「さて」
眼鏡を指で上げ、アンク・オーウェン(人間の戦場傭兵・f00928)は鋭い目付きをしかめっ面に歪めながら口を開いた。
「諸君、ラスボス、という奴だ。銀河帝国、その頂点にして唯一の敵と、直接対決になるな?」
オブリビオン・フォーミュラと冠された敵だ。
今までの敵とは、そう。
「次元が違う」
何もかもが違うのだ。
「今、奴は、旗艦であるインペリウム内に座している」
そのインペリウムを、外から破壊するのは不可能だと、アンクは言う。
いや、厳密に言えば可能なのだ。
スペースシップにある全ての艦が一週間程、全力の砲撃を加えれば、破壊はなせるかもしれない。
「ま、当然だがそんな余裕はない。カタストロフまでの時間も、戦艦のエネルギーもな」
だが手はある。
「グリモアだ」
転移を用いた、インペリウム内への突入。
それが、グリモア猟兵の力なら可能だ。
つまり、銀河帝国の皇帝を直に、叩いて倒す。
「さて」
と、一息。
帝国の旗艦、王の座す船、インペリウム。
それは、皇帝の手のひらの上だ。
侵入すれば即座に見つかり、こちらが奇襲を受けることになる。
そしてそれは、どう足掻いても避けられない。
「だから、覚悟をしてくれ。主導権は敵にある」
その避けようのない事実に対してどうするのか。
それは、実際の相対で掴むしかない。
「では、覚悟が出来たら言ってくれ。私の役目は、十全な君たちを送り届ける、それだけだからな」
そう言ってアンクは、用意する猟兵達の姿を見守っていた。
●
独りだと、彼は言う。
事の成り立ち、その総て、あらゆる物事。
それは、自分一人から始まったことなのだと。
遥かな昔、生まれ出瞬間も。
滅びより立ち戻り、現世に浮上した時であっても。
「独りだ」
圧倒的な力。
戦闘力、求心力、政治力。そういった、単純ではない力を、彼は備えていた。
結果としてそれは群となり、軍へとなって、国になった。
だが、それを経たとして、何か変わっただろうか。
「ーーいいや、変わってなどいない」
増えた配下は数多い。だがそれも、皇帝の下にあってこそのもの。
「我一人、ただそこにあればいい。そうである限り、銀河帝国は、銀河帝国足り得るのだから」
馳せ参じる配下をその身に取り込み、エネルギーとした彼は。
ただ一人、玉座に居る。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
銀河皇帝は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
そういうシナリオです。
世界を救うための、一つの戦いを、少しお手伝いさせていただきます。
第1章 ボス戦
『『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザー』
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POW : マインド・クリエイション
【銀河皇帝を不老としている生命維持機能】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【白騎士と同性能の人型兵器『マインド』】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : フォース・インベイジョン
【銀河最強のサイキックエナジー】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【意志とユーベルコードを奪う洗脳念波】で攻撃する。
WIZ : ワープドライブ・ペネトレーション
【外宇宙から、知られざる『黒き槍の船』】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑14
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
コゼー・カッツェンバッハ
ぐぬぬ…ボクの力では、銀河皇帝に有効な攻撃を与えるのは難しそうであります。
そうであれば、守護者としての力を見せる時であります!相手がマインドクリエイションで変身している間に、ボクもUCを発動させ、できる限り大きな像になるであります。銀河皇帝の攻撃をどれだけ防げるか…フフ、武者震いがしてきましたな。
敵のフォースインベイジョンは、どうやら視認した相手への攻撃のようですので、他の猟兵どのには、ぜひボクの後ろに隠れて、この攻撃を防いで欲しいであります!
※アドリブ大歓迎であります!他の猟兵どのと共同で書いていただいてもいいですし、先に描写してもらって、他の猟兵どのが出撃しやすくなっても嬉しいであります!
