0

銀河帝国攻略戦㉖～数字に英語もあるんじゃ難解じゃね？

作者：るっこい

「おーおー、すげーもの見たなぁ」
　何処か呆然とした様子でそう呟くのは、青い六翼をゆったりと動かす、暮陽・黎明（瑠璃色に染まる空の果へ・f00383）だ。
「今日はいつもと違って私ですまんなぁ。どうもいつものやつ、体調不良らしくてなー。しかたねーから私が敵から得た情報を精査したら、まぁなんだ、見えちまったもんだからな。あんましこういう仕事は縛られてる感じがして好きじゃねーんだがよ」
　あっけからんとした様子でそう告げる黎明。
「その情報っつーのは、なんつったっけな。アルマテア情報艦隊だったかー？ そいつらを落としたことで得られた情報だ」
　帝国軍はどうやら、スペースシップから拉致した有能な科学者や技術者を、残酷な形で働かせてるらしい。
「残酷っつーか楽しいっつーか。表現に困るわけだがな。おー、そうだな、ちょうどアレみてーな感じだ」
　指をさす方向には、木の実をつけた大樹が。
　それを見た猟兵たちは、理解できない様子ではてなマークを浮かべる。
「おもしれーだろー？」
　困惑の表情を浮かべる猟兵たち。いや、そういう事を言いたいんじゃないという顔だ。
「精査の結果を告げるとな。どうやら、大樹の様に組み上げられたコンピューターに、木の実のように吊り下げられてるみてーだな。要するに、技術者や科学者の脳を機械の部品として扱っているっつーことだな」
　なるほど確かに、と再度指を刺された木を見て頷く。
「キミらに依頼したいのは、その木の実みてーになってる奴らを助けてほしいってこったなー。まぁ、一度に救い出せるのは一人までのようだがな」
　たち、と言うからにはそうされている人はたくさんいるのだろうが、一人しか助けられないようだ。
「なーに、簡単な話だ。木の実を木の実らしくもぎ取れば、もぎ取られた人間は死ぬってこったな。だから、正攻法でコンピューターから切り離す必要がある」
　ハッキングすればいいのだろうか、でもそれだと正攻法とはならないし、といろいろな思考を巡らせる猟兵たち。
「機械絡みの難しーことはわからねーけどよ、ハッキングだったか？ 不正にどーのこーのの類は必要ねーぜ。行動するのは簡単だが、やるのは難しい、そんなとこだな。このコンピューターは誰でもアクセスできるらしいからな。その気になれば一般人でも開放できるんじゃねーの？」
　その場所に向かうことが出来るのは猟兵だけなのだけれどねと補足しつつ告げる。
「ま、問題はその過程だな。生かして開放するにゃ、コンピューターユニットが提示する問題に正解しろって話だ。クイズの賞品代わりにでもされてんのかねぇ？」
　ふむふむと頷く猟兵たち。
「さて、その肝心な問題だが……すまねーな。私にゃ難しくて解けん。その問題はこいつに書いといたから、考えつつ転送に応じてくれな」
　任せろ、といった感じに意気込む猟兵たち。
「そんじゃ、見せるぞー」
　背後においてあったホワイトボードをひっくり返して見せる。

　Q.これは何？
　6Q68279＞52J75A3
　JQJ252A＜8JA58AK
　9J59JJ7＞6252625
　873A59J＝×

「数字が並んでるだけで私にゃちんぷんかんぷんだな。別に数字に弱いわけじゃねーけど、英語も入ってるんじゃお手上げだ。ってことで、あとは頼むなー」
　そういって、黎明は魔法陣を展開した。

