銀河帝国攻略戦㉗~昂星連武
全ての居住可能惑星を失った宇宙世界で、人々は無数の宇宙船に別れ、船を寓居に暮らしていた。
最初は一隻の移民船から始まった。
銀河帝国に襲われるミディア・スターゲイザーを助ける戦い。
そして、解放の旗は掲げられた。
広い宇宙の至るところから1隻、また1隻と同志が集まってきた。猟兵は彼らを守り、時に導き、共に戦ってきた。
彼ら1人1人の行動が戦況図を塗り替えて道を拓いてていった。
彼らがミディアの声を初めて聞き、彼女を助けようと決心してから、もう何日になるだろうか。
グリモアベースに集まる猟兵たちの目には猛き戦意が宿っている。
視線の先には戦況図があった。帝国旗艦『インペリウム』。解放の剣は、すでに其処まで届かんとしていた。
「お集まりいただき、ありがとうございます。
ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が膝を付き、猟兵たちを見上げる。集まった1人1人へと丁寧に視線を巡らせ、ルベルは一度頭を下げた。
「皆様には帝国旗艦『インペリウム』に乗り込んで頂きます。
スペースシップワールドにおけるオブリビオン・フォーミュラ。
『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザーと挑んで頂く。今回はそのような作戦でございます」
顔をあげると、ルベルは立ち上がり説明を開始する。
星守の杖が戦況図を示す。
宙域に集まった解放軍の艦隊群。そして、帝国旗艦『インペリウム』。
ひとつひとつを示しながら声は続く。
「銀河皇帝の力によるものと思われるのですが、帝国旗艦『インペリウム』内へは、解放軍艦艇のワープ突入はできておりません。
仮にスペースシップワールドの解放軍の戦艦が全力砲撃を行ったとしても、インペリウムを外から破壊するのは1週間以上かかるでしょう。
勿論、スペースシップワールドの艦隊も、インペリウムへの攻撃が可能なように最善を尽くしています。
それでも、カタストロフ開始までにインペリウムの撃破が可能かは不明瞭な状況です。
銀河皇帝の撃破は、グリモア猟兵の転移によってインペリウム内に侵攻が可能な『猟兵』たち……皆様の活躍にかかっていると言える状態です」
それはつまり、星界の明日は此処に集まった猟兵の行動にかかっている、ということだった。グリモア猟兵はひとりひとりの目を見て話す。
その瞳には信頼の色が浮かんでいた。
「銀河皇帝は、増援に駆けつけた配下たちを吸収して自らの力に変え、猟兵たちを迎え撃っています。配下を吸収するなど、僕には理解の及ばぬ思考でございますが……、
彼はもともと蘇りし時、星界におけるただひとりの『蘇りし過去』でございました。人間とは違う。彼を理解する必要は、ない。……会話は無駄です。接敵、即、血戦。純粋なる討伐、誅滅。只それだけを、お願いいたします」
杖を床に垂直に立て、ルベルは再び静かに頭を下げる。
「皇帝の座す旗艦インペリウムはそれ自体が玉座にして彼の掌の上。全域を皇帝が掌握しております。侵入すれば即座に見つかり、こちらが奇襲を受けることになりましょう。主導権は敵にあるのです。
ですが、黒騎士と戦った時、あるいはドクター・オロチや白騎士と戦った時。皆様はしっかりとした事前の備えを持ち、戦友と互いの不足を補い合って、勝利を重ねてまいりました。
今回もまた同じように、皇帝の先制に対し事前に対策を練り、カウンターにて皇帝を削り、倒して頂ければと思います。
皆様は選ばれし者、最精鋭。
幸い、準備する時間はございます。万全に備え、策を練ってご出撃くださいませ。僕は、万策揃いし皆様を共に転移させます。勝つために」
用意を進める猟兵たち。
ルベルもまた転移の準備を進め、グリモアを光らせる。
「敵が強敵、というのは言うまでもありませんね。
けれど、皆様もまた……実力者揃いではございませんか。
皆様が勝利を掴むことを、僕は信じております」
そのための助力は惜しまないのだ、とその瞳が語っていた。
remo
remoです。
初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
今回はスペースシップワールドのオブリビオン・フォーミュラとの戦闘になります。
このシナリオの難易度は「難しい」です。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
銀河皇帝は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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他必要なことはグリモア猟兵がオープニングで説明しています。
大切に執筆させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザー』
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POW : マインド・クリエイション
【銀河皇帝を不老としている生命維持機能】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【白騎士と同性能の人型兵器『マインド』】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : フォース・インベイジョン
【銀河最強のサイキックエナジー】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【意志とユーベルコードを奪う洗脳念波】で攻撃する。
WIZ : ワープドライブ・ペネトレーション
【外宇宙から、知られざる『黒き槍の船』】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑14
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●始まり
「銀河帝国は、我一人から始まった」
其れは、静謐であった。
史書を紐解けば彼の名が見つかるだろう。
『銀河皇帝』リスアット・スターゲイザー。
猟兵たちと戦い、星界の未来を脅かす存在は『骸の海より染み出た過去』であった。其れはとある日の彼であったのかもしれないし、歴史家が描く偶像の彼であったかもしれぬ。
リスアットが蘇った時、『過去』は彼のみであった。彼の配下は徐々に骸の海より染み出て増えた。だが、本質は。
「我一人がいれば、それが銀河帝国なのだ」
増援として駆けつけた配下をひとり、またひとりと吸収し、力は増していった。そして、待つ。敵が現れるのを。
帝国旗艦『インペリウム』。
戦場は、其処であった。
新納・景久
「うぉぉっ! 大将首じゃァァッ!!」
UCで火縄銃を複製し、周囲に漂わせながら元気よく進撃してゆく
手には元本の火縄銃
引き金にかけた人差し指は紐で括り、この紐は衣服に結んでおく
「銀河皇帝、おらんがか! 俺は親指武蔵、新納・景久じゃ! そん首頂戴に参ったどん!」
呼ぶ
めっちゃ呼ぶ
そして現れた皇帝に複製した銃を全て向ける
「おう、おはんじゃな! 俺ん手柄に……」
可能な限り接近する
敵UCによって複製火縄銃消滅
さらに意志も奪われ、手にした火縄銃も落としそうになる
すると、予め仕組んでいた紐によって指が引かれ、嫌でも引き金が引かれる
銃弾が飛び出す
この時、距離を詰めていればまだそう狙いはそれないはず
イヴ・クロノサージュ
コンビ出撃:クー・フロスト
アドリブ◎
――
▼先制対策
ここは皇帝様の領域……
ですが最初は彼は慢心してるでしょう。
クーちゃん、最初の一撃必ず決めるよ
▼
『黒き槍の船』は発見しにくいけど
私たち二人が連携すればきっと守りきれるはず
見切り、第六感で初撃を回避してみましょう
痛くてもちょっと頑張れる(激痛耐性)
『黒き槍の船』で追跡された後に来る攻撃は強烈なので
UCでしっかり守るわね
聖域を作る技能:属性攻撃=光、祈り、優しさ、拠点防御、オーラ防御
癒して勇気が出る技能:鼓舞、呪詛耐性、手をつなぐ、激痛耐性、勇気
▼
聖域が完成したら――私たちは無敵よ?
