ライスメキア|MMM《3000》世とサベージスター
●赤と青
スペースオペラワールドは広大である。
人が思う以上に広く、その全容を知り得る者など存在しないのではないかと思えるほどであった。
だが、星々はワープゲートによって繋がれている。
どれだけの超長距離であったとしても一瞬でワープ移動することができるのだ。故に宇宙騎士やスペースパトロールは多くの星々をめぐり、オブリビオンの脅威に対抗しているの だ。
「あの星は、『惑星ジェミニィ』は今はどうなっているのでしょう」
『惑星バブ』を統治している皇女『ライスメキアMMM世』は嘗て、『惑星バブ』とワープゲートでつながっていた星を思う。
赤と青のウォーマシンが争い続けていた。永劫にも思える闘争の中で、彼らは完全であるがゆえに相反し続けていた。
「今もまだ彼らは争い続けているのでしょうか。それとも不完全であるがゆえに完璧な心を持ち得るに至ったのでしょうか……」
彼女は夢想する。それしかできなかった。なぜなら『惑星ジェミニィ』と『惑星バブ』を繋いでいたワープゲートは存在すれど、故障しているのだ。直す術はなく、ただそのままにしておくことしかできない。
だから、夢想する。あの完全無欠でありながら、反発しあうことしかできぬ存在たちのことを。
想像しきれたものではなかった。
完全なる正と悪。
その末路が如何なるものになるのか。
けれど、願わずにはいられない。
彼らの存在は人の心の懊悩そのもの。揺れ動くがゆえに完璧であるのだ。
「いいえ、もっと根源的なもの……それを示す言葉を私は持ちえません。ですが、彼らが争いの中にあっても、争い以外の何かを思えますように――」
●惑星ジェミニィ
その星は平和とは程遠かった。
争いは絶えず、爆発と火線が吹き荒れていた。何処かしこにも破壊の痕が刻まれていたし、砲火は止まることは片時とてなかった。
赤いウォーマシンの残骸を踏み潰し、青のウォーマシンの放つ火線の一撃が大気を震わせる。
その青のウォーマシンがプラズマブレイドの一撃で一刀の元に両断される。だが、次の瞬間、プラズマブレイドを手にしていた赤のウォーマシンは次々と自身に襲いかかる青のウォーマシンたちによって爆発の中に消えていった。
彼らは言う。
言葉という手段を持ちながら、互いを傷つけるしかできぬと反発し合う。
「お前たちは寛容であることを強いる。あらゆる違いを受け入れろと言う。否定することを否定する」
「君たちは不寛容であることを認める。あらゆることに違いを見出そうとする。不平等であることを肯定し続ける」
両者たちは相容れない。
完全なる赤のウォーマシンたちは、即ち悪性。
完全なる青のウォーマシンたちは、即ち善性。
だが、彼らは悪性であることと善性であることのどちらかでしかなかった。完全であるがゆえに他者を受け入れられなかった。
彼らの争いは3000年を越えてなお続いている。
そんな彼らの争いは此処近年、さらに苛烈さを増している。
その熾烈さを極める争いの中心に座す、巨大な鋼鉄の樹木があった。『惑星ジェミニィ』の中心にそびえ立つ鋼鉄の樹木。
名を『機械樹イグドラシル』。
遙か太古に侵略宇宙人に寄って開発された侵略性テラフォーミング兵器。
物言わぬ鋼鉄の樹木は、ただ争いを加速させる。惑星の大地を機械化し続け、赤と青のウォーマシンたちの争いを加速させ続けているのだ。
言葉はなく。
ただ、惑星を機械化するためだけに彼らの争いを後押しするのだった――。
●スペースオペラワールド
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースオペラワールド……『惑星ジェミニィ』と呼ばれる未開星を掌握しているオブリビオンの存在が予知されました」
ナイアルテはある惑星を示す。
だが、そこは未開星と呼ばれるワープゲートがまともに機能していない宙域なのだ。
最寄りの惑星は『惑星バブ』なのだが、宇宙船で進んだとしてもかなりの距離がある。この距離を航行するには宇宙船や宇宙バイクと言ったものが必要となるだろう。
「ですが、『惑星ジェミニィ』に至る宙域にはオブリビオン化した『宇宙海賊船』がうろついています。これを蹴散らして『惑星ジェミニィ』に向かわねばなりません」
宇宙船や宇宙バイクを持っていない猟兵は、この『宇宙海賊船』を撃破してコントロールを奪って脚代わりにするのも良いだろう。
「問題は、『惑星ジェミニィ』が二種のウォーマシンによる争いが常に起こっている、という点にあります。彼らは完全であるがゆえに、互いに争い続けているようなのですが、その争いがオブリビオンの存在に寄って熾烈なものになっているようなのです」
これまでは揺れ動く天秤のように戦いの趨勢が何度も傾き続けていたのだ。
けれど、今回は違う。
完全に拮抗しているがゆえに、このままオブリビオン支配が続けば、共倒れになって破滅してしまうというのだ。
「争い事態は止められずとも、両者が破滅に至ることは止めねばなりません。幸いに、オブリビオン『機械樹イグドラシル』の存在は、完全な拮抗状態を生み出したが故に赤と青のウォーマシンの両者の中から不完全な善性と悪性に揺れ動く個体を生み出すことになりました」
それはこれまでの『惑星ジェミニィ』の歴史において初めてのことのようだった。
彼らは争いから逃れているようだが、争いが拮抗している状態を齎しているオブリビオンへの叛乱を計画して同じような個体を仲間に引き入れ続けている。
「彼らを探し出し、共闘を持ちかけることができれば『惑星ジェミニィ』を掌握しているオブリビオン『機械樹イグドラシル』を打倒することが現実的なものになるでしょう」
ナイアルテは、それが困難なことであることを猟兵たちに示す。
仮に『惑星ジェミニィ』をオブリビオンの手から開放しても、彼らが争い続けることは止めようがない。
しかし、オブリビオンによる破滅は阻止することができる。
「彼らが何故争い続けているのかまではわかりません。数千年に及ぶ長きに渡り続いていることしかわからず、争いの理由も彼らにしか理解できないのかもしれません……ですが、オブリビオンの支配を座視することなどできないのもまた事実」
せめて、と自らたちの手で争いに決着を、とオブリビオンの介入を阻止して欲しいとナイアルテは猟兵たちに長き星の海を征く旅路へと送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
スペースオペラワールド、赤と青のウォーマシンが争い続ける歴史刻む『惑星ジェミニィ』を支配掌握するオブリビオンの脅威を取り除くシナリオになります。
●第一章
集団戦です。
『惑星ジェミニィ』に最も近い『惑星バブ』から宇宙空間を進みます。
ですが、最寄りと言っても相当な距離があるため、皆さんにオブリビオン『宇宙海賊船』が襲いかかってきます。
これらは無人の宇宙船です。人員が乗っているということはありません。
この『宇宙海賊船』の群れを蹴散らしながら、自前の宇宙船や宇宙バイクを駆って進むもよし、撃破した『宇宙海賊船』の残骸などを修理して即席の脚代わりにするも良いでしょう。
●第二章
冒険です。
長い旅路を終え、皆さんは『惑星ジェミニィ』に降り立ちます。
『惑星ジェミニィ』は完全にオブリビオン『機械樹イグドラシル』によって掌握されており、赤と青のウォーマシンの争いはほとんどが同士討ちになってしまっています。
ですが、拮抗状態が続いたせいか、彼らの個体の中には不完全な悪性と善性に揺れ動く『良心』に目覚めたウォーマシンたちが存在しています。
彼らは『機械樹イグドラシル』への叛乱を企て、『惑星ジェミニィ』の何処かに潜んでいます。
彼らを探し出し、共闘を持ちかけましょう。
●第三章
ボス戦です。
『良心』に目覚めたウォーマシンたちと協力し、オブリビオン『機械樹イグドラシル』との決戦に赴きます。
ですが、周囲は機械化されており、これまでの戦いで散ったウォーマシンの残骸を再生した大軍勢をけしかけてきます。
再生ウォーマシンたちは単純に撃破されてもオブリビオンの力によって即座に再生して襲いかかってくるでしょう。
この状況に対策を打ち出し、攻撃をオブリビオンに打ち込みましょう。
それでは、無限に広がる大宇宙を舞台に皆さんの活躍を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『宇宙海賊船』
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POW : パイレーツミサイル
【誘導ミサイル】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : ウェポン・オーバーヒート
自身の【宇宙船の武装】を代償に、【宇宙海賊魂】を籠めた一撃を放つ。自分にとって宇宙船の武装を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
WIZ : 大宇宙の亡霊
【ブラックマーケットの兵器】で武装した【宇宙海賊】の幽霊をレベル×5体乗せた【スクラップ海賊船】を召喚する。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
星々の瞬きが遠く。
されど眼前に広がる暗闇を照らすことはない。
『惑星バブ』を背に猟兵たちは宇宙空間を征く。座標が示すは未開星『惑星ジェミニィ』。
赤と青のウォーマシンが数千年に及び争い続けている戦争だけの歴史刻む惑星。
その惑星が今、オブリビオンによって支配され、完全なる拮抗によって両者共々に滅びようとしている。
猟兵たちは、そのオブリビオンを打倒するために長き旅路へと立つ。
しかし、その道は険しいものだった。
『惑星ジェミニィ』へと至る航路に立ち塞がるのは、無人のオブリビオン化した『宇宙海賊船』。
自動的に標的を見つけ、徒に破壊をもたらそうとする『宇宙海賊船』は、まるで猟兵たちの旅路を阻むようにバーニアの噴射光を放ちながら、無数のミサイルと武装アームを展開し襲いかかってくるのだった――。
ダビング・レコーズ
戦闘兵器たるウォーマシンが争い続けるのは確かに極必然的な結果でしょう
しかしオブリビオンの介在によって歪められた流れは正常に戻されなければなりません
アークレイズで出撃します
転送したミドガルズオルムとドッキングし対艦戦闘用意
接敵時の状況は相対距離が非常に離れていると想定
前進しつつオーシャンカレントによる長距離砲撃を行います
反撃に対しては弾道をゲイザーで視覚化し対処
強力な攻撃は回避を優先
低威力の攻撃はエイジスガードで展開したEMフィールドで防御します
近接戦闘の相対距離に到達した場合はギガントクローで武装アームの破壊を試みます
互いに高速で交差した際には同兵装に内蔵したオーバールナを使用して溶断します
『惑星ジェミニィ』へとワープ移動を行うためのワープゲートが損壊して久しい。
最も近い星は『惑星バブ』であった。
あの平和な星の……スペースオペラワールド準拠で考えるのならば、近しい場所で戦争だけが行われているという事実はにわかに信じがたいものであったかもしれない。
けれど、とダビング・レコーズ(RS01・f12341)は己の目の前の宇宙空間に浮かぶ超巨大キャバリア用アームドフォート『ミドガルズオルム』を見やり思う。
ミドガルズオルム転送(コール・ミドガルズオルム)によって現れたそれは、白亜の城を思わせた。
「戦闘兵器たるウォーマシンが争い続けるのは確かに必然的な結果でしょう」
ダビングもウォーマシンである。
戦うために生み出され、戦いの中に消えていくものであった。
だが、と思う。
己たちの存在意義は確かに戦うこと。
其処に介在すべきものはたった1つの命令だけだ。
即ち、己たちを生み出し、送り出したものたちの命令。オブリビオンの介在は許してはおけない。
「その争い事態を止める言われはありませんが、オブリビオンによって歪められた流れは正常に戻さなければなりません」
ダビングが乗り込んだクロムキャバリア『アークレイズ』が巨大アームドフォートとドッキングし、ブースターの噴射光を放ちながら大宇宙の海原へと進む。
白い巨体は宇宙船じみていたが、これ事態がアームドフォートであると知らしめるのは、その長大なる砲身を携えた超大型荷電粒子砲であった。
その馬上槍にも似た砲身を持って進むダビングは、この海原の如き宇宙空間にもオブリビオンが存在することを理解する。
「やはり来ましたか。無人とは言え『宇宙海賊船』……なれば、先制攻撃を」
補足した『宇宙海賊船』も此方に気がついたのだろう、転進するように船体のバーニアが噴射する光が見える。
だが、その行為はダビングにとっては迂闊であるとしか言えない。
この暗闇と星々の瞬きだけが存在する宇宙区間でバーニアの点滅は、自身の所在を知らしめるシグナルに過ぎない。
そして、アームドフォート『ミドガルズオルム』に携えた超大型荷電粒子砲の射程は、優に敵の射程を越えている。
「座標確認。目標に照準を」
ロックオンの表示が出た瞬間、ダビングはためらうことなく荷電粒子砲の引き金を退く。
宇宙空間に伸びる光条。
荷電粒子砲の一撃が『宇宙海賊船』の船体を穿つ。
だが、『宇宙海賊船』は止まらない。
バーニアの光を一気に噴射し、ダビングの元へとミサイルのように飛び込んでくるのだ。
「己を弾頭としましたか」
ダビングは愚かだと思ったことだろう。
砲撃で仕留められなければ、こちらが対処できないと思われているのだろう。『宇宙海賊船』の船体から伸びるアームにユーベルコードの輝きが見える。
それは膨れ上がる海賊魂とも言うべきものであったことだろう。
「その質量は強力無比、ということなのでしょうが」
白き城塞の如きアームドフォートから展開されるギガントクローが『宇宙海賊船』の船体の突撃を受け止める。
ただそれだけでは受け止められなかっただろう。
だが、現実にダビングへと『宇宙海賊船』の放つ海賊魂は届かない。
なぜならあ、『エイジスガード』によって展開されたフィールドが『宇宙海賊船』の船体を受け止めているからだ。
ふるい挙げられたギガントクローの一撃が『宇宙海賊船』の船体に叩きつけられ、その中程から真っ二つに折り曲げる。
ひしゃげる装甲の内部で爆発が明滅し、爆散する中、フィールドに包まれたアームドフォートとダビングが悠然と進みゆく。
星の海を征く白亜の城。
『ミドガルズオルム』は、その馬上槍の如き砲身の切っ先を遥か遠き『惑星ジェミニィ』へと示すままに進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァルターン・ギャンビット
ウォーマシン共の戦争なんぞには興味ないが『機械樹イグドラシル』とやらを倒せば報酬がたんまりだぜ、フォッフォッフォッ!
