●晴れやかな結婚式の日
獣人戦線の世界の中でも、結婚式は執り行われる。
戦いが続く世界といえども、今日この日だけは、わずかながらの平和が訪れていた。
新郎のトラ・ティグレと新婦の猫・コーチカ。
それぞれ獣人階梯2の2人が結ばれることとなり、それを祝うためのお祭りが始まっていた。
集まった人々は様々で、ティグレの部下やコーチカの仲間など、いろいろな人々が駆けつけてくれていた。
「ティグレ上官、本当に、本当におめでとうございます!」
「ああ、ありがとう。……いや、俺より泣きすぎてないか??」
「上官が嬉し涙出さないから我々が出してるんですぅ~~!!」
「上官おめでとうございますうう~~~!!」
「えぇ……お前達そんなに泣き上戸だったの……?」
ティグレはもともと、大部隊を率いた隊長でもあった。
そのため彼を慕う部下たちは皆このお祭りに参加して、彼の門出を祝っている。
……ちょっと泣きすぎな者達もいるが、それはそれ。
「ちょっと、チカってばどうやってティグレ上官を射止めたのよ!?」
「え、え~……? シミュレーションで一緒に遊んだから……?」
「それだけ!? それだけなの!?」
「う、うん。それだけ」
「すっごーい……」
彼とコーチカとの出会いは街での休息日でのこと。
オブリビオンという敵の群れにどう立ち向かうかのシミュレーションを街の中でしていたところで、コーチカと出会ったという。
彼女もまた戦線に立っており、猫の立場からいろんな状況を動き回った経験でティグレのシミュレーションに付き合ったそうだ。
「ティーさん、凄いんだから。猪突猛進って言葉が、トラなのによく似合うんだから」
「コー、やめてくれよ……。あの時のシミュレーションは確かに、キミの言う通りだったんだからさ」
「でも、アレがあったから私達は出会えたんだよね。……今日、この日を迎えられて私は嬉しいよ、ティーさん」
「ん……そうだな。確かに、俺も嬉しい」
晴れやかな結婚式の青空を見上げ、喜びに浸るティグレとコーチカ。
……その青空に暗雲が迫っていることに、気づかないまま。
●オブリビオンは容赦はしない
そんな晴れやかな結婚式が行われてる中の街の外で、オブリビオン『ヘラジカ軍曹』がニヤリと笑みを浮かべる。
次に狙うは……たった今、ティグレとコーチカが結ばれたばかりの街。
「ティグレと言ったか……あの男には、きっちりと借りは返さなくてはならんよなぁ?」
ヘラジカ獣人である軍曹は、今でも思い出せる怒りがある。
それは……ティグレの率いる大部隊に自身の持っていた部隊をボコボコに蹴散らされ、全滅一歩手前まで追い込まれたこと。
寸前で逃げ出すことに成功したが、あの時の侮辱は今でも忘れることが出来ない。
怒りで何度、角を壁にぶち当ててやっただろうか。
トラとヘラジカなら、現実ではトラが強いだろう。
けれどこの獣人戦線の世界では、そんな理論は通用しない。
強ければ強い。弱ければ弱い。それだけの世界なのだから。
「さて……斥候からの連絡は……」
視点を街に向けたヘラジカ軍曹。
その視界に映るのは、ちか、ちか、と点滅する光。
その光を見た軍曹は牙を剥いて笑うと、目下に控えたオブリビオン戦車隊に向けて指示を下す。
「戦車隊、進めぇ! 微塵も残さず、あの街を全て制圧するのだ!!」
ヘラジカ軍曹が司令を下した先にあるのは、オブリビオン戦車隊。
街を蹂躙するために編まれた軍隊が、ティグレとコーチカを祝う街へと突き進む……。
●猟兵も容赦はしない
「新しい世界で一波乱が起きそうだ。ちょっと、出向いて欲しい」
集まってくれた猟兵達にそう告げた木々水・サライ(|白黒猫使い人形《モノクローム・ドール》・f28416)は、獣人戦線の世界で見えた予知について説明を開始する。
狙われているのは獣人戦線の小さな街『アスピダ』。
人々が「盾となり世界を守り続ける」という意味で名前を決めた盾の街が、今回の現場となる。
現在アスピダでは大部隊を従えてオブリビオンと戦った軍人のティグレと、猫の習性を生かして戦い続けた戦士のコーチカの結婚式を大きく取り扱っており、街はお祭りムードになっている。
そんなお祭りムードの中に、オブリビオンの手先が紛れ込んで軍隊を呼び寄せようとしているのだそうだ。
「何処に紛れ込んでいるのかはわからねえ。が……結婚式の最中だ、下手な動きをするやつなんてすぐわかる」
「だが、問題はそれ以降だ。街に大量の戦車部隊が押し寄せるって未来が見えたんだから、これまた厄介なんだよ」
サライは大きくため息をついたが、今はまだ、食い止められる範囲内だと呟くと猟兵達に向けて今回、何をするかを告げた。
まあ、簡単に言えば「侵入者を捕まえて」「戦車部隊を町の外でぶっ倒して」「ヘラジカ軍曹を倒す」ことだけなのだが。
「上手く行けば、ティグレやコーチカとも協力できるかもしれないから、最初のうちに顔合わせしておくのもありかもしれないな?」
結婚式を邪魔するのなら、きっと彼らだって許さないさ。
そう笑うと、サライは準備が出来た者から現場へと連れていく。
――これより向かうは、戦線と平和の狭間。
御影イズミ
閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
新しい世界が出ましたのでこちらのシナリオをお届け。
もし、これで好評であればシリーズ化すると思います。
初めての方はMSページをご確認の上、ご参加ください。
●第一章:日常シナリオ
獣人戦線の小さな街『アスピダ』で行われる結婚式。
大部隊を率いたトラの軍人・ティグレと、共に闘った猫の戦士・コーチカが祝われています。
彼らを祝うために街の中がお祭り状態となっており、屋台なども出ております。
しかしそんな楽しい雰囲気を壊すオブリビオンの斥候が紛れ込んでいるようで……。
この章では斥候を探し出すことが目的ですが、楽しむだけでも十分OK。
ティグレとコーチカに挨拶をすると、後々に有利に働きます。
●第二章:集団戦シナリオ
集団敵『オブリビオン戦車隊』との戦いです。
斥候を見つけた場合と見つけられなかった場合では、展開が大きく変わります。
その他詳細は断章にて。
●第三章:ボス戦シナリオ
ボス敵『ヘラジカ軍曹』との戦いです。
第一章でティグレやコーチカと挨拶をしていると、彼らも手助けに来てくれます。
その他詳細は断章にて。
皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
第1章 日常
『街のお祭りに行こう』
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POW : 露天の店を巡って楽しむ
SPD : 皆とダンスや演芸を楽しむ
WIZ : お祭りの料理やお酒を楽しむ
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジャン・ジャックロウ
トラ・ティグレ…俺がゾルダートグラードに所属してた時に大部隊を指揮して『野良犬部隊』を蹴散らしてくれちゃった奴だったな。(突如生えた設定)
さあて、このアスピダの街に敵の斥候が紛れてるって情報だったな。斥候には斥候だ。
【野良犬部隊・斥候班】、散らばって敵斥候を見つけ出し俺に知らせろ。
俺はどうするか?せっかくだから今日の主役に挨拶してくるわ。
ご結婚おめでとうございます。ティグレ大隊長殿ッ!
いや~、青空もお二人の門出を祝福してるようですなッ!
…そんな怖い顔で睨まないでくださいよぉ。別に御礼参りに来た訳じゃあないですよ?
そこまで空気読めない奴じゃないし、今の俺は愛と正義の猟兵なもんで。
【アドリブ歓迎】
●ティグレの周りには色んな人がいっぱい
「あ~、ティグレって言ったら……」
ほわんほわんほわ~んと昔の話を思い起こすジャン・ジャックロウ(野良犬共を統べる部隊長・f39920)。ゾルダートグラードに所属していた時に、野良犬部隊を蹴散らしてくれた大部隊の長・ティグレのことは忘れやしない。
トラのくせに猪突猛進という言葉がお似合いで、後先考えずに突っ走る大部隊を率いる隊長。そのくせその指示は的確なもので、上手く突き崩すにはその指示の急所を突かなければ看破できないほど。
「苦い思い出だが、まあいい思い出でもあるよな。……そんな大部隊の隊長が、結婚か」
なんとも、不思議な感覚だと感じながらもジャンはユーベルコード『野良犬部隊・斥候班』を呼び寄せる。
斥候が散らばっているというのなら、同じくこちらも斥候で対抗するのみ。斥候にしか持ち合わせていない知識と知恵を使われているというのなら、同じく斥候に探してもらうのが早いからだ。
「敵斥候を見つけ次第、俺に知らせろ。俺は……」
ちらりとジャンの視線が、ティグレとコーチカに向けられる。
主役であるティグレとコーチカはそれぞれの挨拶を受け取りつつ、時には昔の過酷な話を、時には思い出に花を咲かせている。
そんな中でジャンも同じように挨拶を行うために、2人のもとへと近づいた。
「ご結婚おめでとうございます、ティグレ大隊長殿!」
「お前は……!!」
思わず、ティグレが構えを取った。過去に蹴散らした野良犬部隊の残党が、と凄んでいるティグレは未だジャンが敵の斥候、ないしは兵士だと勘ぐっているらしい。
「そんな怖い顔で睨まないでくださいよぉ。別に、お礼参りに来たわけじゃあないですよ?」
「何をそんな……」
「俺だってそこまで空気の読めないやつじゃあないですし。それに……」
軽く笑って、ジャンは大空を見上げる。空は今もなお青さを保っており、二人の門出を祝福するかのように燦々と太陽の光を降り注がせる。
――今の自分は、愛と正義の猟兵。
その一言をいうときのジャンの顔は、少々こっ恥ずかしそうにもしている。
「…………本当なんだろうな?」
「ええ、もちろん。その証拠として……」
1つ、連絡音が聞こえてくるとジャンは通信機を片手に斥候班と会話を開始。情報を受け取ると、ティグレに向けてウィンクをして見せる。
「OK、情報を他の仲間たちにも伝えろ。一匹たりとも取り逃すなよ」
そこにいた野良犬部隊の部隊長は、今や世界を守るための猟兵だとティグレの瞳にしっかりと刻まれたようだ。
大成功
🔵🔵🔵
来宮・キャロル
心情:結婚式という、とても素晴らしい日に攻撃を仕掛けてこようとするなんて、猟兵として以前に、1人の女として許せません!絶対に泣かせてあげます!