何せ全回復してからのクーちゃんの一撃なんだからっ!
がんばって――!!
クー・フロスト
コンビ出撃:イヴ・クロノサージュ
アドリブ◎
――
▼先制対策
ふんっ、皇帝の領域か
慢心してるのが気に入らんな
――潰すか
▼
『黒き槍の船』は捜索が至難
イヴと協力して連携する事が大切であるな
強烈な攻撃が来るのは覚悟のうち、――耐え切る(覚悟、激痛耐性)と
同時にUC(属性攻撃=氷)で黒き槍の船を直撃させる
極太ビームだ、――沈め。
イヴの聖域回復が来て、立ち上がる勇気を得れば
根性でUCを放っているビームを『黒き槍の船』⇒『皇帝』にズラシ
(2回攻撃、早業)強烈な一撃を皇帝に当ててやる
――慢心した野郎に、眼にモノを見せてくれよう
UC技能:属性攻撃=氷、スナイパー
慢心したヤツの傷には氷が沁みるだろうな(傷口をえぐる)
アリア・ティアラリード
交わす言葉はなく、マインドが召喚される
…と言う事は白騎士同様の先制UCが!
残り全ての光剣を【念動力・一斉発射】で
盾代わりに展開【武器受け・オーラ防御】
被害を【激痛耐性】で堪え己を【鼓舞】し【勇気と覚悟】で対峙し
皇帝とマインドの2体を相手にルールを守り戦い抜かねば…
UC発動!真の『姫騎士・亞璃亜』に覚醒!
だがなお格上と認識、白騎士と戦った経験…【戦闘知識】を活かし
チャンスが来るまで【残像・第六感・ダッシュ】で回避しつつ【衝撃波】で牽制
間合いを【見切り】後の先…【カウンター】の一太刀に賭け
その刹那に秘奥の【2回攻撃・怪力・早業・鎧無視攻撃】多重斬撃!
ここを起点に、続く仲間へと【手をつなぎ】勝利を!
暗黒騎士・アングラング
銀河帝国。貴軍の戦いを見て、一つの仮説が浮かんだ。
オブリビオンが時空を超えられるなら、私のサイキックとユーベルコードでも同じことができるのではないか、ということだ。
未来から、私と同質の意思とサイキックエナジーを呼び込み、私の中に流し込む。そして、この私の体に顕現させるのだ。
今の私では、貴様のサイキックには敵わない。
だが、この技は未来の私を喚ぶ。そのサイキックが、スターゲイザー、貴様より強ければ、洗脳など跳ね返すはずだ。
無論、貴様がここで勝つならば、「未来の私」など存在しない。
「史上」最強のフォースナイトは過去にいるのか未来にいるのか。貴様と私で、調べてみようじゃあないか。
シズホ・トヒソズマ
【SPD】
私はとても残酷で非道な作戦に出ようとしています
ですが私は貴方達にこの宇宙での自由を取り戻してほしい
なので、もし貴方に『覚悟』があるなら、付き合って貰えませんか?
迷彩で目立たないよう忍び足で皇帝目がけ走ります
見つかった場合、念波が撃たれる前にアイマスク型の私の本体を掴み頭上に投擲、ある程度慣性で前に行ってもいいよう調整
装着者が念波を受けた時、頭上から戻るように被さり気合を入れて洗脳の解除、皇帝への攻撃をします
ダッシュで接近し、UCでアンヘルの三呪剣を装備、先制攻撃と2回攻撃の三連撃、呪剣で皇帝が仲間を洗脳した過去を弱めようとします
※一般人が念波を受けた場合確実死する判断なら不受理を希望
ヘルメス・トリスメギストス
「銀河皇帝ですか。
部下をも吸収するとは、私が仕えるべき主ではないようですね」
そのような輩は執事として、この私が御相手いたしましょう。
「とはいえ、こう言うときは主を立てるのが執事たるものの役割ですね」
猟兵の皆様の中から、御主人様もしくはお嬢様に相応しい方を探し、その方に尽くします。
「相手が先制攻撃を仕掛けてくるというのでしたら、
それを身をもって防ぐのが執事の役割です!」
私に対する先制攻撃を敢えて受けつつ、
御主人様、お嬢様への攻撃もまとめてこの身で受け止めましょう!