●
コゼー・カッツェンバッハ(もふもふの大盾・f06648)は歯噛みしていた。
インペリウムへと飛ぶ最中、自身の能力について考え、その結果。
「ボクの力では、有効な攻撃を与えるのは難しそうでありますな……ぐぬぬであります」
戦闘に置いて、攻撃力の面で貢献は見込めない。
そのことに関しては、悔しいがどうすることもできなかった。
しかし、出来る事もあるとも思う。
攻撃力が低いのは、イコール、戦力にならないということではない、と。
「守護者としての力を見せる時でありますな! ふふ、どれだけ皇帝の攻撃を防げるのか……おっと武者震いが」
奮い立つ感情を抑えて、浮遊感の喪失と共に着地を感じる。
同時、息を吸い込んで、一拍。
「我は、コゼー・カッツェンバッハ!」
告げる。
「森羅万象の盾となる者なり!」
そうして彼は、その身を巨大な像へと変化させていく。
守りの力、あらゆる敵へ備える力。
それをもって、皇帝の攻撃に耐えると共に、その後訪れるであろう仲間を皇帝の視界に納めないように、と。
そこまで考え、しかし。
「ーー!?」
全く動けない代償は、全身に叩き付けられる光線によって砕かれることになった。
消える意識の中、彼が見たのは、白い鎧の騎士だった。
苦戦
🔵🔴🔴
フロース・ウェスペルティリオ
視認してる対象を攻撃するのなら、視覚を一時的に出も奪えばいいのかな?
うん、物は試しに光と音の爆弾投げつけてみよう
普通の道具だけど、ざっと10個ほど
近くに他の猟兵さんが居たらごめんなさい
船内を液状にした身体でこっそり移動
天井から光と音の爆弾をちょっとだけ時間差で発動するよう投げ込むよ
光の中で、ウチは視覚と聴覚系の器官は塞いでおいて、事前に【情報収集】した皇帝の位置に、1撃だけお見舞いしようか
【早業/目立たない/暗殺】で、喉元とは言わずとも、腕の一本くらいは届くかな?
UC使わなくて済むならそれに越した事はないけれど、対峙してみて必要だと思ったなら、光と同時に使用
その一撃の成否に関わらず、帰還するよ
●
「視認している対象への攻撃」
フロース・ウェスペルティリオ(蝙蝠花・f00244)は、聞いた皇帝の能力を口の中で反芻する。
「……なら、一時的にでも視覚を奪えばいいのかな? うん。物は試しと言うしね」
懐を、服の上から触って、そこにあるものを感触で確認する。
閃光と音を発する爆弾が、おおよそ10個。
インペリウム内に降り立ち、直ぐ様体を液状に変える。
ブラックタールである個性を使って、こっそりと移動するためだ。
そうして、彼は銀河皇帝の姿を見る。
ーー座っていた。
肘から腕を立て、頬杖を付き、まるで無防備に。
「……ッ」
その瞳は、フロースを見ていた。
皇帝がその身に内包している、膨大な量のサイキックエナジー。
それはインペリウム内全てを掌握し、視覚という機能で認識される。
その前では、例え姿を変えようと、透明になろうとも。
在るのならば、見つかるのだろう。
それを肌で感じたフロースは、即座に爆弾を投げ、同時にダガーを握って襲い掛かった。
つもりだった。
「な」
不快な感覚が思考を襲う。
握る筈の五指には力が入らない。
ただくたに、彼の体は、落ちていく。
失敗
🔴🔴🔴
白金・ジュン
【イチゴ味】3名
WIZ判定
「ヘロドトスの戦い」の古代遺跡船
そこで手に入れた「ワープドライブを阻害するフィールドの発生装置」
の設計図から簡略小型化した限定的な阻害装置を仲間と作成
現場に持ち込み起動させて敵のワープ能力を一時阻害する
転移直後にダミー(手提げケース型)を掲げそこに攻撃を誘導して先制攻撃に対処する
第六感で攻撃が当たる瞬間を感じ取りオーラ防御と気合で攻撃をしのぐ
装置起動後は渾身の攻撃を叩きこむ
銀河皇帝
アンタは何のために銀河帝国を作った!
銀河を統一しなくては叶えられない夢があったんじゃないのか!
オブリビオンが出現する為の端末に成り下がってそれで満足なのか
答えろ!リスアット・スターゲイザー!
