夕日は遠からじ されど待ち遠しくもあり 友の呼ぶ声
馬県・義透
【外邨蛍嘉 f29452】と一緒に
夕方。絵本読んでた陰海月は『びゅーびゅー』な感じがするから、そろそろご飯かな?って感じて。
※『疾き者』が料理当番。双子の妹・蛍嘉と一緒に作ってる。
ならば、陽凪を呼びに行かなきゃ!となった様子。
陽凪とは故郷世界が同じで、たまに一緒に絵本を読んだりする友達!
隣の土地(空き地)で、漂ってる陽凪を呼びに来ました。
陰海月は、陽凪が何をしているのかは詳しく知らないけれど、大切なことしてるんだろうなーとは感じています。
戻ったら、ちょうど良いタイミングでご飯ができてた!
今日もご飯が美味しいなー(もりもり食べる)
外邨・蛍嘉
【馬県義透 f28057】と一緒に
同居はしてる
陽凪はメガリス『水浄の苔』食べた影響で呪いを食べられるようになった。その影響で、呪いも朧気に見えるように!
だが喋れないので、コミュニケーションはジェスチャーになる。
最近、隣の空き地の呪いが気になって気になって。そこを泳ぎながらもぐもぐ呪いを食べる。
陽凪は知らないが、そこは過去に『邪心崇拝の儀式』が行われて呪いだけ残った土地だった。
いつかここで、陰海月と絵本が読めたらなー。
黄昏時になって、陰海月が呼びに来た。
無邪気な陰海月と一緒に、少しだけ夕陽眺めた後。戻ったら、ちょうどよく夕飯!
陽凪は皿から直接食べるから固形物が中心だけど、陰海月が分けてくれるスープも飲む。
おばあちゃん(蛍嘉)とおじいちゃん(義透)が作ったご飯は、今日も美味しい!
これは最近になって理解したことであるのだけれど、風が運んでくるものは幾つもある。
巨大クラゲである『陰海月』は絵本をめくる触腕を止めて、漂う匂いにぷよぷよとした身体を揺らめかせる。
どうやら自分にはおじーちゃんたちである馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の属性によって誰が今表に出ているのかを理解できるようだった。
ようだった、というのは、どうやら自分たち以外はそれを感じ取ることができないからである。
「ぷきゅ」
変な話であると思った。
だって、あんなにも違うのに。
他の人間はわからないものであるのが普通らしい。
風がびゅーびゅー。
即ち『疾き者』が表に出ている。なら、と『陰海月』は絵本を本棚に戻してふよふよと外に出ていく。
恐らく食事の時間なのだ。
というのも、風の気配に乗って火の気配だったり何かを煮る音だったり、もしくは使う薬草の香りなんかが感じ取れたからだ。
「ぷっきゅぷきゅきゅ」
『陽凪』を呼ばなきゃ、と思った。
『陽凪』というのは故郷が一緒の大きな熱帯魚ガル・ラファ……よく知られているのはドクターフィッシュという名の魚で、自分と同じくメガリスを食べたために空中で泳ぐことのできる友達なのだ。
自分が絵本を読んでいたら、どこかに誘われるようにして泳いでいってしまった。
一体どこに言ってしまったのだろう。
ご飯だよ~と呼んでみようと屋敷の外に出ていく。
◆
外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)は『疾き者』の双子の妹である。
そんな彼女と共にある巨大熱帯魚ガル・ラファである『陽凪』は、どうにも気になっていたのだ。
何が、と問われると隣の空き地だ。
主である蛍嘉とその兄、縁者である『疾き者』と共に住まう屋敷。その隣りにある敷地がどうにも黒いもやもやしたものがあって気になるのだ。
ゆらゆらと揺れる。
元がドクターフィッシュと呼ばれる熱帯魚であるからして、『陽凪』は呪いを食べることができるようだった。
元々からこうだったのかと言うとそうではない。
『陽凪』はメガリス『水浄の苔』を食べた影響で、呪いすら捕食できるようになっていたのだ。
それどころか呪い事態を朧気ながら知覚することができた。
だが、残念なことに発声はかなわない。
身振りで伝えるしかないのだ。
でもこれはそんなに躍起になって伝えることでもない。
『陽凪』は呪いを食べられる。
呪いを食べれば土地が浄化される。
土地が浄化されたのならば、住まう者にとって心地よい場所となるだろう。
本来、隣の空き地は過去に『邪神崇拝の儀式』が執り行われていた場所だ。
『陽凪』自身は知らぬことであったが、最早そこに邪神を崇拝する者はいない。あるのは呪いだけなのだ。
「ぷっきゅー」
ああ、と思う。『陰海月』が呼びに来たのだろう。
もぐもぐと食べていた呪いは、もう少しで全て浄化しきれそうだ。
完全に浄化できたのならば、此処で『陰海月』と絵本を読むのもいいだろう。
「ぷっぷきゅぷきゅ」
何をしていたのかと問い掛ける『陰海月』に『陽凪』は身振りで、いつかここで、と笑むように空中で弧を描く。
『陰海月』にそれが伝わったのだろう。
◆
二人は夕日が沈む稜線が見せる影を背負って屋敷に戻っていく。
屋敷の中ではすでに夕飯の準備が終わっている。
「ぷっきゅきゅ!」
「おかえり。『陽凪』を呼びに行っていたのか。準備が出来ているから、触腕だけはちゃんと手洗いをするのだぞ」
『疾き者』の言葉に『陰海月』が頷く。
『陽凪』は魚だからそういうのは必要ないのだけれど、口元を一緒に洗いにいく。
「仲の良い事だね」
「ああ、『陰海月』に友人が出来てよかった。とは言え、『陽凪』が何をしているのかわかっているか?」
「ええ、それはもちろん。あの子にはどうやら呪いを浄化できるたぐいのメガリスが体内にあるようだね」
だから、屋敷の外に蛍嘉は視線を送る。
隣の敷地は呪いだけが残っていた。
だから、それを今浄化してまわっているのだろう。別に命じたわけではない。ただ『陽凪』がそこで友と一緒に絵本を読みたいという些細な願いのために頑張っているだけなのだ。
それがいつになるのかはわからないけれど。
遠くない日に実現するであろうことはわかっている。
「今は友のために何かをしたいというあの子の心を喜ぶべきだよ」
「良き子であるのだな」
「それは勿論。さ、手伝って。あの子らはご飯を楽しみにしているのだから」
そんな風に行って二人は食卓に食事を並べていく。
彼らがいつも楽しみにしている食事を。おいしいと笑ってくれるような顔を見せてくれるのが心地よいと思う。
自分たちが与えてやれるのは、こんな時間ばかりだ。
「……だから、いつか今日という日の夕日を思い出して欲しい」
『疾き者』はそう思ったし、きっと彼らは思い出と共に自分たちのことも思い出してくれるかもしれない。
いや、きっと――。
成功
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