●現代神秘世界 - ヨーロッパ - 北マケドニア - ビトラ - 中規模な「試練の洞窟」 - 周辺市街
「これで中規模ですか……」
完全に広がる「試練の洞窟」を見上げながら、ベルゼ・アグネス(吸血の道に堕ちたテンプル騎士・f37910)は呟く。
「|アグネス卿《サー・アグネス》ですね。リチャード騎士団名代のフェア、参上しました」
その背後から姿を現すのはフェア(妖精使い)だ。背中に背負う一見すると時代遅れの|SMLE《リー・エンフィールド》小銃が目を引く。
「私達テンプル騎士はリチャード騎士団の皆さんのように騎士の位を頂いた人間とは違いますから、|卿《サー》は不要ですよ」
「これは失礼しました。では、|アグネス殿《ミスター・アグネス》、と」
テンプル騎士団とリチャード騎士団は共に十字軍に端を発して結成された「騎士団」と名の付く対霊害組織ではあるが、やや立ち位置が異なる。
テンプル騎士団は表向き1312年のヴィエンヌ公会議以降解体され、存在しないことになっている。彼らは秘密組織「インクィジター」によって管理され秘密裏に存在する秘密組織であり、当然公的にもその立場は保証されていない。ゆえに、テンプル騎士達は騎士を名乗ってはいるが、ローマ教皇から騎士の叙任を受けてさえいない存在である。
一方、リチャード騎士団は第三次十字軍の折にリチャード獅子心王に結成されて以来、常にイギリスの公的組織として秘密裏に存在し続けている組織だ。構成員も全員が英国君主より騎士の叙任を受けている真っ当な騎士達ばかりだ。
「それで、フェア……殿、失礼ですが、なんとお呼びすれば? ファミリーネームはなんと仰るのですか?」
「私は生まれが特殊なので、ファミリーネームがないのです。お好きにお呼び下さい」
「だいたい騎士団のみんなはフェア卿って呼んでるよ。あ、私はウェリィね」
「こら、ウェリィ」
会話の途中に飛び出してきたのは昆虫のような羽の生えた小さな女の子、ピクシーのウェリィ(自由な妖精)だ。
「いえいえ、リチャード騎士団の妖精使いのお噂はかねがね聞いておりましたから、大丈夫ですよ、よろしくお願いしますね、ウェリィさん」
「うん、どーんと任せてねー」
「はぁ、すみません」
ウェリィの容赦ない距離の詰め方にフェアが謝る。いえいえ、とベルゼは笑って許す。
「そんなことより、管理が行き届いておらず、盗掘者が入り放題と聞いていましたが、随分寂れていますね」
不思議そうにベルゼが顎を撫でる。
「では、一つ聞き込みと行きましょうか」
「分かりました。ウェリィ、大人しくしててよ」
「分かってるよ、私だって神秘を殺したくないもん」
30分後、二人は合流し、情報を共有する。
「突入しても、ニ又の槍を持った黒いフードに追いかけ回されるので、挑むリスクに似合わない、ですか」
「事前の情報にも上がっていましたが、まさか盗掘者を軒並み撃退するほどとは……」
二人が聞いてきた情報はだいたい同じようなものだった。
「現地の治安部隊でしょうか?」
「であれば北マケドニアから国連に連絡があるはずですが」
二人はしばらく考えたが。
「とりあえず突入してから考えれば良いんじゃない?」
とのウェリィの言葉に、二人と一人は頷いて突入することを選んだ。
●現代神秘世界 - ヨーロッパ - 北マケドニア - ビトラ - 中規模な「試練の洞窟」 - 入口付近
「ふっふーん、魔女狩りどもめ、思い知ったか!」
「く、くそ、撤退だ。マシュー様にご報告せねば!」
二人と一人が「洞窟」に突入すると、まさに噂に聞いた黒いフードの男たちが入ってすぐの空間から逃げ出したところだった。
――奥に「撤退」した? 奥に本拠地があるのか、まさか噂の異世界の……。
その様子にベルゼが顎を抑えて考え込むが、それより早く、男たちが逃げ出した理由が動き出す。
「む、まだいたのか、魔女狩り!」