行動:「御結婚、おめでとうございます」
用意しておいた花束を、ティグレとコーチカの両名に手渡す。その花束の中に、メッセージを紛れ込ませておく。内容は
【この結婚式の時に、オブリビオンの戦車隊が無粋にも攻撃してしようとしてます。気を付けて】
と書いておく。
「お2人の幸せの為、微力ながらお手伝いさせて頂きますね。」
そして、斥候を探しに行く。念の為、斥候を探してる事に気が付かれない様、祭りを楽しんでるフリをする。
「素敵なアクセサリーね。お幾らかしら?」
●結婚式に無粋な輩は要らぬ
ティグレとコーチカの華やかな結婚式は少しずつ終わりに近づいている。
それでもまだまだ終わるような雰囲気ではないのは、街の皆がそれだけ彼らの結婚を祝福しているのだろう。
そんな2人の晴れやかで素晴らしい日を崩そうと目論むオブリビオン『ヘラジカ軍曹』の存在に、来宮・キャロル(デザイン・マーダー・f39802)は怒りさえも覚えていた。
「こんな、こんな素晴らしい日に攻撃を仕掛けてこようとするなんて……猟兵として以前に、1人の女として絶対に許せまない……!」
彼女は今、自分ができることが何かを考えた。晴れやかな日に突然『オブリビオンの軍隊が近づいてきている』と声を荒げるのは違うし、かと言って1人で倒しに行くのもまた違う。
どうしたものかと考えている中で、キャロルの目に花束が目についた。それは人々が自由にティグレとコーチカに配っても良いものだそうで。
「……閃いた」
突然の閃きを得たキャロル。すぐさま、メッセージカードにある一言を添えて、2つの花束を受け取って結婚式会場へと向かった。
「御結婚、おめでとうございます」
結婚式場についた途端、キャロルはすぐに準備した花束を2つ、ティグレとコーチカに手渡す。
最初は喜びにあふれた表情をしていたティグレだったが、メッセージカードに添えられた文言――『この結婚式の時に、オブリビオンの戦車隊が無粋にも攻撃してしようとしてます。気を付けて』の文字を見て、一瞬だけ表情が揺らぐ。
だが今は祝いの席であり、まだ人々の挨拶を済んでいない。そこでティグレは挨拶に混じってある一言を告げた。
「ありがとう、友よ。そういえば、今日は素敵なアクセサリーをつけていないね?」
「! ……ええ、こう言う場にはつけてこないほうがいいと思って」
その言葉の意味に込められたのは、先立って情報を集めてくれた別の猟兵からの情報――斥候の位置を知らせるものだった。
アクセサリーショップ付近に斥候が1人いる。その情報を手に、キャロルはすぐに挨拶を終えるとアクセサリーショップ付近へと出向いた。
斥候の姿を見つけ近づいたキャロルは、トントン、と軽くドアをノックするように壁を叩くと、ただ1つの質問をした。
「素敵なアクセサリーね。おいくらかしら?」
――斥候の持つ合図用の鏡に目を向けて、キャロルの瞳が|嘲笑《わら》っていた。
大成功
🔵🔵🔵
ロウガ・イスルギ
やれやれ、目出度い席を荒そうなんざ無粋の極みってモンだ
キッチリ引導を渡してやるとしよう
料理や酒を愉しみながら(勿論戦闘に支障出ないレベルに抑えておく)
主賓のお二人に近づきますか
ティグレの高名を聞いて街に流れてきた行商、とかの態でいこう
怪しまれないための【演技】と【言いくるめ】も駆使
「おめでとうございます!お二人のご活躍は常々耳にしておりました!
……贈り物をしたかったのですが生憎仕入れが出来ずにおりまして……」
「違う形でよろしければご助力したいと思っております、はい!」
挨拶後は斥候を探ろう。こういう時は目星付けた中でも「不自然に街から離れようとする」奴に当りを付けてみるモンだ。目を光らせとこう
●流れの行商人は目ざといもので
祝いの席に並んだ美味しい料理やお酒を愉しむロウガ・イスルギ(白朧|牙《我》虎・f00846)。この後に控える戦闘のことを考えて、あれやこれやと差し出されても支障が出ない程度に愉しんでいた。
肉を食べない世界なのに、肉のような食感があるというのだから、この世界は不思議なものだ。
(にしても、めでたい席を荒らそうなんてなぁ)
食事をしながら周りをチェックしていくロウガ。不審者がいないかどうかを確認しているのだが、今のところ斥候らしき姿は見えない。
それならあとは主賓に顔を出しておこうと、席を立ってティグレとコーチカのもとへ。
「おや、キミは……」
ティグレはロウガの姿を見て、はて、と首を傾げたため、ロウガは流れ着いた旅の行商人であり、ティグレの名を聞いて駆けつけた……ということにしておいた。
「なるほど、そうか、ありがとう。どうかね、楽しめているかな?」
「ええ、もちろん。この後の旅に関わるので、少し控えさせてもらっていますが」
「そうかそうか。よい商品を仕入れるためには体調も万全でないとならないからなあ」
豪快に笑ったティグレだが、その視線の光は部隊を率いた隊長としての輝きを失っていない。ロウガに前もって来ていた猟兵たちから預かった斥候のいる位置を伝えようとしている様子だ。
それとなく伝えようとしているものの、周りの者達に知られては騒動のもととなる。そこでロウガも話を合わせるように対話を続けていた。
「……贈り物をしたかったのですが、生憎仕入れができずにおりまして……」
「なんと。……それなら、南部の卸売店に行ってみるといい。あそこの品はいつでも手に入れられるからな」
「なるほど、それならばこの後に。違う形でご助力したいと思っておりましたので、ええ」
一言二言会話を済ませ、緩やかな笑みを浮かべた後にロウガはその場を後にする。
南部の卸売店。そこにも、斥候がいるのだという情報を受け取ったのだから。
「さーて、この辺にいるはずだが……と?」
卸売店付近にたどり着くと、妙に周囲を見渡している者を見つけたロウガ。
皆結婚式に浮かれているというのもあるが、それにしては警戒心が強すぎるものだ。
「……アイツか。上手く取り押さえられれば、重畳」
そのまま、ロウガは気取られないように立ち回り、斥候の足取りを抑えていく。
良き日に悪を持ち込むことは許さないのだと言わんばかりに。
大成功
🔵🔵🔵
黒蝮・十三
……まさか俺が猟兵になれるとは、な。
そして猟兵活動の最初が結婚式や花畑の警備及び襲撃者の撃退、か。
シュー……何とも気合いが入るな。
さて、と。結婚式に参加してお祝いをしたいところではあるが、やはり襲撃は気になる。
ティグレとコーチカに挨拶と祝いの言葉を述べ、式は途中で中座して街へ移動。
斥候が紛れ込んでいる、とのことだが……屋台で甘味を頂きつつ、行き交う人達を観察。祭、ではなく街を見ている者がいたらUCを使いつつ尾行をして確かめてみよう。
もし斥候であったのなら人気のないところで背後から一叩きして縛り上げておいてもいいか。
それにしても結婚、か。
俺にもそういう縁は生まれるのかな……さあ、作戦開始だ。
●初出勤、結婚式会場の警備員
「……まさか俺が猟兵になれるとは、な」
周囲の警戒を怠らず、結婚式会場の警備についている黒蝮・十三(若きコブラ戦士・f39910)はなんとも、猟兵になったという感覚に実感が湧いていない。
まさか猟兵活動の最初の任務が結婚式会場と花畑の警備と襲撃者の撃退。それだけを聞くと少し軽く聞こえるが、内容としては非常に重い。下手をすれば街の存在が一瞬にしてかき消えてしまうからだ。
「シュー……何とも、気合が入るな」
するするとコブラの身体を走らせて、ティグレとコーチカに簡易的な祝いの言葉を送る十三。その際、ティグレがやけに『西部の屋台』の話をしていたものだから、気になってそちらへ出向いてみることに。
「んむ……んま」
屋台に並んでいるのは様々な料理。一般的な屋台にあるものに加え、物珍しい料理まで様々な物が並んでいる。ハンバーガーショップの屋台を見かけた時には、思わず驚くほどだった。
しかし今は食べたくともそんなに重いものを食べている暇はない。軽く食べられるりんご飴を尾に巻いて、甘い飴と少し酸味のあるりんごの味を楽しみながら屋台付近を練り歩いていた。
(ティグレの話によれば、この辺にいるはず……)
先駆けて来てくれた|猟兵《仲間》達によれば斥候の存在はバラけて存在しており、各方面から攻撃が行われる。よってティグレは挨拶に来た者達、特に戦闘技術の高い者達にこうして場所を告げては斥候を討伐してもらっているそうだ。
「流石は大部隊を率いた隊長、といったところか……。指示が的確だ」
りんご飴をかじり終えた十三は既に1人の怪しい人物に目をつけていた。その人物は祭りを楽しむよりも、周りの人々を、そして街の造りを眺めていることから斥候である、と判断がついた。
事前に使っておいたユーベルコード『ハイディングヴァイパー』により、伏せた姿勢のままにするすると音もなく移動を行えるため斥候に気づかれることなく、人気のない場所まで追いかけることに成功していた。
「……ふう」
背後を取った十三の足元には、既に斥候が倒れている。
ギリギリのところで連絡されそうになっていたが、背中を一気に叩いて気絶させて締め上げることで、外への連絡を止めていた。
こんなやり取りが行われているなんて、結婚式の最中の2人にはわかるまい。軍服の帽子を軽く整えると、空を見上げる。
「それにしても、結婚……か」
青空がとてもまばゆく見える。自分にもそんな縁が出来るのだろうかと考え込んだ十三は、首を軽く横に降って、再び警備――もとい、作戦の実行へと移る。
その日が来るのかどうか。
それは、今を護りきらなければわからないもので。
大成功
🔵🔵🔵
シャムロック・ダンタリオン
ふむ、ここが獣人たちが戦争を繰り広げている世界か。
奴らにUCを授けたという「はじまりの猟兵」とやらが気になるが、まずはこの世界の現状を調べぬとな(【世界知識・情報収集】)。
(で、件の新郎新婦が目に入り)
やあ、ごきげんよう。とりあえず祝福させてもらおうか(【威厳・存在感】)。
しかしまあ、ネコ科同士お似合いのようだな(と、話しているうちに妙な存在が目に入り)――失礼、妙なネズミが入り込んでいたようだ。少し駆除してくる(と、箒を【操縦】し捕まえに行った)。
