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サイキック・アイドルと白衣の死神

#サイバーザナドゥ #超能力者狩り #サイコブレイカー #神農製薬

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「みんな~! 盛り上がってる~?」
「「おぉぉぉぉぉーーーーッ!!!」」

 ここはサイバースペース某所に設営されたコンサートホール。鮮やかなCG演出で彩られた芸術の祭典。
 そのステージの上で、何千、いや何万という人々の喝采を浴びて、笑顔で手を振る4人の少女達がいた。

「私たちのライブを観に来てくれて、本当にありがとう!」
「今日は忘れられない、サイコーの思い出をあたし達とみんなで作ろう」
「後悔なんて絶対にさせないから、最後まで見逃しちゃダメなんだからね!」

 素晴らしい歌と音楽とダンスによって、ホールの熱気は最高潮。
 演者と観客がひとつになる、心地の良い高揚感に胸を弾ませながら、少女達はマイクを握りしめて。

「それじゃあ次の曲、いくよ――」

 その時。突如としてステージ上から4人の姿が消える。
 ログアウトだ。何かトラブルでもあったのかと、残された観客たちは困惑する。

「っ?! 回線トラブル? こんな時に!」
「慌てるのは後、復旧急いで……っ、誰!」

 現実世界に戻ってきた少女達は、すぐにサイバースペースへの再アクセスを試みようとするが――スタッフではない部外者の集団が、自分達を取り囲んでいるのに気付く。
 汚れひとつない白衣とマント、表情を覆い隠す赤い仮面、全身に染み付いた薬品の匂い。いでたちを見れば医者のようだが、こんな所に無断侵入する輩がまともな医者であるはずがない。

「おはようございます、ルクシオンの皆様。我々は『神農製薬』所属の医師団です」

 口調だけは丁寧な態度で、その医師達――メガコーポの走狗たるオブリビオンは告げる。
 自社に利益をもたらすモルモット、あるいは狩りの獲物に対して。

「本日は回診に参りました。違法な薬物を摂取し、超能力という疾患を患った貴女達を"治療"するために」
「……ッ!! どうして、それを!」

 これまでひた隠しにしてきた秘密をなぜ知っているのか、それを答える義理は彼らにはない。
 心なき医師達による、非道なる『超能力者狩り』の幕が開けた――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイバーザナドゥの|巨大企業群《メガコーポ》『神農製薬』による、大規模な『超能力者狩り』の実施を予知しました」
 サイバーザナドゥにおける超能力者――すなわちサイコブレイカーは、ストリートに蔓延する違法薬物によって生まれる。故に超能力者を狩ることは社会的正義として上流階級からの支持を得られやすく、メガコーポとしても「不穏分子の鎮圧」「|実験用生体《モルモット》の確保」「愛玩奴隷の捕獲」「クリーンイメージのアピール」といった様々な恩恵を得られるのだ。

「ですが、違法な手段によって得られた能力でも、サイコブレイカーの力は何も持たずにただ略奪され、警察やヤクザに搾取されていく、ストリートの人々が得た『最後の武器』なのです」
 加えて、超能力者狩りの最前線に投入されるのはオブリビオン。公明正大なお題目を掲げて、公然と行われるオブリビオンによる殺戮行為を無視することは出来ない。急ぎ現地に赴き、事件を阻止するのが今回の依頼となる。
「敵は神農製薬に所属する『武装医師団』。違法薬物患者の治療を名目にして超能力者狩りを行っていますが、実際は能力者を新薬の実験台にしたり、超能力を解析して自社の研究に役立てることが目的です」
 神農製薬はサイバーザナドゥでも有力な医療系メガコーポの1つ。表向きはクリーンな会社を装ってはいるが、裏ではとても口にできないような非人道的研究を行っている。今回の狩りにおいては、武装医師団を妨害する者は超能力者でなくとも"治療"の対象になるため、ストリートの市民にとっては死神そのものだ。

「彼らの標的となったのは、サイバースペースで活動するストリートのアイドルユニット『ルクシオン』のメンバー達です。彼女らは自分達がサイコブレイカーである事を隠しながら、アイドル活動を行っていました」
 メンバー全員がサイコブレイカーだが、アイドルとしての活動上では超能力を一切使わず、本人の実力によるパフォーマンスだけで人気を集めてきた。結果、今日まで正体がバレないまま大勢のファンを獲得できたのは、本人の努力であり幸運でもあっただろう。
「ですが、とうとう神農製薬に彼女達の正体と所在が突き止められてしまいました。武装医師団はその場にいる関係者を全て抹殺して、ルクシオンのメンバーを被検体として連れ去るつもりです」
 今から現場に向かえば、おそらく惨劇が起きるギリギリ直前に間に合う。サイコブレイカーとはいえルクシオンの少女達はあくまでアイドルであり、戦闘能力ではオブリビオンの実戦部隊には劣る。猟兵の加勢がなければ、この窮地は乗り越えられないだろう。

「ひとまず武装医師団を撃退できたとしても、ルクシオンのメンバーの素性が割れてしまった以上、神農製薬は何度でも追手を差し向けてくるでしょう。追撃を断つためには、サイバースペースから彼女達の個人情報を消去する必要があります」
 今回の超能力者狩りを指示した、神農製薬の研究セクションのサイバースペースに潜入し、そこに保管されたルクシオンの個人情報を|焼却《バーンナウト》するのだ。当然、そこにはデータベースを守護する強力なオブリビオンが待ち構えていると想定される。
「データを守護するのは『マッド・スマイリー』と名乗る、とあるマッドサイエンティストの脳波を元にして生まれた電子精霊です。製薬に関して高い技術と知識を持ち、今回の事件を主導した元凶でもあります」
 彼女は自らの研究成果によるものか、本来のユーベルコードに加えて【ライトニング・カリギュラ】に類似した超能力を操る「サイコブレイカー・オブリビオン」と化している。研究者としてもオブリビオンとしても紛うことなき強敵だが、これを撃破しなくてはルクシオンの少女達に安寧の日は訪れない。

「マッド・スマイリーを撃破し、個人情報の焼却に成功すれば依頼は完了ですが……依頼の最中に、ルクシオンの方々から何らかの『お願い』をされることもあるかもしれません」
 その場合、なるべく彼女達のリクエストに応えてあげてほしいとリミティアは言う。これだけ大事になってしまえば、たとえ敵を撃退できてもこれまでのようなアイドル活動を継続するのは困難だろう。暮らし慣れたストリートも離れ、別天地に向かわざるを得ないはずだ。
「依頼の成否に関わらず、彼女達の今後には多くの苦難が待ち受けているでしょう。だからこそ、その前にやっておきたい事があると彼女達に言われたら、どうか協力してあげてください」
 それが彼女達の心の支えになるはずですから、と言ってリミティアは説明を終えると、グリモアを浮かべた。
 向かうはサイバーザナドゥのストリート。迫害されし超能力者達を狩る、メガコーポの非道を阻むために。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはサイバーザナドゥにて、メガコーポの『超能力者狩り』からサイコブレイカーの少女達を守る依頼です。

 標的にされたのはアイドルユニット『ルクシオン』のメンバーです。
 ストリート出身の十代の少女達(名前はアサ、ユエ、ミズキ、サリー)の4名によるユニットで、全員がサイコブレイカーですが、その事を隠しながらサイバースペース上で活動を行ってきました。
 大型ライブの真っ最中にメガコーポ『神農製薬』の超能力者狩り部隊の介入を受け、現在は危機的状況にあります。

 1章は現実世界におけるルクシオンの事務所に乗り込んできた『武装医師団』との集団戦です。
 ルクシオンのメンバーも超能力で戦いますが、本業はあくまでアイドルなので戦闘力は大したことがありません。猟兵は彼女達が捕らえられる前に加勢して、武装医師団を撃退してください。

 2章は武装医師団の撃退後、ルクシオンのメンバーからある『お願い』をされます。
 依頼内容と直接の繋がりはありませんが、できれば協力してもらえれば幸いです。詳細については実際に章が移行してからお伝えします。

 3章は神農製薬のサイコブレイカー・オブリビオン『マッド・スマイリー』とのボス戦です。
 こちらの戦闘の舞台はサイバースペースになります。マッド・スマイリーは製薬技術による通常のユーベルコードと、【ライトニング・カリギュラ】に似た超能力ユーベルコードを追加で使用する強敵です。
 今回の超能力者狩りを主導した研究者でもある彼女を倒し、データベースからルクシオンメンバーの個人情報を焼却すれば、少女達がこれ以上メガコーポから追撃を受けることはなくなります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『武装医師団』

POW   :    患者を発見、治療を開始する
【蛇型手術用ロボットビースト】と合体し、攻撃力を増加する【大型殲滅用レーザーメス】と、レベルm以内の敵を自動追尾する【注射器ミサイル】を射出する【ランチャー】が使用可能になる。
SPD   :    汚染を確認、該当区域を閉鎖する
【致死濃度の超高水圧消毒液ブレード】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を行動の自由を奪う閉鎖区域にし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    市民よ、健康であれ
戦場内に「ルール:【健康でない者は治療する】」を宣言し、違反者を【完治が認められるまで出られない隔離病棟】に閉じ込める。敵味方に公平なルールなら威力強化。

イラスト:ヒミコ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
その終焉、破壊させてもらう!

瞬間、ルクシオンのメンバーに迫る『武装医師団』に対して『|致命的な一撃《クリティカルヒット》』を繰り出す
我の一撃によるスーツ内に溢れ出した致死濃度の消毒液で溺れて清められるがいい
そう言って他の『武装医師団』からルクシオンのメンバーを庇う様に剣の切っ先を突きつける

まだだ
こんなものではないぞ――|蒼翼の終焉破壊《ブラウアフリューゲル》
瞬間、運命を悉く覆す程の『圧倒的なまでの悪運』によって『武装医師団』の兵装が暴走し、医師団を切り刻んでいく
此処からはディレクターズカット、だな

ヴァルキリーウィングで切り刻まれる医師団メンバーを事務所の外へと吹き飛ばし、安全を確保だ



「ッ、あんた達は……!」
「我々『神農製薬』の医師団が、貴女達を"治療"して差し上げましょう」
 ストリート某所に存在するアイドルユニット『ルクシオン』の事務所。そこに突如として乗り込んできたメガコーポの『武装医師団』に囲まれ、少女達は絶体絶命の危機にあった。敵の狙いは彼女らが持つ超能力――サイコブレイカーの力。もし捕まれば、残りの一生をモルモットとして過ごす結末が待っているだろう。
「その終焉、破壊させてもらう!」
 エンドブレイカーの信念と矜持は、そのような悲劇のエンディングを断じて認めない。惨劇が起こる寸前の現場に颯爽と駆けつけたブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首たる終焉破壊の騎士・f38903)は、その瞬間、武装医師団めがけて『|致命的な一撃《クリティカルヒット》』を繰り出した。

「誰です……ぐあッ?!」
 思わぬ乱入に反応の遅れた医師の一人が、ブリュンヒルデの愛剣「蒼翼羽剣ブラウグラム」の一撃を受ける。
 羽のような青い刃が医師の背負っていたタンクを破壊し、中に満たされていた大量の消毒液があふれ出した。
「我の一撃によるスーツ内に溢れ出した致死濃度の消毒液で溺れて清められるがいい」
「がッ、ごぼ……っ!?!」
 自らの装備による致命的な末路を迎えた敵にそう言って、ブリュンヒルデは他の武装医師団からルクシオンのメンバーを庇う様に剣の切っ先を突きつける。その姿はさながら姫君のピンチに駆けつける騎士のようだった。

「あ、あなたは……?」
「何者かは存じませんが、邪魔をするのであれば、貴女も"治療"対象です」
 目まぐるしい状況の変化に理解が追いつかないルクシオンの少女達と、業務を妨害する者は全て抹殺にかかる武装医師団。両者の猟兵に対する反応はまるで違っていた。奇襲で一人数を減らしたところで神農製薬が送り込んだ『超能力者狩り』部隊の規模は大きく、危機的状況に変わりはない。
「まだだ。こんなものではないぞ――|蒼翼の終焉破壊《ブラウアフリューゲル》」
 だが、ブリュンヒルデが放った【蒼翼の終焉破壊・運命神の致命傷たる一撃】の影響は、既に戦場全体に及び始めていた。悲劇の終焉に叛逆する彼女の力は、運命を覆すほどの『圧倒的なまでの悪運』の流れを作り出し、その下流に追いやられた敵に様々な『|致命的な一撃《クリティカルヒット》』をもたらすのだ。

「汚染を確認、該当区域を閉鎖……うわッ!」「そ、装置が急に!?」
 その瞬間、武装医師団の装備していた超高水圧消毒液ブレードが暴走し、勝手に放水を始める。|機械化義体《サイバーザナドゥ》すら切開するほどの高水圧・高濃度の消毒液を自ら浴びてしまった医師達は、バラバラに切り刻まれていく。こんな時に兵装のメンテナンス不備が起きるとは、まったく『不運』な話だ。
「此処からはディレクターズカット、だな」
 流れを引き寄せたブリュンヒルデは背中に生えたエネルギーの翼――蒼きヴァルキリーウイングを広げ、敵に追撃を仕掛けた。その羽ばたきは激しい旋風を辺りに巻き起こし、邪なる者を少女達の元から追い払っていく。

「うわぁぁぁっ!!?!」
 自社装備の不調という不運に追い討ちを掛けられ、事務所の外へ吹き飛ばされていく武装医師団のメンバー。
 これで少女達の安全はひとまず確保できた。残った敵を撃滅すべく、蒼き戦乙女の騎士は愛剣を手に勇ましく斬り掛かっていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
最近思うんです…武装警官だと救助対象に私が味方であると説明するのが面倒だと…!

なので変身です。分身に金髪アングラ何でも屋っぽい姿を取らせつつ合体した状態で参戦。口調も普段より緩めに。
これ見よがしにキャンディを咥えながら敵前に飛び出し、手袋と袖で隠れた義腕にオーラ防御を纏わせながら怪力で殴り飛ばします。
傍目にはサイコブレイカーっぽく見えるかもですね。敵へのブラフかつ救助対象に仲間意識を持たせる狙いだったり。
ピンチになる程能力が上昇するので積極的に敵の攻撃に飛び込み、ギリギリで見切り、カウンターを叩き込む戦術を取ります。

ドラッグで飛ぶのは天国ですが、あなたたちが飛んでく先は地獄でぇす。ばいばーい。



「最近思うんです……武装警官だと救助対象に私が味方であると説明するのが面倒だと……!」
 あらゆる所に腐敗が蔓延り、モラルが崩壊したサイバーザナドゥでは、新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)のようにまだ正義の心をもって市民を守る警官がいると言っても、なかなかすぐには信じて貰えない。事実ほとんどの警官はメガコーポの手先に成り果ててしまっているので、それも仕方のない事ではあるが。
「なので変身です」
 いかにも警察官らしい格好を一旦捨てて、彼女は【正義ではない起死回生】を発動。ユーベルコードで作り出した分身に金髪アングラ何でも屋っぽい姿を取らせて合体することで、一見別人のような変装を遂げる。ストリート出身の人々が相手なら、この姿のほうが警戒心は持たれにくいだろう。

「消毒液くさいメガコーポの狗が、こんな所でなぁにやってるんですかぁ?」
 これ見よがしにキャンディを咥えながら、いかにもアウトローくさい仕草で敵前に飛び出すにこたま。口調も普段より緩めにして、素性がバレないように意識している。ここまですれば初見で彼女を警官だと見抜ける相手は皆無だろう。
「貴女こそ誰ですか。今は患者の"治療"中です」
「邪魔をするなら貴女も……」
 神農製薬の『武装医師団』は脅しをかけるように消毒液の放水装置を向ける。彼らからすればストリートの人間など取るに足らない病人の集まりで、サイコブレイカーのような利用価値のある者を除けばどうでもいい存在だろう。仮面の上からでも分かる見下した視線を感じながら、にこたまは連中の元につかつかと歩いていく。

「あ、危ない……!!」
 ルクシオンのメンバーの誰かが、思わず警告しようとした瞬間。にこたまの前にいた医師が吹き飛ばされる。
 何か特別な技を使ったわけではない、ただ殴っただけだ。手袋と袖で隠れた|機械化義体《サイバーザナドゥ》の「正義の右腕」に、オーラを纏わせて思いっきり。
「もう気は済んだでしょう?」
「ぐはぁッ?!」
 調子に乗ったメガコーポの兵隊に下される正義の鉄槌は、重く、力強く。油断していた医師は事務所の外まで吹き飛ばされ、二度と戻ってこなかった。変装中といってもにこたまの武装警官としての戦闘力は何一つ衰えていないのが、これで分かっただろう。

「な……今の力、もしかして貴女も私たちと同じ力を……?!」
「ほう。どうやら優先して"治療"する必要がありそうですね!」
 少女の細腕で行われた人間離れした所業を、傍目に見た者達はサイコブレイカーでないかと誤認したようだ。
 これも敵へのブラフかつ、救助対象に仲間意識を持ってもらうための偽装だ。にこたまの狙い通りに敵味方の注目は集まり、評価を改めた武装医師団も本気になる。
「患者を発見、治療を開始する」
 待機させていた蛇型手術用ロボットビーストと合体した医師達は、大型殲滅用レーザーメスと注射器ミサイルランチャーを振りかざして襲い掛かってくる。明らかに手足の一本や二本は吹き飛ばしても構わないと思っている殺意の高さだ。だがにこたまはここで怯まず、積極的に敵の攻撃に飛び込んでいった。

「残念、当たりませぇん」
「なにッ?!」
 にこたまの【正義ではない起死回生】は、危機に陥るほど能力が上昇するユーベルコードだ。あえてギリギリの死線に身を晒し、紙一重でレーザーメスの執刀を躱した彼女は、さっきと同じように正義の拳で殴りつける。
「ごばァッ!?!!」
 その威力は、先程の一撃よりもずっと大きかった。装備もろとも粉砕された医師は最初の奴の何倍もの距離を飛んでいく。生死の確認などするまでもない――にこたまはすぐに次の標的を見定め、ぐるぐると腕を回した。

「ドラッグで飛ぶのは天国ですが、あなたたちが飛んでく先は地獄でぇす。ばいばーい」
「ひっ……ぎゃぁぁッ!!?」
 アングラっぽいノリを保ちつつ、目についた敵を手当たり次第に殴りかかるにこたま。恐れをなした敵の攻撃は掠りもせず、ただ医師団の損害ばかりが増えていく。彼女の正体を連中が知る事は、結局最期まで無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アスカ・ユークレース
全力で余計なお世話~!病気じゃなくて個性ですゥ~~
患者と健常者の区別もつかない藪は引っ込んでてくれないかしら~!
そもそも彼女ら悪用するつもり無かったみたいじゃないの、誰でも良いって思惑がスッケスケなのよ!
はぁ、相変わらずク◯だわメガコーポ

地形を利用して壁ジャンプ、ロープワークを行い縦横無尽に立ち回り翻弄しつつ
急所を狙った早業のレーザー射にて貫通撃

アイドルに傷をつける訳にはいかないわね、ならこれだわ

このUCなら敵のみにダメージを
与えることが出来る

派手に立ち回って引き付けてるうちに避難して貰うわ


アドリブ連携歓迎



「全力で余計なお世話~! 病気じゃなくて個性ですゥ~~。患者と健常者の区別もつかない藪は引っ込んでてくれないかしら~!」
 サイコブレイカーを公然と病人扱いし、治療という名目で実験台にしようとするメガコーポの態度に、アスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)は大いに憤っていた。彼女もこの世界でとある企業に開発された電子精霊だが、だからこそメガコーポの連中が考えている事は分かっている。
「そもそも彼女ら悪用するつもり無かったみたいじゃないの、誰でも良いって思惑がスッケスケなのよ!」
「さて、何を言っているのやら」「どうやら興奮していますね。鎮静剤が必要のようだ」
 鋭い指摘に白々しくとぼけながら、神農製薬の『武装医師団』は医療器具を構える。治療用という名目ではあっても、それらは十分に人を殺傷可能な兵器だ。自分達の意に歯向かう連中を、過去にもこうして"治療"してきたのだろう。

「はぁ、相変わらずク◯だわメガコーポ」
 モラルや良識と呼べるものが死滅しきった連中の対応に、アスカの口からも思わず悪態が漏れる。こんな連中の手に少女達の身柄を渡すわけにはいかない。大型光線弩「binary star」を構えて、彼女は武装医師団の前に立ちはだかる。
「市民よ、健康であれ」
 薄ら寒いまでのお題目を掲げて、襲い掛かってくる医師達。誰が健康であり誰が病人かを決めるのは彼らだ。
 邪魔者を強制治療せんとする白衣の死神のメスは鋭く。だがアスカは軽快な身のこなしで壁を蹴り、ジャンプで敵の攻撃を飛び越えた。

「逃げてはいけません、健康になるのです」
「そんなのお断り~!」
 建物にくくり付けたロープを片手で操り、スタントマンのようなロープワークで縦横無尽に立ち回るアスカ。
 その機敏な動きに敵が翻弄されている隙に、照準を合わせてまずは一発。近未来的なデザインの大型弩から、標的の急所めがけて高出力のレーザーが発射される。
「がっ……!!」
 閃光に射抜かれた敵はに胸に風穴を開けて倒れ、それきり動かなくなる。だがその他の医師達は止まらない。
 メガコーポに魂まで売り渡し、オブリビオンと成り果てた者達だ。このまま普通にやりあっても構わないが、それだと被害が広がる恐れもある。連中はストリートの市民の生命をまるで重んじていないのだから。

「アイドルに傷をつける訳にはいかないわね、ならこれだわ」
 アスカはおもむろに黄金の天秤のバッジを装備して【電子星装:天秤の衣】を発動。良いものなら白く、悪いものなら黒く――公正に善悪を見定める天秤をもって、治療の名目で市民を苦しめる邪悪な医師に裁きを下す。
「なにを……ぐわッ?!」「がはッ!!」
 その瞬間、黒い閃光弾の雨が戦場に降り注ぎ、武装医師団に突き刺さった。一方で同じ効果範囲にいるルクシオンのメンバーや事務所の職員らにはまるでダメージはない。彼女らは"悪"ではないと天秤が判断したようだ。

(このユーベルコードなら敵のみにダメージを与えることが出来る)
 閃光弾の雨を浴びせられて動揺している医師団に、アスカは追撃とばかりにレーザー射撃を放つ。これだけ派手に立ち回れば敵の注意はこちらに釘付けだろう。ルクシオンのメンバーに構っているような暇はないはずだ。
「今のうちに避難して」
「は、はいっ!」
 このまま戦場にいても足手まといになるだけと思ったのだろう、少女達は素直に言われるまま避難を始める。
 それを見た医師は「ま……待て!」と追いかけようとするが、アスカの弾丸と光線はそれを許さず。白き衣を黒き閃光に撃ち抜かれ、邪なる医師団は骸の海に帰っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
今ドキのアイドルは戦いもこなせなくちゃ生き残れねえってか?
ま、こういう荒事はアイドル級に可愛すぎる傭兵ことアキラ様に任せとけ。

そんじゃあ派手にいくか。ヘビーマシンガンで全員ミンチにしてやるぜ!
グチャグチャのバラバラになったら医者でも治せねえだろ?
んでもってアイツらの大好きな|違法薬物《EDEN》を一口……くぅ~!コーポのヤツらとバトりながらキメるクスリは最高だぜ!

