2
銀河帝国攻略戦㉓~迫撃・念撃・電撃戦!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0




「"機械化兵(サイバネティクス)"! "超能力者(サイキック)"! "電脳術者(ウィザード)"! ええと……腕に覚えのあるみなさん! 集まって下さい!」
 或鴉・意味停止音(欠陥品・f13972)は息を切らせて猟兵を呼び集めた。
「みなさん、ここまで本当にお疲れ様でした。この戦いもあと一押し……いや、三押しくらいかもしれませんが……とにかく、希望が見えてきました。ここで押し込んで、勝ちを取りに行きましょう」
 或鴉は予知を元に、いつになく強気な語調で戦況と作戦の説明に移る。

 銀河皇帝が旗艦「インペリウム」には、護衛艦隊がついている。
 当然、ただの護衛艦隊ではない。艦隊は銀河皇帝の加護のもとにあり、半端な損傷ではすぐに修繕されてしまうのだ。そのため、猟兵をサポートする解放軍たちの攻撃では護衛艦隊を沈めることができない。
 ここで猟兵の出番だ。
 解放軍の砲撃は、護衛艦隊の外壁に穴を穿つ程度の火力であれば出せる。外壁を破られ隙の出来た護衛艦内に突入し、艦をコントロールしている指揮官を落とすことができれば、護衛艦を無力化できるだろう。

 それからこれは推測ですが、と或鴉は付け足した。
 敵艦の指揮官はおそらく、高度な電脳技術を持つ宇宙戦のエキスパートだ。超能力やサイバネティクスについても、一線級の技能を持っていると考えうる。そうでなければ護衛艦の指揮など務まらないはずだから。そういった分野に通暁していそうな猟兵に向けて声をかけたのはそのためだ。もちろん、戦い慣れた猟兵であれば、己の戦い方を徹すこともできるだろうけれども。

「ぼくが解放軍の攻撃に合わせて転移をかけます。恐らく、指揮官とはすぐ戦闘になるはず。気持ちの準備をしてから向かってくださいね――みなさんの勝利を信じていますから!」


墓異鈍
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 墓異鈍(はかい・にぶる)と申します。戦争シナリオ、愈々ヤマでございますね。
 当シナリオではエッジ強めのバトルシーンを書きたいな、と思っております。SSWの技術でキメていらっしゃる方も、異世界技術でがっつり武装された方も、いらしてくだされば幸いです。
 ※戦闘で連携希望の方は冒頭に「★」、アドリブ盛っても大丈夫という方は「◎」を付けてくだされば書ける範囲で対応いたします(必ずしもご希望に添えないかもしれません、すみません)。特定の方とチームを組まれる場合は、「チーム名」もしくはチーム相手のf+数字5桁の「id」を記載してください。以上、よろしくお願い致します。
20




第1章 ボス戦 『帝国エージェント』

POW   :    ゴールドアイ
【金色の瞳】に覚醒して【歴戦の白兵戦型ウォーマシン】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    仕込み帽子
自身が装備する【鋭利な刃を仕込んだ帽子】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    ハッキング
対象のユーベルコードに対し【電脳魔術のハッキング】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グロリア・グルッグです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベール・ヌイ
★ ◎

(「サイキッカー相手ならば電撃を使わざる負えない」と内心思うゴリラ)「それ関係ある…?」

ゴリラは基本喋りません、内心思うか筆談です。ヌイは喋りの間間に「…」が入ります

事前に『護理雷招来』でゴリラを召喚、専用電動バイクにヌイとタンデムします
基本戦法は護理雷のバイクによる電撃込みの突撃、轢く気まんまん
仕込み帽子にはヌイの双銃『クイックドロウ』『誘導弾』で狙撃、もし多数に囲まれたならメギドフレイムを使用し、帽子ごと相手を燃やします


グルクトゥラ・ウォータンク
【★◎】
わしの!名を!呼んだか!左様、わしこそ機械と電脳のスペシャリスト、ワンマンサーカスのグルクトゥラよ!最近呼ばれんから自分で名乗らんと忘れる!

