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銀河帝国攻略戦㉗～This is war

作者：みなさわ

●帝国旗艦『インペリウム』
「陛下？　陛下、何故故に！？」
「銀河帝国は、我一人から始まった」
　付き従った侍従が一人消えた。
「オブリビオン・フォーミュラとなり、この世界に蘇った時も我は一人であった」
「陛下！？」
　付き従った武官が一人消えた。
「銀河帝国が巨大になるにつれ、多くの配下が付き従うようになったが銀河帝国の本質は変わっていない」
　そして皆が消え。
「我一人がいれば、それが銀河帝国なのだ」
　皇帝は一人、玉座で待つ。

　遂に、猟兵達は、スペースシップワールドのオブリビオン・フォーミュラ『銀河皇帝』に決戦を挑みます。
　銀河皇帝は『増援に現れた配下達を吸収し、自らの力に変えると、猟兵達を迎え撃ち』ます。
　インペリウム内への解放軍艦艇のワープ突入は行えていません（皇帝が封じているものと思われます）。
　仮にスペースシップワールドの戦艦が全力砲撃を行ったとしても、インペリウムを外から破壊するのは１週間以上かかるでしょう。
　勿論、スペースシップワールドの艦隊も、インペリウムへの攻撃が可能なように最善を尽くしています。
　それでも、カタストロフ開始までにインペリウムの撃破が可能かは不明瞭な状況です。
　銀河皇帝の撃破は、グリモア猟兵の転移によって、インペリウム内に侵攻が可能な『猟兵』達の活躍にかかっていると言える状態です。

●グリモアベース
「いよいよ、決戦だ」
　ケットシーのグリモア猟兵、トラガン・ストイコブッチ（ブッチ軍曹・f04410）が皆を眺める。
「目標は銀河皇帝リスアット・スターゲイザー……ああ、スターゲイザーだ」
　トラガンが繰り返す。
「現時刻より、猟兵は直接転移を以って、皇帝との戦闘に突入、死ぬまで殺す。それが今回の任務だ」
　グリモア猟兵は資料を配りつつ、説明を続ける。
「解放軍の艦船は銀河皇帝の力によって転移が出来ない、よって俺達のみでやらねばならん」
　そして渋面な表情を浮かべて言葉を続ける。
「勿論、こいつは簡単な仕事ではない。銀河皇帝はどういうわけか『先手』を取ってくる。俺達は敵のユーベルコードに対して対策を練り、そして突破し、攻撃をしないとならない。単独は難しい、そして即興で仲間を作っても作戦の整合性が取れず、連携がかみ合わない可能性がある。それでも……やってくれ」
　猫のグリモア猟兵が軍用コンパスを展開すればゲートが開く。
「覚悟が出来たなら、準備が出来たなら、装具を整え、時計を合わせろ。戦争を終わりにするぞ！」

第1章 ボス戦 『『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザー』

POW   :    マインド・クリエイション 【銀河皇帝を不老としている生命維持機能】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【白騎士と同性能の人型兵器『マインド』】に変化させ、殺傷力を増す。 SPD   :    フォース・インベイジョン 【銀河最強のサイキックエナジー】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【意志とユーベルコードを奪う洗脳念波】で攻撃する。 WIZ   :    ワープドライブ・ペネトレーション 【外宇宙から、知られざる『黒き槍の船』】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。 👑14 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●because
　ゲートを抜けて一人の男が歩く。
　そのまなざしはつよく、傍に居る人形は可愛い。
　閃光と共に彼の姿が変わる。フード姿から鎧武者を思わせる風貌に。
　それこそが『デビルズナンバーたかしモードざしきわらし』
　そして彼こそが――六六六・たかし（悪魔の数字・f04492）。

「とうとう我の元に来たか、埒外の存在よ」
『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーはゆっくりと歩を進める、臣下を褒めたたえるが如く、手をかざし。
「褒美を取らせよう。艦を一隻、汝に授ける」
　リスアットの言葉に呼応するようにインペリウムの中へ現れるは黒き槍の船。
「ふん、関係ない」
　たかしがつっぱねる。
「俺は俺のやるべきことをやるだけだ」
　猟兵の指が皇帝を指す。
「そして、俺のやるべきことのためにお前は邪魔だ」
「そうか、ならば代わりに死を与える、心して受けよ」
　皇帝の意に従い、黒き船は砲をたかしに向け――なかった。
「……何をした？」
　不機嫌そうに銀河皇帝が問えば。
「悪魔の模倣（デビルコピー）」
　船からの火砲が皇帝へ向かって炎を吐き、同時にたかしが駆けだした。

