状態のその体は、瞬時に爆発的な魔力を一動作へと供給する。ただ踏み出す一歩にも凄まじい膂力を齎すけれど――一方でこの力もまた、ジャハルの命を刻々と削る諸刃の力に他ならない。
「……分からず屋はどちらだ」
 ち、と改めて不満げに舌打ち落とし毒づいたアルバは、転じて針持つ手を両手へ広げ、苦無の如く投擲した。
「ふふん、我が渾身の魔力を注いでやるのだ。有難く喰らい、そして咽び泣くが良い」
 鼻を鳴らしたアルバの手離れ、駆け行くジャハルの真横を抜いて巨人へ迫った光の針は、ドドド、と人と同じかたちを持つサイクロプスの身体の急所へ的確に突き刺さった。
「――其処でじっとしていろ」
 動き縫い留める魔術針――巨人が抵抗に動く度に、針を通してぐんぐん体から魔力が吸い上げられるのを感じてアルバは体を一瞬よろめかせるけれど、しかし地に足踏みしめ堪えると、汗伝う美しい面差しに勝気の笑み乗せ再びこう毒づいた。
「私が文字通り身を削っておるのだ、仕留め損なったならば承知せんぞ。――征け、ジジ」
 軽口は、前征くジャハルの耳へと至る。
「G――RRrrrrrruuuuuuuuaaaAAAAAAA!!!!」
「……よく吼える奴だな、喧しい」
 師の声を遮る憎悪の声に、ジャハルの表情が険を刻んだ。アルバの封が解ける前に巨体の足元へ至ったジャハルは、背の翼で空を叩くと一気に頭上へ駆け上がる。
 直後。ぱりん、と巨人の力を拘束していた金の針が砕け散った。効果時間が途絶えたか――一気に巨人が騒がしく動き始めるけれど、これだけ時間を稼げたのなら十分だ。
 黒剣構え、口の端上げたジャハルの笑みがアルバの笑みと重なった。
(「荒れ狂う、明快なまでの強敵。何の遠慮とて不要」)
 急襲のジャハルの斬撃が、頭頂中心から地まで垂直に一閃、サイクロプスへと傷を刻む。
「GYaaaaaaaaaaaaaaAAA!!!!!!!」
 洞内全てを震わせる、痛みの絶叫――しかしそれは確実に、戦いの有利を猟兵達へと知らしめる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リル・ルリ
■櫻宵(f02768)と
✼アドリブ等歓迎

うう、強そうと少し震えていたら優しい桜の優しい声が

「櫻宵、」
戦場ではいつも君が前に出て
僕の守って傷ついて
君を守る為に僕は何が出来るだろうか
……何故か心臓がうるさいから櫻宵の顔が真っ直ぐは見れない、けど
僕のできる精一杯をする!

君は、相変わらず……ふふ。変なの
「いっておいで、櫻宵!君は僕が守る、君を――傷つけさせない!」
歌う「凱旋の歌」
剣舞にのせて、デカブツを斬り崩す力を
敵が、君への暴虐を働くなら「魅惑の歌」で動きをとめる
黙って大人しく歌を聴け

櫻宵、君の斬撃が届くように
(櫻宵の言葉にくしゃりと微笑み
――ありがとう

君が首、欲しいだけだろ
でもいいよ
一緒に獲ろうか


誘名・櫻宵
🌸リル(f10762)と
アドリブ等歓迎

リル!もうまた危ないとこに!
あなたに何かあったらどうするの!あたしの心臓が止まるわ
その前にあのデカブツの首を落とすのが先ね

大丈夫よリル!どんな敵でも殺せば死ぬわ!
彼を庇いつつも彼の意志を尊重し
リルの歌に後押しされるように踏み出し
衝撃波を纏わせ怪力も加えた斬撃でなぎ払い斬り崩す
傷口を何度も抉っていくわ
あらあら乱暴なのね
空中戦も織りまぜて斬り裂いて
見切りと残像で躱してフェイントかけて
ダッシュで一気に懐に踏み込んだなら渾身の絶華を!

リル
あなたは弱くなんてないわ
その歌で十分にあたしや仲間を守ってる
だから自信持って

さ、一緒にアレの首を獲るわよ
美しく散らしてあげる!



「うう、強そう……」
 ふるりと身を震わせて巨人と仲間の攻防を見守るリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)の元へ――近付いてくる足音にくるりと向けば、少し焦った様子で駆け寄る誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)の姿が在った。
「リル! もう、また危ないとこに!」
「櫻宵、」
「あなたに何かあったらどうするの! あたしの心臓が止まるわ」
 駈け寄る勢いからそのままぎゅっとリルを抱き締め、櫻宵は良かったと安堵の息を漏らす。守る様に抱く温かさには、リルも少しほっとして――でも続く言葉を聞けば、僅かに蒼の瞳が悲しく揺らいだ。
「……その前にあのデカブツの首を落とすのが先ね。大丈夫よリル! どんな敵でも殺せば死ぬわ!」
「……」
 明るく、まるで鼓舞する様に笑顔で語る櫻宵――リルは思う。このひとに、いつも守られてばかりだ。
(「戦場ではいつも君が前に出て、僕の守って傷ついて――君を守る為に僕は何が出来るだろうか」)
 心陰るその表情を、櫻宵もまた逃さない。あぁ、この表情は心を痛めている――解れば柔い桜の瞳は穏やかに、にっこりと細められた。
「――リル、あなたは弱くなんてないわ。その歌で十分にあたしや仲間を守ってる。……だから自信持って」
 華やかな、その春の様な微笑みに――リルは思わず顔を逸らした。心臓が妙にうるさく早鐘を打っている。それでも胸に湧き上がる思いは、頼られる喜びと共に戦う決意となってリルの顔へ笑みを齎す。
(「君は、相変わらず……ふふ。変なの」)
 思う瞬間、乳白の髪に光が宿った。櫻宵の笑みに、言葉に震えた心が魔力を導く――光放つ全身から込み上げる想いの歌を放つ手前、リルは柔らの笑みと一緒に、鼓舞の言葉を櫻宵へ送った。
「……いっておいで、櫻宵! 君は僕が守る、君を――傷つけさせない!」
「ええ! 一緒にアレの首を獲るわよ!!」
 応え飛び出す櫻宵の背から、魔力の歌が温かく体を包み込む。
 『凱旋の歌(ヴィクトワール)』――剣舞と共に振る舞われる儚くも力強きリルの旋律は、心地よく櫻宵の鼓膜を震わせ、全身に力を巡らせる。後押しされる様に前へ前へと駆ける長い足は軽やかに岩肌を蹴り、擦れ違う死霊を斬り伏せながら巨人目掛けて一直線に路を拓いた。
「美しく散らしてあげる!」
 一閃。真横に薙いだ愛刀『屠桜』は先ず巨人の足へと衝撃波を見舞わせて。
 二閃。返す刃は下段から上へと斬り上げ、振り落とされた巨人の拳を弾き返す。
「――あらあら、乱暴なのね」
 弾かれた勢いでやや後傾する巨体を見遣れば、櫻宵は美しき笑み湛えたまま高く跳躍して――。
「何を見ているの どこを見ているの 何を聴いているの――黙って大人しく歌を聴け」
 空へ飛び巨人を見下ろして、櫻宵が上段に剣を構えたその刹那――耳に届く旋律が、異なる音色を紡ぎ出した。
 奇跡のように澄み切った透徹の歌声。リルが奏でる旋律は、魂を惹き付け離さず、恍惚と陶酔齎す音色だ。
 ユーベルコード『魅惑の歌(シレーナ・ベルカント)』。
「僕をみて、僕の歌を聴いて。離して、あげないから」
 まだあどけない少年の喉から、紡がれる魔性の歌声――後傾を踏みとどまっていたサイクロプスの大きな単眼が、とろんとどこか虚ろにまろんだ。
(「……ほらね、あなたは弱くない」)
 自分の背を押す少年の大きな助力に、櫻宵は花霞の目元を緩めて微笑む。
(「こうしていつでも、あたしを助けてくれるじゃない」)
 だから、その支援を確かに受けて――櫻宵が狙うは右肩。先に仲間が抉った――右腕の付根の傷。
「――さぁ、桜のように潔く……散りなさい!」
 高き空舞う花纏う竜人からの一閃は、溜めに溜めて距離30㎝から空間ごと深く巨人の肩を地面目掛けて両断する。
 ――ユーベルコード『絶華(ヨミジマイリ)』。
「……GYA!? GYaaaooooooHHHH!!!!!!」
 リルと櫻宵、二人が繋いだ連携が、戦場の空気を変える。
 巨人の右腕。その凶暴なる力の一端が――先ず一つ、斬り落とされて地面へ墜ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葦野・詞波
図体ばかり大きいと侮るのは容易いが。
力の強さは脅威だな。動きも決して鈍重ではない。
だが、吼えに品性と美しさが無いのは大きな減点だ。

先手を打つ。一旦距離を取ってその大きく晒した目に
槍投げだ。図体ばかりだと失望させるな、受けて見せろ。
衝撃波で怯みでもしたら距離をつめて
二回攻撃を駆使して槍撃を絶え間なく繰り出す。

腕の動きは注視しておく。
当たりでもしたら顔に傷がつくでは済まないだろうからな。
見切りの経験が通用するだろうか。
女を手荒に扱うところも減点だ。

咆哮には気合で抗うしかないな。
もしくは奴より大きく吼えてみせるか。
留めを刺せる状況なら【揺光】だ。
――奴の厚い皮膚を引き裂け。


シノ・グラジオラス
シエン(f04536)と参加。アドリブ等は歓迎
POW選択

やりたい事がありそうな感じだったが、シエンは何するつもりだ?
まあ、その分俺が相手の気を惹きますかね
感謝しろよ、相棒?

『挑発』と『時間稼ぎ』で気を惹く
『2回攻撃』で足元を狙い、敵の煩わしさを増そうか
ほらよ、木偶の坊。俺達どうにかしないとずっと邪魔し続けるぞ?

直接受けるのは危なっかしいし、『武器受け』と『見切り』で出来るだけ敵の攻撃は受け流す
剛腕からの一撃は余裕を持って避けたいトコだな
ダメージは『激痛耐性』と『生命力吸収』で耐える

シエンが動くタイミングで『フェイント』で『援護射撃』
ダメージが通れば俺も【紅喰い】の攻撃力重視で加勢しますか


シエン・イロハ
シノ(f04537)と参加
SPD選択

何って…あれだけ分かりやすく弱点晒してくれてんだから狙ってやらなきゃ失礼だろ?
へーへー、カンシャシテマストモ

敵の攻撃に対しては『見切り』を基本
攻撃受けた場合は『激痛耐性』で耐えつつ、反撃に『カウンター』『生命力吸収』

上着は脱ぎ捨て速度上げた状態で【シーブズ・ギャンビット】
シノの動きや敵の動きを見極めつつ、敵が大振りの攻撃をした後のタイミングを狙う
『投擲』『2回攻撃』『毒使い』『マヒ攻撃』『目潰し』の技能上乗せし目狙い
粘膜に直接麻痺毒叩き込むんだ、よく効くだろうよ

