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さよなら世界

#カクリヨファンタズム #【Q】 #戦後

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#カクリヨファンタズム
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#【Q】
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#戦後


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●永久の迷宮
 巨大な門が幽世の世界を埋め尽くす。
 まるで巨大な迷路の如く並ぶ門は、その道を、|自ら《・・》を選び通ろうとする者達に語り掛ける。
『本当にその道で良いのか』
 そう問われれば、門を開こうとする腕がふと止まる。
『その未来で悔いはないか』
 その言葉が道往く者を悩ませる。
 誰しもが望んで不幸にはなりたくないのだ。だから思わず己を疑い、その足を止めてしまう。
 ――信じて先へ進んだ所で、また間違っているかもしれないから。

 目的地すら忘れ、彼らは迷宮を彷徨う。
 うっすらと視界を遮るは、|弔い《線香》の煙霧。
 ほうら、灯籠の焔がまたひとつ消え去った。

●ディルティーノの情報
「カクリヨファンタズムとUDCアースは繋がっているんだってね」
 ディルティーノ・ラヴィヴィス(黄昏の獅子・f38911)が先輩、或いは同期となる猟兵達へ確認するように話す。
「とあるUDCの組織がね、昔『強力な呪物』を保管していたらしいんだけど、何故か今はなくて何処かに失くしちゃったんだって。厳重保管というわりには、案外がさつだよね」
 過去のデータを整理していたところ、古い機密事項の資料が発見されたらしい。しかし『呪物』というものが何なのかすら分からないうえ、施設内の何処を探してもそれらしきものは見当たらなかったという。
「ま、本当にそこにはないんだよね。『呪物』は幽世に流れちゃったからさ」
 お陰で今はこの有り様だ、と背景に幽世の現在の様子を映し出す。夜、というより、何か|建物の中《・・・・》のような暗さだ。何処かの屋敷の中か、と思えど、ディルティーノは首を振る。
「これでも『外の様子』なんだよね。今、幽世は門に囲まれた大迷宮と化しているんだよ」
 巨大な門に囲まれた迷宮ということは、『見えている道』だけが進むべき場所ではない。門を開いた先にも道があるということだ。選んだ道が自身の求めている道なのか、正解は誰も知らない。
「迷宮を歩いていると、門が語り掛けてくると思うんだ。『本当にその道を選んでいいのか』『何を求めて未来へ向かうのか』とかね。そうやって足止めをして惑わすんだ」
 大抵は何度も続くその問い掛けに負け、進むことを諦めてしまう人々が多いという。しかし猟兵であればどうだろうか。
「自分を信じ続けるっていうのは、まぁ誰だって難しいことだけどさ」
 この世界を正しい|未来《エンディング》へ導くためなら、信じてみるのもいいだろう?

「道は分からないけど、正解なら必ずある。幽世をそんな世界にした奴の場所さ」
 ディルティーノは腕を伸ばし、手を開く。そこにあったのは指に絡んで宙を浮く、小さなお守りだ。
「これは神社とかでよく見るお守りだね。こういうお守りを持った子が、何処かで待ってるはずだよ」
 その子を捜して欲しい、と。|彼《彼女》は言った。
「まさかその子も、これが忘れられた異世界の『呪物』だとは知らなかっただろうからね」

 あとは任せた、という言葉で締めると、グリモアの光に包まれた猟兵達は迷宮へ向かう。
 過去へと振り返らせ、未来を問い掛ける世界で、彼らは何を想うのか。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 カクリヨファンタズムが舞台となります。
 2章で完結します。

 ●戦場について
 大迷宮と化した幽世を攻略し、呪われた呪物を見つけ出すのが目標です。
 門は未来を問い掛け過去に留めようとしますが、彼らは語り掛けるだけでそれ以上のことは何も起こしません。
 目的地へと辿り着けば、そこには捜しものがあるかもしれません。