　たかしは実際に先手を取られていた、だが黒き船は追跡をまずおこなう。
　そこへたかしのユーベルコードが発動されたのだ。
　だが、そんなことは関係ないだろう。

　煩わしそうに手を振れば、砲火はサイキックエナジーに弾かれ、座艦の壁に穴を開ける。
　直後、たかしブレードを構えるたかしへと力場を形成した左手をかざし、その刃を止める。
　拮抗するパワー、しかし銀河最強たるサイキックエナジーが発揮され、たかしの身体を吹き飛ばす。
　だが、そんなことは関係ないだろう。

　身を翻し、コントロール下に置いた黒き船を足場に蹴れば、再び銀河皇帝の元へ。
　それまでその場から動かなかった皇帝はとうとう一歩足を踏み込み、両手を上下にかざす、天地宇宙を統べるは我であるかのように。
　だが、そんなことは関係ないだろう。

　――because he is a Takashi（何故なら、彼はたかしだから）

「ここで全てを終わらせる！」
「あまつちを統べる！」
「デビル！　たかし！！　ストラッシュ！！！！」
　たかしと銀河皇帝がすれ違い――そしてたかしが地面に叩きつけられる。
「ほう……我に傷を負わせたか」
　皇帝が左腕に視線を落とす、デビルたかしストラッシュによって大きく割かれたその腕（かいな）からはおびただしい出血。
「当然だろう」
　カウンターの右手刀で左腕を切断され、床を鮮血で汚しながら、たかしが立ち上がる。
「なぜなら俺はたかしだから」

成功 🔵​🔵​🔴​

●yell
「愚かよ」
『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーの足元へ膝を折るのは、頭を押さえて抗おうとする桜庭・英治（WarAge・f00459）の姿。
「戦うな、抗うな、考えるな、汝は我に従えばいい」
　スナップの効いた皇帝の蹴りが若者の頬を蹴り上げれば、目の奥が光り、意識が飛ぶ。

　――もういいかな？
　俺、ちょっと前まで一般人だろ？
　何かを投げ出したくなり、そして銀河皇帝の意への誘惑に身を委ねたくなる。

「……ばれ！」
　小さな男の子の声がし、意識を引き戻す手が伸びた。

「――けるな！」
　中年の男の声が響き、光が見えた。

「戦って！　そして――」
　若い女性の声が耳朶を打ち、光の先へと足が動く。

「「「勝って！！」」」
　解放軍として戦う人々の声が通信端末から届き、炎に包まれた手が背中を押し、猟兵は光の向こう側へ走りぬける。

「――立つか？」
「――立つさ！」
　切った唇から流れる血を、拳で拭いながら英治が叫んだ。
　通信端末を通した人の願いを背負う力が、サイキックエナジーとなって、全身を駆け巡れる。だが過剰な力は彼の身体に過負荷となり毛細血管が切れ、傷口が開く。
「よう銀河皇帝。俺のユーベルコードを奪った気分はどうだ？」
　流れる血など構わないとばかりに拳を握れば。
「けど、それはお前には意味がないぜ」
　零れた熱血が床を汚す。
「お前はひとりで戦うんだろ、お前を応援してくれるやつはいるのか？　いねーよな、お前は独りだ！　お前が自分でそうしたんだ！」
　赤に染まった指の先には銀河を統べる帝が独り。
「当然だ、我一人こそが銀河帝国」
　孤独な帝は自らが宇宙とばかりに両腕を上下に広げ、構える。
「けど俺は独りじゃない！」
　皇帝の両手からサイキックエナジーが放出されれば。
「仲間がいるし、応援してくれる人もいる！」
　英治が握った拳からも力が迸る。
「歯ァ食いしばれ銀河皇帝！」
　二人の足が一歩踏み込まれる！
「この世界を解放してもらうぜ！」
　願いと想いを背負った猟兵の拳が先に皇帝の顎を打ち抜く。
「見事だ」
　顎を打ち抜かれ、身体を揺らがせる銀河皇帝。けれど敬意をこめた声とともにその腕が回れば、拳は撃ち払われ、掌底が英治の顎をかち上げる。
「だが、あめつちを統べるは我。リスアット・スターゲイザーなり」
　英治を吹き飛ばす目はどこか遠い宇宙を見ていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

