ティタニウム・マキアの妄動
●付和雷同
サイバーザナドゥにはポータルから誰でもアクセスすることのできる電脳空間が存在している。
名を『サイバースペース』。
まるで生身そのものように活動できる上に、生身では成し得ぬことが実現可能なる夢の如き空間。
謂わば娯楽だ。
『サイバースペース』のアミューズメントエリアは多くのサイバーザナドゥの人々を引き付ける。
「お前、今日も『MMM』かよ。下手くそのだってのに」
「いいじゃないかよ。こういうのが俺は好きなんだよ。巨大ロボットを自分の身体みたいに操縦できるんだぜ?」
「それにランカーになれば『ティタニウム・マキア』からスカウトされるって話なのよ」
「他の企業もこぞって似たようなのを出してるみたいなんだよ。この間も、中毒になっちまった奴がトチ狂ったってもっぱらの噂だし……」
「その点、『ティタニウム・マキア』の提供するサービスなら『安心安全』だよな」
サイバースペースに訪れる人々は、こぞって巨大企業群『ティタニウム・マキア』の新設したアミューズメントエリアへとアクセスする。
我先にと言っていいほどに熱中しているのは、巨大ロボットを操って競い合う娯楽――『ミリオン・マシーン・ミッション』――通称『MMM』。
彼らの言葉通り、この『サイバースペース』の娯楽エリアにて催されているアミューズメントは確かに高ランカーになれば巨大企業群『ティタニウム・マキア』にスカウトされる。
だが、それは正しくもあり、また同時に間違っても居た。
「あーあ、本当馬鹿ね」
今日も『MMM』に興じる人々を見やり、『ケートス』と呼ばれる少女は電脳空間で揺蕩うようにつぶやいた。
彼女は知っているのだ。
『MMM』は確かに競技性が在り、また同時に巨大企業群にスカウトされる一発逆転の夢を見せてくれるものだ。
けれど、彼らが中毒性を感じているのは『MMM』がゲーム性に優れているからではない。
「遅効性の思考破壊プログラムが仕掛けられてるっていうのに。徐々に人格をぶっ壊されて、人形にされるっていうのに呑気なものよね」
「けどまあ、それも幸せなんじゃあねえの?」
彼女の言葉に『メリサ』と呼ばれる亜麻色の髪の男は肩をすくめて言う。
現実はひどく苦しい。生きるのが辛いと感じている者もいるだろうし、窮屈に感じているものだっているだろう。
だからこそ、『サイバースペース』の娯楽に彼らはきょうじている。険しく辛い現実から目を背けているとも言える。けれど、そうやって逃れることのできる心理的負荷だって確実にある。誰も否定はできまい。
「みんないっしょ。皆均一で、上も下もない。みんなで一つになれる心地よさってやつだよ」
「……それ、本気で言ってないでしょ」
『ケートス』の言葉に『メリサ』は黒い瞳を向けて、笑う。そして、歯を鳴らすように食いしばってから表情を歪ませる。
「ああ、みんな一つになるなんて、クソ食らえだ――」
●和而不同
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の予知はサイバーザナドゥの電脳空間『サイバースペース』における事件になります」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは頷く。
サイバーザナドゥの『サイバースペース』は、街中のあちこちにあるポータルからアクセスすることのできる、まるで生身のように活動できる電脳空間だ。
無論、現実ではありえないような体験、感覚、あらゆるものが味わえる娯楽の中の娯楽。
その中で事件が起こるというのならば、如何なることが起こっても驚かないだろう。
「サイバースペースでは今、中毒的なまでに人々を引き付ける『ミリオン・マシーン・ミッション』と呼ばれるアミューズメントエリアが存在しています。巨大企業群『ティタニウム・マキア』によって主催されているエリアであり、催されているのは巨大ロボットを自身の身体のように動かして戦う競技なのです」
競技というだけあって、撃破数によるポイントによってランキングが存在している。
高ランクになれば、企業からスカウトだってありえるという。それはサイバーザナドゥの劣悪な生活環境を抜け出す絶好の機会なのだ。
だが、それだけでは中毒性を持たせることはできない。
オブリビオンが関与しているのは、そのエリアの最奥に存在するプログラムである。
「遅効性の思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』……これが問題なのです」
つまり、このエリアで『ミリオン・マシーン・ミッション』に興じれば興じるほどに中毒性が増し、徐々に思考を破壊されて『ティタニウム・マキア』の尖兵として作り変えられてしまうということだ。
「これを放置することは許されません。皆さんにはサイバースペースに乗り込み、この目論見を破壊して頂きたいのです」
猟兵たちがしなければならないのは思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の発見と回収である。
しかし、アミューズメントエリア一体に存在しているのは、スタッフから全て『ティタニウム・マキア』の手先である。
彼らにこちらの意図を気取られないよう、何も知らないかのように楽しむふりをしなければならない。
「『ヤマラージャ・アイビー』を発見しても即座に回収はできません。セキュリティによって現れたオブリビオンたち蹴散らし、回収して帰還して頂く必要があります」
ナイアルテは猟兵たちに『ヤマラージャ・アイビー』が仕掛けられているという巨大ロボットを生身のように操作して競い合うアミューズメント『ミリオン・マシーン・ミッション』の概要を説明していく。
平たく言えば、巨大ロボットを自分の体のように操縦してアミューズメントに参加している参加者全員によるバトルロワイヤルを生き抜けばいいのである。
その最中に『ヤマラージャ・アイビー』が仕掛けられているエリアを探索して発見に至ればいい。
「後は、皆さんがオブリビオンを倒して戻ってくるだけです。それでは、よろしくおねがいします」
そう言ってナイアルテは猟兵たちを送り出す。
実現できぬ娯楽はなく。
現実には存在しえぬ娯楽を味わうことのできるサイバースペース。
その甘美にして抜け出せぬ領域に猟兵たちは、恐ろしき罠を踏破せんと踏み出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
サイバーザナドゥのサイバースペースにて、思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』を仕掛けられたアミューズメントエリアに飛び込み巨大企業群『ティタニウム・マキア』の企みを阻むシナリオになっております。
巨大企業群『ティタニウム・マキア』は『安心安全を売る』巨大企業群」です。
クリーンなイメージがあります。
それはサイバースペース内においても変わることはありません。『ティタニウム・マキア』が主催しているエリアだから安心できるという人々が多いです。
●第一章
日常です。
サイバースペース内に存在する『ミリオン・マシーン・ミッション』、通称『MMM』と呼ばれる巨大ロボットを自分の身体のように動かして競うゲームに『ヤマラージャ・アイビー』が仕掛けられています。
ですが、このエリアのスタッフは全て『ティタニウム・マキア』の手先です。
『MMM』の外から内部に存在するプログラムを探ることは不可能です。
実際のゲームに飛び込んで、内部から探るしかありません。
●第二章
集団戦です。
皆さんが見つけた思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』のエリア。
ですが、セキュリティシステムが働いたのか大量のオブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』 がなだれ込んできます。これを蹴散らしましょう。
●第三章
ボス戦です。
このエリアを受け持っていた『イレイザー』と呼ばれるオブリビオンが皆さんを直接撃破すべく現れます。
これを撃破し、『ティタニウム・マキア』の犯罪の証拠となるプログラムを回収して帰還しましょう。
それでは、『巨大企業群(メガコーポ)』、『ティタニウム・マキア』と戦いを繰り広げる皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『巨大ロボを破壊しろ』
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POW : とにかく叩く
SPD : ハッキングとかして壊す
WIZ : やっぱ魔法とかかなー?
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
巨大な鋼鉄の巨人が激突する。
それは巨大企業群『ミリオン・マシーン・ミッション』――『MMM』と呼ばれるサイバースペース内で今急上昇中のアミューズメントエリアである。
巨大なロボを己の身体のように操って百万単位のバトルロワイヤルを最後の一体になるまで戦い抜くゲームだ。
このゲームエリアの何処かに思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』が仕掛けられている。
「これは我が社のプロジェクトだ。些細なことでも逐次報告を怠ることのないように」
このアミューズメントエリアを仕切っているカンパニーマンである『イレイザー』が部下である『エンフォースメン・オペレーター』たちに告げる。
彼らはゲーム内の不正やバグといった異常を常に監視している。
少しの異変があれば、即座に対応するためにここに詰めているのだ。
「ハッ! 現状、ゲーム内進行はつつがなく。間もなく『ヤマラージャ・アイビー』による思考破壊が完了するグループが上がってくる頃合いです」
「高ランクのランカー共か。プログラムの完全浸透を確認次第確保に動く。次のゲームが終われば完了だろう。準備を始めておけ」
『イレイザー』は己の電脳の中に流れ込んでくる情報を得て頷く。
自身が管理するアミューズメントエリアは順調に推移している。
思考破壊プログラムは遅効性だ。
周囲が、この『MMM』の危険性に気が付いたときにはもう遅い。
中毒性と考える力を失った人々は、すべからく『ティタニウム・マキア』の傘下に下る。そうなれば、このプロジェクトは完遂されたと言えるだろう。
カンパニーマンである己の成績はさらに上がる。
故に、『イレイザー』は外部からの他社の介入を許さぬように部下たちに注視を厳命するのだった――。
儀水・芽亜
遅効性人格破壊プログラムとは、いかにもサイバースペースらしい。
しかし、『安心安全』がキャッチコピーの企業がこんなことをしていたら、暴露された時のダメージはとてつもないと思うのですが。
やるだけやりますか。MMM搭乗。男の子なら興奮するんでしょうか? 機体は機動性重視。
「範囲攻撃」でブラストヴォイスを外部スピーカーから広域に響かせ、他の機体を擱座させましょう。
自機を操って一撃離脱しながら、例のエリアを探してマップ内を回ります。
人格破壊プログラムが働いている領域に入れば、そうと分かるものでしょうか?