ロボットビーストだのなんだのと言っちゃあいるが所詮は医療用。
片っ端から大口径弾で撃ち抜いてぶっ壊してやるぜ。
アイドル拉致るだけの簡単な仕事のはずだったんだろうが、オレと殺り合うにはちょいと武装が貧弱過ぎたみてえだな?



「今ドキのアイドルは戦いもこなせなくちゃ生き残れねえってか?」
 生き馬の目を抜くどころの話ではない世紀末感に、肩をすくめるのは堂島・アキラ(|Cyber《サイ》×|Kawaii《かわ》・f36538)。ただ普通にアイドル活動をしていただけの少女達に、いきなり武装医師団を送り込んでくるとは、メガコーポも無慈悲な真似をするものだ。
「ま、こういう荒事はアイドル級に可愛すぎる傭兵ことアキラ様に任せとけ」
「え、えっと……あ、ありがとう、助けに来てくれてっ」
 ナリは可憐な金髪美少女だが、隠しきれないチンピラ感とナルシスト。そのアンバランスさにどう反応すればいいものかとルクシオンのメンバーも困惑していたが、とりあえず味方らしいと判断してお礼を言うのだった。

「そんじゃあ派手にいくか。全員ミンチにしてやるぜ!」
 戦場に出てきたアキラは初っ端からヘビーマシンガン『Tyrant』をぶっ放し、大口径弾の雨を敵に浴びせる。
 本来なら銃座に固定して使用するべき代物を、サイボーグの腕力で無理やり携行火器として扱っているのだ。その火力はオブリビオン相手でも十分過ぎる。
「グチャグチャのバラバラになったら医者でも治せねえだろ?」
「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁっ?!!!」
 運悪く射線上にいた医師達はその掃射でなぎ払われ、ヒトとしての原型すら留めない無惨な死に様を迎える。
 血と肉片と臓物が飛び散るスプラッタな光景を前にしながら、アキラはポッケから取り出した|違法薬物《EDEN》を一口。楽園までブッ飛びそうな快感が脳内を駆け巡る。

「くぅ~! コーポのヤツらとバトりながらキメるクスリは最高だぜ!」
「あ、貴方、我々の前でそんなものを……!」
 仮にも医師の前で堂々とドラッグを使用するという無法ぶり。舐められていると感じた武装医師団は憤るが、アキラはそんな敵意なんざどこ吹く風。それどころか錠剤を乗せた舌をんべっと出して挑発までする始末だ。
「何言ってんだ、オマエらだって大好きだろ?」
「っ、な、なにを馬鹿な!」
 この世界の製薬会社なんてものが、合法だろうが違法だろうが薬物の市場に一枚噛んてないはずが無いのだ。
 ストリートに薬物が広まればサイコブレイカー――新しいモルモットも増える。メガコーポの後ろ暗い側面を突かれた医師達はそれを誤魔化すように、待機させていた蛇型ロボットビーストを呼び寄せた。

「どうやら貴方は重症患者のようだ。直ちに治療を開始する!」
 手術用ロボットと合体することで武装を大幅強化した医師団は、治療という名の処刑行為を執行せんとする。
 振りかざされる大型殲滅用レーザーメスは、さながら死神の鎌の如く。しかしアキラはビビることなく【アキラ流ひき肉の作り方】の実演を続ける。
「ロボットビーストだのなんだのと言っちゃあいるが所詮は医療用。片っ端から撃ち抜いてぶっ壊してやるぜ」
 医者と死神の二足のわらじを履く連中と違って、こちらは専業のザナドゥの死神だ。武装の火力と使用者の練度には歴然とした差があり、分厚い大口径弾の弾幕を医師団は突破することもできない。レーザーメスだろうがミサイルだろうが、掲げた凶器は全て撃ち落とされてしまう。

「アイドル拉致るだけの簡単な仕事のはずだったんだろうが、オレと殺り合うにはちょいと武装が貧弱過ぎたみてえだな?」
「ば、馬鹿な……ぎゃああぁぁぁーーーーッ!!!?!」
 一般人相手ならいざ知らず、その程度でデスブリンガーに挑むとは片腹痛い。無謀のツケを生命で支払う羽目になった武装医師団は、最初にミンチになった奴と同じ様になるまで、無慈悲な銃弾の嵐を浴びせ続けられる。
 断末魔の絶叫とヘビーマシンガンの銃声が鳴り止む頃には、しばらく肉を食べる気がなくなること請け合いの光景が完成していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
迷彩で隠れながらUCを発動する

同時発動UCは鳳凰烈火
攻撃は反射属性を纏った結界術で防御する
変身!私は敵に変身してルクシオンの一人に接近する
超能力の攻撃は躱して別の敵に当たるのを確認してから一人を捕まえる

暴れる少女に私は…
あ〜ごめんね一芝居打ってくれないかな?お願い!と小さい声で言った

人質にして他の人達も投降させた
仲間に連れて行かせるが…陽炎変化の効果を受けて武装医師団に変身した朱雀が彼女達を安全な場所に連れていったら朱雀は合図した


行くよ!朱雀!

『かかったな馬鹿が…!』
UCを発動した朱雀は爆焔怒号術で周りの敵で攻撃した

消毒されるのは貴方達よ!
コピーした消毒ブレードで敵を攻撃した



「行くよ! 陽炎変化の術……変身!」
 迷彩によって身を隠し、敵味方の目を欺きながら現場に到着した花咲・月華(『野望』を抱く?花咲の鬼姫・f39328)。彼女はおもむろに【陽炎変化の術】を発動し、妖術の焔で『武装医師団』に奇襲攻撃を仕掛けた。
「むっ……火災ですか?」
 何もない所から突如発生したように見える不審火が、敵の注意を一時的に引き付けた。彼らは持っていた超高圧消毒液ブレードで消火を試みるが――それに合わせて月華は結界を張って、消毒液の放水を敵に跳ね返した。

「うわっ?!」
 焔と反射された自らの放水を浴びて、動揺する武装医師団。この隙に月華は『ルクシオン』のメンバーの1人に接近し、おもむろにその腕をがしりと捕まえた。避難中だった年若い少女が、びくりと震えて悲鳴を上げる。
「きゃぁっ! 誰? は……離して!」
「あ~ごめんね一芝居打ってくれないかな? お願い!」
 怯えながら腕を振りほどこうとする少女に、月華はすまなそうに小さな声で言う。どうやら彼女には策があるらしいが――あまり長々と説明している時間もない。概要を耳打ちしながら手を後ろに回させ、完全にその少女を人質に取ったような体勢にする。

「まったく何が……おや?」
 程なくして奇襲の動揺から立ち直った武装医師団が見たのは、月華の手で捕らえられたルクシオンの少女達の姿だった。他のメンバーも仲間が人質に取られては逃げられなかったのか、悔しそうな表情で膝を屈している。
「患者を確保しました」
「おお、よくやってくれました」
 淡々と報告を行う月華に、仮面の裏から労いの言葉をかける医師団。まるで仲間に接するような反応だがそれもそのはず、今の彼女は変化の術によって医師団の姿をコピーしているのだ。ルクシオンの少女達が怯えていたのも、彼女の格好を完全に敵と認識していたからである。

「連れていきなさい。我々は妨害する患者を"治療"してから行きましょう」
「はい」
 医師団の指示により、月華は別の医師にルクシオンの身柄を引き渡す。だが、その相手も彼女と同じユーベルコードで変身した味方――従者である赤鬼の「朱雀」だ。実験台を連行すると見せかけて、彼は安全な場所まで少女達を連れていく。
(もういいぞ、月華)
 避難が完了すれば朱雀は合図として焔を空に打ち上げる。それを見た月華は待っていましたとばかりに医師の仮面を脱ぎ捨て、敵に攻撃を仕掛けた。向こうからすれば味方と思っていた相手に、またも不意打ちを食らった形となる。

「うわッ?! あ……貴女は誰だ!」
「気付くのが遅かったね! 行くよ! 朱雀!」
『かかったな馬鹿が……!』
 月華が【鳳凰烈火】を発動すると、鬼の力を解放した朱雀が猛スピードで戻ってきて【爆焔怒号術】を放つ。
 轟々と燃え盛る焔が周囲の敵を焼き焦がし、混乱した所に月華が消毒液ブレードで追撃する。陽炎変化の術は見た目だけでなく相手の装備やユーベルコードまでコピーできるのだ。
「消毒されるのは貴方達よ!」
「ば、馬鹿なぁッ?!!」
 鬼姫の術中に嵌まっていたとも知らずに任務完了だと油断していた医師団に、この不意打ちは覿面に効いた。
 焔に焼かれ、あるいは致死濃度の消毒液を浴び、敵は驚愕の叫びと悲鳴を上げてばたばたと倒れていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
同時発動UCは錬金術士奥義『一騎当千』効果発動UCは『神速の射撃者』

ああ〜!ルクシオンのライブを邪魔して〜!
ライブ会場から一瞬で戻って来た私はブチ切れた

『…休みまで貰って行ったライブが邪魔されたからなぁアルマ』

予約苦労したのに〜八つ当たりだ!

クイックドロウ…常に使用する

結界術…慶喜が敵の攻撃を防ぐ時に使用

武器受け…敵の攻撃を防ぐアルマの技能

錬金術…電撃と凍結攻撃の弾丸を作った

喰らえ!
周りの敵に錬金術で作った電撃凍結弾で攻撃して跳弾に敵に攻撃する

『おら!落ちろや!』
慶喜は敵の攻撃を見切りながら刀で攻撃する
くたばれクソ医者!
敵のUCは軽業で攻撃を回避する
反撃に周りの敵に私のUCと矢弾の雨で攻撃した



「ああ~! ルクシオンのライブを邪魔して~!」
 サイバースペースで一躍注目を浴びるアイドルとなれば、猟兵の中にもファンがいてもおかしくない。アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)は折角の公演を台無しにされた怒りでブチ切れながら、会場から一瞬で戻ってきた。
「……休みまで貰って行ったライブが邪魔されたからなぁアルマ」
「予約苦労したのに~八つ当たりだ!」
 この怨み晴らさずにおけるものかと、彼女は怒りの矛先を神農製薬の『武装医師団』に向ける。相棒の「東・慶喜」にもそれを止める気はないらしく、銃と刀を抜いて戦闘態勢を取った。ライブを邪魔したうえアイドルに手を出そうとする連中に、情けは無用だ。

「何ですか? 貴方達は……」
 もちろん敵がライブのいち観客の顔など知るはずもなく、武装医師団は怪訝な反応をしながら超高水圧消毒液ブレードを向ける。誰であれ業務の邪魔をするものに容赦はしない、ストリートのゴミなど幾らでも"治療"して構わないのだから。
「舐めるな!」「甘い!」
「なっ……?!」
 しかしアルマは剣型チープウェポン『カタストロフィ』を盾に、慶喜は結界術による防壁を張って、それぞれ敵の放水攻撃を受け流す。散らばった致死濃度の消毒液は行動の自由を阻害する閉鎖区域に戦場を塗り替えるが――この程度で彼女らの怒りを止めることはできない。

「喰らえ!」
 アルマは常人離れした身体能力で戦場を走り回りながら、アルケミック・ガンナイフ『ヘルパー』のトリガーを引く。放たれるのは錬金術で作った電撃凍結弾。一見適当なところを撃っているように見えるが、壁や天井に跳弾して敵に当たるように計算されている動きだ。
「ぐわッ?! な、何ですかこの弾丸は……」
「おら! 落ちろや!」
 銃撃を受けて感電や凍傷を負った医師団の動きが止まる。間髪入れずに切り込んだ慶喜が、愛刀の間合いから手当たり次第に敵を斬り伏せていく。所詮連中は医師であり、格下の"患者"ばかりを相手にしてきた雑魚共だ。本物の修羅場を潜り抜けてきた戦士とは及びもつかない。

「おのれっ!」
 武装医師団はもう1度消毒液ブレードを放つが、射線を見切っていたアルマにはあっさりと躱され、建物を傷付けるだけに終わる。【錬金術士奥義『一騎当千』】を発動した彼女の軽業めいた身のこなしに、敵は完全に翻弄されていた。
「これが魔術とか神秘の力に対抗する私の切り札!」
 お返しとばかりにアルマは【神秘殺しの次元撃】と【錬金術士奥義『神速の射撃者』】を同時発動。極限まで練度を高めた射撃技術をもって、賢者の石に貯めた時空の力を撃ち出す。魔力を持たず神秘の力を使えない彼女の、最大の切り札の一つだ。

「くたばれクソ医者!」
「「ぐわぁぁぁぁぁッ?!!!」」
 次元すらも貫通する弾丸の雨を受けた武装医師団は、断末魔の悲鳴を上げて骸の海に還っていく。休日を楽しんでいたアルマの逆鱗に触れたのが、彼らの不運だった――それを悔い改める猶予さえ、与えられなかったが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
圧政者に対する叛逆の牙、折らせるわけにはいきません

身に纏うのは白いボディスーツ
ルクシオンの方々を狙う背後に忍び寄り(目立たない)、【雷迅拳】を叩き込む
ロボットと合体しているなら【電撃】が弱点となる筈
拳をめり込ませて放電する(全力魔法)

攻撃力が増加しても、それを振るう技量が上がるわけではない
医師の本領は精密なオペであり、大物斬りではない
強化された【視力】で【見切り】、【功夫】の体捌きで躱し、懐に潜り込む
この至近距離ならミサイルは撃てまい
重く鋭い肘打ちで機械装甲を打ち砕く(怪力・グラップル・鎧砕き)



「圧政者に対する叛逆の牙、折らせるわけにはいきません」
 未来的な白いボディスーツを身に纏い、そう呟くのはオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。ここで『ルクシオン』の少女達がメガコーポの手に落ちれば、彼女らの歌や踊りに勇気づけられていたストリートの市民は悲しみに暮れるだろう。彼女らの価値は、決して超能力だけで計れるものではない。
「患者を発見、治療を開始する」
「いやっ、来ないで……!」
 避難しようとする少女達を、無慈悲に追い立てる『武装医師団』。メガコーポ・神農製薬に送り込まれた彼らの目的は、治療の名のもとにルクシオンの超能力を自社の利益化することだ。白衣に包まれたドス黒い野望は、随伴する蛇型手術用ロボットビーストと合体することで、より剣呑で凶悪に具現化される。

(ロボットと合体しているなら電撃が弱点となる筈)
 そんな連中の装備に目をつけたオリヴィアは、医師団の魔手が少女達に届く前に、音もなく背後に忍び寄る。
 そして拳に雷を纏わせると、機械と一体化した部位に狙いを定めて、【雷迅拳】のストレートを叩き込んだ。
「煌めく雷霆よ、打ち砕け――!」
「がはッ?! ぎゃあぁぁぁぁッ!!!」
 装甲にめり込んだ拳から電撃が流れ込み、機械回路から神経系に至るまで焼き尽くす。不意打ちを食らった医師は悲鳴を上げて、痙攣しながらバタリと倒れ込む。その全身からは焦げた機械の異臭と煙が立ち上っていた。

「ええい、また邪魔者が……!」「ストリートは病人の巣窟ですね!」
 仲間の断末魔によって新手の乱入に気付いた医師団は、優先すべき"治療"対象を変更して襲い掛かってくる。
 彼らが装備する大型殲滅用レーザーメスと、自動追尾式の注射器ミサイルランチャーは、医者には不必要な程の火力を誇る兵器だ。まともに攻撃を受ければ猟兵でもただでは済まないだろう――だが。
(攻撃力が増加しても、それを振るう技量が上がるわけではない。医師の本領は精密なオペであり、大物斬りではない)
 練度が足りていないのか、大型メスを振るう医師達の動きは明らかに大雑把でぎこちない。ストリートの一般人やアイドルを狩るだけなら十分だったのだろうが、熟達した戦士であるオリヴィアには通用しなかった。強化された視力で光の刃の軌道を見切り、斬撃の下をくぐるように身を躱す。

「なっ、なぜ当たらない……?!」
 功夫の鍛錬に基いたオリヴィアの体捌きは無駄がなく、武装医師団が何度メスを振るっても掠りすらしない。
 常に紙一重、皮一枚の差を決して切り込ませないまま、彼女は流れるような足運びで敵の懐へと潜り込んだ。
「この至近距離ならミサイルは撃てまい」
「くっ……!」
 これでは自分達まで爆発に巻き込まれてしまうと、医師団が攻撃を躊躇した瞬間。重く鋭い肘打ちが、ロボットビーストの変形した機械装甲を打ち砕く。|機械化義体《サイバーザナドゥ》に換装されていない、まったくの生身の肉体でありながら、その膂力は常人を遥かに凌駕していた。

「ぐはぁッ?!!」
 並外れた怪力と鍛え上げた技術の複合に打ちのめされ、血反吐を吐いて吹き飛ぶ武装医師。その象徴たる白衣は真っ赤に染まり、レーザーメスの光が消える。敵の沈黙を確認した後、オリヴィアはすぐさま次の標的に向かって拳を構えた。
「さあ、次は誰だ」
「ッ……!!」
 清楚な女性から放たれる並々ならぬ闘気に気圧され、後ずさる医師団。自分達がもはや狩る側ではなく狩られる側なのだと、これで自覚できただろうか。もしそうだとしても、彼らに逃げるという選択肢はすでに無く――雷纏う拳によって、オリヴィアの視界にいる敵は全て機能停止に陥るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅月・美亜
「つまり、ネットランナーの出番という訳だ」
 伊達に猟兵初期からハッカーを名乗っていた訳ではない所を見せてやろう。
「アイツではないが、お前達を倒す武器ならお前たち自身が持ち込んでいる」
 R-GEARで一瞬だけ腕を盗み、同士討ちをさせよう。
「次は目だ、耳だ」
 視覚と聴覚を盗み、行動を鈍化させる。とどめは味方に任せよう。
「健康でない者を治療する? なら、治療するべきはお前たち自身ではないか」
 メディカルデータを改竄し、味方を強制的に健康判定、敵は病気判定に改竄。
 生憎と直接戦闘は出来んが、この世界ならタイピング速度があれば何でもできる。

「大体片付いたな。で、何から始める?」



「つまり、ネットランナーの出番という訳だ」
 ネットワークがあまねく世界を覆うサイバーザナドゥで、サイバースペースで活動するアイドル達を助ける。
 まさしく自分におあつらえ向きの仕事だろうと、紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)は自信を持って現場にやって来た。
「伊達に猟兵初期からハッカーを名乗っていた訳ではない所を見せてやろう」
 生身での戦闘能力は一般人並みの彼女だが、そのハッキング技術は超常の域に達している。とはいえ武器らしい武器を持たずに現れた彼女の姿は一見貧弱そうで、神農製薬の『武装医師団』からも蔑みの目を向けられる。

「ストリートの野良ハッカーごときが、我々に太刀打ちできるとでも?」
 仮面で顔を隠してこそいるが、おそらくは余裕の表情で、武装医師団は戦闘用医療器具を構える。致死濃度の消毒液放射器やレーザーメスなど、メガコーポのハイテク製品で武装した彼らとまともに殴り合っては、美亜に勝ち目はないだろう。だが、逆手に取ればそれが勝算に変わる。
「アイツではないが、お前達を倒す武器ならお前たち自身が持ち込んでいる」
「なにを……うわっ?!」「ぐあッ!!」
 敵が攻撃を仕掛けてくるタイミングで【Operation;R-GEAR】を発動。召喚されたとあるSTGの機体から、眩い電撃が放たれる。それはロックオンした標的を連鎖して貫き、広範囲に被害をもたらす。だが、このユーベルコードの真価はダメージを与えることではない。

「なんだ、腕が勝手に……」「お、おい、私は味方だぞ……ぎゃッ?!」
 R-GEARの電撃を浴びた医師達の腕が、本人の意思に背いて動きだす。操っているのは言うまでもなく美亜だ。
 |機械化義体《サイバーザナドゥ》によりサイボーグ化された人間の身体をハッキングするのは、彼女にとっては赤子の手を撚るようなものだった。傀儡となった機械の腕が、超能力者を狩るための武器で同士討ちを始める。
「次は目だ、耳だ」
 さらに美亜は敵の視覚と聴覚を盗み、行動を鈍化させる。無音の暗闇に突如として陥れられた連中は、「わ、私の耳が!」「目がぁ!」などと喚き散らしながら戦場を彷徨う。こうなれば後は彼女が直接手を下さずとも、味方の猟兵がとどめを刺してくれるだろう。