第1章 冒険 『中央コンピューターの謎かけ』

POW   :    総当たりなど、力任せの方法で謎の答えを出して、救出します。 SPD   :    素早く謎の答えを導き出した後、救出した人のケアを行います。 WIZ   :    明晰な頭脳や、知性の閃きで、謎の答えを導き出して、救出します。 👑3 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「なんだ、言うほど難しくないな。寧ろ簡単なんじゃないか？」
　そう言ったのは、宙夢・拓未（未知の運び手・f03032）。
　一見人間に見える也だが、その実は身体の殆どが機械で構成されるサイボーグな彼は、コンピューターユニットに近づく。
　そんなユニットに近づいてくる猟兵は、他にも居た。
「……職業柄、と言っていいのかな。ボクもすぐにわかったよ」
　トランプを見せながらそう告げるのは、少女にも少年にも見える中性的な外見を持つ少女。彼女は結城・蓮（チキチータ・マジシャン・REN・f10083）だ。
「我もわかった。少々不安だがな」
　やや不安な表情を見せながら近づいてきた3人目の猟兵。ブラックタールの箱庭・山岳（ブラックタールのウィザード・f02412）だ。
「なら、一斉に答えを言ってやろうか」
「そうだね、そうしよう」
「そうだな」
　拓未の言葉に頷く二人。そして、互いに顔を見合わせ、タイミングを合わせ告げる。
「セブンカード・スタッドだぜ」
「セブンポーカーだね」
「セブンカードスタッドポーカーで良い筈だ」
　それぞれが言った言葉の違いにそれぞれが気づき、疑問の表情を浮かべる。
「なんだなんだ？」
「あれ、セブンポーカーじゃないのかい？」
「ふむ、我の答えは少し違うらしいな……」
　各々自分の気持ちを口にしつつ、考える。
「あー……なんだ、多分皆、指してるものは同じだろうな」
　そう切り出したのは、拓未だ。
「確かに、どれもセブンと言う名前はつきますし、ルールはポーカーのそれに似たようなものですから、同じものなのかもしれませんね」
「そうか……少し安心した」
　各々納得した様子だ。
　実際、セブンカード・スタッド、セブンポーカー、セブンカードスタッドポーカー。どれも同じゲームを指している。そして答えとしては全て正しいものだ。表記揺れに似たようなものかもしれない。
「……だが、どうするか。これに入力しなきゃならないが」
　拓未が一瞥するのは、コンピューターユニット。音声認識ではなく、キーボードで文字を打ち込むタイプのようで。誰が打ち込むか、と言う話のようだ。
「キミ、やりなよ。一番早かったし。もし通らないなら、ボクやこの人が言った言葉で入力すれば」
「うむ、汝がやるといい」
　それを譲る二人。この場で誰が入力するかなんて言うくだらないことに時間を使うのも勿体無いのだろう。
　それよりは、一刻も早く囚われている人を開放してあげたい、そんな気持ちもあるのかもしれない。
「お、それじゃ、お言葉に甘えて」　
　そう言いながら、コンピューターユニットに向き合い、『セブンカード・スタッド』と入力する。
『コード承認を確認、E-12561、接続解除を行います』
　そんなメッセージが画面に表示され、ゆっくり通りてくる木の実のような機械部品。
　球体が半分で割れてが開くと、そこには、一人の技術者が寝かされていた。
　頭に無数のコードが繋がった機械が取り付けられていたが、それも程なくして外れる。
「お前さん、動けるかい？」
　横たわっている技術者――科学者かもしれない――に、話をかける拓未。
「うう、ん……こ、ここ、は？ あつつ……」
　声をかけられ、起き上がったその人は、頭を抱えすぐに蹲る。
「無理はしないほうがいいよ、かなりきついことされてたみたいだから」
　安静にすることを促す蓮。
「長時間飲まず食わずだったろう。とりあえず水と、これを食べるといい。味は酷いが、栄養素は十分だ」
　と言いながら、用意してあった水と小さな固形食料を渡す山岳。
「あ、ありがとう……君達が助けてくれたのか」
　水と食料を受けとって薬のように飲みつつ、まだ頭が痛む様子を見せながら横たわる技術者。
　それに、3人は笑顔で頷いた。
「大丈夫そうだな」
「もう安心だね」
「担架も用意した。安静にできる安全な場所まで運ぼう」
　安堵の表情を見せる三人。山岳が用意した担架に技術者を乗せ、転送の魔法陣でグリモアベースに帰投した。

　帰投したグリモアベースには、問題を解けなかった猟兵たちが心配した様子で待っていた。
　技術者を安全な場所へと運んだ後、これはどういう意味を示しているのか、という質問攻めに、3人は、その場にあったホワイトボードを借りて、解説する。
「この数字とアルファベット。これらが示すのはトランプだな。Jはジャック、Qはクイーン、Kはキング、そしてAはエースだ」
　表を分解してそれぞれを示す拓未。
「で、この不等号は、数字の大きさを示したものじゃない。役の優劣だ、ポーカーのな」
　不等号の意味もしっかり解説する。
「正確には、セブンポーカーだね。セブンカード・スタッドとか、セブンカードスタッドポーカーなんて呼ばれ方もあるみたいだけどね」
　拓未の言葉を補足しながら、正解者二人を一瞥する蓮。
「そこまでわかれば、あとはもう簡単だよね。1つ目は、6のワンペアと、5のワンペア。2つ目は、Jハイのツーペアと、Aハイのツーペア」
　解説を引き継ぐように式の意味を告げる。
「3つ目はJと9のフルハウス、そして2と6のフルハウスだ。後ろの式には5も2つあって少し混乱するかもしれないがな」
　山岳も続いて解説する。
「最後は……ちょっと不安だったけど、役なし、ブタになると思う」
「我もそうじゃないかと思うな」
　そんな二人に対し。
「そうだな、確かに嫌らしい感じはあるが、ポーカーってのが解けてるなら、ブタ以外の意味もないからな」
　考えられるのがそれくらいしかないといった様子の拓未だった。
　そんな時、まだ疑問の表情を浮かべてる猟兵から計算はしないのかなんていう質問が来る。
「計算……？」
「計算って……え？」
「ふむ……？」
　よくわからないと言った様子の3人。ポーカーというのは見抜いていたらしいが、違う答えを出してしまった猟兵から解説されて、気づく。
「あー……なるほどな」
「そういうことかー」
「それは……あれだな」
　理解した様子の3人は、一つの場所を同時に指さした。
　そこに書かれているのは『Q.これは何？』。
　それを見た瞬間、違う答えを出した猟兵たちは、ひどく驚いた様子だったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月20日