とにかくわざと引っかかるしかないですね。どうせ待ち構えているでしょうし、向こうからの接触もあるはず。
『ミリオン・マシーン・ミッション』――『MMM』の略称で知られるアミューズメントエリアは、今や熱狂の坩堝と化していた。
人々はこぞって、このサイバースペースのエリアにアクセスし、己の五体を巨大ロボットに乗り込むように変えて操縦する。
いや、操縦するという表現どころではない。
正しく自分の身体のように巨大ロボットを動かすことができるのだ。
火花散る鋼鉄の躯体。
弾丸やビーム、実体剣といった武装が戦場を彩る。
そんな中儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は自身が操る巨大ロボットを戦場に走らせる。
この『MMM』はその名の通り百万単位のバトルロワイヤルだ。
時間制限無しの自分以外は敵の戦場。
気を抜いた瞬間に他の参加者からの攻撃によって退場になってしまう。それほどまでに戦場となったアミューズメントエリアは混沌を極めている。
「いかにもサイバースペースらしいといえば良いのでしょうか」
このエリアの何処かに遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』がしかけられている。
だが、その所在は未だ掴めていない。
この犯罪証拠を確保できれば巨大企業群『ティタニウム・マキア』の『安心安全』のイメージは大きく損なうことができるだろう。
「やるだけやりますか。男の子なら興奮するんでしょうか?」
芽亜はいまいちわからない。
どうにもこうした遊戯というのは、彼女には勘所をつかむことが難しいようであった。
機体が戦場を走り抜け、彼女のユーベルコードが巨大ロボット大に変換されて放たれる。
それは絶唱の如き破壊音波。
周囲を区別することのない無差別攻撃。
ブラストヴォイスは、芽亜の喉から人の声帯ではあり得ないと思わせるほどの音響兵器へと変え、迸る音波でもって周囲のロボットたちを吹き飛ばしていくのだ。
「なんだなんだ!?」
「声……でかすぎんだろ! どういうパッチ当ててんだよ!」
「数が多いですね……いえ、多すぎる。それだけこの遊戯エリアが人気ということ……」
芽亜は、このゲームが中毒性を持ち、また同時に思考破壊プログラムが遅効性で働いていることも理解している。
百万単位の参加者がいるという時点で『ティタニウム・マキア』の尖兵とされれば、これが如何なる脅威になるのかを物語っているであろう。
故に『ヤマラージャ・アイビー』が隠されているエリアを探さねばならない。
「一撃離脱タイプかよ! ちょこかまかと!」
ブラストヴォイスによって周囲の参加者に芽亜は目をつけられたのだろう。しつこく周囲の参加者が狙ってくる。
それを音響兵器の一撃で吹き飛ばしながら移動を続ける。
彼らは芽亜が逃げ回っているように思えただろうが、真実は違う。彼女は此のエリアをくまなく探索する。
何処かに思考破壊プログラムがあるというのならば、それらしい反応があるはずなのだ。
「それとわかるものがあると思っていましたが……どうやら表層にはない、ということでしょうか」
芽亜は戦場であるエリアを見回す。
しかし、それどころではない。他の参加者がブラストヴォイスの無差別攻撃によってポイントを稼いだ芽亜を倒してポイントを奪おうと殺到しているのだ。
「これは……『ティタニウム・マキア』の差し金、というわけではないようですね。ともあれ、このゲームから退場していただきます」
芽亜の瞳がユーベルコードに輝く。
自分が目立てば目立つほどに他の猟兵たちも動きやすくなるだろう。
幸いにして自身のユーベルコードは広範囲に及ぶ。無差別攻撃であるが、敵味方など無いバトルロワイヤル形式なら気を使う必要もない。
「――コワレロ、世界!!」
荒ぶ声は、エリアの中心にありて迫る他の参加者を吹き飛ばしつづけ、嵐のような破壊を齎し続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・シュテル
『MMM』に含有される危険プログラムの検出及び回収が此度の任務ですね。
了解致しました。
奉仕者的新定義を発動、自我を持たせたLucyDoll達に此度の任務目的を命令として伝達、以て天上天下の二十の業を発動させます。
その上で、共にMMMへ参加致します。
Doll達は戦闘エリアへ散開して降下、各々の持ち場を巡り目的のプログラムを捜索させます。
探索完了・目的のプログラム発見・被撃破時は私の元へ【暗号作成】で秘匿化した通信でその旨伝えさせましょう。
私自身も、生き残り重視の方針で戦闘しつつ周辺戦域を【ハッキング】、各プレイヤーへの干渉の痕跡から件のプログラムの所在を辿れないか試みます。
戦いにおいて数とは力である。
だが、『ミリオン・マシーン・ミッション』――『MMM』はバトルロワイヤルである。自分以外の全てが敵であり、蹴落とすべき存在なのだ。
百万単位の参加者で1ゲームが成り立つという異常性。
けれど、最後の一人にさえ残ればランキングのポイントは一気に高ランクへと跳ね上がる。高ランクになれば企業にスカウトされ、一生安泰とも言える報酬が手に入るとなれば人々は熱狂するだろう。
そこにこそ巨大企業群『ティタニウム・マキア』の目論見があった。
このアミューズメントエリアの奥に仕掛けられた遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』によって人々の思考を破壊し、人形として尖兵に仕立て上げようとしているのだ。
この『MMM』が百万単位の参加者を募っている以上、『ティタニウム・マキア』の目論見が達成されれば、尋常ではない戦力が彼らの傘下に加わることだろう。
「奉仕者的新定義(アウェイクニング・ドール)を発動。目覚めなさい、誰でもなかった姉妹達よ」
ルナ・シュテル(Resonate1120・f18044)はサイバースペースにダイブし、『MMM』のアミューズメントエリアに飛び込む。
巨大なロボットを自身の身体のように動かす娯楽。
その中にあって彼女は『MMM』に含有される危険プログラムの検出及び回収を任務の主眼と置いている。
彼女の瞳に輝くユーベルコードによって簡易量産型バイオロイドたちは、一斉に彼女と同じ姿へと変貌していく。
「任務は危険プログラムの所在の探索。情報伝達の秘匿化を実行。さあ、行きなさい」
ルナの号令と共に一斉にバイオロイドたちは自分たちのロボットを動かしてエリアの中を駆け回る。
バトルロワイヤルである『MMM』のエリアは乱戦そのものであった。
あちこちで砲火にロボットが爆散していく。
その中をルナと彼女の使役するバイオロイドたちが駆け抜けていく。
「生存することを目的に。遅効性とはいえ思考破壊プログラムが仕込まれているのならば、このエリア内部で最も効率の良い場所に大本を仕掛けているはずです」
ルナは周囲の情報をハッキングし、情報を精査していく。
その間にもルナの手繰るバイオロイドたちがルナのロボットを守るように防衛しながら、エリア内部のあちこちでハッキングを行っている。
このサイバースペースにおいて一エリアとは言え、情報の膨大さは言うまでもない。
闇雲に探しても見つかるものも見つからないだろう。
だからこそ、ルナは『ティタニウム・マキア』が効率を求めるのならば、どうするかを考える。
『MMM』というアミューズメントエリアは娯楽そのもの。
自身がロボットを自在に動かすという点が受けているのはわかる。同時に生き残りを掛けたものであり、高ランカーほど遅効性プログラムが走るようにできているのなら。
「……頒布されている武器……高ランカーほどそれを活用しているからこそ、プログラムの侵食性が高いのなら」
ルナは気がつく。
遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』はフィールドに設置された武器頒布のプラントにこそ存在してるのだと。
「いえ、そうですね。その方が説明がつくというものです」
ルナは即座にプラントの配置情報を引っ張り出す。
フィールドに点在する武器頒布プラントは7つ。
この6つは六角形のように配置されている。そして、最後の一つが中央に設置されているのなら。
「プログラムの大本は、此の中央……!」
だが、しかしである。
中央プラントは激戦区である。突破するのも難しい。
けれど、ルナは自分たちならばできると、ユーベルコードによって無数の軍勢となったバイオロイドたちと共にバトルロワイヤルの戦場を割るように中央区へと駆け抜けていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うーん…|ヤマラージャ・アイビー《生と死を繋ぐもの》の名前をするものあちこちにありすぎじゃない?
けどまあ、追っていけばそのうち何か分かるかな
とはいえ、せっかくMMMをやるんだから多少は楽しまなきゃね
役得役得…?
けどロボとはいえ、自分の体と同じように動かせるのならやりやすいね
目的のブツがあるエリアを探さないといけないし、近接機動力重視でいこう
つまり、いつも通りって事をだね
双剣を携えてマップ内を探索だ
敵と遭遇したら速攻
接近して『薙ぎ払い』で斬り捨てていこう
寄るな寄るな、寄らば斬る!ってね
寄らないのなら、寄って斬るけど!
そんな感じに辻斬りしながらエリアを探していこう
さて、何処にあるんだろうね
「うーん……|『ヤマラージャ・アイビー』《生と死を繋ぐもの》の名前をするものがあちこちにありすぎじゃない?」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)はサイバーザナドゥに存在する電脳空間であるサイバースペースに仕掛けられているという遅効性思考破壊プログラムの名を聞き、首を傾げる。
その名を猟兵たちは知っている。
猟書家の一組が求め、オブリビオン・フォーミュラが所持していたという時間さえかければ誰でも世界さえも殺してみせるという懐刀。
その名を関するプログラムが何故、サイバーザナドゥにて存在しているのか。
遅効性であるところも似通っている点である。
「けどまあ、追っていけばそのうち何かわかるかな」
玲は電脳空間であるサイバースペースにダイブして、巨大企業群『ティタニウム・マキア』の主催する娯楽エリア……『ミリオン・マシーン・ミッション』、通称『MMM』のフィールドに降り立つ。
アクセスすると自分の身体が巨大ロボットに変化していく。
自分の身体のように巨大ロボットを操り、百万単位のバトルロワイヤルを生き抜くというゲーム。
これが今、サイバースペースで爆発的に競技人口を増やしているのだ。
「高ランカーになれば高額の報酬と企業へのスカウトっていうのを餌にしているんだね。まあ、お高いお給金は魅力的だと思うけど……それ以上にロボットかー」
これは約得だな、と玲は思う。
彼女はサブカルマニアである。
このように巨大ロボットを自分で自在に動かして戦うというのは、別世界でも似たような競技があったことを思い出すだろう。
ならば玲にとってはお手の物であった。
「というわけで、いつもどおりってことだよ!」
双剣を構えたロボットを操る玲がフィールドの中に飛び込んでいく。
マップを表示すれば、自分の現在地と、自分以外のプレイヤーの所在が近い距離のものだけ表示される。
「ロボとは言え、自分の身体と同じように動かせるなら」
「ルーキーかよ! わざわざ激戦地に飛び込んでくるなんてな!」
玲が降り立ったフィールドは武器頒布プラントが存在する地区だった。そして、近くに存在するプレイヤーからは、この『MMM』に初めて参加するプレイヤーにルーキーマークが見えるのだろう。
カモにするべくプレイヤーが玲に殺到する。
「やりやすいね。本当にいつも通りってことさ!」
手にした双剣を振るう。
二振りの武装が迫る他プレイヤーのロボットを切り裂き、吹き飛ばす。
「な、こいつ……! ルーキーステータスマークついているのに!」
「寄るな寄るな、寄らば斬るってね! 寄らないなら、寄って斬るけど!」
玲はロボットを駆る。
いや、自身の身体を動かすように走らせ、双剣でもってルーキーマークに寄ってきたプレイヤーたちを次々と撃破していく。
すぐさまルーキーマークが外れ、ランキングが跳ね上がっていく。
「とは言え、遅効性プログラムの出処かぁ……さて、何処にあるんだろうね。おっと!」
未だオブリビオンの監視の目はあるだろう。
玲はロボットを動かしながら、他の猟兵たちが探索を開始していることを知る。
なら、自分は仲間の猟兵たちの邪魔をされないように他の参加者たちを引き付け続けるだと、双剣でもって嵐のように暴れまわるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エメラ・アーヴェスピア
こういう電脳関係の仕事が多く起こるのもこの世界の特徴よね
…今回、どうやら外からのハッキングが無理らしいからこうやって乗り込むしかない訳だけど
まぁ、そういう事もあるわよね…まぁいいわ、猟兵の仕事を始めましょう?
監視があるとはいえ、私もこの方面には強い猟兵の一人、仕掛けてみましょう
・『CODE:Chaser』を複数オン、対象は「ヤマラージャ・アイビー」と「参加者」
【情報収集】【ハッキング】【情報検索】【追跡】【偵察】
・ロボは迫撃砲装備型、UCで得た情報を元に【砲撃】で減らすと同時に自分はあまり見つからない様に
自身の体の様に、とは言うけれど…私の場合は操縦の方がやり易いのよね…
※アドリブ・絡み歓迎
サイバーザナドゥの電脳空間サイバースペースは、まるで生身のように非現実的な体験のできる娯楽である。
街中に存在するポータルからは、誰もが簡単にアクセスすることができる。
その中の娯楽はどれもが刺激的であったが、今最もサイバースペース内で話題になっているのが巨大企業群『ティタニウム・マキア』が主催するアミューズメントエリアにて行われている巨大ロボットになって競う『ミリオン・マシーン・ミッション』、通称『MMM』と呼ばれるゲームだ。
しかし、それは『ティタニウム・マキア』の巧妙な罠である。
彼らはゲームエリアの何処かに遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』を仕掛け、人々を人形に変え、尖兵として傘下に収めようとしているのである。
「こういう電脳関係の仕事が多く起こるのもこの世界の特徴よね」
とは言え、とエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)はポータルから飛び込んだ電脳空間のエリアにて視線を上に向ける。
そこにあったのは巨大なロボット同士が激突する光景であった。
今まさに彼女がいるのは『MMM』の戦場エリアだった。彼女の眼前に浮かぶメッセージボード。
『ミリオン・マシーン・ミッション』に参加するかのメッセージをエメラはタップして参加を決定する。
自分自身となる巨大ロボットは迫撃砲装備型。
さらに彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
此の電脳空間は外からのハッキングが不可能である。
だが、内部ならば?
「監視があるとは言え、私もこの方面には強い猟兵の一人、仕掛けてみましょうか」
CODE:Chaser(コード・チェイサー)。
それは電脳空間に探査と追跡プログラムを走らせるユーベルコードである。如何に監視の目があるとしても、そのプログラムは極めて発見され難い。
故にエメラは巨大ロボットを選択し、自分の身体が巨大化する間隙にプログラムを走らせる。
「対象は『ヤマラージャ・アイビー』と『参加者』よ」
エメラは巨大ロボットの肩部に装備された迫撃砲の砲門を迫る他の参加者のロボットに向ける。
放たれる火砲の一撃が爆風を戦場に吹き荒れさせる。
彼女の目的は敵の撃破ではない。彼女は爆風の中に自分のロボットを紛れさせながら、敵の追撃を振り切る。
「自分の体のように、とは売り文句なのだろうけれど……私の場合は操縦の方がやりやすいのよね……」
エメラは自身の身体能力があまり高くないことを気にしているのだろう。
けれど、彼女は自身の身体を動かすように、というリソースの削減を得て、追跡プログラムを操作する。
爆風に紛れて逃げたのも、この作業に集中するためだ。
「継続して参加しているゲームの『参加者』なら、遅効性思考破壊プログラムが既に浸透しているはず……高ランクの参加者のほうがより侵食性が高いなら」
エメラは理解する。
このゲームで生き残っている高ランカーほど強力な武器を手に入れている。
それはバトルロワイヤルというゲーム形式を考えれば当然のことだった。だが、その武器は何処から手に入れているのか。
「武器頒布プラントが7つ……なるほどね。ゲームが進行して淘汰されていけば、自ずとプログラムが深く浸透していくってわけ。なら」
エメラは探査プログラムを走らせる。
「やっぱりね。武器頒布プラントがプログラムの出処なのね。捉えたわ、もう逃さないわよ」
彼女のステータスモニターからマップを広げる。
大雑把なマップであるが、武器頒布プラントの場所は記されている。六角形を描くように配置されたプラントと、その中央に位置するプラント。
そこに高ランカーたちが集中している。
「なら、『ヤマラージャ・アイビー』はこの中央から6つのプラントに流れているってこと。大本は中央――!」
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
ヤマラー……ミリオン……てぃたにう……。
ステラさん、横文字多すぎて理解が追いつかないのですが!
とりあえず、ゴーレムと思考破壊プログラムっていうのを、
なんとかすればいいんですよね?
思考破壊プログラムっていうのは、
ステラさんが今雄叫んでた、やべー叫びみたいなものってことでいいんですよね。
それなら慣れてるのでなんとかなりそうです。
って、ステラさん、変な二つ名つけないでください!
わたし、『光の』勇者ですから!
でもこの数は1体ずつだと時間かかっちゃいますね。
【Canon】でいっきにいきますよ!
あー! ずるいですよ!
なんで自分だけお空に避難してるんですかー!
演奏、聴いてくださいよー!
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
ヤマラージャ・アイビー……
確か大祓骸魂が持っていた短刀の名と同じですね
生と死と繋ぐものにして
鈍だけど時間をかければなんでも殺せるモノ
思考を破壊されてただ呼吸している状態は果たして生きているのか死んでいるのか
どちらでしょうね?