神舵・イカリ
【イチゴ味】3名 WIZ判定
「お前が、皇帝か…」
転移した先で待ち受けるのは倒すべき敵。世界の平和も目の前の誰かを助けることも同じく大事だから
「みんなを守るために、ここで倒す!!」
ワープ妨害装置のダミーをジュンが掲げるのに合わせて、
「これが俺たちの秘策だ! お前の力はこれで封じてやるぜ!」自信満々に、そう言い放つ
皇帝の先制攻撃に対して、【オーラ防御】と【時間稼ぎ】の技能で防ぎ、起動の時間を稼ぐ
起動後、ユーベルコードによって模倣した皇帝の技を叩き込む
「自分の力で沈め…! 偽典/イミテイト・ペネトレーションッッ!!」
皇帝の黒い槍の船と同等の物を呼び出して撃つ
皇帝の槍を破壊して、五感へのダメージも期待
メーティオル・スター
【イチゴ味】3名 WIZ判定 銀河皇帝自体は割とどうでもいいんだけど。 オレが大冒険を繰り広げる(予定)の宇宙をあんまり締め付けられても困るんだよね。 仲間と作ったワープドライブ阻害フィールド発生装置をオレのバイクに組込んで出発! フィールド発生のタイミングは皇帝が現れた直後! 第六感とかで先読みできたらいいな。(演出的には「局所的近未来予測システム」もありかも) 装置の操作は、 仲間がダミーに誘導してくれてる後ろでこっそりとね。 ワープを封じたら、逃げられないように鞭で縛る! そして白騎士にボコボコにされた恨みも上乗せしてビリビリさせる! めちゃくちゃ痛かったんだからな!
「作戦があるんだ」
白金・ジュン(魔法少女使い・f05521)は出立前、二人の仲間にそう打ち明けていた。
手のひらに持った機械、険しい顔でそれを見せて、一息。
「これで、銀河皇帝のワープドライブを阻害する」
言った。
「阻害……?」
聞き返したのは神舵・イカリ(転生したらVtuberになってた件・f03294)だ。
メーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)も、その隣で首を傾げている。
「ヘロドトス、その遺跡船の中で虹色の光に教えてもらった。一時的、限定的だけど、これで皇帝の力の一端を封じられる」
それは、かなりの優位性だと思える。
だが、その強力な性能故に、幾つか制限があった。
だから。
「……作戦がある」
繰り返し言って、ジュンは説明を始めた。
●
そうして、空間をジャンプする。
インペリウム、銀河皇帝の統べる世界へと、侵入した。
そこはすでに戦地で、遠く離れた所に皇帝が居るのが解る。
「お前が、皇帝か……」
ゴクリと、イカリの唾を飲む音が響いた気がした。
その横でジュンは、手提げケースを高く掲げ、
「こいつは、俺たちの秘策だ! お前の力はこれで封じられる!」
一歩を踏み出したイカリが大きく告げる。
(……と、言う体で、だよね)
アクセルをフルスロットルに。
緩やかな曲線を描きながら、バイクを駆ってメーティオルが行く。
ジュンが掲げるケースはブラフ。本命はメーティオルのバイクに据え付けてある。
なぜなら。
「……限定的、だもんな……」
ワープドライブ阻害装置の制限のせいだ。
そもそも、有効範囲が狭かった。
さらに言えば、ワープドライブが発動する前に範囲へ取り込まなければならない。
発動した後では遅いのだ。
だから、皇帝の目が、ケースに引かれている間に。
「まあぶっちゃけ割りとどうでもいい感あるけど……オレの大冒険予定な宇宙をイジメられても困るしな……!」
行く。
皇帝の目が、ジュンを見て、イカリを見て、そしてメーティオルを見てから、小さく息を吐いた。
「忌々しい」
言葉もだ。
つまらなそうな視線でジュンの手提げを見つめ、発動しないワープドライブの能力に舌打ちを一つして。
「忌々しいな」
電撃を放つ鞭を振るメーティオルを、払うように手を振って弾き飛ばした。
「がっ……!」
バイクごと彼の体は宙に投げ出され、明後日の方向へ吹き飛ぶ。
