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銀河帝国攻略戦㉗~インペラートル・ステッラエ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #オブリビオン・フォーミュラ #銀河皇帝

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●そは君臨する者なり
 帝国旗艦インペリウムの最深部。広大な艦橋の中央に、その男はただ一人存在していた。新古典主義を思わせる列柱に囲まれた黄金の玉座は、劇場の舞台のごとく周囲より高い位置にある。その玉座に在る者こそ、オブリビオン・フォーミュラ――銀河皇帝リスアット・スターゲイザーであった。
「もはや信に耐えうる者などおらぬ。だが、それもまた当然か。銀河帝国は、我一人から始まったもの。我こそが銀河帝国なれば、この身に勝る者などいようはずもなし」
 皇帝が玉座から立ち上がった。薄闇の中、彼が階段を降りる硬い靴音だけがあたりに響きわたる。
「我が過去の残滓なれば、決戦の焼き直したる此度の戦がこうなるのもまた必定。だが……解放軍よ。我を倒せるとは思わぬことだな。さあ、始めようではないか。この我に挑んだ不敬、汝らの死をもって償って貰うとしよう」

●銀河皇帝
「帝国旗艦インペリウムの科学技術センターを制圧したことで、『銀河皇帝』への道が開きました。オブリビオン・フォーミュラである皇帝さえ消滅させられれば、この戦争は我々の勝利です。ここが最後の正念場、というところでしょうか」
 戦況を報告するレイア・プラウテス(天秤の衛・f00057)の顔も明るい。
「ですが、皇帝はおそらくこれまでのどの敵よりも強大です」
 入ってきた情報を整理したところによると、皇帝は配下の軍勢を従えて戦うのではなく、彼個人の力によって戦うということらしい。どんな配下よりも、自身の力を信じているということだろうか。皇帝に送られた増援も、エネルギーに変換されて彼の力と同化しているようだ。
「さらに、敵は旗艦インペリウムを完全に把握しているため、皆さんを認識すると同時に転移による先制攻撃を行ってきます。対抗策を用意しなければ苦戦はまぬがれません」
 無策で挑んだ場合、先制攻撃だけで戦闘不能になる可能性すらある、ということだ。
「厳しい戦いになるのは承知の上ですが、先にも言ったとおりここが最後の踏ん張りどころです。どうか、よろしくお願いします」


二条河原
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 銀河皇帝は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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 二条河原です。
 銀河皇帝との戦いについては、以上の点をご記載の上挑んでお挑みください。
 また、今回は全プレイングの採用はできません。有効性の高いものから優先して採用して参ります。
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第1章 ボス戦 『『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザー』

POW   :    マインド・クリエイション
【銀河皇帝を不老としている生命維持機能】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【白騎士と同性能の人型兵器『マインド』】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    フォース・インベイジョン
【銀河最強のサイキックエナジー】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【意志とユーベルコードを奪う洗脳念波】で攻撃する。
WIZ   :    ワープドライブ・ペネトレーション
【外宇宙から、知られざる『黒き槍の船』】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑14
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

折紙・栞
「決戦、です…!」
私も少しお手伝いします…
小さくて役に立たなかったらごめんなさい

皇帝の奇襲にはミレナリオ・リフレクションで対抗します
「わかっている、奇襲は、奇襲と言いません…!」
来るとわかっている攻撃、
そして相手のユーベルコードが発動してから
こちらも発動させるミレナリオ・リフレクションなら
十分相殺できるはずです

ただしその後が困ります…
リフレクションは相殺しかできないので攻撃手段が…
仕方ありません、ウィザードロッドで殴ります
「殴りウィザードです…!」
当たれば嬉しい、です