声の主の方を向くと、金髪をポニーテールにした少女が一人。背が低めの高校生かあるいは中学生くらいの見た目に見える。
だが、肝心なのはこちらに掌を向けており、その周囲に炎が発生し、そして掌の前に炎が収束していることだ。
「ソーリア・ファイア!」
炎が飛ぶ。
「ここは私が。主よ、我らを護りたまえ」
ベルゼが左手に刻まれたタトゥー「疑似聖痕」に手を置き、信仰対象への祈りを捧げると、ベルゼの服装がみるみるうちに光の甲冑へと変化する。
そして、擬似聖痕から何かを抜くような動作を取ると、それに呼応して光の剣が疑似聖痕から出現する。
その居合のような一閃により、炎が切り裂かれる。
霊光装備と呼ばれるテンプル騎士団の基本装備である。
「切れ味が以前にマナ現象を切った時と違う、これはマナ現象ではない? 神秘使いか!」
「なっ、魔女の癖に魔女狩りに与するのか!」
その様子に勝手に憤る少女。
「ソーリア・スプレッド!」
炎が拡散して放たれる。
「今度は私が。エンター、お願い」
フェアがウエストポーチに固定されている円柱状のケースの一つを開ける。すると光に昆虫の羽のようなものが生えた何かが飛び出して、猛烈な風を引き起こす。
2016年にリチャード騎士団が導入した新装備の一つ「人工妖精」である。
「落ち着いて下さい。我々は魔女狩りなる存在ではありません」
「とぼけたって無駄だよ! そっちの女がつけてるキラキラのやつ、前に魔女狩りのリーダーがつけてたのと同じものだ!」
「キラキラのって……この勲章のこと?」
困惑するフェアが視線を落として目に入るのは|大英国勲章《Order of British Empire》。彼女が騎士であることを証明するものだ。
――ジョージ卿のようにイギリスで貴族の位を持つ人間が何か悪さをしてる?
フェアの脳裏に思いついた考えはその程度だったが、少女は待ってくれない。
「単純な炎が塞がれるなら、こうだ! ソーリア・インビンシブル!」
ごうっと少女自体が燃え上がる。
「覚悟しろ、魔女ソーリアがお前らを倒す!」
その状態のまま少女、魔女ソーリアが走ってベルゼに向かって殴りかかる。
「祈祷!」
ベルゼがそれを見て、回避困難と悟り、目をつぶり、祈るポーズを取る。諦めではない。
大きな盾が出現する。霊光大盾。祈祷者は行動不能になる代わりに神秘世界を広く見渡してもかなりの強度を誇る盾だ。
その霊光大盾と魔女ソーリアのパンチがぶつかりあう。
「ブルー、バレットエンチャント!」
そこにフェアが先程のSMLE小銃を構えながら、人工妖精の一体を開放していた。
これは単なるSMLE小銃ではない。通称「妖精銃」。銃や弾丸に妖精の魔法の力を宿す事が出来る特殊な銃だ。
氷の力が付与された弾丸が放たれるが、纏った氷も、金属製の弾丸を、炎の熱の前に容易く溶ける。
「うそっ!」
「おかしいよ、フェア。さっきから神秘基盤は全く動作してない、あれ、魔術じゃないよ」
マナ現象でもなければ魔術でもない。
――まるで妖精の魔法みたい……。
「フェア卿! このまま私が抑えます! 「探求者」達を呼んできて下さい。取り押さえましょう!」
「了解です!」
フェアが出口に向けて走る。
「逃がすか!」
魔女ソーリアが炎纏い状態を解除し、炎を放つ。
「させませんっ!」
それをベルゼが霊光剣で切り払う。
戦いは拮抗している。これを崩すには「探求者」の力が必要だ。
メリーさんのアモル
『試練の洞窟』のシナリオも二本目になりました。
作戦会議に参加頂いた皆さんはありがとうございます。メリーさんのアモルでございます。
今回は早速ボス敵「魔女ソーリア」との戦闘になります。
データはこちら。
https://www.anotherworlds06.com/coo/unknownnpc.html#sauria
注意点としてPOWの「ソーリア・インビンシブル」は本体の防御力は0ですが、纏っている火炎は金属すら溶かします。特に対策に注意が必要と思われますのでお気をつけ下さい。