ともあれ、通常戦闘に並行して電子戦など、日常茶飯事お茶の子さいさいよ。早速【攻性電脳妖精多重召喚】で「LOVEサンダー」搭載した高速機動電脳妖精を放つぞい。【武器改造】でセキュリティ能力上げておき自律行動で敵を狙わせ、わし自身は相手の【ハッキング】を電脳魔術で直接妨害じゃ。手持ちのボールズで処理をサポートさせるからなんとかなるじゃろう。
他にもハッキング得意な猟兵がおったら協力してカウンターハッキング仕掛けるのもいいのう。


カタラ・プレケス
★◎

とりあえずね~。
君に恨みはないけれど、色々と邪魔だからここで落とすよ~。

まずは天蠍縛砂とスクナで作った毒煙をばら撒くよ。
その後、高速詠唱と属性攻撃で突風を吹かせて体勢を崩すね~。
崩したら接近してカタラで串刺して、
生命力を吸収して魔術を使えないようにするよ~。
さらにカタラの封印を解いて怒りを引き起こす呪詛を与えよう。
封印を解くのと同時に天蠍縛砂を鎖に戻して拘束するよ~。
ここまでされて悪意や敵意を持たない人はいないだろうから、
夜謳う御子で腕を呼び出して叩き潰そう。
潰した後は念のため、遠隔に鎖で首を絞めてねじ切っておこうか~。



 解放軍の集中砲火が護衛艦の外壁を破砕し、艦内への侵入口を穿つ。
 バイクを駆って護衛艦に突入したのはベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)、そして彼女を護る雷獣ゴリラ。ゴリラの電力で駆動するバイクはヌイを後部座席に載せ、艦の通路をアクセル全開で疾走する。
 リアタイヤの纏う雷電が狭い通路の床面パネルを切り裂けば、埋め込まれた配線が臓腑めいて吐き出され、閉じかけた防御隔壁も痙攣して動作を止める。