「クソッ。我々のセキュリティをこうも簡単に突破するだと……?」
「イカれたハッカーめ。貴様らのような病人はまとめて隔離病棟送りだ!」
 最初は侮っていた医師団も、こうなれば美亜に危機感と敵意を露わにする。彼らが【市民よ、健康であれ】と唱えれば、戦場内に新たなルールが施行される。心身ともに不健康な者は完治が認められるまで、病棟という名の監獄に閉じ込められるべきである、と。
「健康でない者を治療する? なら、治療するべきはお前たち自身ではないか」
 しかし、美亜はその一方的なルールの押し付けすら逆手に取って、敵味方のメディカルデータを書き換える。
 味方を健康判定、敵は病気判定に強制的に改竄してやれば、医師団のユーベルコードは当の本人に牙を剥く。ルールとは誰に対しても公正であるからこそ威力を増すのだ。

「生憎と直接戦闘は出来んが、この世界ならタイピング速度があれば何でもできる」
「な、何故だ……!!!」「出せッ、我々は健康だ!」
 カタカタと素早い指さばきでキーボードを操り、戦場の情報を支配する美亜。その手際に翻弄され、隔離病棟に幽閉された医師団は喚き散らすが、負け犬の遠吠えに過ぎない。朽ち果てるまでそこに居ればいいと、彼女は病棟の扉にロックをかけた。
「大体片付いたな。で、何から始める?」
「あ、えっと……まずは、ありがとう」
 そう言ってくるりと振り返った先にいるのは『ルクシオン』のメンバー達。危うい所を助けられた少女達は、まだ少し戸惑いながらもお礼を言う。突然こんな窮地になってしまったが、ここからは反撃のターンだ。異世界のハッカーは彼女らにこれからやりたい事を尋ねる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
何千、何万という人々に求められる程のアイドルになるまで、どれほどの苦労と努力があったのかしら。
そんな彼女たちが報われる事なく、メガコーポの「超能力者狩り」の犠牲になって良いわけない。
魔女狩りめいた凶行、叩き潰すわ。

「貴方たちの思うようにさせないわ!」
『ルクシオン』のメンバー達と武装医師団の間に割り込むように突撃。
「メガコーポと敵対している者よ。貴女たちは下がって」
生憎、説明をしている暇なんてないから最低限の情報を伝えて、武装医師団に攻撃を開始。

敵の攻撃を【見切り】で回避するけど、そのせいで行動の自由を奪われてしまう。
嘲笑う武装医師団。
『魔鏡反射』発動

立場が逆転した武装医師団を【蹂躙】するわ。



「何千、何万という人々に求められる程のアイドルになるまで、どれほどの苦労と努力があったのかしら」
 ストリート出身ながらもサイバースペースで脚光を浴びる『ルクシオン』の少女達の、これまでに歩んできた道程にヴィルジニア・ルクスリア(|甘やかな毒《ダークメルヘン》・f36395)は思いを馳せる。超能力を使わずに、自分達の能力だけで現在の人気を築くのは、血の滲むほど大変だったはずだ。
「そんな彼女たちが報われる事なく、メガコーポの『超能力者狩り』の犠牲になって良いわけない」
 魔女狩りめいた凶行、叩き潰すわ――黒い瞳に決意の輝きを宿して、彼女は戦場に足を運ぶ。その外見年齢はこれから救わんとする少女達と大差ないだろう。頽廃的なゴシッククロスに身を包んだ可憐な娘、しかしてその正体は|悪霊《ゴースト》にして魔女である。

「貴方たちの思うようにさせないわ!」
 今だ窮地にある『ルクシオン』のメンバーと武装医師団の間に、割り込むように突撃をかけるヴィルジニア。
 その高らかな宣言によって周囲の敵味方の注目は一気に彼女に集まった。戸惑いのある少女達の眼差しと疑問が投げかけられる。
「あ、あなたは……?」
「メガコーポと敵対している者よ。貴女たちは下がって」
 生憎、説明している暇はない。敵ではないと分かるように最低限の情報を伝えて、すぐに武装医師団に攻撃を開始する。魔導書のページを広げて、蠢く闇のオーラを弾丸のように放てば、敵も即座に応戦の構えを取った。

「誰かは存じませんが、貴女も病人のようですね」「今すぐ"治療"しなくては」
 闇の魔弾の返礼に武装医師団が浴びせるのは、致死濃度の超高水圧消毒液ブレード。人体を真っ二つに切断できるレベルの放水から、ヴィルジニアはさっとドレスを翻して避ける。だが、飛び散った消毒液はたとえ標的に命中せずとも、周囲の環境を汚染していく。
「うっ……これって」
「消毒ですよ。汚れた病原菌や患者を一掃するためのね」
 ユーベルコードの閉鎖区域に囚われ、行動の自由を奪われた少女を武装医師団が嘲笑う。こうやって無力化した相手を"治療"の名目でいたぶるのは、さぞ気持ちの良いことなのだろう。モラルが地に落ちたメガコーポの医者らしい――だが、今回ばかりは相手が悪かった。

「鏡よ鏡」
 ヴィルジニアが呪文を唱えると、装備していた魔法の鏡が医師団の姿を映し、その秘められた力を発動する。
 主が受けた状態異常や行動制限を自動反射する【魔鏡反射】のユーベルコード――これを使うために、彼女はあえて敵の術中に嵌まったのだ。
「なっ……か、身体が痺れて」「何故だ。我々にこの消毒液は効果がないはず……」
 サキュバスの娘が受けた不自由をそのまま返された医師達は、仮面の下で苦しげに呻き、がくりと膝をつく。
 むせ返るような消毒液の悪臭が、呪縛となって彼らを縛り付ける。ほんの一瞬の出来事で、彼我の立場は逆転していた。

「言ったでしょう、思うようにさせないって」
「ま、待て……ぐわぁッ?!」
 無力に蹂躙される苦しみを今度は自分の身で味わってみればいいと、容赦のない攻撃を加えるヴィルジニア。
 蠢く闇の魔力や毒蛇の髪、そしてチェーンソー剣『贄咬』の鋸刃が武装医師団を殲滅し、二度とこんな真似ができないよう、骸の海に葬るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
戌マスターにおまかせします。ルクシオンのメンバーを助ける、かっこよくて優しいルナ・ステラをお願いします!

『星と月と、時々、たらい』
 人間のウィザード×ビーストマスター、16歳の女の子です。
 普段の口調は「丁寧(わたし、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、心を許したら「少し幼さを見せる(あたし、~くん、~ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「これ以上の好き勝手は許しません!」
 メガコーポの横暴からアイドルの少女達を守るため、魔法の箒に乗って颯爽と駆けつけるはルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)。この世界ではおとぎ話扱いされるファンタジックな格好、まだ少し幼さのある可憐な姿ながらも、その表情は真剣だ。
「ルクシオンの皆さんはわたしが守ります!」
「やれやれ。次から次に病人が……」
 神農製薬の『武装医師団』は、次々に現れる猟兵の増援に苛立っている様子だ。簡単な超能力者狩りのはずが損害も大きくなっている。メガコーポに仇なす者は一人残らず"治療"すべきだと、怒りと殺意の矛先はルナにも向けられていた。

「下がっていてください」
「う、うんっ……気をつけて!」
 自分達と同年代ながらも臆する様子のなさと、こちらに向ける優しい笑顔を受けて、ルクシオンのメンバーは素直に退避する。不安もあるだろうが彼女らの心には、窮地に駆けつけてくれた猟兵達への信頼が芽生え始めていた。
「そんなに早く"治療"されたいとは、良い心がけです!」
 少女達を守るように1人残ったルナに向けて、武装医師団は致死濃度の超高水圧消毒液ブレードを発射する。
 ようはウォーターカッターの類であり、その切れ味は人体を輪切りにする程度は造作もない。しかしルナは魔法の箒「ファイアボルト」に跨り、空に飛び上がって攻撃を回避する。

「汚染を確認、該当区域を閉鎖する」
 回避された消毒液はそのまま周囲に散らばり、"患者"の自由を奪う閉鎖区域を作りだす。武装医師団としてはそれが狙いだったのだろうが――【パーフェクトブルーム】に乗ったルナをその程度で止めることはできない。
「箒の力を最大限引き出し、あらゆるものを寄せ付けない力を!」
 箒に騎乗中の彼女は地形からの激突ダメージなどの悪影響を受けず、自由に飛び回る力を得る。魔力の尾を引いて戦場を翔ける姿はさながら流星の如くであり、指先をすっと動かせば星屑の光が集まって、敵に対する返礼の矢となった。

「ぐあッ?!」
 ルナの放った「ティンクルスターダストショット」は、医師団が纏う防護用白衣を貫いてダメージを与える。
 あらゆるものを寄せ付けない力は、攻撃に転用すればあらゆる守りを無視する力にもなる。これがルナの身に付けた魔法の力、超能力やテクノロジーにも負けない神秘の力だ。
「悪い人にはお仕置きです!」
「くっ、調子に乗って……!」
 医師団は再び超高圧消毒液を放つが、航空力学を無視した箒の飛翔を捉えることはできず、無駄撃ちを繰り返すうちにタンクが空になってしまう。対するルナの星屑は、心に煌めきがある限りいくらでも湧いてくる。流星群のように降り注ぐ光の雨が、邪悪なる敵を浄化する。

「きれい……」
 きらきら光る夜空の星と共に戦うルナの勇姿を、ルクシオンのメンバーは見惚れながら目に焼き付けていた。
 新しい楽曲のインスピレーションが湧いたのか、指先で自然にリズムを取り、メロディを口ずさむ者もいる。誰かのピンチに駆けつけ悪者と戦う魔女っ子は、それだけ鮮烈で華麗な印象を与えたようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
同時発動UCは幽銃逆行王零と滅詩逆行王命

今助けるぞ…!

敵に呪殺弾を放ち障害物を利用して跳弾で多くの敵に攻撃する

『行くぞ!命!』『はい…お姉様』

零と命も同時に現れて

零は正確に敵に連射しながら幽銃を当てる
命は消滅魔法弾幕で周りの敵に攻撃する
そして弾幕は加速して敵を撃ち抜いていく

『オォォー!』
オーさんは毒の跳弾を口から放ち周りの敵を攻撃する

しかし敵の一部が波状攻撃からのかれてルクシオンを捕らえようとする

ルクシオンの一人が『お願い!ミナルアさん!』と叫んだ

『ふん…私のいった通りだっただろう?真っ二つだ…』
猟兵の力を感じる星霊と謎の生物が現れてミナルアと呼ばれた星霊は剣を召喚して敵を両断した

『殺れ!テトラ!』
テトラと呼ばれた生物は水蒸気爆発で敵を吹き飛ばす

ミナルアさん…総攻撃を一緒にしてくれませんか?

『ふん…行くぞ、テトラ』

よし!行くよオーさん!零!命!ミナルアさん!テトラ!

『オォォー!』『行くぜ!』『終わりにしましょう』
オーさんに零と命も総攻撃に参加してくれた

『死ね』
ミナルアさんは低い声で呟いた



「今助けるぞ……!」
 罪なき少女達を、メガコーポの魔の手から守り抜く。その決意を強く宿したエリュファシオン・アルティウス("やんきー"を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)は、現場に到着するなり「シャドウ・ガンナイフ」のトリガーを引いた。放たれた弾丸は建物の壁や天井に跳ね返り、四方八方から敵に襲い掛かる。
「ぐあっ?!」「ええい、また邪魔を!」
 呪力の籠もる弾丸を食らった『武装医師団』は悲鳴を上げ、仮面越しに憎々しげな眼差しを彼女に送り返す。
 向こうからすれば簡単な超能力者狩りが、こんな難事になるとは思ってもみなかっただろう。ストリートの連中に歯向かわれること自体が、腹立たしい状況だ。

『行くぞ! 命!』『はい……お姉様』
 だが連中の逆境はまだ終わらない。エリュファシオンの銃撃と同時に現れたのは【幽銃逆行王零と滅詩逆行王命】。黒ゴスロリ服を着た水色髪の「零」は膨大な魔力を込めた幽銃の弾を正確な連射で当てていき、白ゴスロリ服を着たピンク髪の「命」は空中に魔法陣を描き、消滅魔法弾を周囲に放つ。
「ぎゃぁっ?!」「ぐわぁッ!!」
『オォォー!』
 二人の弾幕は加速して敵を撃ち抜いていき、医師団に大きな損害を与える。そこに追い討ちをかけるように、オオサンショウウオ型バイクの「オーさん」も毒弾を口から放った。オブリビオンすら侵す強力な毒素が、敵の白衣を真っ黒に汚していく。

「くっ、まさか我々がこのような失態を……」「せめて、任務だけは遂行しなくては!」
 それでも波状攻撃から逃れて生き残った一部の医師達は、必死でルクシオンのメンバーを捕らえようとする。
 メガコーポは自社に利益をもたらさない存在に厳しい。それまでエリート街道を歩んでいた社員が、1度のミスで降格など珍しい話でもないだろう。ここで失敗すれば彼らに帰る場所はないのだ。
「っ……来ないでっ!」
 ルクシオンのメンバーも抵抗しようとするが、サイコブレイカーとはいえ彼女らの超能力の練度は未熟。致死濃度の消毒液を辺りに撒き散らされて、行動の自由を奪われてしまう。強気に振る舞いながらも怯えを隠せない少女達に、医師団の魔の手が迫る――。

「お願い! ミナルアさん!」
 だが、その時。エリュファシオンが一声叫ぶと、キラリと眩い輝きが辺りを照らし、青い髪と蒸気の翼を持つ人型の精霊が現れる。彼は手元に剣を召喚すると、ルクシオンのメンバーに迫る敵を一刀両断に斬り捨てた。
『ふん……私のいった通りだっただろう? 真っ二つだ……』
「ま、まだ仲間がいたのか……!」
 ミナルアと呼ばれたその星霊の出自は分からないが、少なくとも猟兵と少女達の味方ではあるらしい。ここにきてまた新手に任務を妨害された武装医師団は、焦りと苛立ちを露わにして放水装置の先端を向けるが、星霊は騎士の如き優雅な佇まいで一喝。

『殺れ! テトラ!』
「な、ぐわァッ!!?」
 ミナルアの傍らにいた「テトラ」と呼ばれる蒸気生命体が、小規模な水蒸気爆発を起こして敵を吹き飛ばす。
 ルクシオンの元から引き離しさえすれば、武装医師団はもはやここにいる者達の敵ではない。そろそろケリをつけようと、エリュファシオンは仲間達に声をかける。
「ミナルアさん……総攻撃を一緒にしてくれませんか?」
『ふん……行くぞ、テトラ』
 星霊ミナルアもぶっきらぼうな態度ではあるが作戦に了承し、蒸気獣テトラも全身から蒸気を吹いて応じる。
 みんなの意思がひとつになったのを確認して、エリュファシオンは【逆行奥義・総攻撃】の発動を宣言した。

「よし! 行くよオーさん! 零! 命! ミナルアさん! テトラ!」
『オォォー!』『行くぜ!』『終わりにしましょう』『死ね』
 エリュファシオンのガンナイフ、オーさんの毒弾、零の幽銃、命の消滅魔法。多彩な技と武器による一斉攻撃が武装医師団を襲い、最後にミナルアがとどめを刺す。低い声で呟きながら彼が剣を振るえば、医師達の首と胴体は一瞬で泣き別れになった。
「ば、馬鹿な……」
 まだ自分達の敗北を理解しきれぬまは斃れる武装医師団。彼らの帰る場所は本社ではなく、骸の海となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラップトップ・アイヴァー
《はいダメ。
必死に頑張っているアイドルのみんなを治療だなんて、お医者さんたちは悪い子なの。
夢の無い行動、意味無いよ。

そんな悪い子は、指を鳴らして真の姿……黒髪に紫の瞳のお姫様になったみきが、おしおきしてあげる。
Revolution.

優しい魔力を纏って悪目立ちして、アイドルのみんなに傷がつかないように、注意を惹きつけるの。
レーザーメスは見切って回避、飛んでくるミサイルはリヴリーで斬り払って防御なの。

でも、ロボットさんと合体するのがちょっと厄介なのね。
…ちょっとくらいならバーサークしたって問題無いよね。

Illumination!
UCを起動してお医者さんたちを目についたものから順に全力魔法パンチしていくの!
優しさを込めて、肉体を傷つけない連続コンボ。他の猟兵さんはみきみたいに優しくないだろうけど、せめて悔い改めて、次に生まれる時くらいいい人になってほしいよね。

今日はお姉ちゃんに内緒でお出かけしてるから、みきもお忍びおでかけ。
なんだかみき、アイドルっぽいかな》



「はいダメ。必死に頑張っているアイドルのみんなを治療だなんて、お医者さんたちは悪い子なの」
 非道と欺瞞に満ちたメガコーポの所業に、堂々とダメ出しする1人の少女。彼女の名前は「三上・美希」――すでに死んでいるが、双子の姉妹である「シエル・ラヴァロ」の肉体に魂を繋ぎ止められ、スポーツと魔法で人々に希望を与えるパフォーマー、ラップトップ・アイヴァー(動く姫君・f37972)として活動する猟兵だ。
「夢の無い行動、意味無いよ」
 彼女の生まれ育ったアスリートアートに比べて、この世界は夢もモラルもまるで足りない。ズルいことばかりして自分だけ儲けようとして、他人を苦しめる。それでは誰も喜ばないし、希望なんて持てない。猟兵としても個人的にも、絶対に見過ごせない行為だ。

「そんな悪い子は、みきが、おしおきしてあげる」
「なにも知らない小娘が……」「あまり調子に乗ると、貴女から"治療"させて貰いますよ!」
 お姫様のように無垢な美希の言葉に、神農製薬の『武装医師団』は苛立ちながらユーベルコードを起動。蛇型ロボットビーストと合体装備した剣呑な兵器の数々を、これ見よがしに振りかざして威圧する。しかし、美希は怖気付いた様子もなく、落ち着いてぱちんと指を鳴らし。
「Revolution.」
 その瞬間、彼女の髪の色は赤から黒に変わり、オレンジの瞳は紫色に染まって、服装もアスリートウェアから華麗なドレスになる。これが|超克《オーバーロード》に至った「三上・美希」の真の姿。戦場に降り立った魔法のプリンセスが、悪人達を睨みつける。

「その力……まさか貴女も超能力を!」「だったら尚更"治療"しなければ」
 魔法の知識を持たない科学主義の医師達は、美希の変身も身に纏っている優しい魔力も、超能力によるものと誤認したようだ。アイドルの皆に傷がつかないよう、注意を惹きつけたかった美希としては好都合とも言える。
「手術開始です。大人しくして貰いましょうか!」
「いやなの」
 殲滅用の大型レーザーメスで斬り掛かってくる医師団に、美希はそっけない態度で身を翻した。同居しているシエルの肉体はバトロワプレイヤーとして活躍していることもあって運動能力は高く、重たそうなドレス姿でも軽やかに敵の攻撃を見切り、回避する。

「ええい、ちょこまかと!」
 ならばと医師団が注射器型の追尾ミサイルを撃ってくれば、美希は革命剣「リヴリー」を抜く。彼女は決して王子様に守られるタイプのお姫様ではなく、優雅な手つきで刃を振るえば、黒と紫の斬閃が飛んでくるミサイルを次々に切り払っていく。
(でも、ロボットさんと合体するのがちょっと厄介なのね)
 向こうの攻撃には対処できるが、こちらも今のままでは攻め手を欠く。合体で防御力も強化された武装医師団を物理的にやっつけるのは、少し骨が折れそうな気がした。あまりもたもたしていると、隙を突かれてアイドル達に危険が及ぶかもしれない。

「……ちょっとくらいならバーサークしたって問題無いよね」
 諸々を加味したうえで美希は少しばかり過激な手段に訴えることにした。注射器ミサイルの弾幕を切り捨て、レーザーメスの閃光をかいくぐって、目についた相手の懐に飛び込む。抱きしめられそうなくらいの超至近距離で、彼女はぎゅっと拳を握りしめ。
「Illumination!」
「ぐあッ!!?!」
 埒外の魔力を乗せた全力パンチが、装甲の上から医師に叩きつけられる。殴られた相手は派手にふっ飛ばされたが、不思議と身体に外傷は見られなかった。ならば攻撃は不発なのかと言われればそれもまた違う――彼女の発動したユーベルコードは、物理的なダメージを与えるものではないからだ。

「な、なんだ……胸の奥が、暖かい……?」
「リズマ・フラッシュ……|正義の光よ《Illumination》」
 美希の心から生まれる魔力を込めた拳は、肉体を傷つけずに対象の悪意を破壊する。罪を憎んで人を憎まぬ、優しさに満ちた正義の拳だ。それを食らった医師は自らの心に湧き上がる、ついぞ忘れていた感情のぬくもりに戸惑っている様子だった。
「お、おい、どうし……ぐわッ?!」
 他の医師団がその現象に戸惑っている隙に、美希は手当たり次第の勢いで彼らを殴り飛ばしていく。黒髪とスカートを翻しながら、息も吐かせぬ連続コンボ。戦場に舞う華麗なるお姫様の拳が、邪悪な者の心を浄化する。

(他の猟兵さんはみきみたいに優しくないだろうけど、せめて悔い改めて、次に生まれる時くらいいい人になってほしいよね)
 届け、この想いとばかりに、1撃1撃にいっぱいの優しさを込めて。美希の【R2@: Flash】を受けた医師達は再び立ち上がることはなく、穏やかな様子で骸の海に還っていく。すでにオブリビオンと成り果てた身なれど、最期の瞬間には善性を取り戻せたのだろうか。
「あぁ……すまない……」
 1人の医師が仮面を外し、美希とアイドル達に謝罪の言葉を伝える。現れた素顔はメガコーポの歯車でなく、血の通った人としての表情をしていた。そのまま彼は暖かな魔力の光に包まれて、ゆっくりと消えていく――。

「今日はお姉ちゃんに内緒でお出かけしてるから、みきもお忍びおでかけ。なんだかみき、アイドルっぽいかな」
 戦いの喧騒が静かになると、美希はくるりとターンして笑顔でポーズを決める。後で姉にバレたりしないのか心配なものだが――少なくとも、彼女のアイドル性にケチを付ける者は、今の戦いを見た者にはいないだろう。
 ルクシオンのメンバーからも、事務所にいたスタッフからも、惜しみのない拍手が姫君に贈られるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『エレクトリックライブ!』

POW   :    炎燃え盛る仮想空間で、ハードなロックで対バン勝負!