よし、シノ、後好きに動いて構わないぜ
あれだけ動きさえ鈍らせりゃ、思いっきり暴れられんだろ



「GRRrrrrrrrrrrrrhhhhAAAAA!!!!!!」
 単眼を大きく見開き痛みと怒りに吠える声が、ビリビリと猟兵達の肌を叩き、迷宮内に鳴り渡る。
「図体ばかり大きいと侮るのは容易いが、力の強さは脅威だな。動きも決して鈍重ではない。……だが、吼えに品性と美しさが無いのは大きな減点だ」
 その煩わしさには嘆息して、葦野・詞波(赤頭巾・f09892)もまた巨人目指して岩肌を駆ける。――その傍らには、シノ・グラジオラス(火燼・f04537)とシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)の姿も在った。
「……やりたい事がありそうな感じだったが……シエン、何するつもりだ?」
「あ? 何って……」
 駆ける最中に問うシノと、視線を交わすとシエンはちら、と巨人を見遣る。
 先ほどごとん、と大地揺らして落ちたサイクロプスの片腕は今、眼前で燐光放ち、次第に空間へと溶け掛かっていた。その向こうに立つサイクロプスは、失った右肩の傷を抑え、我を忘れたかの如く足踏み、猟兵達を寄せ付けていない。
 但し、足元にさえ行こうとしなければ、付け入る隙は十分にあった。ニィ、とその端整な顔立ちに小狡い悪い笑みを浮かべ、シエンが顎と視線で差すは、サイクロプスの大きな単眼――。
「……あれだけ分かりやすく弱点晒してくれてんだから、狙ってやらなきゃ失礼だろ?」
「お前……」
 シノがはぁ、と一つ溜息を落としたのも無理はない。正に今予測不能に荒ぶる巨人に近づくに留まらず、あの巨顔にまで接近しようというのだから。
「……まあ、その分俺が相手の気を惹きますかね。感謝しろよ、相棒?」
「へーへー、カンシャシテマストモ」
 互いに軽口へ信頼込めて、視線を交わしたシエンとシノはもう一度巨人の唯一つの瞳を見上げる。
 軽く言ってはみたものの、その達成は簡単ではない。勝率を上げなくては――そのために先ずはあの暴れようをどうにかする必要があった。
 すると、やや先行していた詞波が速度を落とし、シエンの隣へ下がって並んだ。
「私が請け負おう。――策がある」
「……おお?」
 言って頷き、詞波はトン、と一蹴りシエン達から距離を取った。駆ける足を止めて跳躍――逆側面から巨人を見上げる場所へ降り立ち、身体を引いて構える手には魔力を纏った長尺の槍。
「先手を打つ。――槍投げだ。図体ばかりだと失望させるな、受けて見せろ」
 微かな笑みで告げて同時、その手から魔力の槍が投擲された。
 ユーベルコード『揺光(シェネィ)』――真っ直ぐに巨人の独眼目掛けて疾走するそれはまるで光一条。詞波の渾身、その全力の投擲はしかし、気付いた巨人の左手に阻まれ、そのまま槍は地面に打ち捨てられる。
「G――RRRRRAAaaaaaaaaaaaHHHH!!!!」
 しかし、意識は詞波へ惹き付けた――足踏みを止めて詞波へと体を向けた巨人は、捨てられた槍を拾い掴んだ詞波目掛け、左腕を振り下ろす!
「……女を手荒に扱うところも、減点だ」
 ――ガキン! 詞波は頭上へ真横に掲げた槍で、その一撃を受け止めた。しかし押し潰さんと力込める巨人の腕の力は強い。
 ず、と足が後方へと地面を滑るけれど――それでも詞波は踏みとどまると、再び笑んで吐き捨てる。
「――この腕。当たりでもしたら顔に傷がつくでは済まないだろうからな……確り注視して行けよ」
「……あぁ、充分だ、引き受けた!!」
 次の瞬間、詞波と競り合う巨人の腕を、黒い斬撃が斬り付けた。血飛沫舞う中愛刀『燎牙』を手首返して振るうはシノ。刃を操る男の周囲には、銜える煙草の紫煙が揺蕩う。
「ほらよ、木偶の坊。……俺達どうにかしないとずっと邪魔し続けるぞ?」
 空いた手に口元から煙草を受け取り、勝気に笑んで余裕を演出するシノは、挑発的に言葉を放つ傍ら繰り出す斬撃が大したダメージにならないことを知っていた。
 それで良い、今は時間を稼ぐのみ――巨人の足元を煩わしく駆け回り、斬り離れては再び斬って、雷の様に真上から大地を叩く剛腕を見切りながらシノは時を待っていた。
「GRRuuuuuuuaaaAAAA!!!!」
 やがて、何度目かの鋼の拳が再び地面を打った、その時――。
「――よし、シノ、後好きに動いて構わないぜ」
 シノがギリギリ交わしたその腕を、とん、と軽やかに人影が駆け上がっていった。
 軽さを重視し赤い上着を脱ぎ棄てたのだろう――トレードマークの様な赤い髪が黒い服に映える背中を見送って、シノは笑むと口元の煙草をゆるりと吸って薫らせる。
「……ったく。本当感謝しろよ」
 軽口は、巨人の腕を駆けるシエンへ向けるが、紫煙の様に空へは昇らず地表に留まり消え落ちた。
「――ははッ! さァ覚悟しろよデカブツが!!」
 詞波とシノの支援を受けて、赤毛の男は巨人の大きな単眼目指して腕の上を疾走する。タタタと刻む足音は軽快に――あっという間に目前へ至れば、その手に握るは短刀『プラエドー』。
 加速上乗せた目にも留まらぬ幾筋もの斬線の名は――ユーベルコード『シーブズ・ギャンビット』。
「――粘膜に直接麻痺毒叩き込むんだ、よく効くだろうよ」
「……GYYYAwoooooooooaaaAAAAA!!!!!」
 洞の世界を映した眼が、灼け付く痛みに赤く染まった。しかし瞬間シエンを掴んだ左手は、そのまま強引にシエンを洞の岩壁へ投げ捨てる。
「――シエン!!」
「―――ッ!!」
 どくどくと単眼から噴き出す鮮血を降らす巨人に背を向け、シノはシエンの元へ駆ける。
 一人の猟兵の負傷に、緊迫する洞内――しかしシエンが冒したある種の無茶は、確実に勝利を猟兵達へと引き寄せた。
 大きな巨人、その瞳には――もう猟兵の姿は映らない。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

華切・ウカ
キトリちゃん(f02354)と一緒に
他の皆さんとも協力できそうなら、共に

キトリちゃん、大きいのが出てきましたよ!
力自慢さんのようです。正面から受けるのはちょっと痛そう……
でも素早さは、ウカとキトリちゃんの方が上です!

暴れまわるなら、その動きを制するようにウカの分身をその足元狙って操り突き立てる
その咆哮がきそうなら耳塞ぐけれど。塞いでも届いてしまいそうなので――気合を入れて、逃げません!
キトリちゃんはウカの後ろに!ちょっとでも遮れたらば。
咆哮終わったら、そこで攻撃お願いします!
振り下ろされる拳には、ウカの分身を生み出せる限り、すべてを、一気に突き付けてやるのです!


キトリ・フローエ
ウカ(f07517)と一緒に
他のみんなとも協力しながら戦えたら

話には聞いていたけれど、凄く大きな災魔ね!
あたしなんか、親指と人差し指だけで潰されてしまいそう
でもそうね、ウカ、あたしたちのほうがきっと素早い
大丈夫よ、飛んで逃げるのは結構得意なの!

攻撃の魔法は常に全力で、詠唱は素早く
ベル、力を貸して!
空中を飛び回りながら杖に呼び掛け、夢幻の花吹雪でサイクロプスの動きを封じ
ウカや他のみんなが攻撃するための隙を作るわ
咆哮は心が震えてしまいそうだけど
耳を塞いで、大丈夫と己を鼓舞しながら衝撃をオーラ防御でやり過ごす
ウカ、大丈夫!?
災魔の目を狙って放つエレメンタル・ファンタジア、光の雷を迸らせるわ!


筧・清史郎
空を焦がれる懐郷の念は分からなくもないが
迷宮を突破させるわけにはいかない
巨人の進軍も、此処までだ

速く、力も驚異的か
だが興奮状態ならば隙も生じるはず
敵の動きを確り見切り、攻める機会を焦らず待つ
機会を窺いつつ他猟兵と協力し敵を攪乱しようか
巨人の拳はかなりの重さだろうが、単純な一撃
そう易々とは食らわん
「確かに凄まじい剛腕だが、当たらねば何の意味も成さない」
隙が生じれば、まずは確実に衝撃を与えるべく命中重視【桜華葬閃】
弱った様子がみえれば、攻撃力重視【桜華葬閃】
「地下深き洞でいつまでも空を焦がれ、燻っているというのも不憫。せめて躯の海へ還るがいい」

これで洞を揺るがす獰猛な哀歌も、もう響かせる必要はない



「チャンスです、キトリちゃん! 大きいけど……!」
「ええ、そうね……!」
 絶好の好機を逃さず、地を蹴り駆け出す華切・ウカ(空鋏・f07517)を、キトリ・フローエ(星導・f02354)も空に光散らし追い駆ける。
「力自慢さんのようです! 正面から受けるのはちょっと痛そう……」
「話には聞いていたけれど、本当に凄く大きな災魔ね! あたしなんか、親指と人差し指だけで潰されてしまいそう」
 ヤドリガミのウカよりも、遥かに小さい妖精族。キトリの目に、あの視界を失い暴れる巨人はどれほど大きく恐ろしく映っていることだろう――しかしそれでも大きなアオイライトの瞳は煌き、そんな友人の強く在る姿は、ウカにとっても勇気となる。
「――でも素早さは、ウカとキトリちゃんの方が上です!」
 だから強気に黄金の瞳を輝かせ、巨人を上回る速度で駆けるウカは再び己が分身、花鋏『華切』を征く空へと錬成する。
 無数に生まれたその刃は、巨人指差すウカに従い空駆けサイクロプスの足へ一斉に突き刺さった。ただでさえ視界失い混乱の渦中にある巨人は、突如足を襲った無数の痛みに大きな身体を仰け反らせると、大気を揺らす咆哮を上げる。
「――っ!!」
「キトリちゃん!!」
 ぎくりと体の動きを奪う、その遠吠えが帯びるは憤怒――咄嗟にキトリを背中に庇い前に立つ、ウカの心もあまりの圧に、恐怖に萎縮しそうになるけれど。
(「――気合を入れて、逃げません!」)
「……ウカ、大丈夫!?」
 何故なら背にはキトリがいるのだ。今、壁となった自分を心配して背に縋る、共に戦う大切な友――その存在があればこそ、今日のウカはどこまでだって強くなれる。
「……すべてを、一気に突き付けてやるのです!」
 断じたウカの声に応じて、再び空に無数の魔力が刃を形成した。『華切』――ウカの依り代、ウカの根源たる花鋏がずらりと空へ姿を見せれば、キトリはウカの決意に笑んで、共に征くべく花蔦絡む精霊杖へと光の魔力を注ぎ込む。
「――そうね、ウカ、あたしたちのほうがきっと素早い。……ちょっと相手が大きくたって大丈夫よ、飛んで逃げるのは結構得意なの!」
 勇気を貰うのはキトリも同じ。自分を背に庇いながら、前へ突き進む強き友の姿にキトリは笑むと、今度はウカの隣に留まり、己が魔力の全てを手繰った。
「――ベル、力を貸して! 花よ、舞い踊れ!」
 高速詠唱――のちに花閉じ込めた先端を頭上へ高く掲げれば、そこから無数の花弁が生まれ出で、ウカの『華切』に添う様に高く空へ舞い上がる。
 解き放たれしその力、ユーベルコード『夢幻の花吹雪(フルール・ド・リュミエール)』。
 夢幻の様な美しいその光景は、ウカの分身と同時に飛び去り、巨人の元へと殺到する。
 無数の花弁はサイクロプスの動きを奪い、同時にまるで急襲を援けるかのようにウカの放つ刃を隠す――。
「――美しいな、花の景色とは」
 その花と刃降る景色の中を、蒼き刀の斬線が真っ直ぐと横切った。
「外は花絢爛の頃も近いというのに、地下深き洞でいつまでも空を焦がれ、燻っているというのも不憫。せめて躯の海へ還るがいい」
 『桜華葬閃(オウカソウセン)』――花に舞う様に刃閃かせた剣豪の名は筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)。抜刀からの擦れ違い様の一閃は、巨人を斬り裂き抜けたその先、光を透かした蒼の刀に桜の紋が浮かんで消えた。
「空を焦がれる懐郷の念は分からなくもないが、迷宮を突破させるわけにはいかない。……進軍も、此処までだ」
「G……GoooooGYaaaaaaaAA!!!!」
 振り向き告げる美しい男の静の声に、しかし巨人は振り向き姿確かめる術を持たない。放つ声には苦悶と憎悪と悲哀の心が混ざり合い、力任せに振るう腕は目的も持てずに地を叩く。
 清史郎の藍の髪が、空気振動にふわりと揺れた。
「速く、力も驚異的。拳はかなりの重さだろうが、――哀れだな。確かに凄まじい剛腕だが、当たらねば何の意味も成さない」
 哀れにこそ思っても、刃を止める理由は無かった。再び桜の意匠を刻む刀を顔の高さに構えると、手首返してカチャリと鳴らしたそれを合図に前へと突き出す。
「――閃き散れ、黄泉桜」
 二度目の蒼い斬線が、再び花と刃振る世界を光の速さで駆け抜けた。
 花散らし、花を纏いて振り抜かれるは『桜華葬閃』――空に滑ったその刃に、巨人の左手が手首の下からどさりと地面へ転がり落ちる。
「――GYAAAaaaaaaaahhhhh!!!!!!」
 噴き出す鮮血纏った刀を真横へ払うと、清史郎は刀を収める。
「洞を揺るがす獰猛な哀歌も、もう響かせる必要はない」
 紅い瞳も放つ言葉も真っ直ぐと、巨人へ向けて放たれる。
 戦いの終わりが、近付いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