また、この戦いではベルゼ・アグネスとフェア、ウェリィが同行します。
●フェア
https://www.anotherworlds06.com/coo/npc_fair.html
●ウェリィ
https://www.anotherworlds06.com/coo/npc_wery.html
●ベルゼ・アグネス
https://tw6.jp/character/status/f37910
プレイングで任意のキャラクター一人を指名すると、そのキャラクターがあなたの使うマナ現象と同じ属性のマナ現象で支援してくれます。もちろん、単独で戦っても構いません。
ベルゼのマナ現象は末尾に書いておきます。
また、今回戦う相手「魔女ソーリア」は「試練の洞窟」のクリーチャーではなくどこかの世界の人間のようです。殺さないようにお願いします。殺そうとするプレイングは採用しません。
ちなみに、基本的に勝手に一人で怒っているので話し合いは通じませんが、声をかけてみると何かしら返事をしてくれる可能性もある、のかもしれません。
●ベルゼのマナ現象
●POW:祈祷・霊光大盾
全身を【祈祷により出でる霊光大盾を用いた防御体制】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
●SPD:霊光剣連続斬り
【唯一神の神性】を宿した【擬似聖痕から取り出す光の剣「霊光剣」】で、「自分や仲間が取得した🔴の総数×1回」攻撃する。
●WIZ:霊光剣大斬撃
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【唯一神の神性】属性の【斬撃】を、レベル×5mの直線上に放つ。
第1章 日常
『プレイング』
|
POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
デビル・カトー
◎
「ミックスドマッチ、ムズイんだよな」
「(まずは相手を立てないとな)」
【装備4】鉄パイプや蛍光灯で殴るも熔かされる
口に含んだ油を吹きライターで着火し【ブレス攻撃】、拙い火で攻撃して【挑発】し相手の火弾を誘う
パイプ椅子で【武器受け】も1発で椅子が熔ける
「(そろそろ客に勝ち筋を見せないとな)」
【UC】、敢えて外し隣にあった全高20mの石像を投げ、相手に「掴まれたら死ぬ」という【恐怖を与える】ことでマナ現象を使わせる
火弾を【装備2】【根性】で受けるも抗いきれず倒れる
死んだふりの【演技】で油断させ相手がマナ現象を解除したら【だまし討ち】から【UC】危険な落とし方を避けたジャーマンで【捕縛】し3カウント
「ミックスドマッチ、ムズイんだよな」
と肩を回しながら「洞窟」に入ってきたのは“|最悪の男《ザ・バッドガイ》”の異名を持つ――アスリートアース世界出身のため現代神秘世界では知られていないが――最強|悪役《ヒール》プロレスラー、デビル・カトー(“ザ・バッドガイ”・f39534)だ。
「交代お願いします」
増援の到着を見て、ベルゼが後方に下がる。
「また増えるのか悪党! でも、何人来ようと、この魔女狩り狩りの魔女の前には敵じゃないよ!」
「|悪党《ヴィラン》? オレは|悪役《ヒール》だ!!」
プロレスラーとしては|悪役《ヒール》だが、猟兵としては|悪党《ヴィラン》を喰う|悪役《ヒール》として|正義の味方《ヒーロー》である、という信念のあるデビル・カトー。絶対的な敵であるオブリビオン相手ではないとは言え、|悪党《ヴィラン》ではない、という点は譲れない。
「よく分かんないけど、おっきいからって調子乗らないでよね! ソーリア・インビンシブル!」
魔女ソーリアがふんっと力を入れると、全身に炎が纏う。
(まずは相手を立てないとな)
命をかけた真剣勝負とはいえ、彼はプロレスラー。であれば、たとえギャラリーがほとんどいなくても興行のため盛り上がる試合運びをするのがプロというものだ。