それはそれとして
|エイル様《主人様》の!香りがします!!
あのメリサという男、やはりエイル様の匂いがしますね
誰がやべーメイドですか
ミッションはロボの破壊
つまりルクス様の一人勝ち確定
さすが破壊の勇者
貫禄が違いますね
私ですか?
役に立たなさそうなので飛空艇になって空で待ってます
ふぁいと、ルクス様(はーと)
さてメリサの目的はなんなのでしょう?
やはりセラフィム?
「ヤマラー……ミリオン……てぃたにう……」
それはうわ言のようであったし、また同時にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)が今回の事件の概要を理解するにはあまりにも横文字が多すぎることを示していた。
いつだってそうだけれど、人は名前に意味を持たせる。
それはある意味で当然であったことだろう。
すぐに『それ』とわかるように名前を付けて共有知へと変えていくことこそが迅速な情報伝達の術であるからだ。
けれど、それは素地がデキていなければ意味のないことだ。
ルクスにとっては馴染みのない言葉。けれど、どこかで聞いたことのある言葉であるのならば、知識の混線だって起こるだろう。
ちょうど今、サイバーザナドゥの電脳空間、サイバースペースにて巨大企業群『ティタニウム・マキア』が主催するアミューズメントエリアで行われている娯楽……通称『MMM』と呼ばれている巨大ロボットを我が身体のように動かして競うゲームの混戦にも煮ていた。
「ステラさん、横文字多すぎて理解が追いつかないのですが!」
そんな彼女の言葉にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はゆっくりと解説する。
「『ヤマラージャ・アイビー』……確か、カクリヨファンタズムのオブリビオン・フォーミュラが持っていた短刀と同じ名ですね。『生と死を繋ぐもの』にしてなまくらだけど時間をかければなんでも殺せるモノ」
彼女の説明は端的であった。
巨大ロボットになって百万単位のバトルロワイヤルを行う娯楽の中に、その名を冠する遅効性思考破壊プログラムが仕掛けられているのだ。
これによって巨大企業群『ティタニウム・マキア』は思考を破壊し人形と化した人々を尖兵として傘下に収めるつもりなのだ。
「思考を破壊されてただ呼吸をしている状態は果たして生きているのか死んでいるのか。どちらでしょうね?」
ステラの言葉ももっともである。
しかし、大丈夫であろうか。いつもの調子では無い気がする。いつもよりシリアスな雰囲気が漂っている。
さしもの彼女も『ティタニウム・マキア』の目論見に慄いているのかもしれない。
「とりあえず、ゴーレムと思考破壊プログラムっていうのをなんとかすればいいんですよね?」
「ええ、そのとおりです。それはそれとして!」
ぐわ! とステラの瞳が輝く。
メガネを掛けていて知的な雰囲気がどっかに吹っ飛んだ瞬間であった。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがします!! あの『メリサ』という男、やはり『エイル』様の匂いがしますね!!」
「思考破壊プログラムってステラさんの雄叫びみたいなものなんですよね。やべー叫びみたいなものってことでいいんですよね。それなら慣れているのでなんとかなりそうです」
ルクスはステラの叫びをスルーしていた。
見事に右から左に聞き流していた。
「誰がヤベーメイドですか」
はいやばい。
二人はアミューズメントエリアに飛び込む。
ルクスはステラの追求を逃れるようであったけれど、この際それは些細なことである。
「ミッションはロボの破壊。つまりルクス様の一人勝ち確定」
「えっ、どういう意味ですか!?」
二人の変化したロボットにはルーキーマークが点灯している。
これは普通のゲームであれば、ルーキーだから標的にしないようにという表示であったが、この『ミリオン・マシーン・ミッション』においては違う。
カモにしてよい、という表示に他ならなかった。
他の参加者たちが二人に殺到する。
なにせ、キルマークを重ねてポイントを積みめばランキングを駆け上がることができる。ランキングが高くなれば企業からのスカウトもあるのだ。
そうなれば人生一発逆転も夢ではない。
「ルーキー狩りだ! ポイントをよこせよ!!」
迫る『MMM』に取り憑かれた中毒参加者たち。
しかし、ルクスはたじろぐことはなかった。
「Canon(カノン)……いっきにいきますよ!」
巨大ロボットのアイセンサーがきらめく。
輝く光は、ルクスのロボットの胸部よりスピーカーのような武装を展開させ、彼女が奏でるヴァイオリンの破滅的な旋律を放出する。
「なんだこれ!? 頭が割れる……!?」
「音のデカさよりメロディの気持ち悪さのほうが勝ってる……!」
「いやだ、耳をふさいでも聞こえてくる!?」
混乱する戦場。
ルクスの放つユーベルコードにまで昇華した演奏はステラの言う通り、一人勝ち状態であった。無差別であるが。
しかし、ルクスは己のロボットを飛空艇に変形させて、音の届かぬ空から見ているだけであった。
「あー! ずるいですよ! なんで自分だけお空に避難してるんですかー! 演奏、聞いてくださいよー!」
「ふぁいと、ルクス様はーと」
「口で、はーとって言った!」
やんややんやとルクスの抗議の周囲では次々にルクスの演奏に耐えられず、参加者たちがログアウトという名の白旗を上げていく。
そんな破壊の勇者を見下ろしながらステラは考える。
これが『ティタニウム・マキア』の策動であるというのならば、『メリサ』という男の目的はなんなのだろうか。
ステラは考える。
けれど、答えはでないだろう。今は、思考破壊プログラムの在処を突き止めることが先決なのだから――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……中毒性に加えて思考能力の低下…一種の電子ドラッグだなこれ……
強制的に晒されるって言うのが問題だけど…ふむ…実地で検証が必要だな…
…MMMに搭乗してゴー…機体はえーと…高機動力の中距離射撃機体で行くか…
この中のどこかに『ヤマラージャ・アイビー』が仕掛けられているなら探さないといけないからね…
…【我が身転ずる電子の精】で目と耳を粒子化…データを『見聞きして』確認して…他の参加者を適当にいなしつつ異常が無いかをチェック…
…参加者の汚染状況も同じく確認しておくかな…『ヤマラージャ・アイビー』の影響が濃い参加者が多い場所はだいぶ怪しいしね…さて……どこに仕込んでいる物やら…
遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』。
それは巨大企業群『ティタニウム・マキア』が主催する電脳空間サイバースペースにおける巨大ロボットになって行われる百万単位のバトルロワイヤルゲームに仕掛けられたプログラムである。
「……中毒性に加えて思考能力の低下……一種の電子ドラッグだな、これ……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、『ミリオン・マシーン・ミッション』……通称『MMM』と呼ばれるバトルロワイヤルゲームの戦場に降り立つ。
自身のロボットを高機動力の中距離射撃機体に設定して、彼女は砲火荒ぶ戦場を飛ぶ。
百万単位の参加者が存在するバトルロワイヤルは苛烈にして熾烈なる生存ゲームであった。
何処を見ても敵ばかり。
共闘という名のチームアップは一時的に行われても、次の瞬間にはすぐに敵になる。
騙し討ち、謀略、あらゆることが容認されているし、プレイヤーたちもそれを理解している。
娯楽であれど、ランキング上位になれば企業からスカウトされるという事実が彼らにランキングを競わせる要因になっていた。
企業に認められれば、底辺の生活から脱却できる。
それにこうしたゲームを遊んでいるだけで、そうした目が見られるというのならば、彼らんは娯楽以上の意味をもって、この危険なバトルロワイヤルに入れ込むだろう。
「よく考えられているね……この目論見が完遂すれば『ティタニウム・マキア』は百万単位の尖兵を手に入れることができるってわけだ……」
とは言え、メンカルが成すべきことは一つ。
遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』が仕掛けられているエリアを特定することだ。
「我が体よ、変われ、集え。我は掌握、我は電霊。魔女が望むは電網手繰る陽陰――我が身転ずる電子の精(コンバート・テクノマンサー)よ」
メンカルは戦場エリアの空を駆けるように飛びながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
迫る敵をアサルトライフルで牽制しながらメンカルの瞳と耳は粒子化され、アミューズメントエリアにある情報を『見聞き』する。
このエリアに『ヤマラージャ・アイビー』が仕掛けられているのなら、異常があるはずなのだ。
周囲の参加者の状況を見やる。
殆どが低ランクの者たちばかりだ。けれど、高ランクの者が混じっている。恐らく低ランクのものを狩っているのだろう。
明らかに武装の火力が違いすぎる。
「……標準の装備じゃない……? セッティングされているものが全てじゃ……ない、ということ?」
メンカルは見やる。
高ランクの参加者の武装は他の参加者のものとは違う。
高ランク足らしめる武装を何故装備できているのか。その理由をメンカルは理解する。
エリアに点在する武器頒布プラントだ。
全てで7つ点在するプラントにて頒布される武器が高ランクに昇るための鍵なのだ。だからこそ、戦場におりたってプレイヤーが目指すのは武装頒布プラント。
だが、高ランクプレイヤーは、プラントに向かおうとする低ランクを寄せ付けぬように刈り取るのだ。
「……なるほどね。高ランカーほど『ヤマラージャ・アイビー』の影響が濃いってことか……」
となれば、とメンカルは理解する。
ゲームに熱中すればするほどに、攻略の最適解を見つけるように。
武装頒布プラントこそが『ヤマラージャ・アイビー』を隠蔽している箇所。そして、7つ点在するプラントの中央にあるものこそが出処だろう。
その証拠にメンカルは見た。
不自然なデータ障壁。中央の武装頒布プラントに仕掛けられた電子障壁。他の猟兵もそれに気がついたのだろう。
そこに向かっている。
「……効率的にっていうのなら、それが最適解か……じゃあ、其処だね」
メンカルは他の猟兵たちと共に迫る高ランカーたちを蹴散らしながら、中央の武装頒布プラントへと向かうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
任務了解、ミレア・ソリティス、出撃します
近接戦用5型+隠密工作用3型兵装を装備、機器ハッキングにより機体を同期化、本来の体同様に操作可能とし、
アクティブステルスとグライフフリューゲルによるステルス展開しての強襲近接戦と
ロングレンジブラスターによる姿を隠しての狙撃を行い、他参加者を脱落させて回ります
その間にUCで現地生成した隠密兵装の簡易型ミレア部隊を散開させ、情報収集およびこの後に向けての|破壊工作《クラッキング》を実行し、必要であれば他参加者に対する妨害工作や狙撃による援護射撃を行いましょう
なお、簡易型の私は「内部の素材を用いての現地生成」ですので、外部からの侵入を警戒しても無意味です
「任務了解、ミレア・ソリティス、出撃します」
短く告げ、ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)はサイバーザナドゥの電脳空間サイバースペースに存在するアミューズメントエリアへとダイブする。
巨大ロボットを己が身体のように動かし、百万単位のバトルロワイヤルを行う娯楽……『ミリオン・マシーン・ミッション』はミレアにとって容易いものであったことだろう。
ダイブしたアミューズメントエリアからのメッセージウィンドウにふれる。
自分のロボットの特徴を選択していくのだ。
近接型であり、また同時に隠密工作用の装備を装備したロボット。
選択したそれは、バトルロワイヤルというゲーム方式においては常套と言える選択だっただろう。
けれど、そこにミレアは危機ハッキングに寄って己の機体と同期化をはかる。
本来の身体同様に武装を使用できるようにするために機器をハッキングし、パラメーターをいじるのだ。
「これは。ルーキーマーク?」
ミレアは己の機体に浮かぶマークに訝しむ。
恐らく、これが新たな参戦者の証なのだろう。他の参加者はルーキーを狩ることこそがポイントを楽に稼ぐ手段だと理解している。
なるほど、とミレアは得心が行く。これが結局のところ、このロボットバトルロワイヤルを娯楽足らしめているところであるのだろう。
「ルーキー狩りというものなのでしょうが、私には無意味です」
ミレアのロボットが殺到する他プレイヤーたちの目の前で消えていく。
「ログアウトか!?」
「いや、違う反応がロストしたわけでも――」
他プレイヤーたちが困惑している最中、ミレアはステルス機能によって姿を消し、一気に困惑する彼らを近接武装で切り裂く。
さらにミレアはこちらのステルスを看破してくる機体を見やる。
「ステルスってのもな! 反応がある場所から割り出すことなんてのは! 簡単なんだよ!」
恐らく高ランカーであろうロボットがミレアを狙う。
瞬時にミレアのロボットの武装が跳ね上がる。肩部に装備されたロングレンジブラスターの砲身が展開され、砲口からビームの光条が己を狙う高ランカーの機体を貫く。
「無駄です」
ミレアは己を狙う他プレイヤーたちを次々と脱落させながら戦場をかき回す。
「簡易機生成、装備指定:3型兵装……生成完了、データリンク……完了。各機散開、任務、開始」
コール・レギオン:3α(コールレギオンスリーアルファ)を発動し、ミレアは戦場に自身の簡易量産型ミレア隊を出現させる。
彼女たちに告げるのは、このアミューズメントエリアの何処かに仕掛けられた遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の探索。
「了解。破壊工作開始」
ミレアの号令にしたがって、簡易量産型たちが一斉にクラッキングを開始する。
ゲーム内部の情報を元に生み出されている簡易量産型であるがゆえに、このゲームエリアを監視する巨大企業群『ティタニウム・マキア』には異常を悟られることはないだろう。
だからこそ、ミレアは己自身が他の猟兵たちが中央の武装頒布プラントに迫るのを援護する。
簡易量産型から伝わる情報と照らし合わせても、7つあるうちの中央に存在する武装頒布プラントがプログラムの出処であるとわかるだろう。
