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路上鉄拳伝・イェーガー

#アスリートアース #その他スポーツ #路上格闘競技 #第三章プレイング受付締切_4/19_23:59まで

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●ぶっ放し厳禁の路上格闘競技
「アスリートアース世界でダークリーガーの出現を予知したわ。それも|路上格闘競技《ストリートファイト》の試合でね。」
 イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)は集まった猟兵達の前で説明を始めた。
「そもそも|路上格闘競技《ストリートファイト》っていうのは、まぁ要するになんでもありのケンカよね。それでいてしっかり賞金がでるれっきとしたプロ競技よ。」
 ケンカとはその特性上、つまり日常生活において突発的に発生するために瞬間的な注目を集めやすい。
 そしてSNSの発達した現代においてはプロ格闘技の試合中継以上に話題性があるため、ルール無用のケンカに決闘のエッセンスを加え、さらに事実上の異種格闘戦とも言える|路上格闘競技《ストリートファイト》は新進気鋭の競技として注目されつつあった。
「当然レフェリーは居るし、勝負付かずの泥仕合が起きないように工夫が施されているわ。それが|HPバー《ヒットポイント》の存在ね。これがゼロになった方が負けっていうのが基本的なルールよ。」
 |HPバー《ヒットポイント》は重大な負傷や死亡事故が発生しないためのセーフティである。
 ゆえに競技者は自らの長所を活かした戦いが可能となるのだ。
 例えば野球選手ならバット打撃や剛速球ピッチング、戦車乗りなら戦車の砲撃や突撃、カードゲーマーなら使用するカードの効果テキストといった所であろうか。
 もちろん猟兵のユーベルコードにもこのルールは適用されている。
「この|HPバー《ヒットポイント》を効果的に削るには必殺技、つまりユーベルコードを使う必要があるんだけど、『ぶっぱなし』は相手に防がれる可能性があるわ。ここぞというタイミングで使わないと思わぬ苦戦が待ち受けているかもね。…というわけで私からの説明は以上、あとは現地協力者に尋ねるなりしてダークアスリートをぶっ飛ばしてきなさい!」
 |Good fighting Jaeger《猟兵諸君、良い闘いを!》!
 そう告げるとイザベラは猟兵たちの転送を開始した。


マーシャル後藤
 オラよりも強えヤツに会いてぇ、ワクワクすっぞ!
 マーシャル後藤です。
 今回はアスリートアースシナリオ、「その他スポーツ」|路上格闘競技《ストリートファイト》に挑んでもらうシナリオとなります。

●|路上格闘競技《ストリートファイト》について
 ・基本的に1試合あたり一対一で行われる。ただし、|ストライカー《支援攻撃者》による支援や一時的な乱入は認められる。
 ・頭上に現れる『|HPバー《ヒットポイント》』が無くなると負け、|必殺技《ユーベルコード》を使うと効果的に削れる。
 ・武器兵器、魔法などの使用可。ただし試合中のアスリート相手には本来の殺傷力は十分に発揮されない。
 ・一部のユーベルコードの『ぶっ放し』はアスリート側に捌き切られる可能性があるためオススメしない。反撃や回避ができない状況に持ち込む等、状況を整えてからの使用を推奨。

 要するに格ゲー的な競技です。
 ユーベルコードのぶっ放しについて直接攻撃タイプと思われる物については厳しめの判定となりますのでご注意ください。

 プレイング受付は断章追加後から開始となります。
 それでは皆様のホットなプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『その他スポーツを練習しよう』

POW   :    体当たりで果敢にチャレンジする

SPD   :    器用にコツを掴みながら練習する

WIZ   :    ルールや戦術の理解を深める

イラスト:十姉妹

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●押忍!ナイスガイ師匠!
「よく来たなぁ猟兵!俺がお前達を鍛えるナイス・ガイだ!短い間の付き合いになるがヨロシクな!そして俺のことはナイスガイ師匠と呼ぶように!」
 アスリートアースに転送された猟兵達を待ち受けていたのは何とも珍妙な出で立ちの男であった。
 整髪剤でバリッバリに固めたオールバック、そして|高級スーツ《ア○マーニ》の上から袖無し道着を着込み黒帯を締めるという独特なファッションセンスの男は『ストロング・ナイス流超実戦格闘術最高指導者』ナイス・ガイ(本名不詳)。「地上最強のナイスガイ」を自称する37歳独身男性。
 彼こそがイザベラが用意した現地協力者である。

「本来であればストロング・ナイス流の入門コースでみっちり鍛え上げる所だが如何せん試合まで時間がねぇ!というわけで軽ぅーくスパーリングして身体を温めたり、試合に関する質問に答えたりしてやる!なぁに、猟兵の活躍は聞き及んでいるとも!そこに俺のインストラクトを足せば鬼に金棒ってスンポーよぉ!」
 ナイスガイ師匠ことナイス・ガイはガハハと笑って猟兵達を歓迎しているようだ。
 戦績こそ好調とは言えないもののナイス・ガイは路上格闘競技の常連選手である。我流とはいえ看板を掲げているだけあり、知識や経験において上位クラスにも引けを取らないだろう。
 そして彼の言う通り、猟兵達が参加する試合まで残された時間は少ない。
 さぁ、ナイスガイ師匠と有意義な時間を過ごそう!
四軒屋・綴
※なんでも歓迎
ストロング・ナイス流超実戦格闘術ッテナンダ?
などとロボロボしく語ってみたが当方身体はマシン頭もマシン顔面生身のヒーローマスクッ!!それでも俺……|路上格闘競技《ストリートファイト》がしたいですナイス・ガイ|最高指導者《先生》……ッ!
という訳で白帯を締めてストロング・ナイス流のカッコいい|超実戦奥義《ストロング・ムーヴ》等を学んでみようッ!投げ技組技が好みなのだがそこに入るまでの牽制に使える物はないだろうかッ!?でっかいハンマーなど準備してきたのだがッ!?
しかしなるほどスーツにシワを入れない所作は身体への負担を減らし固めた髪は凶器足り得る、恐るべしストロング・ナイス流超実戦格闘術…




「ストロング・ナイス流超実戦格闘術ッテナンダ?」
「良い質問だ!ストロング・ナイス流超実戦格闘術はこの俺、ナイス・ガイが研鑽に研鑽を重ね……ってうぉあっ!?ロボットナンデ!?」
 唐突な質問にも動じず答えるナイス・ガイを驚かせたのは文字通りの鋼鉄人といった風体の猟兵、四軒屋・綴(|大騒動蒸煙活劇《ダイナミックスチームパンク》・f08164)であった。
「驚かせてすまない。まぁ確かに見た目ロボっぽいのは認めるが、当方はいわゆるヒーローマスク。本体はこの頭部の仮面部分のみで基本フィジカルは一般人レベルなんだ。ナイスガイ師匠、そんな俺でも路上格闘競技ができるだろうか?」
 まるでカートゥーンめいて飛び上がるナイス・ガイであったが、しかし綴のヒーローマスクという出自や路上格闘競技にかける想いには真摯に耳を傾けていた。
「|師匠《センセイ》っ…俺、|路上格闘競技《ストリートファイト》がやりたいです!」
「うおおおっ…!こんな熱いハートを持った生徒ができて俺は嬉しいぜぇっ!よぉし、俺について来い綴!あの夕陽めがけて走り込みだぁっ!」
「はい師匠!まだ昼過ぎだけどな!」
「「HAHAHAHA!!」」

というわけでアスリートアースのコンビニで買ってきた白帯を締めた綴はストロング・ナイス流のカッコいい|超実戦奥義《ストロング・ムーヴ》を学ぶ運びとなった!

「とは言えイチから鍛えるってワケにもいかねぇからな…ここは長所を伸ばしていく感じのレッスンにするか!綴は何か得意なファイトスタイルとかはあるのか?」
「強いて言うなら投げ技組技が好みだなッ!」
「レスリングスタイル希望か…そうなると掴むまでが勝負だな。ちょいと|動き《ムービング》を見せてくれねぇか?」
「合点承知したッ!」
 綴はそう言うと腰部に取り付けた推進装置「蒸噴轟進ジョークコート」を稼働させ、轟音響かせ、白煙を巻き上げるダイナミックムーヴを展開。反重力推進方式による滑らかながらもメリハリ効いた動きを披露した。
 そんな綴の様子を見たナイス・ガイは「やっぱりロボじゃねぇのかなコイツ…?」と呟きそうになったが何とか胸の裡に留めおいた。
 
「どうだった、師匠!?」
「かなり動きが派手…というか、予備動作がデカいな。『これから仕掛けるぞー!』ってのが丸わかりだ。」
「…言われてみれば確かにそうだな。」
「しかし派手ってのは何も悪い事ばかりじゃねぇ。プロレスラーなんかはフィニッシュホールド出すときに宣言入れるだろ?あれと同じで相手に身構えさせる事に意味がある。組み付いたりするなら好都合だろ?」
「確かにッ!そうだ、牽制用にハンマーを持ってきたのだが何かに使えないだろうかッ!」
 そういって綴が持ち出したのは「製釘鳴鋼スレッジメタル」、片手槌と言うにはあまりにも大きく、そして荒々しい武器であった。
「でっけぇハンマーだなオイ!だが見た目のインパクトは十分だ!まず間違いなくハンマー攻撃がメインのパワータイプ|闘士《ファイター》だって誤認させられるだろう。」
「ふむふむ。」
「相手が一撃離脱系ならハンマーを振り回しながら推進移動で掴みに行くのが良さそうだな。逆に打ち合い上等なやつは間合いに誘い入れて……ぐぉっ!?」
「がっつりホールドしてフィニッシュをキメるッッ!だなっ!」
 ーー|その通りでございます《イグザクトリー》。
 |指導《インストラクト》に思わず熱が入ってしまったナイス・ガイは迂闊にも綴の間合いに侵入、それを条件反射的に掴みかかった綴はユーベルコード『蒸式・怒濤爆落下』を発動してしまったものだからナイス・ガイ、まさかの|K.O.《ノックアウト》である。
「ウゴォあぁー!?」
「し、師匠ォー!?」

「ガハハハ、まさか投げ抜けも出来ずに反撃を食らっちまうとは!だがそれが路上格闘競技の醍醐味だ!確実に反撃を出せる状況なら躊躇わず行けってな!」
 盛大にぶん投げられた後だというのにオールバック、|高級スーツ《アル○ーニ》ともに崩れ無く呵呵と笑うナイス・ガイは綴を良く褒めた。
 そしてそんなナイス・ガイのタフっぷりに綴は目を輝かせていた。
「さすが師匠!ユーベルコードを喰らっても何ともないとは!」
「おうよ!そこらのファイターとは鍛え方が違うぜ!さぁ綴よ!路上格闘競技最強の猟兵を目指して特訓だ!」
「押忍っ!」
 そして思いの外に熱が入った綴はナイス・ガイと共にタイヤ引きやら滝行……はしなかったが、路上格闘競技のイロハを学び有意義な時間を過ごしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガロウ・サンチェス
アドリブ歓迎

よーっしゃ、んじゃ練習始めっか。ヨロシク頼むぜ、先生よ。
俺の流派はムエタイと、空手と、あと寺で習った拳法…
要するにアジア地域の打撃格闘技を適当にごちゃ混ぜた
オリジナルスタイルだぜ。プロレスも好きだけどよ。
ミット打ちやサンドバッグで体を暖めたら、スパーリング開始だ。
【チェーンコンボ】で《功夫》《グラップル》を駆使した
《連続コンボ》を披露、逆に相手の攻撃は《受け流し》《ジャストガード》できっちり捌くぜ。
あ、もし本番で相手が武器を使うなら、武術棍で相手するんでヨロシク。
練習が終わったら、ナイスガイも一緒にジョワジョワで《元気》回復だぜ!
お互いいい歳だが、まだまだ若い奴には負けられねーな。




「ガロウ・サンチェスだ、流派はムエタイ、空手、あと寺で習った拳法に……まぁアジア系のミックス武術だ。」
 ガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)はそう自己紹介を終えると拳を構えた。
 そしてナイス・ガイもまた拳を構える。
「根っからのファイターだなアンタ!いいぜガロウ、どっからでも打ってきやがれ!」
 まるで旧知の友であるかのようなやり取りであるが、当然ガロウは路上格闘競技未経験であり、二人は初対面である。
 しかしゴッドハンド、拳一つで戦い抜いてきた武の求道者である。
 であれば語らうなら口よりも拳が雄弁であるは必然と言えた。
「いくぞっ!」
「こいやぁっ!」
 ガロウは宣言すると正拳を一つ繰り出す。巨木めいて太い腕から放つ拳撃は正しく大砲の一撃に匹敵する威力を有する。
 対してナイス・ガイは内側にいなし、そのまま受け手で手刀を形作りガロウの首を捉えて放つ。
 しかしガロウも同じく正拳を放った腕でナイス・ガイの首を捉えると密着するナイス・ガイを振り払う。
 そして両者にとって仕切り直しとも言える状況が生み出された。

「ガハハ!やるなぁアンタ!」
「なるほどな、こいつは競技者相手に一撃K.O.を取りに行くのは中々に骨が折れそうだ。だったら…!」
 そしてまた最初に動いたのはサンチェスである。
 軽くステップを踏むとナイス・ガイに一気に接近し功夫を主体とする飛燕の如き連撃を繰り出していく。
「シィッ! ワン・ツー・スリー!!」
「重ぇっ!?」
 ナイス・ガイも的確に防御し続けるが一撃の重さに舌を巻く。
「しゃあっ!」
「おらぁっ!」
 そしてガロウの連撃を締めくくるは上段狙いのサイドキック、拳撃のガードでがら空きになった頭部目掛けて放たれる。
 対してナイス・ガイは拳撃の止んだ僅かな瞬間に飛び上がりライダーキックを繰り出した。
 同タイミングで繰り出された両者の足技は轟音とともに衝突。結果は相殺であった。
「ふっ…年甲斐もなくアツくなってくるなコレは…!」
「まだまだ始まったばかりだぜ!息を切らすんじゃねーぞ!」
 そして二人は一進一退の攻防戦を体力の続く限り続けた。

「そして疲れた身体には|ジョワジョワ《乳酸菌飲料》だな。」
「ウメェじゃねぇかコレ!定期購入するかな?」
 その後に夕日を見ながら乳酸菌飲料「ジョワジョワ」を傾ける二人のファイターの姿はとても絵になっていて、近くを通りかかったジョワジョワの営業マンに声をかけられたのだとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
なに現地協力者?うさんくさ!
しょうがねぇでござるなこれから自由に暴れてこようかって時に…

ふぅん…ナイス・ガイでござるね…あ、初対面の挨拶は"握手"でいいでござるか
あざース(ガシッ)
しゃあっ

普通に握手なんざする訳ないでござろうよえーっ
我流の闘法なんざ教えて貰わんでもちょっとは|覚え《CQB》があるんだよね
それにストリート・ファイトはルール無用だろ?いやそもそも猟兵がルール無用でござるが?とにかくこれぐらい防げないでノック・アウトするようじゃ相手にする価値なんかないでござるよ

ムフフ…その後は会話せずに近接戦闘に発展するの
ここのやり方を学ぶにはやっぱ実戦が一番でござるよね!


花走・りな
うーん、無差別な路上格闘技かぁ。良いね
猟兵として戦闘能力をあげたかったし、色々試す取っ掛りには丁度いい機会かもねぇ。

得物有りなら何か使ってみたいけど、いつものエペ剣じゃ威力が弱そうだしなぁ
先日ぐるぐる用に買ったバットでも使おうかな。

という訳でスパークリングよろしくお願いします!

バットをつかっての突きや打撃を混ぜての攻撃の練習
ついでにナイスガイ師匠の格闘術もしっかり観察、色んな超人スポーツに挑戦するなら常に相手を見て真似て学ぶのと、それらに自分の得意分野を混ぜ方を考えるのは必要だからね!

対戦相手の戦闘スタイルとかもナイスガイ師匠は知らないかな。
聞けることは聞いとかないと。

※アレンジ・連携歓迎




「拙者は豚まんと同じくらいケンカが好きでござる、どっちも美味しくてハッピーハッピーやんケ…でも我流使いの現地協力者は胡散くせぇー!」
 まるで1000万部発行された大人気格闘漫画の主人公めいていながら、しかし『普段からそんなこと言ってそうだよね、って思ったのが俺なんだよね。』ぐらいは口走りそうな…即ち平常運転のエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は不満を口走る。

「豚まんのくだり必要だったかなぁ……でも無差別な路上格闘技かぁ。戦闘向きの競技に手を出したかったし、ちょうど良いね!」
そして近代五種アスリート、花走・りな(あの喝采アプローズに憧れて・f37819)はこれから経験する事になる未知のスポーツへの期待に心を踊らせながらナイス・ガイのもとを訪れた。

「むっ、アンタ達も猟兵か!ナイス・ガイだ、ヨロシクな!」
「ふぅん…ナイス・ガイでござるね…あ、初対面の挨拶は"握手"でいいでござるか。」
「あ、わたしも次握手したいかも〜。」
「ガハハハ、しょうがないなぁ。二人とも。」
 エドゥアルト、そしてりなのマイペースな様子を見て白い歯を覗かせるように笑うナイス・ガイは疑う様子もなくエドゥアルトの差し出した手をにぎり…。

「あざース」
 ガシッ
「なにっ」

 ナイス・ガイの手が万力のような力で握り込まれる!
「しゃあっ」
 驚くナイス・ガイをよそにエドゥアルト、まさかの不意打ちを繰り出すっ!
 何たる非道行為かぁっ!