☆アドリブや他の人の連携はお任せです



「決戦、です……!」
「待ちわびたぞ、解放軍。否、イェーガーと呼ぶべきか」
 艦橋に転移した折紙・栞(ホワイトブック・ガール・f03747)が、最初に耳にしたのはその言葉だった。恐らくは銀河皇帝が言ったのだろう。推定でしかないのは、栞から彼の姿を認めることができなかったからだ。彼女の視界いっぱいに広がっていたのは、漆黒に塗装された艦が全速力で己に接近するさまだった。超硬度の単分子で構成された宇宙衝角(スペース・ラム)が、栞の身を貫かんと迫る。インペリウム内部での戦闘ゆえに相応にスケールダウンしてはいるものの、それは矮小な人間たちを蹂躙するには十分すぎるほどの力を持っていた。そのはずだった。
 黒き艦がもう一隻現れた。栞を狙うものではない。むしろ、その舳先は一隻目の艦に対して向けられていた。推進器が青白い光を放ち、二隻の艦が激突した。超硬度の衝角は互いの装甲を易々と貫通し、火花を散らしながら突き進む。先端が動力炉に達したのだろうか、激しい音とともに二隻の艦はほぼ同時に爆散した。ミレナリオ・リフレクション。敵の攻撃をそっくり再現するユーベルコードが、その力を発揮したのだった。
「わかっている、奇襲は、奇襲と言いません……!」
 銀河皇帝を指さした栞がそう言った。巨艦が消えたことにより、ようやく皇帝を視界に収めることができていた。
「だが、これで攻撃はできまい」
 それもまた事実だった。ユーベルコードを防御に割いたため、栞の攻撃手段は限られていたのだ。
「なら、殴りウィザードです……!」
 ウィザードロッドを片手に栞が駆けだした。魔法なんてなくても、この手には武器がある。なら、それで殴りつければいいのだ。皇帝はそれを阻まなかった。君臨する者として、まだ幼子といってもいい少女に脅威を抱いた、などという疑念を一片でも抱かれることは自身の威厳に関わる。何より、彼自身の自尊心がそれを許さなかったのだ。
 硬いものが肉を叩く鈍い音がした。栞の振りかぶったロッドが皇帝の腿を打ち据えたのだ。彼は避けようともしなかった。
「ふむ、見た目通りとはいくまいか」
 打たれた腿と、そして栞に目をやって、そうつぶやいたのみだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アトシュ・スカーレット
【POW】
銀河皇帝!テメェのその首、貰い受ける!

【行動】

先制攻撃を魔力障壁(オーラ防御)と双剣を構えて防御(武器受け)する
未来予知の能力は無さそうだが、最大限の警戒は怠らないぜ
瀕死になる必要はあるが、致命傷だけは勘を頼りにすることになるが(第六感)避けてみせる…!!

攻撃を受けきれば、【戦場の亡霊】を発動
槍を使った【捨て身の一撃】をお見舞いしてこい!

そちらに意識を向けている隙にHimmelで逃げるぜ
素早く【目立たない】ように【逃げ足】早めで後退だ!

共闘、連携、アドリブ大歓迎



 広大な艦橋の中に、アトシュ・スカーレット(銀目の放浪者・f00811)の声が響きわたった。
「銀河皇帝! テメェのその首、貰い受ける!」
「威勢の良さは評価しよう。しかし有象無象に呉れてやれるほど、この首安くはないのでな。――マインド!」
 皇帝が叫ぶと同時に、後光のように背負う金色の機械の一部が分離した。それは見る間に黄金の騎士へと形を変える。レーザー銃と光剣を持ったその姿は、色こそ違えど白騎士ディアブロによく似ていた。騎士――マインドが、レーザー銃の引き金に手を掛けた。目も眩むような金色の奔流が、アトシュを殺すべく放たれた。
 彼は、それを避けようとはしなかった。刀と剣――村雨とJoyeuseを交差するように構えると、その交点から不可視の防壁が展開された。あの光を正面から受けようというのか。果たして、それは叶わなかった。レーザー光線が防壁を破壊し、彼の身体に突き刺さった。多少威力が減じていたとはいえ、胸を穿った大穴は致命傷に近い。
 あっさりと――少なくとも皇帝からはそのように見えただろう――瀕死となった彼に向けて、皇帝が失望したように声をかけた。
「言葉ほどにもない。威勢だけであったか」
「いいや……これから、だぜ」
「強がるな。その身体では最早戦えまい。潔く死ぬがいい」
 黄金の騎士が光剣を抜いた。致死の光が、アトシュに止めを刺すべく振りおろされる。だが、それが彼に届くことはなかった。彼の眼前に立ちはだかった影が、手にした槍でそれを受け止めたのだ。若人とも老人とも、男とも女とも定かではない灰色のそれは、かつて散っていった誰かの名残。アトシュが召喚した戦場の亡霊であった。皇帝は知る由もないが、この状況に持ち込むために「倒れない程度に」レーザーを受けたのだ。口内に溢れた血を吐き出した彼が亡霊に声を掛けた。
「行きな、亡霊!」
「ほう。己の窮地を呼び水にしたか」
 面白そうな表情を浮かべた皇帝に向かって、亡霊槍兵が躍り掛かった。マインドが、そうはさせじと皇帝との間に割り込む。再び槍と光剣が打ち合わされ、激しい火花が散った。先ほどの一合を、攻守を入れ替えての再現だ。では、やはり亡霊の槍は皇帝には届かなかったのか?
「イェーガーめ、存外に思い切りがいい」
 皇帝が右手で頬を拭うような仕草をした。その手を見れば、そこには赤いものが付着しているではないか。そう、亡霊の放った捨て身の一閃は、皇帝に傷を与えていたのだ。掠り傷しか与えられなかったのは技量の差というよりも運によるものが大きい。もう少し幸運でさえあれば、確かな傷を追わせることもできただろう。
 追撃はできなかった。無理矢理に攻撃を通す代償として大きく姿勢を崩していた亡霊は、マインドの一閃に対処できなかったからだ。袈裟に斬られた灰色の影が、靄となって霧散した。
「でも、それだけの時間があれば十分だったんだよね」
 もはや、インペリウムにアトシュの姿はなかった。残った力で愛車Himmelを駆り、的の懐から脱出していたのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
船の全てを掌握している上、見えないであろう洗脳念波で、長距離から攻撃してくる、と。