「高ランカーがプログラムの侵食度合いが高いことを考えれば、当然ですね。高威力の武装にこそプログラムが潜んでいる。その大本が、あのプラント」
であれば、とミレアは簡易量産型のミレア隊に己の援護を任せ、プログラムの根源たる中央武装頒布プラントへと飛ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『エンフォースメント・オペレーター』
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POW : スマートアサルトライフル
自身の装備武器を【スマートモード】に変え、【弾丸】に【自動追尾】能力と【炸裂】能力を追加する。ただし強すぎる追加能力は寿命を削る。
SPD : エネミーサーチ
【サーチドローン】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【敵探知】効果によってその成功率を高める。
WIZ : スモールディスラプター
【インセクトボット】から、戦場全体に「敵味方を識別する【電磁パルス】」を放ち、ダメージと【電子機器】及び【機械化義体】に【使用不可】の状態異常を与える。
イラスト:nitaka
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちはアミューズメントエリア、『MMM』に仕掛けられた遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の出処をついに突き止める。
それはエリアに7つ点在する武装頒布プラント。
その中心部に存在する中央部のプラントを出処にしていることが判明したのだ。
高ランカーたちが集う中央エリアは激戦も激戦であったが、猟兵達はこのバトルロワイヤルゲームにおいて徒党を組むように高ランカーたちを蹴散らし、エリアに到達する。
「……!『ヤマラージャ・アイビー』の管理区画に侵入者あり!」
「なんだと?」
『イレイザー』は『エンフォースメント・オペレーター』たちの言葉に眉根を寄せる。
このバトルロワイヤルゲームにおいて、確かに中央の武装頒布プラントは重要拠点だ。だが、それは高威力の武装を得るためであって、内部に入り込むためではない。
となれば、答えは一つである。
「嗅ぎつけた者がいる、ということか。面倒なことを。ゲームを一時中断し、お前たちは侵入者の排除に迎え。私はスケジュールを組み直す」
「ハッ!」
『イレイザー』の号令によって次々と『エンフォースメント・オペレーター』たちが猟兵たちが侵入した中央エリアへと向かう。
そして、猟兵たちは見ただろう。
己たちの身体を巨大ロボットに変化させていたプログラムが停止し、いつもの自分たちの姿になっている。
「動くな! 侵入者ども!」
次々と現れる『エンフォースメント・オペレーター』達。
殺到するように現れたことからも、此処が『ヤマラージャ・アイビー』が存在するエリアであることは間違いない。
ならば、オブリビオンたる『エンフォースメント・オペレーター』たちを蹴散らし、プログラムの確保を行わなければならない――。
儀水・芽亜
お出ましですね、オブリビオン。ここが目的地で間違いないようです。
数を頼みとするならば、こちらは一騎当千で迎え撃ちましょう。
出番ですよ、“断頭卿”ギロチン。虐殺師の名に恥じぬ戦いを期待します。
彼はあのまま指示も送らなくてよし。自分の判断で敵を削っていってくれるでしょう。
私は裁断鋏『Gemeinde』で、オペレーターの群を刈り取っていきます。
銃撃対策に「オーラ防御」を張って、攻撃を受けたら一気に間合いを詰めて「カウンター」で対抗しましょう。
敵の目が“断頭卿”に向いている間に、隙を見せた敵から「早業」の「切断」で首を刎ねていきます。
敵の層が薄くなれば、“断頭卿”とも協力して殲滅していきましょう。
サイバースペースはまるで生身のように体感することのできる電脳空間である。
その空間の中であるからこそ自分の身体のように巨大ロボットを動かすことができたのだ。けれど、そのゲームは一時中断され、猟兵たちは自分たちの身体が現実世界と同じ形になったのを確認し、たどり着いた中央エリアこそが問題の思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』が存在している場所であると確信しただろう。
「お出ましですね、オブリビオン」
中央エリアに現れたオブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』たちの構えるアサルトライフルの剣呑あるか輝きをみやり、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は確信を強める。
「やはり、ここが目的地で間違いないようです」
「侵入者! 奴等か、この異常の原因は!」
『エンフォースメント・オペレーター』たちはアサルトライフルの銃口を向け、芽亜へと引き金を引く。
放たれた弾丸は炸裂弾。
確実に芽亜を仕留めるために放たれた弾丸は、電脳空間であっても確実に彼女の肉体に傷をフィードバックさせることだろう。
この場において『エンフォースメント・オペレーター』たちは、猟兵の排除を優先する。弾丸は芽亜目掛けて宙を飛び、彼女の身体を吹き飛ばす――はずだった。
その弾丸を空中で切り裂くものがあった。
それは刃。
宙より現れ、まるで断頭するかのように落ちる刃(ギロチン)であった。
「私の敵たちを、好きなように殺してしまってくださいな、“断頭卿”」
芽亜の瞳がユーベルコードに輝いている。
彼女が生み出したのは想像より創造された一騎当千たる虐殺師ギロチン。
手にした断頭台の如き巨大な刃が炸裂弾を切り裂き、寄せ付けないのだ。
「な、なんだこいつ……!?」
『エンフォースメント・オペレーター』たちの同様も無理なからぬことであった。彼らの前に迫るのは無言の虐殺師。
振るう刃が尽く彼らの首を切り落とし、動く度に『エンフォースメント・オペレーター』たちの首が地面に転がるのだ。
「さすがは『ティタニウム・マキア』の庭、とでも言うべきでしょうか。後から後から敵がやってきますね。ですが……」
芽亜は己たちの敵ではないと己がユーベルコードで生み出した虐殺師ギロチンと共に迫る『エンフォースメント・オペレーター』たちの放つ弾丸を切り裂き、弾きながら彼らの首を切り取っていく。
芽亜の振るう裁断鋏が翻る度に『エンフォースメント・オペレーター』たちは己たちの数が減らされていくことを理解しただろう。
「“断頭卿”は指示なくとも首を刈り取るもの。あなた達は雑草のよなもの。刈り取ってキレイにしなければなりませんから」
だから、ここで終わりだというように芽亜の刃が閃く。
斬撃は過たず。
そして、振るう刃に躊躇いはない。
断頭の刃に迷いはない。迷いは太刀筋を狂わせる。生命を刈り取るという行いを前に人は躊躇いを持つものだ。
けれど、芽亜の創造した虐殺師にそのような感情はない。
あるのは首を落とさねばという使命にも似た性質のみ。
その音を聞き、芽亜は敵の大挙として現れる波を押し留めるように、己もまた刃を振るうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・シュテル
目標の存在座標へ到達。
敵の防衛戦力の排除に当たります。
銃火爛漫を発動、現れた簡易量産機達の射撃で以て敵を攻撃して参ります。
私は上空へ飛ばしたDoubleOrbitを介した【情報収集】で敵の動きを逐次確認、敵の攻め手への対処や隠れた敵の炙り出しを逐次量産機達へ指示。
インセクトボットが放つ電磁パルスは大変に厄介ですので、これの探知を最優先と致します。
発見次第、量産機のいずれかに破壊させるか、或いは私自らAnti-Aresで【スナイパー】し撃ち落としましょう。
斯様なる無粋なプログラムは、娯楽の場には似つかわしくございませんので。
確実に、除去させて頂きます。
猟兵たちが求めるものが何処にあるのかをルナ・シュテル(Resonate1120・f18044)は知る。
遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』。
その所在はアミューズメントエリアの中央。
バトルロワイヤルゲームにおける7つ点在する武装頒布プラントの中央部。
そこにこそプログラムを発信する中枢があることを猟兵たちは突き止めたのだ。
「目標の存在座標へ到達」
しかし、その侵入は即座に巨大企業群『ティタニウム・マキア』の監視の目に触れることになる。
瞬時に現れたオブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』たちはインセクトポットを展開し、電磁波でもって猟兵たちの手繰る武装の無力化を狙う。
「敵の防衛戦力の排除にあたります」
彼らの前に飛び出したのは、己の簡易量産機体。
電磁波でもって行動付のされても、即座に次なる簡易量産機体が飛び出し『エンフォースメント・オペレーター』たちへと指先から発せられる光線でもって貫いていく。
「こ、コイツら数が……!」
インセクトポットとの連携でもってさらなる数の利を見せる『エンフォースメント・オペレーター』たちであったが、更にそれを上回る数でもって圧砕するかのようにルナたちの行軍は中央エリアの中枢へと止まらない。
「インセクトポットは確かに大変に厄介です。ので、破壊します」
ルナは簡易量産機体から発せられるインセクトポットの所在を情報伝達で持って受け取り、指の光線銃でもって、これらを後方から撃ち抜く。
「インセクトポットを狙い撃ちにしている!?」
「何処からだ……!」
ルナは『エンフォースメント・オペレーター』たちの射線から離れるようにして戦場を駆け抜ける。
簡易量産機体からの情報で持って自身へと注意を向けさせない。
自身の所在をひた隠し、脅威となる敵のインセクトポットを次々と撃破していくのだ。そうすれば、電磁波にやられた簡易量産機体も復旧する。
そうなれば、数の利はこちらに傾く。
「敵性体の脅威を排除しました。LNA-1120より応援要請。ルナ・トルーパーズ、出撃願います」
ルナの瞳がユーベルコードに輝く。
戦場に散るは銃火爛漫(ルナ・トルーパーズ)たる火花。
ルナの生み出した内蔵火器を搭載した簡易量産機体は、じりじりと『エンフォースメント・オペレーター』たちの防衛線をジリジリと押し上げていく。
「まだ数が増えるのか……!?」
総勢にして五百を越える簡易量産機体。
その行軍は『エンフォースメント・オペレーター』たちにとって絶望的な戦力差であったことだろう。
例え、一撃で消滅するのだとしても、それでも波のように光線を解き放ちながら猟兵を包囲していた彼らは、その包囲を完全に破られる。
これが強化人間たるルナの本領。
ユーベルコードに裏打ちされた数千の『姉妹』たちによる、本当の意味での数の暴力を知らしめ、ルナは進む。
「斯様なる無粋なプログラムは、娯楽の場には似つかわしくございませんので。確実に除去させて頂きます」
ルナは数百という簡易量産機体と共に『エンフォースメント・オペレーター』たちの包囲を破り、逆に取り囲みながらその数をすり潰していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
ステラさんもわたしも、いつもの姿で落ち着きます。
「今日はいつもの可愛いルクスちゃんですよ!」
今回はゴーレムもいないみたいです、けど、『エイル』さんの気配もないですね。
ステラさん、気をしっかり!
ほらなんかいっぱい出てきましたし、
悲劇のヤバメイド(スト●カー風味)とかやってる場合じゃないですよ!
ステラさん、あのひとたちなら、
『メリル』さんのこと知ってるかもしれないですよ?
え?『メリサ』さん?
そうですツッコミに来てくれたらという作戦です!
決して興味がなかったとかでは……。
いえ、なにもいってません!
と、とりあえずひとりかふたり、しゃべれればいいですよね!
(誤魔化すように【カンパネラ】発動)
ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふぅ、ようやく|隠し場所《ポイント》ですね
…………(ルクス様の自己紹介を聞いて宇宙メイド顔)
いえまぁ、ルクス様がかわいい部類に入るのもそう評されるのも
何も異論はないのですが
自称されるとこう、違和感が
確かにエイル様の香りはしませんねえ
ここでも出会えないのですね、マイマスター(なんか演技)
いえ、私は諦めません
いつかあなたに会える日を迎えるために……!(なんか演技)
ってなにをさせるんですかルクス様
誰がやべーメイドですか
私は忠実なる|メイド《犬》です
そろそろ文字数がヤバいので戦いましょう
あと、メリサ様ですたぶんおそらくめいびー
はっ!?そうか名前間違いで呼び出すパターン?
ルクス様策士ですね?
遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の所在を突き止めた猟兵達は巨大企業群『ティタニウム・マキア』の新設したアミューズメントエリアの中央エリアへと到達する。
だが、それは監視の目を巡らせていた『ティタニウム・マキア』の知るところとなった。
続々と現れる『エンフォースメント・オペレーター』たちはアサルトライフルを構え、電磁波放つインセクトポッドを展開する。
「侵入者を補足しだい撃破せよ。発砲の許可は出ている!」
彼らは中央エリアが重要な領域であることを示すように次々と行動を開始する。
その最中にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は息を吐き出す。
巨大ロボットを操縦……もとい、飛空艇に変形して空にてルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の奏でる演奏から退避していたのだ。
距離があったから鼓膜は無事である。
ルクスはなんか不満顔をしていた。
だが、ルクスはサイバースペースにおける己の身体が元の姿に戻ったことに落ち着きを取り戻す。
「今日はいつもの可愛いルクスちゃんですよ!」
ステラの宇宙メイド顔にルクスはさして動じることはなかった。
まあ、とステラは思う。
ルクスは可愛い部類に入るのもそう評価されるのも異論はない。けれど、自称されるとなんかこう、違和感があるのだ。
可愛いってなーんだ。
可愛いってどーいうこと。
それは、他者からの称賛!
