【義賊シャザールと舞踏会】勇者の軌跡を追え②【前編】
●
厚い唇に赤いルージュを一線。
赤いドレスで情熱的なダンスを踊るこの夜。
舞踏会では吟遊詩人が寄り集まり。
貴族達が花嫁を探し出す。
怪しい影が踊り狂う中。
一人の盗賊が紛れ込み。
勇者との絆の品を守り抜く。
●
勇者復活の噂は国を超えて、アックス・ウィザード世界に広がりつつあった。
それと同時に、勇者の品は貴重なものとなり価値を上げて、高値で売る存在がでてくるようになる。
そんな勇者の尊厳を乱すならず者が、出てくる話が持ち上がったころ。
『勇者のオルゴールを手にした女は、舞踏会への参加を許可する』
という張り紙が、砂漠地帯の交易国に張り出された。
貧困から出たい少女から妙齢の女性まで、この張り紙を見て集まっているという。
開催者はオブリビオンの偽装結婚を繰り返す貴族。
彼の狙いは、本物の勇者のオルゴール。
そんなオルゴールを手にした女性たちの舞踏会が開かれる夜。
一つの予告状が届いたという。
『今夜、あなたの舞踏会で持ち寄られる勇者のオルゴールを頂戴いたします』
本物の勇者のオルゴールは現在は猟兵達の手の中にあるはずなのだが……?
それと同時に、故人であるはずのオルゴールの歌の作り手を名乗る男が、舞踏会に呼ばれているという。
伝説の吟遊詩人エメットを名乗るその謎の男は、今夜の舞踏会の花形として登場するらしい。
●
「前回はお疲れ様なのら」
ぺこりとノラ・ネコカブリ(ダークエルフの眠りの歌い手・f35214)は猟兵達に頭を下げた。
「前に勇者が復活したことを告げた、勇者のオルゴールは覚えているのら?」
ノラはふところから、一つのオルゴールを取り出す。
「戦争に行くかもしれない男の子に、お母さんが送る品として普及していたオルゴールだったのら」
コトンと、猟兵達の前に置き、布で磨く。
「実は、勇者復活と共にこのオルゴールを収集している、悪い奴を予知したのら」
ノラは続いて1枚の張り紙を出す、そこには舞踏会開催と女性参加を受け付けている旨が書かれていた。
「オブリビオンでもある貴族は、現在、猟兵達が保管している本物の勇者のオルゴールを探しているのら」
張り紙には貴族の屋敷の番地が書かれている。美しい印が押され、間違いなく貴族のものであることが分かる。
「オルゴールを母から遺産で譲り受けた女性たちに声をかけ、気に入ればオルゴールごと婚約して手に入れているのら」
ノラはオルゴールを横に置くと、真剣なまなざしで猟兵達を見た。
「竜との戦争によって、男性が減ったのもあってか……この交易国では、女性との多重結婚は認められているのら」
そして、腕を組んでおこったように言う。
「正妻を変えながら、飽きたらポイ捨てしているこの貴族は、まさに女の敵!やっつけちゃうのら!」
少しぷんぷんしていたノラは、落ち着いて息を吐くと説明を再開する。
「オルゴールの音楽は元々は民謡で、それに歌詞を付けて歌った吟遊詩人がいたのら」
横にあったオルゴールを回すと、かつて懐かしく歌われた音楽が鳴りだした。
「伝説の詩人の名はエメット。今回、なぜかその人物を名乗る謎の吟遊詩人が参加しているのら」
小首をかしげるノラ。
「そして、今回送られてきた、この予告状……。勇者の片腕をしていたといわれる盗賊シャザールのものなのら」
さらに小首をかしげて、ノラは説明する。
「知られているのは、凄い甘党で、小さな飛空艇を乗りこなし、目当ての宝を盗んだ先々でお菓子と一緒に金銭をばらまいて去っていくという話なのら」
ノラはうなりつつ、かしげていた首を元に戻す。
「まあ、それは置いといて、今回の任務はこの舞踏会に参加することなのら」
ノラは猟兵達の人数分の偽のオルゴールを取り出して並べた。
「入り方は任せるのら、女装してもよし、着飾って化けてもよし、裏から入ってもよしなのら」
ノラは、MAPを更に取り出して配った。
「一番は、貴族のオブリビオンを倒すことなのら」
貴族は舞踏会の会場で、女性をとっかえひっかえしているらしい。
「でも、もし勇者のオルゴールがもう一つあるのだとしたら、シャザールより先に回収もしてほしいのら」
ノラは2つ目の任務を告げた。
「乗り込んだら、舞踏会ではお菓子がふるまわれているのら。このお菓子に気を付けてほしいのら」
地図を広げつつ、もう一つ菓子類の写真を猟兵達に見せる。
もちもちしたお餅を思わせる、ふっくらとした洋菓子だ。
「貴族の護衛をしているメイドさんのなかに、お菓子で太らせるオブリビオンがいるのら」
ノラは、写真をとりだすと危険そうに見えないメイドさんの姿を見せた。
「見かけは普通のメイドさんでも、怠惰……つまり、リラックスしている時に強い力を発揮するのら」
舞踏会で舞い上がっていると、痛い目を見るかもしれないと猟兵の君たちは思う。
「お菓子をふるまわれても、食べずに警戒して、なんとかメイドさんと戦って倒すのら」
おいしそうなそのもちもちの柔らかそうな菓子は、見てるだけで君たちのお腹を減らしてくる。
「どうやら、貧困街の女性を太らせて、献上するのがこのメイドのオブリビオンの役目……舞踏会でふるまわれた菓子を花びらの武器に変えて攻撃してくるのら」
広い舞踏会の菓子は、どこから飛んでくるかはわからないだろう。