となれば視力も忍び足も無駄になりそうです、全神経を第六感に集中し、なんとしても不意打ちの初撃は察知、転がってでも避けます。

初撃さえ避ければ意思のない、洗脳念波の効かない【冬の尖兵】を召喚、26体で銀河皇帝が私を見えないように突撃させ、私がマスケットで撃つ時のみ、射線を開けさせます。

そのまま銀河皇帝にたどり着ければよし、ですが洗脳の効かない複数の兵士にそれを操る銃士……私が銀河皇帝ならば、兵士が離れた隙に、私の方を落とします。

それを読んでのデリンジャー抜き撃ちが本命、あなたも元は人間、撃たれれば痛いでしょう。



「娘、汝には見覚えがある。懲りずにまた来たというか」
 青白い瞳がセルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)を見据えた。洗脳念波の前兆である。対象を視認するだけでその効果を発揮する恐るべきユーベルコードではあるが、セルマには勝算がないわけではなかった。
 皇帝が瞳に力をこめ、サイキックエナジーを解放する。意思を破壊する力の奔流がセルマの身を粉々にした。
「それは、もう通りません」
 砕けたのはセルマではなかった。洗脳念波が放たれる直前、自身のすぐ傍にあった大理石の乙女像を盾にしていたのだ。ここではない黄金の広間で皇帝と戦った経験が、六感じみて攻撃の発射タイミングを感知し、そして寸前での回避を可能としていた。
「ここからは剣の冬、ということで。行きなさい、兵士たち」
「氷の弾丸の次は氷の兵か。次は氷菓でも振舞って貰いたいものだな」
 セルマの周囲に現れた、氷でできた兵士たちが隊列を組んで敵に向かって進軍する。余裕の顔で兵士にサイキックエナジーを浴びせかけた皇帝だったが、たちまちその表情が陰った。洗脳に対してまるで手ごたえを感じないのだ。それは、あたかも空気を握りしめているかのよう。
「小癪な、意思持たぬ兵というわけか」
 ならば、セルマを狙えばいいと視線をさまよわせるものの、特徴的な銀髪を見つけることができない。比較的小柄な彼女ならば、長大なマスケットさえ持たないなら冬の尖兵たちの陰に隠れるのも容易だった。
「致し方なし」
 マインドのレーザー銃が、玉ねぎの皮をはぐように尖兵たちの氷の身体を一体ずつ溶かしつくしていく。小隊に匹敵する人数を召喚したとはいえ、このままではいずれ全ての尖兵が倒されてしまうだろう。その前に、とセルマが動いた。兵士たちが組んだ陣形の中央に、一直線に射線が開く。彼女はその最奥に立っていた。
「――ほう。諦めたか」
 好機とばかりに、皇帝が再び洗脳念波を放った。不可視の波が空気を歪め、セルマに向かって迫る。しかし――。
 セルマの黒いスカートが翻り、ぱん、という軽い音が手元で響いた。彼女の掌中にあったのは小さな黒い拳銃、デリンジャー。スカートの中に隠していたそれを素早く抜いて、皇帝に向けて撃ったのだ。彼女の目前で、サイキックエナジーが霧散した。
「あなたも元は人間、撃たれれば痛いでしょう」
「……さて、どうかな?」
 セルマの言葉にそう嘯いた皇帝であったが、その顔には僅かな苦々しさが含まれていた。