「さあ、我が主、この紅茶で傷を癒し、銀河皇帝に鉄槌を!
仕える部下を持たない者がいかに脆いか思い知らせてあげてください」
エリカ・ブランシュ
(連携希望)
侵入した時点でこっちの動きがバレるなら……【オーラ防御】を纏った状態で乗り込みたいわね。
乗り込んだ後は皇帝の攻撃から仲間を【かばう】為にアタシの【存在感】を示しながら、攻撃の対象をアタシへと【おびき寄せ】たいわ。
こっちへと攻撃してくると分かってれば【盾受け】出来るかもしれないし。
万が一、皇帝が上手で不意打ちを防げなかったとしても……【気合】と【覚悟】立ち続けてでも仲間の盾になってみせるわ。
アタシが盾になることで一人でも多く皇帝に攻撃できるチャンスが生まれたらそれはアタシの勝ちだもの!
もし、皇帝の攻撃を受けても意識を失ってなければAmritaで庇いきれなかった仲間を癒すわね。
トリテレイア・ゼロナイン
この身全てを賭けて討ち果たすのみ
転移前防具改造でスモーク発生装置、破壊工作で機械馬と剣の柄に自爆機能追加
皇帝出現時の空気の振動をセンサーで見切り、スラスターとパイルを使ったスライディングで対応。未来位置に的確に攻撃してくるマインドの攻撃は戦闘不能にならない様急所を武器受け盾受けで防御してかばう
ダメージ過多で停止しないよう自分をハッキング、自己保存機能をカット
スモークで皇帝、マインドには盾を投げつけ目潰し、その隙に皇帝に銃でだまし討ち、当然予測してかばうマインドに機械馬を突撃させ自爆、行動を制限
UC発動、熱を頼りに暴走速度で皇帝へ突撃、剣を投げつけ爆破し牽制、怪力でのクロスカウンターを仕掛けます
セイス・アルファルサ
【皇殴隊】
◎事前準備
仲間をオゥロへ入れてスビマリーノに持たせる
◎戦闘
僕の目的は仲間を皇帝の元へ送り届ける事
○先制攻撃対策
エテルナメンチとクリオーゾと魔力放出による【オーラ防御】で周囲探知をし攻撃を【見切る】
イダーデとフーヂは僕と他人形の護衛
敵の攻撃をその身を以て【庇って】攻撃が届く距離に近づくまでの【時間を稼ぐ】
そして【力を溜めた】スビマリーノの【衝撃波】でオゥロに入った仲間を皇帝の元へ送り届ける
衝撃波は皇帝への攻撃を【フェイント】にした仲間を送るための手段
攻撃が通ればそれで構わない。仲間が追撃できる
攻撃が通らなくても構わない。仲間が不意を撃てる
それじゃ後は任せたよ、みんな
アドリブ・連携歓迎
ゲンジロウ・ヨハンソン
○アドリブ歓迎
チーム【皇殴隊】で参加。わし含め3人じゃ。
○事前準備
転送前にセイスの用意した【格納カプセル「オゥロ」】に入れてもらい、皇帝の前までぶっとばして貰うぜ。
○先制攻撃への対応
いつでも【選択したUC】を発動できるようにカプセル内でBGMを流しておくぞ。
カプセルが皇帝の前まできたら飛び出し、宇宙バイク【オーラ防御】を展開しつつ突撃。
本命はマインドじゃ!
【選択したUC】を発動させ、ゲンチャンダーとなり【怪力】でマインドへ組み付き【鎧砕き】する。
○先制後
鉋の一太刀に続き反撃開始、皇帝に【生命力吸収】を放ちマインド撤退を狙う。
その後、蒼炎の【属性攻撃】と【鎧無視攻撃】の【2回攻撃】を放つ。
喰龍・鉋
【皇殴隊】で参加。
「一人じゃない」強さを見せつけて上げるよ
○事前準備
転送前にセイスの用意した【格納カプセル「オゥロ」】に入れてもらい、皇帝の前までぶっとばして貰うよ
○先制攻撃への対応策
ふっとばしてもらった後は【指定UC】、ゲンチャンダーの防御を信じて、攻撃重視を選択、【勇気】を持って挑む
○戦闘
後は【怪力】を乗せ、防御されることを見越して【鎧砕き】で防御する武装破壊の準備に入り【二回攻撃】更に、黒剣の斬撃は【生命力吸収】する。
セイスが用意してくれた戦略、ゲンジロウがくれたチャンス、何が何でも一太刀くれてやる!無事に帰って皆で必ず祝杯を交わすんだ!
*アドリブ、他猟兵との連携歓迎
アヴァロマリア・イーシュヴァリエ
マリア達が住んでいるはずだった星は全部、貴方のせいで……
許さないわ、絶対に。
ワープしたらすぐ全身を強く光らせて姿を隠すわ。強い念波なら、それだけ正確にマリアを認識する必要があるはずだもの。
それからクリスタライズで姿を消してその後の視認も防いで、オーラ防御の膜でマリアから漏れる音と匂いを遮断して、念動力の塊を離れたところに幾つか放って滞空させましょう。
皇帝の攻撃が念動力に触れたら、それをマリアと勘違いするかもしれないし、白騎士の力があっても透明なものは見えないはず。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚を誤魔化して近づいて、フォースセイバーで、急所を狙う。
必ずこの世界を救うわ。だからマリアは、貴方を救わない。
目面・真
ここは皇帝陛下のご料地というコトか。ならば我等の動きはヤツには筒抜け。
小細工は無用だな、堂々とかぶいてやろう。警戒し過ぎると体が硬直して自由に動けなくなるのでね。
ヤツは先制攻撃をしてくるんだったな。オレと同じ斬撃を仕掛けてくるならば、同格の攻撃で相殺するしかナイか。
ヤツの斬撃に星羅閃閃を放って攻撃をいなす。オレの攻撃が皇帝のと同格とは、おこがましいコトこの上ナイが。
ここからが腕の見せ所だな。フェイントと残像、早業、二回攻撃で皇帝をアームドフォートで一斉砲撃。
もしこの身が持つならば、もう一度、星羅閃閃を放ってみせよう。捨て身の一撃を乗せてね。
ジャックよ、オレの賭けが上手く行くコトを祈っていろよ。
マスター・カオス
いざ、ここに至っては最早名乗りは不要か…
ならば、この戦いを以って、我が解放軍の一剣、かつての大騎士としてけじめ、幕としよう!!