SPD   :    宇宙空間を背景に、近未来的なダンスミュージックを披露

WIZ   :    揺蕩う水と光の波に揺られながら、アンビエントな癒しの歌声を

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「誰かは知らないけど、ありがとう。危ない所を助けてくれて」
「メガコーポの兵隊に勝っちゃうなんて、すっごく強いんだね!」

 神農製薬が送り込んだ超能力者狩り部隊を退け、アイドルユニット『ルクシオン』の危機を救った猟兵達。
 4人の少女は彼らに口々にお礼を言い、笑顔で感謝の気持ちを伝える。まさかライブの最中にこんなトラブルが起きる事も、そのピンチに駆けつけてくれる人がいることも、彼女らはまったく想像していなかったろう。

「……あっ、いけない。まだライブがある!」
「早くステージに戻らないと!」

 ところが少女達は、たった今生命を狙われたばかりだと言うのに、もうライブの準備に戻ろうとしている。
 武装医師団を倒したとはいえメガコーポの戦力がこれで尽きた訳ではない。根本的な危機はまだ何も終わっていないと、彼女らも理解しているはずだろうに。

「こんな事してる場合じゃないって分かってる。でも、私たちにはこれが一番大事なことなの」
「まだ会場に残って、あたしたちを待ってくれてる人がいるかもしれない」
「なら、たとえファンが1人だけでも歌わなきゃね」
「わたしたちはまだ『ルクシオン』なんだから」

 少女達を衝き動かすのは、アイドルとしての信念と矜持。そして、これが最後かもしれないという覚悟。
 メガコーポに目を付けられた以上、この事務所も引き払い、別天地に居を移す必要がある。サイバースペース上で行ってきたアイドル活動も、今後は困難になるだろう。今を逃せば、彼女らはもう二度と『ルクシオン』として表舞台には立てないかもしれないのだ。

「初対面でこんなことを頼める立場でもないけど……お願い、手伝ってくれない?」
「これがあたし達の最後のライブになるなら、せめて最高のライブを届けたいの!」
「このセカイで必死に生きてる人達に、少しでも喜びと希望を伝えるために……!」
「最後の最後まで、アイドルとしてやりきりたいんだ!」

 真剣な表情で訴える『ルクシオン』のメンバー達。彼女らの想いにどう応えるかは猟兵達次第だ。
 裏方としてライブを支えるのも、ゲストとして舞台に立つのも、観客の1人として盛り上げるのもいい。
 ファンに最高の思い出を贈りたい。その願いに、共感できるものがあれば。

 ――サイバースペース、再接続完了。
 4人の少女は再び電子の衣を纏い、自分達の戦場に。きらびやかなステージに舞い戻っていく。
紅月・美亜
 ステージ上で歌って踊るのなんて完全に別な奴の担当分野だ。だがまあ、裏方としての私は優秀だぞ。
 さて、ARを使った派手な舞台演出……なんてのはこの世界ではありきたりか。
「そうだな、こんなのはどうだ?」
 四人の少女に向けて、銀の銃を構える。
「安心しろ。これは撃ち抜いた相手には一切のダメージを与えない。ただ、君達の内に秘めた願望を叶えるだけだ」
 心に向けて|銃爪《トリガー》を引く。
「これは君達のステージなんだ。盛り上げるなら、君達自身に他なるまい?」

「なんだ、報酬か? さっき始末した連中のドロップ品でも持っていけ……足りない? 分かった、後で口座に適当に振り込んでおく」



「ステージ上で歌って踊るのなんて完全に別な奴の担当分野だ。だがまあ、裏方としての私は優秀だぞ」
 肉体労働にはまるで興味もないが、ことネットワークでの頭脳労働なら美亜は自信ありげにそう語る。彼女の人となりや能力を知る者で、その評に異を唱える者はいないだろう。サイバースペースでのライブの裏方など、まさにうってつけではないか。
「さて、ARを使った派手な舞台演出……なんてのはこの世界ではありきたりか」
 どうせなら他の者にはできないサポートで、舞台に上がる『ルクシオン』のメンバーを輝かせたい。そう考えた彼女はとんとんとこめかみを指で叩きながら暫し思案し――そして良い事を思いついた様子で表情を緩める。

「そうだな、こんなのはどうだ?」
 そう言って美亜は四人の少女に向けて「光リ輝ク銀ノ銃」を構える。命の危機を救ってくれた恩人とはいえ、突然銃口を向けられれば流石にぎょっとするようで、少女達がビクリと表情と身体を強張らせるのが分かった。
「あ、あの、なにを……?」
「安心しろ。これは撃ち抜いた相手には一切のダメージを与えない。ただ、君達の内に秘めた願望を叶えるだけだ」
 少女の1人が不安そうに問いかけると、美亜は穏やかな調子で答える。そう、この銃は誰かに直接危害をもたらすための武器ではない。心に秘められた人の願望を引き出し、それを叶えるためのチカラを具現化する、一種のトリガーとなるアイテムだ。

「解き放て、秘めた思いを……お前のシキガミの力を!」
 【Operation;SHIKIGAMI】発動。美亜は少女達の心に向けて|銃爪《トリガー》を引く。放たれた弾丸は吸い込まれるように4人の胸を撃ち抜き――4人とも異なる能力と姿を持った「シキガミ」を発現させる。本人の心象を反映させたような、華麗で力強いビジョンを。
「これって……ホログラムじゃ、ない?」
「超能力とも、ちょっと違う……」
 CG技術の産物や、薬物で引き出されたサイコブレイカーの能力とも異なるそれに、少女達は戸惑っている様子だったが、不思議とそれが何のためにあって、どう使えばいいのかは理解できた。このシキガミは彼女らの願いを叶えるために現れた、彼女らの心の一部でもあるのだから当然だ。

「これは君達のステージなんだ。盛り上げるなら、君達自身に他なるまい?」
「……うん。ありがとう、お姉さん!」「じゃあ、行ってくるね!」
 美亜からの激励と無二のサポートを受け取った『ルクシオン』のメンバーは、もう一度心から感謝を伝える。
 そして自分達のシキガミと共に、サイバースペースのステージにダイブ。ライブ中断から時間が経過しても、会場にはまだ相当数のファンが残っており、彼女達の帰りを待っていた。
「みんな、お待たせー!」
「ごめんね、ちょっとトラブルがあって」
「でも、ここからはもう絶対に退屈させないから!」
「あたし達の全力、魅せてあげるっ!」
 途端に湧き上がる喝采に包まれて、4人の少女は歌い、踊る。シキガミの作用によるものか、そのパフォーマンスはいつもよりキレが増して一層輝いていた。このライブにかける想いが強ければ強いほど、シキガミの力も強くなる。リスタートの滑り出しは順調なようだと、美亜はその様子を舞台袖から満足げに見ていた。

「なんだ、報酬か? さっき始末した連中のドロップ品でも持っていけ……足りない? 分かった、後で口座に適当に振り込んでおく」
 とはいえ、どんな能力にも代償はつきもの。シキガミを命令に従わせるには強さに応じた交渉が必要である。
 今回のケースなら『ルクシオン』の4人が支払うのが自然かもしれないが――これもサポートの範疇として、美亜はひっそり対価を支払っておく。輝かしいアイドルのステージの裏は、こうした地味な下支えがあるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
ミナルアさん?!間違えて一緒にステージに行ってしまった!男の人が入っても大丈夫なのか?!

『エル君、それは問題無い』
こんにちは、マック社長

『ミナルアさんはとても強かっただろう?私がスカウトしたからな』

それで問題無いとは…?

『魔法で男性になっているが本当は女性なんだ』


ミナルア視点

む…魔法が解けたか。鎧を着たまま来てしまったが…

ルクシオンのメンバーがゲストとして紹介してもらった

私を男だと思ったファンの一部からブーイングが飛ぶ
私は女だ。勘違いするな
睨み付けたが何故か喜ばれた理解不能だ

彼女達のダンスと歌はとても素晴らしい必死に鍛錬をした証拠だ

私は剣を呼び出しバックで演舞を舞う

ふっ最高のライブになったな…



「ふう、次は……あれ、ミナルアさん?!」
 武装医師団との戦いが決着し、ライブが始まってからは裏方を手伝っていたエリュファシオン。連れてきた仲間にも手伝ってもらおうと声をかけようとして――いつの間にか、星霊ミナルアの姿が見えないのに気づく。辺りを見回せば、『ルクシオン』のメンバーにつられてステージの方に歩いていく後ろ姿が。
「間違えて一緒にステージに行ってしまった! 男の人が入っても大丈夫なのか?!」
「エル君、それは問題無い」
 アイドルのライブに見知らぬ男が乱入なんて、普通なら大騒ぎになる。どうしようと慌てるエリュファシオンだったが、そこに現れた1人の男性が彼女をなだめる。彼は異世界の都市国家で商社を営む【社長・マック・カルジェル】。エリュファシオンに呼ばれて手を貸しに来たようだ。

「こんにちは、マック社長」
「ミナルアさんはとても強かっただろう? 私がスカウトしたからな」
 どうやら医師団との戦闘中にミナルアが突如現れたのは、このマックが手を回していたお陰らしい。実際その強さは戦力として申し分のないものだったと、エリュファシオンは改めてお礼を言う。もっとも、今はその星霊のうっかりでトラブルが起こりそうなのだが。
「それで問題無いとは……?」
「魔法で男性になっているが本当は女性なんだ」
 不安の種を払拭すべく、マックは星霊の秘密を明かす。無骨な鎧姿もあって誰も戦闘中は気付かなかったが、彼もとい彼女の性別は女性。それなら誤魔化しのきく範疇だろうと、二人は舞台袖からライブの様子を見守る。

「む……魔法が解けたか。鎧を着たまま来てしまったが……」
 一方こちらはステージ上のミナルア。既に女性の姿に戻った彼女は『ルクシオン』のメンバーと一緒にライトと観客の視線に晒される。予定では聞かされていなかった突然のゲスト、それも遠目には男性のようにも見えることもあって、一部のファンからは「誰だよアイツ?」とブーイングが飛ぶが――。
「私は女だ。勘違いするな」
 毅然とした表情できっと睨み付けると相手は黙り、かわりにきゃあと黄色い歓声が上がる。どうやらその態度と男装の麗人めいた格好が、また別の層のファンに受けたらしい。理解不能だと眉をひそめるミナルアだが、悪い意味で騒ぎになるのを避けられたのは幸いだろう。

「今日は特別ゲストを紹介するよ!」
「彼女はまだメジャーじゃないけど、ダンスのパフォーマンスは凄いんだよ! よーく見ててね!」
 少女達がフォローを入れれば観客の混乱はすぐに収まり、次の楽曲のBGMが流れ始める。ストリートの雰囲気にあったポップで明るい局長に合わせて、軽快に歌い踊る『ルクシオン』。4人の魅力がひとつとなった彼女らのパフォーマンスは、観客だけでなく星霊さえも唸らせるものだった。
(彼女達のダンスと歌はとても素晴らしい。必死に鍛錬をした証拠だ)
 自分がここで半端な芸を披露して、ライブに泥を塗るわけにはいかない。ミナルアは虚空より剣を呼び出し、少女達のバックで演舞を舞う。戦のために研ぎ澄まされた剣の業も、極まれば人を魅せる美技となる。所見となる振り付けやリズムにもピタリと対応してみせ、メインの踊りを見事に引き立てていた。

「へぇ、すごいじゃん」「いいぞー!」
 シークレットゲストの登場に首を傾げていた観客も、実際にミナルアの剣舞を見ればすぐに称賛を送るようになる。もちろん『ルクシオン』のメンバーに贈られる喝采はより大きくなり、まるでサイバースペースが震えているような大盛り上がりだ。
「ふっ最高のライブになったな……」
 一楽曲ぶんを踊りきり、舞台から笑顔で退場しながら、ミナルアはパフォーマンスの出来に手応えを感じる。
 これならきっと観客も、そして『ルクシオン』の少女達も満足できるものになっただろう。ライブの熱はまだまだ冷める気配もなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
UC発動
朱雀!ライブの証明準備終わったよ!

『こちらも音響などの設備も点検完了だ…』
朱雀もライブの準備が出来たみたい


ライブが始まったら音楽を私が鳴らす
どの音が鳴るのかは朱雀と一緒にチェックしているから大丈夫

『よし…ここでライトアップだ』
タイミングよくルクシオンのメンバー達をライトで照らした

…あの娘達の最後のライブだからね

『必ず成功させるぞ』

うん…でも許せないよ。神農製薬の奴らのせいであの娘達はもう自由にアイドルとして活動出来ないんだ…

『月華…裏方でも笑え少なくとも今はな』

…ごめんね朱雀
私はにっと笑い

よ〜し!もっとライブを盛り上げるぞ〜!

『おう、だが最後まで気を抜くなよ?』

私達は裏方の作業を続けた



「朱雀! ライブの証明準備終わったよ!」
『こちらも音響などの設備も点検完了だ……』
 アイドル達のライブを支えるために、舞台裏を奔走するのは月華と朱雀。武装医師団との戦いで損傷した設備を復旧させ、サイバースペースでは他のスタッフと一緒に必要なものを運んだり本番前の最終チェックを行う。やらねばならぬ事は無数にあり、まさに猫の手も借りたい状況だった。
「みんなありがとー!」「次は、みんな大好きなあのナンバー!」「まばたき厳禁!」「目に焼き付けて!」
 ステージの方では4人の少女が1曲を歌い終え、次の曲に移ろうとしている。彼女らのMCが終わるタイミングに合わせて、月華が音楽を鳴らし始める。準備期間は十分ではないが、どの音が鳴るのかは朱雀と一緒にチェックしているから大丈夫だ。

『♪~』
「待ってました!」「キャ~! サイコ~!」
 身体を熱くする激しいロックサウンドに乗って、キレのいいダンスと力強い歌唱を披露する『ルクシオン』。
 これまでの熱気にニトロをぶちまけるようなパフォーマンスで、観客のボルテージも急上昇。割れんばかりの歓声が、舞台裏にまではっきりと聞こえてくる。
『よし……ここでライトアップだ』
 朱雀がタイミングよく少女達をライトで照らし、その魅力をより劇的に演出する。その他にもモニターに映すカメラを切り替えたりスモークを炊いたりと、楽曲中も裏方に休みはない。責任も重い大変な役目だが、月華達は不慣れながらもこの作業に充実感を抱いていた。

「……あの娘達の最後のライブだからね」
 観客席から手を振っているファン達はまだ知らない、残酷な事実を月華は知っている。メガコーポに目をつけられ、正体がバレてしまった『ルクシオン』の少女達は、このライブが終われば別天地に移る事になるだろう。だからこそ彼女達は今この瞬間に全力をかけて、皆に希望と笑顔を届けようとしている。
『必ず成功させるぞ』
「うん……でも許せないよ。神農製薬の奴らのせいであの娘達はもう自由にアイドルとして活動出来ないんだ……」
 朱雀も月華も、彼女達の想いを叶えさせたいのは同じだ。しかし、叶うならば彼女達にはこれからもアイドルでいてほしかった。ストリートの人々の希望の星として、これからもステージで輝いていてほしかった。それを台無しにしたメガコーポへの怒りと悔しさが、胸の奥からこみ上げてくる。

『月華……裏方でも笑え少なくとも今はな』
 肩を落としている月華の背中をぽんと叩き、朱雀が励ましの言葉をかける。一番辛くて悔しい想いをしているのは、当の『ルクシオン』のメンバー達だ。だが彼女達はその気持ちを押し殺して、ステージ上で最高の笑顔を見せている。だったら、自分達が落ち込んでいる訳にはいかないだろう。
「……ごめんね朱雀」
 月華はステージから聞こえてくる歓声と、少女達の歌声に耳を傾ける。それはモラルなき世界に懸命に抗う、弱き者たちの魂の叫び。辛くてもくじけてはいけないと励まされているような気がして、彼女はにっと笑った。

「よ~し! もっとライブを盛り上げるぞ~!」
『おう、だが最後まで気を抜くなよ?』
 元気を取り戻した月華は朱雀と一緒に裏方の作業を続ける。このライブが最後なら、本当の最後の最後まで、最高の思い出にするために。光り輝くアイドル達のステージは、まだまだ天井知らずに盛り上がっていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
ああ、任せてくれ
我は裏方としてルクシオンの『第一部最終幕』のライブを盛り上げよう

裏方として仕事を進める中、我はエンディングを視たりUCで悪運を身に着けて『新天地でルクシオンが復活できる』様に情報操作等の下準備を整えていく

我は認めぬ
企業の欲望で歌姫達の夢と奇跡が踏みにじられる等
だからこそ、ここで終わらせるのでなく……
より洗練された舞台……新天地にて『第二幕』を再開できる様取り計らうぞ

さて、これでルクシオンの悪評がファンに広まる終焉を破壊した
後は、サイバースペースに赴くだけだな

そう言って最後は観客としてルクシオンのライブを見学するぞ



「ああ、任せてくれ。我は裏方としてルクシオンの『第一部最終幕』のライブを盛り上げよう」
 少女達の頼みを引き受けた時のブリュンヒルデの言葉には、これを「最後」にはしないという決意が暗に込められていた。しばらくはメガコーポの追撃から身を潜めなければいけなくても、いつかまた復活の「第二部」を始められるよう、自分達も尽力すると。
「だからこれは永遠の引退ではない、しばしのお別れだ」
「……ありがとう」
 その言葉に『ルクシオン』の少女達は涙ぐむが、すぐに目元をぬぐって笑顔を見せる。アイドルのステージに涙は不要、今はこのライブを最高の笑顔で満たすために。胸を張って舞台に上がる少女達の背中を、蒼翼の騎士も笑顔で見送った。

(我は認めぬ。企業の欲望で歌姫達の夢と奇跡が踏みにじられる等)
 ブリュンヒルデは裏方として仕事を進める中、"エンディング"を視たり【蒼翼の終焉破壊・運命神の致命傷たる一撃】を応用して悪運を身に付けたりと、エンドブレイカーの力を発揮して別の作業も並行して行っていた。(だからこそ、ここで終わらせるのでなく……より洗練された舞台……新天地にて『第二幕』を再開できる様取り計らうぞ)
 運命の操作はうまく活かせば、情報操作の下準備にも使える。以前は高度な科学文明とはあまり縁のなかったブリュンヒルデだが、良いエンディングと悪いエンディングを見定め、未来を良い方向に傾ける方法は心得ている。終焉を終焉させる者としての信念は、『ルクシオン』に訪れる理不尽な終焉を決して許せなかったのだ。

『ルクシオン、ライブ中に突然のログアウト! 一体何が?!』
 サイバーザナドゥのネットワーク上では、既に先程の中断騒動がニュースになっていた。純粋な好奇心から理由を知りたがる者、悪意をもって邪推する者、単に面白がって荒らす者まで、様々な意見が飛び交い混沌とした様相を呈している。ライブ後に『ルクシオン』が表舞台から姿を消せば、この状況はさらに加熱するだろう。
(それでは活動再開に支障をきたす事もあり得るな)
 邪推や悪評によって『ルクシオン』の人気が下がってしまう|不幸な未来《エンディング》を、ブリュンヒルデは破壊した。彼女達を愛する純粋なファンが、傷ついたり悲しい想いをすることがないように。彼女達が戻ってきたとき、心から喜んで「おかえり」と言ってもらえる環境が残っているように。

「さて、これでルクシオンの悪評がファンに広まる終焉を破壊した」
 ネットワーク・コミュニティの雰囲気が変わりだしたのを確認すると、ブリュンヒルデは携帯端末を閉じる。
 第二幕のお膳立てはこんな所で十分だろう。本人達の実力がしかと発揮できさえすれば、新天地でも『ルクシオン』は脚光を浴びるはずだ。
「後は、サイバースペースに赴くだけだな」
 活動再開の最大の障害となるのは神農製薬、そのデータベース上に保管された『ルクシオン』メンバーの個人記録を焼却するのが、今回猟兵に伝えられた最後の使命だ。意気込みのこもった呟きを口にしつつ、騎士は舞台裏から観客席のほうに向かう。

(出立前に、我も英気を養っていこうか)
 観客として見学する『ルクシオン』のライブは、地上に降りた星々のように光り輝いていた。舞台に立つ少女達の歌とパフォーマンスは美しく、過酷な現実を生きる人々に送る希望に満ちており、ファンに笑顔を与える。
 この素晴らしき希望が、失われることなく未来に繋がれるように、エンドブレイカーとしても猟兵としても、最善を尽くすことをブリュンヒルデは改めて誓うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
『ルクシオン』のメンバーはこの状況でライブを優先するのね。……素敵だわ。
彼女たちは状況を……この先の困難を分かった上で、集ったファンの為にライブを行う。
私には、それがとても眩しく思える。
だから、私は観客としてライブに行くわ。
彼女たちの全力のパフォーマンスを受け止めたいと思うから。

ライブの前に『ルクシオン』の情報収集。
『ルクシオン』のファンの方たちとライブ会場で交流するかもしれないので、ディープな話題にはついていけなくとも代表曲くらいは把握しておかないとね。

『ルクシオン』の歌と踊りに心が昂る。
観客として特別な事はしない。
他の観客と同じように『ルクシオン』のライブに酔いしれる。



「『ルクシオン』のメンバーはこの状況でライブを優先するのね。……素敵だわ」
 あくまでもアイドルとしてあり続けようとする少女達の選択に、ヴィルジニアが口にしたのは感嘆の言葉だ。
 身の安全を第一に考えるなら、こんな事をしている場合ではない。いつメガコーポから新たな追手が送られてくるか分からない状況で、怖くはないのだろうか。否、怖くないはずがないだろう。
「彼女たちは状況を……この先の困難を分かった上で、集ったファンの為にライブを行う」
 ヴィルジニアには、それがとても眩しく思える。たとえ次回がなかったとしても、最後まで誰かに笑顔と希望を届けたい。華やかなルックスやサイコブレイカーの力ではない、少女達の心の輝きに彼女は心惹かれていた。