「万が一、リラックスしてしまうと、もちもちした触手をだして攻撃されて、骨抜きの脱力状態になってしまうのら。気を付けるのら~」
警戒状態を解くのは、だいぶ危なそうではあった。特に、食べ物には気を付けなければ。
「じゃあ、まずは、侵入頑張ってほしいのら!」
ノラは資料をたたむと、君たちの背を押した。
これから化粧や、ドレスの準備をしなければいけない……そして、舞踏会への参加だ。
君たちは、いつもの冒険者の武器の姉妹どころなどを考えながら、支度へと向かった。
はるかず
●はじめに
バレンタインに合わせて、お菓子を配る義賊というテーマで続編を書きました。
このシナリオは、「【黄金城と城下町】勇者の軌跡を追え」の続編となっております。
義賊シャザールが隠れて舞踏会に持ち寄られた「勇者のオルゴール」を回収するという話が出てきています。
オブリビオンを倒すのが第一ですが、もう一つの勇者のオルゴールの謎にも付き合っていただけると幸いです。
●舞踏会に参加しよう
オルゴールを持った女性であれば、老若問わず参加できます。
男性の方は、お化粧して入るなど工夫なさってください。美貌に自信があるのなら、そのままでもOKです!
入ったら、敵のメイドが出すお菓子に気を付けつつ、シャザールだと思われる人物と協力してみてください。
見事正体を突き止め、義賊シャザールとの連携ができたら、ボーナスが付きます。
●メイド「モチルフ」
お菓子で肥え太らせてくるメイドさんとの戦闘です。
敵は怠惰を誘い、リラックスしているところを襲い掛かってきます。
料理には注意して、戦いましょう。
●後編に関して
貴族との戦闘の後、シャザールが撤退していきます。
貧困街にお金とお菓子がばらまかれ、国に活気が満ち溢れます。
みなさんも倒した後で、お菓子をばらまいたりしてバレンタインを楽しみましょう。
そして、もう一つの勇者のオルゴールの謎とは一体?
第1章 日常
『舞踏会に参加しよう』
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POW : 強行突破、舞踏会に乱入する
SPD : 化粧をして美しく着飾って入る
WIZ : 特別な招待状を偽装する
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リオン・ゲーベンアイン
さて、女の敵には女の恐ろしさを教えてあげなきゃね
チェスボードの形をしたオルゴールを持ち、参加
そこでUCによるオルキヌスの瞳で、シャザールだと思われる人を見つけ出す
こう見えても国家元首だからね、おいたは出来ない筈
こちらもそれなりに礼を尽くせば、いい気になるはずだね
そう振る舞いながらシャザールを突き止め、さりげなく誰もいない個室で二人きりになるようシャザールと貴族の関係者を誘導していく
さて、貴方がシャザールなんだね
わたしはリオン・ゲーベンアイン
少し前に侯王になったのは知っているかな?
ちょっとここに|女の敵《オブリビオン》がいると聞いてね
助太刀しに来たよ
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
f02580/祝聖嬢と協力
以前に一緒に冒険をした妖精たちとオルゴールの話し(うろ覚え)をして形状や音色を聴きながら複製を作成して持ち込みます。
「姉よ、捜索と看破は任されよ。妖精の輩よ、久しいな」
『アテネ・ニケ・パルスフラッシュ』で表層意識や深層意識の精神の波長を読み取って周囲に視線を向けずに賊を捜索します。
姉や妖精とも舞踏を舞い踊りアロマ効果の芳香などを漂わせて、賊を見付けても即座に行動には移さずに“猟兵にだけ理解される信号(シグナル)”を設置させて様子を伺い、賊の問題工作を各県もしくは看破した際に対してテレポートをして迅速に対応します。
他の舞踏などには対応しながら紳士からのダンスにも「お招きに感謝する」と笑顔を返して対応してファンネルビットを透明化し視聴嗅覚を阻害しながら警戒と捜索はは怠りません。
仕掛け料理を発見したらマーカーを付けます。場合によっては無害な場所にテレポートをさせてしまいます。
祝聖嬢・ティファーナ
*アドリブ歓迎
f35555/ティティスと協力
「さぁ♪ミンナ舞踏会だよ出て良いよ☆」と『フェアリーランド』の壺の中から精霊,聖霊,月霊,天使,英霊を呼び出して「迷惑以外は自由だよ♪」と言います。ファンネルビットを通して通信しながら義賊シャガールとも連携や情報交換をします☆
賊を見付けたら義賊シャガールやティティスに囁いて知らせます♪
変装や仕掛けを見付けたらご褒美お菓子を上げながら歌唱して舞踏して盛り上げます☆
露骨な巨漢/肥え太ったメイドを見付けても「何かスゴイね…」とマジマジと見ます♪
ティティスの料理チェックを気にしつつ料理やお菓子を袋詰めにして貧民街で配布する用意も怠りません☆
時々勇者のオルゴールの謎を聴き回ります♪
同時に自分のオルゴールの用意を忘れていたのに気付いてティティスに急遽的に急拵えで作って貰って間に合わせます☆
精霊にも聖霊にも月霊にも「ホントに大丈夫?」と心配されちゃいますw
御堂・伽藍
【金剛胎蔵】
アドリブ、即席連携歓迎
せんせいとティティが さがしてる
ならば、状況を動かしてみるか…
♪ ♪~♪~
(探す者、この音を探せるか?)
