異世界の錬金術師士アルマ参上!
知られざる異世界『レギンストーツ』において、その日ひとつの時代が終わりを迎えようとしていた。
「ざまあみなさい! 魔力史上主義クソ!」
勝ち誇った笑顔で両手をブンブンさせる、少女の名はアルマ。
この世界における『持たざる者』――即ち、魔力のない人間として差別されてきた娘であり、そんな社会に叛旗を翻した革命家だ。
「アルマさん……少しやり過ぎですよ……」
「うわ……『IQ1』って何よ? それ以外の髪の毛無いし……」
レジスタンスの一員として共に戦った男女は、アルマの報復を受けたこの国の王族を見て、少し引いていた。
彼らは全員が下着姿にされ、髪の毛は『IQ1』という形以外は全て抜かれたうえで、十字架に磔にされていた。
「当然よ! こいつらが平然と工場排水で環境破壊して汚染水を飲んだ人達の髪の毛が抜けたのよ! こいつらも髪無くなるべきよ!」
当のアルマはこれでもまだ足りないと言わんばかりの様子である。
そこに、彼女達レジスタンスの組織を率いるリーダーがやって来る。
「まあまあ……君のお陰で革命は成功したんだ。君の事を『無能の錬金術師士』何て酷い蔑称を付けた奴らも現在進行形で地べたにキスしているしね」
「……私このフレーズ気に入っているわよ?」
「……あっそうですか」
この革命で最大の原動力となったのはやはり「錬金術」を習得したアルマの存在だろう。
始まりは蔑称でも、翻れば勇名となる。
「アルマさんこの後はどうするのですか?」
「旅に出るわ! リーダー! 世話になったわ!」
アルマの興味は既に、この国の外に向かっていた。
支配という檻の中では見られなかった、広い外の世界に。
「……どうせ言っても止まらないのだろう? 気をつけてな、国の立て直しは我々に任せて欲しい』
「ええ! 行ってくるわ!」
世話になった仲間に別れを告げ、意気揚々と駆け出していくアルマ。
その瞳は、未来への希望に満ちていた――。
「やっと終わった、長かったわ……これで差別が無くなるわね! 辛い事もあったけど……諦めないでよかっ……ん?」
と、旅に出てからわずか数分後、アルマは道端に不思議な穴を見つけた。
まるで空間そのものに穴が開いているような、奇妙な現象だ。
「何かしら? ……?! す……吸い込まれる!」
少し近寄ってみると、穴はそのまま彼女を吸い込んでしまい――無能の錬金術師の物語は、ここから再び始まる。
「う……うわぁーー!」
成功
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