なので、なんかこう、ステラは釈然としないものを感じるのだ。
「今回はゴーレムもいないみたいです、けど、『エイル』さんの気配もないですね」
ルクスはステラの行動原理たる『エイル』の気配がない、ということなんとなく言った。
「確かに『エイル』様の香りはしませんねえ。ここでも出会えないのですね、マイマスター」
なんか演技がはじまってるなぁ、とルクスは思った。
なんとなく言ったことをさも常識のように振る舞われると、なんだかなぁと思ってしまうのだ。別にルクス可愛い! への意趣返しではない。
「いえ、私は諦めません。いつかあなたに会える日を迎えるために……!」
「ステラさん、気をしっかり!」
ルクスはステラがなんかこう悲劇のヒロインぽい雰囲気を出し始めたことに危機感をおぼえ……じゃない、こちらに向かってくる『エンフォースメント・オペレーター』たちを見やりガクガク揺さぶる。
「なんかいっぱい出てきましたよ! 悲劇のヤバメイドとかやっている場合じゃないですよ!」
ストーキング的な風味が加味されたメイド的な。
ルクスはガクガクとステラをさらに揺さぶる。
ステラはまだ演技中である。
「ああっ! どうしてあなたは『主人様』なのです! 私がメイドだからですか!」
「意味わかんないし、ステラさんはそんなこといわないです1」
ほらー! とルクスはアサルトライフルから炸裂弾をぶっ放してくる『エンフォースメント・オペレーター』たちを指差す。
マジで演技なんてやっている場合じゃないのである。
酔いしれるのはオブリビオンをぶっ飛ばしてからにして欲しいとルクスは思うが、まだステラはトリップ中である。
「ステラさん、あの人達なら『|メリル《・・・》』さんのことを知っているかもしれないですよ?」
ルクスは一計をあんじた。いや、嘘である。
単に間違えただけである。
「『メリサ』様です」
「あっ、はい。いえ、そうですツッコミに来てくれたらという作戦です!」
「『メリサ』様が? はっ!? そうか名前違いで呼び出すパターン? ルクス様策士ですね?」
ステラはトリップから復帰してルクスの策謀に感じ入る。
いや、絶対偶然んだぞっ。
「そうですそうです」
ルクスは言えなかった。
あんまり興味がなかったから名前もそんなにしっかり覚えていなかったなどとは言えなかった。言ったが最後である。たぶんおそらくめいびー。
「そうと決まれば、ルクス様。押しかけメイドの本気(マワリトノニンシキノチガイ)」
「うっわ」
「誰がやべーメイドですか」
「言ってませんからね!?」
ルクスは誤魔化すように迫る『エンフォースメント・オペレーター』を雑にLa Campanella(ラ・カンパネラ)の一撃でぶっ飛ばしながら、ステラの追求の瞳にぶるってしまうのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エメラ・アーヴェスピア
あら、解除されるのね?私としてはありがたいわ
とはいえここからが本番かしら…手早く進むとしましょう
なるほど、そう来るのね?いいわ、性能比べと行きましょう
・上空に「ドローン」を配置後、『CODE:Observer』オン、こちらも【情報収集】による敵探知
・その後同時に選択した『出撃の時だ我が精兵達よ』発動、装備は魔導蒸気ライフルをメインに
・上記兵士を【集団戦術】にて運用、確実に削っていく
ええ、相手と同じ戦術よ
出てこないとは思うけれど、一応インセクトポッドは警戒、見つけたら即座に破壊よ
…それをされると、兵士どころか私にも影響が出かねないわ
※アドリブ・絡み歓迎
『MMM』――アミューズメントエリアに存在する巨大企業群『ティタニウム・マキア』の主催するバトルロワイヤルゲーム『ミリオン・マシーン・ミッション』は猟兵たちが中央エリアに到達したことにより、一時中断される。
自身の体は巨大ロボットに変化していたが、ゲームが中断されたことにより、元の姿に戻ってしまっている。
それを残念に思う者もいれば、むしろ好都合だと思う者もいた。
エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は、やはり巨大ロボットは自身が成るのではなく、自身が操縦するほうがいいと思いを新たにした。
「私としてはありがたいわ」
とは言え、ここからが本番だ。
中央エリアに侵入した猟兵たちを排除線とオブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』たちが殺到してきている。
サーチドローンがエリアに飛び立ち、あちこちで猟兵とオブリビオンの戦いが始まっている。
アサルトライフルの銃声を聞きながらエメラは笑う。
「なるほど、そう来るのね? いいわ、性能比べと行きましょう」
エメラが放ったドローンが空を飛ぶ。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
CODE:Observer(コード・オブザーバー)。それは情報収集プログラムを放つユーベルコード。
ドローンから放たれたプログラムは電脳空間であるサイバースペースにおいては、ラグなしでエメラに周囲の情報を収集伝達させる。
それは敵である『エンフォースメント・オペレーター』たちが放ったサーチドローンの所在、そしてそれを手繰る彼らの位置さえも彼女に知らしめるものであった。
「これはそもそも準備のようなもの、手早く済ませるわよ」
さらにエメラのユーベル絵コードが煌めく。
「さぁ出撃の時だ我が精兵達よ(メイクアサリー)、私の勝利のために出撃なさい」
その言葉とともに彼女の背後から現れるのは蒸気を噴出させながら現れる百を越える魔導蒸気兵。
単眼に軍服まとった魔導蒸気兵たちは一斉に電脳空間に走る。
「敵性体を確認……この数は!」
「こちらに準備をさせた時点であなた達の敗北は決まったようなものよ」
エメラは掲げた手を振り下ろす。
それを合図にして魔導蒸気兵たちはライフルを構える。すでに『エンフォースメント・オペレーター』たちの位置は把握している。
ならばこそ、彼らの手にしたライフルの引き金を引く指は躊躇いなく。
そして、放たれる弾丸は過たず。
銃声は一方的だった。エメラの手繰る魔導蒸気兵たちが一瞬で『エンフォースメント・オペレーター」たちを穿ち、打倒していく。
「インセクトポットを出せ……!」
「ダメだ、この状況では撃ち落とされるだけだ!」
『エンフォースメント・オペレーター』たちは戸惑っていた。敵の射撃は正確であったし、物量でも彼らを圧倒する。この状況で飛翔するインセクトポットを射出してもすべからく撃ち落とされるだろう。
それにエメラも理解しているはずだ。
「厄介なのは電磁波のみ。あれをされると兵士どころか私にも影響が出かねないわ」
だから、徹底的に潰す。
己の脅威となり得るものを全て廃する。万難を排して、とはこのことだろう。
エメラの手繰る魔導蒸気兵たちの行軍は止まらない。
中央エリアに設置されているであろう遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』を回収するその時まで、迫るオブリビオンを打倒し続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
おっと、お遊びもここまでか
少し残念
けど、目的地には着けたみたいだね
なら…こっからはお遊び無しだ!
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
全く、ただのいちユーザー相手にちょっと大げさなんじゃないかな?
いくらドローンで探知しようと、そこから得られる情報とそれに対する反応以上の速度で動けば意味は無いよ
【Code:C.S】起動
時間加速開始
超高速戦闘を見せてあげる
加速し敵を翻弄しながら数を減らしていこう
『薙ぎ払い』で敵を薙ぎ、距離のある敵には『斬撃波』を当てて『吹き飛ばし』てやろう
追尾してくる弾丸は加速した時間の中で回避
電磁パルスは『オーラ防御』で体を纏い突っ込んでボットを斬り落とそう
電脳空間であるサイバースペースにて巨大ロボットへと変じていた身体が元の身体に戻ったことを月夜・玲(頂の探究者・f01605)は少し残念に思えた。
『ミリオン・マシーン・ミッション』と呼ばれる百万単位のバトルロワイヤルは、迫力のあるゲームだった。
肝要なのは武装頒布プラントを抑えること。
強力な武器を引き当てれば、それだけ生き残る確率が上がる。そして、同時に武装頒布プラントに近づく他プレイヤーを撃破すればポイントが加算されランキングが上がっていく。
そうしたゲームのメソッドを玲は楽しんでいたのだが、猟兵たちが中央のプラントに侵入したことで、ゲームが一時中断されてしまったのだ。
「おっと、お遊びもここまでか。少し残念。けど」
目的地には猟兵たちがたどり着けたのだと確信する。
目指すのは中央。
そこに『ヤマラージャ・アイビー』が存在している。
「なら……こっからはお遊びなしだ!」
元の身体に戻ったのならば、と二振りの模造神器を抜き払う。彼女が目にしたのはサーチドローン。
オブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』たちが放った侵入者である猟兵を捉える探知プログラムが玲に引っ掛かったのだ。
「いたぞ! あそこだ!」
彼らの構えたアサルトライフルの銃口が玲を狙う。
驚くべき速度で此方を猟兵と認識し、攻撃を仕掛けようとしている。電光石火と呼ぶに相応しい展開であった。
けれど、玲はそれを問題にしていなかった。
「確かに探知が速いっていうのはわかるよ。けどさ、そこから得られる情報とそれに対する反応以上の速度で動けば意味は無いよ」
それは即ち、こういうことだと言うように玲の瞳がユーベルコードに煌めく。
「封印解除、時間加速開始」
告げるは、Code:C.S(コード・クロノシール)。模造神器に施された時間加速の封印が解かれ、彼女の時間が加速していく。
目にも留まらぬ速度。
サーチドローンで得た位置情報を過去にする速度。ドローンが捉えた情報が『エンフォースメント・オペレーター』たちに伝達されるよりも早く玲は彼らの懐に飛び込んでいた。
「――!?」
「はははっ、遅いよ!」
振るう模造神器の刀身が見せる蒼い残光が閃くと同時にアサルトライフルの銃身が切り裂かれ、宙に舞う。
その光景を彼らが認めた瞬間、その身体に刻まれるのは薙ぎ払うかのような斬撃。
袈裟懸けにふわれた斬撃が、瞬きをする瞬間さえ許さぬ速度で叩き込まれ『エンフォースメント・オペレーター』を切り裂くのだ。
「超高速戦闘っていうのは、こういうことをいうんだよ」
その言葉の間隙に『エンフォースメント・オペレーター』たちは切り裂かれ、薙ぎ払われていく。
「こいつ、一体どんな義体を……インセクトポットを展開しろ!」
「ガッ、あ――!?」
電磁波を放つインセクトポットは確かに脅威だった。けれど、玲は、そのインセクトポットが展開されるより早く動く。
放たれる斬撃波が飛び立つインセクトポットを落とし、背後に回り込んだ一撃が尽く『エンフォースメント・オペレーター』たちを打倒していくのだ。
「でたらめな……! どうなっているんだ! 状況を――」
知らせろ、という通信すら許さぬ玲の斬撃。
「言ったでしょ。お遊びはなしだって。さ、問題の『ヤマラージャ・アイビー』を回収させてもらおうかな」
玲は更に中央エリアに踏み込む。
そこに『生と死を繋ぐもの』の名を冠する悪意があるのならば、と――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
作戦を第二フェイズへ移行、目標地点確保のため、敵防衛戦力殲滅を開始します
ジャミングミサイルを射出後、背部『グライフフリューゲル』を変形、副腕モードに移行、
【コード・ベルセルク】発令、演算システムを高速格闘戦に最適化し、高速近接戦による各個撃破を狙います
移動開始時にアクティブステルスを起動し移動方向を悟らせないようにした後接近後は解除
副腕のクローからの打撃並びに掴んでからの通電(雷属性攻撃)と脚甲からのプラズマ蹴撃で連撃し仕留め、再度姿を消し次の敵へ、という動きを基礎に、
敵ドローン及び銃弾は強化した反応速度と、気配察知と瞬間思考で反応し二丁のショートブラスターで迎撃射撃し落とします
「作戦を第ニフェイズへ移行」
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)はアミューズメントエリアにて展開されていた娯楽、『ミリオン・マシーン・ミッション』と呼ばれるバトルロワイヤルゲームが一時中断されたことを受けて周囲を知覚する。
巨大ロボットへと変じていた身体はすでに元の体に戻っている。
故に、猟兵たちが遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の存在するエリアに到達し、またそれを巨大企業群『ティタニウム・マキア』が感知したことを悟るのだ。
「目標地点確保のため、敵防衛戦力殲滅を開始します」
彼女の目的は簡潔にして簡素だった。
ミサイルポッドから放たれるジャミングミサイルが周囲のサイバースペースの情報を撹乱する。
自身の存在を悟られぬためであったし、また同時に中央エリアに出現したオブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』たちの目を欺くためでもあった。
背部の翼を模した機構が副腕へと変形する。
「『SA-01グライフフリューゲル、副腕形態へ移行。演算システム最適化。リミッターを限定解除」
ミレアの瞳がユーベルコードに輝く。
コード・ベルセルク。
それは背部にあった翼が変じた副腕のリミッターを解除しての、高速格闘戦特化モードに彼女が移行したことを意味する。
演算システムが最適化されていく。
加速された踏み込みは、一瞬でオブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』たちの懐にミレアを飛び込ませる。
「サーチドローンに知覚されないだと!? 一体どんな……」
「接近させるな! 同士討ちになる!」
彼らはアサルトライフルでミレアに応戦しようとしたが、それは誤りだった。彼女の副腕は、アサルトライフルの銃口が己を狙うより早く動いている。
格闘戦に特化した彼女の速度は爆発的なまでに増大しているのだ。照準を合わせるより際に、アサルトライフルの銃身を握りつぶしている。
「インセクトポットで……!」
電磁波ならばと、展開されるインセクトポット。
「無駄です。アクティヴステルス起動」
ミレアの姿が消える。
目標を失った『エンフォースメント・オペレーター』たちは電磁波の指向性をもたせようとしていた。電磁波は敵を認識しなければ、己たちまで巻き添えを食う可能性があったからだ。
けれど、ミレアは己の姿を隠し、闇に紛れるように背後から接近し、副腕でもって『エンフォースメント・オペレーター』を掴み上げ、その義体に電流を直接流し込む。
「ガガガガッ!?」