とは言え先ずは足が必要だな。
あそこで暴れてる『宇宙海賊船』をいっちょ掻っ払うとするかッ!
『アーム・レイガン』を撃ちこみながら戦闘開始よ。
スナイピングしながら応戦しつつ、アレが宇宙海賊魂を籠めた一撃を放ってくる瞬間を見切ってテレポートで避けつつ攻撃ッ!
それを繰り返し、武装を剥がしながらレイガンで他の武装も撃ち抜いてドンドン無力化していくぜッ!
武装を全部破壊し撃破したら乗り込んでコントロールを奪うぜ。
フォッフォッフォッ、出航ッ!
【技能・スナイパー、見切り】
【アドリブ歓迎】
シノビン星人。
それは広大なスペースオペラワールドにおいて、さらに辺境にある惑星に存在する星人あっちの名である。
彼らは宇宙忍者の技を研鑽し続けることに一生を捧げる。
だが、ヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は、辺境の惑星で技を磨くことだけの生活に嫌気が差してしまったのだ。
「ウォーマシン共の戦争なんぞには興味ないが『機械樹イグドラシル』とやらを倒せば報酬がたんまりだぜ、フォッフォッフォッ!」
報酬があれば、様々なことができる。
支払いはG(ガルベリオン)であれば、なんだっていいのだ。
最寄りの惑星である『惑星バブ』まではグリモア猟兵の転移でいけるのだが、そこから先が問題である。
『惑星ジェミニィ』とを繋ぐワープゲートは損壊していて使えない。
結局、宇宙空間の膨大な距離を宇宙船なり宇宙バイクで往かねばならないのだ。これにはさしものヴァルターンも困った。
自分には宇宙空間の長距離を往く手段がない。
「となれば、あそこで暴れてる『宇宙海賊船』をいっちょ掻っ払うとするかッ!」
ヴァルターンは、広大な宇宙空間に無人で漂っている『宇宙海賊船』に目をつけた。
けれど、あれらはオブリビオンだ。
無人であってもまるで自分に海賊魂が存在しているかのように自分たちを狙ってくるのだ。
「おっと、早速こっちに気が付きやがったな!」
むしろ、好都合だと言うように自身に突撃してくる『宇宙海賊船』に鋏のようになった腕を向ける。
放たれるデス光線が『宇宙海賊船』の船体を覆う装甲を焼き切るように放たれる。
だが、突撃してくる弾頭の如き『宇宙海賊船』は止まらない。
「メチャクチャな動きをしているが、無人ならではってところか! あんまり壊すとこっちの足にできなくなってしまうからッ!」
無駄に破壊するわけにはいかない、とヴァルターンは迫る『宇宙海賊船』を見やる。
アームにユーベルコードの輝きが満ちる。
それは『宇宙海賊船』に宿る海賊魂ともいうべき力の塊だった。
船体から伸びたアームに満ちる力は当たればタダではすまないだろう。
けれど、ヴァルターンもユーベルコード手繰る宇宙忍者である。彼の宇宙忍者としての技量はこのときのために研鑽されていたのだ。
振るわれるアームの一撃がヴァルターンを捉える。
だが、次の瞬間、そのアームは空を切るのだ。
『宇宙海賊船』は困惑しただろう。
確かに捉えたと思ったのだ。だが、ヴァルターンは其処には居ない。
そう、彼の瞳に輝くユーベルコードは、瞬時に彼をテレポートさせる。
「フォッフォッフォッ、ここだあッ!」
これぞ、辺境の宇宙忍者ことシノビン星人が得意とする、シノビン瞬間移動(シノビンテレポート)である!
一瞬でテレポートしたヴァルターンは『宇宙海賊船』の武装をデス光線放つ鋏の腕部でもって切り裂き、無効化して船内へと飛び込む。
「操作系は生きてるようだな。下手に船体を意地したままオブリビオン化するからこうなるんだよ!」
コントロールルームにヴァルターンは踏み込み、内部のコントロールを尽く奪っていく。
如何にオブリビオン化していたとしても、コントロールを奪われればタダの宇宙船でしかないのだ。
「フォッフォッフォッ、出航ッ!」
ヴァルターンはコントロールを奪った『宇宙海賊船』を駆り、宇宙空間を進む。
目指す先は報酬ザックザクの『惑星ジェミニィ』――!
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
千年を越える戦いにテラフォーミング兵器ですって?
これは大きなシノギの匂いがするわね
あわよくば惑星水之江に作り変え…おっと口が滑った
世の為人の為今日も元気に行ってみましょう
私はお船を持っていて尚且つ実戦投入している貴重な猟兵(当社調べ)
この状況でお船を出さないのはあり得ないわよね
という訳でセイヴザクイーン出航よ
こういうだだっ広い空間では射程が正義よね
なので祝福を掛けましょう
でもってサーチドローンを飛ばして索敵観測
敵を見付けたら二連装メガビーム砲と三連装衝撃砲で集中砲火よ
まあ敵も巡航ミサイルを持ってたり神風アタックとかしてくるかも知れないわよね
デコイを身代わりにしたりミサイルで迎撃して防ぐわ
数千年単位に渡る戦争の歴史。
それが『惑星ジェミニィ』と呼ばれる惑星の概要であった。
赤と青のウォーマシンが常に争い続ける戦争だけの惑星。戦火と火線。砲火と斬痕。そればかりが支配する惑星においいて二分されたウォーマシンたちは互いを相容れぬと争い続ける。
「これは大きなシノギの匂いがするわね」
桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)はセイヴザクイーン級大型戦艦『セイヴザクイーン』の艦橋にあって不敵に笑む。
彼女が航路の先に見据えるのは『惑星ジェミニィ』。
『惑星バブ』より飛び立つのは、最も近いワープゲートの存在する宙域が此処だからだ。
「あわよくば惑星水之江に作り変え……おっと口が滑った」
あわよくばと言った。
確実に言った。
敵オブリビオンがテラフォーミング兵器であることを顧みれば、彼女の目的というのもなんとなく察せるところがある。
しかし、彼女は猟兵であるし、本音と建前を使い分けることのできる猟兵でも在った。
故に、彼女は滑った口を直すように言うのだ。
「世のため人のため、今日も元気に行ってみましょう」
『セイヴザクイーン』の船体が悠々と宇宙空間へと進む。航路を妨げるのはオブリビオンの存在。
『宇宙海賊船』は、この『惑星ジェミニィ』に至る航路のあちこちで頻出しているようだった。
何人かの猟兵たちの戦いの残滓であろうデブリを横目に見やりながら水之江は艦橋に送られてくる周囲のデータを見やる。
「こういうだだっ広い空間では射程が正義よね」
彼女は艦橋から操作するサーチドローンでもって周囲の状況を観測する。
敵の存在をいち早く探ることができれば、この宇宙空間だ。先制攻撃で一方的に撃破することだって可能だろう。
「ふっ、この天才たる博士こと私はお船を持っていてなおかつ実戦投入している貴重な猟兵。この状況で私がヘマをするとでも?」
今、天才と天災をかけたダブルミーニングなのかなって思った者もいるだろう。
けれど、彼女の手掛けた『セイヴザクイーン』は圧倒的な性能を持っていた。
サーチドローンが即座に発見した『宇宙海賊船』は未だ此方のことを観測できていない。けれど、水之江は違う。
すでに補足し、また同時に己の座す『セイヴザクイーン』に備わった二連装メガビーム砲と三連装衝撃砲の射程の中に『宇宙海賊船』があることを理解している。
「どれだけあっちが武装や神風アタックを仕掛けてくるのだとしてもね。こっちに気が付かないなら、デコイを撒くのだって面倒なんだから――」
だから、と水之江は『セイヴザクイーン』の艦橋からモニターをタップして、二連装メガビーム砲の一射を『宇宙海賊船』に打ち込む。
宇宙空間に光条が走り、吸い込まれるようにして『宇宙海賊船』の船体に打ち込まれる。
装甲を引き裂くようにして貫通した光条の後に続く衝撃砲の一撃が『宇宙海賊船』に反撃の予知など無いことを知らしめるだろう。
艦橋のモニターから見やる光球を水之江はつまらなそうに見やる。
「もっと歯ごたえがあると思ったんだけどね。あんがいつまんないものね。まあ、いいわ。必要経費が削減できるのなら、別の所につぎ込むことができるってものだから」
どちらにせよ、こんな美味しいシノギを黙ってみてなどいられるわけがない。
水之江は、新しい稼ぎ先であろう『惑星ジェミニィ』へと浮き立つ足を抑えるように艦橋の座席に腰掛けバタバタさせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
宇宙海賊戦艦・ギャラクシア号
よっしゃあ!宇宙艦隊戦なら|宇宙海賊《あたし》より適した猟兵は居ないな!
勿論、撃破&鹵獲した分は依頼後もあたしの自由にして構わないんだろ!?構わないよなぁっ!!
宇宙海賊戦艦・ギャラクシア号、抜錨ォッ!!
ヤドリガミであるあたしの【|本体《器物》】……この超弩級巨大宇宙海賊戦艦をユーベルコード「錬製カミヤドリ」で97艦複製し、念力で全てばらばらに操縦する!!高値で売る為になるべく傷つけず、クイックドロウ+捕縛+レーザー射撃+砲撃で全部生け取り(?)にしてやるぞー!!
これが宇宙海賊のやり方だあ!!
ひゃっほーう!Gの山だあー!!(両目がGの字に)
報酬の方もバッチリ弾んでよぉ?(Gが艦の原動力だから!)
宇宙海賊戦艦・ギャラクシア号(スペースパイレーツバトルシップパイロットヤドリガミ・f39721)が隊列をなして宇宙空間を往く。
その威容は凄まじいものであったことだろう。
超弩級巨大宇宙海賊戦艦。
それがヤドリガミである彼女の本体とも言うべき存在。
その存在をユーベルコード、錬成カミヤドリによって複製し、艦隊となしたのだ。
「よっしゃあ! 宇宙艦隊戦なら|宇宙海賊《あたし》より適した猟兵はいないな!」
百に近しい数の巨大宇宙戦艦。
全てを操作仕切るギャラクシア号のテンションは高かった。
宇宙空間に響きそうなほどに彼女はオブリビオン絡みの事件を解決することに寄って得られる報酬と、迫るオブリビオン化した無人の『宇宙海賊船』を拿捕することによって発生するボーナスの如き報酬を期待しているのだ。
「無人の『宇宙海賊船』なんてのは、撃破、鹵獲したらあたしの自由にして構わないんだろ!? かまわないよなぁっ!!」
全てはG(ガルベリオン)のためである。
それだけが彼女の全てであったとも言えるだろう。
G(ガルベリオン)のためならば、如何なる誹りも甘んじて受け入れるだろう。
故に彼女は叫ぶ。
「宇宙海賊船・ギャラクシア号、抜錨ォッ!!」
その号令と共に複製された艦列が宙域を押し上げるようにして前進する。
だが、オブリビオン化した無人の『宇宙海賊船』はまるで特攻するように艦隊に飛び込んでくるのだ。
サブアームを廃し、己の船体をミサイルにするかのように超弩級であるがゆえに狙いをつける必要など無いというように『宇宙海賊船』が迫る。
「高値で売るためなんだ、なるべく傷つけたく無いが!」
艦隊の砲門が開く。
とは言え、此処で自身がやれては元も子もない。
故に放たれるレーザーによる砲撃が『宇宙海賊船』のブースターを焼き切るようにして動きを止める。
「ハッ! ブースターさえやっちまえば宇宙船に残るのは、巨大質量ってことだけだろ! なら!」
念力でもって突き動かされる海賊戦艦が『宇宙海賊船』に近づいていく。
ブースターを破壊された船体は、もうギャラクシア号にとっては宝の山でしか思えなかったし、彼女の瞳はGの字にきらめいていた。
「ひゃっほーう! Gの山だあー!!」
嬉しいことこの上ない。
オブリビオンの事件は、それは厄介なことであるが、それ以上にギャラクシア号にとっては金銭的報酬を得ることの出来る事件でしかないのである。
今回の事件に至っては、『宇宙海賊船』の残骸というボーナスまで得ることができる。
こんなに美味しい仕事があっていいのだろうかと彼女は思うだろう。
さらにはこれから向かう『惑星ジェミニィ』は戦争状態がずっと続いているのだという。ならばこそ、そこには儲け話が転がっているかもしれない。
彼女は本体である器物が破壊されない限り死ぬことはない。
「どんな器物だって生命が宿る可能性だってある。ならさ、これが宇宙海賊のやり方だあ! 生命あるものがないものを利用してやるってのがね!」
次々と『宇宙海賊』の残骸を収容して、ギャラクシア号は、『機械樹イグドラシル」が支配し、争いが絶えない『惑星ジェミニィ』へと急ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
テスティナ・ヴァシリッサ
ぴる
それではコルピオス号に乗って参りましょう
…帝国継承軍なる者たちの中にもいましたが、ウォーマシンに興味があります
と、宇宙海賊ですか
昔(宇宙怪獣ゼルガリアスだった頃)ならばあの程度、障害にもならなかったでしょうが……
今はそうも参りません
コルピオスで逃げますが、恐らくは振り切れませんね
サイキックガンを向け、相手のミサイルに対してUC、念動力による不可視の力場で掴んで投げ返……
いえ、直接叩き付けましょう
掴めなかったら?なら本体の方を掴んでミサイルに叩き付け命中させ「破壊されて」もらいましょう
……しかし、破壊された残骸ではあまり参考にはなりませんね
一応コルピオス号に回収を。資源にはなるかもしれません
小さな円盤型宇宙船『コルピオス号』がスペースオペラワールドの大宇宙に漕ぎ出すようにして進む。
ゼルガリアス星人であるテスティナ・ヴァシリッサ(ゼルガリアスの姫巫女・f38690)はそんな『コルピオス号』の中で、ぴる、と独り言の時によく出る口癖のような語尾のような言葉をつぶやいてウォーマシンについて考える。
「……『帝国継承軍』なる者たちの中にもいましたが、ウォーマシンという者たちには興味があります、ぴる」
古代帝国時代に量産されたという人型戦闘ロボット軍団の生き残り。
それがウォーマシンである。
ならば、今回彼女が目指す『惑星ジェミニィ』にも存在するウォーマシンたちもそうであるのだろうか。
考えれど答えが出るわけではない。
ならば、前に進むしか無いのだ。航路は示されている。『惑星バブ』を背に円盤型宇宙船が宇宙空間を進む。
彼女の進む航路の先にはオブリビオン化した無人の『宇宙海賊船』が無数に存在している。
昔……宇宙怪獣であった頃ならば、宇宙船程度なんの障害にもならなかっただろう。
けれど、今はそうではないのだ。
とある事情で母星を失い、僅かな民と宇宙船でもって放浪しているテスティナは現状を憂うことすれしても、別段絶望もしていないのだ。
「敵対を避けようとしても、どうせ追いかけてくるのでしょうね」
自分の乗る『コルピオス号』の速度では『宇宙海賊船』を振り切ることはできないだろう。速度がそもそも違うのだ。
それに、とテスティナは己の宇宙船に追いすがる『宇宙海賊船』から放たれた誘導ミサイルを見る。
武装に置いてもあちらが上であった。
「こちらの外見を非力な船だと思ったのでしょうが、早計ですよ」
彼女の瞳がユーベルコードに輝き、手にしたサイキックガンから念動力による遠隔攻撃が放たれる。
力場を発生させる超思念波が迫る誘導ミサイルを受け止め……いや、掴み上げたのだ。
「掴んだのなら投げ返……いえ」
そのまま投げ返すつもりだった。
けれど、とテスティナは思い直す。いや、思いつく。例え、投げ返したとして、そのミサイルが確実に『宇宙海賊船』に命中するだろうかと。
確実に命中させるために距離というのはとても大切である。
しかし、今は『惑星ジェミニィ』へと急ぐ道すがらだ。立ち止まって悠長に『宇宙海賊船』を撃破している暇などそう多くはない。
疾く倒すためには。
「直接叩きつける、ですね」
念動力による力場はミサイルを掴んだまま『宇宙海賊船』に文字通り叩きつけるのだ。
ミサイルの爆發が『宇宙海賊船』を包み込んで、そのエンジン部に被弾してさらなる爆発を引き起こす。
火球の如き明滅を見せた『宇宙海賊船』を見やり、テスティナは己の念動力でもって残骸を回収する。
「何かわかるかもと思いましたが、あまり参考にはなりませんね」
とは言え、彼女の乗る『コルピオス号』はボロ、と言ってもいい。ならば、破壊した『宇宙海賊船』を資材として回収することは有用であろう。
船体は外装に、内部パーツは細々としたものを集めれば、なにかの装置の予備にだってできるだろう。
テスティナは念動力の力場を網目のように広げ破壊した『宇宙海賊船』を回収し、長き航路へと再び円盤型の『コルピオス号』と共に漕ぎ出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
ライスメキアさん、お久しぶりだよー!(ハグの構え)
って、あれ? 今回いないの?