●explosion＆soul
　座艦インペリウムの中で爆発が起こる。
　アルトリウス・セレスタイト（原理の刻印・f01410）が高速で詠唱し、全力を以って装甲を無視する魔術を広範囲に二発叩きこめば、見えない戦艦と言えど、行動を制限され、攻撃に移れない。
　爆炎が頭上を覆う中、一隻の船が突き抜ければ。
　視聴嗅味触を超えた感の糸を伸ばしていたニレッド・アロウン（水晶鋏の似非天使・f09465）が走り、オーラで包まれた水晶鋏で艦首を受けとめ、そのまま切断、破壊する。
「……とりあえず、あの人の首を取ればいいのですね。と思いましたが、『先手』に非常に嫌な予感がしますね」
　爆発し、灰となって消えてゆく船を横目に呟くニレットが、『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーを見れば、彼は傷ついた腕を組み悠然と立っている。
「座興は終わったか？」
　拳の跡が残った顔で皇帝が問えば、アルトリウスが振り返り。
「ああ、本番はこれからだ！」
　手抜きは失礼に当たると臘月を以って自身と同じ姿の霊を召喚する――それはつまりもう一つのユーベルコード。
　ニレットの予感が的中した。
　爆煙の中を一つの影が走り、『原理』を扱う異能者の背中を貫いた。
「何故……」
「知らないのか、我は汝らのユーベルコードの先を行く」
　皇帝の言葉は二つ目のユーベルコードに対しても先手を取れる事を意味していた、もし臘月を使わなければ、もしくは船に対しての爆発を繰り返していれば防げた可能性はあったかもしれない。
　二つ目のユーベルコードを銀河皇帝へ向いた時に使ってしまった。たったこれだけのタイミングが皇帝に攻撃のチャンスを作らせた。
　薄れゆく意識の中、アルトリウスがせめて一矢と破天の力を開放し、青く輝く魔弾の弾幕が銀河皇帝を飲み込んだ。

　青い爆発が『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーを包む中、ニレットは夜目の効く目を凝らし、皇帝の姿を捉える。
　オラトリオが翼をはためかせれば、それは九十五本の【炎】【氷】【雷】【風】【土】【聖】【闇】の属性を持った羽根となり、矢となり、皇帝を銀河皇帝を襲う。
「最終的にはですね、根性なんですよ！」
　ニレットが叫び、全力を以って彩翼矢砲を叩きこむ。倒れろ、倒れろと祈りを込めて。
　だが……。
「終わったか？」
　天地遍く全てが自分で有るがの様に両手を上下に構え、サイキックエナジーでの障壁を作り上げた皇帝が歩を進める。
　全ての攻撃はこの障壁によって阻まれていた。オラトリオのユーベルコードすらもだ。
　不幸だったのは彩翼矢砲が銀河皇帝に対して相性の悪い技であったことだ、それ故に一矢叩きこむには力が不足していた。
　どんな爆発も、根性も、全てが打ち砕かれる。
　これが戦争――This is war。
　皇帝の視界から消えた直後、ニレットは頭部に衝撃を受け、そのまま地面に叩きつけられた。
「頭が高い、不敬であろう」
　薄れゆく意識の中、サイキックエナジーを込めた頭を叩き伏せた銀河皇帝の言葉だけが耳に響いた。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●five strike to emperor
『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーとの戦いは一進一退の様相を呈していた。
　ここで猟兵側は兵力の大量投入に乗り出す。