ガクガクと黒煙を上げながら『エンフォースメント・オペレーター』の一体が空中で動きを止める。
そのさまを見た他の『エンフォースメント・オペレーター』たちが透明化したミレアが存在しているであろう箇所に向かってアサルトライフルの弾丸を叩き込む。
それは遅きに失すると言わざるを得なかった。
ミレアはもう其処には居ない。
脚甲より展開したプラズマ発振器による蹴撃の一撃が次々と『エンフォースメント・オペレーター』たちを切り裂くように吹き飛ばす。
「サーチドローンは邪魔ですね」
ミレアは己の位置を探ろうとするドローンを二丁のブラスターでもって撃ち落とし、さらに中央エリアの奥へと足を踏み入れる。
今回彼女が確保しなければならないのは遅効性思考破壊プログラム。
それこそが最優先なのだ。
ならばこそ、ミレアは迫りくる敵の波をものともせずに最奥へと踏み込んでいく――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……ふむ……護衛が現れたと言う事は此処が目的地点で間違いないみたいだね…
…さて…あのインセクトボットからの電子パルスによる攻撃が厄介と言うわけだけど…
…手っ取り早く乗っ取るか…機械を使わずこう言う手もある…自己判断型伝令術式【ヤタ】に命じてインセクトボット達に潜り込ませて敵味方の識別を改竄…
改竄したインセクトボットによって敵に電磁パルスを放って機能を停止させてしまおう…
…あとは残った…と…義体化してるからオペレータ達も一部機能停止してるけど…
…残った連中に【連鎖する戒めの雷】を発動…まとめて雷鎖で縛り付けつつ電撃ダメージを与えて撃破するとしよう…
オブリビオン『エンフォースメント・オペレーター』たちが中央エリアに次々と出現している。
その事実を顧みれば、此処が彼らにとって重要なエリアであるということは容易に推察することができだろう。
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は逆説的に此処に遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』が存在していることを確信する。
「……とは言え……あのインセクトボットからの電磁波が厄介と言う訳だ……」
他の猟兵と『エンフォースメント・オペレーター』たちの戦いを見やる。
彼らが多用しているインセクトボットはこのサイバーザナドゥにおいては、初見殺しだろう。
あれから発せられる電磁波はレプリカントやサイボーグといった機械義体を持つ者たちを狙い撃ちにしているかのような性能を持っている。
メンカルが手繰るガジェットも例に漏れることはない。
「……手っ取り早く行こうか」
メンカルの術式が走る。
それは彼女が作り出した精霊AI。ハッキングと情報収集のために作り上げたものだ。それは機械に潜り込み、そのデータを収集改竄する能力を有している。
しかし、あくまで精霊。
ならば電磁波の影響を受けず、そのインセクトボットの内部へと入り込み、彼女が言うところの手っ取り早い手段であるインセクトボット事態を乗っ取る手段に出ることができるのだ。
「……インセクトボットの動きがおかしい……!?」
「おい、こっちに電磁パルスを向けて……!」
『エンフォースメント・オペレーター』たちは困惑しただろう。迫る猟兵たちの動きを止めようと放っていたインセクトボットの電磁波が己たちに向けられているのだ。
ブラックアウトするように彼らの視界は閉ざされ、その電脳空間における身体は即座に停止してしまう。
「……簡単なことだね。動きを止められれば、電脳空間の此方から現実空間にある義体に鑑賞できる……と……」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
敵は現実空間のポータルから電脳空間であるサイバースペースに干渉してきている。
ならば、『ヤタ』が侵入したインセクトボットを介在して、現実世界の義体に干渉するのだ。
「……つながっているのなら……紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷」
周囲に展開する無数の魔法陣から走るは、連鎖する戒めの雷(ライトニング・チェイン)。
それは同じ性質の存在に伝播する雷の鎖。
電脳空間とつながった現実世界へと雷の鎖は即座に走り、『エンフォースメント・オペレーター』たちのポータルへと走り抜け、その雷がポータル事態を破壊してしまうのだ。
「……これで、これ以上の援軍はない。なまじ電脳空間を生身と同じように体験できるサイバースペースであったことが祟ったね」
メンカルは次々と『エンフォースメント・オペレーター』たちを『ヤタ』によるインセクトボットの乗っ取りによって電磁波で無力化し、己のユーベルコードで敵の援軍の経路となるポータルを破壊していく。
「……雑兵が役に立たないというのなら、お出ましかな、大将が」
メンカルは電脳空間に浮かぶポータルより降り立つオブリビオンを見やる。
猟兵の排除に失敗したとなれば、企業に務めるカンパニーマンであるオブリビオンが必ず出てくる。
この現状でも『ヤマラージャ・アイビー』の回収は可能かもしれない。
けれど、敵が如何なる攻勢を仕掛けてくるかわからないとなれば、慎重を期すのもまた一手であろう。
「……それじゃあ、お前を倒して回収するとしよう」
メンカルはそう告げ、降り立つオブリビオンにして『ティタニウム・マキア』のカンパニーマンである『イレイザー』を見据えるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『イレイザー』
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POW : タスクフォース召集
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【対象の苦手属性を得意としたレプリカント】が出現し、指定の敵だけを【属性魔法】と【銃】で攻撃する。
SPD : 社畜の心得
他者からの命令を承諾すると【自分の行動をサポートする無数の頭脳戦車】が出現し、命令の完遂か24時間後まで全技能が「100レベル」になる。
WIZ : 死の舞踏
攻撃が命中した対象に【心眼による自分との途切れぬ絆】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【距離や遮蔽を超越して届く剣戟】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:弐壱百
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「御園・桜花」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「全く以て使えぬことだ。これだから下っ端は」
忌々しげにオブリビオン『イレイザー』は吐き捨てる。
彼がポータルより電脳空間サイバースペースに降り立った時、彼の配下である『エンフォースメント・オペレーター』たちは全てが猟兵たちに撃退されていた。
のみならず、ポータルを介在しての援軍すら阻まれたのだ。
「私の査定が下がる一方だ。とは言え、猟兵か。やはり狙いは『ヤマラージャ・アイビー』……なるほど。『安心安全』を売る『ティタニウム・マキア』の信用の失墜を狙うか」
悪くはない手だと彼は頷く。
確かにクリーンなイメージをこれまで培ってきた『ティタニウム・マキア』にとって遅効性思考破壊プログラムは致命的なイメージダウンになるだろう。
だからこそ、彼は笑う。
これは企業の危機にして窮地。
「だが、お前たちを撃退してのければ、私の査定はさらに上がることだろう。なにせ、企業の存亡をかけているのだから。そういう意味ではお前たちはよくやってくれたということだ」
『イレイザー』のユーベルコードの輝きを示すように義眼が煌めく。
「『エンフォースメント・オペレーター』たちは雑兵よ。これよりが本領と知るがいい――」
儀水・芽亜
あなたがこの企画の首謀者のようですね。『マヤラージャ・アイビー』、私たちが回収します。
召喚したナイトメアに「騎乗」し、頭脳戦車が出てくる前に「騎乗突撃」してアリスランスで「ランスチャージ」。「蹂躙」しますよ。
全技能底上げといっても、全ての技能を持っているわけでなし。それで無敵になれるわけでもありません。
そもそも、元から100レベル超えてる可能性もありますしね。
頭脳戦車が出てきたら、「歌唱」で「衝撃波」を撒き散らし、機能停止に追い込みましょう。
イレイザーにも効果があると安心です。
ついでに、『MMM』というシステムの管理マシンも破壊できれば。
欲張りが過ぎました。あなたを串刺しにするのが最優先です。
ポータルを介在して電脳空間サイバースペースに現れたオブリビオン『イレイザー』の冷ややかな視線は、彼が優秀なカンパニーマンであることを示していたことだろう。
冷静に状況を俯瞰してみているとも取れたかもしれない。
彼にとって部下とは手駒だ。
そして、同時に企業に貢献できなければゴミ同然であるとも言える。この状況を置いて猟兵に中央エリアに親友されたことは自身の査定に響くことだった。
同時にこの局面さえ乗り切ってしまえば、企業の窮地を救った者としてさらに評価は上がる。
「あなたがこの企画の首謀者のようですね」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は、『イレイザー』に告げる。
けれど、彼は首を傾げてみせた。
「私が? 確かにこれは我が社のプロジェクトだ。そして私は責任者でもあるが、この企画を持ち込んだのは私ではない。推進したのは会社であるが」
「どちらにせよ、『ヤマラージャ・アイビー』、私達が回収します」
「それはさせんよ。お前たちが狙うのが我が社の遅効性思考破壊プログラムであるというのなら」
『イレイザー』の瞳がユーベルコードの輝くと同時に芽亜の瞳もユーベルコードの輝きを発露させる。
純白の白馬型来訪者『ナイトメア』に騎乗した芽亜は、その突進力のままに手にした鴇色の槍の一撃を『イレイザー』へと叩き込む。
しかし、それはほぼ同時であったがゆえに一撃を召喚された頭脳戦車に阻まれる。
「是が非でも、お前たちは私の査定向上のための礎になってもらう」
頭脳戦者が中央エリアに展開する。
それを芽亜は白馬型来訪者と共に切り抜けるようにして駆ける。敵の技能が向上している。芽亜の声より放たれる衝撃波が頭脳戦車を吹き飛ばすのだとしても、それでも『イレイザー』は切り込んでくる。
手にした日本刀と槍が激突して火花を散らせる。
「そのつもりはありませんよ。万能感に浸っているところ悪いですが」
「無駄なことを。お前たちの存在は確かに目障りだが、取り立てて慌てるものでもない。あの遅効性思考破壊プログラムの出処が我が社だと思っている以上はな」
弾き飛ばされる両者の身体。
芽亜は白馬型来訪者と共に地面に降り立ち、蹴って走る。『イレイザー』は頭脳戦車を足場にして跳ねるようにして芽亜の放つ衝撃波を躱す。
「それは誰が――!」
放つ歌唱による衝撃波が周囲のエリアを巻き込んで破壊していく。
あの遅効性思考破壊プログラムが『MMM』というアミューズメントエリアにて催される娯楽ゲームであるというのならば、あのシステムを管理しているマシンを破壊できればと芽亜は欲張った。
けれど、それは同時に彼女に隙を作ることになっただろう。
放たれる斬撃の一撃を白馬型来訪者が防ぐ。血潮が迸り、生命力を共有している芽亜の身体に痛みが走る。
その刃の一撃を受けて、即座に芽亜は槍の一閃を持って『イレイザー』を吹き飛ばす。
「プログラムの伝播の根幹を成すシステムを破壊しようというのか。狙いは良いものであるが!」
「ええ、欲張りが過ぎました」
芽亜は即座に白馬を駆って『イレイザー』へと突進する。
構えた槍は己の想像力を得て強烈に力を増していく。ならば、己が思い描くことは、敵を貫くイメージ。
そのイメージが確固たるものであればあるほどに彼女の振るう槍の一撃は苛烈にして激烈なるものへと変貌を遂げる。
光は放つ槍の一撃は、己が何をしないといけないのかを知らしめてくれる。
そう。
「あなたを串刺しにするのが最優先です」
叩き込まれる一撃。
それは『イレイザー』の肩を貫き、その己が信じる道を征くための信念をこそ疑わぬ心を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・シュテル
失礼ながら。
貴方の査定は最早上がることはございません。
そのプログラムは、我々が頂いて参ります故。
敵と距離を取り、Anti-Aresでの【レーザー射撃】にて攻撃を行います。
同時に、展開したLucyDollにも私の攻撃の隙を補う形で射撃攻撃を行わせ接近を牽制。
それでも近づかれた場合は、Dollに私を守る盾となって貰いつつ距離を取り直しましょう。
その動きで以て、破壊されたDollと残るDollが形成する包囲の中に敵を誘導。
終末を紡ぐ焔の環を発動し砲撃を撃ち込みます。
案ずることはございません。
御社の命運も、遠からず尽きることでありましょうから。
「やってくれるな、猟兵!」
肩を貫く槍の一撃を受けてなお、オブリビオン『イレイザー』はためらうことなく電脳空間を走る。
手にした日本刀が煌めく度にユーベルコードの斬撃が戦場となった中央エリアに迸る。
その斬撃の最中をルナ・シュテル(Resonate1120・f18044)は薄紫色のツインテールをなびかせながら飛ぶようにして躱す。
指先より放たれる熱線と斬撃が激突して明滅する光を弾けさせた。
「失礼ながら。貴方の査定は最早上がることはございません」
「いいや。上がるさ。お前たち猟兵を撃退したとあってはな。無論。それができぬという謂れもない!」
その言葉にルナは、同時に光線満ちる戦場に己の簡易量産型バイオロイドを解き放ち、その火線をもって『イレイザー』を追い詰めていく。
「いいえ。やはり貴方の査定は下がることも上がることもございません。『ヤマラージャ・アイビー』は、我々が頂いて参ります故」
至極冷静にルナは告げる。
オブリビオンである『イレイザー』の技量は凄まじいものであった。
これまでカンパニーマンとして巨大企業群『ティタニウム・マキア』で築き上げてきたキャリアが、それを裏打ちさせる。
かの敵の日本刀による斬撃の一撃を警戒しようにも、間合を詰める『イレイザー』は簡易量産型バイオロイドであっても防げるものではなかった。
距離を詰めてくる斬撃をバイオロイドが盾となって防いだ瞬間、放たれる斬撃が距離など意に介さないかのように無数に放たれ細切れにする。
その光景を見やり、ルナは後退する。
「逃げるということは」
後退などさせぬとばかりに『イレイザー』が距離を詰めてくる。
敵の攻勢は苛烈だった。
それほどまでにルナは追い詰められていたのだ。バイオロイドたちも無限ではない。斬撃の盾にするにも限度があった。
「私を侮ったか。この程度で、私を止められると」