むぅ。しかたないなー。
依頼終了してから、あらためてご褒美もらいに行こう。
(浮くに決まってるし! というツッコミはせず、あえてするーの構え)
わたしはサージェさんと【ネルトリンゲン】で行くよ。
「『希』ちゃん、砲雷撃戦用意!」
『了解。全砲門セーフティロック解除。【M.P.M.S】スタンバイ』
『希』ちゃん。カメラ目線がひどすぎない?
「それはおいておいて、『希』ちゃん! その本性を解き放てー!」
『お姉ちゃん……ブリッジの空調止めるよ!?』
いやごめんて!
それにサージェさんも!
宇宙空間でちかちかは問題だってー! 的になるよー!?
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて宇宙に浮いていくとかそんなことないもんっ!
え?ないですよね?ね?
あれ?私の前口上誰も聞いてない感じですか?
ま、いいか!
とりあえず理緒さんが満足するまで待機クノイチしましてー
ネルトリンゲンに乗せてもらいまーす
いやー宇宙空間かつ敵まで距離があると辛い
今回の私、撮影係と応援係でいいですかね?(カメラ構えつつ
お、この角度最高ですね!
理緒さん視線くださーい
それじゃ【ちまっとかぐや隊!】しゅーごー!
はい点呼!
理緒さん希ちゃんがんばれーって応援しましょう
まぁ問題はちかちかしていることですけども
特に問題ないでしょう!
艦橋がカラフルになるだけで!
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はハグの構えをしていた。
何処かで多分伝承者がいるかもしれないなんかそんな感じの伝統的なハグの構え。
彼女がハグの構えでもって待ち構えているのは多分『惑星バブ』の皇女『ライスメキアMMM世』だろう。
しかし、今回『惑星バブ』にて事件が起こるのではない。
『惑星バブ』は謂わば、事件の起こっている『惑星ジェミニィ』に最も近い惑星であるということだけなのだ。
ワープゲートが損壊しているため、ワープ移動が出来ないため、もっとも最寄りの星から向かうしかないのだ。
戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋から理緒は『惑星バブ』に別れを告げて『惑星ジェミニィ』へと進路を取る。
「依頼終了してから、あらためてご褒美もらいにいこうっと!」
そんな理緒の視界の端でサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はびっくりするくらいバッサリとカットされた前口上シーンに思わず驚愕していた。
「あれ? 私の前口上誰も聞いてない感じですか?」
サージェは理緒にふよふよって無重力を利用して『ネルトリンゲン』の艦橋を漂い近づいていく。
理緒が敢えてスルーしていたのは、サージェの前口上に問題があったからである。
では、ちょっくらテープを巻き戻して見ていただこう。
今巻き戻しってあんまり言わないんだそうですね。早戻しって言うんですって。とまあ、閑話休題である。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が大きくて宇宙に浮いていくとかそんなことないもんっ! え? ないですよね? ね?」
今のところ、巻き戻せるか?
天の声じゃなきゃ見逃してるね。
恐ろしく早い理緒のスルーを決心した表情。
浮くに決まってるし! と理緒は即座にツッコミをやめてスルーしているのだ。
「ま、いいか!」
サージェにとって前口上はそこまで重要ではないのである。
クノイチとしてしのべているか、忍べていないか。そこが重要なのである。逆にツッコミがなかったということは忍べているということ。
そんな理論武装は完璧である。
今もこうして『惑星ジェミニィ』へと至る航路を『ネルトリンゲン』であいのりさせてもらっているのだ。
理緒がスルーしているのならば、スルーされるのがクノイチというもの。忍べてないダイナマイトボディは、わがままボディなのである。
そんなサージェをよそに理緒は『ネルトリンゲン』の艦橋モニターに映るオブリビオン化した無人の『宇宙海賊船』を見やる。
望遠カメラが捉えた『宇宙海賊船』は同様にこちらの存在を認識している。
そもそも宇宙空間で宇宙船を遮蔽できるようなものは星のような巨大なものである。それがなければ、射線は通る。故に宇宙船同士の戦いは距離を詰める前に決着が付くことが多いのだ。
「『希』ちゃん、砲雷撃戦用意!」
「ふれー! ふれー!」
『了解。全砲門セーフティロック解除。【M.P.M.S】スタンバイ』
『ネルトリンゲン』の砲門が開く。
理緒の瞳がユーベルコードに輝き、彼女の網膜を脳とCPUを繋ぐ。
並列演算(ヘイレツエンザン)によって向上した処理速度は一気に敵の距離と射角、有効範囲を見定め放たれるミサイルランチャーから伸びる火線が『宇宙海賊船』へと伸びるのだ。
「ふれーふれー! ちまっとかぐや隊!(ゲーミングカグヤヒメトアソボウ)のみんなもー!」
ふれっふれっ、理緒さーん! と小さなゲーミングかぐや姫たちが一斉に理緒を応援する。
それはそれで可愛らしいのだが、艦橋ブリッジがどうにもゲーミングカラーに発光しつづけている。宇宙空間でチカチカするのは明らかに星の瞬きではないことを示すものであり、的であるオブリビオンに『ネルトリンゲン』の位置を教えるものであった。
「えっ!? 特に問題ないでしょうって思ったんですが! 艦橋がカラフルになるだけで!」
「いや、それが……って『希』ちゃん。カメラ目線がひどすぎない?」
『これが普通だけど』
「お、この角度最高ですね! 理緒さん目線くださーい!」
サージェは理緒を激写しまくっている。
今回の航路において自分はあんまり役に立てないと理解しているのだろう。相乗りさせてもらっている関係上、自分に出来ることをしようと彼女は思ったのだ。
健気である。
けれど、その健気さの方向性がちょっと、その、あれっていうか。あれなのである!
「いくらなんでも本性を解き放ちすぎじゃないかな!?」
『お姉ちゃん……ブリッジの空調止めるよ?』
サポートAI『希』は自分のことをなんだと思っているのだとばかりに抗議する。
そんな二人のやり取りをサージェは激写しまくりである。この斜め75°の角度が! えぐるように! すべりこむように!
さすくのいち!
鋭角な角度からカメラのレンズを切り込ませることにおいては右に出るものはいない。
遥か遠くの宇宙空間で火球が膨れ上がる。
多分、ミサイルによって迎撃された『宇宙海賊船』の最後であろう。
けれど、『ネルトリンゲン』の艦橋ではそんなことおかまいなしのドタバタ劇が繰り広げられている。
その顛末はまあ、そのいつも通りである――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
いえですから、そのシリーズ存在してないですからね!?
ステラさんの|やばセン《やべーセンサー》もおとなしめ……。
鉄板さんだけなんでしょうか?
わたし、うちゅうくうかん、がよくわかってないです。
生身で外出たらダメ、とか、身体が浮かぶとか、不思議空間ですよね。
でも、ライスメキアさんの力にはなりたいところです。
そのためにも移動手段の確保ですね。
海賊船を強奪するしかないでしょうか?
え?ステラさんいっしょしてくれないんですか!?
うちゅうふく、とかいうのを借りて、援護を受けて海賊船に侵入。
通信用の装置から、艦内中に【ボレロ】を響かせましょう!
ま、まぁ、強奪しても、わたしは操縦できないんですけどね!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
これは……はいぼくゆうしゃシリーズの続き……じゃない?
え?そんなシリーズは世の中に存在しない?
これはうっかり、メイドも反省しないと
それはそれとして、仄かに|エイル様《主人様》の香りがする気がします
そういえばこの世界ではエイル様まだ見てないですね?
しかし……我々ほど宇宙空間が似合わない猟兵はいないのでないでしょうか?
というわけでルクス様、足を確保しましょう
はい、いってらっしゃい
え?私?いきませんけど?
あ、注意は私がひきましょう
【テールム・アルカ】起動
ハイペリオンランチャーとミサイルポッドで広範囲攻撃といきましょう
とりあえず出鼻をくじければ
ルクス様、巻き込まれて死なないでくださいね?