念のためオルゴールは事前に作ったレプリカを持参
アート残像ダンス釣り陽動存在感
ダンスステップの一部に曲のリズムを交え信号を送りつつ、参加者の目を引いて敢えてシャザールの動きを誘ってみる
お菓子は早業UCで食べるフリしてがらんどうへ瞬間投棄
はなをめしませ めしませはなを
右へ左へ 一つ二つ
不測の事態にも落ち着いて咄嗟に対応
なにか おきる
まあ、何が起きるかは見当もつかぬが…
【舞踏会への準備】
それは、前日の事……。
ティティスは、腰をかがめて妖精さん達と重大な会議をしていた。
それは、オルゴールの偽装作戦に使う、瓜二つのオルゴール作成の話だった。
たどたどしい妖精さんの記憶から、ファンネルビットを使い、工作を行っていた。
「キノコが生えてなかったっけ?」
「いや、違うよ。コケだよ」
「コケとかあったかなぁ?」
「俺より大きかった!」
「俺たち、人間よりチビだもんなー」
ティティスを囲んで、妖精さん達がオルゴールについて会議を始めていた。
あーでもない、こーでもないと、提案をするたびに、ファンネルビットが飛び回り、木くずを飛び散らせながらオルゴールの形状を変えていく。
一つは、キノコ型オルゴール。
一つは、ハート型オルゴール。
一つは、キューブ型メカメカしいオルゴール。
混沌とした会議の中、一人の妖精さんが言う。
「いや、でもさ、大事なのは記憶だよ。思い出をコピーできたら、中身は本物さ」
ティティスは、伽藍と一緒に手にしていたオルゴールの記憶の思念は理解していた
パルスによって無意識を読み取れるティティスは、オルゴールの思念というものを感じ取れるのだ。
ティティスはこの作られたオルゴール達に小さくだが、似た波動を入れることにした。
【パーティ会場にて】
パーティ会場は、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)の《フェアリーランド》によって様変わりしていた。
小さい妖精さんの他に、大きなトレントなどの木の妖精が、水瓶を取ってがぶがぶ飲んだりして騒ぎ始めている。
時たま、ウンディーネが入り込んだ水瓶を飲み込んで、ウンディーネがトレントの体から噴き出てしまうという事態を起こしていた。
「みんな!迷惑以外はなんでも大丈夫!楽しく舞踏会をやろう☆」
くるくると妖精パック達と踊る祝聖嬢は、花のように笑顔を振りまいていた。
そのせいか、会場はかなりにぎやかになっていた。
ウンディーネの出した水に飲みこまれて、流されていくパーティーに来た太っちょおばさん。筋骨隆々の女装おじさん。それに交じって、天使たちや月の霊達が音楽を奏でている。
それをまじまじと見て、「なんか、凄いね……☆」
と、祝聖嬢はパーティーの有様を眺めていた。
そんなパーティーの中で一人。リオン・ゲーベンアイン(ゲーベンアイン侯国元首『神弓侯』・f23867)はお客さんたちに目を光らせていた。
「この中に、シャザールがいるはずだね」
青いドレスの背に青い長いリボンを付けたドレスコードのリオンは、優雅な立ち振る舞いで貴族達と社交をしつつ、情報を集めている。
そこで噂されていたのは、やはり今回の花形であるエメットの話題だった。
「その花形のエメットという人はどこにいるんだい?」
そう貴族に問うと、一人の貴族が調律を行っているエメットを紹介した。
UC《海嘯ならざぬ唯一つの魔眼の主》を使う。
リオンの目の前が、海底の中に入ったかのように青く染まる。
すると、すべての個々の会場の者の真実の姿を暴く【魔眼】となって発現した。
エメットに視点を合わせると、彼の正体を魔眼から得た知恵で、直感的に見抜く。
彼が――シャザールであることを!