…何だ、本当にネズミか?まあいい、とりあえずインタビューといこうか(と【恐怖を与え】つつ尋問してる)。
※アドリブ・連携歓迎
●インタビュー(Not新郎新婦)
「ふむ、ここが獣人達が戦争を繰り広げているという世界か……」
キョロキョロと辺りを見渡して、獣人達の街を練り歩くシャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)は興味がどんどん傾いていく。
かつて、オブリビオンの侵略に立ち向かった勇敢な獣人達に対し、助けを求める声に反応した『はじまりの猟兵』がこの世界の人々達にユーベルコードを伝授したと言われている。
それが本当であればはじまりの猟兵の話もいずれ聞けるかもしれないと考えていたが、今は現状を調べなければならないだろうとユーベルコード『|世界図書館《ワールド・ライブラリ》』で世界知識を得て情報収集を開始する。
とは言えまだ到達出来たばかりの世界。得られる知識は、事前に知らされたものばかりだが。
「ああ、そういえば」
今はお祭りのような状態にあるアスピダの街。トラの軍人・ティグレと猫の戦士・コーチカの結婚式が執り行われており、式はもう半分近くまで終わりに近づいていた。
ここで挨拶をしないのも無礼に当たるだろうからと、シャムロックは2人に近づき挨拶をしておいた。
「やあ、ごきげんよう。この度は御結婚、おめでとう」
「ありがとうございます、旅のお方。休暇中……でしたか?」
「ん? いや、なに。身体を休めようと思って来てみたら、結婚式が上がっていると聞いてね。せめてものご挨拶を、と」
「まあ、ありがとうございます」
小さく笑みを浮かべたコーチカ。目も口も笑っているようだが、尻尾だけがどうしてもゆらゆらと動いている。気になったシャムロックが視線をゆっくりと動かしてみれば……。
(……ああ)
今にも奇妙な動きをしそうなネズミが1匹、コーチカの尻尾が指し示す先に隠れているのが見えた。彼女たちは今この場を動くことが出来ないから、誰か、気づいた人が斥候をどうにかしてくれないか、と願いを込めていたようだ。
「――失礼、妙なネズミが入り込んでいたようだ。少し駆除してくるよ」
「はい、お気をつけて」
礼儀正しく、紳士的にお辞儀をするとシャムロックはウィザードブルームを使い、素早く空を飛んでネズミ――斥候を排除に向かう。
「ホントにネズミなんだよなぁ。まあいいや、とりあえずインタビューといこうか」
とっ捕まえた斥候が何を言おうと、威圧を放って黙らせるシャムロック。
外部インタビューという名の尋問が繰り返され、戦車隊やヘラジカ軍曹の動向についての情報を得ることに成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シプラ・ムトナント
【WIZ】
ふふ、お二人は沢山の部下に慕われているのですね……わたしからも、お祝いを。
「ご結婚、おめでとうございます。さぞ勇名を響かせていらしたのでしょう……わたしもお二人のようになれるよう、精進いたします」
挨拶の後は斥候の捜索を。
脚で探すしか無い分、体力には覚えがあります。
通信手段は信号の類か、それとも……わたしとて軍人、何か思い当たるものがあると良いのですが。
斥候を発見したと確信を得たら、救護カバンによる殴打で昏倒を狙います。情報を引き出せるやもしれません。
暴れるようなら【医術】に則った「軍用麻酔」の投与で眠って頂きます。
用法外の使用、医療従事者としては誉められたものではありませんね……。
●時には横暴な医療も必要となる
「御結婚、おめでとうございます。このようにたくさんの部下の皆様に慕われるのは、さぞ勇名を響かせていらしたのでしょうね」
「はは、ありがとう。彼らは仲間であり、友であり、家族だからな。こうして祝福に来るのはそう珍しくもないよ」
「ふふ、それも人望というものです。わたしも、お二人のようになれるよう、精進致します」
優しい笑顔を浮かべ、ティグレとコーチカに祝いの挨拶を述べるのはシプラ・ムトナント(鋼の衛生猟兵・f39963)。2人のようになりたいと志を上げ、お辞儀をした後すぐさまその場を後にする。
今回の目的は2人に祝辞を述べに来ただけではない。オブリビオンの戦車隊を誘導する斥候の調査が、本来の目的だ。
ティグレもコーチカも先立って来てくれた猟兵達から預かった情報は使い尽くした。残る斥候の居場所はシプラ自身で探すしか無い。
(脚で探すしかない分、体力には覚えがありますし……それに、わたしとて軍人。何か思い当たるものがあると良いのですが……)
街の中を歩き回り、街の人と他愛のない会話を繰り広げながら斥候を探すシプラ。そのうち、視界にキラリと光る何かに気づく。
「ん……うん?」
入り込んだ光に対して少し考える。太陽の光にしては位置取りがおかしく、窓ガラスにしては場所がおかしい。それが光の反射を利用した信号だと気づくのには、数秒とかからなかった。
斥候はその場所にいるという確信を得たシプラは素早く気配と音を悟られないように走って、斥候の背後を取る。斥候が振り向く瞬間には大きく救護カバンをぶんまわし、斥候の顎をキッチリと捉えて脳を揺さぶった。
「これで……大丈夫でしょうか?」
おそるおそる斥候を覗き込むシプラ。止まってくれてればよいのだが、と考えていたのもつかの間のことで、軽い脳震盪を引き起こした斥候はせめてシプラの首だけでもと腕を伸ばしてきた。
「ひゃっ!」
思わず仰け反ったその瞬間、斥候の身体が崩れ落ちる。崩れ落ちて倒れた斥候は大きくいびきを掻いており、眠っているのがよく分かる。
たった僅かな、数秒の合間にシプラは軍用麻酔の投与で斥候を黙らせることに成功していたのだ。
「……用法外の使用。医療従事者にとっては、褒められたものではありませんね……」
衛生兵の母が聞いたら、なんと仰るだろう……なんて考えが頭に通り過ぎたシプラ。
ひとまず斥候を縄でぐるぐる巻きにしておくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『オブリビオン戦車隊』
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POW : タンクキャノン
【戦車砲】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 超大国の改造成果
自身の【車体】を【長距離砲撃形態】に変形する。変形中は攻撃力・射程が3倍、移動力は0になる。
WIZ : タンクデサント
X体の【随伴歩兵】を召喚する。召喚された個体の能力値・戦闘力・技能は自身のX分の1。
イラスト:aQご飯
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
結婚式も終盤に近づき、ティグレとコーチカが退場しようとしたその瞬間。
ドオン、と大砲からの大きな音が鳴り響く。
着弾地点は街の外だった故に被害は少ないが、戦闘開始の合図だというのだろう。
街の外に集まったオブリビオン戦車隊はアスピダの街の北門側を集中的に狙っており、そこから突入するか前でいる様子。
――これも猟兵達が斥候を見つけてくれたからなのだろう。戦車隊はすべて北門からしか入ってこないようだ。
「チッ、もう来たのか……」
「ティーさん、どうする?」
「どうするって、そりゃあ……な?」
「だよね」
素早く、ティグレは部下達に指示を出し、北門、そしてそれ以外の門の防衛を進める。
北門以外から戦車隊が来た場合に備え、防壁の準備も進めていくようだ。
「だが、完全に準備が終わるにゃ時間がかかるな……」
そこでティグレは猟兵達に向けて、討伐部隊として先に出向いてくれないかと懇願する。
この場を切り抜けるには準備時間が足りず、大多数を相手には出来ないからと。
もちろん、準備が出来ている者から戦場に出向いてもらうし、支援も行うとのこと。
「こういう席を台無しにされて、心底腹が立ってるんだ。協力してくれないか?」
……さて、どのように戦車隊をぶっ飛ばしてやろうか。
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プレイング受付:3/12 8:31~
集団敵『オブリビオン戦車隊』との戦いです。
斥候を見つけたことにより、戦車隊は合図を受け取れた北門からのみの突入となりました。
ギュウギュウ詰めな戦車隊なので、多少動きが制限されています。
戦場は大きな岩山を左右に、アスピダの街に併設された高い壁を背に戦います。
この壁からは獣人達による援護射撃等も行われます。プレイングに使用の旨がなければ援護射撃はありません。
岩山が左右にあるため、戦車隊は横5台に並びながら前に進行することしか出来ていません。
どうやら斥候の合図がなかったために東西南に配置された戦車隊も北門に集結しているようです。
キャバリアの使用、飛行などは問題なく使用可能となります。
その他必要なものがあれば、手伝ってくれる獣人に声をかければ準備してくれるでしょう。
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黒蝮・十三
いや、その。
いくら斥候の合図が北側だけだからって、全戦力を集中するかなぁ……
あのヘラジカがティグレに負けた理由の一端を知れた思い入れだぜ。
されど敵の全戦力集中だ。正面衝突すれば損害はでかくなる。
ならば……敵陣の側面までUCを用いて「目立たない」ように「忍び足」で迂回して移動。
今の俺ならかなりの速度で這うことができるから時間は食わないはず。
側面を取れたら正面しか見ていない連中を「スナイパー」よろしく撃ち倒していく。
気づかれそうになったら再度UCを使って場所変更。
そういういやらしいやり方で敵を削り、進攻を鈍らせてやる。
街にたどり着けると思うなよ!