取り出したるは鉄パイプ。ユーベルコード可の超人プロレスにおいても武器使用は反則だが、プロレスには5カウントルールが有る。五秒以内ならセーフだ。
「ふふん、|無敵《インビンシブル》のボクにはそんなの効かないよ!」
そして、デビル・カトーの鉄パイプの一撃は魔女ソーリアを纏う超高熱の炎によりあっさりと鉄パイプが融解されることで無効化される。一瞬で溶けたので言うまでもなくセーフだ。
「ふん、大した炎だ。だが、火くらいなら俺でも出せるぜ」
口に含んだ油を吹きライターで着火し魔女ソーリアに向けて炎のブレスを吐く。
「なっ、そんなちゃっちいのとボクの炎を一緒にしないでもらおうかなっ!」
安い挑発だが、まんまと乗った魔女ソーリアは、炎を纏ったまま、殴りかかる。
「ぐっ」
それはどこからか取り出したパイプ椅子で防ごうとするが、やはり一瞬で融解し、デビル・カトーに突き刺さる。
「がっ……」
――くっ、火球を想定してたが、殴ってくるか。こいつをもう一発食らうと流石にやばい……。
デビル・カトーはジャブ程度の火球飛ばしを想定していたが、魔女ソーリアの"敵"に対する殺意は相当なもののようで、最も威力の高い火炎纏いのパンチを繰り出してきた。
――こりゃ、そろそろ客に勝ち筋を見せないとな。
「|逝っちまいな!《Go to hell !》」
右手の親指で首を掻き切るポーズをし、そのまま親指を下に向ける。
魔女ソーリアも思わず警戒のポーズを取るが、突っ込んでくるデビル・カトーの軌道は単純で、魔女ソーリアは回避を選ぶ。自分は無敵のはずなので、受け止めても良かったはずだが、直前のポーズから何かしらの能力を警戒したのだ。
「ふんっ!」
そして、デビル・カトーは魔女ソーリアの背後にあった地面から生えている巨大な岩の塊を掴み、スープレックスで投げ飛ばした。
――うっそ。あれ、20mはあるよね。
思わず驚愕する魔女ソーリア。
だが、スープレックスなら掴まれなければいいだけのこと。
「ソーリア・ファイア!!」
無数の炎が周囲に出現し、それが魔女ソーリアの突き出した掌の前で一つになり、そして、デビル・カトーに向けて、放たれる。
「くっ」
避けようと思えば避けられるが、デビル・カトーは敢えて食らうことを選ぶ。
その一撃は彼の『鋼の肉体』でも根性でも流石に堪えられず、そのまま倒れる。
デビル・カトーの頭の中で、10カウントが始まる。これから10秒以内に起き上がれなければノックアウト。彼の負けだ。
「ふぅ、びっくりしたけど、ボクの勝ちだね、魔女狩りめ」
火炎纏いを解除し、倒れているデビル・カトーに近づく魔女ソーリア。
「……じゃない」
「え?」
「覚えておきな、テンカウント取られなけりゃ、倒れても負けじゃないんだぜ」
近づいた魔女ソーリアに対しデビル・カトーが起き上がり、即座に魔女ソーリアに組み付く。
現代のミックスドマッチでは男女間の攻撃は反則と取られるルールもあるが、超人プロレスにおいてはその限りではない。
「がっ!」
必殺スープレックスが発動し、魔女ソーリアが地面に叩きつけられる。
デビル・カトーはそのまま魔女ソーリアの両肩を地面に押し付ける。
「1!」
レフェリーがいないので、デビル・カトーが自分でカウントを開始する。これで3カウントを取れればフォールで、デビル・カトーの勝利だ。
「2!」
魔女ソーリアは少しクラついており、状況判断が追いつかない。
「3!」
フォール確定。プロレスならデビル・カトーの勝ちだ。
デビル・カトーは自分の勝ちを高らかに謳う。
――ボクが、負けた……?
よく分からないが、相手のルールの中では自分は負けたらしい。
ユーベルコードの効果か、不思議とそんな気もしてくる。だが……。
――エレナ先生は言ってた。押し付けられたルールにただ従う事はないんだ。ボクはボク自身が納得したルールに従えば良いんだって!