リオンは近づいて声をかけた。
「あなたがシャザールなんだね」
「舞台裏にいかないか、ここじゃあお客さんに見られてしまう」
エメット……いや、シャザールは櫛で髪をひとかきあげすると、彼はハープを持って舞台裏へとリオンを誘った。
舞台裏の影に着くと、シャザールはリオンの方を見た。
「この俺がシャザールって分かるってことは、あんた猟兵だな?」
義賊シャザール……そして、エメットは目をきらりと光らせてリオンに話した。
「いかにも。私はリオン・ゲーベンアイン。少し前に侯王になったのは知ってるかな?」
その言葉を聞いてシャザールは仰々しく、少し大げさに礼をする。
「それは、恐れ多い方との出会いだ。初めまして、リオン・ゲーベンアイン候。表の姿は第二の吟遊詩人エメット。裏の姿は義賊シャザール……それが俺の正体です」
立ち振る舞いは貴族風の育ちのよさそうなシャザールだが、その礼節の節々には隠し切れない粗雑さも見えた。
「俺はエメットとしての名声を使って、地位高い人へ忍び込んでいます」
「なるほど、貴方はそうやって義賊として金持ちからお金を奪ってきたわけだ」
エメットは頷いた。
「はい。ですが、今回は特別な夜となります。リオン様。勇者のオルゴールが二つある理由、それは俺が歌ってここで公表するつもりです」
「それは、なぜ? 貴方が歌うことで、何が変わるというんだい?」
「今、巷では勇者がいなくなった理由さえ知らない存在が多い。勇者を見つけるには、大勢の人の協力が必要だ。そのためには、勇者がいなくなった時の状況を知る俺の詩が必要なんです」
リオンは考えを巡らせた。勇者の事を知る者は、今は勇者のパーティだったものしか知ることはないだろう。この情報は、希少なものであることを。
「この、大きな事件に一つ一つ乗じて、俺は勇者の軌跡を伝え、そして帰ってくるあいつのために貴族が持つもう一つの勇者のオルゴールを回収したい」
リオンは、そのことを了承した・
「私は、君の助太刀がしたい。ここにいるオブリビオンを一緒に倒そう。そのために、オルゴールの回収のために一つ作戦をくもうじゃないか」
エメットは喜んでみせると、リオンの前に跪いた。
「では、失礼して」
約束の証に、リオンの手の甲にキスをするシャザール。
二人の間に、同盟ができたのであった。
一方そのころ。
ティティスは舞踊を踊っていた。美しい黄色いドレスで、体重を感じさせないかのように宙をふわりと浮くステップ。くるくるとしなやかに肢体を動かす様は、会場の注目を集めていた。
その、突然の美女の到来に、会場の敵の貴族が声をかけてくる。
「お嬢さん、ダンスの相手をさせていただいても?」
「お招きに感謝する」
警戒を怠らずに、スカートの裾を上げて、一礼する。
二人は、敵でありながらもダンスを踊り、舞踏の花として拍手を浴びた。
貴族は、満足しティティスを気に行ったのか、関心を示す言葉をかける。
「今日の会場に持参していただいたオルゴールが、どんなものか見せていただいても?」
「これだ」
妖精さん発案の、森の赤い粒玉色のきのこオルゴールを貴族に見せた。
「こ、これは、う、美しい!是非とも欲しいものだ!」
わざとらしく貴族は驚いて見せた。
賊である貴族の注意を引きながら、ティティスはその会話の間にも透明化したファンネルビットを動かし、仕掛け料理にマーカーを付けて回っていた。
ファンネルビット達は、まるで自分たちが食べてしまったかのように、一瞬にしてテレポートさせ仕掛け料理を消してしまう。
感動して見せる貴族を傍目に、祝聖嬢が飛び込んできてティティスに声をかけた。
「ティティス~、大変だよ!こっちに、おいでおいで~!」
「姉との話があるので、これで」
と、貴族を断りを入れ、ティティスは一礼して場をさっと去っていく。
「あの気品、是非とも我が嫁にしたい……」
去る様を見つめて、貴族はそう呟いた。
大きなタワーケーキの近くまで呼ばれ、食べ過ぎて太ってしまった妖精さんのところまで、ティティスを案内する祝霊嬢。
天使や月霊もかじってしまったのか、丸々としたお腹を見せて転がっている。
「一口食べたら、こんなにみんな太っちゃった☆」
「仕掛けの一つだな」
「姉、指示を。ファンネルビットに飛ばさせるか?」
すると、妖精とダンスしていた御堂・伽藍(がらんどう・f33020)がステップを止めて、お菓子をサッと【がらんどう】の中にしまってしまった。
伽藍のUC《胎蔵界伽藍堂》の技である。
「これで問題ない 先生 ティティ」
「わぁ☆なくなっちゃった!」
はしゃぐ祝聖嬢。冷静に伽藍にティティスは軽い挨拶と、シャザールに対する意見を聞いてみた。
「伽藍、シャザールは見つかったか?」
ティティスの問に、首を振る伽藍。
「ただ ひとつ やってみたいことがある 手伝ってほしい」
ティティスと祝聖嬢の二人に協力要請をして、伽藍はこれからの行動を伝えた。
天使たちがラッパを鳴らし、月霊が歌いだす。
ファンネルビットが、ライトを照らし出すと、くるくると3人を頭上からスポットを当てる。
カラフルな色どりのスポットが、3人を照らし、妖精さん達が三人を踊りに誘う。
祝聖嬢が、舞台をさらに盛り上げるため、こんぺいとうを星を散らせるかのようにばらまいて英霊や妖精たちの笑い声が響く。
