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ロウくんと神羅さんのわちゃわちゃな日々

#UDCアース #ノベル

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アイン・セラフィナイト



朧・紅
【鴉猫】

紅のうごく猫ぐるみロウくんと
アインの使い魔(黒鴉)神羅の
わちゃわちゃ日常ノベル希望

楽しい喧嘩仲的に競い合うシチュエーションで、お任せ
例えば。わちゃわちゃ喧嘩しながら紅たちから離れて小さな冒険して帰って来る、みたいな。

・よく紅の頭の上で喧嘩してる
・何かと競い合うライバル
・でも結構気に入ってて気づいたら口が悪い感じに褒め合ってる事も多い
・お前、とか。おい、とか名前はあまり呼ばないが偶に呼ぶ
・空飛べるのいいな、とか思っている


【ロウ】
参照画像の猫ぐるみ
正体は新しい妖怪
紅にワゴンで買われた猫ぐるみが後に妖怪に覚醒しました

ワルっぽい男性口調
一人称:俺
呼び方:おい・お前・神羅(他の人も基本呼び捨て)

ワルっぽく振舞っているけどいい子です

喋れる動ける二足歩行もいける
だが紅には隠しているので人前では喋らず基本ジェスチャー会話、何故か伝わる
紅は動くはずないですよぅって思っているので目の前で多少動いても気にしない。
神羅の前では普通に喋ると思うがよく考えたらいつも紅と一緒だったから、喋るの初になるかもしれません

私物のみ出し入れできる「収納場所」を持っているので
お菓子や飲み物、ほっかいろ等、紅のお世話道具とか体ごそごそすると出せます

その他自由に動かして貰って大丈夫です。



 その日、紅とアインは任務帰りにとあるデパートで買い物を楽しんでいた。紅の頭に乗った黒猫のぬいぐるみが、所々に置かれたワゴンの中へ詰め込まれた服やゲームを睨んでいるのは気のせいではなかったりする。
 彼(?)の名前はロウくん――こう見えて立派な新しい妖怪だ。あの日紅がワゴンの中から運命的に自分を選び、買ってくれなかったら、妖の力に目覚め意思を持つ事も多分なかったろう。そう思うと複雑である。
(おいお前、何ニヤニヤ見てんだよ)
 かわいい猫ちゃんにしては鋭すぎるその視線が次に向かった先は、同じくアインの頭上に鎮座している八咫烏の神羅だった。神羅はいや別に、等とでも言いたげに、人間が肩を竦めるような仕草で翼を広げてみせる。神格である彼にはワゴンセールなど無縁だ。
 ――この野郎、こっちが紅の前では迂闊に喋れないと思って小馬鹿にしやがって……ちょっとイケメンに変身できるからって調子乗ってんじゃねぇぞコラ!
 そんな思いを込めてロウがねこパンチを連打すれば、神羅も負けじとつつき返してくる。だが紅とアインは書店の新刊コーナーに夢中で、奇跡的に気づいていなかった。
「アインさん、この漫画絵がすっごく可愛いのですよっ」
「地球の大衆娯楽か……こういう本も書架に収蔵してみるべきかな?」
 その間にも二人の頭上で繰り広げられるねこパンとつつきの激しい攻防戦。なおねこパンは当たっても痛くないし、神羅は穴が開かないように手加減していた。そんな彼らの視界へ不意に飛び込んできたのは――ひとりで何やら心細げな幼い少女。
(ん、迷子か?)
 二匹は互いの主人の頭をぽこぽこと叩いてみるも、完全に立ち読みモードに入ってしまっていた。こりゃ駄目だ。そして、彼らはほぼ同時にそっと主人の頭から降り、少女へ近づいていく。主人には隠しているが、実はロウは結構自由に動けるのだ。
「おいコラついてくんじゃねぇよ、俺が先に気づいたんだぞ!」
「いいや俺の方が先だった。お前こそ見張りをしていたらどうだ」
 両者、憎まれ口を叩きあいながらも一歩も譲らず。こうして鴉と猫の小さな大冒険が始まったのであった。