「いえ、すでに仕掛けは整いましてございます」
ルナの瞳がユーベルコードに輝く。
破壊されたバイオロイドの残骸が『イレイザー』を取り囲むように輪を描いている。その光景を『イレイザー』は見ただろう。
確かに己に迫り、己を阻まんとしたバイオロイドは尽く切り捨てた。
けれど、まるで輪を描くように切り捨てた覚えはない。
いや、違うと理解できてしまう。
「まさか、この私を誘導したと?」
「然らばどうぞ、御覧じられませ――」
ルナの流麗なる一礼が合図であった。
それは、バイオロイドの破壊された躯体の中に内蔵された誘導装置が描く輪。
そう、終末を紡ぐ焔の環(ヴァルキリー・ディメンジョン)はすでに完成している。
例え、此処がサイバースペースであったとしても、空間を超えた総惑星破壊重粒子砲は『イレイザー』を逃さない。
すでに照準は定められているのだ。
これまで無為に破壊されてきたバイオロイドたち。
その実、『イレイザー』を、その輪の中に収めるための誘導でしかなかったのだ。
「貴様……!」
「案ずることはございません。御社の命運も遠からず尽きることでありましょうから」
ルナの一礼から頭を上げる。
その瞳が見据えるのは、小惑星ほどの巨大物質であれ打ち抜き破壊する重粒子による砲撃の光。
終末を紡ぐ焔にも似た一撃が『イレイザー』の直上より避けえぬ一撃となって降り注ぐのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…うーん…これは査定上昇狙いのマッチポンプ……いや、前向きなのは良い事だけどね…
…まあここで打倒されるのだから絵に描いた餅なのだけど…
…ふむ…『マヤラージャ・アイビー』を…解析すれば治療手段を見つけることも出来そうだからさっさと倒してサンプルを回収したいところだね…
…頭脳戦車…ね…そのサポートにより全ての状況に対応出来るのだろうけど…汎用性を重視しすぎてないかな…
…頭脳戦車にハッキングを仕掛けてコントロール権を一括で奪ってしまおう…
…ハッキングした頭脳戦車にサポートをさせて…爺様、後よろしく…
【我が身宿るは熟達の師】を発動…達人の爺様の魂に体を操らせてイレイザーを斬るよ…
オブリビオン『イレイザー』の直上より降り注ぐ業火の如き砲撃の一撃。
その一撃を受けてなお、彼は立っていた。
強力なオブリビオンであるということ。巨大企業群『ティタニウム・マキア』の中でも、地位を得ているという点においても『イレイザー』の実力は図り知れるというものであった。
「……うーん……これは査定上昇狙いのマッチポンプ……いや、前向きなのは良いことだけどね……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は『イレイザー』のカンパニーマンたる所以を見たような気がした。
「マッチポンプと言うか。だが、乗り越えるのならば、それもそうであろう」
「いいや、ここで打倒されるのだから絵に描いた餅だよ、それは結局……」
『イレイザー』の言葉にメンカルは頭を振る。
敵にとってこの状況は好ましくない。
けれど、同時に窮地が好機に変わるように『イレイザー』にとっても、そう捉えることはできる。
「その通りだがな、猟兵。絵に描いた餅も、描かぬよりは良いだろうよ。このサイバースペースを見ればわかるとおりな。現実のものでなくても、現実のものように感じ取れるのならば、絵に描いた餅も絵空事ではなくなるのだよ」
ユーベルコードの輝きが『イレイザー』の瞳より発露し、頭脳戦車が召喚される。
そのサポートに寄って『イレイザー』はあらゆる技能を高い水準で行うことができる。それは謂わば汎用的な、というほかないことをメンカルは知っている。
「……そういうのは器用貧乏っていうんだよ」
メンカルは即座に術式を展開する。
敵の頭脳戦車が機械であり、またAIなどによってコントロールされているというのならば、この電脳空間であることが災いするだろう。
メンカルにとってプログラムをハッキングすることなど息をするのと同然だった。
走るプログラムに術式が介入していく。
けれど、イレイザーもまた、そのハッキングに対して対抗するのだ。
「無駄だ、猟兵。ハッキングなど……なんだ、これは……」
「……その頭脳戦車……一括でコントロールしてるでしょう。数が多いからっていうのもあるけど、一義体で賄える量を越えている。此処がサイバースペースだってことを省みたって、どうしたってキャパオーバーだ……なら、そこに隙があるでしょ」
メンカルの術式が頭脳戦車の中に滑り込む。
ハッキングに対して『イレイザー』は確かに対処できる。けれど、それはあくまで単一のアタックに対して、だ。
なら、メンカルの術式は一斉に頭脳戦車の全てにアクセスする。
ファイアウォールのように障壁を容易していたとしても、単一でしか処理できないというのならば、二手、三手と手が後回しになっていく。
そこをメンカルはついたのだ。
「……一機のコントロールが奪えたのなら、後は一括で奪ってしまえるよね……それじゃあ、爺様、後よろしく」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
頭脳戦車が全て道を開けるようにメンカルと『イレイザー』との間から飛び退る。メンカルの意識はある。けれど、肉体はすでユーベルコードに寄って宿された達人の魂に明け渡されている。
それは英雄の影。
器がなければ、己に注げばいい。人の生は短い。老練なる妙技も、全てが無に変える。黄泉路に旅立った者の技量を惜しむことは意味をなさないのかもしれない。
けれど、ユーベルコードはそんな老練なる妙技をこそ『今』に宿すものである。
「――我が身宿るは熟達の師(コンバート・ウェポンマスター)」
手にした黎明剣の刀身が煌めくのを『イレイザー』は見ただろう。
しかし、その戦闘義体の義眼はついぞ、その技の冴えわたるところを見ることはなかった。
追うことのできぬまでに完成された斬撃。
己が攻撃された、という事実すら感じさせぬメンカルに宿した達人の魂の放つ斬撃は、見事なまでに『イレイザー』の躯体を袈裟懸けに斬り裂いていた。
ばくり、と音を立てるように義体が引き裂かれ、『イレイザー』は困惑と共に振り返る。
そこにあったのは英雄の影。
メンカルが手にした黎明を銘打たれた剣は、今こそユーベルコードに輝き『イレイザー』の身に深い一撃を刻み込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うーん、オブリビオンも査定を気にするのは世知辛いなあ
企業所属故に仕方ないんだらうけど
けれども君は、此処で退職だ
退職届は書いてあるかな?
引き続き《RE》IncarnationとBlue Birdを持って戦おう
そっちも剣を使うんでしょ?
なら斬りあおうじゃない
駆けて接敵
まずは突きだ、『串刺し』にしてあげよう
『薙ぎ払い』も交えまずは剣戟戦といこうじゃないか
君と絆なんて結びたくないんだけどね
けど、そっちと絆が繋がっているって事はこっちも君の居る場所が分かるって事
【ソード・ファントム】起動
剣先を奴に向けてこちらも遠隔斬撃で攻撃していこう
さあ、お互い剣には自信があるのなら
楽しく死合おうじゃないか!
袈裟懸けに放たれた斬撃がオブリビオン『イレイザー』の身体を袈裟懸けに切り裂く。
飛び散る破片は彼の肉体が義体であることを示す。
サイバーザナドゥにおいて骸の海は雨となって降り注ぐ。生身の人間は生存すら許されない。肉体を義体に置換したサイボーグかレプリカント、頭脳戦車といった機械化された者たちばかりだ。
「やるようだが……」
生身であれば致命傷の一撃も、義体化された身体にとっては致命傷には至らず。
『イレイザー』は日本刀を構える。
「私の査定のために。このプロジェクトは完遂せねばならぬのだ」
彼はカンパニーマン。
巨大企業群『ティタニウム・マキア』の中での地位を確立するためには『ヤマラージャ・アイビー』を使っての尖兵の確保は必須なのだ。
だからこそ、この窮地を乗り越えて猟兵たちをサイバースペースから放逐しなければならない。
「うーん、オブリビオンも査定を気にするのは世知辛いなあ」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)の放った模造神器の二人の一撃を『イレイザー』は日本刀で受け止めた。
火花散る。
されど、互いの間に結ばれるのはユーベルコードの絆。
確かに繋がれたと玲が理解した瞬間、あらゆる距離と遮蔽を無視するかのような斬撃が彼女を襲う。
「っと! 君と絆なんて結びたくないんだけどね。社畜根性染み付いちゃったオブリビオンとはね」
「人はなにかの奴隷だ。それがたまたま企業出会ったと言うだけの話だ。生命の埒外たるお前たちには理解できぬことだろうが!」
距離も遮蔽も意味をなさぬ斬撃を受けながら玲は、距離を詰める。
こちらとは違い、『イレイザー』の斬撃は間合というものの概念を超越している。
ならばこそ、玲は迫る斬撃を蒼い残光残す模造神器の放つ斬撃と共に打ち払う。
「確かにこの間合ではお前の方が強いのだろうが……!」
手傷を負っていなければ、と『イレイザー』は強く思う。
猟兵たちの攻勢で己の義体にガタが来ている。電脳空間であるサイバースペースであっても、それは変わらない。
だからこそ、剣戟の間合から後退する。
己の刃は今や距離を無視する。ならば、玲の剣閃と打ち合う必要など必ずしも必要ではないのだ。
「絆っていうのはさ、結局つなぎとめるものでしかないんだよ。君が何処まで逃げたって、君の所在は私にだってわかるってこと――ならさ!」
玲の瞳がユーベルコードに輝く。
模造神器の刀身が励起するように震える。その震える刀身の切っ先を向ける。その先にあるのは騎綱(きずな)の如き撚り糸のユーベルコードで繋がれた『イレイザー』の姿がった。
ソード・ファントム。
それは玲の手にした模造神器の切っ先を向けた瞬間、対象を不可視の斬撃でもって切り裂くユーベルコード。
「見えぬ斬撃、だと――?」
身を切り裂く不可視の斬撃に吹き飛ぶ『イレイザー』の身体。
玲はまるで綱を引き寄せるように『イレイザー』へと肉薄する。
「さあ、お互い剣に自身があるのなら」
「お前……ッ」
「楽しく死合おうじゃないか!」
振るう蒼い残光が戦場に奔る。
その軌跡は嵐のように『イレイザー』へと襲いかかり、迎え撃つ斬撃と打ち合う音がサイバースペースに響き渡るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
作戦を第3フェイズへ移行、防衛個体との交戦を開始します
ジャミングミサイル射出、同時にアクティブステルスと【コード・ベルセルク:Ω】を起動
リミッター解除、不要演算リソースカット、反応速度・戦闘演算増強後
距離が離れれば狙撃仕様のブラスターライフルで、
近ければ副腕クロー、二丁のショートブラスター、プラズマグリーブでの近接戦、
すれ違う際にはペインレス・セイバーでの斬撃を実行します
敵UCの性質上、増援が現れるのは2分よりは後でしょう
ならばその間に可能な限り損傷を与え、私自身を囮に出現した増援ごと自身の反物質変換による対消滅に巻き込み、
再転送された私によるノヴァ・バスターでの重力属性弾で敵へ追撃しましょう
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)は、中央エリアに現れたオブリビオン『イレイザー』の姿を認める。
先行した猟兵たちのユーベルコードを受けてなお、彼は立っていた。
剣戟の音は遠く。
けれど、それでもミレアは見ていた。
ユーベルコードの発露する輝き。
迫る猟兵たちに有効な弱点を突くことのできるレプリカントの増援。その性質をミレアは理解する。
敵性体と戦う時、その弱点を意識することは当然のことだ。
「作戦を第三フェイズへ移行、防衛個体との交戦を開始します」
ミレアの機体から放たれるジャミングミサイルが電脳空間にあって、彼女の位置を悟らせない。
隠蔽機能を使っての接近。
けれど、その接近は戦闘義体たる『イレイザー』にとっては見破ることは容易かっただろう。
視線がかち合うのをミレアは理解したが、しかしその思考事態が意味のないことだと己の演算リソースをカットしていく。
「このサイバースペースにおいて私がお前たちを捉えられぬと思ったか」
日本刀が閃く。
敵のユーベルコードの性質を考えた時、『イレイザー』が強大な存在であればあるほどに増援が到着する時間は大幅に遅れる。
それがデメリット。
しかし、そのデメリット故に増援が到着した時が猟兵たちの窮地であろう。
故にミレアは思考を大幅にカットする。
「同型機への情報通信及び転送準備完了、本機体のリミッター解除……“コード・ベルセルク:Ω”発令。カウント・スタート」
コード・ベルセルク:Ω(コード・ベルセルク・オプションオメガ)。
それは彼女のユーベルコード。
副腕へと変形した翼の機構がうなりを上げる。
此処より先にミレアの思考は単一のものになる。眼の前の『イレイザー』に攻勢を仕掛ける。ただそれだけにリソースが割かれるのだ。
ブラスターライフルの火線が戦場を両断する。
日本刀の斬撃を副腕のクローが受け止め、火花を散らせる。
ショートブラスターの一撃が『イレイザー』の頬をかすめ、ミレアの機体を斬撃が両断せんと迫る。それを躱し、しかし躱しきれぬ一撃に彼女の装甲が切り裂かれる。
交錯する義体と機体。
セイバーの一撃が再び『イレイザー』の日本刀と激突する。
この間、ミレアは一歩も退かなかった。敵の増援が到着するまでに決着がつかぬことも理解していた。
ならば、何故退かないのか。
「カウント・エンド……」
急速に機体性能が低下していく。
そう戦闘能力を三倍にまで引き上げるユーベルコードにもデメリットがある。『イレイザー』のユーベルコードがそうであったように。
ミレアのユーベルコードにもデメリットは存在するのだ。
動きを止めるミレアに『イレイザー』はなるほどな、と理解を示す。
「それがデメリットか。残念だったな、猟兵。お前たちの敗北は此処に決定した」
『イレイザー』の背後より次々と転送されてくるレプリカント部隊。
それは猟兵たちのこれまでの戦いのデータから作成されたアンチ猟兵とも言うべきレプリカント部隊だった。
けれど、ミレアは見上げるだけだった。
最早動かない機体を。
だが、それは異なる事実であった。
ミレアは『軍団』である。物質転送に寄って新たなミレアが転送されてきた瞬間、動きを止めたミレアが己を反物質変換し、現れたレプリカント部隊を巻き込んで自爆する。
「なっ……!?」
「これが|私達《私》です」
爆発の向こう側に煌めく砲身があった。
それは新たなミレア。軍団たる彼女は、個体の損失をもって存在の消失を意味しない。
自己犠牲と人は、それを呼ぶだろう。
けれど、ミレアにとっては意味のないことだった。吹き荒れる砲撃の一撃が、己の証明とするように『イレイザー』を撃つ――。
大成功
🔵🔵🔵
エメラ・アーヴェスピア
いえ、結局の所見つからなければよかった訳で…
マトモな考えが出来ない位に疲れているのかしら?