 ●プレイングについて
 のんびり進行予定のため、基本的には常に受付中にしておく予定です。
 参加者がいなければサポートさんをどんどんお借りします。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 以上、ご縁がございましたらよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『幽世の門』

POW   :    問答無用、手当り次第一気に駆け抜けてゴールへ

SPD   :    道筋を覚え法則を理解し、着実に終着点を目指す

WIZ   :    あえて問いに答えながら、正しい道を探り当てる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サンディ・ノックス
「いいんだよ」
微笑んで
門と話しても得るものはないと知ってても、話しかけてくるものに答えてしまうのが俺の性

女の子を探すという目的はあるけどどこに彼女がいるのかわからない
だから見つけるまで歩くと決めている
決めた以上、もう迷わない
延々と歩かされて終わりがないと感じたとしても、見つけるまで歩くと決めているから門が何を言っても気にならない

俺は
幼少期生きているのが精一杯だった
8歳で呪いの武器に飲まれて酷いことをたくさんしてしまった
16歳で同業者と交流するようになって幸せな未来を夢見た
今、その夢は叶わないとも思い知った
…いろいろあった
でもね、共通して言えることは、歩んだ道を後悔してないってことなんだよ



 無数にも等しい巨大な門が並ぶ。どれを選んだところで、はたして望んでいる場所へ近付いているのか、遠のいているのか。それすらも分からない。ここに訪れてからどれくらい時間が経ったのだろうか。
 吹きかける冬の風は冷たく、そして寂しさを感じた。それでもサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は歩き続ける。
 いくつめかの門を選び、その扉へ手を伸ばすと、門はサンディに問い掛けた。
『何故そこまで進み続けるのだ』
 響くその声はあまりに無機質で感情のないもの。どのように答えたところで否定も肯定もしないだろう。何も得るものはないと分かっていても、彼は声をかけられればつい返してしまう。
「捜している人がいるからね、見つけるまで歩くと決めたんだ」
 そう言って門の扉を開いた。また知らない風景だ。それでも確実に近付いてると信じ、サンディは次の門を選ぶ。
『本当に良いのか。どのような未来が待っていようとも』
 何度目かのそんな問い掛けに、彼は微笑んで返す。
「いいんだよ」
 それは今、目指している未来のことだけではない。過去に歩んできた道にも言えることだ。

「俺は……」
 サンディは門をくぐる前にと、空を仰いで話し掛ける。
「幼少期、生きているのが精一杯だった」
 8歳の頃、呪いの武器に飲まれた。幼いながらも多くの酷いことを行った。
 それから月日が経ち16歳で同業者と交流するようにはなったものの、だからと言って幸せが訪れるばかりではないし、この苦しさから解放された訳ではない。良いことも悪いことも、いろいろ経験した。
 猟兵だからといって、決して|善人《・・》とは限らないのだ。
「過去を思い返したり、それを悔やむ時も確かにあるかもしれないけど」
 どのようなことが軌跡となってしまったとしても、それが悪いことだとは思わない。
「共通して言えることは、歩んだ道を後悔してないってことなんだよ」
 だから止まらない。未来に進むんだ、と。サンディは扉を押す。
 彼の言葉を決意と呼ぶか、愚かと呼ぶか。やはり門はただただ沈黙を返すだけだった。

「未来には進むし、諦めもしない。……その一環として立ち止まることなら、必要だと思うけどね」
 さて次は何処へ向かうか。まだ見ぬ未来へ向かう為にも、少しの休憩がてら彼は思考する。
 この世界を変えた迷い子の元へは確実に近付いている。猟兵の勘か、それとも|別《・》の勘か。なんとなくそんな気がしてならなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルザック・グランベルク
成程、随分と大仰な迷宮だ。これほどの力を持つ呪物を紛失するなどと、全くもって度し難い。