●全てが致命傷の一撃
「いや、その……いくら斥候の合図が北側だけだからって、全戦力を集中するかなぁ……??」
十三がぼんやりと思い浮かぶのはオブリビオン軍側の指揮官とも言えるヘラジカ軍曹の顔。何故、ヘラジカ軍曹がティグレに大敗してしまったのか唐突に理解してしまったもので。
だがそれでも、ヘラジカ軍曹が全戦力を投入しているのは間違いない。集中的に北側で衝突すれば、いずれは街に入られてしまうだろう。
「となれば……」
十三の視線はアスピダの街を出入りを狭める岩山と、それに阻まれてしまっているオブリビオン戦車の群れへと向く。誰もが正面と背面にしか気を向けられない今ならば、側面からの攻撃に弱いだろうと。
ならば自身の持つユーベルコード『ハイディングヴァイパー』の力も合わせ、側面を取れれば上手く立ち回れるはずだろうと予測を立てていた。
「よし、善は急げってな」
するすると、コブラの身体が地を這い時速114kmの速度でオブリビオン戦車達の間をすり抜けていく。戦車からは随伴歩兵も出ているが、彼らが十三に気づいた時にはもう既にそこに姿はないので簡単に抜けることが出来ていた。
「よし、ここからなら狙えるか」
敵陣側面、突出した岩を支点にデアボリカライフルを構える十三。随伴歩兵達が街への侵入方法を探る中で、1人1人の動きを見計らい、自前のスナイパー能力を十二分に発揮していく。
正面へ進むことしか考えが浮かんでいない、ヘラジカ軍曹の作戦。側面からの攻撃は彼らにとっては予想外の動きのようで、随伴歩兵達によって情報収集が始まった。
「さて、俺を見つけられるかな……っと!」
1発、もう1発。キッチリと頭部に銃弾をプレゼントしていくその様は、まさに戦場を駆け抜けるスナイパー。
見つかったとしてもすぐにハイディングヴァイパーを使って超速で移動し、場所を変えてスナイプするのみ。
「……と、掠ったか」
流石に何度も側面からの攻撃を受ければ、なんとなくスナイパーの立ち位置を把握できるだろう。銃弾なら致命傷を避ければ済む話。
けれど、それは|普通の弾丸だったら《・・・・・・・・・》の話。十三が使っている銃弾は彼が用意した特別なもので。
「シュー……コブラの毒、ナメんなよ」
――ハイディングヴァイパー。
這いずる毒蛇の名の通り、彼の攻撃は掠っただけでも致命傷なのである。
大成功
🔵🔵🔵
シプラ・ムトナント
彼らに腹が立つのはわたしも同じです、勿論協力させて頂きます。
……ふむ、敵の動きが悪い。斥候を叩いた甲斐があったようですね。
まずは「吸着手榴弾」のピンを二本同時に抜き、戦車の履帯に【投擲】。
吸い付けてしまえば剥がすのは困難、履帯を壊せば完全に動きを止められるでしょう。
その隙に、獣人の皆様には高台から一斉射撃による援護をお願いします。
敵が釘付けになっている間に突っ込みますので……捨て身ではないのでご心配なく。
近づいてさえしまえば、長物の戦車砲は使いにくい。互いに誤射を恐れ、援護の砲撃も難しいでしょう。
このまま戦車に乗り上げ、搭乗口目掛けて『近接射撃』。
戦車は上からの攻撃に弱いもの、容赦はしません。
●天からの一撃には弱く
「……ふむ、敵の動きが悪い。斥候を叩いた甲斐があったようですね」
怒りを抑え込みつつも、シプラは目下に並ぶ戦車隊の動きを確認する。
斥候の合図が北側のみだったために、ヘラジカ軍曹は北側からならば進軍可能と見てオブリビオン戦車隊を走らせたが……状況としては、ある種悪化の一途を辿っている。
しかし戦車隊は戦車砲の準備をしており、このままでは砲撃によってアスピダの街に被害が出るのは間違いない。
そこでシプラはアスピダの街を守る獣人達に向けて、あるお願いをしておくことにした。
「すみません、今からの作戦なのですが――……」
数分後、シプラは|吸着手榴弾《スティッキーグレネード》のピンを同時に2本抜いて戦車の履帯に向けて投げつける。手榴弾だと気づいた戦車隊は後退を試みようとするものの、吸着した手榴弾は離れることなくずっとついて離れることはない。
(更にはすし詰め状態。後退したくても、無理でしょうね)
様子を窺っているシプラは手榴弾が履帯に着弾したことを確認すると、次の行動へと移っていく。巻き込まれないようにどう動けば良いのかも、既に計算済みだ。
数秒もすれば履帯は小爆発を起こし、わずかに浮かび上がってその場に立ち往生してしまう。戦車の履帯はまさしく足そのもので、壊されれば前へ進むことはままならない。
ならばその場で戦車砲の角度をつければ良いと調節をしていたが、その角度を決める直前に降り注ぐは銃弾の雨。高台からの銃撃が彼らの視野を狭めて、更にはシプラの位置を隠していく。
(釘付けにしている間、わたしが距離を詰めれば戦車砲は無用の長物。援護の砲撃も、この距離では難しい)
シプラの頭の中では、これまで与えられた戦いの経験によって導き出された答えが溢れている。その中でも最適解となり得る動き――距離を詰めて、戦車隊そのものを各個撃破していく形を選んでいた。
「さて、あとは」
戦車に乗り上げたシプラはすぐに搭乗口にめがけて両親からの授かりもの、相棒とも呼べる散弾銃『レミー』を構えユーベルコード『|近接射撃《クロスレンジショット》』を放つ。
わずか30cm以内の範囲にしか使えないこの力は、範囲内であれば大威力の一撃となる。それが散弾銃ともなれば、バラける銃弾も一つ一つがライフル銃と同じ威力を誇る。
「――歯を食いしばりなさい?」
天から降り注ぐ一撃は、乗り手のオブリビオン達を一人残らず潰す。
その怒りは、結婚式を邪魔された者の怒りなのだと言うように。
大成功
🔵🔵🔵
ジャン・ジャックロウ
北門側の見晴らしのいい場所に移動するぜ。
自分はかつてティグレ大隊長殿との戦いで学んだ事があるんですよ。
…数の暴力はシンプルに強いって事をなあッ!
【野良犬部隊】パンツァーキャバリア班を北門正面に5機。
残りを両サイドの岩山の上に登らせて陣取らせるぜ。
パンツァーキャバリア【グラオザーム】全機、戦車砲を構えッ!目標、敵戦車部隊ッ!
一斉発射、テェェーーーーッ!!
ヒャハッハッハッハッ!それだけ密集してたら回避も防御も出来まいッ!
一方的に蹂躙する様は何度やっても癖になるなあッ!爆音で悲鳴が聞こえないのが難点だがなぁッ!
ティグレ大隊長殿、結婚祝いの花火であります。
少し汚ねぇ花火ですがねえッ!?