魔女ソーリアは生きている。ならば、魔女ソーリアにとっては、負けじゃない。
「ソーリア・インビンシブル!」
再び魔女ソーリアが発火する。
「うわっ、あちちちちちちちち!」
慌てて、デビル・カトーは距離を取る。
(一方的に仕掛けた)試合には勝った。だが、まだ魔女ソーリアは負けていない。
成功
🔵🔵🔴
禁史・木実
◎
魔女、魔女狩り、黒フードの集団。事が動く、ということか
ともあれ、彼女の頭を冷やすか。物理的に
「ウェリィさん、お手伝いを願います」
他の方々が戦っている内に作戦を伝える
俺が気を引くから、隙を見て鉄砲水を放ってほしい、と
では始めよう
「力比べはいかがですか? 魔女さん」
炎の撃ち合いだ
散らすなら各個に迎撃、合体させるなら集中砲火
「飛翔せよ・炎・連続」
挑発も兼ねて喋る
「あなたが魔女狩り狩りなら、私は魔女狩り狩り狩り?」
「退くなら今のうちですよ」
「それとも、退けない理由があるとか?」
力んで俺に集中したら
ウェリィの鉄砲水で不意を撃つ
ナイスショット
「冷や水だ。退かないのは負けん気か?あるいは何か、誰か他に?」
「魔女、魔女狩り、黒フードの集団。事が動く、ということか」
外に飛び出してきたフェアから事情を聞き、そう呟くのは禁史・木実(菌糸人間の古い魔術師・f38034)だ。
いずれも、神秘の世界にいれば聞かなくはない言葉だ。英国の魔女を例に出すまでもなく高い実力を持つ女魔術師は魔女と呼ばれがちだし、中世には「魔女狩り」と呼ばれる存在がいたことは表の歴史にすら載っている。
だが、魔術でもマナ現象ない何かを使う魔女は知らないし、此度の敵の現代的な洋服を見れば、魔女狩りとやらが中世のそれを指すとも思えない。
そしてまことしやかに囁かれる「「試練の洞窟」は異世界と繋がっている」という噂。
「試練の探求者」にとって大きな出来事が始まろうとしているのかもしれない。
(ともあれ、彼女の頭を冷やすか。物理的に)
どちらにせよ事を明らかにするにはかの魔女ソーリアとやらを大人しくさせるしか無い。
木実は思考を中断し、「洞窟」に突入する。
洞窟に入ると、既に「探求者」が交戦を始めている。
「ウェリィさん、お手伝いを願います」
「おっけー、任せて。どうしたらいい?」
腕まくりするような動きを取って、やる気を見せるウェリィに木実は作戦を伝える。
「りょうかーい」
ウェリィはその作戦に頷き、どこへやら姿を消す。
そして、木実は先の「探求者」と入れ替わりに、魔女ソーリアの前に姿を晒す。
「力比べはいかがですか? 魔女さん」
「む、また槍を使わない変な魔女狩りか。ボクの炎に勝てるつもりなら、受けて立つよ!」
自信満々に掌を突き出す魔女ソーリア。
周囲に複数の炎が発生し、それが掌の先で一つに収束していく。
「ソーリア・ファイア!」
「飛翔せよ・炎・連続」
魔女ソーリアの掌の先から大きな火の玉が放たれると同時、木実からも50を超える炎の矢が放たれる。
巨大な火の玉に木実の炎の矢が迎撃に出て、二人の中心で拮抗する。
「うそ、また魔女狩りに与する魔女!? まさか、「キュレネ」の連中なの? ……あいつら、どこまで……」
その様になお憤る魔女ソーリア。
「あなたが魔女狩り狩りなら、私は魔女狩り狩り狩り?」
「なっ、お前は魔女狩りなんだから、そんな噛みそうな言い方しなくてもいいだろ!」
再確認。魔女ソーリアはこちらを「魔女狩り」と誤認している。
そして、炎の行く末は僅かに木実に優勢だ。
「退くなら今のうちですよ」
「嫌だね、ボクはもう二度と逃げない」
「ほほう、退けない理由があるとか?」
「そうだ。ここにはボクに真実を教えて助けてくれた|三《・》|人《・》もいるんだ。三人のためにも、魔女狩りをこの「洞窟」で好きにはさせない!」
劣勢と見てか、再び魔女ソーリアの周囲に炎が発生し始める。
ムキになっている魔女ソーリアの意識は完全に木実に集中している。
「はい側面不注意ー、減点だねー」
直後、魔女ソーリアの側面に出現したウェリィが魔女ソーリアに指先を向け、その先から鉄砲水が発生、魔女ソーリアに襲いかかる。
妖精の持つ魔術でもマナ現象でもない不思議な力「魔法」だ。
(ナイスショット)
木実はウェリィを称えるように視線でそう述べてから、鉄砲水を前に思わず転倒した魔女ソーリアに声をかける。