玖・珂
温存したのだ、此処からは存分に死合おうか

剛敵だと耳朶に響く憤怒の咆哮は
士気を高める鬨の声
笑みの上に覚悟を乗せ、瞳の一つに緋い花を開く

サイクロプスの動作から情報収集
無差別攻撃は残っている死霊兵を盾に
おらねば崩れた壁を糸雨で掴み投擲し威力を軽減しよう

不意の叩きつけならば負う傷も深かろうが
拳の一撃は望む一手
第六感も使い僅か軌道を外れるよう回避

かすめた傷や地形破壊時の負傷は捨て置き
地に着いたその腕をダッシュ、ジャンプ、早業で登るぞ

何故その様に早駆ける
何故その様に哭く

一等脆い所はさて瞳か口か喉か

その身にこの場所は窮屈であろうな
連れ出す事は出来ぬが……
敵に黒爪を突き立て生命力吸収
代わりに此方を連れて行こう


アレクシス・ミラ
アドリブ歓迎

でかいな…
だが、僕のやるべきことは変わらない
前線で皆の戦いの助けになれるように戦おう
ここが正念場だ。全力をぶつけさせてもらう
お相手いたそう!

出来る限り相手の攻撃を「見切り」で避け、背面や死角から「カウンター」で腕や脚を狙い「怪力」を使って斬りつける
確実に当てにいくが、僕の攻撃は決定打を与えることではない
味方が攻撃しやすいように隙を生ませる為、敵の注意を僕に引きつけること
そして、己自身が盾となること
通常の攻撃なら「武器受け」と「怪力」で剣を構えて耐えてみせよう
強力な攻撃、特に味方が攻撃されそうになったらかばうように【無敵城塞】を発動
我が身、輩を守りし城塞なり
守ってみせる!



(「でかいな……だが、僕のやるべきことは変わらない」)
 目前に横たわる、燐光に消えゆく巨人の左手を見遣り――しかし通り過ぎてアレクシス・ミラ(夜明けの赤星・f14882)は今、前線へとひた走る。
「G――RRrrrrruuuuuuuaaaAAAAAAA!!!!」
「――っ、だが、これは中々……っ!」
 駆ける最中にも猛き巨人の咆哮が齎す威圧に、アレクシスは身構える。ぎしりと体が重く軋む様な感覚は、サイクロプスとの開戦時から少しも軽くなる気配は無い。
 戦いの形成が、猟兵達の優位であることは目に見えて明らかだ。今や巨人の左手は手首から先が斬り落とされて失われ、右手は腕ごととうに燐光となって地下世界の中に掻き消えた。
 巨大故に高所から戦場見渡す単眼も刻まれた傷に光を奪われ、傷口から溢れ出る鮮血に赤く染まって猟兵を見定めることも叶わない。しかしそれでも――それだけ見た目に傷を負っても、未だ巨人は生きている。
 生きて、猟兵達へ牙を向いている。その証が、この威圧だ。
「――ここが正念場だ。全力をぶつけさせてもらう! お相手いたそう!」
 ならば、戦いは続くのだ。騎士として、仲間の戦いの助けになろうと誓って駆けるアレクシスの背を、白く輝く翼の大鳥が追う。
 ――否。真白の外套靡かせ駆ける姿はまるで空駆ける猛禽の様――手に鷲爪の如き鐵を纏い、玖・珂(モノトーン・f07438)は剛敵だと耳朶に響く咆哮の威圧を掻い潜る。
「温存したのだ、……此処からは存分に死合おうか」
 静かに一人高めた士気が、真横に閉じた唇に微かな笑みをかたち作った。漆黒の瞳がサイクロプスを真っ直ぐ射抜けば、やがてその瞳の一つに鮮やかに緋い花が咲く。
 それは強化のユーベルコード――『秘すれば花(イノチミジカシ)』。
「――GYAAAAAAAAA!!!!!」
 殺気を増した珂の気配に、視界失った筈のサイクロプスが、突如向かって突進した。手首の先を失おうとも振るうに足る腕は在り、その咆哮は、変わらぬ鋭さで地下迷宮に響き渡る――未だこれだけ戦うに十分な武器持つ巨人は、戦場に響く声や気配から猟兵の位置割り出すだけの知性もあるということか!
「成る程な。だが――」」
 しかし、珂は冷静だった。
 素早くその鐵爪で手繰るは、闇に融け込む鋼糸『糸雨』。洞壁まで至らせたそれが一際大きな礫を掴むと、ピン、と微かな高音ののちにそれが差し出された巨人の手首先無い左腕を側面から激しく打ち叩く。
「GuuuuuoooooHH!?」
「来ると知れれば打てる策もあろうというもの。――そう甘く見るものではない」
「GUuuuuoooooooAAAAAAAA!!!!」
 その攻めが、或いは言葉が更なる巨人の殴打を生む。打、打、打、打、珂だけを目掛けて落ちるそれを最小の動きと強化に増した速度で躱し、珂は探る――勝利の道筋。ただ一瞬で活路を開く、この戦いの勝利の一手。
 そして、その瞬間を齎したのは――。
「――我が身、輩を守りし城塞なり」
 突如――ドン!! と激しい音を打ち鳴らし、巨人の手無き右腕を一人の人影が受け止めた。
 抱く様に、そして捕らえて離さぬ様に――打ち返すにも困難な強烈な打撃をその身に受けても金色の髪の騎士――アレクシスは全くもって動じない。
(「僕の目的は攻撃で決定打を与えることではない。隙を生み、味方が攻撃しやすいように注意を僕に引き付けること、そして――己自身が盾になること」) 
 そして仲間の盾たらんとする騎士がその身に纏いし誓いの力は――ユーベルコード『無敵城塞』。
「――守ってみせる!!!」
 巨人の腕を掴んだまま、アレクシスの体は硬化し巨大な腕の動きを抑える。絶対無敵の代償――維持する間そのまま動けぬアレクシスの一手は、しかし今その戦局を完全なる勝利へと塗り変えた。
 たん、と軽やかに珂がその左腕へと跳び乗る。
(「何故その様に早駆ける。――何故その様に哭く」)
 タタタと軽やかに駆けながら、向かうは巨人の傷付く瞳。一等脆い場所を探せば、脳にも近い其処が恐らく適当だ。
「GRRrrrrrrrrrrrrhhhhAAAAA!!!!!!」
 間近に聴く咆哮には、憎悪と苦悶、そして悲哀が覗く。そこに潜む切なさはまるで、これが最期と知るようでもあった。
「その身にこの場所は窮屈であろうな。連れ出す事は出来ぬが……」
 されど、珂が鮮血噴く瞳へ突き刺し穿つは、左の鐵装甲『黒爪』。
「――代わりに此方を連れて行こう」
 生気を奪う、鐵の花が瞳の中に花開く。
 やがてその手を引き抜き珂が地面へふわりと降った時――サイクロプスを覆った燐光は爆ぜ、世界から巨体諸共消え去った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『手に汗握る冒険には宴が付き物』

POW   :    出来上がった料理の配膳をお手伝いしたり大食い選手権を開催したり

SPD   :    空いたお皿のお片付けをしたり食事の取り分けてあげたり

WIZ   :    不思議な力で洗い物のお手伝いしたり料理を効率よく楽しむ最適解の研究したり

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 伏したる命への手向けを済ませ、猟兵達は暗く湿った地下世界から人住まう地上へと帰還する。

 次第に眩さに慣れる猟兵達の瞳に映るは――アルダワ魔法学園だ。蒸気と魔法が発達した世界の、災魔封じる迷宮の上に、それは人の営みを守り建っている。
 時は丁度昼時だ。種族、性別、年齢様々な学生達は活気に満ちて、手にそれぞれが用意した昼食を抱えて校舎内を行き交っている。

「昨日のアレ、失敗だったぜ。ガジェットがさぁ……」
「ねぇねぇやったよ! 売店で例の幻のパンゲットした! 最後の一個ー!!」
「あーもう、ホント可愛いよなぁ……なぁ、俺どうしたら良いと思う?」
「あっあたしの分も牛乳買ってきて牛乳!」
「……あの! 良かったら、お昼一緒に食べませんか……!」
「――なぁすっげぇいい天気だぜ! 今日は昼メシ外で食わねぇ?」

 ざわざわと賑やかな学生達の声の中――友人を外へ誘う一人の男子学生に釣られ、猟兵達も窓の外へと視線を送った。
 アルダワの、今日の空は蒸気が覆うには珍しく注ぐ光も眩い快晴。時期としては通常ならば未だ肌寒い頃合いだが、喜ばしくも今日の気温は上着も要らぬ温かさ。
 窓から見えるレンガ敷きの中庭には、少しだが花も見えた。サンドイッチやおにぎりや温かいお茶を売る売り子の姿も見受けられたし、既に学生達も敷物やハンカチを敷いて座っていて――美味しそうに、楽しそうに食事する様子には思わず猟兵達の腹も鳴る。

 ――そうだ。戦い終えたら中庭を借りて軽食でも食べようと、此処へ来る時そう言われていた。

 食べ物を持参していないなら、あの売り子から買えば良い。転校生と認められている猟兵ならば、買うに問題は何もない。
 だって、折角綺麗な青空なのだ。楽しめるものを、楽しまずして何とする。
 殺伐とした戦いののちに感じる、適度な疲労感と空腹感を満たすべく――猟兵達は笑顔交わすと、光溢れる中庭へのガラス戸を開けた。
シエン・イロハ
シノ(f04537)と参加
※嘗て採集やら魔法やらの知識を求めて数年アルダワ学園に学生として滞在
シノとの出会いも学園

ジジくせぇこと言ってんじゃねぇよ

(投げられたパンは素直に受け取り)
大げさなんだよお前は…あの程度で貧血なんぞなるか
嫌がらせと言いつつそれ目撃されたらお前の方がダメージ負いそうだけどな
そもそも素直に持たれるわけねぇだろ

わらわらと数も多くて煩かったからな
…此処もある意味煩いが、ま、悪くはねぇ

さぁな、今更わかるもんでもねぇし
…と言うか、そもそも冬眠から覚めた熊も可愛げはねぇだろ

へーへー、付き合ってやるよ
ついでにちっと街の方で買い出ししてくか
此処じゃねぇと手に入らねぇ素材もあるしな


シノ・グラジオラス
シエン(f04536)と参加
※アルダワ学園には竜騎士時代に通っていた

こう言う光景懐かしいよな
学校とか来るの何年振り…って考えると悲しくなるから止めとこう

あー、腹減った。俺らも何か食って帰ろうや
(売り子から買ったパンを投げ渡して)
シエン、お前さっき思いっきり吹き飛ばされてたんだから食えよ?
貧血で運ぶことになったら、嫌がらせに姫運びしてやるからな

にしても、さっきまで足元での喧騒が嘘みたいだな

あのサイクロプスの勢い、まさか薄暗い地下に飽きてこの空が見たかったとか
冬眠から覚めた熊…って、そんな可愛げがあるもんでもなかったが

なあシエン。食い足りんから、昔俺らがよく買ってた店も覗きに行かないか?