無限に広がる大宇宙。
そこには想像もしえないような困難と浪漫、そして多くの秘密が眠っている。
故に人々は宇宙に飛び出すのだ。
「これは……はいぼくゆうしゃシリーズの続き……」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はなんとなしに呟く。
宇宙空間に漂うメイドっていうのも、なんというか趣きがあろうというものである。
「いえですから、そのシリーズ存在してないですからね!?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わず宇宙空間でツッコんでいた。
はいぼくゆうしゃシリーズ……存在していたのか、というフラグなのではないかと思うのであるが、主に宇宙触手にあれこれされるあれそれなのかなって思ったりしないでもない。
いや、俺達の光の勇者が負けるわけないだろうが! 解釈違いです! とバッサリされそうな気がする。
そんな謎のナレーションが飛び込んでくるのもまた大宇宙故。大宇宙って付けてれば何でも許されると思っていたのならば大間違いである。
「これはうっかり。メイドも反省しないと。それはそれとして|『エイル』様《主人様》の香りがすれど、うっすい気がするのは、広大な大宇宙だからでしょうかね?」
「ステラさんの|やばセン《やべーセンサー》もおとなしめなんですかね? どうしてでしょう?」
「そういえば、この世界では『エイル』様まだ見てないですね?」
ふむーとステラは考える。
いや、すでに『居る』のかもしれないが、どうにもステラにはピンときていないようである。
「わたし、うちゅうくうかん、がよくわかってないです。宇宙服来てますけど、この、軟化身体がふわふわしてるの不思議ですよね」
でも、とルクスは思う。
どんなに不慣れな助教でも。
どんなに自分たちが宇宙空間似合わない猟兵なのであっても。
「やっぱり『ライスメキア』さんの力になりたいところです。そのためにも移動手段を確保ですね」
「ええ、確かに我々ほど宇宙空間が似合わない猟兵はいないでしょう。というわけけでルクス様、いってらっしゃい」
はいどーん、とステラが宇宙空間でルクスの背中を押す。
無重力だからルクスは慣性の法則でふわーんって宇宙空間に押しやられてしまう。
「えっ!? ステラさん一緒にしてくれないんですか!?」
ルクスはえー!? と声を上げる。
ステラは、行くわけ無いですけど、とばかりに自身のユーベルコードを輝かせる。リサイズされたハイペリオンランチャーとミサイルポッドを広範囲に渡って炸裂させれば、その爆発の火球が宇宙空間に瞬く。
それを感知したであろうオブリビオン化した無人の『宇宙海賊船』が寄ってくる。
「入れ食い状態ですね。さあ、ルクス様。出鼻はくじいておきますので、存分に」
ステラがルクスを押しやったのは距離を取るためであった。
確かにルクスは単身爆発の光に引き寄せられた『宇宙海賊船』に取り囲まれてしまうだろう。
本来なら助け合った方がいい。
けれど、ステラは自身が敵をおびき寄せることに注力すべきだと思ったし、これからルクスが行うことを考えたら、宇宙空間に音が響かないとは言え、自分の耳にルクスの演奏が届く可能性は捨てきれなかったのだ。
だから、距離を取った。
いや、光の勇者なら物理法則など当たり前のように踏み越えてくる可能性だってあったのだ。
「ルクス様、爆発に巻き込まれて死なないでくださいね?」
「いや、大丈夫で受けど!? でもでも、ちょっとは加減をっていうか、手伝ってくれても……ってあー! きてますきてます!?」
ルクスに迫る『宇宙海賊船』。
まるで船体をミサイルみたいにしてルクスに殺到しているのだ。
「ええい、やってやりますよ! さあ、この通信装置から、聞いてくださいね! ボレロ!」
グランドピアノから奏でられるはボレロの旋律。
魂の演奏とも言うべき演奏は、いつまでも耳に残るもの。
三半規管という名のジャイロバランサーが『宇宙海賊船』に備わっているのならば、それを狂わせるのがルクスのユーベルコードである。
ちなみにステラは通信を切っていた。
これで安心である。
「ふう、これで『宇宙海賊船』は無力化できました! ふふーん。私の演奏は機械もひとも問わずなんですよ!」
ほめて! とルクスがステラに通信を入れるが返事がない。
目の前には無力化した『宇宙海賊船』。ルクスは拿捕できても、運転ができないので、ここからはステラに任せなければならない。
あれ。っていうか、ステラさんってガレオノイドだったので、飛空艇になってもらったら宇宙空間でも移動できたのではないかとルクスは思った。
けれど、ステラは何も言わなかったところをみると空とは勝手が違うのかなーっていうか。
「ステラさーん!? あれ!? なんで返事してくれないんですかー!」
通信を切っているからである。
そんなバタバタするルクスをよそにステラは考える。
真面目な顔して考えている事は『主人様』のことばかりである。ステラが夢想から戻ってくるまでの間、ルクスはずっと切られた通信の向こう側でバタバタして、ボディーランゲージでもって訴え続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『宇宙の友達に会いに行こう』
|
POW : 乗り物で集落を探しにいく
SPD : 通信電波を送信する
WIZ : ドローンを飛ばして調査する
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『惑星ジェミニィ』は過去数千年から変わること無く戦争だけが渦巻く惑星であった。
赤と青のウォーマシンは互いに完全であるがゆえに互いを受け入れることなどできなかった。
そのために争い続けていたのだ。
しかし、揺れ動く天秤のように片方に戦況が傾けば、片方が盛り返し、バランスをとるようにして繰り返し戦争が続いていた。
それはともすれば、互いを滅ぼしきらぬ事実を突きつけられていたようにも思える。
けれど『機械樹イグドラシル』が『惑星ジェミニィ』に降り立ち、大地を機械化した頃より、その状況は変わり始めた。
これまで必ずどちらかが勝利していた戦いが、痛み分けになることが多くなった。
互いが同じように傷つき、同じような消耗をしていく。
相打ちが増えたとも言える。
徐々に赤と青のウォーマシンは数を減らしていく。
「どちらが正しいのかを証明するための戦いであったはずだ。だが、それがなされなくなっている。その時、初めて僕の中に疑念が生じた」
「俺もそうだ。必ず勝敗がついていた。決定されていた。なのに、今は違う。何もかもが決定的ではなくなっていた。これは不自然だ。不平等や不寛容は受け入れられるが、不条理は受け入れがたい」
赤と青のウォーマシンの中から、ゆらぎを持つ個体が増え始め、彼らは互いの軍勢から離れ機を伺う。
あの『機械樹イグドラシル』が原因であるのならば、あれをどうにかしなければならないと気がついたのだ。
「好機を得るためには、待たねばならない」
「わかっている。だが、いつまで身を潜めていればいいのだ。それさえも私達にはわからない」
彼らが見上げる『惑星ジェミニィ』の空は黒煙と立ち上る焔によって照らされ、どよりと曇る。
猟兵たちが、降り立ったのはその時だった。
何処まで行ってもウォーマシンの残骸ばかりの戦場に猟兵たちは降り立つ。
赤と青のウォーマシン。
『機械樹イグドラシル』に危機感を覚えたウォーマシンたちが何処に居るのかをまずは探さねばならない。
惑星の大地は何処を見回しても戦場。
レジスタンスとも言うべき彼らも、この何処かに存在しているだろう――。
宇宙海賊戦艦・ギャラクシア号
UC継続発動
惑星ジェミニィに着くまでの間にヤドリガミの「七つ道具」を使って、拿捕した『宇宙海賊船』は修理、手入れ、掃除済!
到着したら戦艦103隻のレーダーで使えそう、売れそうなウォーマシンの残骸パーツを徹底的に探してみる!サルベージサルベージ♪
そして傭兵として高額な報酬で私を雇わせる!
私自慢の百隻を超えるこの大艦隊を見せれば喜んで雇ってくれるでしょ!
(機械樹イグドラシルとやらからもなんかお宝を奪い取れれば万々歳♪)
ただし、逆らうなら宇宙海賊として容赦はしないわよ!!
あとは『宇宙海賊船』を有料で貸し出したり、なんなら買い取らせて益々たっぷりがっぽり大儲け♪
スペースオペラワールドの星の海原を往く間というのは、わりかし暇なものであった。
時折襲ってくるオブリビオン化した『宇宙海賊船』の撃退は、宇宙海賊戦艦・ギャラクシア号(スペースパイレーツバトルシップヤドリガミパイロット・f39721)にとっては容易なことであった。
「楽な仕事よね。敵はぶっ壊してしまえばいいし。鹵獲できたなら儲けものだし。どうあっても私にG(ガルベリオン)が転がり込んで来るってわけなのだから」
悠々自適な旅。
これで更に報酬が振り込まれるとあっては、たまらない。
『惑星ジェミニィ』に降下していく艦隊の列を見やり、ギャラクシア号は、さらに其処が宝の山であることを知る。
あちこちに戦場痕がある。
常に戦争状態であるというウォーマシンの惑星。
そこかしこに破壊されたであろう赤と青のウォーマシンの残骸が転がっている。103隻もの巨大宇宙戦艦のレーダーに動くウォーマシンの存在は見受けられなかった。
「どいつもこいつも全部相討ちってわけ。綺麗さっぱりっていうところが人為的なのよね」
見下ろす戦場跡は、どれもがそのようなものだった。
一方的にやられていたり、撃滅したような戦いではない。
大軍が激突した跡はあっても、どれもが夥しい破壊しか見受けられないのだ。
「ともあれ、私にとっては得ってところよね。サルベージサルベージ♪」
残骸の上に宇宙戦艦が降り立ち、使えそなパーツを見繕っていく。
だが、どうやら内部のコアのようなものはすでに抜かれているようである。
ただの装甲や武装の残骸ばかりだ。
遺物、と呼ぶには少々物足りないような気がするが、ギャラクシア号は気にしなかった。
「後は、レジスタンス、だっけ? 連中を見つければいいのよね」
協力して『機械樹イグドラシル』を打倒すれば良いということであったが、ギャラクシア号はタダで協力するつもりはなかった。
見つけ出したのならば、己を傭兵として高額な報酬で雇わせようと思っていたのだ。
なにせ、100隻を越える大艦隊を見せれば喜んで雇ってくれるだろうという算段があったのだ。
敵の強大さを知っているのならば、なおのことである。
戦うためには力は必要だし、戦いにおいての力とは即ち数でもある。
自分自身がユーベルコードよって増えることも一因だろう。
自信たっぷりなギャラクシア号には怖いものなんてなかったのだ。ただ、彼女にとって計算の内に入っているかどうかはわからないが、赤と青のウォーマシンが、そうした取引のようなやり取りに興味を示すのかが問題でもあったのだ。
でもまあ、今は置いといて良いことだとギャラクシア号は人間の身体であったのならば、スキップを踏むように『惑星ジェミニィ』の空を飛ぶ。
「それに『機械樹イグドラシル』だっけ、あれなんかもお宝って感じよね。奪い取れば万々歳♪」
笑みが溢れてしまう。
行きも帰りも大儲けじゃないかとギャラクシア号は思っていた。
何、逆らうなら宇宙海賊として容赦しなければいいのだ。
「それに鹵獲しといた『宇宙海賊船』も有料で貸し出したり、なんなら買い取らせてますますがっぽり大儲け♪」
ともかく、レジスタンスを探さねばと、ギャラクシア号は皮算用を始めながら悠々と『惑星ジェミニィ』の空から、それらしき反応がないか探し続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァルターン・ギャンビット
見えてきたぜ『惑星ジェミニィ』ッ!それじゃ着陸だぜッ!
…この宇宙海賊船、どうやって着陸するんだ?
…どわああああッ!!?
何とか不時着できたぜ。
「お頭、勘弁してくださいよ。」「死ぬかと思ったっス。」
来る途中で拾った俺の部下達が文句いいながら宇宙船から出てくるが、無事到着できたからいいだろうがッ!
それよりこの戦場から話が分かりそうなウォーマシン達を捜しだすんだよ。
行け、我が【宇宙忍者軍団】ッ!
部下達がウォーマシン達を見つけたら接触するぜ。
よぅ、アンタらが『機械樹イグドラシル』をぶっ壊そうって連中か?
俺様は宇宙忍者軍団頭領ヴァルターンッ!ひとつ手を組まねえか?目的は一緒だろ?
【アドリブ歓迎】
「見えてきたぜ『惑星ジェミニィ』ッ!」
長い航路の果に辿り着いた戦争だけの歴史を刻む『惑星ジェミニィ』にヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は道すがら手に入れた『宇宙海賊船』と共に降り立とうとしていた。
大気があるのか、空気との摩擦で船体が高温になっていく。
だが、このスペースオペラワールドにおいては心配無用である。大気圏に突入するための装甲は備えられているのである。
だが、である。
宇宙空間を進むだけならばまだしも、ヴァルターンはどうやって着陸させるのかを理解していなかったのだ。
え、ランディングギア? なにそれ、という具合である。
それを大気圏突入してから気がついたのだ。
ちょっと間が抜けていると思われるかもしれないが、ヴァルターンはこれまで変居の星で只管に忍びとしての技術を研鑽し続けてきたのだ。
「……なんかガタガタ言ってんなぁ……自動でやってくれるのか? これ」
なんて呑気なことを言っていたのだが、船体の揺れが激しくなってきた頃合いで彼もようやく気がついたのだろう。
「え、まって、本当にどうやって着陸するんだ? え、このまま? なんか真っ逆さまになってないか!?」
ヴァルターンが気がついたときにはもう遅かった。
ミサイルのように『宇宙海賊船』は真っ逆さまに『惑星ジェミニィ』の地表に激突し、凄まじい砂埃を巻き上げて着陸というか、不時着をしていた。
ぶっささった船体からヴァルターンが咳をしながら這々の体で這い出す。
「ぶっぺっ……えらい目にあったぜッ! だが、なんとか不時着成功ってかんじだよなッ!」
「お頭、勘弁してくださいよ」
「死ぬかと思ったッス」
彼の背後から次々に現れるのは、宇宙忍者軍団(ウチュウニンジャグンダン)である。
この『惑星ジェミニィ』にたどり着く間に拾ったヴァルターンの部下たちである。いずれもシノビン星人だ。
「無事到着できたからいいだろうがッ!」
「そういうの結果オーライっていうんスよ」
「行き当たりばったりとも言うよな」
「ええい、うるさいうるさい! ガタガタ言うな! それより此処から話がわかりそうなウォーマシンを探し出すんだよッ! 行け、我が宇宙忍者軍団ッ!」
人使い荒いんだからなーもー、と言いながら部下たちが渋々と『惑星ジェミニィ』に散っていく。
彼らが件のウォーマシンたちを見つけるのは時間の問題だろう。
自分たちとレジスタンスのウォーマシンたちの目的は同じだ。オブリビオンである『機械樹イグドラシル』の打倒。
そのために組める手があるのならば、ウォーマシンらしい合理的な判断ができるはずだ。
「お頭ッ、見つけやしたぜ! 多分、連中のことじゃねーかって思うんスけど」
「おっ、でかしたな。じゃあ、いっちょ共闘養成といこうじゃあねぇの」
ヴァルターンは忍者軍団の一人の通信にうなずき、『惑星ジェミニィ』に潜むレジスタンスの元へと急ぐ。
あ、そうだと、ヴァルターンは思う。
第一印象っていうのは大事だ。
自分の印象をよく見せて、共闘に値する存在だと伝えるのもまた、今後のことを有利に運ぶにも必要なことだ。
「こっちッス!」
手を、というか鋏のような腕を振って部下が示す先にあったのは、巨大な宇宙船の残骸であった。
そこに見えるのは赤と青のウォーマシンたち。
半分に分かたれたような配色の装甲は、なるほどと思う。赤と青に分かたれているのではないと。
彼らにヴァルターンは大見得を切るように鋏を打ち鳴らして告げるのだ。
「俺様は宇宙忍者軍団頭領ヴァルターンッ! 一つ手を組まねぇか? 目的は一緒だろ?」
それに部下たちは紙吹雪を散らし、ヴァルターンは、その鋏の手をレジスタンスたちに差し伸べるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
あーららウォーマシンの残骸だらけ
勿体無いわねぇ
後で回収して帰りましょうそうしましょう
さーてレジスタンスはどこに隠れているのかしら?
こっちはセイヴザクイーンで降りて来たから向こうはもう気付いているかも知れないわね
ここは人海戦術で行きましょう
ちびのえさん軍団出動!
さあレジスタンスを見付けてくるのよ
面倒臭いから嫌?言う事聞かないとスクラップよ?
やれやれ、この性格の悪さは誰に似たのかしらね
相手からしたらこっちは怪しい異星人だから交渉はシンプルに行くわ
私は機械樹を壊して持ち帰りたい
貴方達は機械樹が邪魔
ほら利害が一致した
私を引き込むだけで宇宙戦艦の火力が手に入るわよ?