成功 🔵​🔵​🔴​


●覇者の威をこそ
「成程。イェーガー、汝らは我と相対するに足る存在であると示した。ならば、我もまた応えねばなるまい」
 それまで漂わせていた、どこか気怠げさすら感じる雰囲気が吹き飛び、代わりに張りつめた覇気があたりを支配した。周囲に展開していた黒の艦は姿を消し、背負った生命維持装置は残る全てがマインドに変化した。鷹揚たる王者の姿から、苛烈なる戦士の姿へと変貌を遂げた皇帝が、猟兵たちに宣言する。
「来るがいい、イェーガー。我が力の限りをもって、汝らを叩きのめしてくれよう!」
ルクレイフェ・アニェージ
【白亜の光芒】で参加。
ねぇサリエス?過去の偉人って言うのは
自分の世界の未来を祝福出来ないのかしらね?
過去からの干渉等必要無い。
二度と復活出来ない様に徹底的に倒しましょうか。

敵の攻撃は察知し辛い、
私の運動性能では限界があるけど
少しでも直撃を避けられるよう、
【オーラ防御】で身を守りつつ
移動を重ねて照準をずらし、攻撃の回避を試みるわ。
多少のダメージは【激痛耐性】耐えきる。

それと同時に【高速詠唱】でトーラスルーチェを発動させ、
リング状の炎を自身の周囲に不規則に高速旋回させ、見えない敵の攻撃を迎撃。
炎と敵の攻撃の接触があった方向に対し
【属性攻撃】【全力魔法】を込めて
全弾を纏めてプレゼントしてあげるわ。


煌天宮・サリエス
【白亜の光芒】で参加
満ち足りぬ死者は怨嗟の声を欲望を残して逝くのです。偉人であればあるほど未練が大きくなり……その果てに未来を憎むナニカになるのでしょう。ルクレイフェさん……今を守るため私も頑張りますよ。
怨呪闇縛を使用し自分の周りを闇の鎖で囲い鎖の領域を作り上げます。船が見えなくても鎖にさえ触れれば捕縛できるというわけだ
船が鎖にぶつかったら船を鎖で縛り上げ無力化を図る。
砲撃が来た時は闇の鎖と【見切り】【盾受け】【武器受け】といった防御系の技能と武具で受けます。
反撃は船の無力化後、鎖の領域を解放し闇の鎖を皇帝に飛ばし捕縛することでユーベルコードを封じイーラの劫火(フランベルジュ)で叩き切る。