 嘗ての学び舎の中庭で、シノ・グラジオラス(火燼・f04537)は蒼瞳に映る世界と学生達の明るさに、笑み浮かべながら体を伸ばした。
「こういう光景懐かしいよな。学校とか来るの何年振り……って考えると悲しくなるから止めとこう」
「ジジくせぇこと言ってんじゃねぇよ」
 振り向いたシノへ苦い笑みで応じた声はシエン・イロハ(迅疾の魔公子・f04536)だ。此処はシノとの出会いの場所――いつもと何ら変わらない遣り取りにも不思議と懐かしい感覚を覚えれば、二人の表情にも自然穏やかな笑みが留まる。
「あー、腹減った。俺らも何か食って帰ろうや」
 そして傍らのレンガ造りの花壇に腰掛け、呟いたシノがぽいとシエンへ投げたのは、つい先ほど懐かしさと空腹感に思わず売り子から買ったパン。
 紙袋に包まれたそれを素直に受け取ったシエンががさりと中身を確かめれば――そこには刻んだ野菜と蒸したチキンにオーロラソースを添えて挟んだボリュームサンドイッチ。
 学生時分から在った定番メニューなのだが、オーロラソースに入っているらしい旨味引き出す隠し味を、シノもシエンも未だ特定出来ていなかった。
「シエン、お前さっき思いっきり吹き飛ばされてたんだから食えよ?」
「大げさなんだよお前は……あの程度で貧血なんぞなるか」
 懐かしいその味をがさがさと袋から出しながら、シエンは呆れた様に言葉を返した。
 猟兵の回復力とは流石のもので、シエンの全身からは傷が見事に消滅していたが――しかし空腹までは補えない。立ったままで早速パンにかぶりついたシエンは、口内に広がる懐かしい味に舌鼓を打った。
「あーうめぇ。懐かしいなコレ」
 何とも幸せそうなシエンの笑みに、今度はシノが呆れ顔を浮かべる。
「……貧血で運ぶことになったら、嫌がらせに姫運びしてやるからな」
「嫌がらせと言いつつそれ目撃されたらお前の方がダメージ負いそうだけどな。そもそも素直に持たれるわけねぇだろ」
 シエンから返る減らず口も、いつも通りなのに懐かしい。あの頃よりもお互い大人になり、経験を経て強くもなり――と、思い過った所でふと、シノの脳裏に先の戦いが蘇る。
「……にしても、さっきまで足元での喧騒が嘘みたいだな」
「わらわらと数も多くて煩かったからな。……此処もある意味煩いが、ま、悪くはねぇ」
 肩を竦めて応えてから、再びサンドイッチに齧り付いたシエンに、シノも自分のサンドイッチをがぶりと一口頬張ると、空を見上げて思いを馳せる。
 地下での激しい戦いが嘘の様に、今眼前に広がる世界は平和だ。迷宮を地上目指して進軍した死霊兵達やサイクロプスが果たして何を目指していたのか――頭上に広がる蒼穹見上げ、シノは少しだけ感傷的にその心中を思う。
「……あのサイクロプスの勢い、まさか薄暗い地下に飽きてこの空が見たかった、とか。冬眠から覚めた熊……って、そんな可愛げがあるもんでもなかったが」
 思い付きが零れ落ちたかそれとも独り言だったのか。ぽつりと落ちたシノの呟きに、シエンも蒼穹を見上げると、でも諦めた様に瞑目し、ふっと息を吐き出した。
「……さぁな、今更わかるもんでもねぇし。……と言うか、そもそも冬眠から覚めた熊も可愛げはねぇだろ」
 言葉の最後には笑みを浮かべて突っ込んだシエンに、シノもはは、と小さく笑った。そのまま一気にサンドイッチを食べきると、立ち上がり中庭の出口へと体を向ける。
「なあシエン。食い足りんから、昔俺らがよく買ってた店も覗きに行かないか?」
 ニッと笑ったシノの表情が、在学の頃の彼の笑顔と重なった。でも一瞬のことだ。目を丸くしたシエンの視線の先には直ぐに、あの頃よりも精悍なシノが映り――シエンもニッと笑んで見せると、空になった紙袋をくしゃりと握って歩き出す。
「へーへー、付き合ってやるよ。……ついでにちっと街の方で買い出ししてくか。此処じゃねぇと手に入らねぇ素材もあるしな」
 時間が許されるならば、もう少しだけ懐かしい地に足を伸ばしてみようかと。
 グリモア猟兵へ時間の猶予を確かめると、未だ昼食に沸く中庭を離れて二人は思い出の地へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

玖・珂
ホーラ(f02096)を誘い

青空の下へ出たなら天を仰ぎ深呼吸
幾分か視界は広いだろう、独り言ちたなら
空きっ腹を満たそうか

私は栄養価が高そうな…春野菜と玉子を挟んだパンを買おう
ホーラはどうする?急な呼び出しの礼に奢るぞ
今日の気温のように今は懐が暖かいので遠慮は無用だ

(提案に首肯し紅茶を受け取る
食事はパフォーマンスを維持する為に行う、という認識だから不思議な感じだ
お茶がより花やかに思えるのは場所か、淹れて貰ったからか
学びの日々という点ではホーラも私も学生だな
ゆるやかに流れる、こんな時間もわるくない

羽雲か?其れなら今でも、……ああ、別の日にしよう
もっと広い場所で
その時はまたホーラに声を掛けねばならぬな


ホーラ・フギト
珂さん(f07438)と

地下から出てきた珂さんに笑顔で、お疲れ様とお誘いありがとうを
(奢ると聞いて)いいの?
じゃ、お言葉に甘えて私も同じパンをいただくわ
お花の傍はどう? と声をかけ、空も花も望む贅沢な所に座る
水筒から温かいダージリンティーをマグへ注ぎ、珂さんに差し出す

青春を謳歌する学生さんたちを眺め、パンに舌鼓
ヒトの営みって、学んでも学び足りないわ
蒸気で煙る空を眺めるのには慣れてたけど
こうして誰かと、何気ない時間を過ごすのって
ほんと、すてき

……そうだわ
今度、羽雲さん(珂さんの鳥)が飛ぶところを見せてほしいの
遮るもののない大空や、色濃い樹海をゆく姿を
(その時はまた、との言葉で嬉しそうに)楽しみっ



 青空の下、高く空の果てまでを見上げ、玖・珂(モノトーン・f07438)は深く息を吸うと、ゆっくりと吐き出した。
 空気が軽い。暗く湿った地下迷宮から解き放たれた身体には、肺から取り込む地上の大気はとても清浄なものにも感じられた。
「……幾分か視界は広いだろう」
 そして、同時に何をか地上世界へと解き放った珂の独り言つその声は小さくて――聞き取れずとも何か意味があるのだと理解して、ホーラ・フギト(ミレナリィドールの精霊術士・f02096)は優しく笑むと、労わる様に後ろからそっと珂の両肩に手を置いた。
「お疲れ様。……珂さん、お誘いありがとう」
「ホーラか。急に呼び出してすまないな」
「全然。嬉しかったわ」
 にこやかに笑顔を交わした後、二人は中庭の売り子に声を掛けた。戦い後の空きっ腹を満たそうという珂の誘いに、応えてホーラも此処へ来たのだったが。
「私は栄養価が高そうな……春野菜と玉子を挟んだパンを買おう。ホーラはどうする? 急な呼び出しの礼に奢るぞ」
「いいの?」
 胸元と左手の石と同じエメラルドグリーンの瞳を丸くしたホーラに、珂は黒曜石の瞳を伏せて頷いた。
「今日の気温のように、今は懐が暖かいので遠慮は無用だ」
「じゃ、お言葉に甘えて私も同じパンをいただくわ」
 嬉しそうなホーラの返事に、売り子の女性もにっこりと笑顔で紙袋を二つ珂へと手渡した。『仲良いねぇ』と添えられた言葉には少しだけ照れくささも感じながら――昼食を得た二人の次なる行動は、青空ランチの特等席探しだ。
「陽射しが暖かい。日陰に入るのは勿体無いな」
「お花の傍はどう? ……あぁほら、あそこなら空も花も望めるわ」
 花色の髪を揺らしてホーラが駆けた先は、丁度昼食を済ませた学生達が立った木のベンチ。
 花壇が囲むそこに腰掛け、ホーラはとんとんと隣席を叩いて珂に勧めながら、持参した水筒を取り出した。
 マグに注ぐは――温かなダージリンティー。
「お茶くらいは、私から。温まるわよ」
「ありがとうホーラ。……ああ、これは好い香りだな」
 差し出されたマグを受け取って、ふわりと鼻腔をくすぐる香りに珂は瞳を閉じて感じ入る。食事はパフォーマンスを維持する為に行う、という認識だったが――一口含んでその花やかな香りと味わいが広がれば、心満ち足りる様な感覚に頬が緩んだ。
「……不思議な感じだ。お茶がより花やかに思えるのは場所か、淹れて貰ったからか」
「良かった。私もパンをいただくわ」
 にっこり笑んで、ホーラも紙袋からサンドイッチを取り出した。一口頬張れば、しゃくりと瑞々しい春野菜と、まろやかな玉子の素朴で優しい味わいが口いっぱいに広がって――美味しい。
 視線の先に楽しそうに食事したり、少し先の芝生でじゃれ合う学生達の姿も認めれば、ホーラはますます嬉しそうに目元を緩めて、穏やかに言葉を紡いだ。
「――ヒトの営みって、学んでも学び足りないわ。蒸気で煙る空を眺めるのには慣れてたけど、こうして誰かと、何気ない時間を過ごすのって、ほんと、すてき」
 隣の友人の、その優しい眼差しと声に珂も嬉しそうに微笑むと、並んだそこからホーラと同じ場所を見つめて応える。
「……学びの日々という点ではホーラも私も学生だな。ゆるやかに流れる――こんな時間もわるくない」
 しばらく、二人はそのまま学生達と空と花、目に映る鮮やかで優しい世界を眺めていた。同じものを隣で見つめる時間は、沈黙すらも心地よくて――でもふと空に大きな野生の鳥を見た時、そうだ、とホーラは声を上げる。
「珂さん。今度、羽雲さんが飛ぶところを見せてほしいの。遮るもののない大空や、色濃い樹海をゆく姿を」
「羽雲か?」
 突然の問いに、珂は目を丸くしホーラを見つめる。其れなら、今すぐにでも――言い掛けて、しかし珂は言葉を切ると一度目を伏せ微笑んで、高い空を、空行く大鳥を仰ぎ見た。
「……ああ、別の日にしよう。もっと広い場所で――……その時はまたホーラに声を掛けねばならぬな」
 ――それは、約束。またこうして、同じ世界、同じ時間を共有しようと。
「楽しみっ!」
 嬉しい珂の言葉と笑顔に、ホーラは今日の春の陽射しにも負けぬ温かな笑顔を咲かせ、頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
アレクシス・ミラ◆f14882と
アドリブ歓迎

よぉ、色男さん
中々の戦いぶりだったじゃねえか
アレスの背を叩き健闘をたたえ

お前昼はどうするんだ?
弁当は…持ってねえのか
お預けを食らった犬の様に一瞬しょんぼり
次の瞬間にはカラっと笑う
まあお前の飯は夜に期待だ
学食でなんか買うとするか!

芝のようなところがあれば芝に寝転がり天を仰ぐ
いいじゃねえかどうせ戦闘で汚れてんだ
お前もお行儀よくしてんじゃねえよ
悪戯っ子の笑みで笑いながらアレスにつかみかかり
乗りあがるように押し倒す
眺めはどうだ?