報酬はその辺に転がってる残骸でいいわ
『惑星ジェミニィ』に降り立ったセイヴザクイーン級大型戦艦の艦橋で桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は、その有様を見下ろしていた。
何処を見ても戦闘の痕跡が見受けられる。
数千年単位で戦争を続けている惑星というだけだって、戦いの場になっていない場所などないというかのようにウォーマシンの残骸が山積している。
コアが抜かれているのか、残されているのは装甲やフレームといったものばかりだった。
「あーらら、ウォーマシンの残骸だらけ。勿体ないわねぇ」
後であれらを回収して帰ろうと水之江は心に誓う。
とはいえ、それは事件を解決した後だ。
今は『惑星ジェミニィ』の何処かに居るであろう『レジスタンス』のウォーマシンたちを探さなければならない。
オブリビオン『機械樹イグドラシル」によって、この惑星の戦争は拮抗している。
いや、もっと悪いと言えるだろう。
これまでバランスをとるように片方が隆盛すれば、必ず片方が盛り返してきた。勝利と敗北の数が均等なのだ。
「けれど、オブリビオンの出現で相討ちが増えてきたってわけね。そりゃあ、これだけ残骸ばかりになるってわけね。それはそうと何処に隠れているのかしら?」
巨大戦艦が複数、降り立ってきたのだ。
あちらがウォーマシンであるというのならば、此方の動向を既に掴んでいるはずだ。
「まだ向こうは様子見ってところかしらね。なら、此処は人海戦術で行きましょう。ちびのえさん軍団(チビノエレギオン)出動!」
水之江の言葉と共に、その瞳がユーベルコードに輝く。
セイヴザクイーン級大型戦艦の艦橋にずらっと居並ぶデフォルメされたかのような小さな水之江たち。
彼女たちはずらっと並んで水之江を見上げていた。
「さあ、レジスタンスを見つけてくるのよ」
「いやよ、面倒だもの」
「そうそう、そういう面倒なことばっかりはこっちに押し付けて、自分は美味しいところばっかり食べようってことでしょ」
「私達だって美味しい思いしたいもの。具体的にはそこら中にあるウォーマシンの残骸から新しい発明とかしてみたいわ」
口々にデフォルメ水之江たちが自分の要望を告げる。
「言う事聞かないとスクラップよ?」
その言葉にちび水之江たちが艦橋から飛び出して『惑星ジェミニィ』の大地へと駆け出していく。
「やれやれ、この性格の悪さは誰に似たのかしらね」
……。
恐らく、その疑問には誰も答えられないだろう。ご本人様です、とは口が避けても言えないのである。
だから、水之江は天災博士と呼ばれているのである。
そんな彼女が使役するちび水之江たちから通信が入る。
「なんか赤と青の半々ウォーマシン見つけたわよ」
「ああ、そう。なら交渉にいきましょうね。シンプルに」
彼女は『セイヴザクイーン』と共に通信の入った場所まで向かう。そこには巨大な宇宙船の残骸があった。
その中に赤と青の半分ずつの色をしたウォーマシンたちが居た。
彼らが『良心』に目覚めたウォーマシンたちなのだろう。彼らを前に水之江は単刀直入に告げる。
「私はあの機械樹を壊して持ち帰りたい。貴方達は機械樹が邪魔。そうでしょう?」
「その通りだ。利害が一致はしているが、私達が君に差し出せるものがない。君からは私たちに戦力を与えてくれる」
「そうね。なら、報酬としてその辺に転がっている残骸でいいわ」
「あれらは僕らがコアを抜いている。それでもいいのか」
「コア。ああ、なるほどね。千年単位で戦争やってるって聞いたから、どうやって居るのかと思えば」
水之江は理解する。
戦場に外装やフレームばかりが残っていたのはそういうわけかと。
「ずっと戦争続けているのね、貴方達は。まあ、いいわ。なら私からは宇宙戦艦の火力を」
「俺達からは俺達自身の戦力を」
「ええ、決まりね。あの機械樹を伐採するまで、私たちは貴方達と共同戦線を張る」
互いに合意した交渉はシンプルに決まる。
水之江は頷いて、己の所有する『セイヴザクイーン』を巨大宇宙船の影に隠れさせ、その時を待つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ダビング・レコーズ
ミドガルズオルムで惑星ジェミニィに降下
極低速での巡航を開始します
敢えて視認され易い行動を取る事で当機をレジスタンス側に発見させます
この際に全周波数帯域で機械樹イグドラシルへの攻撃準備を宣言
加えてレジスタンスへ協働を呼び掛けます
レジスタンス側から何らかの反応があれば降機してウォーマシンの状態で対応します
同族であった方が意思疎通が円滑に行えるでしょう
そして当機は機械樹イグドラシルの破壊依頼を受けており、依頼主から目的を同じくする惑星ジェミニィのレジスタンスと協働を推奨された旨を伝えます
最悪協働関係を結べなかったとしても、作戦遂行中の相互不干渉の取り決めさえ得られれば問題は無いでしょう
巨大な白亜のアームドフォートとドッキングしたキャバリア『アークレイズ』を駆るダビング・レコーズ(RS01・f12341)は敢えて『惑星ジェミニィ』の空を飛ぶ。
それも極低速で浮遊するように。
戦術的に考えれば、そのような行為はあまりにも無策無謀だったことだろう。
すぐさまに対空レーダーに感知されるところとなるはずだ。
けれど、ダビングはそれをこそ狙っていた。
自身が視認され易い行動を取れば、レジスタンス側にも己の所在が伝わるだろう。
そうなれば、彼らを発見することも容易だったし、そこから共闘を持ちかけることも可能だった。
「では、始めましょうか」
巨大アームドフォート『ミドガルズオルム』から全周波数帯域でもってダビングは宣言する。
「この惑星に根を張り滅びをもたらさんとする『機械樹イグドラシル』に対して自分共は攻撃準備を整えております。投機は『ダビング・レコーズ』。オブリビオン『機械樹イグドラシル』を討ち果たさんとする猟兵」
その通信は一気に『惑星ジェミニィ』に飛ぶ。
『機械樹イグドラシル』に対しては攻撃の宣誓。
レジスタンスに対しては共闘の呼びかけ。
これで反応がないかとダビングは探る。
「其方に此方と敵対しないという意思を見せられたし。我等は総じて『バイ・スタンダー』と呼称されている」
ダビングは己のキャバリアに伝わる言葉に頷く。
信号が共に送られてきている。それを頼りにダビングはゆっくりと『ミドガルズオルム』と共に降下していく。
キャバリアのコクピットからダビングが降り立つ。
自身もまたウォーマシンである。
この姿のほうが意思疎通が遠隔に行えると思ったのだ。
目の前に現れたのは赤と青を半々にしたウォーマシン。
「そちらが『ダビング・レコーズ』か。私達以外のウォーマシンを見たのは初めてだ。嫌悪を抱かぬのが不思議ではあるが」
『バイ・スタンダー』と呼称される赤と青のウォーマシンにダビングは頷く。
「当機は『機械樹イグドラシル』の破壊依頼を受けており、依頼主から目的を同じくする『惑星ジェミニィ』の協働を推奨されております」
「あれの破壊を。この惑星宙域に存在していたワープゲートは損壊しているはず。どうしてそのようなことを知り得たのか」
「依頼主からの情報です。現実にそちらの状況は芳しくないと思われますが」
「肯定。我等は完全だった。しかし、当機も含め、多くが不完全で完璧になってしまっている。悪性と善性が同時に一つの中にある状態である。故に我等以外の機体は相討ちになり続けている」
ダビングは理解する。
彼らとて己の滅びを肯定的に捉えていない。数千年単位での戦争状態にあっても自己を保存しようという意思はあるように思えた。
「ならば」
「肯定。其方との共闘を了承する」
『バイ・スタンダー』と呼称されるウォーマシン群とダビングは協力を引き出すことに成功する。
この惑星に残されたウォーマシンたちは多くはないようである。
しかし、『機械樹イグドラシル』と戦うためには、戦力は多い方がいい。ダビングはすぐさま『バイ・スタンダー』たちと共闘の段取りを取り付け、この惑星に降り立った猟兵、そして他の地域に点在してるレジスタンスたちとの連携を取るため、決行までの打ち合わせを行うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
身体が浮かないのにほっとしていたのですが、|愛の絶叫《いつもの》がきません?
ちょっとさみしいな、と思っていたら、
探すの『エイル』さんじゃないんですね。
レジスタンスさんの中には、
『エイル』さん、いらっしゃらないんでしょうか。
でも困りました。
ステラノーズが効かないとなるとどうすれば……え?
なんですルクスちゃん。こんなときこそ演奏だ?
なるほど。
なら今回はクラリネットでいきましょう。これならダメージありませんからね!
ステラさん、ふらついてますよ!?
危ないですから前見てくだ……ぴゃぁぁぁぁぁぁぁ!?
うう、走っていたらキャバリアとぶつかるとか……。
異世界転生したらどうするんですかー。
ステラ・タタリクス
【ステルク】
(飛空艇形態でルクス様を運びながら)
ふーむ、眼下に広がる赤と青の残骸
どことなく|かの機体《セラフィム》に似ているような気もしますが
ウォーマシンならばセラフィム足り得ないでしょう
仄かに|エイル様《主人様》の香りがするのは気になりますが
というわけでルクス様
エイル様を探します!!
探すのはエイル様じゃない?そんなぁ……
飛空艇形態から人型に戻って
『フラーメン』を使って移動
ルクス様、私が運転しますので
いつもの勇者|力《ちから》でなんとかなりませんか?
そう、勇者のとっけ……なぜ楽器を取り出しました?
くっ、早くイヤープラグ……あれ?まさか忘れた!?
る、ルクス様すと……にゃぁぁぁぁぁああ!?(ぱたっ
『惑星ジェミニィ』にたどり着くまでになんやかんやあった顛末はまた別の物語である。
しかしながら、宇宙空間の無重力から開放されて地に足付いた心地になったルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はウォーマシンの残骸が山積する『惑星ジェミニィ』の様相を見つめる。
恐らくこの後にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の愛の絶叫が迸ると思っていたので、耳に手を当てていたのだが、ステラは特に何も叫ばなかった。
あれ……?
ルクスは思わず、ちょっとさみしいな、と思ってしまっていた。
あれだけやべー、やべーと思っていたステラの叫びもなくなってしまうとなんだか寂しいと思ってしまうのが人の性の面白いところである。
「ふーむ」
ステラはガレオンチェンジで飛空艇に変身してルクスを載せて『惑星ジェミニィ』を空から見下ろす。
広がっているのは赤と青の残骸ばかりである。
この『惑星ジェミニィ』では数千年単位で戦争が続いている。
片時も平和というものはなく、また渦中のウォーマシンたちにとって、それは取り立てて重要なことではなかったのかもしれない。
「どことなく|かの機体《セラフィム》に似ているような気もしますが」
ウォーマシンである。
彼女のというところの機体とは体高5mの戦術兵器だ。ウォーマシンは其処まで大きくない。
けれど、ステラはかの機体と同じ姿をした人間大の存在を知っているはずだ。
「えっと探すのは『エイル』さんじゃないんですよね? レジスタンスさんの中には『エイル』さん、いらっしゃらないんでしょうか?」
ルクスがステラの甲板の上で首を傾げる。
てっきり『惑星ジェミニィ』に降り立てば、そのままステラのやべーセンサーーの要こと『ステラノーズ』でくんかくんかってレジスタンスを探し出せると思っていたのだ。
当てが大きく外れてしまった。
「ですがほのかに|『エイル』様《主人様》の香りがするのは気になりますが」
「えぇ……」
どういう嗅覚をしているのだろうかとルクスはちょっと引いた。さっきまでちょっと寂しいなぁと思ったが、実際にやべーなと思ってしまうのは別問題なのである。
ヤベーメイドなのである。
「とは言え、仕事は仕事です。例え『エイル』様を探すのではなくても、そんなぁって思っても、それでもやり遂げるのが猟兵もといメイドというもの。これが『エイル』様に繋がる何かに成るかもしれないわけですから!」
やっぱりヤベーメイドじゃないかと何処からかツッコミガキそうであるが、ルクスはステラの調子が戻ったことをこそ喜ぶべきだっただろう。
ステラが人の姿に戻って、天使核でもって浮かぶフローターにルクスと共に飛ぶ。
「ルクス様、私が運転しますので、いつもの勇者|力《ちから》でなんとかなりませんか?」
「え、ああ、なるほど。こういうときこそ、ですね。では!」
ルクスはにっこり微笑んだ。
いや、何をしているのかとステラは振り返った。
何時ものと言ったら勇者特権でこう、なんやかんやうまく行く選択肢を選べるあれである。
けれど、ルクスが取り出したのはクラリネットだった。
「ふふふ、今回はクラリネットで行きましょう。これならダメージはありませんし、こういうときこそ演奏です。音楽は万人共通。国境も人種も種族も越えていくのです!」
「えっ、ちょっ、くっ!」
ステラはもう止めるのは間に合わないとアンチルクスレゾナンスなんちゃらかんちゃらイヤープラグを取り出そうとした。
だが、すかっ、と音がなる。
ぞっとした。
ゾっとしたのである。
ない。ポッケにない。
あるはずのイヤープラグがない。
「……あれ? まさか忘れた!? る、ルクス様すと……」
「さあ、行きますよー!」
うぃむ! ルクスの演奏が始まる。本当にクラリネットか? と見紛うほどの音量が迸る。
ステラが運転していたフローターがふらつく。
「にぁぁぁぁぁぁあああ!?」
フローターに二人乗りしていたから、ゼロ距離で演奏をステラの耳を襲う。
尋常じゃないあれそれ。
ルクスの演奏は回復をもたらすものであったけれど、音色は別である。どう考えても不協和音を超えたなんかそういうあれ。
「ステラさん、ふらついてますよ!? 危ないですから前見てくだ……ぴゃぁぁぁぁぁぁ!?」
ルクスの目の前に現れたのは赤と青のウォーマシン。
どっしーん☆
って可愛い激突ではなかったが、異世界転生できそうな感じのあれであった。
二人はなんだかんだ結果オーライでレジスタンスであるウォーマシンたちとの接点を得るに至った。
これで良いのかと問われたのならば首を傾げねばならないが、結果が全てである――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
ゆらぎのレジスタンスを見つければ、いっしょに戦ってもらえそうだね。
「『希』ちゃん、惑星をできるかぎり広範囲でスキャンしてー」
『了解。レーダー範囲を360度、地表から地下20mに設定、スキャンします』
レジスタンスも固まってはいるだろうから、
【Density Radar】で惑星をスキャンしつつ、
これは、っていうところに探索隊を派遣することにしよう。
サージェさーん!