「貴女たちの全力のパフォーマンスを受け止めたいと思うから」
 そう言って、ヴィルジニアは観客としてライブに行くことにした。もちろん『ルクシオン』のメンバーに断る理由はない。自分達のライブが見たいという人がいるなら、誰であれ最高のパフォーマンスを披露するのが彼女達の信念だ。
「わかったよ。楽しんでいってね!」「サイコーのライブ、見せちゃうから!」
 少女達の笑顔に見送られながら、サイバースペース上のコンサートホールへ。中断からそれなりに時間が経っていたものの、観客席にはまだ多くの人が残っており、再開準備中のアナウンスが流れてからは戻ってくる人も増えているようだ。

「あなたも『ルクシオン』のファンなの?」
「ええ」
 適当な空いているスペースに入ると、隣にいた観客に声をかけられた。まだ十代半ばくらいの年若い少女だ。
 ちらりと見た限りでも『ルクシオン』のファンは幅広い世代がいるらしく、老若男女問わず多くの人がいる。ライブが始まるまでの間、ヴィルジニアは少し交流してみることにした。
「好きな曲とかある? あたしは『Show Must Go On!』が大好き!」
「私は『Light Up Shadow』が好きよ」
 ここに来る前に『ルクシオン』については情報収集しておいた。これまでの主だった活動経歴や、ネット上で配信された楽曲などには一通り目と耳を通してある。こうした交流の役に立つだろうとも思ったし、ライブ前にある程度知識のあったほうが楽しめることもあるだろう。

(ディープな話題にはついていけなくとも代表曲くらいは把握しておかないとね)
 下調べの甲斐あってファンとの交流は弾み、ヴィルジニアが知らなかった情報についても聞くことができた。
 熱心なファンは「いいよねその曲! 配信版もいいけどライブVerがさぁ」と、聞いてもない豆知識をどんどん語りたがるので、普通に耳を傾けているだけでどんどん物知りになれる。
「あっ、始まるみたいだよ!」
 気付けば会場の照明は落ち、ステージが眩いライトで照らされる。電脳空間ならではの派手な演出に包まれ、登場するのは4人の少女だ。彼女達が舞台に上がった瞬間、辺りの熱気がぶわっと増したのを、ヴィルジニアは肌で感じた。

「みんな、お待たせ!」「ライブ、再開するよ!」
 少女達の挨拶で観客がわっと歓喜に沸く。流れだすBGMは軽快なポップソング。ついに始まった『ルクシオン』のライブを、ヴィルジニアはじっと見つめていた。特別な事はなにもしない、猟兵であれゴーストであれ、今ここにいる自分は一人の観客だ。
(……素敵)
 リアルの戦場で会った時よりも4人はずっと輝いて見えた。それはステージの演出によるものだけではない。
 ここがアイドルの「戦場」であり、身に付けた実力と才覚をもっとも発揮できる場所。ホール全体を存在感で呑み込むような『ルクシオン』の歌と踊りに、心が昂る。

(こんなのを見せられたら、他のことなんてどうでもいいわね)
 まだ残っている問題も、これから先の困難も、今だけは忘れて。ただ楽しむことだけに心を持っていかれる。
 四色のペンライトを胸の前で小さく振って。他の観客と同じように、ヴィルジニアは『ルクシオン』のライブに酔いしれるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アスカ・ユークレース
アドリブ絡み歓迎

骨の髄までアイドルなのね。良いわ、やりましょうライブ。人気アイドルの活動休止に相応しい、最高にイカしたライブを
ふふ、引退じゃなくて活動休止よ。メガコーポの驚異が無くなったらまたライブやって欲しいもの、ファンの人達も本当に望んでいるのはそれなんじゃない?出来るのか?やって見せますよ、私達は『猟兵』ですから


観客として参加
ファンサうちわやペンラを持参し振って応援
コー&レスには積極的に応じる
キャー!!こっち向いて-!

折角だし本気で楽しまなきゃね?



「骨の髄までアイドルなのね。良いわ、やりましょうライブ。人気アイドルの活動休止に相応しい、最高にイカしたライブを」
 命の危機に晒されてもブレない『ルクシオン』の信条を、アスカは尊重することにした。同時にやるからには絶対に素晴らしいライブにしようという心意気が感じられる彼女の言葉には、メンバーも心から感謝を伝える。
「ありがとうございます……休止?」
「ふふ、引退じゃなくて活動休止よ。メガコーポの驚異が無くなったらまたライブやって欲しいもの、ファンの人達も本当に望んでいるのはそれなんじゃない?」
 超能力者狩りを主導するメガコーポさえなくなれば、少女達は大手を振ってアイドル活動を再開できる。サイバースペースだけでなく、リアルの会場でのライブ開催もできるかもしれない。今日を本当の意味で「最後」のライブにさせるつもりなんて、アスカには微塵もなかった。

「本当に、そんなことが……」
「出来るのか? やって見せますよ、私達は『猟兵』ですから」
 敵はこの世界を実質的に支配している巨大組織だ。その一角を崩すだけでも簡単ではない。それでもアスカが自信をもって言えるのは、無知ゆえの過信ではなく、これまでに何度も世界を救ってきた「猟兵」としての自負があるからこそだ。どんな脅威があろうと未来に絶対はないことを、彼女は知っている。
「……本気なんですね」
「ええ、もちろん」
「分かりました。じゃあ、私たちもあなたたちを信じて、歌います!」
 アスカの宣言は『ルクシオン』のメンバーの心にも火を灯したようで、瞳の輝きがはっきりと分かる。未来に希望を抱きながら、今この瞬間の自分にできる全力を出し切る。それがきっと「何か」を変えられると信じて、4人の少女はステージに上がっていった。

「ルクシオン、頑張ってー!」
 いよいよライブが始まれば、アスカは観客として参加しエールを送る。いつの間にかファンサ用のうちわやペンライトまで持参して、全力の応援態勢だ。ライブとはアイドルの力だけではなく、裏方のスタッフや観客も含めた、全ての人の力によって成り立つのだ。
「ごめんね、ちょっとトラブっちゃって!」
「でももう大丈夫! お騒がせしました!」
「ここからはノンストップでいくから」
「目を離さないで、付いてきてよね!」
 華やかなステージ衣装に身を包んだ少女達が声をかけると、観客席からわっと歓声が返ってくる。アスカもその1人として声を張り上げ、うちわとペンライトを振り回した。中断により一度は落ち着いたかに思われた熱気は、一瞬でまた沸騰寸前まで高まっていく。

「キャー!! こっち向いて-!」
 ステージの上で軽やかに歌って踊るアイドル達を、黄色い声で応援するアスカは、もはや1人のファン以外の何者でもなかった。コール&レスポンスにも積極的に応じ、他のファン達と一緒にライブを盛り上げる。そんな彼女達の声援に、『ルクシオン』も全力のファンサで応えた。
「みんな、だ~いすきっ♪」「今日だけは特別に言うよ。愛してるっ!」
 観客みんなと目を合わせるようにしながら、常に笑顔を絶やさず、ふとした瞬間にウィンクや投げキッスを。
 ここにいる全員に心から楽しんでもらえるように、彼女らは全力を尽くしていた。その気持ちが伝わってくるからこそ、ファンも全力で楽しむのだ。

(折角だし本気で楽しまなきゃね?)
 このライブはアスカにとっても、思い出に残るひと時になっただろう。だからこそ、これで引退なんてさせられないという気持ちも強くなる。『ルクシオン』のメンバーから受け取った熱と、悪しきメガコーポへの怒り、その2つの熱が彼女の中では同時に燃え盛っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
アイドル……彼女たちが羨望を浴びるのは、ただ見目が良いというだけではない
この情熱こそが人々を熱狂させ、惹き付けるのでしょう
ならば、望んだ旅立ちではないとしても、このライブの成功を以って門出の祝いとしましょう

バックダンサーの一人としてライブを盛り上げる
【ダンス】の内容はログインするまでに覚える(学習力・集中力)
【情熱の艶舞】で観客たちの情熱的な感情を呼び起こす
【存在感】はほどほどに、あくまでルクシオンのメンバーの引き立て役として

この思い出が、新天地で活動する活力とならんことを【祈って】



(アイドル……彼女たちが羨望を浴びるのは、ただ見目が良いというだけではない。この情熱こそが人々を熱狂させ、惹き付けるのでしょう)
 アイドルがアイドルたる由縁を、オリヴィアは『ルクシオン』メンバーの心意気から感じていた。ルックスや歌唱力やダンスといった諸要素は、あくまで"想い"を伝える手段に過ぎない。その中にある心こそが、時に多くの人を動かすことを彼女は知っていた。
「ならば、望んだ旅立ちではないとしても、このライブの成功を以って門出の祝いとしましょう」
 先行きは不安でも、せめて華々しく。彼女達が胸を張って最高のライブができたと言えるように、オリヴィアも協力は惜しまないつもりでいた。そのために自分にできることは何か考えた結果、たどり着いた結論は――。

「バックダンサーの一人として、ライブを盛り上げようかと」
「いいね、大歓迎!」「お姉さんスタイルもいいし、きっと映えますよ!」
 踊りなら多少の心得があるとオリヴィアが伝えると『ルクシオン』のメンバーは喜んで彼女にバックダンサーをお願いすることにした。だがライブが再開されるまで余り時間はなく、急いで振り付けを覚える必要がある。
「これ、レッスン中の映像と過去のライブの映像です。覚えられそうですか?」
「任せてください」
 渡されたデータを見て、今回のライブで披露する楽曲のダンスを頭の中に叩き込む。ひとたび本気になった彼女の集中力には凄まじいものがあり、難易度の高い振り付けもすぐに学習する。リズムを口ずさみながら身体を動かす、その所作が様になるまで時間はかからなかった。

「覚えました」
「早っ! すごいですね!」
 短い時間で必要な振り付けを完璧に覚えてしまったオリヴィアに、『ルクシオン』のメンバーも驚いていた。
 ともあれ開演には無事間に合った。ログインの準備が整うと、一同はそれぞれの衣装に身を包んでステージに移動する。
「みんな、お待たせー!」
 少女達が観客に挨拶をしている間は、オリヴィアは舞台袖で待機。今回の仕事はバックダンサーなのだから、主役よりも目立つ必要はない。音楽が流れ始めるのに合わせてすっと4人の後ろに立ち、無言でポーズを取る。

「それじゃあ行くよ! ブチ上げていこう!」
 軽快な楽曲に乗せて、アツく力強い歌声とダンスを披露する『ルクシオン』の4人。その後ろでオリヴィアは【情熱の艶舞】を踊り、観客達の情熱的な感情を呼び起こす。まるで乾いた野に火が放たれるように、会場全体に熱気が広がっていくのが分かった。
「キャー! アサちゃーん!」「ユエちゃんサイコー!」
 推しの名前を叫び、割れんばかりのエールを送る観客達。皆の視線は華麗に歌い踊る4人の少女に釘付けだ。
 一方のオリヴィアは存在感はほどほどに、あくまで『ルクシオン』のメンバーの引き立て役に徹しているので注目はされづらい。しかし彼女の踊りは全体のクオリティをぐっと引き上げ、パフォーマンスの完成度を高めていた。これだけ観客が一気に盛り上がったのも、ユーベルコードを含めた彼女の貢献あってのことだ。

(この思い出が、新天地で活動する活力とならんことを)
 スポットライトの熱と観客席からの熱を肌に受け、汗のしずくを宝石のように散らしながら、バックダンサーの務めに徹するオリヴィア。彼女が祈るのはひとえに『ルクシオン』のメンバーが良き旅立ちを迎えられる事。
 アイドルとして心の炎を燃やす少女達が、逆境に負けずに新たな土地でも花開くことを、心より願い続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
ライブをさせてあげないと未練から何かやらかすかもですよね…。
それに悪の為に善良な市民が涙を呑むのもムカつきますし…ここは無理を通しますか。今は警官ではないので言葉にはしませんけど。

ライブやりたいって言うならお好きにどうぞー。
私は私の仕事をするだけですのでー。じゃ、さようならー。

と言ってその場を去りつつ、自身と融合しているのとは別に見た目を調整した分身たちを召喚します。『ルクシオン』メンバーの見た目をした分身たちを。
その分身たちと一緒に移動すれば普通は私が護衛になって逃走を開始したように見えるでしょう。ライブの方があからさまな囮です。
ま、囮は私ですが。もし追手が来たら撃退しておきますよ。



(ライブをさせてあげないと未練から何かやらかすかもですよね……)
 警官として民間人の安全を優先するのであれば、ライブを中止して今すぐ避難するのが一番だとにこたまには分かっていた。問題は『ルクシオン』の少女達もそれは重々承知だということか。無理矢理避難させようとして逆にトラブルが起こっても良くない。
(それに悪の為に善良な市民が涙を呑むのもムカつきますし……ここは無理を通しますか)
 今は警官として来ているわけではないので言葉には出さないが、自分が為すべきことは変わらない。難易度が上がってもやりようが無い訳ではなし。要はライブが終わるまでメガコーポの目を誤魔化してやればいいのだ。

「ライブやりたいって言うならお好きにどうぞー」
 まだアングラ風の変装を解いてないにこたまは、そっちまで付き合う義理はないという態度で『ルクシオン』のメンバーに背を向ける。考えあっての事だが彼女達にそれを伝える必要はない。ライブ前ならそちらに集中すればいい。
「私は私の仕事をするだけですのでー。じゃ、さようならー」
「ごめんね……助けてくれて、ありがとう」
 そう言ってその場を去るにこたまを、少女達は頭を下げて見送った。呆れられたと思ったのかもしれないし、実際非合理的なことをしている自覚はあるのだろう。それでもライブを再開するという彼女達の意志は変わらなかった。サイバースペースに向かう4人や他の猟兵達を背に、にこたまはリアルで「自分の仕事」を始める。

「基本的に1人しか出しませんけどね」
 今回は特別だと、にこたまは自分と融合しているものとは別に、新たに4体の【正義の囮分身】を召喚する。自分ではなく『ルクシオン』メンバーの見た目に調整した分身をだ。今までは変装用に使っていたユーベルコードを、今度は正真正銘囮として使おうという訳だ。
(この分身たちと一緒に移動すれば普通は私が護衛になって逃走を開始したように見えるでしょう。ライブの方があからさまな囮です)
 合理的に考えればこのタイミングで追われる者がライブをする理由はないのだ。だからこそメガコーポも同様に考えるはず。ライブ会場と現実世界の両方で『ルクシオン』が目撃されれば、現実側にいる方を狙うはずだ。

「ま、囮は私ですが」
 ライブからメガコーポの目を逸らすために、にこたまは敢えて危険な役目を引き受けたのだ。もっとも本人は危険を理解していても損な役だとは思っていなさそうではある。飄々とした様子で囮分身達と共にストリートをひっそりと、かつさりげなくカメラや人の目に痕跡が残るように移動する。
(もし追手が来たら撃退しておきますよ)
 いざという時の「とっておき」である、骸の海混入の【正義ではないドーピング】も準備万端。先程と同等のレベルの敵くらいなら十分切り抜けられる目算が彼女にはあった。もし鉢合わせた時はせいぜい派手に暴れて、こっちが本命だとより印象付けてやろう――。

 ――その後、にこたまの読み通りに追手は現れたが、最初の武装医師団を超える数・練度の敵はいなかった。
 護衛は少数だと見くびり、強襲をかけた神農製薬の手先は、武装警官の手にかかり痛い目を見る羽目になる。
「とっておき、いきまーす」
「ひいっ、ぎゃぁあああっ!?」
 にこたまが呼び出した攻性バーチャル・ゴーストに追い回され、ほうほうの体で逃げ惑う追手達。彼女の作戦の甲斐あって、ライブ会場にいる本物の『ルクシオン』の方に妨害がかかることは、ライブ終了までなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
ルクシオンのメンバーさん達のライブにかける想いすごいです…!
(わたしも力になりたい!)
最高のライブになるように、わたしにも手伝わせていただけませんか?

光や星の魔法でステージを盛り上げましょうか。また、【楽器演奏】で曲も盛り上げます!
最後に、UCで流れ星を創造して流しましょう!

ルクシオンのメンバーさん達やファンの方々の願いが叶って、最高のステージになるといいな♪



「ルクシオンのメンバーさん達のライブにかける想いすごいです……!」
 自分の生命が狙われている状況でも、ファンに笑顔を届けようとする情熱と覚悟に、ルナは胸打たれていた。
 メガコーポの標的にされて恐ろしくないはずが無いのに、彼女達は気丈に振る舞ってライブ再開の準備を進めている。スタッフや関係者も含めて真剣な表情だ。
(わたしも力になりたい!)
 そう思ったルナは魔法の箒をぎゅっと握りしめて『ルクシオン』のメンバーに声をかけた。彼女達のパフォーマンスを魔法で演出すれば、サイバースペースの技術だけでは不可能な、きっと今までにないライブにできる。

「最高のライブになるように、わたしにも手伝わせていただけませんか?」
「もちろん、こちらこそ助かるよ!」「協力してくれてありがとう!」
 ルナの申し出を『ルクシオン』のメンバーは願ってもないことだと歓迎し、早速彼女の魔法を組み込んだ演出のプランを考える。リハーサルなしのぶっつけ本番になるが、不安がる者は誰もいない。ライブにトラブルは付き物だと、それを乗り越えてきたアイドルの自信か。
「それじゃあ、よろしくね!」
「はい!」
 準備が整って、いよいよステージに出ていく4人の少女をルナは舞台袖から見守る。スポットライトが灯り、音楽が流れだし、観客席から割れんばかりの歓声が上がる。この瞬間に全てを込めた『ルクシオン』のライブが始まった。

(ここで光と星の魔法を……)
 ルナは少女達の歌や踊りに合わせて魔法を使い、キラキラと輝く星屑でステージを盛り上げる。単なるCGの演出とは違い、触れることもできる魔力の星だ。それがアイドルのステップやダンスに合わせて弾ければ、わっと一際大きな歓声が上がった。
「まだまだ行くよ~!」「次の曲は『Twinkle Stars』!」
 フォーメーションを切り替え、ステージ全体を使った華麗なダンスパフォーマンスを披露しながら、美しい歌声を奏でる『ルクシオン』。ルナも「鼓舞の獣奏器」を使った演奏で楽曲をさらに盛り上げる。演者と演出家、そしてファンが一体となって、ステージの高揚感は最高潮に達しようとしていた。

『どんなに暗い夜でも 雲の向こうで きっと見守っているから♪』
 少女達が歌うのは未来への希望。どんなに過酷なセカイでも、諦めないで生きようと願いを込めた人間讃歌。
 骸の雨降るサイバーシティに生きる、心ある者達に向けた歌は、確かにファンの胸に届いていた。振りかざされる色とりどりのペンライトは、まるで地上を流れる天の川のよう。
『さあ みんなで 星に願いを♪』
 そして楽曲の最後を飾るのは、ルナが発動する【Wish Upon a Star】。ステージの上を覆う美しい夜空から、たくさんの流れ星がゆっくりと流れ落ちる。少女達を祝福するかのような幻想的な光景に、惜しみない拍手喝采が沸き起こるのだった――。

(ルクシオンのメンバーさん達やファンの方々の願いが叶って、最高のステージになるといいな♪)
 そう想いながらライブを見守るルナの目には、皆の笑顔が映っていた。舞台に立つアイドルも、観客席にいるファンも、誰もがこの瞬間を心の底から楽しんでいる。その気持ちが伝わってきて、自分も自然に笑顔になる。
 これぞまさに最高のライブと言えるだろう。心に残る思い出をそっと胸に刻みながら、魔女っ子は皆の願いが叶うように、流れ星を降らせ続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
ゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"ん"これがルクシオン最後のライブなんてやだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!(ピンクの法被にI LOVEルクシオンと背中にプリントされている)

『ねえ…慶喜何でアルマは帰ってきてからずっと泣いているの?』

『それはなヒサ、ファンやからや…1ヶ月もたってないけどな、ルクシオンの曲を毎日聴いていたからな…』

緋智と慶喜の会話を余所にラストライブが始まった

『凄い…』『やろ?ヒサ…これで終わるのはホンマに残念やな』

『嫌じゃぁぁぁルクシオォォォォォォン!』

『…爺ちゃん何でおるん?理事長やろ?』

『今日はオフなのにまさかの解散ライブ…うおぉぉぉん!』

『…元猟兵の爺ちゃんなら知っとるやろ?』
『黒幕死ね…ぐすっ』
慶喜と慶喜の爺ちゃんが会話している

今回を最高のライブにするために
ここに戻る前にUC発動しておいた

裏方でこっそり仕掛けをしてある(許可は得ている)

ライブの終盤になりルクシオンのメンバーの一人が私に向かってウインクした これが合図

すると派手な花火と綺麗な星の映像が周りに現れた

…後でサイン貰おっと



「ゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"ん"これがルクシオン最後のライブなんてやだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 サイバースペースのライブ会場にて、アルマは大号泣していた。手には応援うちわとサイリウム、背中には「I LOVEルクシオン」とプリントされたピンクの法被。ここまで全身で愛を表現しているのは、相当熱心なファンの証である。
「ねえ……慶喜何でアルマは帰ってきてからずっと泣いているの?」
「それはなヒサ、ファンやからや……1ヶ月もたってないけどな、ルクシオンの曲を毎日聴いていたからな……」
 その隣の席でひそひそと話し合うのは、彼女に引っ張られてライブに参加した「東・慶喜」と「緋智」の二人。
 推しとの出会いも、そして別れも唐突に訪れるもの。短い期間ではあるがアルマのルクシオン愛は相当のものだったらしい。彼女を含むファンたちの想いを一身に受けて、ラストライブの幕が開ける。

「みんな、お待たせー!」
 ステージに戻ってきた『ルクシオン』の4人は、空白の時を取り戻すように全力のパフォーマンスを披露する。
 キレのあるフォーメーションダンス、伸びやかで力強い歌唱力。高いスキルに自らの"想い"を乗せた少女達のライブには、見る者の心を激しく揺さぶるパワーがあった。
「凄い……」
「やろ? ヒサ……これで終わるのはホンマに残念やな」
 初見である緋智でさえ思わず息を呑み、慶喜が感心した様子で腕を組む。アルマに至ってはもう千切れんばかりに腕を振って「ゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"ん"!」と叫んでいる。流石にこれはオーバーリアクションとはいえ、他の観客も似たようなものだ。みな、彼女達の歌と踊りの虜になっている。

「嫌じゃぁぁぁルクシオォォォォォォン!」
「……爺ちゃん何でおるん? 理事長やろ?」
 その中にはいつの間にか慶喜の祖父まで紛れ込んでいた。彼いわく「今日はオフなのにまさかの解散ライブ……うおぉぉぉん!」とのことで、どうやらアルマと同じく純粋な『ルクシオン』ファンだった模様。正確にはまだ解散が決まったわけではないのだが、何処で聞いたのか耳が早い。
「……元猟兵の爺ちゃんなら知っとるやろ?」
「黒幕死ね……ぐすっ」
 彼女達の今後の活動が危ぶまれるのも、全てはメガコーポの企みのせい。営利を目的とした非道な超能力者狩りが、本人もファンも悲しませている。この世界の闇を知る者ならば、悲しみと怒りを覚えずにはいられなかった。

「ぐすっ……そろそろかな……」
 一方、泣きべそをかきながら『ルクシオン』の応援をしているアルマだが、客席に戻る前に裏方としてこっそり【錬金術士奥義『TrapMaster』】でライブに仕掛けをしていた。もちろん本人達の許可は得たうえで、作動させるタイミングは向こうに任せてある。
「みんな、もっと声上げてこー!」
 ライブも終盤に入ったところで、メンバーの一人がステージからアルマに向かってウインクした。それが合図。
 うちわに仕込んだ起動スイッチを押すと、派手な花火と綺麗な星々の映像がコンサートホールの上空に現れた。

「わぁっ!」「すげー!」
 観客から湧き上がる感動の声。花火と星の光に照らされながら舞い踊る4人の少女の姿は、まるで妖精か天使のように幻想的で美しかった。慶喜も、緋智も、もちろんアルマも夢中で拍手している。演者とファンの想いが一つになる、最高の一体感を皆が感じていた。
「……後でサイン貰おっと」
 この日はきっとアルマにとって、忘れられない思い出になるだろう。けれど、最後の思い出にさせはしない。
 光り輝く少女達から夢を奪い取ろうとする黒幕を必ずとっちめると心に決めて、ついでに思い出を形として残すことも決めて、彼女はモチベーションを高めていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラップトップ・アイヴァー
《真の姿は維持でいいや。

アイドルとしての使命を諦めない、いいことだと思うの。
中々出来ることではないよね。
だからみきも、応援するの。

みんなの歌、すごく綺麗だな…
観客として見ている分、熱量がすごく伝わって。
こんな風に美希も、昔は踊ってみたかったよね。
歌ってみたかったよね。

…埒外に肉体が溶ける前まで患っていた不治の病は、それを許してくれなかったもの。
でも見られること自体が奇跡だとみきはそう思うの……

あれ。
みき、ゲストとして呼ばれちゃった。
いいの?
みき、身体を動かすの苦手だよ?
ダンスも歌唱も、上手く出来るかわかんないよ?