 バシィッ
「なにっ」
「握手からの流れで握力勝負を挑みつつ、それを囮に不意打ちで機先を制す……遅れてるなぁ、|猟兵《イェーガー》の喧嘩はよ……。」
 しかしニーッと笑みを浮かべるナイス・ガイはエドゥアルトの不意打ちを外受けにていなし、逆に正拳の寸止めをエドゥアルトの鼻先に突きつけていた。
 
「はうっ」
「凄い!あのバランスのいいエドゥアルトさんを手玉に取るなんて…!でも今みたいな不意打ちって実際の試合でやって良いの?」
 ナイス・ガイとエドゥアルトの攻防を興味深く見守っていたりなはパチパチと拍手をしながらふと思い浮かんだ疑問を呟いた。
「ケンカとは言えレフェリーの合図とともに開始だから厳しいと思うぞ。それに皆常在戦場の心構えができてるからな。」
「ほう、常在戦場でござるか?」
「ある選手が恨みを買ったマフィアに遠距離狙撃を喰らったんだが、その瞬間に弾丸を頭蓋骨の表面を滑らせるように受けて即死を免れたって逸話があってな…。」
「思った以上に治安が悪いっスね、忌憚のない意見ってやつでゴザル。」
「それにヒットポイントがあるんだよね?じゃあ真正面から正々堂々と戦うしかないかぁ…。」
「まぁそういうこった!…嬢ちゃんはバット使いか?」
「わたしのメインは|近代五種《ペンタスロン》だからね、普段は|エペ《刺剣》を使うんだけど今回はぐるぐるバット用に買ったバットを持ってきたのです!」
「思い切ったなオイ!だが悪くない選択だ…じゃあ前置きはこれくらいにして体を動かしてくかぁっ!」

「はーっ!滾るでござるっ、やっぱりボボパンって殴り合うのは楽しいZOY!」
「エドゥアルトはとんでもねー戦闘狂だなぁ!りなは間違ってもこうなるんじゃねーぞ!」
「はい、師匠!」
「あれ、拙者ナチュラルにディスられてね?」
 ナイス・ガイはエドゥアルトとりなの二人を相手取り木人拳めいて打撃戦を繰り広げていた。
 まるで機械の如き精度で躱し、いなし、そして反撃を繰り出す。
「りな、バットは持ち方次第でいくらでも戦法が増える。ある意味杖術のそれに近いと言っていい!接近戦は槍のように持ち替えてみるんだっ!」
「はいっ、でやぁっ!」
 それまでフルスイングやフェンシングを応用した打突を繰り出していたりなはナイス・ガイの言う通りに持ち替えて突進、そこから捻りを加えたバットによる鋭い突きを繰り出した。
 それはナイス・ガイの防御を掻い潜りしめやかに脇腹を打ち抜いた。堪らず悶絶するナイス・ガイ。
「〜〜っ!!こいつは中々良いのを貰っちまったな…!いいセンスだぁっ。その感覚をわすれるんじゃあないぞっ!」
「押忍!ありがとうございます!」
 褒められたりなは思わず「押忍」と返事をした。

「ねぇねぇナイスガイ、拙者には何かインストラクトないの?」
「お前の戦法はルール無用過ぎて特にないんだ、悔しいだろうがしかたないんだ。敢えて言うなら…持ち味を活かせっ!」
「なんだっそりゃ!しゃあっ、マムシ・ソード!」
 そしてエドゥアルトは自由なまでにやりたい放題戦いまくった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チトセ・シロガネ
ユーが現地協力者だネ。
今回はあくまでスポーツと聞いてるヨ。|コイツ《徒手空拳》で|戦《や》るんだネ。では早速……え、足元が大丈夫かって? あぁ、さっきまで飲んでたからネ。大丈夫、|飲めば飲むほど《酔拳》ってやつヨ。じゃあ、スパーリングよろしくお願いしマース。

染みついた功夫を駆使して、心眼で攻撃を見切り、軽業でいなしていく。なるほど、看板を掲げているだけはあるネ。切り札を切るためには搦め手が必要だネ。なら隙を作って誘えば……誘う、カ。

おもむろに開いた胸元を見せて誘惑、隙を見せたらUC【虚数縮地】で後ろに回り込み抱き着いて殺気を放つ。おっと、お仕事モードになるところだったネ……ソーリー。


アニカ・エドフェルト
|路上格闘競技《ストリートファイト》、また一味違って、面白そうな競技、ですね。
やっぱり、戦い方も、変わっていくの、でしょうか…。
試して、みますね。

と、いうわけで、スパーリング、よろしく、お願いしますっ
まずは、ユーベルコード、いろんなタイミングで、使ってみます。
いきなりだったり、相手の攻撃を、ガードした直後だったり、裏回りした直後だったり…
(全部ぶっ放し扱いになる位。ほぼほぼ返されて)

…なるほど、こうなってしまう、わけですね。
こう、上手く、視界から、消えるか、それとも…
いっそ《死闘天使》で、HP残りミリから、大逆転、なんてのも…。
本番までに、しっかりイメージを、固めないと、ですねっ


八洲・百重
●SPD

|路上格闘技競技《ストリートファイト》たぁ、都会には色んなスポーツがあんだなぁ
おらのプロレスが通用するか分かんねぇだども、まずはナイス・ガイ|師匠《せんせい》に失礼のねぇよう手土産の酒を渡すしてちゃんと挨拶しねぇとな

おらはまだ前座のレスラーで知名度がねぇから、お手並みを披露するべ
師匠が先に見せて途中で止まった何十段もある瓦割りを最後まで割ってみっべ
どうだ、師匠!
…拳骨が入っちめぇまでに大口開けちまって、どうしただ?

はぁ、実力は分かったから今度は技を見せろってな
そんならまだ試合でも使ってねぇ大技『トリプルどろんチェンジ』を披露するべ!
驚かせて飛んで、最後はブンブク・スプラッシュでKOだぁ


陽環・柳火
「|路上格闘技《ストリートファイト》まで競技かよ。まあシンプルな分、小難しいルールとかは考えなくて良さそうだがな」

自分の基本戦術が競技内でどんな感じのものになるか体感してみるか
「んな訳で、よろしく頼むぜオッサン」
柳火の基本的なスタイルは格闘の他、刀による|居合《クイックドロウ》と符術に火【属性攻撃】を組み合わせた形
「刀や炎による攻撃もHPバーで何とかなるって事でいいんだな?」
競技内での動作を確認する
「それじゃ爆符『烈火乱れ咲き』、まずは三分咲きぐらいで行くぜ!」
あとはケルビンカードに記録された弾幕パターンを出しながら刀で斬り込んでみせたり、飛ばした護符を足場に空中機動したりと立ち回りを確認




「ユーが現地協力者のナイス・ガイだネ。チトセだよ。」
「アニカ、です…よろしく、お願いしますっ!」
「へぇー!|路上格闘技競技《ストリートファイト》たぁ、都会には色んなスポーツがあんだなぁ。おらは百重ってぇ言います。後これはつまらないモンですが地元のお酒だべ。」
「そして俺は柳火だ。…んな訳で、よろしく頼むぜオッサン!」

 四人の猟兵を前にしてストロング・ナイス流超実戦格闘術最高指導者ナイス・ガイの鼻の下は本人が思っている以上に伸びていた。というより伸び切っていた。
 ナイス・ガイはアスリートアース世界のナイスガイ…つまりは男だ。
 であれば見目麗しき女性を目の前に鼻の一つや二つ伸びない法もない。
 それも「宇宙的ミステリアス白肌美女」チトセ・シロガネ(|星光の青《アストラル・ブルー》・f01698)、
「全年齢向け王道カワイイ系美少女」アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)、
「素朴系ケモミミ美女」八洲・百重(唸れ、ぽんぽこ殺法!・f39688)、
そして「猫耳俺っ娘美少女」陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)…というギャルゲーも真っ青な美女と美少女の博覧会といった豪華ラインナップは37歳独身男に我が世の春が来たと錯覚させんほどの威力があった。

(…いかんいかん!不手際があっちゃあラブレス嬢からのギャラがパァだ!煩悩退散、煩悩退散ンンンッッ!)
「しゃあっ 煩悩霧散砲ァー!」
 とにかく煩悩を取り除かねばインストラクトもクソも無かったナイス・ガイ。
 遂にはストロング・ナイス流超実戦格闘術最終奥義にして渾身の気功拳「煩悩霧散砲」を上空目掛けて発射して煩悩の取り払いを試みた。

「えっ…今の、か○はめ波、ですか?」
「えぇー?北斗剛○波だべぇ?」
「勢い的に覇○翔吼拳じゃないか?」
「発射方向的に落陽○動拳じゃあないかナ?落ちてきそうにはないけどネ。」
 そして流石というべきか、今更手からビームが出る位では|日常茶飯事《ユーベルコード》で慣れている猟兵たちは一切動じていなかった。

「はぁ…はぁ…フゥ~!気合が入り過ぎて最終奥義を“ぶっ放し”ちまったァ…。こういった大技は対処されやすいし反撃を食らうリスクと背中合わせだ。確かに試合を大きく動かすワイルド・カードとしての魅力はあるが使い所は慎重に選ぶ事だゾ!」
「「「「はーい」」」」
「そんじゃ気を取り直してレッスン開始だぁっ!」
 本調子を取り戻したナイス・ガイの号令のもと、四人の練習は開始された!


 ※アニカの場合
「オラオラどしたどしたぁー!?」
「くっ…想像以上に、難しい、ですっ…!」
 ダークセイヴァー世界の闘技場集落出身のアニカが得意とするのは打撃戦有りのレスリング、いわゆるパンクラチオンやグレコローマン・レスリング寄りの総合格闘技に近いと言えるだろう。
 であればこそ常に相手に密着していくことが要求され、その中で技を出し続ける事を強いられるわけだがナイス・ガイはインファイト勝負を避けたアウトボクシング・スタイルで迎撃してきた。
 特にアニカのフィニッシュホールドの一つである|撃地天使《スラミングエンジェル》は喰らうまいと徹底していた。
「プロレスの世界じゃお目にかかることが殆ど無いアウトボクシング・スタイル相手は中々やり辛いだろ?」
「はいっ、受けるよりも、避けるし、手数で、圧倒される…!」
「その通りだ!特に路上格闘競技はそういった手勢の方が断然多い、武器あり乱入ありで中々レスラーにとっちゃあ厄介だ!しかもどんなスタミナ自慢もHPバーには逆らえねぇときた!」
 ナイス・ガイは指導しながらも容赦無く打撃をくりだし、対するアニカは防戦を強いられHPバーは緩やかながら確かに削られていった。
「だったらそこにつけ込めば良い!相手が『あと一撃叩き込めば良い』って動き始めた時が最高のチャンスだ!」
 そしてナイス・ガイは両拳を合わせ気を練り始めた。
 大技の準備だ。それが意味するところはーー。
(打撃が、止んだっ!)
 アニカにとっても「最高のチャンス」が訪れる!
「ストロング・ナイス・キャノーーぐぉっ!?」
 「煩悩霧散砲」とは別の気功拳を繰り出そうとしていたナイス・ガイは唐突なタックルに虚を突かれると、それがアドナの反撃であることを悟った。
「そう、そのタイミングだ!本番もこの感覚をーー!」
「これで、おしまい、ですっ!」
「オギャアアアッッ!?」
 説明も半ばでアニカの一発逆転パワーボム、|撃地天使《スラミングエンジェル》が炸裂。ナイス・ガイは地面に叩きつけられノックアウトされた!


 ※百重の場合
「どっせぇーい!」
 ナイス・ガイは四十段程に積み重ねた瓦に正拳を叩き込むと一気に瓦が割れていき、結果17枚を割ってみせた。
「おぉ〜。」
「ふっ…瓦割り、こんな煎餅ほどの土塊を…何枚割ったところでなんの目安にもなりゃあせんが…。」
 その結果に拍手をする百重を背後に試割りに対する講釈を垂れ始めるナイス・ガイ。しかし百重は見ているだけにとどまらず自らも瓦の山に向かいーー。
「ちぇえすとおおおっっ!!!」
「            ……は?」
 あろうことか瓦四十段、見る影もなく粉砕。
 「割る」ではなく「粉砕」である。即ち、粉々。
「えへへ。おらァまだ前座レスラーだからよ、こうやって腕前披露した方が手っ取り早ぇって思ったんだけど…師匠?そんな大口開けてどうしたんだべさ?」
 ポリポリと照れながら頬をかく百重が目にしたのはギャグ漫画よろしく顎が外れているのではといったリアクションをしているストロング・ナイス流超実戦格闘術最高指導者の姿であった。
 おまけに若干鼻水が垂れかけていた。
(スゥー…え、えぇ〜?待て待て、いくら力自慢って言っても瓦…粉々…えぇー?嘘ぉー?)
 これまで路上格闘競技であらゆる競技者と拳を交わして来たナイス・ガイも流石にこれは予想外といった様子で実際動揺していた。
 しかしそこはグッと堪えて、平然に振る舞う。
 それがナイス・ガイのナイスガイたる所以であった。
「ほ、ほ〜ぅ?パワーは、スゴイじゃん?君、レスラーの才能あるよ。」
 …果たしてこれで動揺を隠せていると言えるのだろうか?
「だがパワーだけで押し通せるほど路上格闘競技はあまくねぇ。次は|技《テクニック》の方を見せてもらおうか?今回は特別に真正面から受けてやる!」
(まぁ余りにも危険技っぽいのだったら返し技出すしかねぇけどな。)
 ナイス・ガイは事前にイザベラから聞いた百重のパーソナルデータを思い返す。
 プロレス興行の巡業に魅入られ女子プロレス道場に入門した猟兵。
 リングネームは『ヤッシマー魔魅』、相撲好きタヌキに受け継がれる『ぽんぽこ百殺手』の使い手…という設定(だとナイス・ガイは思うことにした)。
 流行から外れた怪力自慢系レスラーかと思いきや前座試合ではトリッキーな技を繰り出せるショープロレス向きの逸材。
 レスラー相手の対戦経験が豊富なナイス・ガイは大抵の技を熟知し、それらへの対処法も持っていた。
 故に何が来ようと問題ない万全の構えがあった。
 …この時点まではね。

「そんならまだ試合でも使ってねぇ大技『トリプルどろんチェンジ』を披露するべ!」
 そう宣言すると百重はまず提灯お化けに変身!
「!?」
 当然何が起こったかわからないナイス・ガイ、次の瞬間には空を舞っていた!
(あっ!?いつ投げ飛ばされた!?)
「これが一反木綿の力!とどめはブンブク・スプラッシュだぁっ!」
 ナイス・ガイが投げ飛ばされたと錯覚したのは百重が一反木綿に変身したことで得た飛翔能力の賜物であった。
 そして当の百重は次なる形態、即ち巨大狸に変身するとナイス・ガイを巻き込むように倒れ込んだ後に変身を解除した。
「…んで、このままフォールに持ってくんだけんども…って師匠?ししょー?」
 ナイス・ガイ、流石にこれは、予想・ガイ。


※柳火の場合
「よぉし、じゃあ行くぜオッサン!」
「俺のことは師匠と呼べぇい!どこからでもかかってこいやぁ!」
 柳火のスタイルは居合剣術と符術を柱とする遠距離、近距離のどちらにも対応可能な万能型である。
(なるほど、柳火は和風魔法剣士ってトコロか。)
 路上格闘競技の競技者の多くは何かしらのスポーツや武術を修めているものが多く、故に二刀流と呼ばれるファイトスタイルは中々に稀有な存在であった。
「それじゃあまずは爆符『烈火乱れ咲き』、まずは三分咲きだ!」
 柳火は懐からケルビンカードの束を取り出すと投擲、符は火の弾幕と化しナイス・めがけて殺到する。
「うおおっ!?そう来やがったか!だったら…!」
 驚くが、しかしナイス・ガイに焦りは無かった。
 前羽に構えた両腕を弾幕の飛来に合わせて円を描くように動かす。
 すると、飛来する火の弾幕は描かれる円の外へと受け流されていくではないか!
「そんなのありかよぉ!?」
「これが路上格闘競技の|超実戦的廻し受け《スーパーアーマー》ってやつよ。飛んでくるモンなら火炎放射だろうと大砲だろうと何でも来やがれってな。」
 トンデモ技にはトンデモ技をぶつけろとでも言わんばかりのデモンストレーションである。
 しかもスーパーアーマーの名が示す通りHPバーは殆ど削られていないどころか無傷であった。なんたる絶技か!
 しかしユーベルコードの中には防御に特化したものも少なからず存在する。であればアスリートアース世界においてもナイス・ガイのような使い手がいても可笑しくはないのだ。
「厄介すぎるぜ、その技!だけど何時まで|防御《うけ》してられるかな!」
「廻し受けは完成された防御だぁっ!その弾幕全部|防御《うけ》きったらぁ!」
 柳火はさらなるケルビンカードの弾幕にてナイス・ガイを強襲。今度の弾幕は無数の幾何学模様めいて飛来し、弾幕の密集度は先のものと比べ物にならないほどである。
 ナイス・ガイは万全の気合でこれを廻し受け!当然HPバーは無傷のままである。
「……ムムっ!」
 しかしナイス・ガイはある違和感に気がつく。
 弾幕が余りにも濃すぎる。
 そして柳火の気配はナイス・ガイのすぐ近くにあった!
(…嵌められた、弾幕は囮だったか!)
「ーーかぁっ!!」
 弾幕の被弾を覚悟の上でナイス・ガイは廻し受けを中断し気配に向けて鋭い足刀を放つーーが空を切る!
「ーーそいつは残像だぜ!」
「なにっ」
 柳火がいたのはナイス・ガイの真後ろであり、その手は名刀『マタタビ丸』の柄に掛けられている。
「通信講座流猫式抜刀術『じゃらし落とし』、その目で御覧じやがれ!」
「しまっーー!」
 囮の弾幕、気配の残像、本命・裏取りからの居合抜刀。
 まさに見事な隙を生じぬ三段構え。
 マタタビ丸の一閃が逆袈裟に走るとナイス・ガイは盛大に吹っ飛びHPバーも大きく削られていた。
「な、ナイス・コンビネーション…!」
 倒れ伏しながらナイス・ガイはサムズアップを柳火へと送り、パタリと動かなくなった。


※チトセの場合
「それじゃあ早速やろうカ。」
「やろうか…つっても、その様子で戦えるのか?というか酒飲んでるだろ!?」
 足元がフラフラとしているチトセにもしやと思い指摘したナイス・ガイ。
 実際その「もしや」は的中していた。
「え?あぁこれ?|無問題《モーマンタイ》|無問題《モーマンタイ》、ボク使うの酔拳だから。飲めば飲むほどって言うでショ。」
「それは|香港映画《ジャッキー》だけの話だろぉ!?」
「まぁまぁ、細かいことは言いっこなしデ。じゃあ、スパーリングよろしくお願いしマース。」
「ケガしても文句無しだかんなっ!」
 そうして構える二人、先に動いたのはチトセであった。
 間合いを一気に詰めると繰り出されるは鋭い拳足打突の数々。
 人間大キャバリアなうえに宇宙を駆け巡る戦士の慣れ親しんだ功夫コンビネーションである。スピードもパワーも超一流のそれであった。
「うおおおお!全部捌き切ってやらァ!」
 だがしかし、ナイス・ガイもストロング・ナイス流超実戦格闘術最高指導者である。そう簡単にやられるものかといなして、受けて、チトセのコンビネーションを中断するために拳足打突を放っていた。
 チトセにとってパワー、スピードともに劣るナイス・ガイの拳足打突の脅威度はどれも低いものであったが、しかし慢心はせずに鍛え抜かれた心眼と軽業めいた身体操作で一進一退の攻防戦を繰り広げていた。
 
(我流と言えど看板を掲げているだけあって|格闘技術《テクニック》とセンスは確かなものだネ…。じゃあこんな搦め手はどうかナ?)
チラッ

チラッチラッ

 攻防の最中、チトセは自らのバニースーツの胸元をずらし始めた。

「………………………|д゚)チラッ」

 そしてナイス・ガイ、チトセの豊満な胸元をチラリとガン見(?)。
 残っていたっ……煩悩っ、僅かながら…!