まあ良い。数多の道があろうとも、嵐が行うは只管の侵攻。眼前の扉を悉く抉じ開け進むのみ。賢しい策は不得手だ。扉を開け歩み続け最果てを目指す。
迷宮が問答を仕掛けてくるようだが、未来の是非を問うなど愚の骨頂。蒙昧な審問に解が必要ならば糺そう。

我が選ぶは修羅の道。飽くなき闘争を望むが故に。
我が求むは惨憺たる蹂躙。嵐として在るが儘に。
道を違えば無慙無愧にて壊せば良い。望まぬ未来なら颶風を荒ばせ壊せば良い。|嵐《我》が在るところに望む未来が在ると知れ。

故に、我はただ只管に最果てを目指すまで。迷宮風情が嵐の歩みを停められるなど驕らぬ事だ。



 どんなものであれ世界をこれだけに変える呪物だ。道だけでなく己が人生まで迷わせる迷宮。創造主は何を求めて創り出したのだろう。
「度し難い」
 山の如き巨大な男が揺るがすのは地面だけではない。低い声もまた、空気を震えさせる。
 彼が憤るのは創造主だけではない。それだけの呪物の管理を怠った者達もまた同罪だ。

 男、バルザック・グランベルク(嵐帝・f38770)が門の前へ佇めば、門は彼に問い掛ける。
『その選択で悔いはないか』
 その問いに対し、バルザックは静寂を作り出す。しかしそれは思考している訳ではない。
 ――滑稽。あまりにも滑稽。笑えもしない愚問だ。
「貴様」
 鎧の奥からバルザックの声が響く。
「――誰にその問いを仕掛けている」
 腕を上げ、閉ざされた扉を薙ぐ。もはや状態などどうでもいい。扉を破壊し、先の道へと進む。その先で再び待ち受ける門もまた、男を止める事などできない。男はもう、それを『門』として見ていなかったのだから。

『迷いはないのか』
 扉を失った門が問う。それが幾つめの門であったかなど把握はしていない。
「貴様らは愚かだ」
 男はその門を潜り、次の門を薙ぎ払う。破壊し、破壊し、果ての場所を目指す。
 男が残していくものは全て、嵐の如き無惨な姿となった道のみ。
「我が選ぶは修羅の道。我が求むは惨憺たる蹂躙」
 『嵐帝』。それがこの男の異称。|暴力の化身《ジャガーノート》にして魔王。
 彼に対し未来を問い掛けることなど甚だしい行為であるが、所詮、門だ。破壊の運命を待つだけのものが、それを知る事はない。

 男が一歩踏み抜く度に、世界が振動する。男が腕を一振りする度に、目前の創造物が散り逝く。往く道に迷うことも、過ぎた跡を振り返ることもない。男は|嵐そのもの《・・・・・》なのだから。
「道を違えば無慙無愧にて壊せば良い。望まぬ未来なら颶風を荒ばせ壊せば良い」
 行く手を阻むのであれば、精々『破壊できぬもの』であってから語るが良い。そこで初めて嵐を防ぐことができよう。
「只問うだけの迷宮風情が、嵐の歩みを停められるなど驕らぬ事だ」
 もはや門の言葉など届かない。男は破壊を繰り返す。つまらぬ世界に造り変えた元凶の居る元へ向かう為に。創造主の顔を謁見してやる為に。

 我は嵐。|嵐《我》が在るところに望む未来が在ると知れ。
 己が選んだ道こそ正しいのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳩麦・灰色(サポート)
「さ、ウチも行かせてもらおかな」
「〇〇さん、そこちょーっと手伝うで」
「アンタ(敵)はそこで黙ってて」

◆特徴
普段は関西混ざり気味の標準語、相手問わず脱力した口調
独り言と敵に対しては関西弁
動き出せば早いが動くまでが遅い性格

◆行動
【ダッシュ】【クライミング】【地形の利用】で状況を問わず素早く動く

それを活かし一撃離脱や素早く突破する戦法を好む
武器の音で【存在感】を出し狙われ、速さで避ける"回避盾"戦法も選択

攻撃は主に【衝撃波】を込めた鉄パイプで叩いたり投げたり

◆UC
索敵、回避ではUC『三番』
対集団は『四番』
敵単体へは『一番』か『二番』を使用する


協力絡みセリフ自由
他おまかせ。よろしくおねがいします!