…ッ!?
油断してひっくり返され
やるじゃねえか
挑発するように

一通りじゃれ終わったらご飯に
お前のも旨そうだな
遠慮なしにアレスの飯をつまむ


アレクシス・ミラ
セリオス・アリス◆f09573と行動
アドリブ歓迎

これは勇士殿。お褒めに預かり光栄…痛いよ

いい青空だ。弁当を持ってくればよかった
戦闘中に潰れるといけないと思ってね
しょんぼりした顔にそんなに楽しみだったのかと驚く
同時に嬉しく思った
夕飯は期待していてくれ。君の好きなものを作ろう

昼食は売店でセリオスの分も買い
戻ると芝に寝転ぶ彼に呆れ顔一発
背中が汚れるぞと隣に座り…油断した
な、何するんだよ…!眺め…?
…夜の蒼に黒髪。それと、青空
そうだな、悪くない。でも、
彼の腕を引っ張るとひっくり返し此方が押し倒す形に
僕はこっちの方が好きだな
…なんてね

一頻りじゃれ…ふざけた後は買って来た物を渡し
…あ、つまみ食いしたな



「よぉ、色男さん! 中々の戦いぶりだったじゃねえか!!」
 ぱぁん! と良い音を響かせて金髪の美丈夫――アレクシス・ミラ(夜明けの赤星・f14882)の背を叩いたセリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)は、そのままばしばしとその背を叩き、騎士の今日の健闘を称える。
「これは勇士殿。お褒めに預かり光栄……痛いよ」
「大丈夫だろこんくらい。あんだけの猛攻防ぎぎったんだから!!」
 いやあの時はユーベルコードを使っていたから――思えど、屈託ないセリオスの笑顔には、流石にアレクシスも苦笑いして甘んじた。
 ああ、明るい世界だ――楽しそうなセリオスと、周りには学生達と、そして澄み渡る青空。空と等しい蒼穹の瞳でそれらを順に見渡すと、アレクシスは微笑んで、思わずこう呟いた。
「――いい青空だ。弁当を持ってくればよかった」
「えっ」
 しかしその呟きに対してのセリオスからの意外な声に、アレクシスは動きを止めてセリオスを見遣る。背を叩く手が止まったと思ったら――振り向き見たセリオスの表情は、まるでお預けを喰らった犬の様で。
「お前、弁当は……持ってねえのか」
「……戦闘中に潰れるといけないと思ってね」
「そうか……」
 しょんぼりとしたその顔に、そんなに楽しみだったのかと驚いて――しかし同時に嬉しくて、アレクシスは笑みの中にすまない、と詫びを述べる。
「夕飯は期待していてくれ。君の好きなものを作ろう」
「……まあそうだな、お前の飯は夜に期待だ。学食でなんか買うとするか!」
 次の瞬間にはカラリとまた明るく笑う、セリオスの表情は忙しい。しかし、まるでこの晴天の様に清々しかった。それだけで嬉しくなるようで、せめてと昼食の購入を請け負ったアレクシスは、売り子の元へ走っていく。
 その背中を見送ると――セリオスは、学生の少ない芝の一角に寝転んで、夜天を閉じ込める闇色の瞳で空を仰いだ。
 陽射しに瞳を細めれば、一瞬とろりと睡魔を感じる。風が心地よい。芝の香りが心地よい。人の声が心地よい――。
「……背中が汚れるぞ」
 うとうとと意識を手放した、それは数分のことだったろう。とすん、と隣に腰掛ける気配と声にぱっとセリオスが瞳を開けば、そこにはアレクシスの呆れ顔。
 昼食が入っているであろう紙袋をかさりと体の横に置き教え諭す様に言うアレクシスに、セリオスはむぅ、と一瞬拗ねた顔ののち――何をか思い付いたか、悪戯っ子の笑みを浮かべた。
「いいじゃねえかどうせ戦闘で汚れてんだ」
「そうは言っても」
「――お前もお行儀よくしてんじゃねえよっ」
「わっ!?」
 瞬間――天地逆転。アレクシスの背中が、芝に密着して横たわる。
 乗り上がる様にして金の騎士の体を押し倒すのは夜の蒼の瞳と濡羽色の髪。
「眺めはどうだ?」
「な、何するんだよ……! 眺め……?」
 マウントを取られたのは完全な油断だった。陽を透いて美しいセリオスの髪が、ぱらりとアレクシスの頬に触れた。
 ――逆光下に浮かべるしたり顔すら、セリオスは美しい。
「……そうだな、悪くない。……でも」
 しかし黙ってやられるアレクシスでも無かった。マウントを取って油断するセリオスの腕を引き、今度はアレクシスがセリオスの背を芝へと倒して上位を取った。
「僕はこっちの方が好きだな。……なんてね」
「……ッ!?」
 先手は打てたのに――油断して形勢をひっくり返されてしまったセリオスは、陽に透く金の髪持つ騎士の逆襲としたり顔に口をぱくぱくさせた。しかしそこは負けず嫌いのセリオスだ。ニッと勝気に笑んで見せると、挑発的に言葉を返す。
「やるじゃねぇか。……でも!」
「おっと。……二度もやられると思ったか?」
 再びマウント取るべく動いたセリオスに、しかしアレクシスは対応する。そのまま二人、互いが互いの上位を取るため攻防繰り広げる様は、芝生の上で転がりじゃれ合うただの平和な学生達の光景だ。
 そうして暫く遊んでいれば、やがて――増した空腹感に共に負けて笑顔を交わすと、二人は昼食を手に取った。
「お前のも旨そうだな」
「……あ、つまみ食いしたな」
 ――昼食も、やっぱりじゃれ合う様に摘まみ合いながら。
 学生達の楽しげな喧騒に紛れて、アレクシスとセリオスの笑い声も、アルダワの空に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザハ・ブリッツ
アルノルトを誘い、中庭で昼食を

「…待った?ごめんね」
特別、待ち合わせをした訳では無いけれど、戯れにそう声をかける
気持ちのいい陽気とくれば、やはり外で食べたくなるよね
折角だし、弁当持参で。
燻製にしたハムと野菜、チーズをパンで挟んだやつと、UDCアースで覚えたいなり寿司
いなり寿司ってやつ、甘しょっぱくてうまかったからアルノーにもと思って
フォークあるから、これ使って。
後は、ゆで玉子と果物を少し

丁度いい芝生があれば、気にせず腰を下ろして弁当を広げる
改まった場での食事は苦手でね、雑談交えてこっちのほうが性に合ってる
遠慮しないで、召し上がれ…とは言え、アルノーはどのくらい食べるのか
物足りなかったらごめんよ



「……待った? ごめんね」
 中庭でさも約束でもしていたかの様に棒の声で誘いを仕掛けたザハ・ブリッツ(氷淵・f01401)に、アルノルトは笑って応じる。
「約束した覚えはないぞ? ザハ」
「気持ちのいい陽気とくれば、やはり外で食べたくなるよね。折角だし、弁当持参で来てみた」
「はは、それは気が利きすぎてる。ザハは良い嫁になりそうだな?」
 軽口を積み重ねる戯れの会話は軽妙で、今日の青空の様に心地よかった。そのまま適当な芝生に腰を下ろして、ザハが取り出したのは正直『ちょっと作ってみた』レベルではない豪勢なお弁当だ。
「これが燻製にしたハムと野菜、チーズをパンで挟んだやつと、こっちはUDCアースで覚えたいなり寿司。後は、ゆで玉子と果物を少し、かな。……いなり寿司ってやつ、甘しょっぱくてうまかったからアルノーにもと思って」
「料理が得手とは知っていたが、凄いな……感謝するよ。正直腹は減っていた」
 嬉しそうなアルノルトは、本当に空腹だったのか腹をさすって笑ってみせた。その様子にザハも良かった、と笑んで頷くと、『フォークあるから』と食器やお茶まで続々差し出す。
「遠慮しないで、召し上がれ……とは言え、アルノーはどのくらい食べるのか。物足りなかったらごめんよ」
「食べられる時に食べる性質だ、物足りないことは無いさ。いただくよ」
 笑顔の中早速手を合わせたアルノルトは、『これは美味い』とか『濃い味が癖になるな』とか正直な感想を述べながら弁当を食らっていく。食欲旺盛なその様子を暫く安心した様に見ていたザハだが、程なくアルノルトから掛かった声には、苦笑して頷くこととなった。
「――用意して貰った立場で何だが、お前も食べろよ、ザハ。一人で食べる食事は味気ないものだし、外での食事は楽しいものだ。……行儀作法もあまり気にせず好きなように食えるしな」
 ぺろりと指についた米を舐めとる、その様子はいつものアルノルトには無いものだ。少しだけ口調を崩して悪戯っ子の様に笑む友人には、節度よりも気さくさが窺えて――新雪の様な髪から覗く冷たげな瞳を穏やかに緩めたザハは、そうだね、と応じて自身もフォークと取り皿を持った。
「改まった場での食事は苦手でね、雑談交えてこっちのほうが性に合ってる」
 軽妙な軽口の会話を重ねながら。穏やかな二人の昼食時間は、弁当が空になっても暫く続いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

境・花世
【百花】

戦い終えてほぅと一息
リルは大丈夫かなと駆け寄れば
おんなじ顔した櫻宵が傍らに
思わず笑ってお弁当の包みを掲げ
ね、良かったら一緒に食べようか

わたしのは春色ごはん
桜花混ぜ込んだ稲荷寿司に
菜の花と桜海老のおにぎりは
やわらかな、薄紅の

リルの口に合うといいなあ
わ、櫻宵のおかずも貰っていいの?
遠慮なしに肉団子を頬張りつつ
……そうかな、ありがと
慣れぬ褒め言葉に仄かに頬染めて

本当は、ひとりで食べる筈で
それで全然構わなかったけど
今はきみたちの笑顔がくすぐったい

櫻宵のショコラを見れば
世界はいっそう華やぐようで
リルと一緒に食んだなら
春の彩のひとつに、なれるかな

愛らしい内緒事に目を細め
甘くうなずく、陽だまりの午後


誘名・櫻宵
【百花】

リル
よく頑張ったわね
あなたの歌、最高よ
微笑み優しく撫でれば
可愛く照れる様が愛おしい
花世の声、自分と同じ安堵の表情に笑い
女子会をはじめましょ

百花絢爛お弁当
花世がおにぎりに感嘆の声
あたしが作ると石みたく固くなるのよ
菜の花と桜えびのおにぎり
特に最高ねと頬張る
可愛くて美味しい!
花世、良いお嫁さんになるわ
リルもお食べ
美味しいわよ

あたしはおかずを担当
女子会といえば肉よ
唐揚げに甘辛く煮たしぐれ煮に肉じゃがと肉団子
召し上がれ!