「実際豊満な……ハレンチッ!」
「そのハレンチは囮だヨ。」
「ぺぃっ!?」
 なんと高度な頭脳戦であろうか!
 カジノ稼業で洗練されたチトセのハニートラップ・ジツで集中力を欠いたナイス・ガイの隙を突くように、チトセは|虚数縮地《イマジナリー・シフト》を敢行、ナイス・ガイの背後に回るとその首元に腕を巻き付け締め上げたのである!
 ナイス・ガイ、己の未熟を悟りながらカクンと意識が落ちる中で背に当たる豊満な胸を感じていた。

「おっと、お仕事モードになるところだったネ……ソーリー。」
 そんな事露知らずといったチトセは拘束を解き、ナイス・ガイを横に寝かせると気付けに入るのであった。
 そして意識を取り戻したナイス・ガイが目を覚ました直後見たのはまたしても豊満な胸であった。

「………ナイス酔拳!」
「…?そうだネ、飲んだ分強かったでショ?」
 唐突なナイス・ガイのサムズアップに、その真意も分からずサムズアップで返すチトセであった。



「これにてストロング・ナイス流超実戦格闘術による路上格闘競技インストラクト終了だ!皆よく耐えて頑張ったな!」
 短くもとても充実した(?)時間を過ごした猟兵に特訓終了を告げるストロング・ナイス流超実戦格闘術最高指導者ナイス・ガイは涙を流し声を震わせていた。
「次はいよいよ実戦編だ!相手は手強いダークアスリート達だってラブレス嬢から聞いている!しかぁし!ストロング・ナイス流超実戦格闘術についてこれた猟兵諸君であれば、路上格闘競技にて降りかかる火の粉の数々取るに足らないものだと、太鼓判を押す事ができる!最後に俺から送ることができるのはーーベストを尽くせ!この言葉に尽きるッッ!」
 オーバーな位に熱の籠もったナイス・ガイの激励スピーチに心打たれる(※個人差があります)猟兵達。
 ナイス・ガイの薫陶を受けた今ならば鬼に金棒状態、向かう所に敵はないだろう!

「よし、じゃあ試合会場に移動してもらう事になるが…えーと、試合会場は……え、マジか。」
 感動的なスピーチを終えたナイス・ガイはスーツの懐から書類の束を取り出し、目を通すと静かながら驚愕の声を上げていた。
「お、お前ら急げっ、試合会場はーー北米大陸だっ!」

 北米!アメリカ合衆国!
 ノースカロライナ州コンコード!
 試合会場は北米二大モータースポーツの聖地!
 シャーロット・モーター・スピードウェイだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ジェントルレーサー』

POW   :    ラディカルクラッシュ
【自身の肉体または自身のマシンによる華麗な】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【チームメイト】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    ローゼスドライブ
自身が触れた物体ひとつに【薔薇のオーラ】を憑依させ、物体の近接範囲に入った敵を【オーラの薔薇棘】で攻撃させる。
WIZ   :    鉄壁の集団走行
【チームメイト】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[チームメイト]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●サーキットの貴公子達

 シャーロット・モーター・スピードウェイ。
 北米大陸アメリカ合衆国、ノースカロライナ州コンコードを所在とするサーキットであり、二大レースの一つ「ナスカー」の聖地として知られる。
 観客席総数は実に16.5万席。

 そして現在、オフシーズンだというのに客席を埋め尽くさんとする盛況ぶりはレースの主役たる彼ら『|ジェントルレーサー《サーキットの貴公子》』の存在あってこそという他に無かった。

『さぁ皆様お待ちかね!オフシーズンだというのにの米国全土から名のあるレーサー達が揃い踏みだぁっ』
 熱の入ったアナウンサーの紹介とともにサーキット上にスタンバイされたレースカーから現れるは、バラの花びらに包まれ、そして甘いマスクを惜しげもなく披露するレーススーツ姿の男達。
 それを見た観客たちは黄色い声援を上げ、熱狂は最高潮に達していた。

「路上格闘競技の試合には相当な額の金が動く。特に正式なスポーツのアスリートが関わるとなれば彼らのホームに最大利益が届くように忖度が起きるものだ。」
 そしてさも当然に後方腕組み勢と化したストロング・ナイス流超実戦格闘術最高指導者ナイス・ガイの姿がそこにあった!
「ガハハハ…あの後金券ショップを覗いたら北米行き格安航空券が売りに出されていてな。思わず買ってしまったのよ。それはそうと試合の相手は奴ら『ジェントルレーサー』……個々が|合衆国《ステイツ》の各州で名の通ったレーサーだ。」

「モーターレーサーってのは|鉄の箱《マシン》に|守護《まも》られてるから軟弱…そうやって舐めてかかった路上格闘競技者は皆荼毘に付されてサーキットの補修材になっている。…というのは冗談だが奴らは実際手強いぞ。」
 ナイス・ガイは3本の指を立てるとその一つを折る。
「ジェントルレーサーは路上格闘競技でも当然のごとくレースマシンを使ってくる。人馬一体ならぬ人車一体というわけだ。ナスカーはレース用にカスタムされた市販車を使うわけだが路上格闘競技に出てくるともなれば|現行主力戦車《エイブラムス》並みの装甲も備えている。そこに最高速度320km/hの突進力が加わるんだ。カスリでもしたらそれこそ致命傷になりかねない。」
 続けてもう一本。
「次に……ジェントルレーサーの周囲を見ればわかるようにバラが舞っているが、あれはやつらの異常な精神力が産み出した賜物だ。当然攻撃に使ってくる。翻弄されないように気をつけるんだ。見失った最後、レースマシンごと突っ込んで来るだろうと考えられるな。」
 そして最後の一本を折りたたむ。
「最後に団結力だ。やつらの地元であるからとも言えるが各人がモータースポーツの優位性を守るために協力してくるはずだ。チームで戦うから尊いんだ。絆が深まるんだ。|支援攻撃者《ストライカー》による集団走行タックルには十分注意を払ったほうがいいだろう。」
 ナイス・ガイによるジェントルレーサーの事前説明は以上だ。
 レースマシンの使用に厄介なバラの花びら、そして集団走行によるタックル攻撃。ナイス・ガイの列挙したこれらの技はジェントルレーサーの|必殺技《ユーベルコード》である。
 であれば攻略法は2つだ。
「一つ、ジェントルレーサーが必殺技をぶっ放すように仕向けて|邀撃《ようげき》すること。もう一つは必殺技を出される前に一方的な試合運びで圧倒することだ。俺のインストラクトについてこれたお前たちならできるはずだ!」

『まもなく予選開始です。全出場選手は個々が指定された試合エリアに入ってください。』
「それじゃあここから健闘を祈っているぜぇ!」
 猟兵たちを激励するとナイス・ガイは最後に特大のサムズアップで送り出した。
 いよいよ路上格闘競技、その本番である。

 |レッツゴーイェーガー《試合開始》!!
四軒屋・綴
※なんでも歓迎
う ぁ ぁ ぁ (声援文字)
貴公子が熱気を一身に練り浴びているッ!!
これはもう|路地裏《ストリート》以上の熱狂だッ!

俺も派手に行こう現地でセルフ合体ガキッガキッ我が名はジョウキングッ!
熱い|勝負をしたいものだ…|真剣《ガチ》でなッ!

四輪は方向転換に隙を生まざるを得ない、二足の小回りと推進力で強引に旋回半径の内側を取って回避しつつ反撃を重ねる
狙い目は敵ユーベルコード、激突の衝撃を衝撃波として排出しつつ上に跳ね上げられることで後退を無効化、しゃあッ!ストロング・ナイス流超実践格闘術奥義"衝撃滑り"ッ!
操縦席から引き出し関節を決めつつ観客にアピール、【蒸式・怒濤爆落下】を決めるッ!




『さぁこちら予選第1試合エリア、ワイオミング州王者、トミー・“パイソン”・ボストーク選手がリングイン!』

わ あ あ あ あ…!

 トミー・“パイソン”・ボストーク。ワイオミング州出身。
 身長202cm、体重103kgの巨漢ハンサムで元野球選手という異例の経歴を持つレーサー。
 勝負勘に優れている上に、類稀なる身体能力を活かした重心移動ドリフト走行が持ち味であり、本業のレース、路上格闘競技ともにバランスの良い成績を持つ名アスリートであり、彼に対する観客の期待は高い。
『パ・イ・ソン!』『パ・イ・ソン!』
 
「う、う あ あ あ!き、貴公子が熱気を一身に練り浴びているッ!!
これはもう|路地裏《ストリート》以上の熱狂だッ!」
 明らかな|敵地《アウェイ》でありながら、しかしその熱狂は綴を奮い立たせる。
 言うなればこれは…武者震い!

『続きまして|挑戦者《チャレンジャー》!猟兵!四軒屋・|蒸気王《ジョウキング》・綴選手ッ!』

「ならば郷に入らば郷に従えだっ 俺も派手に行こう!」
「|試合場《リング》への門を開けろっ 挑戦者の入場だっ」
 アナウンサーの紹介に従いスタッフは慌ただしく動き、綴も意気揚々と試合場へ乗り込むかと思いきや、
「セルフ合体ッ!」
「なにっ な、なんだぁっ」
 突如叫ぶ綴に驚くスタッフ、そして観客達。
 綴試合場への花道を歩きながら身体各所の装甲、推進装置などを万全の状態に変形させていくではないかぁっ!

「ロ、ロボットだっ」
「挑戦者の正体見たり!ボストークの相手はロボットだったのかぁっ」
 観客席から湧き上がる歓声、そして|よそ者《アウトサイダー》である綴に驚きどよめくが聞こえてくる。
 ガキッガキッと音を響かせ、蒸気を吹き上げる彼はアメリカの陰謀論者の間で噂されるエリア52が発明した格闘ロボットなのであろうか?
 否っ、四軒屋・綴はヒーローマスクである!
「我が名はジョウキングッ!熱い|勝負をしたいものだ…|真剣《ガチ》でなッ!」

 わ あ あ あ あ…!
『ジョウキング!』『ジョウキング!』
 綴の派手なパフォーマンスに観客は総立ち、掴みは成功と考えられる。

「ヘイ、ミスター・|蒸気男《スチームパンク》。ここはサーキットだ、|鉄道《レール》は敷いてないぜ?」
 だが相手のボストークはそんな綴をからかうように挑発、
「フッ、鉄道が無ければ俺が走ったあとに敷くだけさ。|開拓者《フロンティアスピリッツ》の末裔が寝ぼけてしまったかっ!」
「なにっ」
「両者構えてっ!開始前の戦闘はルール違反とみなして失格とするぞ!」
「ふんっ…!」
「…失礼したっ!」
『おおっと、一触即発の状況でしたが名レフェリー、ショウ・ブキャナンが場を収めたァ!』
『ボストーク選手、どうやら気が立っているようですね。州を代表する選手として|紳士《ジェントルマン》らしく試合に臨んでほしいところです。』

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」
 レフェリー、ショウ・ブキャナンの合図で試合が開始される。
「|よそ者《アウトサイダー》風情に良いようにされてたまっかよ…!スクラップにしてやらぁ!」
『ボストーク選手、初っ端から愛車“サイドワインダー”でフルスロットル!一気にカタをつけに行くようです!』
「たしかにこれの直撃は避けたいッ!うまく回避して反撃の機を窺わないと…なにっ!」

『おおーっと!ここでボストーク選手、十八番の“パイソン・ドリフト”をここで出してきたぁ!』
『得意とするドリフト技術によるアタックで相手選手のヒットポイントを削りながら自身はマシンを最高速度に到達させるボストークの高等テクニックです!』

「はーっ 最高のマシンに最高のレーサーを搭載しているんだ!これで優勝は俺のものだぜー!」
「うおおおっ」
 さながら大蛇ののたうちが如きボストークのドリフトアタックに翻弄される綴、そしてじわじわと削れていくHPバー!
『四軒屋選手のヒットポイント、50%を切りました!これはボストーク選手の圧勝かぁっ!?』
『劣勢の四軒屋選手ですが最後まで諦めないでほしいですね。』

「ぐっ…想像を超えた衝撃力だっ。だがもう少しで…!」
「エンジンが暖まって来たぜ!そろそろフィニッシュといくか!」
 防戦一方の綴に、マシンの計器を見て舌なめずりをしたボストークは必殺技の態勢に入る。
 そして同時に綴もそれを反撃の時と悟った。

『ボストーク選手のサイドワインダー、華麗なドリフトターンから四軒屋選手目掛けて直線コースに入ったぁ!必殺技が来るぞぉっ』
 熱の籠もった実況を待ってましたとばかりに観客が歓声を上げる。
 時を同じくして試合場ではボストークの“ラディカルクラッシュ”が炸裂しようとしていたっ!

「しゃあっ 衝撃滑り!」
「な、なんだぁっ!?」
 おお、見よ!
 ボストークの殺人的突撃に対して綴はそれを受け流しているではないか!

「ふふふ…綴のやつ、あの短い間でストロング・ナイス流よ技を体得していたかっ…!」
 観客席後方にて試合を観戦していたナイス・ガイはひとり呟く。
「激突の衝撃を衝撃波として排出しつつ上に跳ね上げられることで後退を無効化、対重量級相手にはかなり有効な技、それこそがストロング・ナイス流超実践格闘術奥義"衝撃滑り"ッ…さぁ、とどめを刺してやれ綴っ!」

「しゃあっ」
「ごがっ」
『一体何が起きたぁっ、ラディカルクラッシュが決まったかと思いきや四軒屋選手、避けて運転席の中のボストーク選手を引きずり出しているぅ…!』
「|必殺技《ユーベルコード》いくぞぉっ!一気呵成の金剛秘奥ッ!!蒸式・怒濤爆落下ァ!」
 ラディカルクラッシュを受け流した綴はボストークのハンドルを握る腕に関節を決めながら引きずり出すと、そのまま跳躍し、ボストークに対し強力なパワーボム攻撃を繰り出した。
 制御を失ったマシンは防壁に激突し大破、ボストーク自身のHPバーも急速に減り、遂には消滅した。

 わ あ あ あ あ…!

「ーー勝負ありッ!勝者、四軒屋選手ゥ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガロウ・サンチェス
へえ、ここがこの世界のアメリカかい。
俺もクルマは好きだからな、試合が終わったらマシン見させてくれや。

一応正式なスポーツだし、轢き殺される心配は無いとはいえ……
マシンでぶつかられるのは難儀だな。
そういや、手製の板金ヨロイにV12エンジン取り付けた
バカがいたなぁ。
「いいぜ、かかって来な」
中華なべを構えて、突進に備えるぜ。
激突の瞬間《気功法》で筋力を増強、《盾受け》《ジャストガード》で
ブロッキングを試みる!
「ぬおおおおおおっ!」
観客席までぶっ飛ばされそうだぜ! だが密着状態ならこいつが使える……
ここで必殺ゲージMAX、《衝撃波》を乗せた【灰燼拳】を
車体に叩き込む!一発逆転こそ男のロマンよ!




『さぁこちら予選第2試合エリア、ネバダ州から、ジャック・スチーブンソン選手がリングイン!』

 ジャック・スチーブンソン。ネバダ州出身。
 レースチーム「モハーヴェ・レンジャーズ」の若きエース。まだ幼さ残る風貌から女性人気が高い。

「キャー!ジャッキィー!」
「こっち見てジャーック!」

『スチーブンソン選手相変わらずの女性人気ですねぇ。』
『マスゲーム応援団も来てますよ、まるでオリンピックのような珍しい光景です。』
 
『対するは猟兵、“|神拳《ゴッドハンド》”ガロウ・サンチェス選手!』
「ミスター・サンチェス、入場お願いします!」
「よし、俺も行くか…!」
 入場路近くで直前のウォーム・アップを終えたガロウは革ジャンを着るとスタッフの案内と共に試合場へ向けて歩き出した。

「ヒューッ!見ろよ|神拳《ゴッドハンド》の肉体を!」
「まるで鋼…いや鉄壁だ!」
「こいつはスチーブンソンも楽には勝てねぇかもしれねぇ…!」

『サンチェス選手、ジャケットの上からでもわかるほどに鍛え抜かれた肉体が観客の目を釘づけているゥ!』
『武器の扱いにも慣れているようですが基本は拳一つで戦う古き良きファイトスタイルとの事です。期待して良いでしょう。』

「オタクのマシン、|V8《8気筒》か?俺も同じようなのに乗ってるんだ。」
「えぇ、ここ一番の試合用の特別なマシンです。」
「そうだったか、良いよなV8。試合が終わったら色々アメ車を見て回りたいもんだ。」
「ハハハ、どうぞ堪能していってください。ですが勝ちは譲れませんよミスター・サンチェス。ネバダのお袋にトロフィーを見せてあげたいので。」
「何とも親孝行な事で…俺も勝ちに来たんでな。互いに死力を尽くすとしようか!」

『選手同士で言葉を交わし終わったようです!これはクリーン・プレーが期待できそうですね!』
『荒くれ者が多いこの競技では珍しい光景です、貴重な一線になるはずですよコレは。』
『さぁ試合場にレフェリー、トーマス・モレノが上がり両者開始線にスタンバイ!まもなく試合開始です!』

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」
 レフェリー、トーマス・モレノの合図と共にガロウ、スチーブンソンの対決の幕が上がった。
 開始と同時にスチーブンソンのマシン“シューティングスター”がガロウ目掛けて突っ込んでくる。対するガロウは愛用の中華鍋を構えて衝撃に備える。
「ぐぉっ…!なんて衝撃だっ!防御の上からでもふっとばされそうだ!」

『アメイジング!サンチェス選手、マッスルカーのぶちかましを耐えたぁ!』
『並のファイターなら吹っ飛ばされて一方的な蹂躙を受けるところです。スチーブンソン、出鼻を挫かれましたよ!』

「くっ…!だがこのマシンの本領はこれからだっ!」
「いいぜ、かかって来なスチーブンソン!」
 中華鍋を構え直すガロウは後退して体勢を整えるスチーブンソンに投げかける。
 両者ともに一騎打ちを選択したのは観客の目にも明らかであった。

「READY…GO!!」
「!!」
 ドラッグレーサーめいて超高速の突撃をかますスチーブンソンに女性観客が盛り上がる声が響き渡る。
「うおおおおお!」
 そして衝突の直前…ついにガロウが動いた。

『ブロッキングだっ!サンチェス選手、中華鍋を巧みに使い衝突の衝撃を次々に逃しているゥ!』
『かなりシビアなブロッキングですが成功すれば間違いなく反撃に転じられます!』

 ガロウの反撃に会場が沸き立ち興奮が臨界を迎えようともガロウ、スチーブンソンは冷静である。
 勢いで押し切るか、勢いを削ぎ切るか。
 互いにじわじわとHPバーを減らしながら、正に死力を尽くすが如きやり取りを展開する!