『その道で悔いはないのか』
 何度目かの問い掛け。もう聞き飽きた。何度も何度も似たような質問。数えるのすら飽きたから数も覚えていない。
「だから」
 うんざりしながら鳩麦・灰色(音振おおかみ・f04170)は返す。
「これでいいって言ってるやろ」
 未来を問い掛ける門を見上げることもやめた。何度も付き合ってたら首が持たない。捥げてしまうかもしれない。
 だから少し乱暴に扉を開けてしまっても仕方がない。付き合ってられないのだ。

「もー、いつになったらゴールなんや」
 流石に無鉄砲すぎたか。休憩、と灰色は壁に寄り掛かる。
「本当にゴールあるんかこれ……?」
 いや、首謀者がいるんだからない訳はない。とはいえ『何処に繋がっているのか分からない門』に囲まれた迷宮だ。そう疑うのも無理はない。
「あの門も、何で同じことしか言わんのかな……」
 これでいいのかとか、悔いはないのかとか、門の扉を開けようとする度に聞かれる。どうしてそこまで聞いてくるのだろうか。
「まぁ、確かにこの世界ってノスタルジーではあるけど……そんなに先に行かせたくないんか?」
 そりゃあ確かに、慎重に道を選ばなければいけない時もあるし、実際に間違えた選択をした時もあったかもしれない。この門の先だってゴールじゃなくて、真逆の方向に進む道かもしれない。
 でも、だからって毎回立ち止まって考えなきゃいけないのだろうか。――振り向いた所で|時間は逆走でき《過去には戻れ》ないのに?
「……考えてたら|嫌《ヤ》になってきたな。なんだか……」
 自分の選んだ先、全部間違ってるって否定されてるようで。

『この門を潜るのか』
 休憩を終えた灰色が目の前にあった門を通ろうとする。門は彼女に問い掛ける。
『本当にこれでいいのか』
 嗚呼、もう。

「アンタ、もう黙ってて」

 そうだ、最初からこうすれば良かった。|誰にも文句を言わせなければいい《・・・・・・・・・・・・・・・》んだ。
 空気を潰すように、開いた両掌同士を力強く叩き合わせる。響くクラップ音。そこから生じる強大な衝撃波。大爆発にも等しいそれが、一瞬にして門を扉ごと砕きバラバラにした。
 しぃん、と反響音も静まった頃には、嵐が過ぎ去ったかのような光景と、その先の道が視界に広がっていた。

 音使いになった|現在《未来》を悔やんだことがあるか? そんなん、ある訳ないやろ。
「ウチはな、この"一番"から始まったんや」

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ざしきつね』

POW   :    遊戯場への誘い
戦場全体に、【無限の畳と襖】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    遊びの時間
【様々な遊戯】を給仕している間、戦場にいる様々な遊戯を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    童の法則
【座敷童の幸運の力を使い】対象の攻撃を予想し、回避する。

イラスト:邑*

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はスノードロップ・クオンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 古びたお守りが落ちていた時、過去の忘れ物なんだなって思って、拾ってあげたの。
 その時から、心にしまい込んでいた寂しい気持ちが爆発したような、そんな気分になったんだ。

 どうして皆、行ってしまうの?
 どうしてずっと遊んでくれないの?
 どうして遠くへ行ってしまうの?