味方連携を重視、敵の先制攻撃は、敵が攻撃する以上、追跡や動く必要性がある点、敵の五感情報からも狙いを可能な限り悟られにくい様に、念動力にて周囲の残骸や塵芥を攻撃の機会の為に展開しているように思わせつつも、敵のUCの索敵や動き、攻撃を判断する為の警戒網とする。同時に回避、オーラ防御から反撃の狼煙【大騎士団ノ残光】にて、フォースナイト達を召喚し、味方の攻撃にも繋げる
現在の事象は、今を生きる者が決める事だ!
奴が、骸の海より染み出た過去ならば、我はそれを阻む過去からの残光なり!
●星界の猟兵たち
猟兵たちが現地に飛ぶ前。
「私はとても残酷で非道な作戦に出ようとしています。
ですが私は貴方達にこの宇宙での自由を取り戻してほしい。
なので、もし貴方に『覚悟』があるなら、付き合って貰えませんか?」
ヒーローマスクがそう語り、頷いた者がいた。
ヒーローマスクは全力を賭してその身を守ることを約束する。
「皇帝陛下のご料地というコトか。ならば我等の動きはヤツには筒抜け。
小細工は無用だな、堂々とかぶいてやろう。警戒し過ぎると体が硬直して自由に動けなくなるのでね」
目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)が呟いた。
仲間たちは頷く。彼らの方針は定まっていた。
準備を終えた猟兵たちが転移されていった。
1つの戦いが始まる。
●インペリウム、其の試練
暗黒騎士・アングラング(光と闇の剣を自在に操る暗黒宇宙騎士・f08676)が黒剣を手に走る。走りながら考える。今の自分では、銀河皇帝には敵うまい、と。
「私達の役目は、敵のフォース・インベイジョンを凌ぎ生命維持機関に傷を与えること、か」
「ええ。後に続く仲間たちを襲う力を削ぐために、とても大切な役目です。失敗するわけにはいきません」
シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)が隣を走りながら声を返す。迷彩を身に纏い駆けるのは、協力する女性の身体だ。
目の前に扉がある。
刺すような殺気があった。
猟兵たちは、視線を交差させる。シズホは目立たないように物陰へと身を潜めた。
先頭を切る新納・景久(未来の親指武蔵・f02698)が喊声を発して突入した。
「うぉぉっ! 大将首じゃァァッ!!」
進撃する景久の周囲にはユーベルコードで複製した22本の火縄銃が漂う。手には複製元となった火縄銃があった。引き金にかけた人差し指は紐で括られ、紐は衣服に結んである。
その背を追いながらアングラングは考える。
(「オブリビオンが時空を超えられるなら私のサイキックとユーベルコードでも同じことができるのではないか」)
アングラングが考えを巡らせる間も景久は騒々しく声をあげていた。
「銀河皇帝、おらんがか! 俺は親指武蔵、新納・景久じゃ! そん首頂戴に参ったどん!」
叫ぶうち、周囲の景色が変わる。
シズホは思わず声をあげそうになったが、耐えた。
冷たく無機質なインペリウム。扉も壁も天井も消え、其処は無限に広がる銀河となっていた。只、足元だけは床がある。
「此処にいる」
鋭い冷気のような声がした。
鬱金色の輪が仄暗い光を放っている。溢れるは青から紫黒へと彩りを変化させながら焔の如く立ち上る邪なオーラ。双眸は冴え。
景久は相好を崩し皇帝へと駆ける。首を取るぞとその瞳が語りかける。
アングラングは意識を集中させ、ユーベルコードを発動させようとする。シズホは景久が気を引いている隙にと反対側から皇帝に走り寄る。
皇帝はフォースを放つ。洗脳念波が戦場を支配する。シズホはその瞬間に本体のマスクを頭上に投げた。
「おう、おはんじゃな! 俺ん手柄に……」
言葉は途切れた。22本の複製火縄銃が消える。
「他愛もない」
失望の声が零れる中、意志を奪われた景久はカクリ、と手にした火縄銃も落としかけ――予め仕組んでいた紐が指を引く。引き金は引かれた。
「!」
タアアァァァン……、
咄嗟の反応。灼熱が奔る。
銃弾は皇帝の右耳を掠り背負われし鬱金色の輪へと着弾し、一部を破損させた。白い煙があがる。
そして、シズホは洗脳された女性の体へと頭上から戻るように被さり、洗脳を解除してみせた。
シズホは一息に接近し、ユーベルコードを発動させた。手には三つの禍々しい気を放つ剣がある。鋭く連撃を入れれば、皇帝が避け切れずに傷を負う。
「これは、封印の力か」
皇帝は呟く。
シズホは頷いた。
シズホの技により洗脳の効果が薄れ、景久が正気を取り戻してニイと笑む。景久は猛撃を得手とするパワーファイタータイプの猟兵であったが、敵を倒すための策略を理解する脳があった。
そして、その場にいる者全てがハッとする。
濃厚な暗黒の気が蜷局を巻いていた。
ゆらり、と黒剣を手に暗黒のフォースナイトが眼光鋭く立っている。