 黒き艦より数多の誘導弾が放たれた。母艦の視認は困難とはいえ搭載兵器についてはそうでもない。白い尾を引いて進むそれらはよく見えた。しかし、見えたからといって回避が可能かと問われればそれもまた別の話。あらゆる方向からの飽和攻撃であることも、対処をより困難にしていた。
「防ぐにしても、さすがに限界があるわね」
 迫り来る破壊の雨を見上げたルクレイフェ・アニェージ(キメラレイド・f01367)が呟いた。いかに優秀であるといっても魔導師は魔導師。十人並みの運動能力では誘導弾を振り切れるわけもなく、防御魔法を張ったところで一人で全てを耐えるのは難しいだろう。
「……救済式起動……」
 彼女の隣で闇色の鎖が広がった。まるで意志を持っているかのようにうねるそれが、次々と弾頭を撃ち落としていく。そう、ルクレイフェは一人ではなかった。魔術執行機関『白亜の光芒』に所属する仲間、煌天宮・サリエス(聖呪天司・f00836)が展開した救済式:怨呪闇縛による的確な援護だった。鎖だけでは全てを撃ち落とすことはできなかったが、残弾は二人で十分に対処できる範囲だ。ルクレイフェは防御魔法で、サリエスは(武器受けに使った武器)と時計盤の盾でそれぞれ誘導弾を受け止めた。爆発音とともに紅の華が咲いたが、それが二人に傷を与えることはない。せいぜい、爆風が衣服をはためかせる程度に済んでいる。そんな中、スカートの裾を抑えたルクレイフェがサリエスに向かって問いかけた。
「ねぇサリエス? 過去の偉人って言うのは自分の世界の未来を祝福出来ないのかしらね?」
「満ち足りぬ死者は怨嗟の声を、欲望を残して逝くのです。偉人であればあるほど未練が大きくなり……その果てに未来を憎むナニカになるのでしょう」
「過去からの干渉等必要無い。二度と復活出来ない様に徹底的に倒しましょうか」
「ルクレイフェさん……今を守るため私も頑張りますよ」
 その会話を合図として、二人の反撃が始まった。サリエスの闇鎖が四方に伸びる。先ほど放たれた誘導弾の発射位置は彼の頭の中に入っていた。仮に動いていたとしても、大きく移動はしていないはずだ。果たして、その予測は当たっていた。鎖が硬いものにぶつかる手応えを感じる。巻き上げれば、それは黒き艦の形をしていた。大当たりだ。敵艦は抵抗するような機動を見せてはいるものの、その動きは明らかに弱々しい。ユーベルコードを封じる効果を持つこの鎖は、その産物である黒き艦にとって天敵のようなものであるらしかった。
「さぁ……この炎の試練、見事掻い潜りなさい」
 そこに、ルクレイフェの炎弾が殺到した。燃えさかるリングが次々に命中し、黒き艦の装甲をこじ開ける。二十を数える炎が全て着弾した時には、艦はその機能を停止していた。艦体が、黒い粉となって砕け散っていく。
「これでどうかしら。ご自慢の艦隊は無力化したわよ」
「ならば、新たに喚ぶまで」
「そうはさせません」
 指を鳴らして増援の艦隊を召喚しようとした皇帝だったが、それは叶わなかった。死角から忍び寄っていたサリエスの闇鎖に右腕を絡め取られ、ユーベルコードを封じられたからだ。鎖を巻き上げながらサリエスが疾る。その手には、刀身波打つ『イーラの劫火』が握られていた。
「謀ったな、イェーガー」
 皇帝の顔が忌々しげに歪んだ。ユーベルコードを封じられては短距離転移での回避もできない。後方に跳躍しながら、右腕の鎖を力任せに引きちぎった。猟兵たちが現れてから一歩たりとも動かなかった皇帝が、明確に防御を示した瞬間だった。
 皇帝が後方に逃れたことで、『イーラの劫火』は届かない。しかし、サリエスの表情には余裕すらあった。
「良かったのですか、そんな所に逃げて」
「なんだ……と!?」
 はっきりと、皇帝の顔色が変わった。彼の眼前に現れたのは巨大な炎のリング。ルクレイフェのトーラスルーチェであった。
「寂しいあなたにプレゼントよ、皇帝陛下」
 彼女の皮肉げな声とともに、トーラスルーチェが皇帝の身体を呑み込んだ。不意を打たれた皇帝に、それを避けることはできなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セゲル・スヴェアボルグ
マインドだか何だか知らんが、そいつを利用してみるとしよう。
白騎士と同性能ということだが、未来予知も可能ということか?
まぁ、いずれにしても接近してみないことには始まらんな。
まずは盾受けをしつつ距離を詰める。一応、武器改造と防具改造を用いて鏡面加工でも施しておけば、レーザーでも微々たる時間は稼げるだろう。壊れる前に盾を再具現化して適宜持ち帰ればいいしな。
接近してしまえば後は血を拳ごと叩きこんでやればいい。
承従タル対者の効果でマインドをこちらの手駒とすれば、敵の戦力をかなり削げるだろう。あとはマインドに攻撃させつつ愚直に叩くのみ。寄る年波には逆らえんことを身をもって知るといい。



 炎の中より姿を現した皇帝の姿は、それまでとは一変していた。豪奢な衣装はそのほうぼうを焦げ付かせ、金の髪はいまだに燻り煙を上げている。それでもいまだ、鷹揚たる態度を捨ててはいなかった。それは、皇帝としての矜持なのだろうか。
「ふん、我もまだ甘かったと言わざるを得ぬか」
「甘い予想をしたまま死んでくれれば大助かりだったんだがな」
 皇帝の言葉に応えたのはセゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)であった。彼は全身をすっぽり覆うほど大きな重盾【スィタデル】を正面に構えると、皇帝に向けて足を踏み出した。黄金の騎士がセゲルの動きを封じるべくレーザー銃を放ったが、それが彼を傷付けることはなかった。スィタデルに向かう光の線は、その表面で乱反射して散っていたのである。
「鏡面加工か。小賢しい真似を」
「だが有効だ。そうだろう?」
「認めよう。しかし、いつまで保つものかな?」
 マインドがレーザー光線の出力を上げた。明度を上げたレーザー光が、盾の表面を溶解していく。超高熱に金属が沸騰し、まるで水のように泡立った。崩壊が近いのだ。
「狙いは悪くなかったが、それも終わりだ」
「いいや。残念だが、これは具現化したレプリカでな」
 ふいに、半壊した大盾が消滅した。破壊されたのではない。最初から存在しなかったかのように掻き消えたのだ。そして次の瞬間には、傷一つないスィタデルが再び出現していた。
「つまり、こういう事もできる」
 しかし、セゲルとて無傷とは言えなかった。盾が消えた一瞬、レーザーが彼まで達していたからだ。濤鎧【スィーケルフェスニング】の隙間をぬって身体を抉った光が、彼の鎧に赤色の彩を加えた。
「お前さんの黄金の騎士、マインドだか何だか知らんが」
 だが、それを代償に彼は敵の元までたどり着いていた。もはや銃の射程ではないとレーザーの照射を停止して光剣を構えようとしていた騎士に向け、鮮血滴る右手を振り抜いた。炯々たる金の視線がマインドを射抜くと同時に、それはまるで鎖で絡めとられたかのように硬直した。
「こいつを利用させてもらうとしよう」
「我が得物を奪うか」
 マインドが、セゲルではなく皇帝に向かって躍りかかった。その動きが空中で突然停止する。耳障りな金属音を立て、マインドが地面に落下した。皇帝が、薄く笑みを浮かべて言った。
「無駄だ。我が停止コードを仕込み損ねるような愚を犯すとでも?」
「それはそれで構わん。いずれにせよ、お前さんは今フリーだ。寄る年波には逆らえんことを、身をもって知るといい」
 それは、いつの間にか肉薄していたセゲルの声だった。右手に具現化していた錨斧【イースヴィーグ】を皇帝の身体に叩きつけた。それを受け止めた皇帝の左腕が、嫌な音を立ててあらぬ方向へと折れ曲がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラスベルト・ロスローリエン
幕引きの時だ、星界のインペラトール。
孤独の帝冠を抱いたまま、虚空の玉座に眠ると良い。