その中を3人の嬢が、美しい踊りを披露し、客は感嘆の声に包まれた。
最後にティティスが《アテネ・ニケ・パルスフラッシュ》の光で、会場全てをパルスで包み込みこんだ。
感嘆の声が舞台裏まで響いてくる。
その、三人を見るために、あのエメットも舞台裏から進み出てきた。
「これは、これは、今夜の彩りにふさわしい、三つの花がいるようだ」
シャザールが化けたエメットは、粋な性格なため、ハープを取り出すと三人に合わせて曲を弾く。
すると、伽藍が曲に合わせて歌を歌いだした。
『勇者は昔、父代わりをした騎士と再会する
騎士は老成して、その時は魔法店を開いていた
懐かしい記憶に打たれる騎士から 親として贈るオルゴール
勇者は喜び そしてもう一つ姫のために記念の品を買った
買ったのは二人のエンゲージリング
冒険の思い出に そして二人の婚約のために
そして、いつか帰ってくる約束のために』
勇者の身内しか知らない、歌を歌い伽藍は会場からの返事を待った。
その歌に、シャザールの化けた吟遊詩人エメットから返歌が歌われる。
歌は帝竜に挑む前の勇者と姫の掛け合い。甘い恋愛のデュエットの詩でありながらも、どこか悲しく熾烈な争いを感じさせる歌だった。
『帝竜との戦いに行ってしまうのですか?。
姫、私は必ず帰ると約束した
あなたの生死を教えるためのオルゴールを譲ってください
いいとも、この中にある結婚指輪と共に大事にしてくれ
そして、私のオルゴールを渡します
私と、貴方の絆。そして、皆があなたを思っているという事を忘れないで
勇者は姫のオルゴールを抱いて、帝竜へと挑みに天高い暗雲へと飛び立った
激戦が繰り広げられた中、勇者は結局帰ってこなかった
ただ一つ、残ったのは暗雲の下に落ちていくオルゴールが見えただけ
今もそのオルゴールの行方は分からないという』
伽藍の中の勇者のオルゴールがほっこりと温かみを増したような気がした。
伽藍は、シャザールが化けたエメットの方を見る。
そしてこの人がシャザールである事を理解した。
「見つけた 見つけた 勇者の軌跡 ひとつの欠片」
三人は、会場のみんなに一礼をすると。拍手を浴びることとなった。
二階の客席から貴族が出てきて、3人と吟遊詩人エメットに拍手を送る。
「美しい!実に美しい!いかがでしょうか、第二の吟遊詩人エメット氏の歌は!3人にも拍手を!」
会場のすべての人に語りかける貴族。
「そして、パーティも佳境に入ってきました。お楽しみはこれからです。美しい、お嬢さん方。私のためにオルゴールを持ってきてくれてありがとう」
そして、ついにオルゴールについて説明しだした。
全員がその様子を眺めていた。
「会場に入った時に渡した番号順に、どうか開いて見せてほしい」
手を大きく開き、会場の視線を一身に浴びる貴族。
「きっとその中から、私の持つ運命のオルゴールと一緒に、鳴りだすものがあるだろ」
わっと会場が盛り上がり、すべての客人の女性がオルゴールを取り出した。
「え☆」
びっくりしたように目をひらく、祝聖嬢。
「どうした、姉」
「オルゴール、忘れちゃった!」
その様子に、精霊や英霊も驚き、周りでワイワイ心配の声が上がる。
ふっと、ティティスは笑うと持参したバックから、ある物を取り出した。
「仕方ない。姉、これを使うといい」
それは先に準備していた、キューブ型のメカメカしいオルゴールだった。
オルゴールはひゅんと飛び出して祝聖嬢の手に収まった。
「ありがとう~!開いて見よう♪」
ぱか、と開いてみる。
実はこのオルゴール、ファンネルビットであった。
白い小さな箱に、青いラインの切れ目が入り、美しい機械のフォルムだ。
オルゴール型ファンネルビットは、くるくる音楽を鳴らしながら浮遊した。
空気を箱の隙間に通らせることによって、鳴る仕組みなのかダンスするように回っている。
「わぁ☆すごい、綺麗~♪」
「鳴ってしまった」
一緒にティティスが持っていた、キノコの首の部分が開き音楽が鳴り出した。
伽藍のがらんどうの中のオルゴールも、思いに反応して鳴り出す。
「これは 共鳴しあってる?」
伽藍は思念が集まって来るのを察知した。
この会場には、一つは小さな勇者の思いが二つ。もう一つは姫の思いの品の思念。
更に、友情を感じさせるオルゴールの音が一つ。そして、自分が持つ本物のオルゴールの音の思念。
貴族がパニックを起こしたように、取り乱し、頭を抱えて叫んだ。
「どういうことだ!? 勇者の品は、親しい者同士の絆に反応しなければ、共鳴して鳴らないはず……!5つもあるぞ!!!!」
「この中に、曲者がいるぞ!メイド長、取り押さえるのだ!」
「ちょっと待った!」
しかし、それを制止するものの声があった。リオン・ゲーベンアインその人である。2階の客席には上級貴族達が集められていた。その中に招待されていたのである。
「残念だったね。僕を上級貴族達と近い位置に私を置いたのは、貴方の失敗だった」
隠されていたオルゴールの位置を、鳴りだした事で場所を特定したリオン。
カーテンをばっと開くと、置いてあったピンクのオルゴールを発見する。
「シャザール!いくよ!」
リオンが号令を出す。