【アドリブ歓迎】
●時として、敵との戦いは学びとなる。
ヘラジカ軍曹が差し向けたオブリビオン戦車隊。それらは全てが北門に集まり、戦車砲やら随伴歩兵やらでアスピダの街を侵略しようとしていた。
この光景は、かつてジャンも同じようにティグレに向かっていった時とあまり変わりはない。――まあ、ジャンは多少部隊をバラけさせていたので、ジャンの方が賢いと言えば賢いが。
「でもねえ、俺はあの時のティグレ大隊長との戦いで学んだんですよ」
ニヤリと笑みを浮かべたジャン。その表情は、ティグレとは敵だった頃の彼が少しだけ垣間見える。
「――数の暴力は、シンプルに強いってことを、なあ?」
……あのときと同じ状況ならば、あの手が効くはずだという大きな自信が彼を包み込んでいた。
見晴らしのいい高台で、ジャンはユーベルコード『野良犬部隊』によって呼び出した114体のパンツァーキャバリア隊に指示を下す。その隣ではティグレが戦況確認のために顔を出していた。
「お、ティグレ大隊長。丁度良かった、大隊長にも見せたいモンがありましてね?」
「見せたいもの……?」
小さく笑ったジャンは北門正面にいる5機のパンツァーキャバリア隊に進軍を進める。隣でティグレが少々難を示したが、関係ない。
先行部隊が苦戦を強いられ、後方に控えたオブリビオン戦車隊が長距離砲撃形態になったことを確認したところで……ジャンが大声を張って、別機動隊を動かす。
「グラオザーム、全機! 戦車砲構え!!」
その途端、両サイドの岩山からあふれるのは残り109機のパンツァーキャバリア【グラオザーム】。|残忍《grausam》の名の通り、無慈悲にも全ての機体の戦車砲はオブリビオン戦車隊に向けられ……。
「一斉発射、ッテエェーーーー!!!」
ジャンの掛け声と同時に、全ての砲台から一斉に戦車隊の装甲をぶち抜くほどの一撃が降り注ぐ。1発1発が大地をえぐるほどの威力を誇り、戦車隊の大半を壊滅させる。
「一方的に蹂躙する様は、やっぱ何度やっても癖になるなあーッ!」
数の暴力による戦車隊の駆逐は、ジャンの心を何度も揺さぶってはテンションを高める。1つ問題があるとすれば、その悲鳴が爆音で聞こえない、ということだけだろう。
「やれやれ……、こう言うのを教えたわけじゃあないんだがな」
「何いってんですか、大隊長殿。これは結婚祝いの花火みたいなもんですよ! まあ、少し汚ねぇ花火ですがねぇ! ヒャハハハハッ!」
「……ま、戦いのことしか頭にない私とコーには相応しい、か」
小さく笑ったティグレと、高ぶるテンションを押さえられないジャン。
2人の目下に広がる蹂躙の様子は、他の獣人達のテンションも上げていたようだ。
大成功
🔵🔵🔵
ロウガ・イスルギ
アドリブ・連携歓迎
援護は断りたいトコが無理かもな、無茶だけはしないでくれよ!
履帯狙いの足止めして貰えれば助かるな
岩山狙って戦車に落石させる、とかもいいかも
まあヤバそうになったら助けよう
そういやあるじゃねえか、|傭兵《俺》流のご祝儀……
「勝利」ってヤツが!|降臨《Calling》!ゼロウォリアー!
キャバリア「ゼロウォリアー」に搭乗(オブリビオンマシンなのは秘匿)
グレイプニルXEEDによる通常攻撃及びUC発動により交戦
戦車砲は【残像】【カウンター】を駆使して回避
砲塔狙いによる攻撃力低下及び履帯狙いの移動阻害を狙う
まったく、汚ねえウエディングケーキどもが!新郎新婦の代わりに
念入りに入刀してやらあ!
●|戦車《ケーキ》、入刀!
「援護は……断りたいトコだが無理か。無茶だけはしないでくれよ!」
アスピダの街の人々に声をかけるロウガ。既に他の猟兵達による戦闘が始まってることから、彼らの熱を取り除くのは難しいと判断して無理と無茶だけはしないでくれ、とひと声かけてから前へ出る。
できれば足止めをして欲しいと考えていたが、彼らの考えとロウガの考えはぴったり一致していたようで、街の人々は岩山と街の高台を利用して高所からの足止めを続けてくれていた。
「さて、俺がやるのはたった1つだ。|傭兵《俺》流のご祝儀――勝利を用意してやらぁ!」
ロウガはその手にZIカードを取り出し、その名で呼びかける。
この獣人戦線という世界。目の前のオブリビオン戦車隊を屠るに相応しい機体の名を。
「そのための力を俺に貸せ、ゼロウォリアー! |降臨《Calling》!」
開闢闘士ゼロウォリアーを呼び寄せたロウガはすぐさま搭乗し、オブリビオン戦車隊の真上を飛んで軽量ワイヤーグレイプニルと連動したグレイプニルXEEDを使い、ユーベルコード『|絶冥拘縄《ストラングラーフィニッシュ》』を用いて戦車隊の砲台を縛り上げる。
戦車砲は狙いを定めたばかり。発射ももうすぐといったところでロウガに縛り上げられて砲塔の先端部分を切り落とされたため、僅かなズレが生じてあらぬ方向へと砲弾が発射された。
「よし、いい感じだな!」
ロウガの残像による命中率の分散、砲塔寸断の発射タイミングのズレなどが折り重なり、気づけば並んでいた戦車隊の装甲はボコボコだ。中にいる者達が原型をとどめているのか怪しいほどに。
だが腐ってもオブリビオンということなのか、しぶとく動き続ける者もいる。そういう輩にはしっかりと、ロウガからの入刀式が始まるものだ。
「まったく、汚いウェディングケーキがぞろぞろと……」
はあ、と大きなため息をついたロウガ。せっかくの祝いの場にこんなものが並ぶのは、最悪の日と言っても過言ではない。
だがそれを、何もティグレとコーチカの2人が落とす必要はない。彼らにとっての祝いの日は、そのまま最高の日であって欲しい。
……なので。
「あの2人に代わって、俺が|戦車《ケーキ》入刀してやろうじゃあないか!!」
嬉しそうな声と同時に振りかざされるグレイプニルXEEDが、大地に並んだ|戦車《ケーキ》を切り刻む。
今、この場は結婚式会場。誰だって|戦車《ケーキ》入刀が出来るのだ!
大成功
🔵🔵🔵
シャムロック・ダンタリオン
(アスモダイXを【操縦】し)
ふん、敵の戦車部隊のおでましか。しかしこの状況、敵も大分混乱しているようだな(【戦闘知識・情報収集】)――ああ、街の獣人ども、手出しは無用だ。防衛の準備に専念しておれ(【威厳・存在感】)。
さて、雑魚がどれだけ現れようが関係あるまい。【指定UC】で吹き飛ばしてくれよう(【精神攻撃・衝撃波・全力魔法・なぎ払い】)。あとは適当に戦車を叩き潰してやろうか(【蹂躙・重量攻撃・切断】)。
※アドリブ・連携歓迎
●悪魔の名のもとに
アスピダの街の上空をDSD-X-32「アスモダイX」――シャムロックが操縦するキャバリアが旋回していく。
先立って来ている猟兵達のおかげである程度のオブリビオン戦車隊を蹴散らすことは出来ているが、ヘラジカ軍曹に至るまでの道はまだ出来ていない。
故にシャムロックは空からの情報収集を行い、最適解のルートを導き出す。
「――ああ、そうだ。忘れていた」
ふと、目下で支援を行おうとしているアスピダの街の人々が目についたシャムロック。彼らの前に立つと、悪魔のような威圧感で彼らに指示を下した。
「手出しは無用だ。お前達は街の防衛に専念し、大隊長殿を守れ。式の主役だ、丁重に守るのだぞ?」
そのあまりの威圧感と威厳の高さに、街の人々は無言で首を縦に振ってすぐさまティグレのもとへと走る。結婚式という晴れやかな舞台、主役がいなければ成り立たない。
「……ま、彼らを巻き込むわけにはいかんしな」
これからやることを考えれば、避難していてもらえるほうが助かる。……なんて、|図書館の悪魔《シャムロック》は小さく微笑む。
「さて、雑魚が多いな」
目下に広がるオブリビオン戦車隊は既にボロボロだが、まだ、シャムロックの機体を撃ち落とそうとする輩も存在する。
更には戦車隊から随伴歩兵も呼び出され、街とシャムロックを同時に落とそうとしているのがよくわかる。
「まったく……雑魚が何匹集まろうが、雑魚ということに変わりはないというのにな」
心底呆れるようなため息をついて、シャムロックはユーベルコード『|魔神の威光《デーモンズ・ヘイロー》』を発動。魔神の魂を宿すアイテム――今回選んだのは魔神サブナックの力を宿した魔剣・魔導剣『サブナック』。それを大きく振り払い、禍々しき光の波動を戦車隊に当てる。
|虞《おそれ》を含んだ禍々しい光は戦車隊のオブリビオン達の身体を焼き尽くすだけでなく、脳と視界を闇で覆い尽くし、この世界にあり得ざる存在を見せつけて精神さえもじっくりと壊していく。
この世に悪魔は存在したのだと、オブリビオン達は恐れ慄き混乱していった。
「乗り手がそうなってしまっては、この玩具ももう不要だな?」
壊れた乗り手が乗った戦車なんて、同じように壊れた玩具も同然だと言うように、剣で戦車を叩き潰すシャムロック。
中に乗り手が乗っていようが関係ない。|それ《・・》はもう、棄てるだけのモノだから。
大成功
🔵🔵🔵
来宮・キャロル
心情:一生の思い出への邪魔虫が、大挙して来たわね。TPOを弁えない人達には、キツイお仕置きをしてあげましょう。
戦闘:UC発動して戦車隊の間に突入。そして火之迦具土神とブラスターで履帯を攻撃。「ここから先は通行止めよ!」
履帯を壊した事で、ハッチを開けて来たら、そこから内部の搭乗員へと攻撃。
「無粋な人はサヨウナラよ!」
もしかしたら、植え付けられた殺人鬼の因子の影響で暴走してしまうかも?