わたしも【E.C.O.M.S】で援護するから、いっしょに『ちまっと捜索隊』、行ってもらえる?
うん、いつもどおりかぁいい。
これならレジスタンスの人も敵とは思わないよね。
「あ、あと『希』ちゃん……そろそろ空調もどして……」
サージェ・ライト
【理緒さんと】
よーし、地面さえあればクノイチの独壇場ですね!
それでは人海戦術で捜索にいって、あっるぇぇぇぇぇ!?(希ちゃんの索敵範囲を見て)
くっ、希ちゃんが美人有能AIすぎる……うらやま
私のシリカと交換……アッキカナカッタコトニシテクダサイ
ではではリクエストにお応えして
【ちまっとかぐや隊!】再度しゅーごーです!
はい点呼!
理緒さんを隊長にして指示をあおぐように!
散開!頑張るんですよー
ふー、仕事を終えた後は気持ちが、アッハイワタシモデスネ?
さてさて無事、ゆらぎを持つウォーマシンたちに会えるといいんですが
伝えるべきことはシンプルに
『機械樹イグドラシル』を刈り倒しに来ました!
で十分ですかね?
完全なる善性を持つ青のウォーマシン。
完全なる悪性を持つ赤のウォーマシン。
二つに分かたれた勢力が『惑星ジェミニィ』において相争うのは必然であったのかもしれない。
一欠片の善性を持たぬが故に他者との不平等を愛する。一欠片の悪性を持たぬがゆえに不平等を平等に強いる。
どちらも相容れぬものであったから数千年単位で争い続けていたのだ。
そんな彼らの争いが相討ちで集結するという未来を引き寄せたのは皮肉にもオブリビオンであった。
「悪性と善性を併せ持つから『良心』というゆらぎが生まれるっていうのは」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋から『惑星ジェミニィ』の地表を見下ろす。
そこにあったのは大地ではなくウォーマシンの残骸が山積する光景でしかなった。
「よーし、地面さえあればクノイチの独壇場ですね! それでは人海戦術で捜索にいって……」
「『希』ちゃん、惑星をできるかぎり広範囲でスキャンしてー」
『了解。レーダー範囲を360度、地表から地下20mに設定。スキャンします』
理緒の言葉にAIである『希』が即座に『惑星ジェミニィ』を走査する。
「あっるぇぇぇぇぇ!?」
その手際の速さにサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は思わず叫んでいた。
もしかして、自分いらない子ですか? となるほどにすごい速さでAIがサージェの独壇場を奪っていったのである。
クノイチ独壇場、儚い。
人の夢と書いて儚い。儚いなぁ。
「くっと、『希』ちゃんが美人有能AIすぎる……うらやま」
サージェにもおる。
だが、しかし羨ましいものは羨ましいのである。美人有能AI。その字面だけでご飯三杯行ける気がしないでもない。気の所為。
『お褒めに預かり光栄です』
更に謙虚!
だがしかし、理緒は思った。褒められて上機嫌なら、空調を元に戻して欲しい。ちょっとつらい。
けれど、『希』の機嫌はまだ治っていない。
空調はまだ戻ってなんかいないのである。
「私のシリカと交換……アッキカナカッタコトニシテクダサイ」
しっかり聞こえているゾ。
後で爪ばバリィってなるやつである。サージェの褐色のお玉の肌がこう、あれな感じなるカウントダウン、する?
「サージェさーん! 私も援護するから一緒に『ちまっと捜索隊』行ってもらえる?」
理緒は苦笑いしてしまう。
サージェの未来を案じた。ここは話をそらしてあげるべきだと。
「レジスタンスも固まっているみたいだから……多分、他の猟兵さんたちも接触している頃合いだと思う。あの巨大宇宙船の残骸が怪しそうだからさ」
「はぁい、ではではリクエストにお応えして!」
サージェの瞳がユーベルコードに輝く。
うまくごまかしたとも言えるが、シリカさんの爪の状況はどうなっているでしょうか。
「はい点呼!」
「いっち!」
「にー!」
「さん!」
しー! ってな具合で、ちまっとかぐや隊!(ゲーミングカグヤヒメトアソボウ)が一斉に『ネルトリンゲン』から飛び出していく。
「理緒さんを隊長にして指示を仰ぐように! 散開! 頑張るんですよー!」
ひらりとサージェが『ゲーミングちまかぐや姫』たちを見送る。
額に汗して拭うような所作をしてサージェは息を吐き出す。
ひと仕事終えた気持ちになっているのである。
いや何を終わった顔をしているのであろうか。サージェも行くんだよ、とシリカの爪がにゅっとしているのを見てサージェは襟を正し、背筋を伸ばしてわたわたと『ネルトリンゲン』から飛び出していく。
「うん、いつもどおりかぁいいねぇ。これならレジスタンスのひとも敵とは思わないよね」
そんないつも通りのサージェと『ゲーミングちまかぐや姫』たちを見やり理緒は頷く。
それはそうと空調そろそろ元に戻してもらえないだろうかと『希』を見やる。
けれど、ダメというようにツーンとしたAIが其処にはいた。
色々限界なのであるが、まだ機嫌は治ってくれないようである。
機嫌を直すために必要なのは褒と労りである。
それがない内はまだ空調は戻らないぞというように『希』はツンケンしている。
そんな理緒とは裏腹にサージェは『惑星ジェミニィ』の外を疾走る。
「『良心』というゆらぎを持つがゆえに戦いに疑念を抱くというのもなんというか。ウォーマシンらしいと言えば、それまでなんでしょうけど」
サージェは思う。
残骸ばかりが残るウォーマシンたち。
彼らがたどり着いたのは、一側面だけではない両面を持つ人間としての特性。
ならばこそ、そんな『良心』を持つウォーマシンたちならば伝える事はシンプルでいいはずだと。
目指す巨大宇宙船の残骸に向かってサージェは声を大にして言うのだ。
「『機械樹イグドラシル』を刈り倒しに来ました!」
これで十分かな? とサージェは思う。
その言葉にゆっくりと残骸の影から赤と青のウォーマシン『バイ・スタンダー』が現れるのをサージェは見ただろう。
彼がゆらぎという名の『良心』を持つウォーマシン――。
大成功
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テスティナ・ヴァシリッサ
ぴる。
この状態では解析できても材質程度ですね、早々にウォーマシンたちを探す方がよさそうです
しかし、防衛個体のセルでは捜索は無理(そもそもコア=テスティナの防衛が役割なので)、
ですのでコルピオス号で移動しながら捜索するとしましょう
その際……そうですね、最近結成した上位のセル個体兵士による騎士団を投入します
UCを使用、その際出現数の多い「闇のフォースナイトを模倣擬態したセル兵士」を呼び出し、人海戦術で探すとし、発見できたならば兵士達は周囲の警戒に向かわせ、私自身が直接応対しましょう
こちらも機械樹排除が目的です、一時的であっても目的が同じである以上、共闘は可能だと思いますよ
『惑星ジェミニィ』に降り立って最初に見たのは戦場跡だった。
何処を見ても戦いの痕しか残っていない。
破壊された赤と青のウォーマシンの残骸。これが『惑星ジェミニィ』の歴史であると示すようでもあった。
戦争しか無い。
ただそれだけを数千年単位で行ってきた。気が遠くなるどの歳月。
けれど、赤と青のウォーマシンたちは、それを長いと感じることはなかっただろう。どうあっても受け入れがたき存在が目の前に居る時、それを排除する以外に道はないのだということを示す結果が、テスティナ・ヴァシリッサ(ゼルガリアスの姫巫女・f38690)の眼前にはあったのだ。
「ぴる。この状態では解析できても材質程度ですね、早々にウォーマシンたちを探す方が良さそうです」
彼女は円盤型宇宙船に乗りながら、何処かに存在しているであろレジスタンスたちを探さなければならない。
とは言え、である。
自身を守るようにして存在する円盤型宇宙船にあるセルは防衛用であって、探索用ではない。
防衛個体たちの能力は高いし、不測の事態になっても戦えるだろう。
けれど、今優先すべきは『機械樹イグドラシル』との戦いではなく、レジスタンスとの共闘を持ちかけることだ。
「ぴる。ここはあなたの出番ですね」
テスティナの瞳がユーベルコードに輝く。
彼女が呼び寄せたのはウォーマシン擬態型金属生命体セルの重装兵による騎士団であった。その中でも個体の多い『闇のフォースナイトを模倣擬態したセル兵士』たちを持ってテスティナは人海戦術を取る。
彼らは『惑星ジェミニィ』の地表を走り抜ける。
「とは言え、此処に私だけではありません。何処かに必ずレジスタンスの痕跡があるはず……」
テスティナは宇宙船から周囲の状況を探る。
同じようにこの『惑星ジェミニィ』に降り立った猟兵達もレジスタンスとの接触を持っているだろう。ならば、自分はそれをたどれば良い。
人海戦術は、そうした痕跡を探るためだ。
「来訪者が多い」
その通信は出し抜けだった。
テスティナの宇宙船に入る一報。それは他の猟兵たちと接触を持ったであろうレジスタンスからの通信だった。
「ぴる。戦力は大いに越したことはないのではないでしょう? こちらはゼルガリアスの姫巫女、テスティナ・ヴァシリッサ。そちらは?」
「私達に個体名はない」
「故に俺達は総じて『バイ・スタンダー』と名乗っている」
「僕らは君たちの戦力を欲している。此方から提供できるものは少ないが」
通信に入るレジスタンスであろうウォーマシンたちの言葉にテスティナは頷く。
これは交渉というものはいらなかったかもしれないと思った。彼らは戦うことだけを存在意義としている。
戦って朽ち果てることに恐怖を持っていない。
けれど、揺らいでいるとも思えただろう。
完全な悪性と、完全な善性。
それは方向性こそすれ異なるものであったが、性質は同じだ。完全であるということ。しかし、レジスタンスの彼らは違うと思えた。
「赤と青。善性と悪性。どちらかしか持っていないのではなく、どちらも持ち得るからこそ、ゆらぎ……即ち『良心』が生まれたと」
ならば、とテスティナは言葉を変える。
「一時的でも在っても、目的が同じである以上、共闘しましょう」
さすれば滅びは回避できる。
だが、その回避された後も彼らは戦い続けるだろう。きっとそうした存在であるからだ。
「了承した」
「いいえ、こういう時はこういうべきです」
テスティナは告げる。
彼らに善性と悪性が宿って、それを言葉にするというのならば。
「此方こそ、助力感謝致します」
異なる存在が、相容れぬ存在が、想いを同じくする。
なら、きっとそう言うべきなのあろうと、彼女は通信を終え、遠く見える『機械樹イグドラシル』の威容を見つめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『機械樹イグドラシル』
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POW : インヴェイジョン
レベルm半径内を【テラフォーミングによって侵略完了地域】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【惑星に対する侵略行為】が強化され、【惑星を侵略行為から守ろうとする行動】が弱体化される。
SPD : アグレッション
レベルm半径内を【無限に増殖・再生を繰り返す機械パーツ】で覆い、範囲内のあらゆる物質を【機械化改造】で加速、もしくは【ハッキングによる情報改竄】で減速できる。
WIZ : レイダーズ
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【侵略用機械兵器軍団】が出現し、指定の敵だけを【原子破壊レーザー光線】と【物質崩壊攻性エネルギーシールド】で攻撃する。
イラスト:京月ささや
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ベリル・モルガナイト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
完全なる善性と完全なる悪性に違いはない。
完璧であるがゆえに不完全であることが求められるように。皮肉にもオブリビオン『機械樹イグドラシル』の存在に寄って、これまで天秤のように『惑星ジェミニィ』に刻まれた数千年単位での戦争は、拮抗しはじめた。
互いに寄せて返す波のように勝敗が決することがなくなり、相討ちをし続ける赤と青のウォーマシン。
総じて、名を『バイ・スタンダー』と名乗る。
彼らは拮抗するがゆえに潰えようとしていた。
けれど、彼らの中に悪性と善性を持つ者が現れ始めた。
ゆらぎにも似た『良心』ともいうべきそれを獲得した『バイ・スタンダー』たちは『機械樹イグドラシル』に立ち向かう。
だが、そのレジスタンスたちの蜂起を感知した『機械樹イグドラシル』は即座に周囲にあったウォーマシンの残骸を再生し、無数の軍勢として形成する。
「――……」
物言わぬ巨躯。
ただ己の滅びを否定し、惑星を機械化するという使命を果たさんがためだけに『機械樹イグドラシル』は力を振るう。
物言わぬ『バイ・スタンダー』の大軍勢。
その圧倒的な数を前に『良心』持ち得た『バイ・スタンダー』たちは駆ける。
「嘗ての同胞たちの骸の多くは私達が止める」
「僕達で全ては対処できないかもしれない。けれど、それでもいくぶんか楽になるだろう」
「その間に頼む。俺達は、その時を稼ぐ」
その言葉に猟兵たちは、頷く。
今こそ骸の如きウォーマシンの軍勢を退け、『機械樹イグドラシル』を『惑星ジェミニィ』から排除しなければならない――。
桐嶋・水之江
あれがイグドラシルね
まさに木って感じの見た目なのね
バイ・スタンダーさん達とはかなり相性が悪いように思えるけれど大丈夫なのかしら?