「ぐっ…マシンのパワーが!」
「そろそろ反撃させてもらうぜ!」
 ガロウはスチーブンソンの勢いが弱まったことを悟ると中華鍋を放り投げ遂にその拳を構える。
「灰燼拳!」
 |全力全開《ゲージMAX》、肉薄した間合いから打ち出された強力無比の鉄拳はシューティングスターのエンジン目掛けて放たれ、その頑丈な鋼鉄の車体を吹き飛ばした!
「ぐわぁアアア!!!」

『ふ、吹き飛んだァー!スチーブンソン選手、シューティングスターに乗ったまま場外に吹き飛んだァー!つよい、強いぞ|神拳《ゴッドハンド》ォ!ガロウ・サンチェスぅ!』

「ーー勝負ありッ!勝者、サンチェス選手ゥ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽環・柳火
向こうが車を出すなら、こっちもモンスターバイク『猫車』でレースバトルと洒落込むか
「火車としては乗り物を使ったバトルにゃ負けるわけにはいかねえな」
ここは『烈火乱れ咲き』での炎【属性攻撃】【弾幕】で突進を牽制
「高速移動中にどう捌くかお手並み拝見と行こうか」
弾幕はパターンが見切れれば、回避は難しくない。だが、回避でルートを限定させれば、好きな場所に追い込める
「ここがテメェのゴールだ」
突進をガード、もしくは攻撃で潰せたら【火車合体】で四肢に分離したバイクのパーツを装着して相手をボコボコに殴りまくる

「俺ぁ、なよっちいのより荒くれてるような感じのやつがタイプなんだよ。筋肉つけてから出直してきな!」




『猟兵の参戦で番狂わせ大波乱の今大会!予選第3試合エリア、ご存知ニューヨーク州、ビリー・“グッドナイト”・シューメッハ選手がリングイン!欧州ラリー競技会にむけて調整中とのことでしたがなんと電撃帰国しての出場です!』

 ビリー・“グッドナイト”・シューメッハ。ドイツ系移民、ニューヨーク州在住。今大会で屈指の年長者であり、同時に優勝候補。
 フォーミュラーレース出身のレーサーで、自らの可能性を広げるために渡米し様々なレース競技に挑戦を続けるモーターレース界の探求者。
 常に礼儀正しく堂々としている様子から|騎士道《グッドナイト》の異名を冠された。

『今大会出場レーサーの中で唯一国際舞台を知る男です!』
『超一流レーサーの超一流の戦いに期待が高まりますね!』

『対するは猟兵、“戦うファイヤーキャット”!陽環・柳火選手ゥーッ!』
「よっしゃあ行くぜ!」
 アナウンスを待ってましたと言わんばかりに気合を入れた柳火は愛車のエンジンを始動させると爆音轟かせウィリー走行で試合場に乗り込んでいった。

『おおっと!陽環選手、バイクに跨ってリングイン!超一流のレーサー相手にレース勝負を挑むつもりかぁーっ!』
『なかなか粋なパフォーマンスですねぇコレは!』

「|二輪《バイク》相手のファイト…良いだろう|お嬢さん《ガール》。しかし手加減はできないよ。トロフィーの名誉は私が掴む。」
 シューメッハは一貫した紳士的な態度で、そして親子ほどの年の差であり尚且つ小柄な柳火に勝利宣言をする。
 だが、その|余計な配慮《少女扱い》が柳火の逆鱗に触れた!
「ガールじゃねぇ、レディとして扱いやがれ!」
「す、すまないレディ・陽環。」
 フシャーッと毛を逆立たせ威嚇してくる柳火に流石のシューメッハもたじろいだ。

『どうやら陽環選手、現在24歳とのことです。これはシューメッハ選手に非がありますね。』
『東洋では|コウボウ・エラーズ《弘法も筆の誤り》とも言いますからね。試合ではエラーしないでほしいところです!』
『さぁ試合場にレフェリー、サラ・グレアムが上がり両者開始線にスタンバイ!まもなく試合開始です!』

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」
 柳火のモンスターバイク『猫車』、シューメッハの『ジークフリート』。レフェリー、サラ・グレアムの合図とともに両者のマシンが轟音轟かせ発進。二人は並走しながらサーキットへと突入した。

「それじゃあお手並み拝見と行くぜグッドナイト!」
 爆符『烈火乱れ咲き』を手に取った柳火が先に仕掛ける。シューメッハの周囲に無数の火の弾幕現れ、直後マシン目掛けて殺到してくる。
「この程度、どうということはない!」
 対するシューメッハ、コーナーに差し掛かったところで弾幕に対し、マシンを高速スピンさせることでこれを反射、コーナーを抜けると同時に柳火を引き離すようにスピードを上げていった。

『シューメッハ選手、陽環選手の先制攻撃難なく凌いだーっ!並走から追走に追い込まれた柳火選手、追いつけるかぁ!』
『路上格闘競技中はすぐに周回遅れが発生しやすくなりますからね。背後から強烈打を食らったら一発KOのリスクがありますよ。』

「くっ…このぉっ!」
 猫車フルスロットル、しかし中々ジークフリートとの距離が詰まらない。
 弾幕を矢継ぎ早に展開し、しかしそれをシューメッハご華麗に捌いて距離を離していくという展開に会場の誰もがシューメッハの勝利をーー、即ち周回遅れに陥った柳火を背後からの強烈打で討ち取るシューメッハの姿を確信していた。
「悪く思わないでくれレディ。普通なら背後からなど騎士道に悖るものだが…これはレースだからね。」
「…勝手に勝った気でいるんじゃあねぇ!」
「なにっ」

『おおっと!シューメッハ選手が背後を取ったと思ったら陽環選手が急減速!衝突するぞぉ!』
『ワッザ…!?』

 アナウンサー達が驚いた。まるでスーサイドとも取れる無謀な行為であり、シューメッハも意表を突かれ突撃のタイミングをズラされる形となった。

「車は急には止まれない…ふっ、柳火め。よく考えたな。あれならシューメッハも対応しきれないだろうよ。」
 そして後方腕組み勢のナイス・ガイが意味深に呟く!

「おらぁっ!」
「ぐぉっ…!」
 勢いが不十分なまま|衝突《クラッシュ》するも柳火には余力が残っており、逆にハンドルを取られたシューメッハは動きが鈍る。
「ここがテメェのゴールだグッドナイト!」
『陽環選手、マウントを取ったぞぉ!』
 柳火の姿は『ジークフリート』のボンネットの上にあった。
 しかもその姿は変形させた『猫車』を身に纏っているということもあり、一回り大きく、そして重い。
 シューメッハがいくらアクセルを踏み込んでも、柳火を乗せたままでは思うように速度が出ない。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!オラァっ!」
『でたぁ!ジャパニーズ・オラオラ!』
 まるでマンガめいたラッシュ攻撃に興奮するアナウンサー。
 柳火は両腕に合体した猫車でジークフリートが止まるまで殴るのを止めず、そして止まったら止まったでとどめのスマッシュ攻撃を打ち込みシューメッハを場外へと吹き飛ばした。
「グッハァァ!!」
「俺ぁ、なよっちいのより荒くれてるような感じのやつがタイプなんだよ。筋肉つけてから出直してきな!」

わ あ あ あ あ あ!

 予想を超えた予想外のジャイアント・キリングに会場は騒然である。
 故にそれは柳火を祝福する歓声であり、同時にシューメッハ敗退を信じられない観客の悲鳴でもあったのだ。

「あ、あのグッドナイトがやられるなんて…アンビリバボー…ハッ!し、勝負ありッ!勝者、陽環選手ゥ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
ストリート・ファイトなのに生身で勝負しない…こいつらクソでござるね
忌憚のない意見ってやつでござる

ゴングを鳴らせッ
戦闘開始だッ
まずは牽制、その場しゃがみ姿勢で相手のマシンのタイヤに銃撃を続ける待ちのスタイルですぞ
焦れた相手の【マシンの突進】が来たら切り札を投入!【架空兵器】を召喚!支援攻撃者ストライカーを出せるのは貴様らだけではないッ
呼び出された人型がマシンの突進を受け止めるッ!
こいつは"TODAa"…観ての通り人の形をした機械でござる

所謂アンドロイドでござるな!もちろん拙者の|想像《創造》でござるが?
何にしろチャンスだ!相手の動きを止めたらすかさず頭に膝を叩き込む!
しゃあっシン・マムシ!




『こちら予選第4試合エリア!公道レースのキングにしてカラテ十段のタツジン!ハワイ州!ダイクン・キムラ選手がリングイン!』

 ダイクン・キムラ。ハワイ州出身の日系レーサー。
 公道レース、そして日系ルーツを活かしたカラテ活動により知名度を高めたカリスマ的存在。
 またレースや路上格闘競技の外でも評論家、作家、株トレーダーなど天賦のマルチ・タレント性を発揮しその個人資産総額…500億USドル。
 その甲斐もあってアメリカを代表する経済誌の表紙を飾ったこともあるほどだ。

『現在は故郷ハワイの州知事選に立候補を明言するなど60代を手前に精力的な活動が目立っていますね。』
『ある意味でアメリカン・ドリームの体現者と言えるでしょう!』

『対するは猟兵…一撃絶命の拳を持つ、黒髭流軍隊式格闘術最高指導者エドゥアルト・ルーデル選手です!』
「えっ、ヤダ…変な異名つけられてるんですけどぉ?」
 ここまでの流れ的にシンプルに「|黒髭《ブラック・ビアード》」とか「猟兵のニューウェーブ」とかそういった感じの紹介になるかと思いきや、謎の流派の最高指導者にされては流石のエドゥアルトも|苦笑い《ぴえん》通り越しての|ドン引き《ぱおん》であった。

 わ あ あ あ あ …!

 盛大な歓声に包まれる中邂逅したエドゥアルトとダイクン。そして先に口を開いたのはダイクンであった。
「…ルーデルさん。この試合、ワシに“勝ち”を譲っちゃあくれんかね?」
「なにっ」
 
 ダイクン59歳、対してエドゥアルト38歳。
 老いたりともいえ血気盛んなダイクンがエドゥアルトに後れを取るということはない。
 若いエドゥアルトを揉んでやろうという気概は当然持っていた。
 しかしこの試合は州知事選に向けたパフォーマンス。リスクを減らすためならば老獪なるダイクンは如何なる手でも使うといったスタンス……その表れであると考えられる。

「ワシは知っての通り|億万長者《ビリオンダラー》だ。この話を飲んでくれるなら君の言い値を即時|現ナマ《キャッシュ》で払う準備があると言っておこう。」
「ストリート・ファイトなのに生身で勝負しない…その上で堂々と八百長を持ちかける…こいつクソでござるね。」
「なにっ」
「忌憚のない意見ってやつでござる。それでも文句があるんならいつでも喧嘩上等っスよ」
「貴様ーっ!モーター・レーサーを愚弄する気かぁっ」
 エドゥアルトの物言いにダイクン・サイドのクルーが激昂し試合場に乗り込んでくるがエドゥアルトの口は止まらない。
「むしろ愚弄してるのはキムラだと思うのが拙者なんだよね、凄くない?」
 ーーそれはそう。

『ぜ、舌戦だぁーっ!ゴング前に怒涛の舌戦が繰り広げられているっ』
『というかキムラ選手、堂々と八百長持ちかけるとか州知事選に影響出ると思うんスけど…いいんスかこれ?』

「ピットクルーは試合場の外に出なさい!それにキムラ選手!指導1回!対戦相手への|敬意《リスペクト》を欠いた発言です!」
「まぁこうなるとは思っておったけどな、ブヘヘヘ。」
「貴様っ!」
 レフェリー、メイソン・チャンから厳しい叱責を受けるも悪びれないといった風のダイクン。
 流石にレーサーといえど許せぬ暴挙に二度目の警告を発しようとしたところでライフルを構えたエドゥアルトが待ったをかけた。
「もう十分でござるレフェリー・チャン!ゴングを鳴らせッ 戦闘開始だッ」

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」

 BLATATATA!!
『先手を取ったのはルーデル選手!お手本のようなしゃがみ撃ちによる低反動フルオート射撃でキムラ選手のマシン“コモドドラゴン”を強襲!』
『この射撃音からするに7.62mm|FMJ《完全被甲》弾のようです。タイヤなど比較的軟標的には効果的でしょう!』

「チィッ なんだってコモドドラゴンなんて名前をつけてるでござるよ!」
 アナウンサーの実況の通り、エドゥアルトの射撃はダイクンのマシンに着実にダメージを与える。
 しかしダイクンのコモドドラゴンは実にタフであった。
「ファファファ、タフという言葉はワシのために有るようなモンよ。それに…そんなバカみたいに撃ちまくったらそろそろ“カンバン”と違うか?」
「なにっ …あっ、弾切れでござる!」

 不意にガチリと金属音を立てたライフルはエドゥアルトにとって死刑宣告のようなものである。
 そして同時にそれはダイクンにとっての好機であった。
「はーっ、ワシの提案に乗っていればよかったと後悔しながら逝けーっ!」
 ダイクンは勝利宣言に似た台詞を発するとコモドドラゴンを急発進させエドゥアルト目掛けて突っ込む!

「ソウハ|トンヤガオロサン《問屋が卸さん》デゴザル」
「なんだぁっ」
『あぁっ “何か”がコモドドラゴンとルーデル選手の間に割って入ったぁっ キムラ選手から驚愕の声上がるゥ!』

 会場に響く衝突音。しかしそれは観客たちが想像していた鋼鉄のマシンが肉をぐちゃぐちゃにするようなそれではなく、「鋼鉄のマシン同士」がぶつかり合う音であった。

「ククク…拙者の最新最高のテクノロジーをもって開発した二足歩行型ロボット“TODAa”…。観ての通り人の形をした機械で拙者の|支援攻撃者《ストライカー》でござる。」

 全く理解の追いつかない展開にざわつく観客席。
 その後方ではナイス・ガイが腕組みをしながらその様子を冷静に観察していた。
「エドゥアルト、持ち味を活かすだけでなく|敵地《アウェイ》を乗っ取りやがったっ あの試合場はさしずめ“髭空間”と考えられるっ!」

「えぇい!何故動かんコモドドラゴンッッ」
「TODAaは攻撃力、耐久力、瞬発力、知性を兼ね備えた完全兵器でござるゥ……そしてTODAaは囮でござる。しゃあっ シン・マムシ!」
「ぎゃあっ」

『うわーっ!えげつない角度でルーデル選手の膝がキムラ選手の頭部を襲ったァー!』
「俺に放った"マムシ・ソード"をより進化させた"シン・マムシ"とでも言いたいのか?そこまで行くと謎展開を超えた“髭展開”だぞエドゥアルトっ!」
 アナウンサーとナイス・ガイがほぼ同時にその瞬間をーーつまり決着の瞬間を目撃していた。

 TODAaを轢き潰そうとするダイクン目掛けて悠然と近づいたエドゥアルトによる膝蹴りはサイドウインドウを蹴り割り、そのままダイクンの顔面を破壊、制御を失ったコモドドラゴンはダイクンを乗せたままクラッシュしたのである。
 そして運転席からダイクンを引っ張り出したエドゥアルトは高らかに勝利を宣言した。

「これで一人決勝に近づいたというわけでござる。」
「あへあへあへ…」

「勝負ありッ!勝者、ルーデル選手ゥ!」

 そして翌朝のハワイでは朝刊一面にデカデカと
『州知事選候補 ダイクン・キムラ 屈辱』
『猟兵相手に失神KO』『全世界ネットで晒される』
 などの見出しとともにシン・マムシを食らった瞬間のダイクンの写真が掲載されたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花走・りな
よーし、早速本番だね☆
よろしくお願いします!

せっかくバットを用意したけど、マシンに乗られると選手まで攻撃が届くかちょっと怪しいかも

遠距離攻撃で牽制した方がいいかな?
アイテム[喝采の蒼炎][黄金色の獄炎]で攻撃。ついでに薔薇も燃やして視界が確保出来ればなおよし。

とはいえ、ずっとちまちまと攻撃しいても仕方が無いよね。バット攻撃も混ぜつつ相手のUCを待つ。

敵UC【ラディカルクラッシュ】がきたら
UC【スライムモード】使用

という訳で事故、起こしちゃおうか♪
レースマシンをスライム化した自分でスリップさせる

相手の隙さえ作れば後はバットでトドメを指すだけだよね。

※アレンジ歓迎




『予選第5試合エリア、あの“死神”がテキサス州から乗り込んできた!グレアム・ブラドベリ選手がリングイン!』

 “死神”グレアム・ブラドベリ。テキサス州出身。華々しいレーサー達と一線を画した異質なレーサー。
 彼の出場するレースでは高確率で大クラッシュ事故が発生し、その中を悠然と駆け抜ける様から“死神”と呼ばれるようになった。
 そして八百長疑惑、マフィアとの繋がりなど黒い噂が付き纏い、しかしどれもが証拠不十分な噂レベルで留まっていることからプロのライセンスは剥奪されず、不気味な存在として恐れられているのだ。

『観客席からはブーイングの嵐が巻き起こっています!』
『ブラドベリは特段素行が悪いわけでもないし、不本意でしょうがレースのジンクスは侮れませんからね。』

『対するは猟兵、近代五種競技《キング・オブ・スポーツ》!花走・りな選手!』
「よーし、早速本番だね☆よろしくお願いします!」
 りなはバットを担ぐと意気揚々と試合場に乗り込んでゆく。
 その様子は堂に入っていて、まるでメジャーリーガーのバッターボックス入りを彷彿とさせる。
 そしてここは野球発祥の国アメリカ、故に観客達が皆りなに釘付けになるのは自明の理であった。

『りな選手の使用武器はバットのようです!』
『|我が国《ステイツ》においては銃の次に人気を誇るアイテムですね!彼女の腕前に注目です!』

 猟兵りなへの声援、死神グレアムへのブーイング。
 騒がしくなる観客をよそに両者の間では言葉が交わされていた。

「……悪いことは言わん。俺との試合、棄権するんだな。さもないと負ける以上に辛いことがお前を襲うぞ。」
「試合の前から負けることを考えるアスリートなんていないよ!正々堂々、勝負しようね!」
「……フンッ。忠告はしたからな。」
 グレアムは不吉な予言をりなに投げかけると足早に自身のマシン“シルバーバレット”へと乗り込んでいった。
 対するりなはといえばストレッチやスイングの確認といった正にアスリートらしい調整を終えて開始線へとつく。

『レフェリーは元ハリウッド俳優、ビル・クーパーです!』
「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」