…仕方ないなあ。
そこまで言うのだったら、応えないわけにはいかないの。
ここは頭の使い所、どうすればみんなを沸かせられるか。
みきの優しさも、みんなの歌に載せて届けるの!
そうしてみんなと一緒に歌えば、みんなみんなハッピーなの!

お姉ちゃんにもこっそり届けたいの。
お姉ちゃんは昔交通事故で死んじゃったけど、みきが歌を聴かせた時は喜んでくれたかな。

楽しんでくれたかな》



「アイドルとしての使命を諦めない、いいことだと思うの」
 真の姿であるお姫様の格好を維持したまま、美希は『ルクシオン』のメンバーにそう言った。自分達の命が危険に晒されていると分かっても、ファンの皆に笑顔を届けることを優先するのは尊い志であり、相当な覚悟あっての決断だろう。
「中々出来ることではないよね。だからみきも、応援するの」
「ありがとう」「貴女にも楽しんでもらえるよう、最高のライブにするね!」
 肯定の言葉を受けた4人の少女達は、笑顔で手を振りながらステージに飛び出していく。会場を揺るがすような歓声が彼女達を出迎え、止まっていた音楽の時間が動きだす。美希はその様子を観客の1人として見守っていた。

「みんなの歌、すごく綺麗だな……観客として見ている分、熱量がすごく伝わって」
 初めて見る『ルクシオン』の歌や踊りはただ上手いだけではなく、そこに込められた情熱や想いを浴びせられるようだった。聞いているこちらまで胸が熱くなるような全身全霊のパフォーマンス。|仮想空間《サイバースペース》の出来事であっても、この感動はホンモノだ。
(こんな風に美希も、昔は踊ってみたかったよね。歌ってみたかったよね)
 今はこうして二人でひとつの猟兵として元気に活動できているが、こうなる前の美希の半生は手放しに幸福とは言いがたかった。やりたくてもやれなかったことや、叶わなかった願いもあった。彼女はそれを嘆きはしないが、視線は眩しそうにステージをじっと見つめていた。

(……埒外に肉体が溶ける前まで患っていた不治の病は、それを許してくれなかったもの。でも見られること自体が奇跡だとみきはそう思うの……)
「みんな、今日は来てくれてありがとう! ここで私たちからサプラーイズ!」
 自分には手の届かなかった舞台をしみじみと見守る美希。そこに一人の少女がステージ上から手を差し伸べる。
 気のせいではない。他のファンやスタッフの誰でもなく、はっきりと美希に対して『ルクシオン』のメンバーは手を伸ばしていた。
「今日はなんと特別ゲストをお呼びしてま~す!」
「まだデビュー前の子だけど、どうしても一緒に演りたかったから、呼んじゃった♪」
 話に聞かされていなかったお誘いに、美希は「あれ?」と戸惑う。先程の戦いぶりからアイドル性を見出されたゆえの提案か。それにしてもこのタイミングでのシークレットゲストは、他のファンからも戸惑いがあるだろう。

「いいの? みき、身体を動かすの苦手だよ? ダンスも歌唱も、上手く出来るかわかんないよ?」
「大丈夫! さっきの見てたら分かったよ」
「あなたはアイドルに一番必要なスキルを持ってる」
 不安そうに問いかける美希に『ルクシオン』のメンバーはきっぱりと答える。ライブを成功させるためには歌やダンスの技術も大事だが、それ以上に重要なものがあると。それは最も基本的なことで、同時に最も難しいこと。
「あなたには"想いを伝えるチカラ"がある! だから、私たちはあなたと歌いたいんだ!」
 邪悪なメガコーポの社員すらも改心させてしまうような、自分の心を相手に響かせる力。それがあればもっと多くの人に希望をもたらすことだってできる。だから『ルクシオン』は彼女に誘いをかけたのだ。最後になるかもしれないこのライブを、最高のものにするために。

「……仕方ないなあ。そこまで言うのだったら、応えないわけにはいかないの」
 少女達の熱いお誘いを受け取った美希は、肩をすくめつつも足取りは軽く、キラキラと輝くステージに上がる。
 ここは頭の使い所、どうすればみんなを沸かせられるか。スポットライトに照らされながら、観客席にいる人々の顔を見渡して、マイクを握りしめる。
「みきの優しさも、みんなの歌に載せて届けるの!」
「よーし、いっくよー!! 『Sunshine Revolution』!」
 【R2@: Precious】を発動した美希と、『ルクシオン』メンバーの歌声がひとつになる。優しい心から生まれる埒外の魔力が会場を――サイバースペースそのものを震わせる。それは溢れる感情の波で全てを呑み込み、ファンの不安や懸念も一瞬で押し流してしまった。

「みんなと一緒に歌えば、みんなみんなハッピーなの!」
 本心からの優しさと、歌う楽しさ、喜びをそのまま歌にこめて奏でる美希。純粋なスキルでは『ルクシオン』のメンバーよりも拙いかもしれない。だが彼女達も言っていたように一番大事なのは巧拙ではなく、どれだけ相手に"伝わる"かだと、眼の前の光景が証明してくれていた。
「うおおおおおーーーっ!!」「すごい! すっっごい!」
 感動に打ち震え、ある者は涙を零し、ある者は一緒に歌いだす。ファンの振るうペンライトの光は、まるで天の川の流れのようだった。自分が想いをこめて歌ったぶんだけ、みんなも想いを返してくくる。心地よい胸の熱さを感じて、美希と『ルクシオン』の歌声にますます力が籠もった。

(お姉ちゃんにもこっそり届けたいの)
 会場にいるみんなだけでなく、美希は大切な家族のことも想いながら歌う。どれだけ言葉にしても足りないくらいの愛情や感謝を、メロディいっぱいに詰め込んで。自分が埒外の存在になる前のことを、ふと思い出しながら。
(お姉ちゃんは昔交通事故で死んじゃったけど、みきが歌を聴かせた時は喜んでくれたかな。楽しんでくれたかな)
 返事はなかったが、不思議と今の美希には答えが分かるような気がした。曲が終わり、拍手喝采が沸き起こる。
 煌びやかなステージはあっという間に過ぎ去り。けれど"彼女"の心にはきっと、この時の輝きが残っただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『マッド・スマイリー』

POW   :    赤の薬品【自己強化型】
自身の【体に赤い薬品を注射することで戦闘特化状態】になり、【時間経過と共に理性を失い脚力が強化される】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    青の薬品【依存誘発型】
自身の【作った青い薬品を成果に応じて与えること】を代償に、1〜12体の【薬品に依存し機械化義体に改造された人間】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    緑の薬品【継続散布型】
戦場全体に【緑の薬品を気化させた霧】を発生させる。レベル分後まで、敵は【薬品の過剰摂取による身体機能へ】の攻撃を、味方は【慣れた薬品の接種による多幸感を伴う心身】の回復を受け続ける。

イラスト:果島ライチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は沖津・星子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アイドルユニット『ルクシオン』のライブは、大盛況のまま幕を閉じた。
 鳴り止まないファンの拍手と喝采に見送られながら、4人の少女はステージを降りる。胸いっぱいの達成感と、一抹の寂しさを感じながら。

「最高のライブだった!」
「これでもう、思い残したことはない……かな」

 これから彼女達はメガコーポの追跡を逃れるため、活動を休止して別天地に移らなければならない。
 いつアイドルとして復帰できるかの目処も立たない状況だ。仕方がないとはいえ悔しさは残るだろう。
 それでも――無事に生きてさえいれば、再びステージに立てるチャンスはあるはずだ。

「皆さん、今日は助けてくれて本当にありがとうございました」
「いつかきっとお礼するから。今日よりもスゴいライブでね!」

 命の恩人でありワガママにも付き合ってくれた猟兵達に改めてお礼を言ってから、少女達は街を去った。
 彼女達が新天地で無事に生きていけるかは、本人次第だ。だが、猟兵達にはまだやるべき事が残っている。
 超能力者狩りの元凶――神農製薬による追撃の芽を完全に断つことだ。

 再びサイバースペースに接続した一同は、神農製薬に属する研究セクションに潜入する。
 ここに保管されている『ルクシオン』メンバーの個人情報を|焼却《バーンナウト》すれば、二度と追手はかからない。だが、そのためにはデータベースを守護する強力なオブリビオンを撃破する必要があった。

「おや、侵入者……? なるほど、我が社が派遣した医師団を倒したのはあなた達ね」

 データベースの前で待ち構えていたのは、白衣を着た研究者か医師風の女性だった。
 彼女はとある狂科学者の脳波を基に誕生した電子精霊『マッド・スマイリー』。高度な製薬技術を買われて神農製薬の研究員となり、超能力者狩りを主導する「サイコブレイカー・オブリビオン」だ。

「検体確保に失敗したのは痛手だけど、ユーベルコード保持者がこれだけ釣れたのは怪我の功名ね。あなた達の脳を解析すれば、超能力研究にも応用できそうだわ」

 データの破壊を目論む猟兵達のことも、マッド・スマイリーは研究対象としか見ていない。
 今に始まった話ではないが、人道やモラルなどと言うものをメガコーポが重視していないのは明らかだ。
 こうなれば話はただデータを消せば良いというだけの話ではない。ここで奴を止めなければ『ルクシオン』だけでなく多くのサイコブレイカーが犠牲になるだろう。

 予知によれば彼女は製薬系能力に加えて【ライトニング・カリギュラ】に類似した超能力も使用するとのこと。
 触れた対象を自在に操作する稲妻の鎖には警戒が必要だろう。逆にそれさえ攻略できるなら、決して勝てない敵ではない。

「さあ、実験開始よ」

 怪しい薬で満たされた注射器とアンプルを手に、邪悪な笑みを浮かべるマッド・スマイリー。
 アイドル達の明日のため、悪しき超能力狩りを終わらせるために、猟兵達は戦闘態勢を取った。
エリュファシオン・アルティウス
ふむ…相変わらずこの世界はモラルが無いね

『オォォー!』
オーさんも返事をした後…
UC発動
『…全くだぜ』
黒い龍に変身した
同時使用UCは幽銃逆行王零と滅詩逆行王命
融合するUCは怪盗逆行王ラウール


『甘い…』
敵の超能力に対しては音響弾を放つ蟲達を放ち稲妻を破壊してもらうかミナルアさんが吸収魔法を使用して貰う

『行きましょうお姉様』『任せろ…命!』
UCは命が消滅魔法弾幕で周りを攻撃し零が弾幕から逃れた相手を幽銃で撃ち抜いた

君は許されざる事をした…
障害物を利用しながら敵の背後を取り素早くガンナイフと怪盗道具からの呪殺弾で攻撃する

オーさん…調停龍パラダイム・パラドックスも私と共に衝撃波を纏ったブレス攻撃を放った



「ふむ……相変わらずこの世界はモラルが無いね」
『オォォー!』
 電子精霊とはいえあまりに倫理観に欠けた『マッド・スマイリー』の発言に、眉をひそめるエリュファシオン。彼女の相棒であるオオサンショウウオ型バイク「オーさん」も、同意するように大きな咆哮で返事をした後――。
『……全くだぜ』
 メキメキと音を立てて彼(?)は変化していく。どこか愛嬌のあったオオサンショウウオから、巨大な黒い龍の姿に。これぞエリュファシオンのユーベルコードによって明らかと鳴るオーさんの真の姿、【逆行奥義・調停龍・パラダイム・パラドックス】である。

「あら。随分大所帯で来たのね」
 神農製薬のデータベースにアクセスしてきたのは、エリュファシオンとパラダイム・パラドックスだけではなかった。ユーベルコードの同時融合発動により【幽銃逆行王零と滅詩逆行王命】と【怪盗逆行王・ラウール】そして星霊ミナルアと蒸気獣テトラが一斉に姿を現す。
「サンプルには困らなさそうだわ。全員纏めて捕獲してあげる」
 マッド・スマイリーはにやりと笑って全身から無数の稲妻の鎖を放つ。これがメガコーポによる超能力者狩りの成果だとでも言うのか、本来サイコブレイカーでは無いはずの彼女は超能力ユーベルコードを操る術を得ていた。この【ライトニング・カリギュラ】は触れた対象から自由を奪う、まさしくサンプル捕獲にはもってこいの力だ。

『甘い……』
「まったくだねミナルアさん」
 エリュファシオンは瓢箪型の蟲笛から蟲の群れを呼び出し、彼らの羽音を音響弾にして稲妻の鎖を撃ち落とす。
 迎撃できなかった分は星霊ミナルアが吸収魔法を使用し、味方に当たらないように稲妻を一箇所に吸い寄せる。これまで様々なユーベルコードを見てきた彼女らなら、事前に情報さえあれば対処は不可能ではない。
「なかなかやるわね。だったら私も仲間を呼ぼうかしら」
 超能力を防がれたマッド・スマイリーは、パチンと指を鳴らしてサイバースペース内に配下を召喚する。彼らは|機械化義体《サイバーザナドゥ》による改造で戦闘力を強化され、 青の薬品【依存誘発型】に依存させることで彼女の忠実な下僕と化した兵士達だ。

「さあ、ご褒美が欲しければ成果を挙げなさい」
「うおおおおおおおっ!!」
 脳までクスリ漬けにされた哀れな奴隷どもは、野獣のような雄叫びを上げてエリュファシオン達に襲い掛かる。
 これを迎え撃つべく立ちはだかるのは逆行王の姉妹。武装医師団を撃退する時に見せた連携プレーが、ここでも再び披露される。
『行きましょうお姉様』『任せろ……命!』
 命の消滅魔法弾幕が近付いてくる敵を攻撃し、弾幕から逃れた相手を零が幽銃で撃ち抜く。フィジカルを機械で強化しても薬物依存で判断力の低下した連中では、攻めは強くとも守りは弱い。彼女達に攻撃できる距離まで近付けた者さえほとんどいなかった。

「君は許されざる事をした……」
 仲間達が敵の攻勢を防いでいる間に、エリュファシオンは障害物を利用してマッド・スマイリーの背後に回る。
 アイドルから大切なステージを奪い、私利私欲のために多くの超能力者を犠牲にした。非道な所業に対する怒りをガンナイフに込めて斬り掛かる。
「なっ、いつの間に……きゃぁっ!!」
 不意打ちを食らったマッド・スマイリーを、さらに逆行王ラウールの怪盗道具が追い詰める。彼が取り出した呪殺弾はナイフの傷口を抉り、ウイルスのように電子データを呪いで汚染する。ふらついた女の手から青の薬品が落ちる、その隙をエリュファシオン達は見逃さない。

「さあ行こう! オーさん……いや……調停龍・パラダイム・パラドックス!」
『オオオォォォー!!』
 エリュファシオンの号令に応えて、調停龍がブレスを放つ。衝撃波を纏った龍の吐息はもはや天災にも等しく、研究職のオブリビオンが耐えきれるものではない。マッド・スマイリーは「きゃあああああっ?!」と甲高い悲鳴を上げて彼方に吹き飛ばされていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
同時発動UCは鳳凰烈火
薬物の匂いと依存している人々を見て怒りが込み上げて来た
本当にアンタはマッドサイエンティストね!許さないわ…
『薬物か…』
朱雀も憤慨していた
常に視力で周りを観察しながら戦い結界術も発動する

『…せめて楽に逝かせてやる』
薬品に依存してしまった人間達には朱雀が爆焔怒号術で攻撃する

朱雀は…やらせないよ
超能力で朱雀を操ろうとしたので炎属性の音響弾を放った

周りの敵に爆破の矢弾の雨で攻撃して障害物を利用して跳弾でマッド・スマイリーにも攻撃する

この世の条理を超えた焔…味わいなさい!

