サーラ・ビアンコ
イラストの状況をノベルでお願い致します。
https://tw6.jp/gallery/?id=129530
のんびりお昼寝の様子を前後コミで。
グリモア猟兵さんの登場大歓迎、お好きなようにして頂ければ。
のんびり、コミカル、ドタバタどれでも大丈夫です。
よろしくお願い致します。
ブルッ……と身震い一つして。彼女はゆっくり瞼を上げた。
大きな欠伸一つ。前脚を伸ばし、後ろ脚もぐぐっと伸ばす所作は猫のお目覚めの証。
も一つ欠伸。彼女――サーラ・ビアンコは気が付いた。先程まで自分を包んでいた温もりが消えている。だからか、寒くて目が覚めたのは。
その羽毛布団は何やら人間の青年の形に戻って出掛け支度をしている。キャットタワーの上よりジッと見つめ、そして一言。
「……玲頼」
「げ、起きてる」
サーラのジト目に対し、梟だった青年はストールを肩に羽織りながら申し訳なさそうにゴメンと一言返した。
「仕事行かなきゃ、さ。オレもずっと寝てたいけど」
「むぅ……」
人間は何と忙しい生き物だ。慌てて出て行く玲頼を見送りながらサーラは思う。
店のドアが開いて閉まれば外からの寒気が流れ込み。彼女はブルッと身震いして身を縮こまらせた。
「うう、ぬくぬくが行ってしまったのじゃ……」
「Ms、鴉の此処空いてマスよ?」
気が付いたらタワーの上段に喧しい鴉が翼を広げて曰ってる。そもそもそこ、サーラの専用席。
「却下じゃ。ルキヴァの羽毛は硬くていまいちなのじゃ」
てしっ。猫パンチで不届き鴉を成敗。何処かに逃げ去ったのを見届け、彼女はストンとタワーから降りる。金の尻尾をゆらりと動かしながら、温もり求めて探索開始。
奥のドアをするりと抜ければカフェの奥の休憩室。部屋が暖かいのは窓から木漏れ日が差し込んでいるだけではなさそうだ。
ソファーに寝転がる人の姿。そっと近付けば、覚えの有る赤みがかった銀糸がサラッと零れるのが見えた。
前脚をたっとソファーにかけて覗きこめば、其処にはうつ伏せで寝落ちている紅紀の姿。読書中に睡魔に襲われたのか、手持ちに読みかけの本が開いたまま。
「……成る程、温い筈じゃ」
この男は発火能力者。彼の存在自体が意図せずに部屋を暖めているに違いない。
せーので後ろ脚で床を蹴り、紅紀の横の狭い空間に滑り込んだ。猫は液体、どんな所にだって潜り込める。
「お邪魔するぞ」
くるん、とその場で回って「の」の字描く様にサーラは紅紀の脇に収まった。
「ん……?」
気配に紅紀は一瞬瞼を上げた。それが白い毛玉の如き猫と気付くと、彼女の肉球をそっと下から掬って触れる。
「もちもち……気持ちいい……」
柔い感触と伝わる体温、聞こえる心音と呼吸音の心地よさ。
再び猫と青年は眠りに落ちていく――そんな穏やかな午後の話。
成功
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