「駄目よ……無闇に殺さないって決めたの……。衝動に任せたりしない!」
戦闘終了後はスーツのフロントジッパーを下げて身体を冷ます。
●衝動を抑え込め。
「折角の晴れやかな、一生の思い出。それを邪魔するお邪魔虫が、大挙してきたわね」
大きなため息をついて、キャロルは溢れそうなお邪魔虫――オブリビオン戦車隊に目を向ける。
既に数多の猟兵達によって壊滅状態へと追い込まれたオブリビオン戦車隊だが、まだ生き残りは存在している。車体を長距離砲撃形態に変更している個体も存在するほどだ。
流石にそれはまずいだろうと、キャロルはすぐさま地上へおりてオート拳銃・火之迦具土神とブラスターの二挺拳銃で戦車の履帯を攻撃し、足止めを始めた。
「此処から先は通行止めよ。TPOを弁えない人達に通す道なんてないわ!」
白く長い髪が、大地を駆け巡っては戦車隊の履帯を壊していく。その姿は地上を駆け抜ける星のようにも見え、獣人達は大いに盛り上がった。
履帯が壊されれば、修理班も出てくる。
搭乗ハッチを開けて出てきたオブリビオンの姿を目視すれば、素早く駆け寄って近距離で火之迦具土神による乱射で内部の搭乗員達を全員撃ち殺していく。
「無粋な人は、サヨウナラ! 次の人生を謳歌なさいな!」
戦車内部という、逃げ場を失った搭乗員達。次々に脳や心臓を撃ち抜かれ、一瞬にして死に絶えていく。
他にも致死を免れた者は痛みに耐えきれずに悲鳴を上げて、逃げ場を探そうと狭い車内で逃げ惑う。
そうして飛び散る血飛沫と悲鳴に思わず、キャロルの中に植え付けられた殺人鬼の因子がざわめき立ってきた。
――こんなにも、人の悲鳴が楽しいと感じたことはなかっただろう。
「っ……」
それでも残った理性が、無理矢理に現実へと引きずり込む。目の前にいたのは敵で、それを倒さなければいけなくて、何も楽しいものではないのだと脳内でしっかりと言い聞かせる。
人を超える人を作るために植え付けられた様々な因子がキャロルの戦闘能力を引き上げてくれるのは良いのだが、面白半分で入れられた殺人鬼の因子が何度も邪魔をしてくる。
「ダメ……ダメよ。ええ、無闇に殺さないって決めたの。私は……」
敵だから殺すだけ。何度も何度も繰り返し呟くキャロルは、ぺちん、と一度自分の頬を叩いて気合を入れ直す。
衝動なんかに流されないように、しっかりと、自分は自分で殺人鬼じゃないと言い聞かせるように。
「私は、衝動に身を任せたりはしない」
決意の中で呟いた言葉は、オブリビオン戦車隊の隊員たちの悲鳴の中に流された。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ヘラジカ軍曹』
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POW : スパイラルホーン
【大角】に【ヘラジカの力】を籠めて近接攻撃し、ダメージを与えた対象をレベル×1回転させる。
SPD : エルクロケット
【背負った部下達】から無限に供給される【ロケット弾】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
WIZ : 緊急増援
【味方陣地】から、【ライフル銃】で武装したX体の【獣人オブリビオン兵】を召喚する。X=自身の精神消耗度(0〜10)の2乗。
イラスト:ヒミコ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
オブリビオン戦車隊が蹴散らされ、残すはヘラジカ軍曹との戦いとなった。
しかし軍曹はまだまだ手駒を隠していたようで、複数のオブリビオン部隊を呼び寄せてはアスピダの街へ進軍させる。
戦車隊による大穴を開けられなかった分を小さな部隊で突き崩してやる、という考えのようだ。
「まだまだあの街は制圧できておらん! 進め、我が軍よ! 街1つを全て我らのものに!」
ヘラジカ軍曹の指揮に従い、オブリビオン部隊達はアスピダの街の門を破ろうとあれやこれやの策を練って突撃してくる。
爆破、銃撃、破壊、発火となんでもござれのオブリビオン部隊。門1つを破るのに、いろんな技術を駆使している。
門の耐久度が間に合うのか……そう思った時、ティグレの号令が響く。
「目標、ヘラジカ部隊! お前達は全員奴らの相手をしてやれ!」
その号令と同時に獣人達は皆、街から飛び出してそれぞれオブリビオン部隊と渡り合う。
1人1人がアスピダの街を守るために訓練された戦士たち。簡単に負けることはない。
むしろそれだけの余力を残していたことに驚きを隠せないヘラジカ軍曹。まだ対抗する力を持っていることに焦りを見せていた。
「おーおー、焦ってるなぁ? そんな奴に一発、派手にぶちかましてやりたい……が」
「折角の機会だ、猟兵さんと一緒に|戦って《遊んで》みたかったんだよなぁ!」
まるで子供が憧れのヒーローに会ったときのような反応をするティグレ。
猟兵と共に戦う機会なんて、そうそう無いような気がするなんて笑いながら、得意のショットガンを片手に走った。
「もお、そうやってすぐ前に出るー! ティーさん、ダメだってばー!」
コーチカも同じように、拳銃とナイフを持ってティグレを追いかける。
その様子はどうにも、はしゃぎまくった弟を追いかける姉のような、そんなふうに見えるかもしれない。
ともあれ、ティグレもコーチカもやる気満々。
ヘラジカ軍曹を追い込むのは、今しかない!
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プレイング受付:3/20 8:31~
ボス敵『ヘラジカ軍曹』との戦いです。
場所は変わらず岩山に挟まれた道ですが、戦車隊がいなくなったことで広さが十分にあります。
今回はティグレとコーチカも参戦します……が、プレイングに記載がなければ周りの雑魚を蹴散らすムーブをしています。
ティグレはショットガンと格闘技による中距離~近接の攻撃を得意としますが、現在猟兵と一緒に戦えるー! やったー! 状態なのでバーサーカー状態です。
コーチカはナイフと拳銃による近接の攻撃を得意としています。ティグレを追いかけて止める役割をしようとして、彼の後ろを走っています。
引き続き、キャバリアの使用と飛行は可能。
オブリビオン部隊は全て、獣人達がなんとかしてくれているので気にする必要はありません。
猟兵の皆さんはヘラジカ軍曹のみを狙ってください。
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ロウガ・イスルギ
集団戦で味方を巻き込まないようにキャバリアからは降機、カードに収納
ご苦労さん、ゼロウォリアー!さあて|白兵戦《タイマン》と行こうぜ
|軍曹《ヘラジカ》ドノ!御立派な角を2人の新居に飾りたいねえ!
ティグレには前へ出過ぎないようにそれとなく……
いやハッキリ言わないとわからなそうだなコレは……
燥ぐのはいいが浮かれて前に出すぎるんじゃねえぞ!
結婚記念日を命日にしたくなけりゃなあ!
敵の大角による近接攻撃は【残像】【早業】にて回避
【カウンター】でUC発動。角を落として無力化し仕留める
トロいな、それじゃ俺の尻尾の影にすら届かねえぞ
よく見りゃ大した角でもねえな、さっきの|戦車《ケーキ》より
念入りに刻んでやるぜ!
●この日は大事な日
「ご苦労さん、ゼロウォリアー!」
戦車隊を蹴散らし、残るはヘラジカ軍曹のみとわかった瞬間、ロウガは素早く開闢闘士ゼロウォリアーから降りてZIカードへと収納する。
あとは|白兵戦《タイマン》で殴り合いをして、その角をティグレとコーチカの祝いにでも差し上げてやりたいものだと、牙を剥いて笑うと真っすぐ走った。
一方のヘラジカ軍曹はというと、もう、顔面に冷や汗しか流れ出てこないほど焦っている。
指示ミス? それとも斥候共の調査ミス? それとも……。
ありとあらゆる敗因を考えたが、自分の作戦にミスなど無いはずだと声を荒げると、追加のオブリビオン部隊達にも指示を下す。
そんな部隊達を一気にぶっ飛ばすのが、トラなのに猪突猛進という言葉が似合う男ティグレ。コーチカに怒られながらも、ロウガと共に突き進んできた。
「おいおい、燥ぐのは良いけど浮かれて前に出すぎるなよ!」
「わかってらぁ!」
「本当かぁ!?」
ロウガのツッコミももっともで、ティグレの戦い方はとても荒い。近距離でショットガンを撃ち込み、ヘラジカ軍曹の大角の一撃を素手で握ったかと思えばぐるんぐるんと回転されてふっ飛ばされ、また走って戻ってくる……。
流石に見てられねえな、と思ったのもつかの間、次にヘラジカ軍曹が狙ったのはロウガ。同じ攻撃を2度も見れば残像と併用することで回避も余裕なものだ。
「トロいな。それじゃ俺の尻尾の影すら届かねえぞ?」
嘲笑うようにヘラジカ軍曹の動きに合わせて残像を作り出すロウガ。そのうちパターンを理解したヘラジカ軍曹がロウガ本人に近づいてくるのだが、そのカウンターにロウガはユーベルコード『|絶冥拘縄《ストラングラーフィニッシュ》』を発動。グレイプニルに力を込めると、不敵に笑う。
「――なあ、|軍曹《ヘラジカ》よぉ。パズルは得意か?」
ロウガのその問いにヘラジカ軍曹が答えようとするのだが、それよりも前にグレイプニルがヘラジカ軍曹の体毛を掠めて切断していく。
1回、2回、3回……振り回せば振り回すごとに作られるワイヤーはやがて猛獣を捕まえるための檻と化し、ヘラジカ軍曹の身体を切り刻む。
「あー……」
切り刻み、ぱらぱらと落ちるヘラジカ軍曹の角。頑丈なのは変わらないのだが、ワイヤーの切断は角の先端をごっそり削ったようで。
「よく見りゃ、大した角でもねえな」
ははっ、と軽く笑ったロウガ。
――だったら、さっきの|戦車《ケーキ》よりも刻んでやるか。
なんて言葉がヘラジカ軍曹に聞こえていた。
大成功
🔵🔵🔵
黒蝮・十三
さて、と。
残る大物はヘラジカ軍曹だけか。
まだ戦力を残していたらしいが、大体は歩兵部隊。
指揮官たるヘラジカ軍曹を抑えてしまえば烏合の衆とやらだろう。
さあ、仕留めてやろう。
ふむ、単体でも手数は結構なものらしい。
だが、装弾手がまる見えなのが弱点と見た!