それは、召喚されし『未来』。
「『史上』最強のフォースナイトは過去にいるのか未来にいるのか。貴様と私で、調べてみようじゃあないか」
皇帝は猟兵たちの能力を識る。そして、唸った。
「我が試練、帝国の安寧を乱す者よ。
我在る限り、銀河帝国は不滅なり……!」
手よりサイキックエナジーを放てば、禍々しいオーラが濁流のように猟兵へと押し寄せる。
「――もらったぞ」
アングラングは泰然と微笑みながらダークフォースをぶつけた。オーラが相殺され、消えると同時に暗黒の刃が皇帝の生命維持装置を大きく斬り刻むことに成功する。
大技を放ち肩で息をしながらアングラングは仲間を見る。
「さあ、頼んだぞ」
皇帝の周りに時間を調整して飛んできた猟兵たちが集まり、囲む。
「マリア達が住んでいるはずだった星は全部、貴方のせいで……許さないわ、絶対に」
大きなとんがり帽子を被ったアヴァロマリア・イーシュヴァリエ(救世の極光・f13378)が皇帝へ告げる。その瞳が過去を骸の海へ還すために来たのだと強く訴えている。そして、アヴァロマリアは全身を強く光らせ姿を隠した。クリスタライズ。オーラ防御の膜で漏れる音と匂いを遮断してしまえば、皇帝には居場所が掴めなくなった。
「クリスタリアン、か」
皇帝は呟く。
「解放軍に参戦しているクリスタリアンが多数いるというのは知っている。
美しき種よな」
そして、瞳に愉悦を滲ませた。
「我は星だけでなく人類の生き残り全てを殲滅する。無論、クリスタリアンもな」
皇帝はアヴァロマリアが怒り姿を顕すのを期待して嗤うが、アヴァロマリアは沈黙で応えた。目的を達するための理性が感情を抑えることに成功したのだ。
「銀河皇帝ですか。
部下をも吸収するとは、私が仕えるべき主ではないようですね」
ヘルメス・トリスメギストス(執事・f09488)は片眼鏡の奥の瞳を眇めた。人々に仕え、尽くす執事として戦う決意をし、その一方で仲間たちを見る。
「とはいえ、こう言うときは主を立てるのが執事たるものの役割ですね」
彼は仲間のサポートをする意思を固めた。
「いざ、ここに至っては最早名乗りは不要か……。
ならば、この戦いを以って、我が解放軍の一剣、かつての大騎士としてけじめ、幕としよう!!」
マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)が雄々しく声をあげる。
なるほど、と皇帝は興味深そうに猟兵たちを見渡した。
「数を揃えて来たか」
言いながら実力を測る。精鋭揃いだ。
「良き試練といったところか」
呟き、皇帝はユーベルコードを発動させる。
「解放軍の精鋭よ、聞くがいい。
我は過去の残滓。汝らには我を滅ぼすことは能わず。
我に力在り。汝ら解放軍が我を脅かそうと、我が力在る限り我は試練に勝ち続けようぞ」
笑む。
「銀河皇帝が前である。平伏し頭を垂れよ」
声と共に黒き槍の船が星海の闇に紛れ滑るように動き出す。宇宙空間の闇を縫うように遠くから押し寄せる気配が一瞬鮮烈な悪寒として背を駆けあがり、次の瞬間嘘のように気配が消えた。だが、それが押し寄せ、襲来するのだと彼らは識っている。
「マインド、参ぜよ」
破損した生命維持装置がぎこちなく光る。間があった。
「マインド」
皇帝が再度言う。
すると、『マインド』が出現した。
「現れた! でも、性能は弱化できている」
現れたのは装甲の半ばを砕かれた状態の人型兵器『マインド』だ。念波を掻い潜った先駆けの一撃が効果を及ぼしていた。
「だが、汝らを相手取るには充分である」
皇帝が猟兵たちを睥睨する前で『マインド』がぎこちなく身を起こし、峻烈なレーザーを放つ。それは、収束する運命の光。
「マインドは受け持ちます!」
声と共にマインド担当班が前に出る。
「船は任せて!」
同時に、襲来する船担当班が外縁に陣取り、構えた。
●錯綜の星河
マインドの攻略と黒き槍の船の攻略が同時に進められる。
「エテルナメンチ、探知の助力を」
猫のような瞳孔が戦場をサッと見渡し、示す。
紅いクロークのセイス・アルファルサ(瓦落芥弄りの操り人形・f01744)が言い放ち、機械蛇のエテルナメンチが首をもたげて星海を探る。
そして、セイスはマインド担当班のもとへ移動する。すでにこの時、マインド戦は開始されていた。
宙闇に紛れるような黒き槍の船は巨大な質量を伴い、迫る。極めて発見しにくい其れが地に堕ちた時、いったいどれほどの衝撃が来ることか。
黒き槍の船に対する船担当班の猟兵たちは、ほとんどが探知を捨てて襲来する船の衝撃を耐えるつもりで防御を固めていた。
(「黒き槍の船からは強烈な攻撃が予測される……、ここは皇帝様の領域……
ですが最初は彼は慢心してるでしょう。猟兵が船を見つけて落とすことができない、耐えることができない、……と」)