「冷や水だ。退かないのは負けん気か? あるいは何か、誰か他に?」
「くっ、仲間の事を割らせる気か? そうはいかないぞ。ボクはエレナ達の事は一言だって喋らないからな!」
三人という言葉と、エレナという名前。それは先行偵察で垣間見えた「|第三視点《予兆》」の内容と一致する。少なくともこの「洞窟」には、この彼女とほか三人の少女が「魔女狩り」なる存在に追われているようだ。
ごうっと、魔女ソーリアの周囲に炎が発生し、魔女ソーリアの濡れていた肌と服が一瞬で乾く。
「この程度じゃ、ボクの炎は消せないよ!」
魔女ソーリアの闘志は消えていない。だが確実にダメージは蓄積しているはずだ。この調子で弱らせていけば、捕えることは不可能ではないはず。
成功
🔵🔵🔴
騙者・真理
◎
紫眼の女は、胡乱な目を虚空に向ける。
「あんたねぇ、声色の才能が無いとは言えないからやってみろって、人の体を勝手に改造するのはやめてくれない?」
「はぁ…。 やるわよ。 あー、あー、んんっ、あーーー」渋いイケボ。
「あーもう、できちゃったじゃな……、いや、できてしまったな」
頭を抱える女性は、その少し後、虚空を睨む。
「この声で女言葉なんて、違和感しかないのだよ、次に笑ったら殺すぞ」
――
試練の洞窟、内部
「共に魔女狩りに襲われれば、疑いも晴れるだろう。 とは、お主、かなり狂ったことを考えるな。」
イケボの何物かが、洞窟の少し奥から入口に向かって歩く。
「まあ、いい。 手加減は必要ないだろう。」
フェアたちが争う所から、二回ほど曲った所で足を止める。
「洞窟の事故は発生しえない。 はたしてそうだろうか」
「属性は土、現象は津波。 範囲は、ここから入口まで。洞窟を破壊しないギリギリで…」
「魔女よ! マナ現象使いよ! 我らに仇なすものよ! 等しく滅びるがよい! 行け! 土石流よ!」大声で。
「ふぅ、さっさと帰るか」
一・全
◎
「ここが永らく膠着状態を維持している洞窟か 俺たちが一石足り得るといいんだが」
「崩則励起……熱量の伝達の法は俺の手に落ちた
お前がどれだけ燃え盛ろうと熱を伝える事が出来なければ燃やし焦がし溶かす事は叶わない
さぁどうする?魔女よ」
「さらに激しく熱を溜め込むか 素晴らしい お前に熱量の限界点は存在しないのか?
……惜しいな 限界を見届けたい所だが ここらで終いだ」
ソーリアの炎の熱が空気や他の物質に伝達しないように法則を弄り自分は逃げ回って耐久戦
ソーリアに溜まった熱が 洞窟の岩天井を溶かし溶岩へと変貌させソーリアを埋める事が容易なまでに高まったら熱量をソーリア頭上の天井に伝達させ溶岩埋めして逃げます
宮藤・貴志
◎
役割は盾。目的は敵の攻撃を引き付け、|火力《熱量》を引き上げること
あえて敵の眼前に姿をさらしつつ言葉巧みに【挑発】
攻撃を誘発してから【UC】。静止からの急な高速移動で初撃を回避
高速移動で【残像】を生み、無数の分身を写し出す
再び言葉巧みに【挑発】、全ての分身を同時攻撃させることで炎を増やさせる
「(狙いはオーバーヒート。これじゃまだ足りねぇ!)」
UCの衝撃波で飛び来る火弾を全弾相殺
三度言葉巧みに【挑発】。さらにさらに火力を上げさせる
「(俺が緋雨の毒で倒れるか、あいつが熱暴走で止まるか、持久戦だ!)」
衝撃波で炎を打ち消しつつ、止めきれない分は残像の分身を潰して、時間稼ぎ
※他の方との連携熱望
ビトラに存在する「中規模」な試練の洞窟。その入り口をすり抜けて少し進んだ場所に、彼女はいた。
「あんたねぇ、声色の才能が無いとは言えないからやってみろって、人の体を勝手に改造するのはやめてくれない?」
胡乱な目を虚空に向ける彼女は証明の悪魔、騙者・真理(騙り部・f39704)だ。
「はぁ…。 やるわよ。 あー、あー、んんっ、あーーー」
出てきた言葉は女性らしい見た目にそぐわない渋いイケボ。
「あーもう、できちゃったじゃな……、いや、できてしまったな」
頭を抱える真理。しばしあって、再び虚空を睨む。
「この声で女言葉なんて、違和感しかないのだよ、次に笑ったら殺すぞ」
そう言って、入り口に向けてやや歩く。
「共に魔女狩りに襲われれば、疑いも晴れるだろう。とは、お主、かなり狂ったことを考えるな」
イケボの真里が準備する。
「まあ、いい。手加減は必要ないだろう」