ティグレ、コーチカ! 俺がヘラジカの背中を狙撃してロケット弾を暴発させる!
その隙をついてキツイ一撃を入れてやってくれないか?
俺はその間に次弾をチャージし、【インソムニア・スナイプ】で必殺の一発をヘラジカの頭に撃ちこんでやる。
人の恋路を邪魔する奴は……なんて言うが、ウマに蹴られた方がマシだったかもな、ヘラジカさんよ。
●睨まれたヘラジカ
「さて、と……」
視線をヘラジカ軍曹に向けた十三は呼び出されたオブリビオン部隊が歩兵部隊のみであることを確認し、ヘラジカ軍曹のみを叩けば良いと判断を下す。
「烏合の衆となれば街の人々も簡単に倒せるだろうしな。さあ、仕留めてやろう」
するすると音を立てず、前へ進む十三。オブリビオン部隊と街の人々が戦う中、合間を縫ってヘラジカ軍曹に近づいて距離を縮めている。
その間にヘラジカ軍曹が新たな部隊を呼び寄せ、更には自分が背負った部下達から無限にロケット弾が供給され始めている。
「ちっ、やっぱ範囲系も持ってるか。となれば……」
同じように距離を詰めていたティグレとコーチカが見えた十三。彼はヘラジカ軍曹の背に丸見えなロケット弾を見て、ある作戦を2人に告げた。
それは、スナイパーである|十三《自分》がロケット弾を暴発させた隙を狙って一撃を与えてくれというもの。暴発の瞬間はたとえどんな軍人でも恐れ、慌てるしかないのだから叩き込むのならそこだろうと。
「なるほど、なら、タイミングはそっちに任せたよ。ティーさん、行こう!」
「おうともさ! はははっ、楽しくなってきたなぁ!」
「あんまり近づきすぎるなよ、巻き込まれたくなかったらな!」
真っ直ぐにヘラジカ軍曹へと突撃する2人を見送った十三は、素早くデアボリカライフルを構えると照準をヘラジカ軍曹の背後のロケット弾へ向け、一瞬の内に引き金を絞る。
パァン、と放たれた弾丸は直線上のティグレとコーチカをすぐさま追い抜いて、ヘラジカ軍曹の背に並ぶロケット弾に着弾。中の機構を貫いて穴を一発開けると、中の引火物質に着火。大きな爆発が1つ上がって、それに並んで他のロケット弾も誘爆していく。
何が起こったかと慌てるヘラジカ軍曹だったが、ティグレとコーチカの接近には気づいている。だが僅かに爆発に気が向いてしまったために、彼ら2人の必殺の一撃を回避する手段を取ることは出来ない。
「さて、ヘラジカ軍曹よ。人の恋路を邪魔するやつは……なんて言うが……」
彼らが一撃を与える間、十三は次弾を装填して再びスコープを覗く。今度は誘爆のためではなく、ヘラジカの頭を貫くために照準を合わせ、ユーベルコード『インソムニア・スナイプ』で毒弾丸の呪いを充填し続ける。
「――もしかしたら、馬に蹴られたほうがマシってやつだったのかもしれないぜ?」
トラとネコとヘビに睨まれたヘラジカに逃げ場など何処にもなく、真っ直ぐに毒の弾丸はヘラジカの頭を貫いた。
大成功
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シャムロック・ダンタリオン
(引き続き、アスモダイXを【操縦】中)
ふん、街一つに随分とご執着だな。だがそれもかなうことはあるまい。
…それにしても、味方も血気盛んだな。よかろう、雑魚は任せた。大将首は僕たちが取ろう(【威厳・存在感】)。
さて、増援をいくら呼ぼうが関係あるまい。「破壊」の「竜巻」で蹴散らせてやろうか(【属性攻撃・全力魔法・なぎ払い】)。
あとは鉄塊剣で適当にぶった切ってやろうか(【重量攻撃・切断】)。
そしてすべて終わったら、改めて街の観光でも決めておこうか(【世界知識・情報収集】)。
※アドリブ・連携歓迎
●悪魔の前に増援は関係なく
「ふん、街一つにずいぶんとご執着だな?」
DSD-X-32「アスモダイX」に騎乗し、空からの旋回で地上の様子を確認するシャムロック。
アスピダの街を奪うと豪語するヘラジカ軍曹。何故そこまで街に執着し続けるのか多少の興味もあったが、その願いが叶うことはないと知っている彼は次にアスピダの街へ目を向ける。
「おーおー、そっちも血気盛んだなぁ」
街の人々も戦いの中で生きていることを実感しているためか、さっきまで結婚式のお祝いムードとは全く違う豹変ぶりを見せている。それもまたこの世界の住人ということなのだろう、シャムロックは雑魚は全て任せたと威厳ある言葉で彼らを激励しておいた。
「……うん?」
そろそろヘラジカ軍曹への攻撃を、と思い近づいたその瞬間、ヘラジカ軍曹は陣地内に存在していた獣人オブリビオン兵達にライフル銃の武装を許可する様子を見せていた。
先立って呼び出された者達よりも少々武装が多い獣人オブリビオン兵。後からの波で体力を消耗した街の人々を一掃する気なのだろう、ライフル銃も歩兵部隊より威力が高いものを装備していた。
「確かに兵法書などではよくある動きだな。……よくあるからこそ、その程度の知識では僕に簡単に薙ぎ払われる」
パチン、と指を鳴らしたシャムロックは自然現象の中でも最も身近にある風に語りかけ、ユーベルコード『エレメンタル・ファンタジア』の起爆剤を作り出す。
はじめは小さな風となって獣人オブリビオン兵の中に生まれ、兵の中をゆるやかに駆けていく。やがてシャムロックから魔力をじわじわと流し込まれると、風は旋風となって獣人オブリビオン兵の身体をざわざわと奔り……やがては辺り一面を破壊する竜巻へと成長する。
竜巻の中に飲み込まれれば、如何に獣人と言えども流れに逆らうことは出来ず、空へと投げ出される。鳥型の獣人ならばそれが如何に恐ろしいことがよくわかるもので、たとえるならば空の津波と同等なのだ。
「いくら増援を呼ぼうと関係なく、あのように打ち上げてやろうじゃあないか」
小さく笑ったシャムロックはアスモダイXにRX鉄塊剣をもたせると、適度な力を込めて振り回してヘラジカ軍曹を叩き潰す。
何度も何度も、何度も何度も。
「さあ、ヘラジカ軍曹、貴様もどうだ? 竜巻という、空の津波の中に溺れるのも悪くはないぞ?」
竜巻に溺れるならばさぞ良い光景も見ることが出来るだろうよ。
……なんて、悪魔は嘲笑っていた。
大成功
🔵🔵🔵
来宮・キャロル
心情:ようやく、親玉の登場ね。さっさと倒して、結婚式の続きをしてもらわないと。
戦闘:ティグレ達と他の猟兵とも連携してヘラジカを攻撃。他の人は攻撃しようとしたら2丁の銃で攻撃して注意を逸らす。UCの発動とカットを繰り返し、緩急の差でヘラジカを翻弄。
「自分が結婚出来ないかって、他人の結婚式を狙うなんて、随分と僻み根性なのね。」
反論してきたら
「結婚出来ない人って、皆んなそう言い訳するのよね。ヤダヤダ。」
なお、UCで他の人を巻き込まない為と、機動力を奪う為にヘラジカの足元を狙う。
●街を襲う理由
「ようやく親玉の登場ね……」
ふう、と軽く呼吸を整えて、キャロルは視線をヘラジカ軍曹へと向ける。
他の猟兵達によってズタボロにされながらも、彼はまだまだオブリビオン部隊を進軍させる。街を手に入れ、ティグレとコーチカの結婚式を台無しにすることで|彼《ティグレ》の尊厳やら何やらをぶち壊しにしたいそうで。
そのために用意したロケット弾を次々と背負った部下から発射しては、空で撃ち落とされるを繰り返す。
ユーベルコード『銃神顕現』を駆使し、銃に宿った神気を身に纏って高速移動でヘラジカへ近づくキャロル。人の身でありながらもティグレやコーチカの速度についていけるように調節をし、彼らの攻撃の合間に火之迦具土神とブラスターの二挺拳銃でヘラジカへ一撃を与えていく。
とは言え速度で翻弄されるが故に、動きの遅い者を狙おうとするのもまた定石。ヘラジカ軍曹は標的をキャロル達から街の人々へと変更すると、ロケット弾の軌道を変えた。
「あら、あなたの相手はこっちなのだけど?」
キャロルは自分が相手にされていないことに気づくと高速移動を止め、ロケット弾に向かって銃弾を打ち込んで銃撃による衝撃波で内部破壊を行う。適切なタイミングでユーベルコードの発動とカットを繰り返すことで、ヘラジカ軍曹のフラストレーションを貯めることに成功していた。
「自分が結婚できないからって、他人の結婚式を狙うなんて……ずいぶんと僻み根性なのね」
ヘラジカ軍曹の隣を通り過ぎる間際、挑発のための一言をぶちまけたキャロル。それに対してヘラジカ軍曹は大層お怒りなもので、ぎゃあぎゃあと反論さえも繰り返す。
結婚なんて出来ない理由はいくらでもある! というのがヘラジカ軍曹の主張。自分のせい、他人のせい、環境のせいだとわめき散らかしては、その声に比例するようにロケット弾をぶち込んでいった。
「そう言う人ってだいたい他人のせいにして、自分のせいって気づかないのよね」
「それに結婚できない人って皆そう言う言い訳ばかりするのよね。あー、やだやだ。これだから周りが見えていない人は面倒なのよねえ」
はあ、とため息を付きながらも、キャロルの両手は引き金を絞ってヘラジカ軍曹の足元を撃ち抜いていく。他の仲間達を攻撃しないように配慮しつつ、ヘラジカ軍曹に適切な一撃を与えるための処理。
「……そもそも、周りが見えてないからこうして攻撃されてるんだっけ」
キャロルの声を最後に、火之迦具土神から放たれる弾丸がヘラジカ軍曹の足を大きくふらつかせた。
大成功
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シプラ・ムトナント
ティグレさんにコーチカさん、宜しくお願いします。
わたしの装備も散弾銃、色々と学ばせて頂きますね。
では、行きます……まずは距離を詰めて、|散弾銃《レミー》による【零距離射撃】を。召喚された兵士も含め、一射で一人を倒すつもりで参ります。
散弾銃は範囲が広い、誤射をしない・されない位置取りを心がけます。
恐らく我々も無傷ではいられませんが、ここからが|衛生兵《メディック》の本領発揮です。
『回復薬弾・癒しの雨』を使います。お願いね、レミー!