「クーちゃん、最初の一撃必ず決めるよ」
イヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)が傍らのクー・フロスト(《甦生氷姫》武人たる者、常に鍛えよ・f08503)に声をかける。
「ふんっ、皇帝の領域か。慢心してるのが気に入らんな――潰すか」
クー・フロスト(《甦生氷姫》武人たる者、常に鍛えよ・f08503)がイヴに頷きながら戦意を高める。
「アタシが船を誘き寄せて、盾になるわ」
エリカ・ブランシュ(寂しさに揺れる白い花・f11942)が盾を手に進み出る。
「どこへ誘き寄せればいいかしら」
問う。
「お嬢様、私も盾役としてお供いたしましょう」
ヘルメスが歩み出て一礼する。
「尽くすべき主に向けられる攻撃を身をもって防ぐのが執事の役割です!」
アヴァロマリアが姿を隠したままで提案した。
「マリアが、念動力の塊を離れたところに幾つか放って滞空させるわ。それをマリアだと勘違いするかもしれない……」
カオスが助力を申し出る。
「私も念動力にて周囲の残骸や塵芥を展開しよう。攻撃の機会の為に展開しているように思わせる」
「この戦場に、ここに集まっている他の猟兵たちもいる。特に、マインドと戦っている猟兵たちは目立っていて狙われているはずよ。それよりも存在感を放って引き付けないと」
だから、船を引くために自分も念動力と共に在ろう、とエリカは言う。
カオスが思案気に言った。
「それならば、私もフォースナイト達を召喚しよう。マインド班よりも数を揃えて並べれば敵の注意が引きやすかろう?」
と、その時、セイスがマインド担当班から移動してきた。機械蛇のエテルナメンチを伴っている。
「エテルナメンチが船を探り当てた」
セイスは接近する船の方角を知らせる。一行は顔を見合わせた。
黒き槍の船は高高度から降りようとしている。狙いは激戦を繰り広げているマインド班の猟兵たちだ。
一行は素早く相談し、決意した。
アヴァロマリアは戦場の東方へ念動力を放った。
念動力を外側に丸く囲むよう配置し、その内側へとカオスが召喚したフォースナイトたちが凛々しく剣を構えて整然と並ぶ。エリカとヘルメスが念動力の輪の内に入る。さらに内側にクーとイヴが入った。
「――こっちへ! 来なさい。ここに無視できない存在が――敵がいるわよ!」
エリカがありったけの気迫で存在感を放つ。
魂の底からの熱き想いを乗せ、全力で敵を誘う。釣る。
黒き槍の船は軌道を変えた。
マインド担当班から、船担当班へと襲撃先を変え、降りて来る。
「来ます……!」
凄まじい衝撃が彼らを襲う。
フォースナイトたちが次々と消滅していった。
そして、削ぎ切れない勢いの船が生身の猟兵へと襲い掛かる。
「アタシ――守っ、守って、みせるわ」
念動力が目の前で潰されて消えた。エリカは決死の覚悟で盾を構える。守護の力が籠められた盾だ。
「お嬢様、倒れるのは私が先ですよ」
エリカの前にヘルメスが立つ。身を呈して庇うヘルメスは盾を持っていない。拳を固め、執事服のみで立っている。
轟音。衝撃。
「――ッ!」
「クッ」
黒き槍の船が衝突した。
生身の体にはひとたまりもなかった。
その体が鮮血を噴き、吹き飛ぶ。遥か遠くへバウンドしながら飛んでいき。その姿を追う余裕は、エリカにはない。
「アアッ」
立ち塞がる『盾』が消え、衝撃はエリカに到達した。
盾が一瞬で割れ、全身が衝撃に襲われ、視界が昏くなる。
「ま、まだ、耐えてみせるわ」
エリカは歯を食いしばった。
「アタシが盾になることで一人でも多く皇帝に攻撃できるチャンスが生まれたら、それはアタシの勝ちだもの!」
けれど、それは人の躰で耐えるには、あまりに大きい衝撃だ。
どんなに気力を振り絞っても身体が負けてしまいそうだ。目には涙がにじむ。
「――守ります!」
イヴが聖域を発動させた。
重傷を負ったエリカとヘルメスを清廉でやさしい光が包み込む。癒しの力だ。
「極太ビームだ、――沈め」
クーもユーベルコードを発動させた。《甦生氷姫の祝福》フロストシュネーヴァイスの氷のビームが眩くあたりを照らし、黒き槍の船を貫いた。そして、氷がパキリパキリと船体を凍らせて無力化する。
「た、たすかっ……、」
エリカは息をつき、ハッとヘルメスに視線を移した。執事は床からゆっくりと身を起こそうとしていた。
「む、無茶してんじゃないわよ! こっち来なさい!」
エリカはユーベルコードで聖なるしずくを降らせ、癒しの力を行使する。
「申し訳ありません、このヘルメス一生の不覚。防ぎきれませんでした」
ですが、とヘルメスは仲間たちへと癒しのユーべルコードを発動させる。執事給仕術により互いの傷は癒えた。
「さあ、他の猟兵たちに合流しましょう」
ヘルメスはアヴァロマリアへと声をかける。
「さあ、我が主、銀河皇帝に鉄槌を!