◇WIZ 自由描写歓迎◇
“ケレブルイン”の蒼き護り【オーラ防御】を纏い来襲を警戒する。
“カラドベリア”の【破魔】の光で黒き船の正体を看破出来ないだろうか。
船の攻撃を紙一重の【見切り】で避けたならばフォースの【念動波】を叩き込む。

黒き船を退けた後は“翠緑の追想”“エレンナウア”を両手に携え《万色の箭》を詠唱。
『帝衣こそ至上の死装束と古人は言った。ならば堂々と過去の海へ凱旋し給え』
【高速詠唱】【全力魔法】【属性攻撃】出し惜しみは一切無しだ。
疾風 岩塊 氷柱 烈火――百超える四大の矢を杖と剣で操り皇帝の命数を穿とう。



「幕引きの時だ、星界のインペラトール。孤独の帝冠を抱いたまま、虚空の玉座に眠ると良い」
「その表現、嫌いではない。もっとも、虚空の玉座に眠るのはカタストロフの後、世界がただ我のみになった後の話だろうが」
 ラスベルト・ロスローリエン(灰の魔法使い・f02822)に応じた皇帝が、すっと右手を挙げた。ほぼ同時にラスベルトが感じたのは強い衝撃。その方向を見ると、ケレブルインによる蒼き護りに錐で穴を開けるかのように、黒き艦の先端、単分子の衝角が突き刺さっていたのだ。
「邪悪を浄化、という訳にもいかないか」
 護りを穿つ艦に向けて白き指輪をかざしたものの、はかばかしい反応は見られなかった。破魔の力が及ばないということは、敵が見えづらいのは純粋な光学欺瞞によるものらしい。残念ではあったが、それが分かっただけでも収穫だった。
 硬いものを砕くような音を立て、黒き艦がケルブレインによる守護を貫いた。そのままラスベルトをも串刺しにしようとする。身をひねって回避を試みるも、完全には成功しなかった。脇腹に灼熱の痛みを覚える。手をやれば、そこから赤いものがだくだくと流れ出していた。艦はそのまま離脱しようとしていたが、そこまで許すほど彼も甘くはない。無防備なエンジンユニットを晒す敵艦に向けて念動波を放つと、そのまま撃沈した。
 追撃がないのを確認した上で、ラスベルトは古木の杖と長剣を構えた。
「この手に構えるは森羅の大弓。番えたるは万象織り成す四大の矢。言の葉の弦をいざ引き絞り、常闇穿つ黎明の嚆矢とせん」
 常人には聞き取ることも困難な高速詠唱。右に疾風、左に氷柱。前に岩塊、後に烈火。四大の属性を象る矢がそれぞれ三十有余。合わせて百を優に超える魔法の矢が彼の周囲に出現した。その鏃のそれぞれは、全てが皇帝に対して向けられていた。
「帝衣こそ至上の死装束と古人は言った。ならば堂々と過去の海へ凱旋し給え」
「断る」
 皇帝が短く答えた。予想通りの返答であった。ラスベルトが翠緑の追想とエレンナウアを振るうのと同時に、主の命令を待っていた獰猛な矢の群れが、敵を針鼠にせんと一気に放たれた。
 ラスベルトと皇帝の中間まで矢群が進んだ時、空中に波紋が生じた。同時に、小さな爆発と共に何本もの矢が失われる。いったい何が起こったというのか。
 気が付けば、そこには何隻もの黒艦が盾のように射線を塞いでいた。視認困難な特性を利用し、隠密裏に移動させていたらしかった。正面の隙間から奥に侵入した矢も、千鳥に配置された艦列により次段で受け止められていた。何隻もの艦が撃沈していく。しかし、墜としても墜としても艦は次々と現れる。矢はみるみるうちに数を減らしていった。それでも、ラスベルトはやり切った。皇帝を守る艦を全て排除し、四大の矢を玉体に突き立てたのだ。その数、十本弱。人ならば必死の傷だが、皇帝にとってはそうではない。身体に突き立つ矢を抜き取った皇帝が、それを床に放り捨てて言った。
「異界の賢者よ、汝であれば知っているとは思うが。己が妻にそう諭された皇帝は、動乱を制し世に名を轟かす大帝となったのだろう。ユスティニアヌスに出来たことが、このリスアット・スターゲイザーに出来ぬはずがない。ゆえに。我が凱旋の門は過去ではなく未来にこそあるのだ」
 皇帝を守る艦は既に尽きていたが、ラスベルトの魔法も打ち止めである。あと一歩、一手が足りなかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