「銀河皇帝、つまんねー顔してるっす」
　モルツクルス・ゼーレヴェックス（自由を飛ぶ天使・f10673）が存在感溢れるその姿をさらせば、即座にモルツクルス・ゼーレヴェックスの杖と名付けたウィザードロッドを振り回し、空間を爆破。
　ユーベルコードも使用したかったがゲートを通過時に解除されたらしく、このため技能のみで黒き船と対峙することとなる。
　だが、挑むのは彼だけではない。
　シホ・エーデルワイス（捧げるもの・f03442）が第六感と耳を活かし、隠匿性の高い船の居場所を情報収集すれば
「アリアさん！」
「アリア殿！　ぶった斬るっす！！　あんたが英雄！！」
　同じく船の居場所を情報収集と戦いで得た知識で把握したモルツクルスと二人で指させば、やってくるのは三隻の黒き槍。
　二人がオーラを展開して船の突撃を受け止めれば、もう一隻は蜂蜜院・紫髪（怠惰な蜂蜜屋・f00356）のもとへ。
　感性を信じ、ギリギリのところで回避すれば、紫髪はルカ・ウェンズ（風変わりな仕事人・f03582）と共に皇帝のもとへ。
　銀河皇帝が背部の生命維持機能装置の機能をオフにすれば、それは白騎士と同等の力を持つと呼ばれる人型兵器『マインド』へと変化する。
　マインドが掴みかかるのをルカは知識と残像を身代わりに潜り抜ければ、人型兵器が狙うのは剣を構えるアリア・ヴェルフォード（謎の剣士X・f10811）へ。
　ユーベルコード発動前の隙をついてマインドが手を伸ばせば、オーラで強化された紫髪の護衛人形がそれを阻む。
　銀河皇帝の全ての攻撃を受けきったとき、猟兵達の反撃が始まった！

「光と闇の奔流、受けてみよ！」
　聖光闇勝利剣から迸る聖光と極黒が入り交ざる特大の斬撃波が衝撃を伴って、黒き船を破壊すれば、紫髪は護衛人形を盾に、狐火で牽制、チャンスを伺う。
　その間にルカは皇帝へと怪力で抑え込もうとすれば、銀河皇帝はその手を払い、肘を顔面に叩きこみ、両手を上下に広げ構える。
「たった独りで国だなんて……なんて寂しく悲しい人」
　独り、天地宇宙を表す構えを以ってルカの攻撃をいなす皇帝の姿を見てシホが呟いた。
　その脇をモルツクルスが飛び出せば、属性を付与した魔術の一撃を解き放ち、銀河皇帝の動きを妨害する。
「知らなかったんすか？　笑顔が無い国に未来はないっす」
「ならば、汝が我を笑わせてみろ」
「おことわりっす！　ルカ殿！」
　眼鏡をかけたオラトリオの言葉に呼応し、黒騎士が膂力を以って皇帝を組み伏せにかかる。
「個人的にあなたの生き方は皇帝と言うより覇王だと思うのだけれど？」
「覇王……汝は我が皇帝の器でないと申すのか」
　静かに憤る銀河皇帝。覇王は中国の言葉、覇は王より劣り、王は帝より劣る。覇王なれば帝には及ばないとその生き方を否定したのだ。
　直後、二人の間で爆発が起こり、ルカの腕は見えない蜘蛛の糸で皇帝とつながっていた。
　――死がふたりを分かつまで。
　爆発により相手と自分を繋ぐルカのユーベルコードが決まったのだ。拘束に成功した黒騎士は銀河皇帝を抑える為、糸を引き自分の間合いに持ち込んでいく。

「紫髪さん！」
「しはでよいぞ」
　助太刀に入ろうとしたアリアを手で制し、紫髪が言葉を続ける。
「早く終わらせたい気持ちはあるが甘く見てよい相手でもないのじゃ」
　視線はマインドへ注がれたまま離さない。
「行け、アリア殿は皇帝を、こやつはわしが倒す」
「は、はい！」
　彼女の言葉に面を食らいつつもアリアは皇帝のもとへと床を蹴って駆けだす。
「さて、そろそろ使い時か……厄受人形！」
　護衛人形が呼応してマインドの攻撃を受ける。
「護り給え　清め給え！」
　それは二つ目のユーベルコード、そして……。
「祓い給えヒトガタよ！」
　呪詛返しによって威力を乗せた一撃がマインドへ届いた時。　
「此度は儂は時間稼ぎに徹する故頼んだのじゃよ皆……」
　彼女の姿は皇帝が召喚した黒き戦艦の下に消えた。