 レフェリー、ビル・クーパーの開始の合図が出ると同時に試合場は黒と蒼、金色の奔流に埋め尽くされた。

『な、なんだぁっ』
『開始早々に遠距離戦が始まったようです。ブラドベリ選手は黒薔薇の花びらを、対する花走選手は蒼と金色の炎を操って迎撃しているようですね。』

「チィッ…!」
 早々の幕引きを狙っていたであろうブラドベリは花びらによる撹乱攻撃から必殺コンビネーションに繋げる計画であったが、それは牽制を狙っていたりなと実際に相性が悪かった。
「結果オーライ!じゃあ次はこっちからだよ!」
 そして好機と見たりなは炎を放ちながらグレアムのシルバーバレットに接近するとバットによる打撃を放つ。
 時に|振り抜き《スイング》、時に|打突《ヒット》で。それはナイス・ガイとの学びの中で得られた技術であった。

『花走選手素晴らしいワザマエだぁっ!対する死神は防戦一方!ヒットポイントがどんどん減っていくぅ!』
『ブラドベリ選手、ここは一発逆転の必殺技発動を狙わないと危ない展開ですよコレは!』

「言われなくても…やってやるよッッ!」
 グレアムはシルバーバレットを急発進させ、りなとの距離を稼ぐと突撃姿勢に入る。
 それに対してりなは真っ向から防御姿勢で迎え撃つ形だ。
「この衝突を耐えて反撃に……なにっ!?」

『でたぁーっ 白銀の車体が最高速度でスライド走行!|死神の鎌《グリム・リーパー》が花走選手に襲いかかるゥー!』
 アナウンサーはりな目掛けて横滑りしてくるシルバーバレットに絶叫する。
 これこそグレアム・ブラドベリの変形ラディカルクラッシュ、またの名を『|死神の鎌《グリム・リーパー》』であった。

(体勢を変え…遅過ぎるッ)(避け…間に合わないッ)(車体長ッ)
 りなの脳内を走馬灯めいて駆け巡る無数の思考。
 しかし、りなはその中にあっても勝利を掴み取ることを諦めてはいなかった。
「だったらこれだぁっ!」
「なにっ」
 サイドウインドウ越しにりなの姿を捉えていたグレアムは不意に消えたりなに驚きの声を上げる。
 撥ねた手応えもない、それどころかーー。

「うおおおおお!?」
『あぁっと!?シルバーバレット、盛大にスピンしているぞぉ!』

 突如制御を失ったマシン。まるで氷上でグリップを失ったかのような不可解な現象に理解が追いついていなかった。
 そしてグレアムは、シルバーバレットが障壁に激突する直前になってようやく“それ”に気がついた。

 ーー|スライム《花走りな》に投げられたのかッ。

『あ、|当て身《パリィ》だァーッ!猛スピードのレースマシン相手にマーシャル・アーツの秘技、当て身技が炸裂ぅーッッ!凄いぞ|近代五種競技《キング・オブ・スポーツ》!シルバーバレット、障壁に激突し大破ァ!』

 「当て身」とは本来は日本古武術に伝わる打撃技を意味する言葉であったが、今日においては「攻撃を受けながら放つカウンター技」を意味する技術である。
 西洋世界からすれば「当て身」といった技術は魔法めいて神秘的であり、そしてまさか自らをスライムと化し相手をスリップさせるなど、『これは神秘の粋である!』と興奮せざるを得ないのだ。

 会場からは『|近代五種競技《キング・オブ・スポーツ》!』の歓声が鳴り止まず、そしてまさかの理由で持ち上げられてるとはつゆとも思っていないりなは困惑しつつも観客達に手を振り応えるのであった。

「勝負ありッ!勝者、花走選手ッッ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト
これは、困りました、ね…。
普通でも、1500㎏超えが、装甲をつけて、しかも、時速320km…
掴むことも、出来ませんから、だいぶ、動きが、制限されちゃいます、ね。

とりあえず、相手と、並走するように、《飛翔天使》で、飛んでいきます。
これで、速度によるダメージは、減らせる、でしょうか。
そして、外壁スレスレを、飛んでみたり、あるいは、〈怪力〉で、窓からハンドルに、手を掛けて、急ハンドルを、切ってみたりして、クラッシュを、狙います。
あ、わたしは、タイミングよく、ふわりと浮いて、回避…出来ると、良いのですが。
それで、止まった瞬間に、運転手を、飛び蹴りしたり、引きずり出して、地面に投げ倒して、あげますねっ




『予選第6試合エリア、|ミズーリ州の怪物《ミズーリ・モンスター》、ブルース・ウィーバー選手がリングイン!』

 ブルース・ウィーバー。通称『|ミズーリ州の怪物《ミズーリ・モンスター》』。
 異名は得意とする『|デモリッション・ダービー《廃車レース》』で負け無しの好成績を叩き出し続けている事に由来しており、路上格闘競技においては暴れ牛の如き試合を繰り広げる危険選手として恐れられている。

『マシンは今大会中最重量クラスの“|マイティー・モー《戦艦ミズーリ》”です!』
『正に戦艦クラスの質量が頼もしいですね。並み居る強豪選手が敗退している中、決勝に勝ち進んでほしいところです!』

『対するは猟兵、|小拳闘士《フェアリー・グラディエーター》!アニカ・エドフェルト選手ゥー!』
「……。(これは、困りました、ね…。)」
 アニカは物静かに試合場へと入っていく。
 総重量1.5t超、最高速度320km/h超……それがモーターレースマシンの“平均的なスペック”。
 しかしこれから相手にするのは今大会最重量クラスのモンスターマシン。そして暴力的なレース競技|デモリッション・ダービー《廃車レース》の名手と知られる選手だ。
「…ですが、やるしか、ない…です!」
 ダークセイヴァーの「闘技場」で様々な相手と
戦わされてきたアニカにとっても未知の強敵。しかし、既にアニカの脳内では勝利の方程式が組み立て始められていた。

『エドフェルト選手、今大会中最軽量クラスの|選手《ファイター》ですね。初戦から最重量級相手とは運が無い。』
『果たしてゴリアテを打倒したダビデの如きエドフェルト選手のジャイアントキリングが炸裂するか、はたまた“怪物”ウィーバー選手が蹂躙するか!?注目の一戦です!』

「お嬢ちゃん、俺は相手が誰であろうと手加減ができない。それにコイツは殺戮ショーなんかじゃあない。ヤバいと思ったら早めに場外に逃げるんだな。」
「ありがとう…ござい、ます。でも、逃げません、から。正々堂々…戦い、ましょう…!」
「…はっ、グラディエーター相手に心配する必要は無かったってか。」
 対戦相手ブルースからぶっきらぼうな忠告に、拳闘士の流儀で返すアニカ。
 両者の間に、確かに闘争の火が灯っていた。

『レフェリーはトーマス・ウォーカーです!』
「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」

 開始と同時に飛び出す両者、アニカとブルースによるドッグファイトめいた攻防の始まりである。
「おらぁ!」
「…!くっ…!」
 マイティー・モーが潰しにかかろうとアニカを捉えればアニカは翼を使った三次元機動を駆使しすんでのところで躱し、逆にアニカが仕掛けようとすればブルースはアニカを振り切ろうと暴れ回る。
 正にどっちも引かぬ千日手、そう思われていたがアタックを仕掛けるブルースのマイティー・モーは外壁への自爆で徐々にHPバーをすり減らしていた。

『おおっとマイティー・モーから白煙が上がり始めているぞぉ!ブルース選手劣勢かぁっ』
『対するエドフェルト選手もスタミナが心配ですね。両者とも勝負を決めるなら次がチャンスですよ!』

「はぁ…はぁ…!」「ぜぇ…ぜぇ…!」
 アニカ、ブルース共に死力を尽くす試合に息を呑む観客達。
 誰も彼もがその勝負に魅入っていた。

「…勝つのは俺だぁっ」
 仕掛けたのはやはりブルース。気合を入れられたかのようにマイティー・モーは瞬間的速さでトップスピードに乗り、アニカ目掛けてラディカルクラッシュを繰り出した。
「……やあぁっ!」

『ワッザ!?』『ホーリーッ…!?』
 対するアニカはそれを正面から相手取り…マイティー・モーのはずれ掛かったフロントバンパーに手を掛けると、流れるような動きで背負投げを繰り出した。
 誰もが、当然ブルースも驚愕の表情を浮かべる。

 |マイティー・モー《最重量マシン》が宙を舞い、そして轟音とともに地面と衝突する。

「し、勝負あり!勝者、エドフェルト選手!」
 その誰の目から見ても明らかな一本勝ちにレフェリー、トーマス・ウォーカーが判定を下した。

『た、倒したぁ!エドフェルト選手、ミズーリ州の怪物、ウィーバー選手とマイティー・モーをジュードーで打倒したぁ!』
『見事なジャイアントキリングに観客は大盛りあがりです!』
 その余りにも鮮烈な勝利はその日一番の盛り上がりを見せ、当のアニカもまた拳闘士らしく拳を掲げ、勝利を宣言してみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八洲・百重
●POW

おおお、おらスンゲェところに来ちまっただァ💦
こんな大観客の会場だなんて、おらアガっちまうだよ
こんな時は呪ねぇ人を飲んでかかるで掌さ人って書いて…だ
仕上げにおらの頬さビンタをかまして【気合い】と【闘争心】を注入したら、『覚悟の闘志』でヤッシマー魔魅の生身対車両の異種格闘技戦の開幕だ!

オラァ!轢くなら轢いてみやがれッッ!!

車が突っ込んで来てもプロレスラーたる者は相手の攻撃を受け止めるもんだ
ンなら、すれ違いざまにドアミラーさヘッドロックをかけてもぎ取る【挑発】で相手をその気にさせてやんべ
最後は相手の力を利用したスープレックスで、ボーナスステージの車破壊みてぇにスクラップさしてやるべ




『予選第7試合エリア!ーー待っていたぞチャンピオンッッ!前大会覇者!キャプテン・パトリオットォー!』

 わ あ あ あ あ!

 キャプテン・パトリオット。アナウンサーがその名を叫ぶと観客はその日一番の大盛りあがりを見せた。
 それもそのはずだ。彼は今日のアメリカのレース界における大英雄である。盛り上がらないはずがなかった。

『対するは猟兵!“ヤッシマー魔魅”八洲・百重選手!……八洲選手ッ!……っどうやらトラブルがあったようですっ!少々お待ちくださいッ……!』

「は、はわわわ……おおお、おらスンゲェところに来ちまっただァ💦」
 対する百重はというとかなり緊張して試合どころでは無かった。
 路上格闘競技、その名の通りストリートで戦うかと思いきやナイス・ガイに行ってこいと言われて来てみればアメリカンレースの聖地『シャーロット・モーター・スピードウェイ』で、しかも観客は16.5万席を埋め尽くす大舞台だ。
 これまで日本の地方興行ーー即ち多くとも数千人規模がやっとなぐらいの規模感の試合だったというのに、もうこれは東京の武道館を超えているのでは?などと考えると緊張が余計に酷くなってしまう百重。

「こちらでしたか八洲選手!急いで入場してください!不戦敗になりますよ!」
「あっ、えっ!あっはいッ!」
 緊張の度合いは、そんな百重を心配して呼びに来たスタッフにも驚いてしまうほどに高まっていて傍から見ても本当に戦えるか怪しい様子であった。

「や、やるしかねぇだ…!こんな時は呪ねぇ人を飲んでかかるで掌さ人って書いて…だ…!」
 しまいには日本人にしかわからない呪いを始めたのでスタッフも「マジで大丈夫かなこの人…?」とつぶやき始める次第である。が、百重は本気であった。

「仕上げに頬を……!」
 バチンと勢いよく自らの頬を張って気合注入をする百重。
 その頬はヒリヒリと、リンゴのように真っ赤に染まるが、気合は十分だ。
「……っしゃあ!ヤッシマー魔魅様のお通りだぁっ!」

『ようやくのリングインです八洲選手!腕を振り上げてのアピールで気合十分といったようですね!』
『パトリオット選手は試合場で腕組みをしながら待ち構えます!』

「俺はキャプテン・パトリオットだぁっ! 猟兵!正々堂々と戦おうじゃあないか!」
「おうよ!ヤッシマー魔魅の生身対車両の異種格闘技戦の開幕だ!トラックだろうが戦車だろうがなんでも出してこいやぁ!」

 まさに人が変わったかのような百重に、入場前の様子を知る人たちは驚きの表情を見せる。
 しかしプロレスラーとは観客の前ではいつも全盛期なのだ。“ヤッシマー魔魅”もそれに漏れない存在で、アメリカ最強の一角、キャプテン・パトリオットを前にしても臆さないとはつまりそういうことなのである。

『レフェリーはジャック・ワシントンです!』
「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」

「オラァ!轢くなら轢いてみやがれッッ!!」
「はっはぁ! トーキョーまで送り返してやるぜぇ!」
 開始と同時に受けの姿勢を取る百重、対して躊躇なくマシンによるぶちかましを仕掛けるキャプテン・パトリオット。
 百重の無謀な挑戦に速攻で決着がつくと思うのはアメリカン・レーサーの優位性を信じる観客達の当然の心理である。

『キャプテン・パトリオットの“オール・アメリカ”が八洲選手にアタァーックッッ!売り言葉に買い言葉のラディカルクラッシュ炸裂ぅーッ!』
『やったか!?』

 その瞬間的勝負の様子に絶叫するアナウンサー。
 実際に衝突の衝撃は激しく、舞い上がる土埃のせいで状況は、レフェリーを除いて直ぐに確認することは困難であった。

『…なにっ!まだ試合続行中!続行中とのことです!八洲選手!ラディカルクラッシュを耐えていたァ!』

「ふんがあああっ!!!」
「何というパワーだっ!」 
 覚悟を決めたプロレスラーとは非常に強い。
 その一瞬に全てを捧げることで引き出される能力は他挌闘技のそれら以上であり、覚悟を決めたプロレスラーを倒せるのは同じく覚悟を決めたプロレスラーほどのものである。
 キャプテン・パトリオットのマシン“オール・アメリカ”は大会中最強のマシンである。重量はさることながら加速力、最高速度、制御性においても超一流の兵器である。
 それを百重はーー真正面から受け止めていた。

『す、スモウだァー!八洲選手!キャプテン・パトリオット相手にスモウをとっているっ!』
『アメイジング!アンビリバボー!』

 驚きの展開に歓声と絶叫で沸き立つシャーロット・モーター・スピードウェイ16.5万席。大英雄たるキャプテン・パトリオットの勝利を求める者、そして予想外の活躍を見せる百重を応援する者。その二つがせめぎ合う!

「コイツでェ……とどめだぁッ!」
「なんとおおおお!?」
 そしてその盛り上がりに応えるように百重はフィニッシュホールドを宣言、地に根を張る足裏から背中にかけての全筋肉に力を込め、がっぷり四つを組んだオール・アメリカを持ち上げるとスープレックス姿勢に入った。

『う あ あ あ あ!!スープレックス姿勢だぁっ』
『やるのか!?できるのか、ヤッシマーぁ!』
 キャプテン・パトリオットが必死に回転させていたオール・アメリカの後輪が浮き、虚しく空を駆けようとするタイヤとエンジンの音が鳴り響く。
「スクラップさァしてやるべェー!」
「うぎゃあああっ!!」
 そして止めを刺すべく百重が身体を逸らすとオール・アメリカのフロントが地面と衝突、頑丈なエンジンルームも真正面からプレスされたかのように押し潰され、見る人が見れば「垂直に地面に突っ込むように埋まったレースマシン」という率直な感想が思い浮かぶような光景がそこにあった。

『き、キャプテン・パトリオット敗北ッッ!まさかの予選敗退ッッ!何たる…何たる番狂わせかぁっ』
『客席は大混乱です!』

「勝負あり!勝者、ヤッシマー魔魅選手!」
「しゃあっ!どんなもんじゃー!」
 レフェリー、ジャック・ワシントンが決着を告げると百重は高らかに腕を振り上げ勝利を宣言した。
 キャプテン・パトリオット敗北で混迷を極める観客それどころではなかったが…

「すげぇな日本のレスラー!」
「いい試合だったぞぉー!次も頼むぜぇ!」
 しかし、確かに百重は聞いたのだ。
 16.5万席、その中から自分の試合を見ていた者達の歓声と祝福の声を。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『蒼銀の女騎士』

POW   :    我が名誉に誓って
【ドイツ流剣術に則った構え】の継続時間に比例して、自身の移動力・攻撃力・身体硬度・勝負勘が上昇する。
SPD   :    騎士は得物を選ばず
【片手剣と盾による斬撃】【短剣での急所刺突】【組み打ちからのレスリング】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    鉄と革、木と鋲を以て
戦場内を【草原の広がる戦場】世界に交換する。この世界は「【近代以降の技術を使った兵装禁止】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。

イラスト:Shionty

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ユエイン・リュンコイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●前回までのあらすじッッ

 グリモア猟兵からの依頼でアスリートアース世界の「路上格闘競技」に参戦した猟兵はアメリカの名だたるレーサー達相手に快進撃を見せていた……。

●|大会荒らし《ダーク・リーガー》、襲来ッッ

 う あ あ あ あ

『な、なんだぁっ』
『い、いま予選エリアの一画で何かが起きたようですッ…!土煙のせいで見えませんが…あっ!』
 今や猟兵達の活躍で歓声溢れんばかりの盛り上がりを見せるアメリカンレースの聖地『シャーロット・モーター・スピードウェイ』を劈くかの様に、予選会に大きな爆発音が轟いた。

『じ、ジーザス・クライストっ…!信じられません!「ブッチャー・ピート」グラント選手、「フロリダ・クイーン」マイヤーズ選手……!優勝候補として期待されていたエース級選手が皆試合場に倒れ伏しています!この光景、死屍累々との言葉以外に表現が思いつきません!』
『一体何が…!?あっ、何者かが試合場の中心にいます!』
 会場を俯瞰できる実況席から乗り出すように目を凝らしたアナウンサーが捉えたのは全身を|フルプレートアーマー《甲冑》で武装した一人の美女であった。
「耳を傾けよっ!ここに勝ち上がった競技者を…猟兵の雁首を並べろっ!我が剣の錆にしてくれる!」
『な、何と言うことだ!乱入してきたのは女騎士だぁっ』
『そして要求は猟兵たちとの勝負!一体何を考えているんだぁっ!』

「ぬぅ、あれは|女騎士《レディ・ナイト》…!」
「なにっ 知っているのかシューメッハ!?」
「欧州屈指のアーマードバトラー。本名を隠しているため、ただ女騎士と呼ばれている…。|合衆国《ステイツ》に入っているという噂は聞いていたがこの大会に現れるとはっ…!」
 世界を知るレーサー、シューメッハが驚きを隠せないといった様子での説明に周囲が僅かにどよめく。

「ヘッ!奴さんが何者だろうが荒らし屋に変わりはねぇぜ!アメリカン・レーサーの意地を見せてやるべきだろうがよぉ!」
「グフフ…ワシのスペアマシンがここにいる人数分あるから一矢報いるぐらいは叶うはずや。」
 だが負けようが腐っても|レースの貴公子《ジェントルレーサー》達である。
 荒らし討伐に息巻くボストークとキムラに次々とレーサー達は賛同の声を上げる。
「大会荒らしという狼藉…たとえ女性とて許されないっ!」
「キムラぁ、てめぇのスペアマシンをスクラップにしちまっても文句言うんじゃあねぇぜ?」
「ふんっ、群れるのは好きじゃあないが…利害の一致ということにしておくか。」
 さらにスチーブンソン、ウィーバー、ブラドベリが続きーー、
「俺はキャプテン・パトリオットだあっ 動けるやつはマシンに乗り込め!ペイバック・タイムだ!」
 キャプテン・パトリオットの号令で動き出したっ!