未来の商売相手になるかも知れないし全滅されると困るのよねぇ
まあ、上手くサポートしてあげるわよ
セイヴザクイーンで遠距離から援護射撃しましょう
実体弾は悪さされそうだからメガビーム砲をメインで使うわ
ウォーマシンのゾンビや機械パーツを砲撃で吹っ飛ばして味方が動き易くなるようにしてあげましょう
味方が揃ってるんだから私一人が頑張るよりこっちの方がお得よ
増殖再生ばかりに一生懸命になってたら肝心の戦闘がおざなりになるでしょうしダメージが激しければ再生するのも一瞬とはいかなくなりそうね
それは灰色の巨大な樹木を思わせた。
あまりにも巨大であるがゆえにスケールが狂ってしまったのかと錯覚するほどに大樹とさえ呼ぶのを憚られる巨体。
それがオブリビオン『機械樹イグドラシル』。
惑星を機械化テラフォーミングする兵器。
そこに意思はない。
介在した何者かの意思あれど、しかし惑星を機械化するというただ一つの使命の為に『惑星ジェミニィ』を覆うようにして樹冠は広がっていくのだ。
「――……」
言葉無く。
機械とは即ち、存在意義を全うするためだけの機能さえあれば良いと、意思、『良心』持つ赤と青のウォーマシン『バイ・スタンダー』を排除するように無限に増殖する『惑星ジェミニィ』の戦場痕に残されたウォーマシンの残骸を手繰る。
「あれがイグドラシルね。まさに樹って感じの見た目なのね」
桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)はセイヴザクイーン級大型戦艦の艦橋モニターに映る『機械樹イグドラシル』の威容を見て頷く。
「『バイ・スタンダー』さん達とはかなり相性が悪いように見受けられるけど、大丈夫かしら?」
「私達のことは構わないで良い。アレを排除すること。それ以上は求めない」
にべにもなく『バイ・スタンダー』たちの返答が返ってくる。
彼らにとっては、それで良いのかもしれないが将来の商売相手になるかもしれない彼らを全滅さえられるのは水之江にとっては困ることばかりであった。
「と言っても聞いてくれるほど柔軟じゃあないか。まあ、うまくサポートしてあげるわよ。砲門開け。実体弾ではなくビームを使うわ」
彼女の号令と共に『セイヴザクイーン』の砲門が開く。
実体弾は機械化能力を持つ『機械樹イグドラシル』にとっては、返って不利であろうと水之江は『セイヴザクイーン』の出力を上げる。
メガビーム砲の砲口に湛えられる光。
出力を上げた援護射撃(カバーリング・ファイア)の一撃が空に光条を走らせる。
眼下では骸の如きウォーマシン軍団と『バイ・スタンダー』たちが火線を交えている。彼らと軍勢の力関係は互角だった。
だが、『機械樹イグドラシル』が齎した拮抗した力ではなく、波のように揺れ動いている。
押されれば、押し返す。
それを見やり、水之江は応援せずにはいられなかった。
彼らが少しでも生き残れば、今後の商機につなげることができる。今回の助力を恩義に感じることがあれば、さらに儲けが出るというものだ。
だからこそ、水之江は言うのだ。
「がんばれ、がんばれ」
ちょっと感情を込めてもいいのではないかと思うほどであったが、そういうところはリアリストである。
感情を込めて勝てるのならば誰も戦争で苦労はしないのである。
「それに私一人が頑張るより、こっちのほうがお得よね」
そう、此処には自分だけではない。
他の猟兵だっている。
ならばこそ、メガビーム砲の一撃を叩き込み続ける。
「……――」
「そうよね。砲撃で削られた分、増殖再生しなきゃ押し切られるわよね。だからって、そっちにばっかりかまけていたのなら……」
水之江は艦橋ブリッジで笑む。
どれだけ再生するのだとしても、ビームで焼き切ってい行く以上、限界点は必ず存在するのである。
故に水之江は他の猟兵たちの行動をカバーするように『セイヴザクイーン』の砲撃を『機械樹イグドラシル』に叩き込み続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ダビング・レコーズ
機械樹イグドラシルを確認
これより排除行動を開始します
引き続きミドガルズオルムとドッキングしたアークレイズで出撃
目標との相対距離を十分に確保した上で戦闘を行います
滞空し戦艦のように運用する事で敵軍の注意を当機へ引き付けます
被弾はエイジスガードのEMフィールドで防御します
敵ウォーマシン群に対してベクターボックスを射出
マイクロミサイルの面制圧で友軍のバイ・スタンダーの戦闘行動を支援します
イグドラシルに裂ける友軍戦力の比重が高まれば単純に有利に働きます
目標本体への攻撃はプラズマグレードを反映させたオーシャンカレントで行います
面している根本部分を狙い地形を破壊
テラフォーミングによる効力を無効化します
ビームの火線が『惑星ジェミニィ』の空に引かれる。
その砲撃は『機械樹イグドラシル』の巨体に打ち込まれ、穿つも再び傷を塞ぐように蠢いていく。
周囲にある数千年単位の戦争の痕に残るウォーマシンたちの残骸を取り込んでいるのだろう。
大軍勢を持って此方に迫っているが、その大部分は『バイ・スタンダー』と呼ばれる赤と青のウォーマシンたちが担ってくれている。
猟兵たちに求められたのは『機械樹イグドラシル』の排除である。
「『機械樹イグドラシル』を確認。これより排除行動を開始します」
空に白亜の巨大アームドフォートが飛ぶ。
それは、『アークレイズ』に騎乗するダビング・レコーズ(RS01・f12341)の言葉だった。
「了解。道行きは我等が開く」
『バイ・スタンダー』たちの通信と共に戦場に穿たれるのは胸部より放たれた熾火の如き砲撃だった。
火線が地上にあった骸のウォーマシンたちを吹き飛ばしダビングが『機械樹イグドラシル』へと向かう導線を確保する。
砲火荒ぶ戦場にあって支援があることは大いに心強いものだった。
地にあっては『バイ・スタンダー』たちが。
空にあっては猟兵の駆る戦艦からの砲撃が『機械樹イグドラシル』を抑え込む。
「敵勢力の多さは言うまでもなく」
ダビングは空に浮かぶアームドフォートからマイクロミサイルでもって地上より砲火を放つ骸のウォーマシンを爆撃するように撃滅して飛ぶ。
だが、それらの爆発を押しのけるようにして『機械樹イグドラシル』から湧き出す骸のウォーマシンたちはダビングへの攻撃を緩めない。
空に浮かぶ要塞の如き『ミドガルズオルム』は地上からの標的になり得る。
けれど、ダビングはただ『バイ・スタンダー』たちに助けられるだけでない。彼の放つマイクロミサイルは彼らの戦闘をも支援する。
「何故我等を助ける」
「其方は敵、『機械樹イグドラシル』の排除だ。我等を助ける理由がわからない」
「『機械樹イグドラシル』に割ける友軍戦力の比重が高まれば単純に有利に働きます。それだけのことです。天秤とは釣り合うものでありますが、ささいなことで傾くもの」
それは、もっとも『バイ・スタンダー』たちが知っていることではないかとダビングは通信を入れる。
その言葉で彼らが納得するだろうとダビングは思った。
確かにダビングはウォーマシンである。しかし、過去より続く今は何も変化がなかったのかと問われれば、恐らくそうではないだろう。
感情のゆらぎを知った。理解した。
けれど、それは他の生命体との円滑な会話のためだ。演出でしかない。
「貴殿らは、『良心』というゆらぎを得たのならば」
ダビングのアイセンサーが煌めき、『ミドガルズオルム』の巨体に備えられた超大型荷電粒子砲の砲身が『機械樹イグドラシル』へと向けられる。
精密狙撃をするために輝くユーベルコード。
装填されるのは、荷電粒子榴弾(プラズマグレネード)。
「ならば、そこにあるのは感情というものでありましょう。ウォーマシンの全てが得られるとは限らぬもの。それゆえに」
「――……」
物言わぬ『機械樹イグドラシル』。
あれと同じではないと『バイ・スタンダー』たち自身が証明してみせたのだ。
「プラズマリアクター、最大出力」
放たれる荷電粒子榴弾の一射が一直線に戦場の空を割るように飛ぶ。
その一撃が『機械樹イグドラシル』の巨大な幹へと叩き込まれる。
どれだけ『機械樹イグドラシル』が巨大であったのだとしても。着弾地点を中心に広域爆発する荷電粒子榴弾の一撃は、周辺の地形を破壊に巻き込む。
「――……」
「傷つけられても、感情のゆらぎすら無いただの兵器。それがあの『機械樹イグドラシル』」
何故アレを排除しなければと彼らが思ったのか。
不完全で完璧であるからこそ、彼らは『良心』に駆り立てられたのだ。
ダビングが未だ得ぬ演出でしか出来ぬ感情のゆらぎ。
ユーベルコードの煌めきの中に巨大な鋼鉄の樹が沈むのをダビングは見ながら赤と青のウォーマシンたちの戦いをさらに推し進めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
テスティナ・ヴァシリッサ
……味方とは別方面から仕掛けます。彼らの戦いは「己の星の防衛戦」ですが、部外者の私だけなら「この星上の機械樹領地への侵攻戦」と言えますよね?なのでそれらしくやらせていただきますぴる
ボトルを開封、中身の消化腐食性の液状生命、もう一体のセル|集合獣《ビースト》「パルセノ」を最前線へ解き放ち、土地ごと消化・破壊を開始
消化領域を越えてきた敵には念動衝撃波をぶつけ押し戻し、更にUCを使用、コルピオスに破壊された敵の残骸を回収…繕う必要もないですね、「捕食」させ、パルセノが消化した分も合わせ金属成分多めのセル兵士を産ませ、物量を増やしじりじりと制圧進軍し、本体へと念動衝撃波含め総攻撃をぶつけましょう
『惑星ジェミニィ』に根ざす機械の大樹。
それがオブリビオン『機械樹イグドラシル』である。
広がる樹冠は全て機械。あらゆるもの、惑星さえも機械化してテラフォーミングしようというのが『機械樹イグドラシル』の兵器としての構想だ。
侵略行為を是として、それから惑星を守ろうとする行いを非とする。
ユーベルコードは、侵略という点において『機械樹イグドラシル』の力の発露であり、一度根ざしてしまえば、惑星全土を機械化するまで止まらぬ苛烈さを発露していた。
「――……」
『機械樹イグドラシル』は物言わぬ大樹。
言葉を発する理由すらない。
ただ、兵器として惑星を機械化する。だだそれだけなのだ。
戦場に在った骸の如きウォーマシンの躯体を操り、尖兵とする。
火砲の煌めき。
プラズマの迸り。
あらゆるものが戦場に火球を生み出し、その度に戦いが加速していくのを感じさせる。
「この戦いにおいて私は部外者。なら、『この星上の機械樹領地への侵攻戦』となる……なので、それらしくやらせて頂きますぴる」
テスティナ・ヴァシリッサ(ゼルガリアスの姫巫女・f38690)は手にしたボトルの栓を抜く。
そのボトルに収められていたのは故郷の水。即ち、ゼルガリアス星の水である。
しかし、それは正しくはない。
群体生命『ゼルガリアス・セル』の消化器官。別名『生きている海』。
消化腐食する液状生命『パルセノ』。
幾つかの名で呼ばれるそれを解き放ったテスティナは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
戦場における簡易増殖行動(仮)(セル・イェニスィ)を取る『パルセノ』が戦場となった『惑星ジェミニィ』を覆う機械化した大地を溶かしていく。
いや、消化しているというのが正しいだろう。
「少々頂きましょう。これはあなたの領地に対する侵略行為。『コルピオス』、簡易なセルで構いません」
テスティナのユーベルコードに寄って『コルピオス号』から複数の雑兵セル個体が現れ出す。
それは戦場にある骸のウォーマシンたちをジリジリと押し上げていく。
結局これは陣取り合戦のようなものだ。
赤と青のウォーマシン『バイ・スタンダー』たちが受け持つ『機械樹イグドラシル』が放つ骸のウォーマシンたち。
それさえも、テスティナは『捕食』する。
回収するのではなく、はっきりと『捕食』であると言える。
「大樹故に動けない。故に軍勢を手繰るのでしょう。なら、軍勢を引き離したのなら『機械樹イグドラシル』は無用の長物」
テスティナが操る雑兵セル個体が戦場を切り開き、テスティナの道を切り開く。
もう彼女の念動力を邪魔するものはない。
「これが私の侵略行為。言ったでしょう、それらしくやらせていただきますぴるって」
彼女の言葉は何も間違っていない。
『機械樹イグドラシル』がそうしたように、彼女もそうしただけなのだ。
惑星を機械化するというテラフォーミング兵器が『機械樹イグドラシル』であるというのならば、テスティナは『捕食』していく群体。
あらゆるものを捕食して頂いていく。
ならばこそ、彼女の掲げた念動力は膨れ上がる。それは波のように、栄える『機械樹イグドラシル』へと向けられている。
膨れ上がったそれは、テスティナの掲げた手より放たれ念動衝撃波となさしめる。
強烈な衝撃が戦場を打ち鳴らすように迸り、『機械樹イグドラシル』の大樹の如き体躯を打ち据え、その樹冠に茂るような鋼鉄を散らせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
『良心』を持つ『バイ・スタンダー』。
わたしたちと同じ『イレギュラー』ってことだけど、
だからこそ気づけることもあるんだよね。
今回もオブリビオンの異常さに気づいたしね!
これからこの世界がどう変わるのかは解らないけど、
オブリビオンのいない世界にしないとだから、全力でお手伝いさせもらうよー!
このシチュエーション。
今回は忍んでないクノイチとして有名なサージェさんの見せ場だよね。
わたしは【フィリングウェーブ】で、レーザーとシールドのエネルギーを奪ちゃおう。
サージェさんの派手な攻撃を、『希』ちゃんとわたしで応援だ!
帰ってきたら、艦内で労っちゃうから、ねー!
……だからお願い、空調戻して……。
サージェ・ライト
【理緒さんと】
いやー無事に接触できてよかったです
レジスタンス、あるいはイレギュラー
バイ・スタンダーのヒトたちにとって何が最良なのかは悩みますが
|滅びしかない未来《オブリビオン》を放っておく訳にはいきませんからね
よーし、やっとクノイチのでば……忍んでますから!!
どこからどう見ても忍んでますから!その証拠にツッコミきてませんし!
というわけでクノイチっぽく戦いましょう
ユーベルコードは厄介ですがイグドラシル自体はその場から動けないみたいですね!
ならばここはヒット&アウェイ
【電光石火】で一撃ずつ確実にダメージを入れてく感じで!
理緒さんと希ちゃんの応援キタ!
これで私は勝利確定演出ですね!!