おやつは
花世の牡丹
リルの様な月下美人と桜と菜の花を模したショコラを

笑顔咲く心温かな春の一時
薄紅の春握りをまた頬張り嬉しげに微笑んで

あたし達皆
春の一部になったみたいね


アドリブ等歓迎


リル・ルリ
【百花】
アドリブ歓迎

「櫻宵。あの……」
助けてくれてありがとうは小さめに
撫でられ照れていた所に
響く花の声
救いとばかりに微笑んで

「花世!よかった。お弁当、一緒に食べよう」
安堵の笑みと花世の春ごはんに瞳をきらきら
すごい
お花畑みたい
どれを食べようか悩み
櫻宵と同じもの
薄紅で可愛くて美味しい

櫻宵
相変わらずお肉ばかりだ
お肉すきだからいいけれど
嬉しくて美味しくて
胸が暖かい

僕は料理できないから2人に感謝し美味しく食べる

「花世、櫻宵のちょこはお花でね
綺麗で美味しい
この牡丹は君みたい」
君がちょこを喜べば僕まで嬉しい
花世の笑顔は春の花の様だ

嬉しげな櫻宵を後目に
そっと花世に耳打ち

「ねぇ今度
僕におにぎりの作り方
教えて?」



「櫻宵。あの……」
 感謝を口にしようとして、リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)の声は次第に小さくなっていく。『助けてくれて、あろがとう』――ごにょごにょと口ごもってしまったその言葉を鼓膜に拾い上げた誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)は、花霞の瞳に柔く陽を透かして笑むと、左手にリルの手を取り、右手でリルの頭を撫でて応える。
「――リル。よく頑張ったわね。あなたの歌、最高よ」
 優しく花の綻ぶ様な笑顔と撫でる手には、リルの頬にも朱が差して、その愛らしさには櫻宵の胸にも愛おしさが込み上げる。ますます柔く温かくなった櫻宵の笑みには、リルの心臓が早鐘を打って――どうしたものかと落ち着かぬ心地で顔をどんどんと熱くしながら、リルが甘んじて撫でられていれば。
「リル、大丈夫だった??」
 ――ふと、背から響く花の声に振り向けば、そこには息を切らした花世。
 櫻宵と同じく心配から、地上に上がってもリルを探していたのだろう――花世はリルの無事を確かめると、安堵からほぅと一息、花笑み浮かべて胸を押さえた。
「――花世! よかった。お弁当、一緒に食べよう!」 
 救いとばかりに微笑んで、リルは櫻宵の手を握り返し、もう一方に花世の手を取る。ぐいぐいと日向へ手を引く元気そうなその様子に花世が思わず笑み深めれば、同じ笑みの櫻宵もまた、視線交わして笑みを深めた。
「……そうね。女子会をはじめましょ!」
 櫻宵の声に促されて――暖かい芝生に席を構え、三人の昼食会が始まった。
「それじゃ、一緒に食べようか。わたしのは――」
「わぁっ……!」
 ぱかりと開かれた花世のお弁当箱に、リルの瞳が丸く大きく、きらきらと煌いた。
 桜花混ぜ込んだ稲荷寿司に、菜の花と桜海老のおにぎりはやわらかな薄紅色――爛漫の春の花畑の様な華やかな色彩を閉じ込めた箱には、感嘆の声を上げたリルに、櫻宵も笑顔で頷いた。
「すごい、お花畑みたい……!」
「百花絢爛のお弁当ね。おにぎり、あたしが作ると石みたく固くなるのよ」
「……口に合うといいなあ」
 称賛に頬を桜色に染めながら、花世はどうぞとお弁当箱を差し出した。櫻宵が先ずおにぎりに手を伸ばしてぱくりと一口頬張れば、菜の花のほろ苦さと桜えびの甘さ、香ばしさが口の中いっぱいに広がった。
「可愛いし、美味しい……! 塩加減も最高ね、花世、良いお嫁さんになるわ!」
「……そうかな、ありがと」
 素直な賛辞に慣れない花世は、桜の頬を更に嬉しそうに紅潮させた。『リルもお食べ。美味しいわよ!』とリルにも勧める櫻宵の笑顔に、リルもお弁当箱をもう一度覗き込むと――どちらにしようか悩んだ果てに、櫻宵と同じおにぎりを手に取った。
「……薄紅で可愛くて、美味しい……!」 
 一口食べた瞬間に、リルの顔にぱあっと笑顔が咲いた。良かった、と安堵した様に胸を押さえた花世に、今度は私の番とばかり、櫻宵もお弁当箱を差し出した。
「あたしはおかず担当。――女子会といえば肉よ! 召し上がれ!」
「わ、櫻宵のおかずも貰っていいの?」
 花世がわぁ、と嬉しそうに覗き込んだ櫻宵のお弁当箱には、唐揚げ、甘辛く煮たしぐれ煮に、肉じゃがと肉団子、と、冷めても美味しい肉料理が詰まっていた。その様子には、見慣れた光景とはいえリルも思わすふふ、と笑う。
「櫻宵、相変わらずお肉ばかりだ」
「あら、嫌だった?」
「ううん。お肉すきだからいいけれど」
 いただきます、と感謝を抱いてリルは肉団子を頬張った。花世も遠慮なしに肉団子をぱくりと食べると、仄かに効いた生姜がふわりと食欲を刺激して、ごくんと飲み込む瞬間に、もう次へと箸が伸びた。
「美味しい……! 櫻宵も上手。わたし、これならいくらでも食べられる」
「うふふ、ありがと。春のお日様効果もあるかもしれないわ」
 にっこりと笑顔交わす二人の様子に、リルの胸もぽかぽかと暖かくなってくる。嬉しくて、美味しくて――やがて、空になるまでお弁当を食べ尽くしたそののちに、リルは櫻宵を手伝ってお茶を配りながら、花世へ得意げに語って聞かせる。
「花世、櫻宵のちょこはお花でね、綺麗で美味しい。……この牡丹は君みたい」
「え? ……わぁっ、綺麗!」
 リルの言葉に継いで櫻宵から差し出された一品に、花世は思わず感嘆の声を上げた。
 お皿にちょこんと乗るそれは、花世の牡丹、リルの様な月下美人と桜と菜の花を模したショコラ。小さな小さなデザートだったが、それ一つで、まるで世界がいっそう華やぐ様で――花世は嬉しそうにお皿を手に取ると、顔の高さまで掲げて眺める。
「かわいい……食べるのが勿体ないけど、いただきます」
「うふふ。どうぞ、召し上がれ」
 手に取ろうとした瞬間ふわり、ショコラの上にちょこんと一枚、空から花弁が舞い降りた。その様子になお嬉しそうに相好を崩して、花世は春のこの席に感謝する。
(「――本当は、ひとりで食べる筈で、それで全然構わなかったけど。……今はきみたちの笑顔がくすぐったい」)
 そんな花世の笑顔を見れば、リルの胸にもほっこりと、優しい温もりが込み上げた。
「花世の笑顔、春のお花みたい」
「ふふ、そうね。あたし達皆、春の一部になったみたいね」
 笑顔咲く心温かな春の一時――嬉しげにこくりとお茶を飲み、櫻宵が笑みの中に呟き瞳を伏せた時、リルはそっと花世へ寄ると、その耳元に顔を寄せた。
「……ねぇ今度、僕におにぎりの作り方、教えて?」
 櫻宵には、内緒でと。
 春空の下の、その愛らしい秘め事には――花世も思わず笑みを浮かべ、リルを撫でて頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葦野・詞波
長閑なものだ。学生生活など、無縁なものだったが。
友人たちと学び、語り合い、食事を共にするとは。
どういう感覚なのだろうな。

普通の青春というものを一度くらいは
味わってみるのも悪くはなかったかもしれないが。
そんな暇はありもしなかった。

まあ良い、どうせなら学生気分というものを
味わうのも悪くはない。
教師と間違われなければ良いが。

サンドイッチ二つとコーヒーを買い求めたなら
校内の景色の良さそうな所を探し歩き
見つけたならそこで食事

折角の良い天気だ。
食後は昼寝でも、散歩でも、悪くはなさそうだ。

//アドリブ、絡み歓迎



(「友人たちと学び、語り合い、食事を共にするとは、……どういう感覚なのだろうな」)
 長閑で温かな学生達の光景を銀の瞳で眺めながら、葦野・詞波(赤頭巾・f09892)は軽食を売る売り子の元へと足を運ぶ。
 学生生活など、詞波には無縁なものだった。しかしこうしていざ学生達の様子に触れてみれば、普通の青春というものを一度くらい味わってみるのも悪くはなかったかもしれないと、そんな風にも思えてくる。……尤も、きっとそれが自分には難しかったであろうことも、詞波は理解していたけれど。
(「そんな暇はありもしなかった。……まあ良い、どうせなら学生気分というものを今此処で味わうのも悪くはない」)
 幾分楽しい気持ちになりながら、詞波は売り子からサンドイッチ二つ入った紙袋とコーヒーを受け取った。
 向かった先は芝生のある広い庭。食事する学生もいれば、食事を終えて友と遊ぶ学生の姿も在った。その年齢も様々だ――それらを見渡せる大樹の木陰に腰を下ろすと、青空を見上げながら、詞波は紙袋の中身を取り出し、サンドイッチを頬張った。
 じゅわ、と口の中に広がったのは半熟玉子の黄身とベーコンの肉汁。黒胡椒の聞いたまろやかながらもスパイシーな味わいは、まだ温かい所を見るに、恐らく作り置きではなく、この時間に合わせて準備されたものなのだろう。
 思いがけず舌を愉しませるその味に、詞波の頬も自然と綻ぶ。
「――折角の良い天気だ。食後は昼寝でも、散歩でも、悪くはなさそうだ」
 食事終えた先にまで、既に思いを巡らせながらも。
 詞波の美味しくも穏やかな青空の下の食事は――もう少し続きそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユニ・エクスマキナ
メーリちゃん(f01264)と

うわぁ、いいな、すごく素敵な場所なのね!
案内してもらってる間もきょろきょろしっぱなし

わぁ、どれもみんな美味しそうで迷っちゃうのねー!
『いつもの』って注文、カッコいい……さすが常連さんなの!
ユニは迷って決めれないから売り子さんにおススメを聞いてみようかな
うん、それ!ください!飲み物はイチゴオレ!

さすが特等席!
ぽかぽか日差しに美味しいランチ
なんて幸せな時間なの…!
わけっこはもちろん!
どうぞ、とちぎって交換こ
美味しい~!
二人で食べるから美味しいも2倍なのね!

視線感じてなぁに?と首傾げ
ユニもとーっても幸せ!
誘いにはもちろん!て即答
次はどこへ行こう?
小指絡ませ、約束なのね!


メーリ・フルメヴァーラ
ユニ(f04544)と

アルダワ魔法学園の中庭はすごくあったかいんだよ
なんて自分の家みたいにえへんとユニを案内
そしてここの!サンドイッチが!美味しいの!
なんて売り子さんの前に並んでみる
いつものくださいな!

スモークチキンサンドとフルーツサンド
あったかいミルクティーをお供に視線巡らせ
特等席発見ってユニの手を引いてベンチへ向かう
うららかな春の光を背中に受け
いただきますって元気に告げよう

やっぱり美味しい~!
ユニにわけっこしよって千切って渡して
一緒にもぐもぐ出来たら嬉しいな

ユニの髪に光が躍ってきれい
ついつい見つめてはにかんじゃう
今とってもしあわせだから
また機会を見て遊ぼうね
指切り交わせたらもっとしあわせ!