「それを封じた程度。その程度で我に勝てると言うその考えが、忌々しいぞ」
先制攻撃への対処に傾注する余り、その後が躓いていた。
イカリが四門の艦砲を展開する間に、皇帝は距離を詰める。
「しまっ」
「ーーマジピュア・ウェイクアップ!」
凶刃が振るわれる、その瞬間に割り込むのはジュンーーの喚び出した霊体だ。
「アンタは何のために銀河帝国を作った、統一しなくては叶えられない夢があったんじゃないのか!」
マジカルロッドで弾き、一歩を下がる皇帝に、イカリは砲火をぶちこむ。
「みんなを守るために、ここで……!」
倒す。その想いが、皇帝に傷を負わせた。
少女の霊体を追撃に向かわせながら、ジュンは言葉を続ける。
「オブリビオンが出現する、その為の端末に成り下がった今……それで満足なのか。答えろ、リスアット・スターゲイザー!」
「貴様が我の何を知ったか知らぬ。いいや、知った気になっているだけだ。勝手な思い込みで、気安く台詞を吐くでないわ……!」
返答と共に、強力な力の奔流が霊体を消滅させた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
大神・零児
召喚した狼型の炎(ゴーストウルフ)は半分を防御と感知用に自分の周りに
半分は攻撃に
防御兼感知用の炎と「第六感」「野生の感」も併用して『黒き槍の船』の軌道を「見切り」、「武器受け」と「オーラ防御」で防御か「ダッシュ」による「残像」と「フェイント」で回避
回避、防御が間に合わないならばとっさに「カウンター」ぎみに妖刀「魂喰」で「念動力」をのせた「なぎ払い」で「衝撃波」を放射状に放ち『黒き槍の船』を打ち消す
攻撃側は全て「ダッシュ」させて立体的に動かし「残像」を発生させ撹乱、それによる「フェイント」と「だまし討ち」により、死角から回り込ませた炎で「衝撃波」を発生させながら「2回攻撃」
(アドリブ&共闘歓迎)
花巻・里香
先制攻撃は恐らく奇襲される考えで良いのでしょうけど侮れないわね
風景に擬態(変装)したフォース・ストリングを私の周囲に展開し
糸による感知網を敷き、船の動きを見切り回避するわ。
更に念動力で対象の動きや速度を抑え、軌道を逸らしたりと回避補強。
回避の際に傾国のチョーカーから放ったフェロモンで船のマーキングも試みましょう。
回避に合わせて【偽瞳孔の外装人形】狙撃手の視線を周囲に放ち、狙い撃ちされている等と狙撃の恐怖を与え、動揺を誘い、好機を誘き寄せたらだまし討ちする様に双鎌の薙ぎ払いや呪蜂の矢筒から作り出した誘導矢と大弓の一撃を。
コレはあくまでも「見えている」と欺くモノだから上手くいくと良いのだけれどね
「魔狼、降臨」
大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は、到着と共に狼を放つ。
いや、厳密に言えばそれは、狼の形をした炎だ。
赤と青、大小と、いくつかの組み合わせで現れたそれを、彼はきっちり11体ずつの二班に分ける。
「来い……!」
その11体を、先ず自分の周りに。
残り11体を、皇帝に向けて。
「行け!」
命じる。
防御と攻撃に振り分けた命令だ。
備えるのは、銀河皇帝が使うワープドライブからの襲撃。
「熱感知に勘で……見切れるか……?」
発見の極めて難しいユーベルコードが来るのだ。意識外からの一撃で即座にやられる事があってもおかしくない。
だからそうならないようにと、警戒を密にして。
「危ない!」
しかし、横っ腹からぶちこまれる衝撃に、零児は吹き飛ぶことになる。
単純な力量不足による、感知の失敗だ。
「っつう、く……!」
だが思ったより、ダメージが少ない。
本来ならば、不意を打たれた時点で意識も吹き飛んでおかしくなかったはずだ。
しかし実際はそうならずに、彼は震えながらも立ち上がることが出来る。
「無事? それならよかったわ」