「いやー無事に接触できて良かったです」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は赤と青のウォーマシンのレジスンタンス『バイ・スタンダー』たちとの接触に胸をなでおろしていた。
彼らはレジスタンス。
オブリビオン『機械樹イグドラシル』による『惑星ジェミニィ』の機械化テラフォーミングに抗う者たちだ。
完全な悪性と完全な善性を持つウォーマシンに分かたれた彼らが、ゆらぎとも言うべき『良心』を獲得し得たのは恐らく『イレギュラー』であるのだろうと菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)と理解していた。
世界に対するイレギュラー。
それは過去の化身であるオブリビオンも、生命の埒外である己たちも同様であったことだろう。
だからこそ、『バイ・スタンダー』たちが『機械樹イグドラシル』の異常さに気がつくことができたのは皮肉であったのかもしれない。
「『バイ・スタンダー』のヒトたちにとって何が最良なのか悩みますが、|滅びしかない未来《オブリビオン》をほうっておくわけにはいきませんからね」
サージェの言葉に理緒も同意する。
戦いは、いつだって変化を生み出す。良きにつけ悪きにつけ。変わっていくということだ。
「これからこの世界がどう変わるのかは解らないけど、オブリビオンのいない世界にしないとだから、全力でお手伝いさせてもらうよー!」
理緒の座す『ネルトリンゲン』からサージェは飛び出す。
すでに多くの猟兵たちの火砲支援が『機械樹イグドラシル』のユーベルコードや、骸のウォーマシンを手繰ることによって得られた軍勢を抑え込むことに成功している。
『バイ・スタンダー』たちも未だ健在だ。
ならばこそ、サージェは飛び出す。
「このシチュエーション。今回は忍んでないクノイチとして有名なサージェさんの見せ場だよね」
「いえ、忍んでますから!! 何処からどう見ても忍んでますから!」
いや、無理がある。
理緒は思ったし、クノイチってそういうものだっけ、と大抵の者は思う。
だが、周囲からツッコミがないのをサージェは、自分が何処からどう見ても忍んでいるという自負にしていた。
『バイ・スタンダー』たちも特に何も言わないし。それはただなんて言っていいかわからないだけだし、そもクノイチの概念を彼らが理解しているとは思えなかった。
「ほら、誰もツッコまないでしょ!」
「いや、それは……ま、いっか。『希』ちゃん、『機械樹イグドラシル』にマイクロウェーブ照射開始!」
理緒の瞳がユーベルコードに輝き、『ネルトリンゲン』の艦首が割れ、砲口の如きフィリングウェーブ照射器が顔をのぞかせる。
放たれるマイクロウェーブの波動が『機械樹イグドラシル』の張り巡らせた物質崩壊シールドのエネルギーを奪い、原子破壊レーザーの一撃を霧散させるのだ。
「サージェさん、今だ、よー! 帰ってきたら艦内でいたわっちゃうから、ねー!」
その言葉にサージェは頷く。
マイクロウェーブの照射以上にサージェに効く理緒と『希』の応援。
みなぎってくる力の源は身体の内側から湧き上がるようであった。
「これで私は勝利確定演出ですね!!」
パチンコみたいなことを言い出す。
だが、サージェの漲るやる気を顕すように、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
それは刹那の如き輝き。
されど、如何なるものよりも強烈に輝く光だった。
「動くこと雷霆の如し!」
放つ一撃は、電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)。
振るう斬撃は、雷光のように『機械樹イグドラシル』の巨体を走り抜け、その樹皮の如き鋼鉄を滑らかに斬り裂いていく。
数瞬の間に叩き込まれた斬撃は数知れず。
されど、確実に『機械樹イグドラシル』の巨体を削ぎ落としたサージェは、巨体を駆け上がって雷光のままに『ネルトリンゲン』の甲板上へと降り立つ。
「やったぁー! これで勝利は目前、だねー!」
理緒がサージェの活躍に笑顔を作る。
けれど、その笑顔はすぐに崩れる。だって、まだ空調戻っていないから。
まだ?! と理緒は思った。
もう戦いの趨勢は傾いている。なのに、まーだ『希』の機嫌がなおっていないのだ。
「……『希』ちゃん、そろそろ本当にお願い……空調戻して……」
理緒にとっては、まさに今こそが峠にして分水嶺。『ネルトリンゲン』の空調の明日はどっちだ――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
危なかったです。
もう少しで異世界転生してスローライフするところでした。
ステラさんどうしました?
え? この方たちからほんのり匂いするんですか?
うーん……わたし、やばくないので解りません!
それはそれとして、
なんだかあの樹、切り倒さないといけない感じになってますね。
樹っていうか、スクラップの山みたいな気もしますけど……。
でも、あの方たちのお話がほんとうだと、
あれって世界を歪めてる感じのものってことですよね。
なるほど、平和のための戦いですか。なんとなく解ります。
それじゃ【世界調律】で、この世界を在るべき姿に戻しますよー!
音叉で切れるのかって?
なにいってるんですか、もちろんへし折るんですよ!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
危なかった……二度と|エイル様《主人様》への愛を叫べなくなるところでした
誰がやべーメイドですか
エイル様の香りがするのは自然現象で特異点とかじゃありませんから
いえ、エイル様は特異点足り得る方ではあると思いますが
私はごくごく普通のメイドですので
ともあれ、あの機械のイグドラシルを切り倒さないと
機械樹が無くなっても争いは無くならないのでしょうけども
平和に至るには戦いがある……まるでエイル様の言葉のよう
香りがするのはこういうところだからかもしれませんね
それではルクス様がへし折り易いように枝をはらうとしましょう
【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】
とりあえず最大出力お見舞いしましょうか!
『危なかった』
それが、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)を襲ったフローター二人乗り事故から異世界転生しそうになる事件の顛末への感想であった。
いや、単に自業自得なんじゃないかなって思わないでもない。
二人乗りして、楽器演奏して。
それで|不運《ハードラック》と|踊っ《ダンス》ちまったことにならんわけがないのである。二人乗り、ダメ、絶対。
運転している時は運転に集中しましょう。
そんな教訓を得た二人は胸をなでおろす。
「もう少しで異世界転生してスローライフするところでした」
案外それも悪くないのではないだろうか。ユーベルコードというチートを使って悠々自適に過ごすっていうのも。
「……二度と|『エイル』様《主人様》への愛を叫べなくなるところでした」
ブレないヤバさである。
しかし、ステラは訝しむ。
その表情はもう少しでなにか掴めそうでつかめないとといった、なんとも不明瞭なそれであった。
「『バイ・スタンダー』……ほのかに香るような」
「え? そうなんですか? うーん……わたし、やばくないので解りません!」
「誰がヤベーメイドですか」
香りとは自然現象である。特異点だとかそんなものではないのだ。
ただの愛である。愛。愛って言っておけばなんとでもなる、という風潮がないわけではないのだが、ステラは自身のことをごくごく普通のメイドであると主張する。
ふつーって言うやつが一番やべーってことは既知である。
「ともあれ、あの機械のイグドラシルを切り倒さないと」
「そうですね。樹っていうか、スクラップの山みたいな気もしますけど……」
彼女たちの眼前にそびえ立つのはオブリビオン『機械樹イグドラシル』。
その威容は惑星を機械化テラフォーミングする兵器としての力を遺憾なく発揮した結果であることを知らしめる。
骸のウォーマシンの軍勢が次から次に湧き出している。
猟兵たちの火砲と『バイ・スタンダー』たちの攻勢があるからこそ、今はまだ機械化テラフォーミングの進行を遅らせることができている。
けれど、それも時間の問題だ。
「例え、機械樹がなくなっても争いはなくなることはないのでしょうけども」
しかし、戦いがあるからこそ平和がある。
平和を求めるのならば戦わなければならない。
だからこそ『バイ・スタンダー』たちは戦いに赴くのだろう。『良心』というゆらぎを得て、それでなお立ち向かう姿にステラは『エイル』の姿を重ねたのかもしれない。
「あれが世界を歪めているってことなら。これが平和の為の戦いってことですよね」
なんとなく、とルクスは頷く。
ならば、と彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
手にした音叉剣が光を湛える。この惑星に満ちているのは歪みだ。世界を滅ぼす歪み。音が歪むのと同じように世界もまた歪むのならば。
世界調律(セカイチョウリツ)は勇者としての責務であったことだろう。
「この世界をあるべき姿に戻しますよー!」
振り上げた音叉剣の光が惑星の直上へと伸びる。それは、『機械樹イグドラシル』の巨躯よりも膨大な光でもって伸びていく。
「天使核、コネクト」
それにあわせるようにステラの心臓が煌めく。
天使核である心臓より放出されるエネルギーが迸る雷光の剣となって創造される。それを振るい上げ、ステラは『機械樹イグドラシル』の枝葉を切り払う。
「この一撃、軽く見ないことです。『エイル』様に至る道があるというのならば」
それを切り開くのが己の成すべきことだと雷光の迸りが『機械樹イグドラシル』の枝葉を切り裂き、己の背後に光湛える音叉剣の一撃を振るうルクスを導く。
「斬る、ではなくて、へし折る! いつだってできないことはないってわたし、知ってますから!」
ルクスの振るう音叉剣の一撃が『機械樹イグドラシル』の幹をへし折るように振るわれる。
軋む巨体。
その膨大な雷と光は、次なる未来に正しく繋がるようにと世界を破滅に導く『機械樹イグドラシル』を薙ぎ払うのであった――。
大成功
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ヴァルターン・ギャンビット
残骸を再生し、無数の軍勢を生み出すのがアレの能力って訳か。
…フォッフォッフォッ、なんとも俺様に都合がいい能力じゃねえか。
レジスタンス諸君、アンタらの同胞たちの骸相手に時間を稼ぐって案は待ってもらおうか。
あの侵略用機械兵器軍団は俺様が相手するぜ。…資源は有効活用しなくっちゃなあッ!
【洗脳光線】ッ!!
敵軍団を手当たり次第に洗脳しまくって機械樹イグドラシルに原子破壊レーザー光線をぶち込ませまくるぜッ!
敵軍勢が増えれば増える程俺達が有利になるってなッ!
レジスタンス共。ボサッとすんな。テメエらも煮湯を飲まされてきたんだろ?
敵軍勢にぶつける予定だった攻撃、あの鉄屑巨木にぶちこんでやんなッ!
【アドリブ歓迎】
ビームの光条が宙を奔り、火砲が瞬く。
プラズマの輝きが満ちた戦場に残るのは破壊ばかりであった。
戦争というものがあるのならば、それがもたらすのは技術の革新であったのかもしれない。けれど、それはただの側面でしかない。
結局のところ、破壊ばかりが生み出されていく。
側面を見て、真実だと思うことは愚かしいことであることは言うまでもない。
故に『機械樹イグドラシル』より生み出され続ける骸のウォーマシンの軍勢を前にヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は、それが自身にとって都合の良い能力であると確信する。
「……フォッフォッフォッ、なんとも俺様に都合がいい能力じゃねえか」
ヴァルターンは戦場を飛ぶ。
骸のウォーマシンの軍勢とレジスタンスである『バイ・スタンダー』たちの激突を見てヴァルターンは告げる。
「レジスタンス諸君、アンタらの同胞たちの骸相手に時間を稼ぐ案は待ってもらおうか」
「どういうことだ」
彼らの疑問は尤もであった。
『バイ・スタンダー』たちが大軍勢を押し留めている間に猟兵たちが『機械樹イグドラシル』を破壊する。
そういうプランであったはずだ。
事実、猟兵たちの一撃が『機械樹イグドラシル』をへし折る寸前まで来ているのだ。
この状況で骸のウォーマシンの軍勢への対処を止めろ、というのは彼らにとっては理解できないことであった。
「まあ、見ていなって!」
ヴァルターンの瞳がユーベルコードに輝く。
腕部のハサミを打ち鳴らし、そのユーベルコードが発露する。それは洗脳光線(マインドコントロールビーム)。
彼のユーベルコードは光線が当たった者を意のままに操る事ができる。
即ち、骸のウォーマシンに当たれば、それは即ちヴァルターンの支配下に置くことができるということだ。
「フォッフォッフォッ、俺の為にひと働きしてもらおうか。その原子破壊レーザー光線を『機械樹イグドラシル』にぶち込みまくれッ!!」
ヴァルターンの言葉と共に洗脳された骸のウォーマシンたちが、一斉に腹部からの破壊光線を解き放ち始める。
それは猟兵たちの攻勢によってへし折られようとしていた『機械樹イグドラシル』の幹をさらに破壊し、巨躯を討ち滅ぼさんとするかのようであった。
「同胞の骸を味方につけるか」
「そういうこった。レジスタンス共、ボサッとすんな。テメエらもアレに煮え湯を飲まされてきたんだろ?」
なら、やることは一つだろうが、とヴァルターンはハサミの切っ先を『機械樹イグドラシル』に向ける。
傾ぐ巨木。
それを示すのだ。あれを打倒しなければ、この状況は終わらない。
この戦いが終わっても、恐らく『惑星ジェミニィ』での戦争は終わらないだろう。また続いていくはずだ。
だが、『機械樹イグドラシル』が存在していたときのような、相討ちによってどちらもが滅びるという結末は起こり得ない。
もしかしたら、完全な悪性と完全な善性を持つでなく、ゆらぎの如き『良心』を得たレジスタンス『バイ・スタンダー』たちは、違った結果を引き出すかもしれない。
「でも、それは今じゃあねえよなッ! 行くぜ、あの鉄屑巨木にぶちこんでやんなッ!」
『バイ・スタンダー』たちの胸部砲口が開く。
ヴァルターンのハサミの切っ先から放たれる破壊光線と共に幾条にも伸びた熾火の如き輝きを放つ砲撃が『機械樹イグドラシル』を穿ち、その巨木を滅ぼしていく。
立ち枯れるようにして、へし折れるようにして、『機械樹イグドラシル』が霧散していく。
同時に骸のウォーマシンたちもまた消えていく。
皮肉にもオブリビオンの存在は、この『惑星ジェミニィ』においては転換点となったのかもしれない。
悪だけでもなく。善だけでもなく。
曖昧な二つを持ち得るからこそ、『良心』というものが生まれるのだとすれば。
『バイ・スタンダー』たちはこれから一体どちらになるのだろうか。
『傍観者』か、それとも『救命者』か。
いずれにせよ、未開の星の未来は滅びではない不確定な未来へと今、一歩を踏み出すの出す。
ヴァルターンは、その夜明けに己のハサミの腕を掲げ、勝利を宣言するのあった――。
大成功
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