これは傷を癒し、再行動を促す薬剤の雨。
わたしの間合いはお二人と概ね同じ、範囲の心配は不要ですね。
活力が戻られたのなら……お二人で|共同作業《同時攻撃》はいかがでしょう。
●今この瞬間も学びの時
「ティグレさん、コーチカさん、よろしくお願いします」
小さく、シプラはティグレとコーチカに向けて挨拶をするのだが、そんな暇があるなら前へ進めとティグレは言う。
同じ散弾銃を持つ者同士、学べる部分は多々ある。今この時も学びの瞬間であるのだと考えるシプラは、2人の援護を開始する。
距離を詰めなければ散弾銃は威力が低下する。そこでシプラは道すがら、ヘラジカ軍曹が呼び出したライフル銃で武装された獣人オブリビオン兵向けて零距離射撃を撃ち込み1射1撃の勢いで数を減らしていく。
何体呼ばれようが関係ない。誤射しない・されない位置取りを行いつつ、一射必中の心得を散弾銃『レミー』と共に持って切り抜けていった。
「くっ……!」
しかし近づくということは相手の射程距離にも入るということ。ティグレもコーチカも、ヘラジカ軍曹に近づくために獣人オブリビオン兵の群れの中を走るため、彼らのライフル銃の一撃を身体に受けてしまう。
一発、また一発。銃弾が身体を掠めるたびにチリチリと体毛が焼けていくティグレとコーチカ。それでも前へ進むのは、街を守りたいという一心が強くそこにあるからだった。
「ならば、|衛生兵《わたし》のやることは!」
一旦足を止め、シプラは相棒のレミーを空へと向けて銃弾を放つ。空へと飛び上がった銃弾はやがて空で弾けると、回復薬剤の雨を降らせていく。
ユーベエルコード『|回復薬弾・癒しの雨《メディカルシェル・ヒールレイン》』。|衛生兵《メディック》であるシプラの強みであり、その雨を受けた味方達はたちまちに負傷を回復し、疲れ切った足を再び動かす力を与える。
「おお……これは……!?」
「すっごい。猟兵さんってこんな事もできるんだ!?」
丁度範囲内に存在したティグレとコーチカの身体負傷が回復すると、再び行動を開始する2人。街を出るときよりも身体が軽いと騒ぐティグレは、シプラのある提案を受け止めてコーチカと共同作業を開始した。
ヘラジカ軍曹の周りには命令を待つ獣人オブリビオン兵の軍団が存在している。
皆、それぞれが命令を受け取るとアスピダの街へと進軍を開始していた。
「……うん?」
ふと、ヘラジカ軍曹が空を見上げたその瞬間、オブリビオン兵達を撃っては蹴って、撃っては蹴ってを繰り返す者――ティグレが近づいていることに気づく。
急ぎ反撃の構えを、と思ったその瞬間にはヘラジカ軍曹の足にコーチカのナイフが突き刺さり、動きを鈍くする。
「ふふ、いいですね。お2人の|同時攻撃《ケーキ入刀》……良い連携です!」
後ろで支援を続けていたシプラは、共同作業を見ることが出来てとても嬉しそうな表情を浮かべていた。
大成功
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ジャン・ジャックロウ
御機嫌いかがですかなヘラジカ軍曹殿ッ!
いやぁ~軍曹殿がティグレ大隊長殿の結婚式の御祝いに駆け付けるなんてッ!
しかも自分の部隊壊滅なんて面白い催しまで用意するとはッ!いやはや流石軍曹殿だ、ヒャッハッハッ!
ヒッヒッヒッ、脱走兵相手にそんな怖い顔しないで軍曹殿。
ってロケット弾を乱射してきがった。なら俺も【血に餓えた獣の神駆】を発動。
超えるぜレッドゾーンッ!
高速で駆け回ってロケット弾を避けながら通り過ぎ様に『銃剣【ダカーハ】』でぶった斬っていくぜぇッ!オラオラ、こっちだこっちッ!
俺ばっかり見てて良いのか、ヘラジカ野郎ッ!
スキだらけのテメエ相手に新郎新婦が初めての共同作業してくるぜぇッ!
【アドリブ歓迎】
●新郎新婦の共同作業(赤い背景付き)
「くかか! ご機嫌いかがですかなぁ、ヘラジカ軍曹殿ッ!!」
悪い笑いを引っ提げて、ジャンはその手に銃剣【ダハーカ】を構えてヘラジカ軍曹の前へ出る。
以前はゾルダートグラードに所属していたジャン。彼と会うこともあれば、共闘したこともあっただろう。
だが今は、猟兵となった今はもう、ヘラジカ軍曹は完全なる敵となった。そんな彼に向けてジャンは顎に手を添えながら、嘲笑うようにヘラジカ軍曹に向けて言い放つ。
「軍曹殿がまさかティグレ大隊長殿の結婚式の御祝いに駆けつけるなんて。いやはや、|面白い催し《自部隊壊滅》まで持ち込むとはねえ!」
かっかっか! と大きく笑ったジャンに向けて、ヘラジカ軍曹は怒り心頭だ。脱走兵如きが、と叫んだ後に背負った部下達からのロケット弾をありったけの数だけぶち込んでいく。
「おっとっと、怒らせちった。ホント、怒りっぽいのも相変わらずですなぁ」
やれやれと肩をすくめて、ジャンは一時その場を離脱。少しだけ距離を取ると、ジャンはそのままユーベルコード『|血に餓えた獣の神駆《アクセラレイター・ビースト》』を発動。己のうちに秘めた獣の本能を具現化させたような真紅の疾風を身にまとう。
「――超えるぜ、レッドゾーン!」
ロケット弾の弾速よりも早く、深紅の風がヘラジカ軍曹を通り過ぎて切り刻む。その一撃の正体は紅の疾風と変貌したジャンの銃剣【ダハーカ】によるもので、速度と角度をつけて思いっきりヘラジカ軍曹の身体を切り刻んでいた。
既に幾人もの猟兵達の力を受けたヘラジカ軍曹の身体、ジャンの一撃を受け止められるはずもない。|紅《風》は|赤《血》を呼び、辺り一面を緋色に染め上げる。
息も絶え絶えなヘラジカ軍曹。こうなれば、脱走兵であるジャンだけでも道連れにとロケット弾の照準を彼に合わせるが、ジャンは人差し指を軽く左右に振ると、ヘラジカ軍曹に向かってアドバイスを与えた。
「俺ばっかり見てていいのか、ヘラジカ野郎。――隙だらけのテメエ相手に、新郎新婦の初の共同作業が待ってるぜぇ!?」
大きく笑ったジャンの言葉に、一瞬振り返るヘラジカ軍曹。
その視界に大きく映ったのは砲身をヘラジカ軍曹の頭に向けたティグレの姿と、喉に向けてナイフを突き立てるコーチカの姿だった。
●結婚式、無事に終わる。
ヘラジカ軍曹が倒れ、アスピダの街は無事に守ることが出来た。
残るは結婚式の続きのみ……と思われたが、既に共同作業をしていることから「これ以上はもういいんじゃね?」という雰囲気に包まれていた。
「あー……まあ皆がそれでいいって言うなら、いいんだけどな?」
「うーん、残念。でもまあ、いい式だったからいいかなぁ」
「え、本当に? コーさんがそう言うなら」
「んもー」
戦闘が終われば、新郎ティグレも新婦コーチカも穏やかなもので楽しそうに笑っている。
結婚式が壊されても、戦いの中で共同作業が出きたからそれでいいや、というカンジダ。
これから先、アスピダの街は2人を中心に守られていく。
猟兵達と共に戦った経験をもとに、更に強くなっていくのだ。
大成功
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