 昔はずっと遊んでくれた。
 なのに、皆何処かへ行ってしまう。
 私のことも、この場所も、嫌になっちゃったのかな。
 嫌だ。私はここがいい。
 ここに居れば、ずっとずっと、同じ日が続くはずだから。

 もう何処にも行かないで。未来になんて行かないで。このままで居て欲しいの。
 怖いことに悩む必要なんてない。ずっとずっと、同じ貴方で居て欲しいから。

 私はざしきつね。誰も居なくなったこの神社の座敷童。
 今は、この幽世の座敷童。

 さよなら世界。私はここで|今《過去》と生きるの。
樂文・スイ
ありゃ、なんだか同族っぽい雰囲気。
ヒト好きなのはよくわかるぜ、ずっと遊んでたいよな
でもなぁ、生き物って変化するんだわ
止まってんのは腐ってんのと一緒
好きなら遠くに行って老いて朽ちるまで愛してやれ、なんてムリな相談かね

指定UCで敵さんのツキを奪う
運が悪けりゃ迷路は解かれ、遊びの準備は整わず、攻撃の予想も外れちまうだろうさ
幸運や勝負勘ならこっちの方が上手だね
時間稼ぎができなくなったところを暗器で仕留める
ナイフ投げや急所突きには自信があっからな

あとさぁもういっこ、ヒトって存外飽きっぽいんだわ
永遠なんて代物には、大抵のやつは狂っちまう
遊び相手にもなれないモノと過ごすより、過去は過去らしく――消えときな。



「お兄ちゃん遊ぼうよ。何が得意?」
「そうなぁ、強いて言うならお手玉かね」
「いいよ、お手玉。私も得意なんだ」

 同じ妖狐とはいえ幽世の妖怪ということであれば、自分なんかよりも長く長く生きてきたはずだ。だからこそ、それだけ人を愛していたのだろう。
「お上手お上手」
 『外』から訪れた妖狐の男はしゃがみ込み、お手玉を披露する少女へ手を叩く。

「比べ物にはならないだろうけどさ、ヒト好きなのはよくわかるぜ。そうやってずっと遊んでたいよな」
 四つのお手玉を回す少女へ、ふと樂文・スイ(欺瞞と忘却・f39286)は話し掛ける。
「愛おしいそのままでいてくれ、って思っちまう気持ちもまぁわかる。そうだよな、その方がいいもんな。『相手のことは置いておいて』な」
 へらりと気さくに、至って普通の少女へ声をかけるかのように話す。が、彼の作る笑顔にざしきつねは何処か不安を感じたようだ。嫌われてしまったか、とスイは残念そうに微笑む。
「うん、でもなぁ……残念ながら生き物って変化するんだわ」
「変化……どうして皆、変わっちゃうんだろうね」
「そりゃあなぁ」
 少女へ向けて、そっと囁く。

 ――止まってんのは腐ってんのと一緒。

「あとさぁもういっこ」
 よっこいせ、とスイは立ち上がる。
「ヒトって存外、飽きっぽいんだわ。好き嫌いはさておき、いつかは動いちまうものなんだってさ」
 そう言うと、スイは刃物を取り出した。鋭利なナイフだ。それを片手で軽く投げてはくるくると回るナイフをキャッチする。まるで『お手玉』だ。
「俺も上手いもんでしょ。やろうと思えば永遠にやってられるかもな。なぁんて」
 本当に続けられるのだろうか。永遠に、何も変わらず、ただ掌の上を回るだけのお手玉を? 本当にそれは|楽しいのか《・・・・・》?

「――っ」
 少女の手から、ぽろりとお手玉が零れてしまった。一つ逃してしまえば、次々とお手玉はぽろぽろと手元から落ちていく。しゃり、と小豆の音を響かせ、お手玉は地面の上で潰れた。
「永遠なんて代物には、大抵のやつは狂っちまう。その手元みたいにな」
 手元が狂ったのは偶然だろうか。嗚呼、なんて|運《ツキ》の悪い。
「ヒトが好きなら、遠くに行って老いて朽ちるまで愛してやれ、なんてムリな相談かね」
 スイは上方に投げていたナイフを掴むと、そのまま勢いよく少女の方へ投げた。ナイフの先は真っ直ぐと、まるで吸い込まれるように少女の持つ『お守り』へ向かい、それを突き刺した。
「遊び相手にもなれないモノと過ごすより、過去は過去らしく――消えときな」
 凶悪の根源に当たるとは、なんと幸運だろうか。どうやら幸運の女神とやらは、彼にぞっこんらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推っ参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!