UC発動
この世の条理を超える焔の槍は敵の超能力すら破壊して攻撃する
『俺も追撃しよう…』
朱雀も爆焔怒号術で攻撃した



「本当にアンタはマッドサイエンティストね! 許さないわ……」
 これまでにない殺気だった眼光で『マッド・スマイリー』を睨み付ける月華。その理由は敵が護衛のために召喚した兵士達にあった。あれらは青の薬品【依存誘発型】の投与によって健全な心を失った者達。薬物の匂いと依存している人々を見ると、胸の奥から怒りがこみ上げてくる。
『薬物か……』
 気に入らないのは朱雀も同じようで、言葉通りの"鬼の形相"で憤慨している。これまでに聞いた所業だけでも万死に値する輩だが、研究のために犯した罪と重ねた業の深さはもはや地獄行きすら生ぬるいだろう。研究所のデータベースもろとも、徹底的に|焼却《バーンナウト》してやろう。

「ふふ。なにを怒っているの? このくらい普通でしょう?」
 マッド・スマイリーは嫌味ったらしい笑みを浮かべて、配下に攻撃命令を下す。この人間達は|機械化義体《サイバーザナドゥ》で改造され、さらに薬物依存によりクスリを得るためならどんな命令でもこなすジャンキー共だ。危険性については言うに及ばずだろう。
『……せめて楽に逝かせてやる』
 もはや救いようのない段階まで堕ちてしまった人間達に、慈悲をこめて朱雀が紅蓮の焔を放つ。【鳳凰烈火】により解禁された彼のユーベルコード【爆焔怒号術】は機械化義体だろうが焼き尽くし、一瞬にしてサイバースペース上から連中を消滅させる。

「へえ、変わったユーベルコードを使うのね。ぜひ生け捕りにしてサンプルにしたいわ」
 配下を焼き殺されてもマッド・スマイリーは嘆き悲しむどころか、興味の対象はすでに朱雀に移っていた。この世界には存在しない妖怪の力に興味を持った彼女は、【ライトニング・カリギュラ】で彼を捕らえようとする。
「朱雀は……やらせないよ」
 触れた者を操る稲妻の鎖から、朱雀を護ったのは月華だった。その手から放たれる炎の弾丸は鎖に当たると爆発し、轟音を戦場に響かせる。また飛び散った火の粉は雨のように降り注ぎ、周囲に残っていた敵を焦がしていく。

「ちっ。邪魔しないでよね……熱っ!」
 炎の弾丸は付近のオブジェクトに当たって跳ね返り、後方に控えるマッド・スマイリーにもダメージを与えた。
 敵の統率が乱れている間に、月華は【虹華万暁】を発動。身の丈ほどもある巨大な焔の槍を手に、狂った科学者に攻撃を仕掛けた。
「この世の条理を超えた焔……味わいなさい!」
 燃え盛る紅蓮の矛先は敵の超能力すら破壊し、小さな稲妻の破片に変える。ここがサイバースペースだろうと現実空間だろうと関係なく、不条理の力は全てを貫くのだ。そしてそれは、理外の力を得たサイコブレイカー・オブリビオンであろうと例外はない。

「が、はッ!!?」
 焔の槍に貫かれたマッド・スマイリーの身体から鮮血が吹き出す。体内を焼き焦がす灼熱と激痛が彼女を襲う。
 悪逆非道の輩に対する怒りと殺意がこもった月華の一撃は重かった。敵は慌てて槍を引き抜こうとするが――。
『俺も追撃しよう……』
「きゃぁッ?!!」
 そこに朱雀も【爆焔怒号術】を放ち、二重の劫火に焼かれる羽目になったマッド・スマイリーは悲鳴を上げる。
 それでもまだ彼奴が犯した罪業と犠牲者の受けた痛みには足りないと、二人はさらに火力を強めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イスラ・ピノス(サポート)
 セイレーンの冒険商人×ゴーストキャプテン、16歳の女です。
 普段の口調は(僕、あなた、~さん、だね、~だよ、~の?)、
商売とか交渉でのお仕事向きは(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)

 ユーベルコードは使えそうなものはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 損得勘定や意識は強いので『全体の被害を減らすこと>より大きな結果を出すこと』の優先度で出来る限り頑張ります!
 基本現地の人や敵性でない動植物・建造物は大事にします
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


サエ・キルフィバオム(サポート)
アドリブ歓迎

基本的には情報収集が得意かな
相手が何かの組織だったら、その組織の一員になり切って潜入して、内側から根こそぎ情報を頂いちゃうよ
そうじゃなければ、無害で魅力的な少女を演じて、上手く油断させて情報を引き出したいね
効きそうな相手なら煽てて誘惑するのも手段かな♪

戦いになったら、直接力比べの類は苦手だから、口先で丸め込んだりして相手を妨害したり、糸を利用した罠を張ったり、誘惑してだまし討ちしちゃうかな
上手く相手の技を逆に利用して、手痛いしっぺ返しが出来ると最高♪
敢えて相手の術中に陥ったふりをして、大逆転とかも良く狙うよ



「情報収集は得意だから、ここなら私も役に立てそうかな」
 サイバースペースという特殊な空間とはいえ、潜入工作はサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)の十八番だ。敵対組織のデータベースから情報を盗み出すのも|焼却《バーンナウト》するのも、手順としてはさほど変わらない。彼女の口元には自信の笑みが浮かんでいた。
「僕もお手伝いするよ」
 同じタイミングでやって来たイスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)は、そんなサエのサポートに回ることにした。データベースを守護するオブリビオンの注意を引き付けられれば、情報を奪取する隙もできるだろう。それさえ成し遂げられれば、ここで無理に大きな戦果を狙う必要はない。

「ここのデータは盗らせないわよ。あなた達は全員私の実験台になるの」
 このセクションの責任者である『マッド・スマイリー』は、そう言っておもむろに緑の薬品【継続散布型】を使用。アンプルから解放した薬品は即座に気化して薄緑色の霧となる。これは慣れた者には回復作用をもたらすが、過剰摂取すると身体機能に悪影響を及ぼす劇薬である。
「ふふ、薬漬けにしてあげる」
「いやだね!」
 霧が戦場全体に広がる前に、イスラは【シェイプ・オブ・ウォーター!】を発動。サイバースペース内にソーダ水の雨を降らせることで、劇薬を吸い込む前に洗い流してしまう。さらに地面に溜まった水はセイレーンの故郷である深海の環境を再現構築してみせた。

「ごあんなーい!」
「え、ちょっと何よコレ!」
 突如として辺り一面が海になり、マッド・スマイリーも驚きを隠せない。せっかくの薬も大量のソーダ水に希釈されて効果を失ってしまい、水流と水圧のせいで思うように身動きも取れない。それは猟兵達も同じ条件のように思われるが――。
「これで平気だよ」
「ありがと、じゃあ行ってくるよ♪」
 イスラは大きな泡で味方を包み、深海内を自由に動けるようにする。泡を受け取ったサエはすいすいとソーダ水の海の中を泳いで、神農製薬のデータベースに接近する。敵の行動が阻害されている今が情報を奪うチャンスだ。

「やめなさい!」
 慌てたマッド・スマイリーはサイコブレイカーの力である【ライトニング・カリギュラ】をサエに向けて放つ。
 超能力で生み出された稲妻の鎖が、ソーダ水の中を駆け抜けて標的に突き刺さる。それは接触した対象の行動を一時的に支配する、危険なユーベルコードであった。
「きゃぁっ?!」
 今まさにデータベースに触れようとしていたサエの身体が、稲妻に貫かれてビクンと震える。パチンと音を立てて泡が割れ、力なく海中を漂うその姿はまるで人形のよう。様子を見ていたイスラが「大丈夫?!」と心配そうな叫び声を上げる。

「今すぐそこから離れなさい」
「はい」
 マッド・スマイリーが稲妻の鎖を手繰ると、サエは操り人形のように言われるまま動く。完全に超能力に支配されてしまったようだ。いい気になった敵はそのままユーベルコードを維持し、彼女に味方を攻撃させようとする。
「あの女を捕まえて。いい加減水攻めも鬱陶しいのよ」
「くっ……」
 このソーダ水の海さえなくなれば形勢は再び逆転する。邪悪な笑みを浮かべる狂科学者に、緊張の面持ちで身構えるイスラ。下手に味方を傷つけるわけにもいかず、このままでは分が悪い――だがその時、操られているはずの妖狐の口元に、うっすら笑みが浮かぶのを彼女は見た。

「なーんて。これは確保させてもらうね♪」
「なッ、あなた?!」
 敢えて術中に陥ったふりをして、サエは逆転のために敵のユーベルコードを解析していたのだ。入手したデータを元にピアスを作ることで、彼女はそれを1度だけ借用できる。【貫通する悪意】が再現した【ライトニング・カリギュラ】が、今度はマッド・スマイリーに襲い掛かった。
「不味い……ッ、このっ、急に水が……!」
「なーんだ、そういうことなら先に言ってよね!」
 サエの策を理解したイスラが、深海の水流を操作して敵をその場に押さえつける。まるで生きているかのような渦潮に呑み込まれ、身動きを完全に封じられたマッド・スマイリーは、逃げる暇もなく無数の稲妻の鎖を浴びた。

「ぎゃあああああああっ!!!!!?!」
 自分自身の能力であり研究成果でもある超能力をその身で受け、海の中から絶叫を上げるマッド・スマイリー。
 これまでに繰り返し超能力者狩りを主導してきたメガコーポの社員には、ふさわしい因果応報と言えるだろう。手痛いしっぺ返しを食らわせた二人の猟兵は、笑顔のサムズアップで互いの健闘を称えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アルマ・アルカレイト
野郎ぶっ○してやるぅぅぅぅ!
『相手は女やけどな…』
『アルマ血の涙が…』
慶喜と緋智を反応する

結界術…常に慶喜が発動

罠使い…ワイヤーで改造人間達を攻撃

蟲使い…凍結攻撃を放つ異世界の蟲を召喚して改造人間と戦う

クイックドロウ…常に発動する

見切りと視力と武器受け…敵の動きを見て回避または武器で防御

錬金術…爆破する弾丸を予め作成

『やるで!』
慶喜はキャバリアに変身した緋智に乗て冥道属性の斬撃波を周りに放つ

ふん!慶喜達に何するのよ!そしてShine!
UC発動
超能力の力をぶん殴って無効にする
素早く爆破の弾丸を女に放つ

『…止めだよ!』
緋智がUCを放つ
同時発動UCは朧月夜・冥道神機『緋智』
冥道を放ち相手を吸い込んだ



「野郎ぶっ○してやるぅぅぅぅ!」
 此度の事件の元凶を前にして、ド直球の殺意を喚き散らかすのはアルマ。大好きな『ルクシオン』を活動休止に追い込まれた怒りと悲しみと憎しみはそれほどまでに強く、同行する慶喜と緋智が若干引いてしまうほどだった。
「相手は女やけどな……」
「アルマ血の涙が……」
 とは言え、それで同情できるような敵でもない。あの『マッド・スマイリー』が超能力者狩りを主導し、自社の権益と研究のために多くのサイコブレイカーを犠牲にしてきたのは事実なのだ。ここできっちり引導を渡しておくのが世界のためである。

「あら、随分怒ってる子がいるわね。まあ関係ないけど」
 マッド・スマイリーはアルマの殺気には取り合わず、青の薬品【依存誘発型】で支配下に置いた部下達に相手をさせる。薬品に依存し|機械化義体《サイバーザナドゥ》に改造されたサイボーグの群れは、褒美のクスリを得るために鬼気迫る勢いで襲い掛かってくる。
「「おおおおおおおおおっ!!!」」
「やるで!」「うん!」
 慶喜はキャバリアに変身した冥道神機『緋智』に搭乗し、押し寄せる敵に斬撃波を放つ。冥道の力を帯びた攻撃は最前線にいた連中をなぎ払うが、重度のジャンキー共はその程度では怯まずに我武者羅な勢いで進撃を続けた。

「止まりなさい!」
 ならばとアルマが腰の「アルケミック・ハーネスベルト」からフックショットを射出し、敵の進路上にワイヤーを張る。足に引っ掛けるだけの単純なトラップだが、薬漬けにされて判断力の低下した連中には効果覿面だった。
「「うおおおおお……おぉッ?!!」」
「今だ!」
 足元をすくわれ将棋倒しになる改造人間の群れ。すかさずアルマは蟲笛『インゼクター』を吹き鳴らし、籠から呼び出した蟲の群れをけしかける。ここではない異世界から連れて来られた怪蟲達は機械化された義肢にすら齧り付き、食い荒らしていく。

「へえ、変わった連中ね。サンプルにする価値があるわ」
 アルマ達の戦いぶりに興味を持ったマッド・スマイリーは【ライトニング・カリギュラ】による捕獲を試みる。
 電子精霊の手から放たれた無数の稲妻の鎖が、まず狙いを付けたのは慶喜と緋智。この世界にはないキャバリアというテクノロジーの結晶は、メガコーポ的にも無視できない代物だった。
「ふん! 慶喜達に何するのよ!」
 それを止めたのはアルマの【正体不明殺し】だった。神秘と科学とユーベルコードの力を無効にする拳が、超能力の鎖を殴り飛ばす。本来なら触れただけで相手を支配できるはずの稲妻が霧散すれば、流石に敵も驚いたようで「なにっ?!」と動揺の叫びが聞こえてきた。

「そしてShine!」
「きゃっ?!」
 すかさずアルマは『ヘルパー』を抜き、予め作っておいた錬金術製の爆破弾を放つ。『ルクシオン』のメンバーのぶんまで怒りと殺意を込めた弾丸は、着弾と同時に派手な爆発を起こしてマッド・スマイリーを吹っ飛ばした。
『……止めだよ!』
「な、私のデータが……いやああああっ?!!」
 間髪入れずに緋智もユーベルコード【冥道朧月】で追撃する。【朧月夜・冥道神機『緋智』】により真の力を解放した彼女の冥道は、電子精霊を構築するデータを吸い込んで破壊していく。仮想の肉体を分解されていく痛みに敵は身悶えし、セクション中に金切り声が木霊するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅月・美亜
 ライトニング・カリギュラ対策? そんな物、現場に行かなければいいだけだ。何、参加しないという意味ではない。私自身が行かないと言うだけだ。近くまでは行くんだが。
「最終平和兵器。私達は引き返せない」
 【Operation;BLACK】を展開してビームの嵐で応戦する。戦闘機に薬品は効果が無い事は自明だ。
 プログラム通りに動く自動操縦だが、リアルタイムでプログラムを更新し続ければ手動操縦並みの精度で動ける。何機か乗っ取られた所で痛手にもならん。
「本命はこっちだからな」
 N.D.A.L.C.S.によってありとあらゆる事象をデータと取り込み制御コードを更新する。
「最後は力押しになるのも、嫌いじゃない」



「ライトニング・カリギュラ対策? そんな物、現場に行かなければいいだけだ」
 触れただけで対象を操作する厄介な超能力ユーベルコードに対して、美亜が考えた対策はごくシンプルだった。
 単純過ぎてそれができれば苦労はないという話でもあるが。彼女のスキルとユーベルコードならば可能である。
「何、参加しないという意味ではない。私自身が行かないと言うだけだ。近くまでは行くんだが」
 目標のセクションにアクセスできる距離まで接近した後は、ユーベルコードで具現化した戦闘機ユニットだけを出撃させる。まさにシューティングゲームのように自分は安全な場所から自機を操作する訳だ。ハッカーとしては寧ろ王道な戦い方とも言えるか。

「最終平和兵器。私達は引き返せない」
「あら、変わったクラッキングね」
 【Operation;BLACK】発令により展開された戦闘機の部隊は、目標を発見すると直ちにビーム射撃を開始する。
 迎え撃つ『マッド・スマイリー』は緑の薬品【継続散布型】を使用するが、薬品の霧に包まれても機体の挙動に変化はない。
「戦闘機に薬品は効果が無い事は自明だ」
 使用者本人を回復させる効果が少々面倒な程度か。それも回復を上回るダメージを与えれば良いだけの事だと、美亜はホログラムモニターを介して自機のパラメータと戦闘状況を俯瞰しつつ、自機のプログラムを切り替える。

(プログラム通りに動く自動操縦だが、リアルタイムでプログラムを更新し続ければ手動操縦並みの精度で動ける)
 ハッカーならではの力技によって通常のAIでは不可能な挙動と対応力を実現し、猛攻を仕掛ける戦闘機部隊。
 この部隊は新型光学兵器を搭載しており、ビーム機銃の通常射撃に加えて所謂"ボム"に当たる一機一度限りの収束ビームか拡散ビームがある。これらを用いた光線の嵐を避けきるのはマッド・スマイリーには不可能だった。
「ちっ、鬱陶しい……!」
 じわじわと体力を削られて苛立ちを覚えた彼女は【ライトニング・カリギュラ】で機体の制御を奪おうとする。
 だが元々この機体は一撃被弾で撃墜されるほど耐久力が低く、それを前提とした運用がされているため、何機か乗っ取られた所で痛手にもならない。奪われた自機は即座に撃墜するように、美亜はまたプログラムを更新する。

「本命はこっちだからな」
 戦闘機同士が激しいドッグファイトを繰り広げている間に、美亜はもう1つ別の機体を飛ばしていた。その名は【Operation;N.D.A.L.C.S.】――半径116m内の物体運動を詳細に感知する、索敵特化型ユーベルコード機体だ。
「解析完了。もうキミは私の手のひらの上だ」
「なっ……?!」
 戦場となったサイバースペースのありとあらゆる事象データを取り込み、制御コードを更新する。これで一時的に神農製薬の研究セクションは彼女の手に落ちた。電子精霊であるマッド・スマイリーの肉体制御も例外ではなく、フリーズか処理落ちでも起こしたように敵の動きがピタリと止まる。

「最後は力押しになるのも、嫌いじゃない」
「や、やめ、ッ――!!」
 動けないターゲットに向けて【Operation;BLACK】の残存部隊が一斉に収束レーザーを発射し、ほとばしる閃光の嵐に呑み込まれたマッド・スマイリーは言葉にならない悲鳴を上げて倒れ込む。ハッカーの巧みな手腕に翻弄・圧倒されるその様子を、美亜はN.D.A.L.C.S.のレーダーを通じて満足げに眺めていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジニア・ルクスリア
『ルクシオン』のライブ……とっても良かったわ。
こんな素晴らしいライブが暫くは愉しめないなんて、残念だわ。
……この鬱憤を晴らす為にも、元凶である「サイコブレイカー・オブリビオン」を倒さないと。
「お生憎ね。私は貴方たちの実験動物にならないし、これ以上の被害者を出させないわ」

『疾風の魔弾』発動
魔弾で【制圧射撃】しながら、ライトニング・カリギュラに類似した超能力は【心眼】で【見切る】事で【残像】が出来るような【軽業】で回避するわ。
敵がユーベルコードで召喚し始めたら、『女王の芳香』を発動。
改造された方々の主導権を握って『マッド・スマイリー』を攻撃させるわ。
実験の被害者の方々にも復讐の機会を与えないとね。



「『ルクシオン』のライブ……とっても良かったわ」
 コンサートホールを去った後も、ヴィルジニアの心にはまだライブの余韻が残っていた。アイドル達の魂が宿った歌とダンス、それに呼応するファンの声援と喝采。あの一時に全力を賭けたからこそ生まれた感動を、当分は忘れられそうにない。
「こんな素晴らしいライブが暫くは愉しめないなんて、残念だわ。……この鬱憤を晴らす為にも、元凶を倒さないと」
 これからも沢山の感動を伝えていくはずだった『ルクシオン』の活動に水を差した、邪悪なサイコブレイカー・オブリビオンへの怨みは深い。猟兵として、1人のファンとして、彼女は神農製薬の研究セクションに潜入した。

「お生憎ね。私は貴方たちの実験動物にならないし、これ以上の被害者を出させないわ」
 データベースを守護する『マッド・スマイリー』に、ヴィルジニアは毅然とした態度で言い放つ。相手はこちらのことをモルモットとしか思っていないようだが、考え違いも甚だしい。醜悪な営利と研究を目的とした超能力者狩りは今日で終わりだ。
「あらあら元気のいいこと。その威勢がいつまで続くかしら、ねッ!」
 対するマッド・スマイリーは嘲りと侮蔑に満ちた笑みを浮かべながら【ライドニング・カリギュラ】に類似した超能力ユーベルコードを放つ。触れたものを操作する稲妻の鎖が、ヴィルジニアを狙って無数に飛んでくるが――彼女はさっと身を躱しつつ自らもユーベルコードを発動した。

「|疾風《カゼ》よ」
 連射性能の高い術式を編み込んだ【疾風の魔弾】の制圧射撃が、嵐のようにマッド・スマイリーに襲い掛かる。
 並のオブリビオンではとても前に出られない密度の弾幕だ。これには敵も笑っている余裕はなくなり、顔をしかめながら後退する。
「ちっ、意外とやるわね」
 敵としてはさっさと捕獲してしまいたいところだが、ヴィルジニアは心眼によって攻撃を見切り、残像が出来るほど軽やかな身のこなしで稲妻の鎖を回避する。疾風と共に戯れるようなその動きが、敵の苛立ちをつのらせる。

「あの小娘を捕まえなさい! 成功すれば"ご褒美"をあげるわよ!」
 超能力だけでは埒が明かないと察したマッド・スマイリーは、青の薬品【依存誘発型】で服従させた改造人間の集団を召喚する。薬品に依存させられたジャンキー共は、クスリを得るためならどんな命令にも従う忠実な下僕。人数を考慮すれば本体よりも厄介かもしれない。
「酷い事をするものね。分かっていたけれど」
 しかしヴィルジニアはそれを待っていたかのように、すかさず【女王の芳香】を発動。まだ彼女が抗体ゴースト・パフュームリリスだった頃の名残である、甘く官能的な香りが戦場を隅々まで覆う。それを嗅いだ改造人間達の動きが、ピタリと止まる。

「従え」
 女王の芳香は絶対支配の力。薬物依存による支配をこのユーベルコードで上書きし、改造された者達の主導権を握るのがヴィルジニアの作戦だった。芳香に魅了された者達は今度は彼女の配下として、かつての主に牙を剥く。
「実験の被害者の方々にも復讐の機会を与えないとね」
「なッ?! ま、待ちなさいあなた達、私を誰だと……きゃあああっ!!!?」
 慌てたマッド・スマイリーは薬をちらつかせて主導権を取り戻そうとするが、疾風の魔弾が注射器を叩き割る。
 その直後、反旗を翻した実験体の猛攻が始まり――自らが施した改造の破壊力をその身で味わうことになった、愚かな研究者の悲鳴が戦場に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
もうルクシオンの皆さんもいませんが、ここまで来たなら変身したまま仕事を終わらせます。普段の私と今の私を別人とした方が後々都合が良さそうですし。

敵の薬品の霧はオーラ防御で自身を覆い、その内側に空気の膜を作ることで摂取を防ぎます。まあ、敵の薬品は拒んでも自身のドラッグでドーピングはするんですが。
稲妻の鎖に捕まり私の動きを操作されたとしてもバーチャル・ゴーストが敵を自動追尾します。バーチャル・ゴーストが敵への憑依に成功したらそのままハッキングしデータ攻撃。稲妻の鎖を解除させつつ敵の電脳や義体にダメージを与え、トドメは電撃を纏った右腕の怪力パンチです。

実験終了…新戦闘スタイルはまあまあ使えそうですね。



(もうルクシオンの皆さんもいませんが、ここまで来たなら変身したまま仕事を終わらせます)
 今さら変装を解く必要もないと考えたのか、にこたまはライブ終了後に直接サイバースペースにアクセスする。
 向かう先は神農製薬の研究セクション。武装警官としてここに乗り込めば今後の活動で目をつけられる可能性もあるし、素性を隠しておくのは無意味ではない。
(普段の私と今の私を別人とした方が後々都合が良さそうですし)
 果たしてどこまで企業の目を欺けるだろうか。それはそれとして今はデータベースの破壊と元凶の撃破が先決。
 仮想空間の戦場に飛び込んだ彼女を待っていたのは、鼻をつまみたくなるような怪しげな薬品の匂いだった。

「また侵入者? 何人来ようが全員モルモットにするだけよ」
 待ち構えていた『マッド・スマイリー』は、侵入者捕獲の為に緑の薬品【継続散布型】を使用。霧状に散布した薬品を過剰摂取させて身体機能にダメージを与えようとする。こんなモノを吸っていたら中毒まっしぐらである。「さあ、大人しくしなさい!」
「お断りします」
 にこたまはオーラで自分の体を覆い、その内側に空気の膜を作ることで薬の摂取を防ぐ。だが、それだけで敵の攻撃は終わりではなく、続いて【ライトニング・カリギュラ】の稲妻が彼女を捕らえようとする。戦場全体に散らばる無数の鎖から逃れるのは容易ではない。

「まあ、敵の薬品は拒んでも自身のドラッグでドーピングはするんですが」
 稲妻の鎖に捕まる前に、にこたまは【正義ではないドーピング】を使用。骸の海が混入したドラッグを注入して、攻撃力の向上と攻性バーチャル・ゴーストを呼び出す能力を得る。サイバースペース上にゴーストが出現するのと、彼女の身体に鎖が絡みつくのはほぼ同時だった。
「捕まえたわよ。これで……って、ちょっと?!」
 勝利を確信してほくそ笑もうとしたマッド・スマイリーに、バーチャル・ゴーストが襲い掛かる。例え本体が操られていたとしても、このゴーストは指定された標的を自動追尾するプログラムが組まれているのだ。機能としてはシンプルだが、だからこそ介入する隙がなく脅威になる。

「こ、こいつを止めなさい!」
「無理ですよ」
 稲妻の鎖を通じてにこたまに命令してもバーチャル・ゴーストは止まらない。マッド・スマイリーへの憑依に成功したそれは、そのままハッキングによるデータ攻撃を行う。ここはサイバースペースで相手は電子精霊。データの損傷は物理的な負傷に等しい。
「ぎゃあッ?!」
 電脳にダメージを受けた敵はユーベルコードを維持できなくなり、にこたまを捕らえていた稲妻の鎖が解除される。自由を取り戻した彼女は四肢の感触を確かめるように軽く手足を振り、それから拳を握りしめて走りだした。

「さっきのお返しです」
「や、止め……ぎゃうッ!!!」
 ハッキングで思うように動けないマッド・スマイリーに、にこたまは電撃を纏った「正義の右腕」を叩き込む。
 生身の筋力を遥かに超えるパワーの鉄拳が胴体にめり込み、敵は野獣のような悲鳴を上げて吹っ飛んでいった。
「実験終了……新戦闘スタイルはまあまあ使えそうですね」
 バーチャル・ゴーストの有効性と今の手応えを確かめ、にこたまは満足そうに笑う。スタイルの幅が広がれば、今後はさらに多くの正義を執行できるだろう。たとえ変装はしていても、彼女の心はいつだって武装警官だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
超能力者狩りをしておきながら、手駒に超能力者を用いるか
いかにも圧制者がやりそうなことだ!