暁・碧
グループ【碧剣】

とうとう親玉の登場だね……スペースシップワールドはやらせないよ!
強敵を相手にする機会は少ないからちょっと楽しみ!
でも気を引き締めていかないとだよね!

やっぱり武器を人型兵器『マインド』にしてきたね……!

おっけー!私が一太刀どころか二太刀浴びせてきてあげるよ!

第六感で敵の攻撃の軌道の予測をして天羽々斬と紫微垣の2本の剣で剣刃一閃を発動させて受け止める……1回で攻撃の勢いを落とせなかったら2回攻撃でさらに勢い弱めさせて出来るだけ長く受け止めて仲間が攻撃する隙をどうにかして作るよ!
なんとか初撃を受けきったら第六感で感じ取ったの軌道を仲間に伝えながら連携して攻撃していく

☆アドリブ等歓迎


石動・劒
【碧剣】
葬古封矢――その白騎士にゃ「待った」をかけるぜ
破魔矢を番えて禊ぎ、不可視とする。マインドのは、見えざる一撃を受けて無事でいられるかな?
>戦闘知識、スナイパー、援護射撃、2回攻撃、鎧無視攻撃、時間稼ぎ

よお、そこな妖狐の。俺が援護で時間を稼ぐ。その間にお前さんが一太刀浴びせてやってやれ!

碧のが回避しやすくなるように、あるいは攻撃しやすくなるように援護射撃を行うぜ

ああ、まったく羨ましいね。俺も皇帝なんて未知と一太刀だけで良いから刀を交えてみたかった……
なんて言ってる内はどうせ何合も挑んぢまうんだろうが
未知が得られないのなら。仕方ねえな、皇帝殺しの立役者としての名誉だけは得させて貰おう!