バトルや行動は常に生中継+後で編集しての動画配信(視聴者が直視しては危ない系は除く!)
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先よ
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNGだぞ?

戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!



 御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は感動していた。その行動原理はともかく、彼女の行った事は随分と派手でなかなかに面白い!
「はっはっは! お主なかなかやるのう! 世界を迷宮にするだけでなく、解のない問い掛けをして悩ませるとは凝っておる!」
 ただのなぞなぞを用意しただけでは面白くはない。見る者聞く者全員が考えさせられ、異なる答えが出てくるコンテンツであれば、そう簡単には飽きさせないものだろう。|動画配信であれば《・・・・・・・・》。
「であるからのー、お主勿体ないぞ。古参のファンも大切にするべきなのは間違いないが、それだけでは再生数や視聴者数は増えんのだ! 新規のファンもしっかり作らねばならぬと妾は思う訳だ!」
 過去の栄光に縋るのは悪い事ではないし、過去を懐かしむ気持ちは大事だ。しかし、だからと言って新しいものを受け入れないのはどうなのだろうか。
「妾は常に新しい企画を考えるし、同じものは見せないようにしておるつもりだ! 同じユーベルコードでも戦場や相手が違えば見栄えも変わるだろう? 妾は視聴者が飽きず楽しめるものを日々目指しておるぞ!」
 どうだと言わんばかりに菘は高笑いを見せる。それはざしきつねに対してでもあり、今この中継を見守っている『視聴者』に対してでもあった。勿論、ざしきつねは彼女が何を語っているのか理解はできない。
「――ということで! 『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』、メインコンテンツ|開始《スタート》である! あの呪われた少女をボコって見事救い出してみせようぞ!」
 菘から感じられるのは不信感と恐怖。そう感じるのは容姿、様子だけではない。まるで過去に在りたい自分とは真逆の存在に感じるのだ。
「まーつまり何が言いたいかというと! 妾の方がもっとスゴくて強いということだ!」
 門に囲まれた暗い空間。そんな世界の空が突然輝く。それは太陽でもスポットライトでもなく、巨大な魔法陣であった。
「妾からお主に問い掛けよう。真にバトルに必要なのは何たるか、解さぬならば花に散れ!」
 両腕を上げ高らかに笑う邪神。魔法陣から降り注ぐは無数の花びら。魔法陣の光に照らされ目が眩んだ少女は、あっという間に花びらに覆われ侵食されていく。座敷童の幸運と言えど、これだけの花びらを避ける術はなかったらしい。大事に持っていたお守りが腐るように変色していく。
「はーっはっはっは! なんだそんなものか、もう少し派手にするつもりだったがまぁいいだろう!」
 まだ前座であるぞ、と菘は禍々しい左腕を大きく広げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
この子は呪物に取りこまれているだけだ
だけど寂しい気持ちはこの子自身にあったものなのだろう
子供の抱く感情は正論でどうにかできるものじゃない
ヒトと妖怪の時間が違うことを説明しても納得できないと思う
だから説得は諦めて
ただ、一緒に遊んであげよう
今遊んであげることはできるけど
俺もずっと一緒に居てあげることはできない
きみが嫌いだからじゃなくて
ヒトはひとつのところに留まっていられない存在だからなんだ

UC解放・星夜を発動
小人達は攻撃を開始するけど、彼らにとっては攻撃も遊びの一環
とても楽しそうに魔弾を放つ
避けられたって嬉しそう
俺は穏やかにそれを眺めながら
攻撃を当てる小人を褒め、躱すあの子も「上手上手」と褒める