まぁ私の方もお仕事なの、完遂させてもらうわよ
技能の質の高さも厄介だけど、一番厳しいのはその種類と数ね
最適なものを組み合わせて使った時の有用性は判っているつもりよ
でも、その差をどうにかできるのがユーベルコードって奴なのよね…
・『CODE:Predator』オン、頭脳戦車の制御を奪う
・前衛系に役立つ技能を組み合わせて集団で突撃させる
・自身はガトリングで援護射撃
…それにしても使ってみると意外と面白い兵器ね、後学の為にデータも頂いておこうかしら
※アドリブ・絡み歓迎
砲撃の一撃がオブリビオン『イレイザー』を撃ち、その戦闘義体を覆う人の肌を再現したであろうスキンを焼き焦がす。
強力なオブリビオンであるがゆえであろうか。
はたまた企業の中でも高い地位を有しているが故であろうか。
そのいずれかにおいて『イレイザー』は未だ立っている。己の査定のみを追求するのは巨大企業群『ティタニウム・マキア』に所属するカンパニーマンとしては正しいものであったことだろう。
この窮地にありてなお、脱することができたのならば己の地位が上がることを夢想する。
「だがっ、まだだ。猟兵共。私はまだ倒れていない。お前たちが襲来することも、私の査定を上げる要因にしかならぬのだ」
「いえ、結局のところ、見つからなければよかった訳で……マトモな考えができないくらいに疲れているのかしら?」
エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は、『イレイザー』』の言葉に煽るように告げる。
猟兵は予知にしたがって世界を滅ぼしうるオブリビオンの起こす事件に介入する。
故に彼らが行動を起こした時点で目論見は御破算する運命であったのだろう。その運命を呪いこそすれど、『イレイザー』はこの窮地を好機とさ捉えているのは最早職業病と言っても良いとエメラは思ったのだ。
いっそ哀れであるとさえ思えただろう。
「まぁ、私の方もお仕事なの。完遂させてもらうわよ」
その言葉に応えるように『イレイザー』の周囲に展開する頭脳戦車たち。
数で圧する、というつもりなのならば、エメラは厄介だと思った。
頭脳戦車の質の高さも、その種類と数も、いずれもが強敵たらしめるものであったからだ。
「最適なものを組み合わせて使った時の有用性はわかっているつもりよ。でもね」
エメラの瞳がユーベルコードに輝く。
「その差をどうにかできるのがユーベルオードってやつなのよね」
CODE:Predator(コード・プレデター)。
それは遠距離ハッキング。
敵が数でもって此方を圧するように、エメラは触れえずともハッキングによって、あらゆる機械や兵器を遠隔操作することができる。
如何に障壁が施されているのだとしても、今のエメラには無意味であった。
「頭脳戦車の制御が奪われる……!?」
「ええ、どれだけ高等な技術が遣われているのだとしてもね。私の技能があれば」
彼女が奪い取った頭脳戦車たちが次々と、その武装を『イレイザー』へと向ける。大群で迫るというのならば、それは同士討ちだった。
弾丸が戦場を飛び、頭脳戦車がエメラの指示にしたがって『イレイザー』の制御する頭脳戦車と打ち合う。
「ちっ……面倒なことを!」
「どうかしら、自分の軍勢に銃口を向けられる気分というものは」
エメラの瞳がユーベルコードに輝く限り、頭脳戦車の軍勢は同士討ちをはじめ砕けていく。
故に『イレイザー』はエメラへの直接攻撃を敢行するように頭脳戦車の躯体を蹴ってエメラへと飛ぶ。
しかし、それは彼女にとって後手に回ったという証明であり、また同時悪手であった。
「制御を貰ったということは、こういうこともできると言うことよ」
迫る日本刀の斬撃の一撃をエメラはハッキングによって操る頭脳戦車を盾にすることによって防ぐ。
「盾に……! だが!」
「ええ、でも終わりよ。『イレイザー』」
彼の周囲を取り囲む頭脳戦車の群れ。
エメラは自身を囮にして彼を頭脳戦車から引き離し、己の制御する頭脳戦車で取り囲み、そのガトリングガンでもって、その義体の身体を撃ち抜くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
なんだか企業愛が強そうな人ですね。
こういう方を社●とか言うんでしたっけ?
しかもかなりの自己中俺様系。
『私の査定はさらに上がる』とか言っちゃうあたり、
もとの査定高いの? ってツッコミたくなっちゃいます。
こういう勘違いな人、苦手なんですよね。
ステラさん、いけます?
デスヨネー……。
あ、それにしても、さっきから言ってる『ヤマラーじゃ・メイビー』でしたっけ?
たぶんの意味もわからないんですけど、ヤマラーってなんですか?
オレサマイケメンファッションのこと、最近はそんな風に言うんです?
それなら!
わたしは、いつもと違う可愛さで対抗しますよ!
「わたしの可愛いはオレサマだって染めちゃうんです☆」
ステラ・タタリクス
【ステルク】
やはりメリサ様は表に出てこないようですね
これまでに無いエイル様|型《タイプ》……一筋縄ではいかないようです
ところでルクス様はどこでそういう言葉を覚えてくるんです?
あと妙に観察力が高い……のはフィア様のせいですねめいびー
自称ぴゅあぴゅあが剥がれていきますよ?
いえまぁ、いけるかいけないかと言われればNOなのですが
そもそもエイル様を寄越せという話ですし……
最後に煽らない、光の勇者
『ヤマラー・じゃ・あいびー』ではないです!
ええい、ツッコミが追い付かない!
ふぅ、ツッコミ疲れました
はい、ルクス様かわいいかわいい
かわいいは正義ですので正義はこちらにあるようです
それではルクス様の支援といきましょう
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は電脳空間であるサイバースペースにおいて、耳を澄ませるような仕草をしていた。
耳に手のひらを当て、何処からか響くであろうツッコミを待っていたのである。
だが、そんなツッコミはいつまで立っても響くことはなかった。
「やはり『メリサ』様は表に出て来ないようですね。これまでにない『エイル』様|型《タイプ》……一筋縄ではいかないようです」
「『メリル』でしたっけ、あれ、『ミリン』でしたっけ?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はまだちょっと怪しかった。
興味がないと言われたら、それまでなのである。
しかし、今はオブリビオン『イレイザー』を打倒しなければならない。
猟兵たちの攻勢を受けてなお『イレイザー』は倒れていない。
その強大なオブリビオンとしての力は、確かに巨大企業群『ティタニウム・マキア』の中でも上位の地位を確立していることを示していた。
「なんだか企業愛の強そうな人ですね。こういう方を社畜とか言うんでしたっけ?」
伏せ字とか意味がないくらいルクスははっきりと言ってのける。
勇者の存在する世界出身の彼女から社畜とか、ちょっと想像できない単語であった。ステラは、ルクスが何処でそういう言葉を覚えてくるのかな、と訝しんだ。
「企業が私に齎してくれる物がある限り、だ。当然のことだろう」
猟兵の砲撃によって、その戦闘義体には多くの傷跡が刻まれている。無数の弾丸の痕、斬撃が斬り裂いた義体の装甲。
あらゆるものが『イレイザー』を追い込んでいた。
「しかもかなりの自己中俺様系」
うんうん、とルクスはうなずいていた。
何かわかったような風である。いや、事実そう魅せているのかもしれない。
「『私の査定はさらに上がる』とか言っちゃうあたり、もとの査定高いの? ってツッコミたくなっちゃいます」
ルクスは図らずとも煽っていた。いや、確実にわかった上で煽っている。
「もとからそんなに高くなかったんじゃないですか? この程度で簡単に上がっちゃう査定っていうのも高がしれてますよね」
「……妙に観察力が互いのは師匠筋のせいですねめいびー」
「いやだって、こういう勘違いな人、苦手なんですよね」
「自称ぴゅあぴゅあが剥がれてますよ?」
「何をごちゃごちゃと!」
『イレイザー』の周囲に頭脳戦車が満ちる。その背を蹴るようにして、彼の日本刀がルクスに振るわれるのをステラが彼女の背を引っ張って躱させる。
「ステラさん、いけます?」
「いえまぁ、行けるかいけないかと言われればNOなのですが、そもそも『エイル』様を寄越せという話ですし……」
「デスヨネー」
本当に『イレイザー』は二人の会話が理解できなかった。
完璧に蚊帳の外というか、この場に二人しかいないかのような立ち振舞。それに『イレイザー』は冷静さを失っていたのかもしれない。
それがルクスの策略であったというのならば、恐ろしいことであった。
「あ、それにしてもさっきから言っている『ヤマラーじゃ・メイビー』でしたっけ? たぶんの意味もわからないんですけど、ヤマラーってなんです? オレサマイケメンファッションのこと、最近はそんな風に言うんです?」
どうして其処まで煽るのか。
ステラは訝しんだ。
煽りに煽りまくっている。そんなにこういう男性が嫌いなのかと思うほどにルクスは青率らしている。ビキビキと『イレイザー』の額が青筋立てているようでもあった。
「『ヤマラー・ジャ・あいびー』ではないです! ええい、ツッコミが追いつかない!」
「わたし知ってますよ、こういう俺様系ってば、萌え系の子が好きなんですよね! いつもと違う可愛さ、魅せてあげますよ!」
『イレイザー』は思った。
本当に思った。何を言っているのだと。
しかし、ルクスのユーベルコードは、はっぴーぶれいぶ!(タマニハコンナユウシャハイカガ)というなんかこう、いつもと毛色が違うなんかこう、萌え系? な勇者へと姿を変貌させていた。
これがギャップ萌えというのならば、それはそれで否定したい気がする。少なくとも『イレイザー』はそう思った。
思考が止まる。
いや、これは。
「わたしの可愛いは、オレサマだって染めちゃうんです☆」
きゃるん。
「はい、ルクス様かわいいかわいい」
ステラの言葉はとても雑であった。
「かわいいは正義ですので正義はこちらにあるようです」
「テキトーすぎません!?」
「ツッコミ疲れです。お暇を頂きたいと思います」
優雅に一礼してステラの背後より二丁拳銃の銃口が『イレイザー』の頭部を撃ち抜く。
ルクスのギャップにあっけに取られていた彼は隙だらけであった。
それに、とステラは他の猟兵たちが紡いできた戦いの傷跡が、すでに『イレイザー』を死に体にしていたことを理解している。
「はぁ……本当に『エイル』様は何処にいらっしゃるのでしょう。繋がりそうなものは尽く指の間からすり抜けていく感じがします」
「ステラさんから逃げているんじゃないですか?」
「は?」
サイバースペースに霧散していくオブリビオンの残滓を背にステラのものすごい顔をルクスは見てしまう。
いらんことを言ってしまったと後悔したかもしれないが、後悔先に立たずというやつである。
この後お仕置きが待っていたのであるが、それがどんなものであったのかは二人が知るのみ。
そして。
「あ~いう厄介な連中をうまく使おうっていうのは正直面倒なんじゃない?」
『ケートス』と呼ばれた少女が傍らにあるモニターに映る猟兵たちを示して言う。
だが、亜麻色の髪の男『メリサ』はからからと笑っていうのだ。
「だからだよ。俺にとって面倒ってことは、巨大企業群にとっては更に面倒な連中ってことだ。どっからともなく巨大企業群の悪事を嗅ぎつけてきてはぶっ潰していく。そうじゃないとほら」
『メリサ』は呟く。
モニターの向こうにいる猟兵たちを見やり、冷ややかな視線を送った。
「巨大企業群なんていうデカブツを殺すことなんてできやしないんだから――」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