 もはや、皇帝は満身創痍だった。身体の各所に火傷を負い、左腕は使い物にならなくなっている。幾つもの矢傷からは、今もだくだくと鮮血が迸っていた。それでも、彼の覇気は衰えてはいなかった。
「さあ、イェーガー。これで終わりか?」
「……スペースシップワールドはやらせないよ!」
 皇帝の言葉に反応したのだろうか、小柄な影が一つ飛び出した。二振りの剣を両手に構え、白い長髪を靡かせて走るのは暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)であった。
「やれ、マインド」
 先ほど停止コードを打ち込んでから、動きを見せていなかった黄金の騎士が再起動した。光の剣を両手で持つと、碧に向かってそれを振るう。
「やっぱり人型兵器『マインド』にしてきたね……!」
 碧の身体を断ち割る軌道を見せていた光剣が、その半ばで停止した。直前でその攻撃を察知した彼女が、天羽々斬と紫微垣を交差させて受け止めていたのだ。光の粒と火花を激しく散らしながら、碧と騎士の力比べが始まった。純粋な膂力はマインドが勝っているのだろう、じりじりと碧が押されていく。彼女の額に汗が滲んだ。このままでは競り負ける、そう思った時。碧の後ろから、青年の声がした。
「――その騎士にゃ『待った』をかけるぜ」
 声の主――石動・劒(剣華常刀・f06408)――は、短弓を引き絞って立っていた。一見すると矢を番えずに弓弦を引いているだけにも見えるが、確かな存在感がそれを裏切っていた。彼が番えているのは不可視の矢であるのだ。
「マインドのは、見えざる一撃を受けて無事でいられるかな?」
 限界まで引き絞られた弓から矢が放たれた。それが致命の一撃だと気づいたのだろうか。黄金の騎士が、碧との鍔迫り合いをやめて横っ飛びに逃れようとする。だが、それは碧が許さない。
「目の前の相手を捨てて逃げるなんて、随分と余裕なんだね……!」
 腰を薙ぐように、碧が神剣と妖刀を振るう。剣刃一閃を乗せたそれは、防御しなければ身体を両断される類のもの。やむを得ず、マインドが碧の剣を受け止めた。
 しかし、それは同時に劒の矢を受けることを意味していた。重い音とともに、矢が騎士の胸を貫く。鏃に込められた力は「持続的なユーベルコードを無力化させる」もの。マインドのような、ユーベルコードの産物にとっては致命傷に等しかった。黄金の身体が、矢の刺さった胸を中心として塵に帰っていく。最後の力を振り絞り、騎士が光剣を皇帝に向かって投げつけた。皇帝が、健在な右腕でそれを拾い上げた。
「大儀である。――さて、残ったのは我だけか。黒槍艦隊も、汝相手には意味がなかろう」
「当然。いくら召喚したって、葬古封矢で塵に帰すぜ」
「ならば、直に相手をしてくれる」
 皇帝が構えた柄の上下から、光の刃がせり出した。そのさまは、剣というよりは長柄の得物のようにも見えた。
「よお、そこな妖狐の。俺が援護で時間を稼ぐ。その間にお前さんが一太刀浴びせてやってやれ!」
「おっけー! 私が一太刀どころか二太刀浴びせてきてあげるよ!」
 碧が皇帝に向けて斬りかかった。縦横無尽に駆ける双刃の軌跡が、皇帝の傷を増やしていく。だが――。
「手数は多いが、浅い」「やっぱり……!」
 碧が一方的に押しているように見えて、効果的な攻撃については全て受け流されていた。ここまで追い詰められていながら、一対一の純粋な実力ではなお碧と同等かそれ以上。攻撃の合間をぬって振るわれた光剣が、碧の身体をかすめた。
(強敵を相手にする機会は少ないからちょっと楽しみだったけど、気を引き締めていかないと、だよね……!)
 皇帝の見せた予想以上の強さは、彼女にとって嬉しさも伴っていたのかもしれない。
 とはいえ、このままでは埒が明かない。碧が劒に向かって声をあげた。
「皇帝の癖は――」
 その内容は、今の攻防で得た皇帝の弱点についてであった。何より左腕を折っている彼は、その方向からの攻撃に弱いのだ。詳細な情報を得た劒が、皇帝の左半身を集中的に狙って矢を連射する。先のマインドと同様に、劒の矢と碧の刀の二択を迫られた皇帝が、厄介そうな顔をした。
「ああ、まったく羨ましいね。俺も皇帝なんて未知と一太刀だけで良いから刀を交えてみたかった……。なんて言ってる内はどうせ何合も挑んじまうんだろうが」
「なら、今からでも斬りに来る」
「いんや、今回は遠慮しとくぜ。未知が得られないのなら。仕方ねえな、皇帝殺しの立役者としての名誉だけは得させて貰おう!」
 そう言って放った一本の矢が、後退しようとしていた皇帝の足を床に縫い付けた。それは、皇帝の胸に斬撃を放とうとしていた碧への完璧な援護であった。光剣が天羽々斬を受け止めるが、紫微垣には届かずに彼の身体を深々と斬り裂く。数多の血を吸ってきた赤黒い刀身が、今また新しい血を吸い上げて輝いていた。
「敗れたか。この我が」
 皇帝が、その場ですとんと尻餅をついた。その身体からは、みるみるうちに力が失われていく。
「そうだよ、銀河皇帝。あなたの負け」
「そのようだな」
 己の死を目前に控えているにも関わらず、その態度には余裕すら感じられた。
「なにがそんなにおかしい、皇帝の」
「知れたこと。この我は、確かにまもなく死ぬ。だが、我はいまだ滅びぬ。まもなく蘇り、再び汝らと相対することになるだろう」
 血を失った蒼白の顔で、彼は莞爾として笑っていた。
「そして、カタストロフまであと五日だ。我が完全に滅ぼされるのが先か、新たなる月が来るのが先か。我は何度でも、汝らの前に立ちふさがる。再会を待っているぞ、イェーガー」
 それが、最期の言葉だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月23日


挿絵イラスト