後は、機会を待つだけだ。
「ここが永らく膠着状態を維持している洞窟か 俺たちが一石足り得るといいんだが」
そうして、別の悪魔が機会を虎視眈々と狙っているとは知らず、もう一人の悪魔、否、悪魔を植え付けられた多重人格者が洞窟の入り口を潜る。彼の名は一・全(崩則術士・f45542)。永久機関の研究過程で扱われていた実験体にして、複数の悪魔に完全適合した完全適合者。
「ここが翆さんの言っていた次の攻略対象になった洞窟かぁ」
同じく、その隣で入り口を潜るのは宮藤・貴志(“見える人”・f37981)、こちらは前回までの「試練の洞窟」の攻略でも活躍したお馴染みの探求者だ。
「まだ来るか、魔女狩り! ソーリア・スプレッド!!」
現れた二人の探求者に対し、魔女ソーリアは容赦無く炎の拡散弾を放つ。
「崩則励起……熱量の伝達の法は俺の手に落ちた。
お前がどれだけ燃え盛ろうと熱を伝える事が出来なければ、燃やし焦がし溶かす事は叶わない。さぁどうする? 魔女よ」
同時、全はマナ現象として昇華された自身の能力を解放、マナ現象『|熱力学第二崩則《マクスウェルの悪魔》』を発動する。
熱力学第二法則を否定する領域が生じ、周辺一帯が熱伝導しない世界へと変わっていく。
ソーリアの拡散する炎、そのうち全に命中しそうなものを貴志が高速移動で割り込んで切り払う。
マナ現象『妖剣解放』を発動することで、妖刀・緋雨の水銀という名の毒を纏い、自身を強化したのだ。
「あれ、熱くない?」
「熱力学第二法則を否定することで熱伝導を封じた。故に炎が直撃しない限りは意味はない」
貴志が首を傾げる中、全が冷静に解説する。ソーリアの用いる攻撃の理論は理解不能だが、直撃した場合は熱力学第二法則の否定すら無視して発火する可能性は否めない。
「そう言うことか、なら。おい、貴様の攻撃、全然効かねーぞ! 自慢の炎はマッチ切れか?」
言葉巧みに貴志がソーリアを挑発する。同時、さらに高速移動して周囲に残像を無数に出現させる。
「なんだと! だったら、もっともっと炎を放ってやる!」
ソーリアがどんどん熱量を高めながら、炎を放つ。
次々に飛んでくる炎。
だが、その全てが貴志によって迎撃されていく。
(狙いはオーバーヒート。これじゃまだ足りねぇ!)
「どうした、お前の炎はそんなもんかよ!」
「調子に乗るな!」
次々に炎が飛び、火力と炎の量が上がっていく。
(俺が緋雨の毒で倒れるか、あいつが熱暴走で止まるか、持久戦だ!)
「さらに激しく熱を溜め込むか。素晴らしい、お前に熱量の限界点は存在しないのか?」
全が呟く。その言葉の通り、ソーリアはどんどんと炎の量を増やしていく。
貴志の限界が先か、ソーリアの限界が先か、まさに限界を競う戦い。
「……惜しいな 限界を見届けたい所だが ここらで終いだ」
だが、それより早く、洞窟の限界が来る。
ソーリアの溜まった熱を天井へと伝達させると、洞窟の天井は溶岩となり、ソーリアの頭上へと降り注ぐ。
「うわっ!?」
ソーリアは咄嗟に防御するが、高められた熱量を纏ったその溶岩は簡単に防げるものではない。
しかし、それを受けて、ソーリアは少し冷静になった。
「今だ。洞窟の事故は発生しえない。はたしてそうだろうか」
真理のマナ現象『悪魔の証明 終焉の災禍』が発動する。
「属性は土、現象は津波。 範囲は、ここから入口まで。洞窟を破壊しないギリギリで……」
小声で、自身のマナ現象の効果を指定し、そして。
「我らは魔女狩り! 魔女よ! マナ現象使いよ! 我らに仇なすものよ! 等しく滅びるがよい! 行け! 土石流よ!」
大声でそう叫び、土石流を放った。
「魔女狩り!?」
強烈な土石流が、ソーリアも、そして、その場にいた他の探究者も全てを巻き込まんと迫ってくる。
「ウェリィ!」
「うん!」
その土石流はウェリィとフェアの人工妖精が魔法を使うことでなんとか防ぐことに成功した。
「そんな、君らも魔女狩りに襲われてたなんて……。ごめん、ボクてっきり……」
それで、ソーリアは自身の勘違いに気付いた。
戦いは終わった。
ソーリアから事情を聞こう。
そして知らねばならない。魔女と魔女狩りと呼ばれる、未知の何かについて。
大成功
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