 悪いのはこの子であって、この子ではない。真の元凶は呪物である。
 それを知った上でサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は少女、ざしきつねに話し掛ける。
「俺でよければ遊ぼうか。俺以外の遊び相手だって呼べるよ」
「本当?」
 目を輝かせる少女。その様子から窺える純粋さ。終焉へと導く世界へ変えてしまったようには、とてもじゃないが見えない。
 だからこそ説得などできないだろう。長々とした所で逆撫でするだけだろう。そう思ったサンディは素直に相手をしてあげることにした。
「ほら、見てて」
 両掌を広げ、ふわりと青い光の珠を召喚する。聞こえてくるのは小さな笑い声。無数の光は水晶の小人と化す。
 少女は星や雪でも見るかのように見上げ、口を開けたまま驚いていた。彼女の周りを泳ぐ小人たちは、遊ぼう、遊ぼう、と誘っているかのように見える。
「この子たち、どう見える?」
「……お友達!」
 少女はとても嬉しそうだった。

 誰が提案した訳でもなく、少女と小人たちは自然と鬼ごっこで遊び始めた。少女は逃げ、小人たちが追い掛け魔弾を撃つ。とは言えそれはやはり戯れの範囲であり、少女に魔弾が当たっても痛くはなさそうだった。
 何にせよサンディの目に映っていたのは、楽しそうな少女の姿であった。
 彼女はずっとずっと、こうして誰かと過ごすことを望んでいたのだろう。自分もこのように過ごせる過去が……もしかしたらできたのだろうか? それなら、確かにどれだけ幸せな時間であっただろうか。
(「これを惜しむ気持ちは、分からなくはないけど」)
 少女の気持ち全てを理解した訳ではない。でも、何も不幸なことが起こらない日々は良いことだ。誰もがそれを望むだろう。だが。
(「俺もずっと一緒に居てあげることはできない」)
 残念ながら遊ぶのは今だけ。だけどそれは少女が悪いことをしたからとか、嫌いだからとかではない。
 ――ヒトだからね。
 そう、ヒトは同じ場所へ留まっていられない存在なのだ。いつかは成長し旅立ってしまうものなのだ。勿論ヒトでなくとも、神でも妖怪でも、知識を求める者は何処かへ向かう。
 結局、|過去《今》は続かないのだ。

「お兄ちゃん見てた? 私、いっぱい避けられたよ」
 庭を走り回っていた少女が笑う。少女も小人たちも楽しそうだ。
「うん、見てたよ。上手上手」
 サンディが褒めれば少女も満足そうに喜ぶ。彼は少女が飽きるまで遊んでやった。彼女の心が満たされる度、呪物の力が弱まっているのを密かに感じながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・アストロロジー
●動機
骸の海との狭間。
ひとに忘れ去られたあやかし――儚い者たちの、寄る辺。

追憶を糧に生きる彼女を責める気はありません。
きっとやさしい子なのでしょうね。

だから、ただソレを放っておけなかっただけ。
必要としてあげたかっただけ。

だってこの子も、きっと同じように――

●回収?
探しもの回収を目標に。

失くしてしまって、人から頼まれて探していたんですよ、って。
拾ってくれてありがとう。って言って、

お礼にTAIYAKIを進呈します(謎)。
小豆めしがお好きって説もあったので、あんこ。
エアロスミスさんもお好きだったらしいです……Forever and ever(ぇ

過去は、思い出は大切ですよね。
だけど、どんな未来もいつかは過去に変わるように。
美しい思い出も、いつかの未来だったはずだから……きっと、同じように大切なんだよ。