「…むっ」
『エンジン音っ!無数のエンジン音が会場に響き渡っています!』
「俺はキャプテン・パトリオットだあっ…そしてこれが俺たちのチームワーク!皆で立ち向かうから尊いんだ、絆が深まるんだ!喰らえぃっ ラディカルクラッシュ・スタンピードっ!!」
『よ、予選敗退したレーサー達が乱入者ーー女騎士目掛けて集団突撃姿勢に入ったぁっ!』
『ルール破りのラディカルクラッシュぶっ放しっ!しかし一撃でも入れば大ダメージは免れないっ!』
 7台のレースマシンが女騎士目掛けて集団突撃を仕掛ける。
 それはいわばアメリカのレーサー達の意地、即ち|ヤンキー魂《アメリカン・スピリット》の一撃である!

「ムダな…マネをぉっ…!」
 しかし、対する女騎士が大上段に構えた剣を振り下ろし、先頭のキャプテン・パトリオットを撃破。続けざまに繰り出される連撃で後続集団を次々と蹴散らしていった!

「ぎゃあああっ」「バカなぁっ!?」
『な、なんという事だぁっ。ラディカルクラッシュ・スタンピードが女騎士に次々と斬り伏せられてゆくっ!』
『ば、バケモノ…!一台残らず膾切りにするなんてっ…!』

 正に希望を打ち砕くが如し鬼神の連撃がシャーロット・モーター・スピードウェイ全体に戦慄を齎した。
 そして観客席後方腕組み勢のナイス・ガイもわずかに冷や汗を流していた。
「聞きしに勝る強さじゃあねぇか、あの女騎士…だが、猟兵達ならワンチャン…ワンチャン行けるんじゃあないか?」
 此処から先はまさに神のみぞ知る領域……!

 |レッツゴーイェーガー《戦闘開始》!!
ガロウ・サンチェス
んあ…?なんかえらく気合の入ったネーチャンが出てきたぞ。
クルマをぶった切るとは恐れ入ったぜ。

俺様も、長年使ってきた武術棍を取り出す。棒術でお相手するぜ。
棍のリーチで剣に対抗、真っ向から《功夫》で打ち合いだ!
《ジャストガード》《受け流し》で斬撃を受け止め、弾く。
敵の構えを崩すためなら、《足払い》や《グラップル》による
抑え込みも使うぜ。
《連続コンボ》による打突に《衝撃波》を乗せ、
鎧の上からもダメージを蓄積させていこう。
まったく、この世界はおもしれえファイターばっかりだな。
だが、そろそろキメさせてもらうぜ!
決め技は棒高跳びの要領で小ジャンプ、
飛び膝蹴りからの【水鳥連舞脚】でフィニッシュだ!




「おーおー、まさか剣一本でクルマをぶった切るとは恐れ入ったぜ。」
「まずは貴様が相手か。」
 女騎士はその声振り向くと同時に剣を構える。
 声の主はガロウ・サンチェス。予選では中華鍋を用いた戦いでスチーブンソンを撃破した猛者だ。

「なんかえらく気合が入ってるみたいだが…」
 ガロウは女騎士の様子に頭を少しばかり掻き、しかしもう片方の腕には風切り音を響かせ振り回される武術棍が握られており、ぱしんと音を立てて両の手に収まるとガロウも臨戦態勢といった様子に切り替わった。
「よし、だったらこっちも|棒《武器》術でお相手しようか。」
「よろしい…相手にとって不足なしッ!」

『乱入者、女騎士 |対《バーサス》 ガロウ・サンチェス!両者ともに武器を構えます! 』
『欧州屈指のアーマードバトラーに|果たして神拳《ゴッドハンド》は通じるか!?』

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」
「せやぁっ!」「はぁあっ!」
 レフェリーの合図とともに開始線から飛び出す両者。片や剣、片や棍が繰り出される。
 一合目の結果は…互角!棍と剣、挨拶代わりにと鈍く、しかし激しき衝突音を奏でる。

『開始早々、両者激しいイニシアチブの争奪戦が勃発だぁっ!』
『体格に加え6フィート近い棒のリーチを活かすサンチェス選手が有利か!?しかし女騎士も致命打を的確に捌きつつ機を伺っているぞっ』

「ハイハイハイハイハィィィッ!」
 ガロウの手元から繰り出されるは秒間十数打にも及ぶ連続突き、しかも時折り“捻り”や“撓り”を加え千変万化の軌道を描き、まるで機関銃から放たれる弾幕の如しといった様である。
「ぐっ…猪口才な…!」
 一撃あたりの威力は鎧をまとった女騎士にとって微々たるものであったが、しかし確実にHPバーを削り溶かすガロウの連撃は脅威であった。
「ならばっ…!」

『おおっとここで下がったぞ女騎士ぃ!打ち合いを嫌ったかぁ!?』
『しかしサンチェス選手、攻撃の手を緩めず追撃!』
「何するかは知らんが、やらせはせん!」
「笑止!」
 女騎士は伝統的なドイツ流剣術の「雄牛」ーー側頭部から相手目掛けて突き立てるかの如き構えをガロウに取ると、猛烈な勢いで突きを放った。
 対するガロウは掬い上げてくるような突きを棍で捌こうとするが…。
「なにっ」
「掛かったな!」
 ーーまるで棍が動かない。
 いや、むしろ棍に意思が宿ったのかという程に制御が効かない…!
(こいつは一体…!)

「ガロウよ。そいつをもらったのは不味かったな…!」
『な、何と言うことだ!サンチェス選手、これまでの勢いが嘘だったかのように動けていないぞ!何が起きて…いや、何が起こっているゥー!?』

 突然の展開に会場がザワつく中、ナイス・ガイは女騎士が用いた技術に一つ心当たりがあった。

 ドイツ流剣術技法、『バインド』
 攻防一体を旨とするドイツ流剣術において、対戦者相互の得物が組み合った状態からイニシアチブを獲得する技術である。
 日本剣術においては慣用句としても知られる「鍔迫り合い」の状態に似ているが、バインドが鍔迫り合いと一線を画するのは「バインドの状態から先に剣を外さない」という点である。

「はああぁっ!」
「ぬぅっ!?」
『どうした事かぁっ サンチェス選手、全く翻弄されている!』
『まるで女騎士の掌で踊らされているようです!これではスタミナが持ちませんよ!』

 女騎士は棍に噛みついた剣を縦横無尽に動かしながら突きや柄による打撃技を繰り出し、ガロウはそれをすんでの所で躱す事態に陥っていた。
 正に急転直下、女騎士の手玉に取られたガロウのHPバーもまたじわじわと削り溶かされていく。

「神拳なにするものぞ!ーー悪く思うなよ、コレでとどめだ!」
『女騎士、ここで仕留めにかかる!危うし、サンチェス選手ぅ!』

「…そいつはどうかな?」
「なにっ」
 勝ち筋を見出した女騎士はふとガロウから聞こえてきた言葉に怪訝な表情を見せ、続けざまに驚愕した。

『な、なんだぁっ ?!さ、サンチェス選手が“棒を真上に放り投げた”ァッ!そしてそれにつられた女騎士、ノーガードを晒す!』
「しまっーー!」

「ドイツ流剣術、恐れ入ったぜ。まったく、この世界はおもしれえファイターばっかりだな。…だが、そろそろキメさせてもらうぜ!」
 女騎士に翻弄される中、ガロウはとある言葉を思い出した。

『逆に考えるんだ。あげちゃってもいいさ、とね。』

 バインドという技に棍を絡め取られてしまった以上、武器術勝負においては女騎士に軍配が上がってしまったのは事実、しかし試合が継続中であるというのもまた事実である。
 であるならば攻め方を変えるまでであり、武器を捨てた故に“神拳”たる本領の発揮どころといえよう。

「しゃあっ!」
「オゴーッ!」
 ガロウの膝がガラ空きとなった女騎士の胴に突き刺さり、鎧の上からでも十分なほどの威力が女騎士の身体を浮き上がらせた。
 それと同時に落ちてきた棒を支点に飛び上がるガロウ。
「ホゥゥゥゥー……ハイハイハイハイハイハイーーッ!!」
『は、入ったァー!サンチェス選手の華麗な足技の数々が女騎士が地に落ちることを拒むゥー!』

「こいつで…終いだあっ!」
「グァハアアア!?」
 飛び膝蹴りからの跳躍から繰り出された水鳥連舞脚は女騎士のHPバーを削り切るには十分な威力を有していた。
 そしてクライマックスは空中踵落とし、合わせて地面との衝突による追加ダメージで女騎士をノックアウトに追い込むことに成功したガロウであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四軒屋・綴
※なんでも歓迎
knightを逆から読むと「|問無《といな》き」、もはや剣にて語るのみという事か|御令嬢《フロイライン》ッ!
相手の強さは修めた武術による物、対抗手段は……鉄騎乗りに習うとしようッ!先のKOと同じアピール、突撃、ブッパの必殺技…は囮だッ!
|確定反撃《カクハン》にはキャンセルでッ!迎撃を凌ぎ更に距離を詰めエルボー、ラリアット、そして立ち関節、剣術の構えを崩す零距離戦を挑むッ!
相手を削り再度必殺技へ、禁断の二度打ちだッ!

両足で技を掛け両手から着地、『衝撃滑り』で衝撃を全て相手へ叩き込む、これぞ|逆転の王道《ストロング・スタイル》ッ!
|逆蒸式・怒濤爆落下《ストロングバスター》だッ!!




「|騎士《knight》を逆から読むと|問無《といなき》…。」
「なにっ」
『な、なんだぁっ』
 綴の意味深な発言にザワつき出す16.5万席の大衆。
 この発言の意図は……!?

「……つまりこの先に言葉は不要。拳と剣、即ち互いの武にて語るか|御令嬢《フロイライン》ッ!」
「なるほど、そういう事か…来いっ 我が剣の錆にしてくれる!」

『…あの、観客席置いてけぼりなんスけど。良いんスかこれで…』
『競技者同士でしかわからないことがあるんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。ーーさぁ!四軒屋選手と女騎士はすでに臨戦態勢だ!』

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」
「しゃあっ 先手必勝!」
 まず動いたのは綴であった。
 轟音響かせ、白煙を巻き上げる反重力式ムービングによるタックルはダイナミックで客席を沸かすには十分な演出である。
「ーーそして必殺技行くぞぉ!はーっ、蒸式・怒濤……!」
「なにっ」
「なんだとっ」
『まさかのぶっ放しかぁっ!』
 綴、まさかの必殺宣言をぶちかましに動きの固まる女騎士。そしてそれは観客席のナイス・ガイをしても動揺を禁じ得なかった!
 理外…!圧倒的理外の|必殺技ぶっ放し…!

「ちょっと驚いたが功を焦ったな猟兵!ぶっ放しを喰らうほど私は未熟じゃあないっ!」
 そして女騎士が|確定反撃《カクハン》を狙うは常勝の理!
 雄牛の構えから必勝の突きを繰り出し、綴を迎撃する!

「何かを勘違いしていないか…?私は|ユーベルコードを発動してない《ぶっ放しなどしていない》ぞ!しゃあっ タックルからのパリィ!」
「なにっ」
『なっ、なんだぁっ 四軒屋選手が技を中断し剣を捌いたぁ!何が起こったんだぁ!?』
「必殺技ではなく、ただのタックル…まさか、キャンセル狙いか…これは!?」

 路上格闘競技界隈において「キャンセル」と呼ばれる技術がある。
 いわゆるコンビネーションを行う上で重要なテクニックの一つで、直前までの動作を中断し、新たな行動で上書いてしまうという場合によっては物理法則を無視する現象を巻き起こすものだ。

 そして路上格闘競技における必殺技とは文字通り一撃必殺の切り札。打ち損じなど以ての外である。
 故に「“ぶっ放した”と誤認させることができたなら?」という仮定への答えの一つがここからの展開と言えよう。

「しゃあっ エルボー!からの、ラリアットぉ!」
「ぐはぁっ!?」
 女剣士の突きを躱しざまに綴はカウンターを二連撃で邀撃!怯んだ隙を逃さずホールドに入り、そのまま高く飛び上がる!
 加えてストロング・ナイス流超実践格闘術奥義"衝撃滑り"により着地時の衝撃を全て女騎士に上乗せることでユーベルコードの威力は数段上昇!
「これぞ|逆転の王道《ストロング・スタイル》ッ!
逆蒸式・|怒濤爆落下《ストロングバスター》だッ!!」
「ぎゃあっ!」

『何と言う試合運びだ!変形式パイルドライバーとでもいうべき大技で女騎士にノック・ダウンを叩きつけたぁ!正に一方的試合展開!蒸気王、勢い止まらずゥ!』
 着地時の衝撃、試合場を砕くほどに凄まじく、しかして女騎士が無事なのはひとえにHPバーの存在あってこそである。

『ジョウ・キング!ジョウ・キング!』
 そして綴はこの日二度目の歓声を浴びるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グラン・ボーン
ストリートファイトか
面白そうだな

地響き立ててやってきたのは、5.5メートルを超える身長、5トンを超える体重、分厚い筋肉を持った巨人であった

でかいだけでなく鍛え上げられている
そう巨人なのに鍛えてしまったのだ
鍛えられた拳は、殴れば岩をも砕き、手刀にすれば大木だって両断する
練り上げられた闘気はオーラのように漂っている

何十年と自分の鍛えた技がどれだけの物か
強い相手が居なければ推し量ることができない
なので、強い相手と戦えるのは何よりうれしい

力試しさせてもらうぜ

猟兵やオブリビオン相手に女子供だからと容赦はしない
最初から全開だ
拳、足、指、膝、肘、グランのあらゆる部位が相手に向かって疾る
5分間の無呼吸乱打だ




 ーー全米路上格闘競技大会準備会役員のカルロス・マテオ(33歳・輸送業)は当時の様子を次のように語る。

「えぇ、仕事で|大型自動車《コンボイ》を使うもんですからスケールのデカいモノには馴れてると自負しています。していたんですが……ミスター・ボーンは規格外でしたね。」
「参加者のリストを見たときは目を疑いましたよ、身長553.8cm、体重は自己申告5トン、事実上の測定不能。ン〜、どう考えても普通の選手用通路は使えんでしょう。」
「なので搬入車用のゲートを急遽開放して彼専用の通路を準備したんですわ。まぁ〜それでも結構ギリギリって感じだったんですがね。アハハ…。」


『デっ…デカああぁいッ!説明不要!身長553.8cm、体重5トン!猟兵っ!|ガチの巨人《トゥルー・ギガント》っ!グラン・ボーン選手の入場だぁっ!』
「ワッザ…!?」「ガッズィラ…?」「キン○コング…?」「デカ過ぎんだろ……。」
 奇しくも抽選にて予選シード権を得ていたグラン・ボーン(巨人の巨人拳伝承者・f34134)を初めてみた観客たちはその超規格外な姿に驚愕の表情を浮かべる。元野球選手のレーサー、ボストークが子供に見えるほどの巨体、そして圧倒的な筋肉密度。

「ストリートファイト…考えてみれば初めての経験だ。一切の忖度、手加減無しに殴り合えるとは…。俄然興味が湧いてきた。」
 さらに当人の路上格闘競技にかける意気込みも相まってプレッシャーが極まってくる。
「〜〜〜ッ……!?」
 そして女騎士にとっても規格外といえるグランの巨体は脅威として認識され、思わず剣を握る手に力が籠もる。

『さぁ、ボーン選手が文字通り女騎士をなぎ倒すか!?はたまた女騎士が文字通りのジャイアント・キリングを成すのか!?注目の一戦です!』
「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」

「はぁっ!」
 まず動いたのは女騎士であった。グラン相手に様子見は悪手と考えたか、一気に懐に入り込み早期決着を付けようという腹積もりがあった。
「しゃあっ」
 そしてその判断は正しく、しかし無謀であることが証明される。
 女騎士の剣撃すべてがグランの繰り出す拳、手刀で尽くが弾き返されるのだ。
「〜〜〜〜〜ッッッ!!」
「なるほど…確かに良い太刀筋、しっかりと練られている。……だが軽い!」
 天賦の身体能力に加え、何十年にも及ぶ鍛錬の果てに手に入れた力は余りにも強大過ぎた。
 岩砕き、大木すら両断する拳。それは|同族《巨人》相手にも試す事を憚られる力。
 故に何十年もの間、全力を出すという事を自重していたグラン・ボーンという男にとってこの試合は特別な意味を有していた。
「次はこちらから行くぞ!」
 続けてグランが大振りのフォームからアッパー・パンチを放ち、これを盾で受け止めた女騎士はその威力に思わずよろめいた。
 そしてそれを見逃すグランでは無かった。
「ドラゴンを屠り去った巨人の連撃、味わうがいい!」
 ガードの解けた女騎士めがけてグランの拳、肘、足、指先、あらゆる攻撃が殺到する。 
 正に五体全てが凶器、五体全てが天災。一切の防御を許さない巨人の連撃はその一発、一発が必殺級の威力を有する。
「|馬上槍《ランス》でも持ってくるんだった……!」
「吹っ飛べぇい!」
 そしてとどめの一発をグランが打ち込むと女騎士は場外までぶっ飛ばされた。

『あっ……圧倒的ィ!圧倒的試合展開!まさかこれほどとはグラン・ボーン!女騎士場外KO!』

わ あ あ あ あ…!

「ふっ…全力を出せる嬉しさあまりに全力を出しすぎたか。」
 あまりにも圧倒的な勝利。それは観客達にとてつもない興奮を齎した。
 グランがその観客達から沸き起こる大歓声に拳を掲げ応えると、その英雄的勝利を祝福するさらなる歓声と拍手が巻き起こるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
再登場して即やられ役とは…人生の悲哀を感じるでござる
弱き者共じゃ話にならん!