サイバースペースへのダイブ操作はルクシオンの方々にお願いする(機械に疎い)
白いボディスーツを纏い、電脳世界に降り立つ

人の役に立つためでなく、ただただ己の欲望のための研究か
増上慢も極まりなし! ここで討つ!

聖槍に纏いし暴風の魔力を解き放つ(壊嵐旋迅槍)
万物を圧壊する嵐の恐怖は、中毒者たちの薬物による多幸感を上回り、重圧で身を竦ませる
さらに魔力を籠め(全力魔法)、【吹き飛ばす】ことで稲妻の鎖にぶつけて無駄遣いさせる

吹き飛んで邪魔のいなくなった電脳空間を駆け抜け、聖槍で突き穿つ(串刺し)!



「超能力者狩りをしておきながら、手駒に超能力者を用いるか。いかにも圧制者がやりそうなことだ!」
 どこの世界でも非道な支配者の手口は大差ないのかもしれない。虫酸が走るとばかりに吐き捨てたオリヴィアは、超能力者狩りの首謀者である『マッド・スマイリー』に破邪の聖槍を突きつける。その脳裏に思い浮かべるのは『ルクシオン』の少女達の顔だった。
『神農製薬の研究セクションに行く? わかった……気をつけてね』
 機械に疎いオリヴィアは『ルクシオン』の助けを借りてサイバースペースへのダイブを行っている。ひたむきにアイドルとして頑張ってきた彼女達のためにも、絶対に負ける訳にはいかない――己の使命感と邪悪への怒りが、烈火の如く胸の奥で燃え滾る。

「人の役に立つためでなく、ただただ己の欲望のための研究か。増上慢も極まりなし! ここで討つ!」
「フン。正義のヒーローにでもなったつもり? メガコーポに歯向かったことを後悔するといいわ!」
 白いボディスーツを纏い、電脳世界に降り立ったオリヴィアの宣告は勇ましく。だがその気迫に怯まないマッド・スマイリーもただの研究者では無かった。彼女は青の薬品【依存誘発型】を餌に配下の改造人間達を呼び出し、|猟兵《モルモット》の捕獲を命じる。
「こいつらみたいに、あなたもすぐ薬漬けにしてやるわ」
「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」
 薬物依存にさせられた改造人間達はうわ言とも雄叫びともつかぬ声を上げて、オリヴィアに掴み掛かってくる。
 今の彼らの思考にあるのは成果に応じて与えられる薬品のことだけだ。哀れなジャンキーの目を覚まさせるには少々キツめの治療が必要そうだ。

「吹き荒べ破壊の嵐。震天動地の神威を以って、打ち砕け――!」
 オリヴィアは聖槍に猛り狂う風を纏わせ、異境の魔槍【|壊嵐旋迅槍《ロンゴミニアド》】の力を再現。解き放たれた暴風の魔力は万物を圧壊する嵐となり中毒者達に吹き付ける。それはまさに大自然の猛威を具現化したもの、人の身では抗いようのない大いなる威を示すものだ。
「「う、うおおぉぉぉ……?!」」
「ちょ、ちょっと、どうしたのよ!」
 中毒者達の足が止まったのは単に風圧に押されただけではない。嵐の恐怖が薬物による多幸感を上回り、重圧で身が竦んだためだ。マッド・スマイリーがどれだけ怒鳴りつけても、彼らはそれ以上一歩も前に進もうとしない。

「チッ、ほんっとに使えない奴らだわ!」
 マッド・スマイリーは舌打ちしながら【ライトニング・カリギュラ】に似たユーベルコードを発動し、稲妻の鎖で自らモルモットを捕らえようとする。対するオリヴィアは聖槍にさらなる魔力を込め、暴風の勢いを強化する。
「退け!」
「「うわあああぁあぁぁッ?!!」」
 吹き飛ばされた中毒者達は稲妻の鎖と空中でぶつかりあい、効果を無駄遣いさせる。嵐の中心に立つ彼女の元に近付けるモノは何もない。邪魔のいなくなったサイバースペースを、聖槍の担い手はまっすぐに駆け抜けていく。

「さあ、その悪行の報いを受ける時だ!」
「く、来るな、来る……ぎゃうッ!!?」
 嵐の魔力を帯びたオリヴィアの聖槍が、悪しき圧制者の手先を突き穿つ。黄金の穂先に深々と胸を貫かれたマッド・スマイリーは、甲高い悲鳴を上げて血を吐いた。電脳空間で流される血は、すぐにデータの残滓として分解され――電子精霊たる彼女の生命が尽きる時が迫りつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
超能力研究、か
悪いがそれは出来ん――貴殿はここで死ぬからだ

瞬間、ブラウグラムが白き刀身となり、発動した稲妻の鎖を『発動を維持した未来』を切り裂き無効化する
未来属性ホワイトディアブロ……これほどとはな
そう言って蒼き翼を広げ、無に等しい回転を宿した『あらゆるこの世の条理を"貫く"羽の弾丸』を発射
幾ら脚力等の身体能力が高まろうと……
『その身体能力で回避する』という『この世の条理』を『貫く』事で着弾
そのままハチの巣にしてやるぞ

エンドブレイカーとしての未来視と未来属性を駆使しながら『この世の条理』を『貫き』戦っていく

これがエンドブレイカーだ
貴様という終焉、破壊させてもらうぞ



「超能力研究、か。悪いがそれは出来ん――貴殿はここで死ぬからだ」
 自分達をモルモットにしようとする『マッド・スマイリー』の発言を、ブリュンヒルデはきっぱりと否定した。
 手には蒼翼羽剣ブラウグラムを携え、ヴァルキリーの礼装を身に纏い。|終焉破壊者《エンドブレイカー》の騎士として相応しい佇まいで、此度の悪しき終焉の元凶を睨めつける。
「私が……死ぬ? バカな。ストリートの連中なんかに私が負けるはずがない!」
 激戦の末じりじりと劣勢に追い込まれつつあったマッド・スマイリーは、激昂して稲妻の鎖を放つ。サイコブレイカーを研究する過程で彼女が手に入れた、【ライトニング・カリギュラ】に類似した超能力ユーベルコードだ。

「丁度いい。試させて貰うぞ」
 だがブリュンヒルデがそう言った瞬間、ブラウグラムの青い刀身が白く染まり――稲妻の鎖が一斉に消滅する。
 物理的に切り払ったり吹き飛ばしたレベルの話ではない。自身の超能力を眼の前で無効化され、マッド・スマイリーも「なにッ?!」と目を丸くしている。
「未来属性ホワイトディアブロ……これほどとはな」
 当の使い手もこの結果には少なからず驚いている様子。未来を見据える「ブラウグラム・白き翼」は、稲妻の鎖から「発動を維持した未来」を切り裂いたのだ。これにより維持が不可能となった鎖は消え、敵のユーベルコードは不発に終わった。

「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼!」
 さらにブリュンヒルデはヴァルキリーの証たる蒼翼を広げ【蒼翼の終焉破壊・無にして無限たる回転の羽弾】を発動。森羅万象のあらゆるこの世の条理を"貫く"という、限りなく無に等しい回転を宿した羽の弾丸を発射する。
「ッ、舐めるな……!」
 マッド・スマイリーは赤の薬品【自己強化型】を自分の体に注射することで、主に脚力を強化した戦闘特化状態になる。長く維持していると理性を失ってしまうため、ここまで使おうとしなかった切り札だが、リスクに応じて得られる回避力と機動力の強化は大きい。

「こんなもの、弾道を予測すれば簡単に避けられるわ!」
 持ち前の頭脳と強化されたフィジカルを活かして回避行動を行うマッド・スマイリー。彼女の計算上では全ての攻撃を回避して、愚かなモルモットに今度こそ一泡吹かせられるはずだった。しかし猟兵とエンドブレイカーの力は決して机上の計算で測れるものではない。
「幾ら脚力等の身体能力が高まろうと……」
「なっ、バカな?!」
 『その身体能力で回避する』という『この世の条理』を『貫く』ことで、ブリュンヒルデは攻撃を着弾させる。
 物理的にありえない軌道と加速でヒットした弾丸は、マッド・スマイリーに苦痛よりも先に驚愕をもたらした。

「そのままハチの巣にしてやるぞ」
「ぐ、がぁッ! ありえない、こんなことがぁッ?!」
 エンドブレイカーとしての未来視と未来属性を駆使しながら『この世の条理』を『貫き』戦うブリュンヒルデ。
 何度計算しても予測と一致しない結果に、マッド・スマイリーは不条理だと喚き散らす。だが、彼女の身に起きていることは紛れもない現実だった。
「これがエンドブレイカーだ。貴様という終焉、破壊させてもらうぞ」
 あの『ルクシオン』のメンバーのように、メガコーポの都合で狩り取られる超能力者達の未来を守るために。
 終焉を砕く騎士の蒼き双眸には、眼前のオブリビオンに迫るエンディングがはっきりと映し出されていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
最高のライブになってよかったです♪
(きっと別の場所でも、がんばってやっていけるはずです)

これ以上、メガコーポの好き勝手にさせません!
ここで阻止します!

薬品の霧は、【属性攻撃】風+【オーラ防御】で風のバリアを展開することで、防いでいきます。そして、【多重詠唱】で魔法攻撃もします。

超能力は箒に乗って回避していこうと思います。もし、攻撃に当たってしまったりピンチになりそうになったりしたら、すかさず【高速詠唱】でUCを発動して、ピンチを乗り切って反撃です!

これ以上誰かの幸せを奪われないように、全力を尽くします!



「最高のライブになってよかったです♪」
 4人の少女達のたっての願いが無事に叶ったことを、ルナは心から喜ぶ。サイバースペースで披露された『ルクシオン』のパフォーマンスは、ファンに大きな感動を与えた。当の本人達もそのことを心から喜び感謝している。
(きっと別の場所でも、がんばってやっていけるはずです)
 今は新天地で新しい生活を送りながらも、いつかまたあの歌声が聞けることを祈る。そのために出来ることが猟兵にはまだあった。再びサイバースペースにアクセスしたルナは、神農製薬の研究セクションに足を踏み入れる。

「これ以上、メガコーポの好き勝手にさせません! ここで阻止します!」
 超能力者狩りの首謀者である『マッド・スマイリー』相手に、勇ましい態度で宣言するルナ。ここで奴と保管されているデータベースを破壊すれば『ルクシオン』を始めとする多くの超能力者達が助かる。絶対にやり遂げんとする意志がその瞳には輝いていた。
「チッ……ガキが大人の仕事を邪魔するんじゃないわよ!」
 もはや苛立ちを隠そうともしなくなったマッド・スマイリーは、緑の薬品【継続散布型】を辺りにばら撒いて、緑色の霧を発生させる。これは本人にとっては回復薬だが、それ以外の者が過剰摂取すれば身体機能に悪影響をもたらす劇薬だ。

「あんたも薬漬けの実験台にしてやるわ!」
「お断りします!」
 狂科学者の悪意をはっきり拒絶しつつ、ルナは魔法で風のバリアを展開する。魔女っ子を真ん中に渦巻くようなオーラの旋風は、気化した薬品の霧を寄せ付けない。同時に彼女は攻撃用の魔法も多重詠唱して「ティンクルスターダストショット」を敵に放った。
「えいっ!」
「ッ……!」
 きらきら光る星屑の雨を浴びせられるとマッド・スマイリーはますます顔をしかめ、避けるように後退しながら紫電をバチバチと全身から迸らせる。それは、あたかも現在の彼女の精神状態を現しているようでもあり、ルナの警戒心を最大まで引き上げさせた。

「いい加減しつこいのよ、モルモットごときが!」
 怒りと共に発動するのは【ライトニング・カリギュラ】に似た超能力ユーベルコード。解き放たれた無数の稲妻の鎖が、猟兵達を捕らえようと襲い掛かる。ルナは急いで「ファイアボルト」に乗り、鎖を回避しようとするが。
「逃さないわよ!」
「きゃっ!」
 稲妻の鎖は執拗に獲物を追い立てる。数百本あるうちの1つにでも触れれば、それだけで敵はこちらを操作できる。一瞬も気が抜けない緊張感の中、巧みな箒さばきで飛び回るルナだが――それだけではやがて限界が訪れる。

「ティンクルティンクル☆ お星様お月様わたしに力を! マジカルドレスアップ☆」
 稲妻の鎖に囲まれてピンチになった時、ルナはすかさず呪文を唱えて【星の王女様】を発動。煌びやかなドレス姿に変身して、キラキラ光る星々や月光を放つ。その魔力はこれまでの星屑に込められたものとは桁が違い、稲妻をもかき消すほどの輝きで敵の超能力を相殺した。
「なにこれっ、眩しいっ……!」
 王女様の煌めきはマッド・スマイリーの目をくらませ、それ以上ユーベルコードを維持できなくさせる。ピンチを乗り切った星の王女様は、そのまま反撃に転じようとありったけの魔力を振り絞り、箒の先を敵に突きつけた。

「これ以上、誰かの幸せを奪わせません!」
 星と月の魔力を込めた全力のティンクルスターダストショット。同じ魔法でも変身前とはまるで違う、必殺技級の流星群が戦場に降り注ぐ。慌てて避けようとするマッド・スマイリーだが、逃げ場などどこにもありはしない。
「ぎゃぁぁぁぁーーーッ?!!!」
 おとぎ話に出てくる悪い魔女のような悲鳴を上げて、流星に吹き飛ばされる狂科学者。悪を浄化する星の煌めきは、彼女にはさぞ苦しかろう。この戦いが「めでたしめでたし」で締めくくられるように、ルナは手を緩めることなく星光を放ち続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラップトップ・アイヴァー
《実験のことしか考えてないんだね。
…脳みそを弄られるのは嫌だし、そもそも他人のものを勝手に弄るの、良くないことだから。

二度とそんなこと考えられないようにしてあげるね。

向こうは回避力や速度をお薬で無理矢理上げてきているみたいだけど…無理とか、意味無いよ。
向こうが幾ら飛んできても、全力魔法での魔力放出で出来る限り継続的に攻撃なの。
危ないと思ったら見切って避けて、致命的な一撃だけは喰らわないように振る舞うの。
だってそうした方が、スマートでしょ?
確実に近距離の攻撃を当てられる余裕を生み出して、それからリヴリーによっても攻撃していくね。

ねえ、そんな笑顔も、意味無いよ。
この世界にモラルなんて無いのは重々承知だけれど…それでも美希は、アイドルのみんなから貰ったもの、ずっと忘れない。
センセにも、本当の笑顔になってもらわないと!

とどめはこれ。
魔力を限界突破させてUCを発動。
みきのところにやってくるタイミングを瞬間思考力で読んで、精一杯、優しさのパンチを叩き込むの!

にっこり、なれたかな?
そうだとしたら――》



「くっ……モルモット風情が、私の実験の邪魔をするんじゃないわよ……!」
 研究セクションに潜入した猟兵達との激闘により、神農製薬の研究員『マッド・スマイリー』は窮地に立たされていた。電子体データの損傷も著しく、現実と変わらない"死"の危険が迫る状況。それでも彼女は見下した態度を変えず、実験を続けるつもりでいた。
「もう許さないわよ……死にたくても死ねないようにして、一生ホルマリン漬けにしてやる……!」
「実験のことしか考えてないんだね。……脳みそを弄られるのは嫌だし、そもそも他人のものを勝手に弄るの、良くないことだから」
 モラルなき狂気に取り憑かれた科学者の成れの果てに、冷ややかな眼差しを向けるのは美希。口にするのは正論だが、それで止まるような相手だとは彼女も思っていない。研究のことばかり考えてきた結果、あのオブリビオンは大切なことを忘れてしまったのだろう。だから――。

「二度とそんなこと考えられないようにしてあげるね」
「黙れッ!!」
 その煩い口を塞いでやろうと、マッド・スマイリーは赤の薬品【自己強化型】を自分の体に注射して、戦闘特化状態となる。理性のタガが外れてハイになった彼女は「アハハハハ!」と狂ったように笑いながら、人間離れした脚力で飛び掛かってくる。
「回避力や速度をお薬で無理矢理上げてきているみたいだけど……無理とか、意味無いよ」
 しかし美希は相手の状態を冷静に見抜いたうえで埒外の魔力による反撃を行う。心から生まれいずる力の奔流は嵐のように敵を押し返し、近寄らせない。悪意に塗れた手でプリンセスに触れることは許されないと言うように。

「ハハ、ハハハ……!!」
 ならばとマッド・スマイリーは薬品を追加投与して自己強化度を高め、魔力の流れに逆らって強引に前進する。
 完全に|過剰投与《オーバードーズ》だが気にする様子はない。【ライトニング・カリギュラ】も併用した心身の負荷を顧みない猛攻に対し、美希は魔力放出を回避の助けにして致命的な一撃だけは喰らわないように振る舞う。
(だってそうした方が、スマートでしょ?)
 完全回避よりもギリギリを見切って避けて、ドレスを傷物にされながらも確実に近距離攻撃を当てられる余裕をキープ。野獣のように突っ込んできた敵を革命剣「リヴリー」で斬り返せば、紫の閃光と赤い鮮血が飛び散った。

「ねえ、そんな笑顔も、意味無いよ」
「ヒャハハハ……ヒギャッ!?」
 壊れかけの電子精霊が見せる|狂気の笑顔《マッド・スマイリー》は、美希がライブ会場で見たアイドルやファンの笑顔とはまるで違った。みんなに希望や喜びを届けたい想いから生まれる笑顔には、他の誰かも笑顔にして、希望を広げていく力があったから。
「この世界にモラルなんて無いのは重々承知だけれど……それでも美希は、アイドルのみんなから貰ったもの、ずっと忘れない」
 耳に残るメロディを、胸に刻まれた鼓動を、心に宿る優しさを力に変えて美希は戦う。あふれ出す埒外の魔力は尽きることを知らず、まるで戦場全てを包み込もうとしているかのようだ。どんなに薬品で身体を強化しようが、これでもう逃げ場はない。

「センセにも、本当の笑顔になってもらわないと!」
「う、うるさい……うるさいのよッ! そんなモノが何だっていうの!」
 心からの笑顔で呼びかけるお姫様に、進退窮まったマッド・スマイリーは最後の特攻を仕掛けてくる。脚の腱がちぎれそうな勢いでサイバースペースを疾走し、薬品の詰まった注射器を握りしめ――それが自分のところにやって来るタイミングを読みきって、美希は【R2@: Flash】を発動する。
「リズマ・フラッシュ……|正義の光よ《Illumination》」
 精一杯の想いをこめた優しさのパンチが、狂科学者の胸を打つ。その瞬間、彼女の心からドス黒い悪意は消え去り、あたたかな光のような感情が流れ込んでくる。それは美希が『ルクシオン』のメンバーから受け取った、かけがえの無い大切な気持ちだ。

「……ふっ……バカみたいね、こんなの……でも……」
 まるで憑き物が落ちたように、初めて科学者は穏やかな表情を見せ、その体はデータの粒子となり消えていく。
 狂気から生まれたモノが狂気から解放されれば、もはや現世に残る理由はない。それが『マッド・スマイリー』の最期であった。
「にっこり、なれたかな? そうだとしたら――」
 残された小さなデータの欠片を握りしめて、美希はサイバースペースの空を見上げる。あの電子精霊が最期に自分の罪を悔い改められたと信じて。次は優しい笑顔の人として生まれ変われる来世が彼女にもあることを祈って。



 ――その後、猟兵達はデータベースから個人情報の|焼却《バーンナウト》を行い、研究セクションを脱出する。
 これでもう『ルクシオン』のメンバーが神農製薬に狙われる危険はない。『マッド・スマイリー』も倒れたことで、同企業による超能力者狩りの実施も下火になるだろう。

 この事件から数ヶ月後、とある街のストリートで4人組のアイドルが活動を始めたという噂を猟兵達は聞いた。
 以前のようなネットでの活動は難しくなってしまったが、それでも実際にリアルのライブハウスを訪れた者は、かつてよりもパワーアップした歌とパフォーマンスを見ることができたという。

 モラルなき世界で、それでも希望を歌い続ける4人のアイドル。
 猟兵が繋いだ彼女達の輝きは、きっとこれからも世界を照らしていくだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年02月19日
宿敵 『マッド・スマイリー』 を撃破!


挿絵イラスト