「――うわぁ、いいな、すごく素敵な場所なのね!」
 中庭に至ってキラキラと紅瞳を輝かせたユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)に、メーリ・フルメヴァーラ(人間のガジェッティア・f01264)は誇らしげに胸を張る。
「アルダワ魔法学園の中庭はすごくあったかいんだよ!」
 メーリにとっては、よく知る大好きな学び舎だ。その一つ一つを案内する度ユニの素直な感想と笑顔に触れれば、その表情はニコニコと喜びに満ちて、水湛える様な柔らな蒼を抱く瞳が陽を透かして輝いた。
「素敵でしょ? ユニにも見せたかったんだ!」
「うんうん、すっごく綺麗だし、みんな楽しそう! それと、あれ、美味しそう!」
 好奇心のままにきょろきょろと視線を巡らすユニは、やがて食事中の学生達が手にするパンに目を留めメーリへ訴える。丁度よくお腹も空いていた――そんな友人の言葉には、待ってましたとばかりにメーリは中庭の一角を指し示す。
「――そう、ここの! サンドイッチが! 美味しいの!」
 大袈裟な身振りで楽しそうにメーリが示した先には――大きなカゴから軽食を取り出し、紙袋に包んで売る売り子達。
 軽快な足取りで近付くと、メーリは売り子の中から知った顔の女性へと、明るい笑顔で声を掛けた。
「――いつもの、くださいな!」
「あぁ、いらっしゃい。いつものだね? ちょっと待っててね」
 売り子をする中年女性が、穏やかな笑顔でメーリに応じ、奥のカゴへと歩いていく。メニューを告げずとも察して準備してくれる、その様子にユニは驚き、紅瞳を丸くした。
「『いつもの』って注文、カッコいい……さすが常連さんなの!」
「えへへ……ユニはどうする? メニュー、たっくさんあるんだよ!!」
「わぁ! どれもみんな美味しそうで迷っちゃうのねー!
 促され、ユニが視線落としたカゴの中には、様々な種類のサンドイッチが所狭しと詰まっていた。
 透明なフィルムに包まれた一つ一つに、手書きで中身が書いてある。刻み春野菜と照り焼きチキン、ミニオムレツとチーズと葉物野菜を挟んだものや、白身魚のフライと特製ソースのサンドイッチなど――他にも沢山。
 定番のものから変わり種までとりどりのそれらは、学生達の旺盛な食欲を満たすため、日々改良が加えられてそこに並んでいるという。
「はい、お待たせ。――そっちのお嬢ちゃんは見ない顔だね?」
「ありがとう、おばちゃん! えへへ、友達連れてきちゃった」
「そうかい。お嬢ちゃんはどれにする? どれも自信作だ、美味しいよ」
 メーリに紙袋と湯気立つカップを渡しながら、売り子の女性はユニへも気さくな笑顔を向ける。その笑顔が嬉しくて、ますますうーんうーんと唸るユニは、決断しきれず判断を女性に委ねることにした。
「ユニは迷って決めれないから……おススメ! おばちゃんのおススメはありますか!」
「おススメかい? そうだねぇ……女の子ならフルーツサンドや、刻み野菜と蒸しチキンのサンドイッチはどうだい? オーロラソースが美味しいんだ」
「うん、それ! ください! 飲み物はイチゴオレ!」
 笑顔と会話が花咲く買い物を無事終えて、ユニとメーリは紙袋を手に花壇へ向かう。
 メーリが『特等席!』と称したそこは、背にうららかな春の光を受け温かな二人掛けベンチ。花壇に囲まれ、瞳に映る色彩も鮮やかで――そこに腰掛け、メーリはがさがさと紙袋の中身を広げた。
 スモークチキンサンドとフルーツサンド。傍らには、温かいミルクティーを添えて――。
「いただきます!」
「いただきまーす!!」
 手を合わせて元気に宣言すれば、隣でユニの声も重なった。二人同時に笑顔で頬張る青空ランチは、口の中も心だって、めいっぱい幸せで。
「やっぱり美味しい~!」
「うん、美味しい~! 二人で食べるから美味しいも2倍なのね!」
 ぽかぽか日差しに美味しいランチ。なんて幸せな時間なのだろう――顔が綻びっ放しのユニに、そうだ、とメーリは手元のサンドイッチを千切ると、そっとユニへと差し出した。
「ね、ユニ。わけっこしよ!」
「わけっこ! もちろん!」
 同じように千切って渡す、それは美味しい幸せのお裾分け。『こっちも美味しい!』と幸せそうに頬張るユニの様子を見ながら、……メーリの頬が、春めく桜色に染まった。
 ユニのプラチナブロンドに、陽の光が躍って綺麗――。
「……なぁに?」
 その視線に気が付いて、もぐもぐ中のユニがメーリへと首を傾げる。照れた様にはにかんだメーリは、何でもないよと笑いながら――すっと右手の小指を差し出した。
「今とってもしあわせだから。また機会を見て遊ぼうね」
「うん、ユニもとーっても幸せ! もちろんだよ、次はどこへ行こう?」
 笑顔で即答、ユニはメーリの小指に小指を絡める。
 次に繋がる、今日の約束――幸せな昼下がりの食事会は、こうして二人の忘れられない楽しい時間、楽しい記憶へ形を変える。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

筧・清史郎
【雅】

これは絶好の場所だな
キトリ、ウカ、良い場所を感謝する
そして二人共お疲れ様だ

勿論、甘味は持参した
動物さん型クッキーだ、茶にも合うかと
チロル、これなどソルベに似ていないか?

らんらんの弁当は流石、美味しそうだ(雅に微笑み
俺は、では玉子サンドと寝ているソルベのハタのロールサンドを
ローストビーフも美味だ
兎林檎も愛らしい、アルノルトもひとつどうだ(微笑み
今度は俺もタコさんウインナーでも作ろうか
アルノルトは予知や転送ご苦労様、有難う
こう言ってはだが…強敵との戦いも、なかなか楽しめた
次は共に征こう

柔らかな日差しに、吹く風が心地良い
(青空と賑やかな皆に瞳細め)巨人が空を焦がれるのも、無理はないかもしれんな


キトリ・フローエ
【雅】
嵐吾、チロー!清史郎もこっちよ!
そうよ、ウカと一緒に見つけたの
ランチには絶好の場所だと思うんだけど、どう?(えっへん)
チロもお手伝いしたのね、えらいわ!
ソルベのお顔もどれも素敵に描けてる!

サンドイッチ!(目がきらきら)(お腹きゅるー)
…っ、いただきます!(小さい野菜サンドもぐもぐ)
嵐吾、今日も美味しい!
清史郎のクッキーも可愛くて飾っておきたいくらい
アルノルトは特別好きな食べ物とかある?
嵐吾が今度作ってくれるって!

…うさぎりんご!
ちゃんとうさぎさんの形してる…!
可愛くて食べるのが勿体無いけどいただきます!

ふと目をやれば、美味しそうにご飯を食べてる皆
こんな何気ない時間が、何だかとても幸せなの


華切・ウカ
【雅】

嵐吾さんここでーす! おべんとー! はやくー!
日当たりの良い場所をキープしたウカとキトリちゃんを褒めるとよいのです!
あっ、清史郎さんも一緒に一緒に!アルノルトさんも案内お疲れ様なのですよ。
おいしいもの、いただきましょ!

戦ったらお腹すきました!どんなお弁当なのかうきうき!
わ、すごいー!ロールサンドオープンサンド!美味しそう!
わーい、ウカはこのたまごのから。うう、胡椒きいてておいしい!
チロちゃんもお手伝いしたんですよね。

そしてデザート!
約束のうさぎりんご!キトリちゃん!ちゃんとうさぎさんですよ!!
はあああ、これを食べてしまうのですね…
でもぷにちゃんみたいな罪悪感はないのでした!おいしい!


終夜・嵐吾
【雅】
おお、場所取り、ばっちりじゃの!
わしが何故、戦いの手伝いにいかんかったのかというと……
これのためじゃ!!(ひろがるらんちぼっくす)
キトリのためのちっさいのもあるんよ
チロと一緒に作ったんじゃー、頑張ったんじゃよなー?

サンドイッチはちゃんと見栄えも考えて野菜メインのとたまごのと…あとろーすとびーふと……
あっ、食べるん早いの!
はりきって沢山つくってしもったからの…せーちゃんも、アルノルト君もたんと食べておくれ

それからちゃんと約束のりんごでつくったうさぎじゃ!
何匹か不格好なのは修練途中じゃからの
次はもっと上手に作ってみせよ
その時はアルノルト君の好きなもんもつくってみよか


チロル・キャンディベル
【雅】

青いお空とぽかぽかのお日さま
キトリとウカの見つけてくれた場所に尻尾を振って大はしゃぎ

チロ、嵐吾のおべんとうのおてつだいしたのよ(えへん)
このぐるぐるロールサンドのハタ、チロがつくったの
ねてるの、わらってるの、いろんなソルベ(白熊)のお顔の絵
みんなはどのソルベを気にいってくれるかしら?
あとね、がんばったみんなにおつかれの気持ちいっぱいこめたのよ!
アルノルトはどのお顔の味がすき?
チロはローストビーフのがすきなの!

ウサギさんリンゴもおいしいの!
清史郎の動物さんクッキーもかわいいの
本当、ソルベみたいね
これチロがもらっていいの?ありがとう清史郎
えへへ、大事にしたいけどおいしくいただきます!