仕える部下を持たない者がいかに脆いか思い知らせてあげてください」
●昂星連武
『マインド』の光線が閃く。
それは、対象の未来位置を識り確実に命中する軌道を奔る。
アリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)が光剣を一斉に浮かべ、盾代わりに展開する。七色の光が銀河に舞う。
鮮やかなピンクの『イルミネイト』。緋の『ローゼンシャード』。橙の『ハイエストオクターヴ』。黄の『ニュークIV』。翠の『蓬莱』。碧の『ヘキサティアーズ』。藍の『トータル・エクゼクター』。
脳裏に蘇るのは異世界での記憶か。
オブリビオンを倒した後に聞いた鐘の音。
子供が泣いていた。
その子どもたちを、喜ばせることができなかった。
世界は異なれど、目の前にいるのは星界のオブリビオン・フォーミュラ。
「人々の未来を! 哀しむ子どもたちを、増やさないために……、負けません!」
それは覚悟であった。痛烈な経験に裏付けされた壮絶なる覚悟、そして勇気がアリアの力となり全ての光線をオーラで弾き飛ばし、防ぎ切った。
同時にトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はスラスターとパイルを使ったスライディングで初動に成功していた。センサーは空気の振動を感知し、見切る。光線はその動きすら読んだように閃いていたが。
「継戦能力を確保できれば問題ありません」
トリテレイアは急所を防御し、致命的な一撃を防いだ。ボディの至るところが破損し、灼かれ、エラーを吐いている。トリテレイアは己をハッキングし、自己保存機能をカットした。ダメージ過多で停止しないようにするためだ。
そして、事前に改造した防具からスモークを発生させた。スモークは皇帝へと差し向ける。
皇帝は余興を愉しむようにそれを視た。
「この身をば、しろき腕に番えれば、刃の星羅、閃閃とせん……!」
一方、真は星羅閃閃を放ち光線を相殺していた。押し寄せる光線は二条。一条が脇を掠めて血花を散らす。
「ぐっ……、」
呻き声を漏らしつつ真はアームドフォートで皇帝を狙った。
『陛下ハ オ守リスル』
『マインド』がその軌道を読み光線で阻害する。そして、反撃の光線を放った。
「くっ」
真は床を転がり寸前で回避する。
「少し分が悪いか」
傷から夥しい量の出血が続いていた。息が荒くなる。
だが、と。
拳を握る。
彼にもまた戦う理由があり、
「……ジャックよ、オレの賭けが上手く行くコトを祈っていろよ」
其れは解放の旗のもとに集いし一般人レーサーの名だった。ここからが腕の見せ所だ、と真は集中を高め、残像を結ぶほどの速度で回避に専念する。
「銀河皇帝が目の前にいるの……起きて、」
アリアはそっと呟き、青の瞳を一瞬閉じる。再び目を開けた時、戦闘に特化した人格『亞璃亜』に覚醒していた。
「──『御苑・亞璃亜』リブートしました」
フォースホロニクス装甲を纏い、代償として寿命を削るアリア。変身には一瞬、隙があった。『マインド』がその隙を穿とうとし――トリテレイアが大盾をマインドに投擲した。
セイスはそのタイミングでマインド班のもとへ駆けつけていた。
魔力を纏いながら、装着した仕込み細工の『クリオーゾ』が周囲を探知する。
「イダーデ、フーヂ」
呼べばワイバーン型の機械竜『イダーデ』と機械犬の『フーヂ』がセイスの周囲を固め、襲来する光線を弾く。
そして、機械鮫の『スビマリーノ』に命じて事前に用意していた格納カプセルの『オゥロ』を衝撃波と共に皇帝に放った。
「そのような衝撃が通ると思うのか」
皇帝は苦も無く衝撃波を避けた。
セイスは呟く。
「それじゃ後は任せたよ、みんな」
避ける耳にBGMが届く。カプセルから響く渋い歌声。
歌は星々の瞬く宙空に活き活きと熱いメロディを轟かせ、響く。
仲間と共に 駆けるのさ
星界の危機に 参戦するぜ
星を守るぜ 船を守るぜ 熱い絆で友を守るぜ
爆装屋台だ! ゲンチャンダー!
ガンバレマケルナゲンチャンダー!
戦え! 俺らのゲンチャンダー!
カプセルから猟兵が出現した。
「――マインドッ!」
皇帝の怒号に従い『マインド』がカプセルから出現した猟兵へと光線を放つ。
「今日のBGMは特別バージョンだ」
渋く言い捨ててゲンジロウは宇宙バイクに騎乗しながら敵を挑発し、オーラをシールドガントレットに集中させて盾となる。その姿は見る見るうちに375.2cmのロボへと変形していった。バトルアーマーモードだ。
仲間を庇って光線を身に受ければガントレットが灼熱の衝撃に軋む。が、
「耐えられないほどじゃねえな! 戦友のおかげだ」
ゲンジロウはナイトヘルムの下で雄々しく笑みを浮かべる。
「ゲンジロウ様、そちらはお任せしましたよ」
トリテレイアはスモークの中の皇帝へと銃撃を放つ。
『サセヌ……!』
『マインド』がその動きを予測し、皇帝を庇おうと動く。
「――ロシナンテⅡ」
ヒヤリとした響きの声と共に機械馬のロシナンテⅡが突撃し、自爆した。
機械馬に自爆を命じたトリテレイアは皇帝へと接近する。仲間へとアリアは声をかけた。
「――勝利を!」
その声は、願うように。
「――ああ、俺たちに任せろ」
ゲンジロウもまた声をかけ。
ゲンジロウに守られながらカプセルから出現した喰龍・鉋(楽天家の呪われた黒騎士・f01859)はユーベルコードを発動させる。
「『一人じゃない』強さを見せつけて上げるよ」
それは、妖狐から教わった符術。詠唱と共に護符から勇気を齎す鎧が生成され、一振りの刃の如く攻撃力を高めた。
「ボクは死なない、あの人のくれた力が、ボクを守ってくれている限り!!」
鉋の金の瞳が真っ直ぐに敵を見る。
『陛下ニ 刃ヲ 向けるコト 許さヌ』
『マインド』がぎこちなく音を発する。それは制約であった。白騎士ディアブロと同等の性能を持つというウォーマシンの能力だ。破れば大打撃を受けることだろう。制約の対象は先刻光撃を受け止めたゲンジロウだ。