それは、花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)の力によるものだった。
左右の五指、合わせて10本の先から繋がる極細糸が、彼女の触覚する範囲。
それにより、出現した槍の船の接近をいち早く察知していたのだ。
それにより、零児へ向かう力を、里香は念動力を使って減衰させていた。
「ふん」
猟兵の対応を、皇帝はただ見ていた。
いや、見ていただけではない、次の攻撃は既に始まっていた。
複数のオブリビオンを取り込み得たエネルギー。手をかざし、それを放出する。
「く……!」
「っ!」
ただの攻撃だ。
しかし皇帝の能力は、ただ振り払う動きだけでも相当の威力を孕んでいる。
だが、腕を交差させ耐える二人も、ただ耐えるだけではない。
「……偽瞳孔」
里香の視線が、皇帝を間合いに捉えた。
ユーベルコードにより、見据えられた皇帝は自身の周囲に気配を感じる。
それは、狙われている気配。
本来の力の効果であれば、対象者に動揺を与える技だが、皇帝はそれに惑わされない。
惑わされないが、しかし。
「行け!」
皇帝の周りには実際に、零児が放った炎の狼が迫っていた。
そちらに視線が行く、その一瞬に、里香は双鎌蘭弓を展開。
矢を作り、引き絞って、射ち放つ。
取り囲む炎と、貫く一矢が、皇帝へ直撃し、
「今のは、少々痛いな」
しかし皇帝は、健在であった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
神酒坂・恭二郎
銀河最強にしてなお、自らの寿命を賭ける『マインド』の姿に瞠目する。
それが在り方なのだろう。
ただ挑もう。
静かに覚悟を決め、渾身を尽くすのが礼儀作法だ。
言葉は無く刀を抜かず、力を溜める。
初撃を凌ぐ。
半端な防御では火力に押し潰されるので、渾身のUCでマインドの初撃へのカウンターを挑む。
右腕は砕け、半身もズタズタ、或いは死ぬ可能性も高い。
それ程の男だ銀河皇帝は。
だが勝機はこの瞬間にしかない。
間髪入れぬ二回攻撃で、踏み込みから左逆手の居合い抜き/クイックドロウ。衝撃波で加速させ、最後の力の封印を解き捨て身の一撃。
この刹那の攻防に全賭けする。
「神酒坂風桜子一刀流・逆流星(さかながせ)……ってなもんか」
●
神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)。
彼はただ行く。
インペリウム内へ転移した瞬間から感じる、銀河皇帝の武器から分かたれた白い人形。その威圧感にも動揺せず、正面から行った。
「……自らの寿命を賭ける、か」
説明通りであれば、あの人形は皇帝の生命維持機能を代償にしているはずだ。
それが銀河最強であり、王である覚悟、在り方なのだろうと、そう思う。
だから、
「渾身だ……!」
行く。
彼の白騎士と同性能を持つマインド、それにまず相対する。
銃口はこちらを向いていて、その火力は言うまでもない破壊力だ。
「ーー!」
右の掌を、空間を作る様に軽く握る。
その中に、高密度の力場を産み出して。
「お」
行くのだ。
「おお」
まずは初撃を凌がねば、次に続かないのだから、
「おおおおおおお!」
放たれる光線に向け、その力をぶちこんだ。
ーー拮抗する。
右腕は軋み、限界だと悲鳴の痛みを上げ、崩れそうな足に力を込めて、
「!」
押し切った。
マインドはその衝撃に皇帝の足元に転がり、恭二郎は壊れた右を捨てて左手を刀の柄に添える。
「神酒坂風桜子一刀流」
皇帝の目前、右の足で地を砕くほど踏み込んで、
「逆流星!」
逆手抜きの居合いで通り抜けた。
「見事。と、そういうのだろう」
瞬間の後、膝を付く恭二郎に向かって、皇帝はそう言った。
倒れたマインドを盾に威力を殺し、しかし突き抜けた衝撃に弾けた左腕をだらりと下げて。
「立っているのは我だ」
猟兵達に向け、その実力を見せつけて、終わった。
苦戦
🔵🔴🔴