すると、シャザールが化けたエメットの懐からカードが投げられ、モンスターがカードから出現した。
それは、カーペット型のモモンガで。人を乗せられるくらいの広さがあった。
「乗ってください!リオン様!」
モンスターはリオンに可愛らしい声で語り掛ける。
リオンは、オルゴールを手にすると、モンスターの上にのって会場を飛び、オルゴールを奪取することに成功したのである。
大成功
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第2章 ボス戦
『モチルフ』
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POW : 皆さまは何もしないで良いのですよ
自身の【怠惰を愛する心】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 心ゆくまで味わってください
自身の装備武器を無数の【お菓子】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : ご主人様が望むなら何でもしますよ
【劣情か怠惰】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【もちもちした物体】から、高命中力の【人をダメにする手触りの触手】を飛ばす。
イラスト:あいだ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠八幡・茜」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オルゴールを奪取した猟兵たちの目の前に、メイド長が進み出てくる。
「お客様、ご主人様のお品を返していただきましょう」
彼女は、ユーベルコードを発動する動作をしようとする。が、しかし、お菓子が傍にないため、不発となった。
「あら、どうやら、食べられるか、遠くに行ってしまったようですね」
仕方なく、もちもちした触手を召喚させ、堕落させようとその手を伸ばしてきた。
「どうぞ、ごゆっくりしていってください」
にこやかな表情で、襲い掛かるメイド長。
猟兵達は、戦いに挑むこととなる。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
【金剛胎蔵】
「メイド…好戦的なパルス、撃滅し駆逐する」
『マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット』でファンネルビット/シールドビット/リフレクタービット/サーチファンネルをLv機体数を創造して展開し姉と猟兵と非難客を連携しながら敵の攻撃に対して空間飛翔して避けながら同時に先制レーザービーム攻撃をして、ティティス自身も祝聖嬢達と連絡を交わしながら必要な透明化し視聴嗅覚を阻害しながら状況と状態を把握しながら敵用のシグナルパルスを照射して確定させながら的確に認識して全方位を警戒・捜索・索敵・連絡を通して的確なアプローチを心掛けて行ないながら事態を把握と確認をして、要望への応対と敵への対処を確認しながら行ないます。
「メイドとは“奉仕の博愛お精神、妨害と攻撃では無い”」
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定
*アドリブ歓迎
「うわぁ~何課バっチぃ感じの恐いメイド?さんなのかな?」
『フェアリーランド』の壺の中から各種精霊,聖霊,月霊,戦乙女,天使,英霊,死神を呼び出して“七色こんぺいとう”を多めに配って「悪いヤツをミンナでやっつけちゃうぞ~!☆えいえいお~!」と元気に応援をしあってティティスとファンネルビットを見ながら天使には避難誘導を優先して率先して貰いながら戦乙女と英霊と死神が率先して攻撃を仕掛けて月霊は祝聖嬢の傍に付いて感情と思考の攻撃を警戒しながらペチペチと髪の毛を引っ張ったり叩いたりしながら対応して、精霊と聖霊が協力して『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃を仕掛けます☆
敵の攻撃は『月世界の英霊』で空間飛翔して避けながら、敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化させ『クリスタライズ』で姿を隠しながら『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治療し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します♪
御堂・伽藍
【金剛胎蔵】
アドリブ、即席連携歓迎
ごちそうさま いただきません
その趣味は、願い下げ♪
先制UC最大範囲発動
強化効果を仲間にも付与
残像陽動フェイント迷彩忍び足でゆるゆると接敵
射程に入り次第念動怪力火雷光地空属性鎧無視斬撃波UC
フェイント二回攻撃等を駆使し範囲ごと切り込む
三本の「しん」とUCの八剣、併せて十一の刃で無尽蔵に刻む
敵の攻撃を落ち着いて見切り
残像ダンス陽動フェイント忍び足等で躱し
さもなくば念動怪力衝撃波オーラ防御等で受け流す