「嵐吾さんここでーす! おべんとー! はやくー!」
「嵐吾、チロー! あっ、清史郎もこっちよ!」
 中庭でも、陽を遮るもののない芝生の一角――そよぐ風が心地よいそこに立ち、華切・ウカ(空鋏・f07517)とキトリ・フローエ(星導・f02354)はぶんぶんと手を振った。
「――おお、場所取り、ばっちりじゃの!」
「これは絶好の場所だな」
 その振る手に応えて手を振ったのは、終夜・嵐吾(灰青・f05366)と筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)、そして白熊――いや違う。白熊『ソルベ』から飛び降り、ぱたぱたと大はしゃぎの様子で駆けて来るのは、幼い無邪気を笑顔に浮かべるチロル・キャンディベル(雪のはっぱ・f09776)だ。
「キトリ! ウカ! おつかれさまなの!」
「チロちゃーん! 待ってましたー!!」
 きゃー! と楽しそうにチロルを腕の中へ迎え入れたウカに、チロルも尻尾をはち切れんばかりに振って応える。明るい青空の下に五人、場所を構えて待ち合わせをした理由は、この後にお楽しみがあるからだ。
「日当たりの良い場所をキープしたウカとキトリちゃんを褒めるとよいのです!」
「そうよ、ウカと一緒に見つけたの! ランチには絶好の場所だと思うんだけど、どう?」
 えっへん! と得意げに胸を張って見せたキトリを微笑ましげに見た清史郎は、丁寧に二人へ礼をする。
「キトリ、ウカ、良い場所を感謝する。そして二人共お疲れ様だ。……俺までご相伴に預かって良かったのだろうか?」
「それは俺にも言えたことだな。感謝するよウカ、キトリも」
 笑んだ清史郎の問いには、誘いに応じてやって来たアルノルトも笑って続く。少し遠慮が見えた二人に、ウカは敷いた敷物に腰掛けながら、今日の空の様な笑顔で応じた。
「清史郎さんも一緒に一緒に! アルノルトさんも案内お疲れ様なのですよ。おいしいもの、いただきましょ!」
 さあ座って、と促すウカに、全員が敷物の上へ輪になって腰掛けた。するとその輪の中央に、嵐吾がどーんと降ろしたのは大きな風呂敷に包まれた――四角い何か。
「ふっふっふ。わしが何故、戦いの手伝いにいかんかったのかというと……これのためじゃ!!」
 ばさあ! と嵐吾がやや大袈裟な身振りで風呂敷を抜き去ると――そこには、重箱とバスケットが所狭しと広げられていた。
 ――うん? 風呂敷抜いただけでどうして広げられていたかって? そんな難しいことは、きっと考えちゃいけない。
「わ、すごいー! ロールサンドオープンサンド! 美味しそう!」
「サンドイッチ!」
「キトリのためのちっさいのもあるんよ。サンドイッチはちゃんと見栄えも考えて、野菜メインのとたまごのと……あとろーすとびーふと……チロと一緒に作ったんじゃー、頑張ったんじゃよなー?」
 黄金の瞳を輝かせたウカとキトリに、嵐吾が得意げに言ってチロルへと笑顔を向ける。
「チロ、嵐吾のおべんとうのおてつだいしたのよ! このぐるぐるロールサンドのハタ、チロがつくったの。ねてるの、わらってるの、いろんなソルベのお顔の絵なの!」
 嵐吾に頷き、えへん、とチロルが先のキトリの様に得意げに胸張れば、妖精羽で光の粒子を振り撒くキトリが、チロルの頭の上に舞い降り撫でる。
「チロもお手伝いしたのね、えらいわ! ソルベのお顔もどれも素敵に描けてる!」
「えへへ。みんなはどのソルベを気にいってくれるかしら?」
 チロルの笑顔に、愛らしい旗の立つ一つを手に取れば、そこには眠るソルベの顔。清史郎は柔らかく微笑むと、キトリと一緒にチロルの頭をそっと撫でた。
「上手だな、チロル」
「えへへ……あとね、がんばったみんなにおつかれの気持ちいっぱいこめたのよ! アルノルトはどのお顔の味がすき?」
「俺か? 俺はそうだな……まだ味は解らないが、この笑った顔の旗が好きだな」
「チロは、ローストビーフのがすきなの!」
「はは、そうなのか。ではチロル、ローストビーフはどの顔の旗なんだ? 折角だから、チロルのお薦めのものを食べたい。教えてくれ」
「えっとね……」
 チロルとアルノルトがロールサンドの味を確かめている間に、ウカはバスケットに手を伸ばし、サンドイッチを一つ取った。
「わーい、ウカはこのたまごのから。戦ったらお腹すきましたー! ……うう、胡椒きいてておいしい!」
「……っ、いただきます! ~~~~っ、嵐吾、今日も美味しい!」
 とびきりの笑顔で舌鼓を打つウカとキトリに、嵐吾は喜びながらもちょっと慌てる。
「あっ、食べるん早いの! じゃがはりきって沢山つくってしもったからの……せーちゃんも、アルノルト君もたんと食べておくれ」
「ああ。感謝する、嵐吾」
「らんらんの弁当は流石、美味しそうだ」
 アルノルトの感謝の言葉を傍らに、清史郎も玉子サンドに手を伸ばす。頬張れば、まろやかさの中に黒胡椒のスパイスが利いて、より玉子の甘さが際立って口の中へと広がった。
「らんらん、これは美味い。今度は俺もタコさんウインナーでも作ろうか……」
「へえ。清史郎も料理をするのか?」
 嵐吾を称えた清史郎の声に、反応したのはアルノルトだ。興味深そうに問う顔に、清史郎も笑顔で答える。
「ああ、多少な。……今日も、甘味は持参した。動物さん型クッキーだ、茶にも合うかと。……チロル、これなどソルベに似ていないか?」
「わ、本当。ソルベみたいね! これチロがもらっていいの?」
 差し出された清史郎のクッキーを、チロルは笑顔で受け取った。喜ぶそこへ舞い降りたキトリは、チロルと一緒にクッキーを見つめはしゃぎはじめる。
「清史郎のクッキー、可愛くて飾っておきたいくらい!」
「えへへ、大事にしたいけどおいしくいただきます! ありがとう清史郎」
 騒いで、はしゃいで、会話は弾んで。目で舌で心で全身全てで味わう楽しい青空ランチの時間は、あっという間に過ぎ去って――沢山あったサンドイッチのバスケットが空っぽになったころ、嵐吾はこれが止めとばかりに、満面の笑みでもう一つお弁当箱を取り出した。
「ふっふっふ。さぁデザートはちゃんと約束のりんごでつくったうさぎじゃ! 何匹か不格好なのは修練途中じゃからの、次はもっと上手に作ってみせよ!!」
「デザート! 約束のうさぎりんご! キトリちゃん! ちゃんとうさぎさんですよ!!」
 差し出された愛らしいうさぎリンゴに、ウカが顔を綻ばせてぐるん! とキトリへ振り向いた。どうやら約束であったらしい――キトリには抱き締めるサイズのうさぎリンゴを前にして、煌くアイオライトの瞳は感激にふるりと震えた。
「……うさぎりんご! ちゃんとうさぎさんの形してる……!」
 喜びに震えるキトリに笑んで、清史郎もさくりと一つ、うさぎリンゴを楊枝で差して手に取った。愛らしいな――思って隣のアルノルトを見れば、楽しそうに笑いながら、ウカとキトリを見守っていて。
「アルノルトもひとつどうだ? ……予知や転送ご苦労様、有難う」
「――ん? ああ」
 もう一つ楊枝に差して清史郎が差し出したうさぎリンゴを、アルノルトはありがとう、と受け取った。しかし『でも予知や転送はお互い様だろう?』と連ねる様に答えが返れば、確かにな、と応じる清史郎は静かに目を伏せ微笑んだ。
「こう言ってはだが……強敵との戦いも、なかなか楽しめた。次は共に征こう」
「ああ、俺も実は今日は体が疼いて仕方なかった。……次に強敵と見える時には、俺も派手に暴れたいものだ」
 『今日の清史郎みたいにな?』とおどけた様にアルノルトが笑えば、清史郎の口からも、はは、と思わず笑いが零れる。
「可愛くて食べるのが勿体無いけど……! いただきます!」
「はあああ、これを食べてしまうのですね……! でもぷにちゃんみたいな罪悪感はないのでした! おいしい!」
 声に再び顔を上げた時、眼前ではウカとキトリが、うさぎリンゴを遂に食してその顔を輝かせていた。青空と、賑やかなその光景に瞳を細めて――清史郎は戦いの果ての、この穏やかな時間を噛み締める。
 ――柔らかな日差しに、吹く風が心地良い。感じて見上げた蒼穹は、あまりにも高く澄み渡って。 
(「巨人が空を焦がれるのも、無理はないかもしれんな」)
 地下世界に果てた命を思いながら、清史郎は心地よさに紅瞳をすうと閉じた。
「――次はアルノルト君の好きなもんもつくってみよか」
「アルノルトは特別好きな食べ物とかある? 嵐吾が今度作ってくれるって!」
「俺のか? そうだな、俺は好き嫌いは無いんだが、量はいくらでも食べられるぞ。実はさっきもこの席の前に、友人の弁当を――」
 ――さて。賑やかな席は未だ終わらない。嵐吾の言葉にアルノルトへと問うたキトリは、ふと思い立って、同じ席に着く友人達をぐるりと見回す。
 可愛い美味しいうさぎリンゴを手に、談笑する仲間達。大好きな笑顔に囲まれていると実感すれば、キトリはとても嬉しくて。
(「……こんな何気ない時間が、何だかとても幸せなの」)
 だから、こんな時間を守るためなら、きっとどんな困難だって超えられる。
 胸に満ちる温かさを隠さずに、キトリは再び笑顔の輪に加わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と

学びと言えば師のもとしか知らず
学徒と…学舎…とは
こういった場所なのか、随分広いな

折角ゆえ、ここの料理のひとつも覚えて帰らねばな
承知したと答えて師へ続く
知ったものに似ているようで見た事もない軽食

師父よ、どれに挑まれるのだ
…白い…おに…?
勧められるままにひとつ手に
ほぐした魚と何かを和えているようだが、解らん
師の赤い実も不可思議が過ぎる
流石は迷宮の世、この謎は解かねばあるまい

師父よ、次はあれだ
麺のようなものを挟んだパンを指し示す

師父よ、茶を入手してきたが飲むか
地下では見えなかった陽の下
ささやかながら、思い思いに謳歌する者達は
妙に眩しく見えて

…学生、というのは特権階級なのだな


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
ふむ…学生の昼餉はこういった様式なのだな
あれ程美味そうにされては気にならぬ訳もない

――よしジジ、善は急げだ
暫くして、手の中には三角に握られた米
確か…おにぎりだったか?
中には様々な具が仕込まれているらしい
此度は此方に挑むとしよう

中庭に腰掛け、恐る恐る口へ
…一瞬の出来事だった
咥内を刺激する酸味に身が震える
斯様に酸い実が存在する等…恐るべしアルダワ
ジジのは…ふむ、魚か
誠に各々異なる具が仕込まれているのだな
握り飯一つで空腹は満たせぬも
示された先、興味を惹くは面妖なるパン
よし、では次はあれだな

飯を食い、茶で喉を潤い
気の置けぬ友と語らうひととき
成程、これが学生
…偶には悪くないものだな



 青空の下に出て、物珍し気に中庭や校舎を見回すジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)の視線は、何処に留めたものかと暫くなかなか落ち着かなかった。
「学徒と……学舎……とは、こういった場所なのか。……随分広いな」
 ジャハルにとっての学びとは、師父――即ち今傍らに立つアルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)から得たものだけだ。そして、未知の世界に落ち着かぬ心地の従者よりは幾分余裕を持ちながらもアルバもまた、興味を引かれた様に昼食中の学生達を見回し、穏やかな世界に微笑んだ。
「ふむ……学生の昼餉はこういった様式なのだな。あれ程美味そうにされては気にならぬ訳もない。――よしジジ、善は急げだ」
「承知した。……折角ゆえ、ここの料理のひとつも覚えて帰らねばな」
 視線交わして頷き合って――アルバとジャハルがいざ挑むは、中庭にて軽食を販売する売り子だ。
「――はい、いらっしゃい。何にします?」
 二人に気付いて笑顔で迎えた売り子が持つ大きなカゴには、知ったものに似ているようで見た事もない軽食がずらり。
「師父よ、どれに挑まれるのだ」
「此度は……此方に、挑むとしよう」
 幾分戦々恐々とした面持ちで問うジャハルに――アルバは目に付く幾つかを指差し、売り子の言い値を支払うと、紙袋を受け取った。
 近くのレンガの花壇に腰掛けて――取り出して手にしたのは、透明フィルムの中で三角に握られた米が二つ。
「確か……おにぎりだったか? 中には様々な具が仕込まれているらしい」
「……白い……おに……?」
 未知の食事、未知の言葉にジャハルはごくりと喉を鳴らした。手に持つ一方をジャハルへと手渡したアルバは、早速自分の分のフィルムを剥がし、恐る恐る一口頬張る。
 ……一瞬の後に、ぷるぷるとその体が震え出した。
「……何だこの酸味は……!?」
 口にして出来たその断面をアルバが見遣れば、米の中央には真っ赤な丸い実がちょこんと収まっていた――ただの一つ、この実があの強烈な酸味を叩き出したというのか。
「斯様に酸い実が存在する等……恐るべしアルダワ……!!」
 一方のジャハルはといえば、アルバに比べれば平和な味覚であったようだったが――。
「……ふむ。ほぐした魚と何かを和えているようだが、……解らん。だが、味わい深いな。これは興味深い。流石は迷宮の世、この謎は解かねばあるまい」
 ふんふんと興味深そうに完食していくジャハルを見て、アルバももう一度手にしたおにぎりとやらを見遣る。
 ――不思議だ。あれほど強烈に酸味を感じたばかりと言うのに、口内は次を求めて唾液が溢れる様だった。そろりともう一口頬張れば、やはり酸味に一瞬顔を顰めるけれど――ふわっと感じる独特の花の様な香りがいっそう食欲を刺激する。
「誠に、各々異なる具が仕込まれているのだな……」
「師父よ、次はあれだ」
 先ほどよりもアルダワの食事に興味が沸いたか、幾分生き生きしだしたジャハルが指差すは、食事中の学生が持つ、麺のようなものを挟んだパン。握り飯一つでは空腹は満たせない――気付けばおにぎりを完食していたアルバは、新たな標的に星燃ゆる瞳を輝かせ、すっくとその場に立ち上がる。
「――よし、では次はあれだな。行くぞジジ」
 かくして――主従のアルダワ魔法学園中庭メニュー全制覇食い倒れツアーが此処に幕を開けたわけだが。

「――師父よ、茶を入手してきたが飲むか」
 暫しの後に。日当たりの良い芝生に寝転ぶアルバへ、ジャハルは茶を差し出した。
 興味深い食の戦いの結末は、ただただアルダワの美食の奥深さに感銘を受けるばかりだった。二人とも空腹感など彼方に消え失せ、今宵は夕食は要らぬな、と、アルバは膨らんだ自分の腹に問い掛ける。
 問い掛けながら――起き上がった茶を飲まずに手元で揺らし、アルバは静かに笑んで呟く。
「……飯を食い、茶で喉を潤い、気の置けぬ友と語らうひととき、か……成程、これが学生。……偶には悪くないものだな」
 地下世界であれほどの熱戦、激戦を繰り広げた後だというのに、青空はこれほど高く眩く、学生達はこんなにも平和で明るい。今日の戦いが例え何処にも、誰にも語られなかったとしても――守ったものの大きさを、アルバは心中に噛み締める。
 そんなアルバの隣に腰掛け、ジャハルは賑やかな中庭の学生達を見遣った。
 まだ日は高いが、恐らくそろそろ昼時を超える。地下では見えなかった陽の下、ささやかながら、思い思いに日々を謳歌する者達は――ジャハルの目には妙に眩しく映って。
「……学生、というのは特権階級なのだな」
 あまり笑わぬ従者から零れ落ちた言葉と笑みに、アルバも答えはせずに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月10日


挿絵イラスト