「おい子供、親はどこにいる」
「ぴえっ」
 しかしいきなりコレである。
 あーあ、とロウは思った。ただでさえ鴉なのに、そんな上から目線で話しかけられたら怖い。甘ぇな神羅……この俺が見せてやるぜ、ガキの扱い方ってモンをよ――!
「どうしたにゃーん? にゃんはロウくんっていうにゃーん。お名前は言えるかニャ?」
「つ、つむぎ……ひのしたつむぎ」
「つむぎちゃん、お母さんいなくなっちゃったのかニャ?」
「うん……」
 何だと――!? 神羅界に衝撃が走った。人のように立ってぽてぽて歩く姿もカワイイと評価されたのか、幼い少女は普通にロウくんの存在を受け入れていた。
 普段はワルぶっている癖にここまで躊躇なく恥を捨てられるとは、こいつ、やはり只猫ではない――だがその芝居多分続ければ続ける程苦しくなってくるぞ、大丈夫か。
「にゃん達が一緒に探すにゃ! あ、この鳥もにゃんの子分だから怖くないにゃ」
 しかも何か聞き捨てならない設定をつけられたので、とりあえず背中をゲシッとしておく。
 念の為棚や椅子の影に隠れたりしつつ(ちなみに移動中はどちらの方がカッコよく隠れられるかを競い合っていたが、誰も勝敗を判定してくれなかった)、ひとまず一緒にフロアを周ってみたが、親は見当たらない。泣きだしそうな少女をロウのマスコット演技で元気づけながら下の階へ向かうと、猫の着ぐるみが買い物客に風船を配っていた。そのゆるい顔を眺め、神羅はぼそっと一言。
「……努力は評価するが、お前より愛嬌があるな」
「うるせーお前よりはマシだわ!」
 二匹が小声で言い合い続ける中、迷子の少女は何やら熱心に揺れる風船を見つめている。欲しいのだろう。貰ってきたらどうだ、という鶴ならぬ鴉の一声を聞き、少女は嬉しそうに走り出す。最初こそ怖がられたものの、神羅にもだいぶ慣れてくれたらしい。その背を見ながらロウは不満そうにこぼした。
「おい、お前猟兵なんだし、あれ位貰ってきてやりゃいいじゃねぇか」
「確かに出来ない事はない。が、時には手を貸さず見守る事も肝要だ。お前が煩く騒いだお蔭であの子供も今は元気そうだろう」
「……チッ、伊達に百年生きてる訳じゃねェって事かよ……少しは見直してやってもいいぜ」
 無事に風船を貰えた少女はこちらへ走り寄ってきた。だが、勢いあまってその場で転んでしまう。
「お、おい、大丈夫か!?」
「いたい……」
 思わず猫被りも忘れてロウが駆け寄ると、少女は涙を流していた。膝をすりむいたらしい。しかし、こんな時に役立つのがロウの妖怪的特殊能力――四次元収納場所! 体をごそごそするだけで色んな小物が出てくる新しくて凄い能力だ。勿論救急キットもある。柄は紅の趣味なので少々ファンシーだが、この際仕方ないだろう。
「……主の書架のようなものか。有用そうだな、その能力……ん?」
 素直に感心していた神羅はある事に気づいた。少女がなぜか傷ではなく、上の方を見ているのだ。其方に視線を向ければ、先程貰ったばかりの風船が吹き抜けの天井に引っかかり、浮いていた。転んだはずみで手放してしまったらしい。人間界では偶に見る光景だ。
(やれやれ……成程な)
 であれば、今度こそ手を貸してやるべきだろう。神羅は大きく羽ばたくと、少女から離れていった風船を素早く回収して、地上へと戻ってくる。
「ほら」
 やや素っ気なくも差しだせば、少女はぱあっと笑った。ロウの手当てのおかげで傷も大丈夫そうだ。ロウくん、とりさん、ありがと――少女がそう言って、風船を受け取った時。

「つむちゃん? 良かった、ここに居たの!」
「おかあさん!」
「探したんだよ~! ひとりで怖かったねえ、ごめんねぇ」
「うぅん。あのね、ロウくんと、とりさん、つむのおともだちでね……あれ?」

 その頃、ロウと神羅は書店のあるフロアへ全速力で引き返していた。母親が見つかったようだし、少女の事はもう心配ないだろう。冒険の最終ミッションは――主人にバレる前に戻る事!
「神羅、お前そういや最後まで名乗ってなかったな、カッコつけやがって」
「……鳥さん呼ばわりはいただけんが、格好つけようとも思っていないぞ」
「正直最後のカッコよかったぞこの野郎! 空飛べるってやっぱイイよな、畜生!!」
「ふん、お前もなかなかにやる。乗せてやろうか」
「あァ!? それ出来んなら最初から言えよテメー!!」
 急いで神羅の背に飛び乗ったロウは吹き抜けのフロアを突っ切り、書店までの道をショートカットする。なんかちょっと風が気持ちいいし、楽しいとか全然思ってないぞ。思っててもこいつには言うもんか。

 そうしてどうにか書店前へ戻ると、主人達はすっかり件の漫画に夢中になっていた。ほっとしつつ、二匹はしれっと頭の上へ戻る。
「紅さん、何かロウくん動いてない? まるで息切れしてるみたいな……」
「ほむ? ロウくんが動くはずないですよぅ」
「だよねー、あはは」
 いや何で全く気づかないんだこいつら。せめて主は気づけ!
 力尽き気味のロウを見ながら、神羅は心の中でツッコむ。その横の通路を、手を繋いだ母子が通過していく。
 一瞬振り返った少女の手には、ちょっと目つきの悪い猫の風船が。膝には、可愛らしい鳥柄の絆創膏が貼られていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年02月07日


挿絵イラスト