最初から手の内を見せてやろう、【流体金属】と拙者を融合!ファファファ、拙者はあんな車共と比較にならんぐらい頑丈なんです

最初は銃撃戦だァ!まあこれは防がれる前提でやる牽制ないし撒き餌なんだが…そしてリロードの隙に斬撃を食らう…とでも思ったか!これの本質は流体金属、つまり斬られた瞬間に流体化する事で斬撃を無効化する!これぞ奥義"剣滑り"!
カウンターの鉄拳顔面パンチですぞ!なめるなっメスブタァッ

ストイックに時間と労力と愛情をかけて築き上げたものをユーベル・コードでグチャグチャに崩壊させるんだ!これはもうとんでもない快楽だ!




「|女騎士《カモ》がネギしょってやってきたぜぇグヘヘヘへ……。」
「なにっ」
 背後から聞こえてきた声に振り返ると全身黒塗り、しかし妙に金属的質感のある筋肉隆々な存在が確かにいた。

 ◆この|存在《髭》の正体は……!?

「メタ○マンだ!」「メ○ルマンが出たぞ!」「クソ映画だ!」
「そこはターミー○ーターだろうがよえー!……こいつら寄ってたかって“拙者”の事をメタ○マンだのクソ映画だの愚弄してきやがる…やっぱクソっすね。忌憚のない意見ってやつッス。」
「と言うよりなんだ貴様!新手のバケモノか!?」
「あの…流石の拙者もそこまで言われると傷つくんですが…グスン。というわけでコレが拙者のハンサム顔でござる!」
 拙者を自称するそれの頭部がうぞうぞと蠢くと、誰がどう見ても猟兵エドゥアルト・ルーデルとわかる頭部が現れた。

 |黒 髭《ルーデル》!(腕組してキメ顔)

「ファファファ、これは拙者が流体金属と融合したモード、いうなればメタル・エドゥアルト……。」
『やっぱりメタ○マンじゃねーかあー!』
「外野はShut Up!!…とにかくアレでござる。|通常《アーケード》仕様より|頑丈《タフ》で強い|特別《ボス》仕様と言ってくれや。少なくとも再登場して十把一絡げで即やられ役に落とされた人生の悲哀を感じる弱き者共よりはなぁ…!」
「くっ…!」
 試合前からエドゥアルトの髭空間全開な展開に気圧される女騎士。
 明らかに主人公:女騎士、敵:エドゥアルトな構図だけど、これは|黒髭《オマエ》が始めた物語だろ?悔しいだろうが仕方ないんだ。
 怪しい笑みを浮かべるエドゥアルトに対し覚悟を決めたか女騎士、得物の柄をギュッと握り締めて己を鼓舞する。

「だが、私はお前のようなバケモノには負けない!この剣に誓って!」ギュッ
「ここまで三タテ食らっている感想をどうぞ。」
「それを言ったら殺されても文句言えないぞ!戦闘開始だっ」

「ファイッ!」
 エドゥアルトの挑発を超えた挑発に呼応して斬りかかりだした女騎士を止める間も無く、レフェリーは早速試合開始の合図を出した!

「|挽肉《ミンチ》になるまで撃ち抜いてやるでござるよ!」
BLATATATATA!!
 エドゥアルトはすぐさまライフルを構え突撃してくる女騎士目掛けて7.62mmをフルオートで撃ち込む!

「お お お お お お!」
「なにっ 銃撃の手応えがまるでない」
『なんということだぁ!女騎士がルーデル選手の銃撃を物ともしていないッッ!』
 対する女騎士もルーデルが銃を使うのは想定していた。そして路上格闘競技に身を置くものとして対銃撃戦は十分経験を積んでいた。
 迫りくるライフル弾を剣先で弾き、刀身で切り飛ばし、気迫のままに突き進むはお伽噺に登場する万夫不当の英雄的所業のそれである。
「そのままスクラップにしてくれる!」
 そして剣の間合いにエドゥアルトを捉えるやいなや放たれるは無数の斬撃。
 素早く、しかし力強い攻撃を前にガードをする暇もなく膾に切られたエドゥアルトは金属であったが為に、何やら前衛的な金属像めいた姿に変形していた。
「ふっ…悲鳴を上げる間もなかったようだな…。」
 反撃もないエドゥアルトの様子に勝ちを確信した女騎士は次の猟兵との戦いに備え開始線に戻り始めるが、そこで違和感を感じた。

(なんだ…?なにか様子がおかしい…。)
「チョ待てよ(激似声真似)、拙者のターンは終了してないでござる。」
「〜〜〜ッッ!?」

 |黒 髭《ルーデル》!(腕組してキメ顔・2回目)

『なんだぁっ 膾に切られたルーデル選手が練り復活しているっ』
『ちょ、ちょっと待ってください!ルーデル選手のHPバーは無傷です!何をしたっていうんだっ』
「くっ、金属のオバケめ!だったら再起不能になるまで斬り伏せるまでだ!」
 女騎士はさらなる気迫を込めて剣を振るう。しかし当のエドゥアルトはそれを意にも介さないーー本当に女騎士の攻撃が効いてないといった風にその場に立っているだけであった。
「グフフ、斬られた瞬間に流体化する事で斬撃を無効化にしているのだ。つまりいくら切ろうと拙者のHPバーは無傷です。」
「なにっ」

 あまりにも理不尽な状況に思わず絶望の表情を浮かべる女騎士、そしてエドゥアルトはそんな女騎士を見て待ってましたと言わんばかりに笑顔で拳を構えた。

「こうやってストイックに時間と労力と愛情をかけて築き上げたものをユーベル・コードでグチャグチャに崩壊させるんだ!これはもうとんでもない快楽だ!喰らえぃ鉄拳顔面パンチ!」
「ごべあぁっ!」

『う あ あ あ あ ルーデル選手の顔面パンチが女騎士にクリーンヒットぉ!』
『一撃で女騎士のHPバーを削りきったぁ!本当にボス仕様だったぞこの髭ェー!』

「これで4タテ達成というわけでござるな。」
 エドゥアルトは顔面パンチで失神KOした女騎士にそう言葉を投げかけると堂々と試合場を後にした。

 黒髭はクールに去るぜェ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アニカ・エドフェルト
車を、叩き斬るとは…。
まともに喰らったら、一撃で、持って行かれそう、ですね。

となれば、暫くは、避けを最優先、ですね。
ちょっとずつ、間合いを、計って、ちょっとでも動く、と思ったら、すかさず、引きます。
…いえ、これではまだ、慎重すぎます、ね。
もっと、近くに、もっと、ぎりぎりを…。
髪の毛何本か、斬らせるくらいの、紙一重を、狙っていきます。

とはいえ、避けてばっかりでは、勝てません、から…。
避けた直後に、蹴り技を、割り込ませて、行きます。
行けると、思ったら、ユーベルコードも、乗せていきましょう。
最後まで、避けきれるか、その前に喰らってしまうかの、勝負、ですっ

(全体で成功なら個人の勝敗は問いません)




『さぁ女騎士の乱入により一時はどうなるかと思われましたが現在の所猟兵優勢といったところか。』
『しかし女騎士も侮れませんよ。バインドなどの伝統的な技法に加えまだまだ闘争心も残しています。』
『さぁ続いてはエドフェルト選手の登場です!先の試合ではウィーバー選手のマイティー・モー相手にジャイアント・キリングを魅せてくれました!この試合も魅せてくれるか!?』

「両者構えて!レディ…ファイッ!」

 アニカ対女騎士。
 この試合はこれまでの戦いと打って変わって静かに始まった。
(あの斬撃、まともに喰らうのは悪手、ですね。一撃で持っていかれそう、です。)
 |徒手空拳と剣《圧倒的リーチ差》。さらに体格差を含めアニカに不利な状況は、先のウィーバー戦同様である。
 しかしそれは意外なことに女騎士にとっても同じことが言えた。
(くっ、子供ほどの背丈とはいえ想像以上に戦いづらい…!)
 文字通り大人と子供ほどの体格差。そこから生じるのは|ヒットボックス《有効打発生圏》と|ハートボックス《有効打命中圏》のミスマッチーー即ち攻撃の当てづらさであり、これが中々に女騎士にとって厄介な問題であった。
 更にオラトリオ特有の三次元機動もある。地に足をつけた標的に斬りかかるならまだしも動き回る相手ならば追いかけるだけで体力を消耗しかねず、そして|組み討ち《レスリング》の間合いに捉えられれば状況は大きくひっくり返ることだろう。

(…とにかく、積極的に仕掛けつつ、カウンターを、狙う!)
(間合いに入ってきたところにカウンターを入れる…掴まれれば間違いなく向こうのペースだ!)
 故に奇しくも同じカウンター狙い戦法という、一見地味ながらも玄人向けな試合展開と相成った。

『じわりじわり…とではありますが、積極的に間合いを詰めるのはエドフェルト選手。』
『武道の摺り足を使っていますね。気が付いたら間合いの内という事が起こりかねません。女騎士にとっては相当なプレッシャーになっていると思われますよ。』
「……。」
「……っ!」
 がちゃりと鎧の擦れる音を出しながら下がる女騎士、対するアドナはじりじりと間合いを詰める。
 時折アニカが仕掛ける素振りを見せれば呼応するように女騎士が切払って間合いに保持するように動く。
 剣先がアニカの薄皮を斬るか斬らないかで振るわれ、それが二度三度と繰り出さるうちにーー。
(女騎士さんの間合い、わかりましたっ…!)
 拳闘士として、そして猟兵としてのアニカの経験が女騎士の剣筋を見切っていた。
 そして脳裏に見出されるは己が間合いへの突破口。
「……行きますっ!」
「なにっ」
『エドフェルト選手ここで仕掛けたっ!女騎士も迎撃にでる!』
 女騎士はアニカの中心線を狙って牽制の突き刺しを繰り出す。
 間合いのギリギリ外からの攻撃、予備動作も少なく最速で繰り出されるそれはアニカを一方的に打ちのめす足がかりとなるはずだった。

 しかしそれは叶わず。小柄な身を更に屈めたアニカの頭頂を僅かに掠めるだけで手応え無し。
「くっ…!ぐぁっ!?」
 返す斬撃を繰り出そうとする女騎士。しかし、唐突に足を襲った激痛に手が止まった。

『かっ、|カーフ《ふくらはぎ》!!エドフェルト選手、女騎士の甲冑の上から強烈なカーフキックを繰り出した!』
『鎧に凹みが見られます!相当強いのが入ってますよアレは!』

 カーフキック。
 近年プロ格闘技において注目されている立ち技打撃の一つで、太ももや膝よりも衝撃を吸収しづらい膝下側面、即ちふくらはぎを狙った蹴り技。
 立ち技で重要視される「踏ん張り」を効かなくする。

 当然剣士にとっては致命的な技だ。女騎士の攻撃が止まったことでアニカは勢いそのままに女騎士の両足を抱え込むようにタックルを仕掛け、
「やあぁっ!」
 女騎士に受け身を取らせる間もなく押し倒す!

『なんということだぁ!エドフェルト選手、マウントポジションを取ったぁ!』
『しかし抑え込みが甘いか!』

 ここまではアニカの作戦通り、そして体格差があり、鎧を身に纏う女騎士相手にマウントポジションが長続きしないというのも想定内であった。
 鎧を身に纏いながら動き回る女騎士のフィジカルは当然強く、ボトムからとはいえ殴り合いになれば分が悪い。
 故にここからはアニカにとって賭けとも言える場面であった。

「なめるなぁっ」
「ぐっ、…はぁっ!」
 女騎士の篭手に包まれた文字通りの鉄拳がアニカの顔を強かに打つ。しかしアニカにとってもそれは馴れたものであり、仰け反りもわずかにマウントポジションからパンチングを何度も放った。
 ひたすらの殴り合い、時間にすればわずかに十数秒。
 しかし二人の間では疲労と激痛によりそれが何十倍にも引き伸ばされているように感じられた。


「……!……めっ!…やめっ!」
 アニカがその声に気がつくと、レフェリーが彼女の腕を抑えていた。
 力強く握られたか、いや違う。腕よりも先、裸の拳からその痛みは伝わってくる。
 何度も硬いものを叩いた時に近いそれを感じると全身が酷く痛むのを感じた。
 そして自らがそれまで何をしていたのかを思い出すと同時に会場から大きな歓声が沸き起こっていることに気がついた。

『ギリギリの戦い!まさに接戦を勝ち抜いたのはーーエドフェルト選手だ!』
「勝者、エドフェルト選手!」

 レフェリーの宣言に呼応し客席から大きな歓声が上がる。
 アニカが頭上のHPバーを見てみると、もう殆ど残っていない、“あと一撃でももらっていたら負けていた”かもしれないという状態だった。
 それを見て感じるのはあの後、女騎士とどれだけ殴り合っていたのかということ。
 まさに闘技場のそれに近い戦いだったと心に思うアニカであったが、しかし確かに勝利したのだ。

 であれば勝者の倣いである。
 小さな拳闘士はその歴戦の拳を大衆にかかげてみせるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽環・柳火
|ヤンキー魂《アメリカン・スピリット》、見せてもらったぜ!仇はとってやるぜ!

「観客的には騎士VS侍とか期待してるかもしれねーが、手段選ばず勝たせてもらうぜ!『烈火乱れ咲き』満開バージョンだ!」
初手から【全力魔法】でケルビンカードによる炎【属性攻撃】【弾幕】。剣術の構えで強化される前に叩く
「ご自慢の鎧もこの攻撃にはどうだ?」
余裕ぶってはみるが、このくらいで仕留められないことも想定している。
「まだ、俺の弾幕はこの程で終わっちゃいないぜ」
【屍塊転燃】で『にゃんジュール』を吸うことで魔力補充+自己強化。刀で敵と切り結びながら『疾走の残り火』を発動。なるべく派手に動きながらチャンバラアタックを仕掛け、こちらが動いた後に発生する火炎弾が後から敵に追尾して多段攻撃となる
「ま、最後にはこれなんだがよ」
火炎弾で足止めしている間に納刀。【|居合《クイックドロウ》】で刀身に炎を纏わせた斬撃を女騎士にぶつける。その際、刀が折れるかもしれないが、予備は大量に買い込んであるので、特に問題はなかったりする




『ヘッ!奴さんが何者だろうが荒らし屋に変わりはねぇぜ!アメリカン・レーサーの意地を見せてやるべきだろうがよぉ!』

『俺はキャプテン・パトリオットだあっ…そしてこれが俺たちのチームワーク!皆で立ち向かうから尊いんだ、絆が深まるんだ!喰らえぃっ ラディカルクラッシュ・スタンピードっ!!』

『ぎゃあああっ』『バカなぁっ!?』

 女騎士の剣の前に倒れ伏すレーサー達。
 彼らの決死の一撃は女騎士の前に儚くも破れた。
 しかし、その情熱に彩られた勇敢なる魂は確かに受け継がれた!

「見せてもらったぜ、お前らの|ヤンキー魂《アメリカン・スピリット》…仇はとってやるぜ!」

 柳火は確かに、胸に熱いものが宿るのを感じた。
 そしてそれに背中を押されるように堂々と女騎士と対峙する。

『続いては陽環選手だ!シューメッハ選手との熱いチェイスバトルを繰り広げていたが今手に持つはカタナ!奇しくもサムライ対騎士!剣の東西対決だァー!』
 アナウンサーの紹介に会場から歓声が巻き起こる。
 侍、刀、武士道。
 海の向こうから伝えられたそれらの東洋の概念は常に憧れの対象であった。
 故に彼らは期待する。
 サムライ対ナイト、どちらが強いのか!?
「カタナ…サムライだな。ならばこちらも一層気を引き締めねばなるまい。我が剣術の誇りにかけて!」
 そしてそれは女騎士にも当て嵌まっていた。

「両者構えて!レディ…ファイッ!」
「はぁっ!」
 レフェリーの合図とともに飛び出したのは女騎士、|後の先《カウンター》など知ったことかと打ち合いを望んで柳火に斬りかかる。
「烈火乱れ咲き!満開バージョンだ!」
「なにっ」『なんということだぁっ 開幕早々文字通り鎬を削るかと思いきや、陽環選手は間合いを取っての弾幕展開!一方的なアウトレンジ戦法だぁっ!』
 対する柳火は刀――ではなく爆符を女騎士に放ち迎撃の構えである。
 これには女騎士は言わずもがな、会場が騒然とした。

「貴様ーっ なぜ堂々と打ち合わない!?サムライの誉れがないのかぁ!」
「使える手を使って何が悪いってんだ!それに俺はサムライじゃねぇ!勝手に勘違いしてるのはお前だろうが!」
 激昂する女騎士に正論パンチならぬ正論弾幕を浴びせ、戦いは柳火優勢の流れである。
 女騎士は弾幕を弾き掻い潜り柳火に一太刀浴びせようとするが、その勢いを上回る密度の弾幕が女騎士の接近を許さない。
 徐々に削られていく女騎士のHPバー、対する柳火は無傷。しかも口にはかつお味のにゃんじゅーるが咥えられている。

『試合展開は陽環選手のワンサイドゲーム!栄養補給をしながらこの流れを維持できるかぁっ!?』
「へっ!ご自慢の鎧もこの攻撃にはどうだ?ほらもう一丁おかわりだ!」
 にゃんじゅーるで補給を済ませた柳火は更に高密度の弾幕で女騎士に追撃、もはや壁と言ったほうが相応しい規模のそれを目の当たりにした観客達は柳火の勝利を疑わなかった。

「――舐めるなぁっ!」
 そして観客達は驚愕する。
『アメイジングッッ!女騎士、焔の壁を断ち切ったァー!』
 いつの間にか大上段に振り上げた剣にて一閃、モーセの出エジプト記を再現するかのような一刀両断が柳火の展開した弾幕の壁を切り拓いた。
 そして現れた道を駆け出す女騎士、闘志を秘めた|眼《まなこ》は柳火を見据えていた。
「やるじゃねぇか!…だが、ここからが本番だっ!」
「ほざけぇっ!」
 一気に間合いを詰め、必殺の突きを繰り出す女騎士に抜き放った刀で迎え撃つ柳火。
 致命傷は交わすも薄皮一枚持っていかれたか、頬から僅かに血が滲む。
『両者ともに剣の間合いに入ったッ!』
『体力面では陽環選手優勢、しかし必殺技が決まればすぐにでもひっくり返される重要な場面です!』
 観客達が待ちに待った展開にアナウンサーも握りしめるマイクに力が籠もる。
 試合場では重く、しかし甲高い金属の衝突音に二人の|競技者《ファイター》の気迫籠もった声が響き渡る。
「「うおおおおおおおおっ!!」」
 正に互角、しかし試合運びは意外にも女騎士優勢に動いていた。
 女騎士が距離を詰めてきてからというもの、柳火は防戦一方。しかも間合いを離そうにも女騎士の怒涛の連撃がそれを許さなかった。
 しかも折れず曲がらずの刀もこれほどに打ち合えば当然刃毀れもするし、なによりもアスリートアース界のダークリーガー相手には分が悪い。
 全ての攻撃が武究者の渾身の一撃に等しく、
「……っ!?」
「獲ったぞ!」
『あぁっ 陽環選手のカタナが折れたぁ!』
 柳火の刀を遂に叩き斬る。
 勝利を確信し返す一太刀でとどめを刺しにくる女騎士、しかし柳火の表情は――

「……まだ、俺の弾幕はこの程で終わっちゃいないぜ?」

――笑っていた。

「!?」
「炎跡『疾走の残り火』!清算の時間だ!全部持っていきなァ!」
 突如として柳火の背後に無数の火炎の礫が現れ女騎士を強襲!
 そう、まだ“弾幕戦”は終わっていなかったのだ!
「ぐおあああああ!」
「そして!――冥途の土産に食らっていきなっ!」
「ば、馬鹿なー!?」
 弾幕にガードが間に合わず為す術もない女騎士、対する柳火は折られた刀を鞘に戻すと女騎士に肉薄し、最速高威力の“居合”、それも折れた部分は焔がそれを補う“焔刀”が寸分の狂いなく女騎士を斬り飛ばした。

「……!それまでっ!勝者、陽環選手!」
「刀折られた時は流石にヒヤッとしたけど…勝ちは勝ちだ!」
 レフェリーの試合終了の合図が入り、ふぅと一息をついた柳火。焔刀もまたその焔の刀身を失い、折れた打刀へと戻っていた。
 柳火はその刀を振り上げ、観客と|熱き魂を持つ男達《ジェントルレーサー》に自らの勝利を報告するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八洲・百重
●SPD
あわわ…あのゴツそうな車を残らず一刀両断しちまったべ…
あんな物騒なモンでぶった切られたら、おら…おら…|たぬき《珍獣》の剥製で飾られてしまうだぁ💦
こんな時こそ…こんな時こそ、プロレス評論家エッグボイラー先生の有り難い御言葉を思い出すだだよ
えーとえーと…『派手なパフォーマーほど意外とヘタレ率高し』…だったべか
防戦一方だべし…ナイス・ガイ師匠にも披露した【トリプルどろんチェンジ】に賭けてみるだ!