「紫髪さん！」
　シホの叫び声が聞こえる。
　後ろの轟音に振り向かず、アリアが走れば、傍らにモルツクルス。
「アリア殿、あの構え分かるっすか？」
　二人の視線は皇帝の姿へ、上下に手を広げサイキックエナジーを放出した構えから大きく動かず、歩法はゆっくりと。それでいてルカのプレッシャーを封じ、オラトリオの牽制もいなしている。
「防御のスタイルでしょうか？」
「多分、アレ……超攻撃型の構えです、じっくり動いてプレッシャーをかけて、攻撃を決めていく感じの」
「でも攻撃防がれてますよ」
「防がれてるのは自分の攻撃だけで、基本的にルカ殿の攻撃はカウンターで仕留めています」
「じゃあ……」
「攻撃を重ねれば、防ぎきれないっす。合図を駆けたら行ってください――シホ殿！」
「はい！！」
　モルツクルスの呼びかけに応えて、シホの生まれながらの光がルカの傷を癒していく。
　疲労で膝が笑うが、そんなことに構ってはいられない。足を叩いて立ち上がれば【聖銃】ピアを構えて、引鉄を絞る。
「いまっす！」
　オラトリオのウィザードロッドから光属性の魔法が放たれればシホの精霊銃から発射された光の精霊弾と二つの軌道が皇帝を襲う。
「チィッ！」
　初めて、銀河皇帝は舌打ちをし、両手を振るって攻撃を払えば、そこへルカが掴みかかる。
「邪魔だ！」
　皇帝が蹴りを放てば、ルカの姿は霧のように掻き消える――残像。
　そして本物の黒騎士が組み付いて怪力で締めあげれば。
「光と闇の奔流、受けてみよ！」
　アリアの聖光闇勝利剣の刃が振り下ろされ、銀河皇帝の右肩を大きく切り裂いた！
「ぬおおおお！」
　サイキックエナジーを発し、周りにいた猟兵を振り払う皇帝。
　――あと、一撃。
　決着の時は近づいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●knight
　最後の一矢がゲートから走った。
　乙女の夢を壊す巨大な機械白馬『ロシナンテⅡ』を駆るのはトリテレイア・ゼロナイン（紛い物の機械騎士・f04141）。
　機械白馬に乗った騎士の突撃に残った人型兵器『マインド』が防衛に走り、剣を振るう。
　一撃を盾でいなし、剣で打ち払えば、そのままトリテレイアは盾を人型兵器の顔面に叩きこみ、『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーへむけて、騎士兜から機銃を発射する。
　咄嗟にマインドが主を守ろうとその身を投げ出す。
　だが、それはウォーマシンの計算の内だった。
　機械白馬からトリテレイアが身を投げ出せば、主を失ったロシナンテⅡはあらかじめ仕込まれた機能を実行する。
　――自爆。
　爆発が人型兵器『マインド』巻き込めば、その横を自らを紛い物と嗤う騎士が走る。
　だが、ある子供は知っている。この鋼鉄の男こそが真の騎士だという事を。
　そして今、それを証明することを。
「格納銃器強制排除、リミット解除、超過駆動開始……これが私の騎士道だ！」
　男の叫びが限界を超え、武装を、そして装甲を強制的にパージさせる。ウォーマシンである自らの脳をハッキングし、スラスターの制限を解除すれば滑り込むように床を滑走。
　床から火花を散らしながら、寿命、武装、装甲、全てを捨てての一撃を己が右手に込める。
　対する銀河皇帝は傷ついた身体でなお、両手を上下に広げ、自らを宇宙とする構え「アマツチノソラ」を以って迎えうつ。
　鋼の騎士道と過去より蘇りし王道が、真っ向からぶつかり激しい破壊音が座艦インぺリウムに響いた。
　腕が。
　足が。
　基盤が。
　首が。
　騎士が。
　転がった。
　そして……。
「……見事」
　胴体をぶちぬかれ、上半身と下半身を繋ぐものを失った『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーは骸の海に沈んだ。
　

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年02月20日