指定UCの精神感応で干渉して。
紫苑の花と微睡の中、お守りをなるべく負担がかからないよう分離します。

皆、あなたを嫌いになったんじゃないよ。
だけど……置いていかれて、皆が居なくなって――さびしかったね。



 きっと、彼女に必要なものは――。

 ざしきつねの前にそっと現れたリア・アストロロジー(M2-Astrology・f35069)。彼女もまた敵意を見せることはなく、否、敵意など持っておらず。
「それ、拾ってくれたんですね」
 探していたんですよ、と少女が身に着けるお守りを指差し。
「それを失くした人がいて、頼まれてきたんですよ」
「そうなの?」
 落とし物だけど忘れ物じゃなかったんだ、と。ちょっと残念に感じたような、でもホッとしたような……そんな気持ちになった。
(「ちょっとだけ、気に入ってたんだけどな」)
 少女がそう思うのは素直な気持ちか、|お守り《呪物》のせいか。
 だがリアはそれを無理矢理取ろうとは思わない。少女は何も悪くはないのだから。
「拾ってくれてありがとうございます」
 一見、歳が近そうな二人。だからこそ少女もリアに対して敵対心を抱かなかったのだろう。この世界で起きていることについては触れず、ただ笑顔で礼を伝えるリアに、少女も悪い気はしなかった。
「えっと、拾ってくれたお礼に……」
 あくまで返してくれたお礼ではなく、拾ってくれたお礼。ごそごそとリアが取り出したのは。
「たい焼きの贈呈です。どうぞ」
 鯛の形をした和菓子。わぁ、と少女が嬉しそうに受け取ると同時に、小腹が空いたことを訴える音が虚しく鳴ってしまい。
「……えへへ、ありがとう」
 少し恥ずかしそうに頬を赤らめる。
(「……そっか」)
 たい焼きを渡したのは偶然ではあったのだが、ふとリアは気付く。
(「この子、ずっと一人で居たんだ。一緒におやつを食べてくれる人すら居なかったんだ」)

 二人は神社の階段に腰掛けたい焼きを食べた。少女が昔話を楽しそうに話し、リアがそれを楽しそうに聞く。
 多くの過去を楽しく語れるのは生きた長さによるものか、それともそれだけ語れる思い出がたくさんあったからか。どちらにせよ、フラスコチャイルドであるリアにとっては少しだけ羨ましく感じたかもしれない。
「過去は、思い出は大切ですよね」
 語り続ける過去は、彼女にとってはきらきらの宝物。戻ってきてほしいと思う気持ちもよく分かる。
「だけど、どんな未来もいつかは過去に変わるように。美しい思い出も、いつかの未来だったはずだから……」
 過去と言うのは、かつて描いた未来が蓄積されたもの。今こうして二人で話していることが、現在であり、未来であり、そしてそれが過去となって過ぎ去るように。
「未来に進むのも、実は悪くはないんですよ」
 そう語りながら、リアは少女の背中を撫でる。そっと優しく、彼女の想いを受け入れるように。
「悪くはない、けど……置いていかれて、皆が居なくなって」

 ――さびしかったね。

 その言葉が脳内に巡った瞬間、少女の目から、ぽろりと涙が流れた。その感情がどういうものなのか表現はできない。だが、その涙を自分で制御することはできなかった。
 溢れる、溢れる。悲しさと安心感がぐるぐると混ざった何かが、胸の中でいっぱいで。

 リアの胸の中でわんわんと泣く少女。その頭には美しい花が咲き誇っていたことを彼女は知らない。ただただ思い切り泣き続けた。
 少女が身に着けていたお守りを、リアはそっと握り締め、彼女から離す。涙で濡れたお守りからは、もう力を感じられない。これで幽世の世界も、徐々に元の姿を取り戻し始めるだろう。
「……皆、あなたを嫌いになったんじゃないよ」
 慰めにはならないかもしれないけれど、それだけは伝えておこう、と。それ以上の言葉を、リアは語らなかった。

 泣き疲れて眠ってしまった少女は、まるで花畑に囲まれたようにも見えた。
 過去の夢か、それとも|現在《未来》の夢か。きっと今の彼女にとっては、どちらも大切なもの。
 長い夢から覚めた後、彼女はこう言うだろう。――おはよう世界、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年03月22日


挿絵イラスト