ゲンジロウは頷きながら接近し『マインド』に組み付いた。
「問題ない。俺たちの本命はお前なんでな」
元より破損していた『マインド』のボディが怪力によりバキバキと砕かれていく。砕きながらゲンジロウは怪力でぐるりと自分ごと『マインド』を回転させた。敵の背を仲間へと向けたのだ。
その隙に乗じて鉋が影のように『マインド』に迫る。
「セイスが用意してくれた戦略、ゲンジロウがくれたチャンス、何が何でも一太刀くれてやる!」
カプセルにより仲間を届け、攻撃を防ぎ、敵を絡め取り、撃つ。その仕上げであった。
鉋は渾身の力で黒剣『大五郎』を『マインド』の背へ叩き付ける。黒剣は使うたびに鉋を蝕む呪われた剣だ。それを、仲間のために揮う。
「――無事に帰って皆で必ず祝杯を交わすんだ!」
鉋は裂帛の気合と共に連撃にて深く切り裂き、突き立てた。想いの乗った会心の刃が背から胸へと貫き、同時に生命力を奪っていく。
「撤退願おう、マインドよ!」
ゲンジロウの焼き尽くし刺し貫く剣〝劫火〟が蒼炎を纏いマインドの装甲を割る。
同時にアリアが走り寄り、多重斬撃を叩きこんだ。
「――皇帝の駒は討ち取ったであります!」
「マインドは、倒せたか。
スマナイ、回避するだけで精一杯だった」
そして床に血溜まりを作りながらも皇帝に向かう真に気付いた。
捨て身。
その意思が背から伝わる。
歩みを止めろとは言うことができなかった。
「もしこの身が持つならば……イヤ。持たせる」
●凍攻煉舞
「見事なものだ」
皇帝は戦場で起きた全てを把握していた。そして、ふと漏らす。
「帝国の安寧とは、この試練の先にあるのだな」
其の姿を目指していたウォーマシンは既に限界を越えていた。動作は覚束ない。駆けていたはずの速度はいつしか亀のようになり、そして一度停止した。緑のセンサーは途切れがちに光をチラつかせ、ボディは至るところが大きく破損し、方々から煙を吐いていた。只、手には剣があった。
「動け、――動きなさい」
自身をハッキングして命じるが体が思うように反応しない。
敵がどこにいるのかが判らない――否、熱がある。熱は、2つあった。1つが背後から圧倒的な熱さと共に駆け抜ける。生命を燃やすような捨て身の疾駆。
「皇帝!」
身を投げ出すような一撃が閃いた。刃の星羅が、閃閃と。皇帝に着刃したのは義光の名を冠する一振りの刀。皇帝の右肩から胸にかけて深く傷を負わせ。
「グッ!? ……だがッ、足りぬ!」
皇帝は暴力的なオーラを放ち、真を弾き飛ばした。
「……!」
熱が1つ、動かなくなった。
「おのれ、我に深手を負わせるとは」
忌々し気にオーラを漲らせる皇帝。
「体よ、動け――……」
トリテレイアはユーベルコードを発動させた。
「格納銃器強制排除」
倒れ伏した『戦友』へと歩み寄る者がいる。
誰が? 皇帝だ。
「リミット解除、」
声と共に体中の軋みが増す。駆動系が唸りをあげる。近接戦闘形態、真の姿へと覚醒し、
「超過駆動開始」
センサーが煌々と光を灯した。
護るために。
守るために。
「……これが私の騎士道です……!」
トリテレイアは剣を皇帝の眼前へと投げつけ、爆破した。そして、皇帝へと走り寄る。
「まだ動くか!」
皇帝は肌で膨大に増した戦闘能力を感じて戦慄した。
「がんばって――!!」
イヴの声が戦場に響いた。
「――慢心した野郎に、眼にモノを見せてくれよう」
真が負わせた右上半身の傷を狙い、遠距離からクーが氷のビームを放った。
「他の猟兵も来たか!」
カオスが颯爽と姿を現した。
「フハハハハ! 皇帝よ! 追い詰められているな」
高らかな笑いと共にカオスは再びフォースナイトを召喚する。
「我に従いしフォースの戦士たちよ! 今こそかつての威光を示せ!!」
かつてカオスに従ったフォースナイトたちが再び並び、フォースセイバーを手に皇帝に駆け寄る。
皇帝は咄嗟にオーラを練り、前方へと展開した。フォースナイトが数人消滅し、だが、船を貫くほどの高出力のビームはオーラを破り皇帝の身に届く。
「グァ……ッ」
光に貫かれ、鮮血が噴く。
同時に残ったフォースナイトの刃が皇帝の両腕を斬り刻んだ。赤き血がほとばしる。
「その腕ではもうフォースは操れまい。
現在の事象は、今を生きる者が決める事だ!
お前が骸の海より染み出た過去ならば、我はそれを阻む過去からの残光なり!」
カオスは高らかに告げた。
「まさか、我が、我が」
皇帝は予感した。
それは、死の予感であった。
「やっと、この日がきた」
声がした。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚を誤魔化して接近することに成功したアヴァロマリアが姿を見せ、フォースセイバーで皇帝の胸を貫いた。
「必ずこの世界を救うわ。だからマリアは、貴方を救わない」
アヴァロマリアの美しい瞳が至近距離から皇帝を睨む。
皇帝はその瞬間に悟った。この猟兵たちにより、自分は『倒される』。その未来がすでに確定したのだと。
トリテレイアも最後の力を振り絞り、一撃を皇帝に叩き込んだ。
「ぉ……ッ」
皇帝の口が何かを呟いた。音は発せられることがなく、只、唇だけを動かし。
試練。
それは、そんな単語のように思えた。
「……」
沈黙。
皇帝はガクリと息絶えた。
そして、骸の海へと還っていく。
歓声は起きなかった。
「……怪我人の手当てを!」
仲間たちがばたばたと集まってきた。
「しっかりしてください! 全員で、帰りましょう」
イヴの癒しのユーベルコードが発動され、重傷者が処置されていく。
宇宙空間のようになっていた空間は再び無機質な艦艇、帝国旗艦『インペリウム』へと姿を戻し――インペリウムもまた、破壊に耐え兼ねて崩壊しようとしていた。
「作戦は、成功した」
誰かが呟いた。
その呟きは、宇宙空間に溶けて消えるような静かな声だった。
大成功
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