機会あれば積極的にかばい援護射撃追撃
おかしな ぽいぽい
おかしは ぽいぽい
めいどは ばいばい
めいどへ ばいばい
さようなら さようなら
鎮め沈め骸の海へ
祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)とティティス・ティファーナ
(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)、そして御堂・伽藍(がらんどう・f33020)と猟兵達は敵と対峙していた。
大きなもちもちした触手をぐるぐると回し、分離させてもちもちしたスライムが会場へと飛び散る。
「これがメインディッシュでございます」
礼をして、白いスライム上の触手を紹介するメイド。
「うわぁ~何かバっチぃ」
「ごちそうさま いただきません」
「メイド…好戦的なパルス、撃滅し駆逐する」
3人がそれぞれの反応を返す。
「私は、皆さんに怠惰をお届けしたいだけなのです」
「恐いメイド?さんなのかな?」
祝聖嬢の反応に、サディスティックな笑みを浮かべるメイド。
「わたくし、美しいものを太らせて、ご主人様にお届けするのが使命なのでして」
伽藍と祝聖嬢は少し引き気味に、返答した。
「その趣味は、願い下げ♪」
「わわ!太らせて来る悪いメイドさんだよ~!気を付けて~☆」
手を大きく振って、祝聖嬢が皆に危険を呼びかける。
「姉、伽藍、敵の攻撃的パルスを感知、来るぞ」
ティティスが警戒を促す。
相手が飛び散らせた白いスライムをけしかけようとした瞬間。
先制で、伽藍が【がらんどう】から【八つの紫電の剣】を飛び出させる。
伽藍のUC《大炎黒拆若土鳴伏》である。
メイドは、もちもちの触手を各所から紐のように飛び出させ、格子状の盾を作った。
紫電は難なくその格子を切り刻みながら突撃する。
「効きませんか!」
もちもちスライムの格子が切り刻まれたのを理解し、メイドは逃げの手を打つ。
メイドはバク転で、八本の紫電の攻撃を、1本、2本、3本まで避けきる。
壁をけって4本目を避けたかと思うと、腹に5本目を受けて、苦しそうに血を吐いた。
すかさず、残りの3本が肩、足、胴を貫いた。
「がふっ!」
おかしな ぽいぽい
おかしは ぽいぽい
めいどは ばいばい
めいどへ ばいばい
伽藍の声が響かせる。伽藍は、そのまま紫電を浮遊させつつ、メイドへの接近をしようとした。
しかし、貫いたまま脱力状態のメイドの体はゴツゴツと筋力強化され、傷がふさがっていく。
その異常さに、伽藍は一度、武器を構えながら後方へと下がる。
「なるほど 不利な方が強い仕様か」
伽藍がその実態を見極めると、紫電によって【巨大な九曜紋】が浮かび上がり、全員に戦闘力を高めるオーラを纏わせた。
伽藍が戦っているその間に、祝聖嬢は《フェアリーランド》で壺からお友達を呼び出す。
精霊、聖霊、月霊、戦乙女、天使、英霊、死神が祝聖嬢の周りを飛び回る。
「悪いヤツをミンナでやっつけちゃうぞ~!☆えいえいお~!」
こぶしを振り上げて、祝聖嬢が可愛い激励を飛ばすと、お友達の妖精達全員もこぶしを振り上げた。
「「「えいえいおー」」」
妖精さん達の鼓舞が、会場に広がる。
「姉、援護する。『適切対応可変型サイコミュ・ファンネルビット』」
ティティスの周りからファンネルビットが展開し、妖精さんにそれぞれ援護へと飛んでいく。
これはティティスのUC《マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット》の技だ。
「こちら、天使さん。避難誘導いたしまーす!」
サーチファンネルと一緒に、索敵しつつ警戒の中を避難誘導する天使。
「こちら死神さん!突撃する!」
「英霊さんと戦乙女もいるよ~!」
シールドビットの後ろに隠れながら、英霊と死神、そして戦乙女がメイドへと突撃していく。
伽藍を退けたメイドに、ファンネルビットとシールドビット、妖精さん達が飛び掛かる。
「メイドよ、覚悟!」
メイドの後方に回り込みながら、シールドビットの後ろから戦乙女が剣を振りかざす。
「右だよ♪いや、下でした!」
メイドが頭を下げて、避けたかと思うと、下の方向から英霊がパンチを食らわせにとんだ。
「いいや左からだよー!」
死神が釜を振り回して左方から突撃、メイドの髪を切り刻む。
「く、多いですね!?」
まとわりつく妖精さんとファンネルビット達を、厄介に思うメイド。
一度砕けたかのように、メイドの体が崩れ落ちる。
「皆様!おいでませ、もちもち召喚!」
敵は自身の体をリラックスさせ、全身を脱力状態にしたかと思うと、まとわりついていた妖精さんごと召喚に巻き込む。
脱力状態の召喚者を巻き込み、もちもちした白い触手が妖精さんとファンネルビットを取り込んだ。
「「「うわ~ん」」」
警戒をしていたにもかかわらず、もちもち攻撃に巻き込まれ、大きなトリモチになってしまった。
「ねばねばするよ~!」
間一髪、後方で紫電を操っていた伽藍は避けたが、妖精さんとファンネルビットがもちもち状態になってしまった。
「味方の捕縛を確認、脱出させる」
瞬間的に、トリモチの上空へとティティスはテレポートする。