おっそろしい提灯お化けで腰を抜かせたら、巨大狸さ化けて上空さ…ぶん投げる!
そしたら一反木綿さ化けて落っこちる前に追いついて、元の姿さ戻ったらレディ・ナイトの身体を逆さに抱え上げるべ
そんで、首を肩口に乗せた状態で相手の両足を股裂きにしてクラッチだべ
しっかりとおらの|馬鹿力《怪力》で振りほどかれねぇようにホールドし続けて、そのまま落下して着地した時さ相手の質量が重いほど大きくなる衝撃で背骨と首、腰、股の関節にダメージを与えるたぬき相撲に伝わる大技…ムジナ落としでフィニッシュを決めてやるだよ!




 ヤッシマー魔魅、もとい八洲・百重はこの日二度目の窮地に立たされていた。
「あわわ…あのゴツそうな車を残らず一刀両断しちまったべ…なんちゅう物騒な騎士サマなんだ……!」
 よく“取らぬ狸の皮算用”などというが、女騎士と対峙したら化け狸の皮が剥がされて本当に皮算用されてしまうのではないか……?
 緊張も相まって考えが良くない方向にまっしぐら、このまま棄権も……と蹲って考え始めた百重。

――ヤッシマーや、ヤッシマー魔魅や……。

「えっ!?な、誰だべ!オラの名前を呼んでるのは!?」

――ワシじゃよ。

 突然己のリングネームを呼ばれた百重は声の主を探すべく周囲をキョロキョロと見回す。
 すると、おぉ!見よ!
 百重の前方斜め上から差す煌めきを後光に百重を見おろす人影を!
 これは特定の勇者が幻視すると言う|仏《ブッダ》であろうか!?
「あ、貴方様はもしや…!」

――そう、そのもしやじゃ。ワシはゆで
「エッグボイラー先生!」
――…そう、ワシはエッグボイラーじゃ。

 エッグボイラー。
 日本を代表する格闘技漫画の巨匠、そしてプロレス評論家の一人。
 数々の含蓄深い名言を残し、それらは|ボイル・ゴロク《茹語録》として全世界に知れ渡っている。

 当然ながらこの場にエッグボイラーなる人物は存在しない!
 しかし、強敵との戦いを通して高められた百重のレスラー・スピリットが強敵を前に臆する彼女を奮い立たせるために心の師とも言えるエッグボイラーの姿をして顕現したのだ!
 いうなればイマジナリ・エッグボイラー!

「え、エッグボイラー先生!オラ、おっかねぇ女騎士と戦わなきゃならねんだ!何かお力をお貸しくだせぇ!」

――…無理じゃね?ワシ漫画家だし。「うわああああん!!」――あっ!?ゴメン!ゴメンて!待って、ねぇ逃げないで!ねぇ!

 イマジナリ・エッグボイラーの即無理に涙を流し試合会場から逃げ出そうとする百重を慌てて静止するイマジナリー・エッグボイラー。
 なお、この出来事は百重の脳内で起きているため現実世界への影響、例えば百重の奇怪な行動が一般人の目にとまるような事は決してない。

――ヤッシマーよ、お主はお主の持ち味を活かすのじゃ。相手の女騎士は路上格闘競技のキャリアがある。競ったら当然お主が負けるであろう。

「オラの、持ち味……。」

――そうじゃ、レスラーたるヤッシマー魔魅。そして古狸たる八洲・百重。この強みを知るは世界に唯一人、お主だけじゃ。ほれ、会場がお主を待っておるぞ…。
 イマジナリ・エッグボイラーはそう告げると光の中へと消えてゆき、入場路には百重が一人残された。

「わかっただよエッグボイラー先生。オラの…勝ち筋が!」

「しゃあいくぞオラーッ!」
『お待たせしました皆さん!ヤッシマー魔魅のリングインです!』
『プロレスに凶器はつきものですがどう立ち回るか注目の一戦です!』
 ヤッシマー・モードに切り替わった百重は先のキャプテン・パトリオット戦と同じように試合場へと上がり女騎士を相手に挑発。
 それを見て詰め寄ろうとする女騎士をレフェリーが制止するといったアクシデントがあったが無事に試合開始の準備が整った。

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」

「ショウ・ファイトごときに遅れをとる我が流派ではない!せやぁああ!」
「しゃあっ!」
 開始早々に切りかかってくる女騎士に合わせるように百重は打撃戦を選択。
 エンタメ性に重きを置くプロレスと言えどプロレスラーのタフネスを意識してか、手数よりも威力を優先した女騎士の大振りな攻撃は実際捌きやすく、タイミングなどをずらすなどして攻撃を受けながらも百重へのダメージは軽微であった。
「くぅ!小癪な!…だが次で決めるぞ!」
「やれるもんなら…やってみろぉ!」
「なにっ」
 百重のペースに乗せられる前に仕切り直しを図り距離をとった女騎士。
 しかし百重はそれに追走しながら“持ち味”を活かした。

「しゃあっ化け提灯!」
「アイエエエエ!」
『アイエエエ!オバケ!?オバケナンデ!?』
 まさしく完全な不意打ち。迫る最中に変化したことであっけをとられた女騎士は驚き軽く戦意を喪失。
 ついでにオバケ耐性の低い西洋人を中心としたシャーロット・モーター・スピードウェイの観客は|アビ・インフェルノ《阿鼻叫喚》めいている。

(『派手なパフォーマーほど意外とヘタレ率高し』…エッグボイラー先生の語録は正しかった!)
「しゃあっ続けていくぞぉオラ!」
「アイエエエエ!?」
 提灯に続いて変化したのは巨大狸。腰を抜かす女騎士を軽々と持ち上げるとそのまま上空へと投げ飛ばし、そこから一反木綿と化してブン投げた女騎士へと追いついた。
「これがオラの持ち味だぁ!」
「ぐべぇ!?」
 一反木綿から元の姿へと戻ると百重は空中で女騎士に組み付いた。

『な、なにが起きたかわかりませんがヤッシマー魔魅と女騎士、空中戦だぁ!』
『いや!あれはヤッシマー魔魅優勢です!あれは着陸態勢に入ってますよ!』

「く、クソ!離せ!」
「その願いは聞けないだ!」
 女騎士の両脚に腕を回していわゆる股裂き態勢にし、そして自身と女騎士の頭部が隣り合うように組み合った百重。
 股を全開に広げられているという恥辱以上に、この状況から繰り出される技を瞬時に理解してしまった以上ブレイクせんともがく女騎士を百重は無理やり馬鹿力で抑え込む!
「これがオラのプロレス、ムジナ落としだああああ!」

『着地まで2…1…インパクト!ヤッシマー魔魅、女騎士を抱えて試合場に着地ぃ!』
 アナウンサーの絶妙なカウントダウンに合わせて衝撃的着地を成功させた百重。
 その着地時の衝撃は百重の身体を通り越し、すべてが女騎士に直撃!受け身も対ショック姿勢も取れない女騎士はその衝撃をすべておっ被ることになる!
 これぞ八洲・百重とヤッシマー魔魅の持ち味を活かした究極のコンビネーション・コンボである!
「う、うぎゃあああ!」

「女騎士、失神KO!勝者、八洲選手!」
「どんなもんじゃー!」
 レフェリーが判定を下すと同時に百重は勝利宣言。アビ・インフェルノ状態から目の覚めるような空中戦を見せられ正気に戻った観客たちから祝福の声援が投げかけられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花走・りな
あー、うーん、今回はバットを使った戦闘の練習のつもりだったけど、さっき近代五種競技の猟兵って言われちゃったしねぇ。

それなら近代五種を見せつけちゃおうか☆
UC【キング オブ (マイナー) スポーツ】使用

まずはさっきの試合とほとんど同じ
レーザーピストルは無力化される可能性があるから代わりに喝采の蒼炎を念動力で撃ち出す
相手の周囲を走って周りながら遠距離攻撃を続けて相手のHPバーを削りながらどんな風に動くかの確認。

とはいえ、元々は格闘技なんだし近接戦闘は花でしょ、
接近戦へ。
エペ剣を構える。バットほどダメージは出せないけど鎧の間を狙うにはいいんじゃないかな?

ストライカーの乱入も良かったんだよね。
攻撃を避けて相手の隙が出来た所に
技能【召喚術】で馬を召喚
UCでの召喚より弱いかもしれないけど、それでも力を合わせて全力を出すのが近代五種の障害馬術だよ♪
騎乗して、全力で飛び掛る

これで水泳以外の近代五種は見せつける事が出来たでしょ!

※アドリブ歓迎




「おー、また勝ってるみたいだねぇ。よし、私も皆に続けるように頑張らないと!」
選手控室、りなは猟兵たちが女騎士に買ったことを観客の歓声から察しつつも自らの準備運動に余念を欠かさない。

「オイオイオイ」
「持ち込み過ぎだわ、アイツ」
 そしてそんなりなを、正しくはりなが試合に使うであろう数々の物品に驚きを隠せない者達がいた。

「立花選手、まもなく入場となり……ほう、近代五種競技ですか…大したものですね。」
 そこに新たに眼鏡を掛けたスタッフがやって来る。
 りなが近代五種競技アスリートであることは知っていたのか、眼鏡をクイと上げながら感心していた。

「近代五種は1912年第5回ストックホルム大会から実施されている五輪競技であり、水泳、フェンシング、乗馬、ランニングと射撃の混合種目であるレーザーランで構成されており、『スポーツの華』『キング・オブ・スポーツ』と呼ばれるほどです。」
 かの近代オリンピックの父親、クーベルタン伯爵が考案したそれは、19世紀欧州で絶大的な力を振るった皇帝ナポレオン率いる|大陸軍《グランダルメ》が残した故事が元になっており、1996年アトランタ大会からはそれまで「一日一競技」とされていたスケジュールをワンデイ方式に変更、名実ともに過酷な五輪競技の一つとなっている。
 故に『キング・オブ・スポーツ』、そのアスリートポテンシャルは並大抵のものではないのだ。

「なんでもいいけどよぉ、相手はあの女騎士だぜ?」
 そう横槍を入れたのはりなの装備量に呆れていた一人であった。
 いくらポテンシャルが高いとはいえ相手はダークリーガー、強豪レーサー達を容易く倒した実力者である。
 猟兵とはいえ、アマチュア・アスリートが果たして太刀打ちできるのか?そんな疑問からふと呟くが、眼鏡スタッフはそれを物ともせずに口を動かしていた。
「フェンシング用のエペにレーザー射撃用のレーザーピストル、これで遠近距離のどちらにも対応できる。」
「さらに馬術用に調教されたサラブレッドは賢く、ストライカーとの相性が良い。…それにしてもダークリーガー相手の試合だというのにあれだけの装備を使い熟そうという気概は超人的なメンタルというほかはない。」
 眼鏡スタッフは自身の観察眼には自身があった。
 そして確信していた。立花りなという猟兵には、すでに勝利への方程式、道筋が見えているのだと。

「ふーっ。これで、よし…っと!」
 十分な準備体操を終えたりなは開脚姿勢から跳躍、空中で一回転して着地するというパフォーマンスを披露すると、意気揚々と試合会場へと向かうのであった。

『立花選手、女騎士待ち受ける試合場に入ってきました!』
『エペとレーザーピストルは近代五種競技にかかせない道具です。これが自分の正装だと言わんばかりの気風に満ちていますね!』

「よろしくお願いします!」
「くっ…負けてなるものか!」

「両者構えて!…レディ、FIGHT !!」

「まずはこっちから行くよー!」
 りなは開始と同時にホルスターからレーザーガンを引き抜き、1秒以下の速度で洗練された射撃フォームを整えると女騎士へ高出力レーザーを浴びせかけた。
「これしきの射撃でぇ!」
 対する女騎士はレーザーを長剣の刀身で受けながら前進を開始、いくら改造レーザーと言えど金属装甲であればある程度のゴリ押しが可能!
「せやあああ!…なにっ」
「おっと危ない!」
『立花選手、女騎士の斬撃を紙一重で避けたぁ!』
『そして一気に女騎士との距離を離して遠距離攻撃に徹する構えです!身軽な立花選手だから取れる戦法ですね!』
 レーザーをものともせず詰め寄ってきた女騎士の力強い一撃をヒラリとかわしたりなはそのまま女騎士に背を向け全力ダッシュ。レーザーガンの威力が心許ないと確信するとアスリート特有のオーラ由来のパイロキネシス「喝采の蒼炎」を顕現させる。
「今度はこれでぇ!」
「グワァ!?」
 単純な熱エネルギーだけではなく質量を伴う蒼炎の直撃は女騎士をよろめかせるに十分足りた。
 しかしレーザーに比べ射撃速度、また蒼炎自体の弾速は劣るために三発目以降は躱し、切り払いなど女騎士に対処され、次第に遠距離戦不利の状況へと追い込まれつつあった。
「ゼェゼェ…炎の攻撃には驚いたが、対処が分かればこっちのものだ!そこは既に我が剣の間合い!」
『なんたるスタミナだ女騎士!全身鎧ながら立花選手に追いついたぁ!万事休すかキング・オブ・スポーツぅ!?』
 気がつけばりなはコーナーに追い込まれていた。機動力を活かした遠距離戦に徹するつもりが、いつの間にか女騎士のペースに乗せられていたのだ。
「はぁっ!」
『女騎士の独壇場なるか!?鋭い突きが繰り出されたぁ!』
 牡牛の構えから短くしかし気合の乗った突きを繰り出す女騎士、これが決まればあとはりなのHPバーを削りつぶすのみ。
 そう思っていた矢先である。
「…ぐぁっ!」
『おおっと女騎士仰け反ったぁ!何が起きたかぁ!?』
『あぁっ立花選手がエペを構えています!咄嗟の抜き放ちで迎撃したようです!』
「まさかここまで追い込まれるとはね…だけどそう簡単にはやられないよ!」
「小癪な!」

 今日のフェンシングは三種に分類される。
 斬撃も含まれる一撃必殺のサーブル、競技者が攻守を切り替えながら戦うフルーレ、そして刺突のみによる乱打戦エペ。
 特にエペは体全ての部位が有効打となる競技であり、ただ突っ込むだけや消極的なだけでは決して勝ちを成しえない。すなわち度胸と頭脳を駆使した駆け引きこそが肝要である。

「せぇい!」
「やぁ!」
 女騎士の実直なまでの剣筋を読み、的確に急所を突かんとするりな。奇しくも剣技において両者は互角。幾度となく剣が交差するも競り合いは生じず互いに素早い剣の応酬を繰り出していた。
「うっ!」「ぐっ!」
『相打ちぃ!両者ついに有効打が入るも相打ちだぁ!』
『まだHPに余裕のある立花選手ですが、女騎士の一撃のダメージ量は侮れません!』
 互いに仰け反り間合いから抜け出した二人。
 女騎士のHPは残り3割、対するりなは7割といったところか。
(この女騎士さん、掠っただけなのにやっぱり一撃が重い!)
(思った通りこのアスリート、HP量は大したことがない!)

((だったら…次で決めでやる!))

 奇しくも次で勝負をつけると決意するりなと女騎士。
「やあああ!」「はあああ!」
 そして奇しくも同タイミングで走り出す。
 打ち合えばりなが不利、そうアナウンサーが実況しようとしたところで、大きな指笛が会場中に鳴り響いた。
『ワッザ!?』
 ヒヒィン!
「なにっ」
 突如試合会場に乱入してきたのは一頭のサラブレッド。女騎士を横合いから蹴り飛ばすと、そのままりなの元へ駆け寄っていった。
『こ、ここでまさかのストライカー!立花選手、馬術競技用のサラブレッドを呼び出した!』
「ナイスタイミング!それじゃあ、とどめ行くよぉ!」
 颯爽とサラブレッドに跨ったりなは鞭を入れると女騎士に向かい走り出す。エペを掲げての疾駆はさながら軽騎兵のごとし。
「グ、グワーッ!」
「女騎士、討ち取ったりぃー!」
 サラブレッドの突進力、そしてエペの精確無比な一撃は女騎士にクリーンヒット、のこるHPをすべて吹き飛ばしたのであった。

「勝負ありッ!勝者、花走選手ッッ!」
『完全勝利!チーム猟兵、ダークリーガー・女騎士相手に勝ちを譲ることなく完全に叩きのめしたぁ!』
『どの試合も手に汗握る激戦でしたね!』
『さぁ、大会は負傷者多数で現状続行するかは協議中とのことですが…まずは猟兵たちと、そして体を張ってくれた我らがレーサー達に感謝の意を伝えましょう!皆様盛大な拍手を!』

 わ あ あ あ あっ……!

 アナウンサーの掛け声に会場はスタンディングオベーションを始める。
 ダークリーガーに立ち向かったすべてのファイターを讃えるかの如く、それは一日中鳴りやむことはなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月05日


挿絵イラスト