レーザービームを斉射すると、正確な攻撃によってレーザーは妖精さんとファンネルを避けてトリモチを分解させた。
そのレーザービームの高熱によって、ぷくぅーっと白いトリモチスライムは膨れ上がり、妖精さんとファンネルを飛びちらせて破裂した。
「「「うわー」」」
飛び散ったそれぞれの妖精さんを、自由になったファンネルビットたちがテレポートで安全な場所に飛ばす。
祝聖嬢が無事を確認しつつ、月霊と交信しあう。
「準備はできたかな♪」
「月霊より、連絡でーす。準備おーけー?」
傍にいた月霊が、サーチファンネルで状況を見つつ、他の妖精さん達と連絡しあっている。
「こちら聖霊さん! らじゃー、らじゃー」
ファンネルビットを使いフェアリーランドの小さい応援団達が交信しあう。
「こちら精霊さんも準備よし!」
いつの間にか、妖精さん達で会場にメイドを囲んだ包囲網が出来ていた。
「いっくよー☆」
各所に配置された、精霊と聖霊たちから聖なるエネルギーと属性エネルギーの混ざった力が吐き出された。
聖霊&精霊さんが装着していたリフレクタービットによって、精霊&聖霊の力を反射してメイドを中心とした方陣が描き出される。
「ボクの特大《エレメンタル・ピクシィーズ》&《神罰の聖矢》をくらえ!」
「え、いつの間……に!?」
逃げようと、作り出された方陣から去ろうとするメイド。
そこに、すかさず間合いに入り込んでフェイントを仕掛ける存在がいた。
「い!?」
「さようなら さようなら
鎮め沈め骸の海へ」
飛び込んだ伽藍は、足をししんとじしんで貫いて、メイドの胴体を地面に固定した。
そのまま、ファンネルビットに触れテレポートで後方へと瞬間移動する伽藍。
「あぁあああ!?!?」
《エレメンタル・ピクシィーズ》と《神罰の聖矢》が四方八方から浴びせかけられ、メイドは戦闘不能になったかのように思えた……!
大成功
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エマ・エヴァレット
(実はそこにいた)
お前がこの地の人々に悪しき未来をもたらす者の一人か。
倒れたまま何を企んでいるのかは知らないが、この眼に懸けてお前の未来はここで終わらせよう。
《理晶珠》を槍に変化。
敵に向かって放ち、その身体に突き立てよう。
そのまま骸の海に還ってくれるなら有難いが、それほど潔くはないだろう。
槍が躱されたなら、《理晶剣》を構えて《場》で加速して接近する。
お前の力は先程十分見せて貰った。
その怠惰、その脱力がいつまで保つか試してやろう。
UCを発動し、敵のUCを抹消。
《強化紋》で自身の理力を強化。
《送還紋》の力を込めた剣でその身を切り裂こう。
メイドなら骸の海で主人を出迎える準備でもしておくんだな。
パーティー会場で逃げ惑う人々の中から、一人……青々しい少女でありながらも、どこか大人びた表情の猟兵が現れた。
エマ・エヴァレット(処断者・f39736)その人である。
「倒れたまま何をたくらんでいるか知らないが、お前の未来はここで終わらせよう」
エマが手で金髪をひと払いすると、青い眼に紋が浮かび上がる。
【継承紋】――エマが瞳に宿す、未来を見通す眼であった。
「この目に懸けて」
エマは、まず10個の《理晶珠》を槍に変化させ、倒れているメイドに放った。
鋭い音と、肉片を飛び散らせる、斬撃の音。
しかし【怠惰】なメイドは、体を動かす気配がなくされるがままになっている。
しかし、体に変化があった。白いスライム状の触手がメイドの体を強化していくのである。
「アア……愛する怠惰」
ゆっくりと起き上がり、糸に吊るされた人形のように立つメイド。
触手が手足をつなぎ合わせ、何とか人型を保っている。
顔は崩れ、ボロボロと皮膚が崩れながらも、その【怠惰】によってまだ強化をしているようであった。
「お前の力は先程、十分見せて貰った」
自身の体を触手で強化し続けるメイドの姿に、二度目にする技に対してエマはこうつぶやく。
「しかし、その怠惰による強化――いつまで保つか、試してやろう」
エマは【理晶剣】の重い束を、両手で握りしめる。
両足を前と後ろに広げ、同時に理力の【場】を展開する。
「はッ――!」
呼吸を一度すると、両足に【場】の理力が宿った。
一その瞬発力によって強化をするメイドに一瞬で接近する。
召喚された触手が、防御しようと体を覆い始める。
剣が下から上へと、逆袈裟懸けに振り上げられる。
エマのUCがメイドへの剣の到達と共に発生させられた。
『──抹消』
今まさに召喚され、体を糸をつなぐようにして強化するメイドの白い触手は、【場】にある理力の力によって吹き飛ばされるようにして散った。
「あぁああ!?」
白い触手の崩壊によって、崩れ去るメイドの手、胴体、脚……そして頭。
その、部位を一線に【理晶剣】を振り上げて、すべて斬撃する。
「骸の海に先に行け、メイドなら後を追う主人を出迎える準備をするといい」
理力の力が、またエマの腕から発せられる。
剣によって二つに割れた部位が、理力の力によって渦を巻いて骸の海へと消えていった。
大成功
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