 減速ゼロの曲芸走行できっかり300セカンド、ヌイは艦内にしては非効率的な空間設計の大部屋に出た。縦は見上げるほど高く、直径はコロッセオより二回り以上大きく見える円筒形。内臓が浮き上がるように感じるのは、通路より設定重力が軽いからか。
 部屋の真中に、帝国エージェントと思しき黒い人影が独り佇んでいる。内臓の浮遊感を沈めて有り余る重い殺気。予知にあった指揮官だ――ヌイが言うまでもなく、ゴリラはバイクを加速させる。
「猟兵が来ることは想定済みだったが……小さい女の子だと心が痛むな」
 合成音声でエージェントは笑うと、帽子をお辞儀めかして脱いだ。その掌から、手品のように帽子が消える。
(「やはりサイキッカーか。ならば電撃を使わざるをえないな」)
 内心思うゴリラに、ヌイが小声でそれ関係ある……? と突っ込む。ゴリラはサムズアップし、バイクを球状の雷電で囲んだ。攻防一体、電磁シールド。
 エージェントに肉薄するバイクは、しかし、弾き潰す直前で何物かに引っかかり、低重力の空間に大きく跳ね上げられた。ヌイは空中に投げ出されるも、宙返りしてタンデムシートに着地する。既に手には氷火双銃。シートに爪先が触れると同時に移行した射撃姿勢で、バイクを阻んだ障害物――エージェントの帽子を氷と火の誘導弾で破壊する。落下衝撃で弾むバイクへ、仕込み刃を剥き出しにした帽子が次々と飛来する。雷電の盾によって直撃は免れるが、皮膚を掠める刃にはいやに重みがあった。武器による迎撃よりも回避を優先したヌイに、エージェントがおざなりな拍手をおくる。
「よく判ったな。ただの仕込みナイフじゃない、白兵用ウォーマシンの外骨格にも用いられる帝国謹製の超重合金だ。当たれば衝撃で挽肉だろうよ」
「ぬい……数が多い……よ……」
 エージェントを轢き潰そうにも、射線に割り込むそれの処理に手間取り、加速しきれない。どうする、と問う視線をゴリラがヌイに向けた。ヌイは眠たげな瞳を瞬かせる――状況は読み切った。
「いい……このまま……つっこんで……」
 ヌイの意図を察したゴリラは、バイクをフルスロットルで加速する。殺到する超重合金の弾幕。
「定義完了、今よりここは箱庭世界。黙示録の業火をここに。世界の終焉は今訪れる」
 ユーベルコード、"終焉ノ炎(メギドフレイム)"によって顕現するは超高熱の炎獄。いかな金属で造られた塊といえど、熱の前にはあるべき形を失う。
「荒っぽいなあ。床が抜けるかと思ったぜ」
 サイキックで咄嗟に躱したのであろう。エージェントは"終焉ノ炎"の有効射程をわずかに外れた壁面に膝をついていた。だが、頭部を庇ったのであろう両腕は焼け、完全に炭化している。炭の砕ける軽い音とともに腕の残骸を振り落したエージェントは、鋼鉄の頭部に埋め込まれたグラスアイを金色の敵意でギラつかせた。
「そろそろオレも荒っぽくやらせてもらうとするか……!」
 スーツ生地がねじれ、鋼色の巨大なマニピュレータが幾対もエージェントの体から突き出る。盛り上がった背中から現れるのは念動増幅エンジンを搭載した合成皮膜翼。成人男性ほどだった体躯は見る間に変形し、全長5mは越えるキメラ型ウォーマシンと化した。
「さーあ猟兵! せいぜい楽しい”見世物(サーカス)”を見せてくれ!」
「わしの! 名を! 呼んだか! 左様、わしこそ機械と電脳のスペシャリスト、ワンマンサーカスのグルクトゥラよ!」
 エージェントの咆哮に負けず劣らず堂々たる大音声で宣言したのはグルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)。
「ふ、新手か。一人増えたところで何も変わらんがなァ!」
 本来跳ぶはずのない鉄塊は、弱い重力と強力な念動推進力を得て、肉食蜘蛛のように跳躍した。獣がコロッセオの床に降り立てば、あたかもUDCアースは古代ローマの”闘技(サーカス)”そのものだ。
 生物の関節構造では為しえない奇怪な挙動でグルクトゥラに肉薄する獣を、同じくらい勝手気ままともいえる立体機動で迎撃するのは、予め多重召喚していた攻性電脳妖精。LOVEサンダー、電流を用いた攻撃を可能とする拡張オプションを積みこんだ妖精は、巧みに陣形を切り替えて獣を翻弄する。ある瞬間は膨大な電力を一極集中させる槍、またある瞬間は皮膜翼の制御を狂わせる電流の渦。
 あまりにも速すぎる無数の妖精は人間の視覚では捉えきれない。エージェントの戦闘最適化視覚を以てしても処理負荷がかかっていることは明白だった。妖精の自律防壁をペネトレーションして撃ち落とす、本来であれば即時完了してもいいはずの動作にも数フレームの遅延が見える。
「ガッツリ電圧上げとるからの、電撃で焼き鳥になりたくなければ降参した方がいいぞい」
 巨大すぎる体が仇となり少しずつ削られていくエージェントに、グルクトゥラが若干哀れみ交じりの台詞を投げかける。
「”焼かれる”のはどちらかな……! そこにいるのは判っているぞ、異界の呪術師」
「ん~、僕のこと~?」
 グルクトゥラの影から生えたかのように、カタラ・プレケス(呪い謡て夜招く祈りの鳥・f07768)が姿を現す。ウォーマシンの金眼がカタラを凝視するが、彼はそれに気圧される様子も無く。
「というか、今”見える”ようになったのかな?」
 のんびりと小首を傾げる。
 現実空間と並行して電脳空間の視覚を処理しているグルクトゥラのゴーグルには”見えて”いた。”天蠍縛砂(スコルピオ)”と”清呪神薬(スクナ)”を用いカタラが組んだ毒煙――ウィザード風に言えばウィルスアレイ――が、生物のようにエージェントの検知防壁をすりぬけ、システムを侵蝕していくのを。エージェントの防壁とて全く機能しなかったわけではない。グルクトゥラがガジェットボールズに仕込んでいたデコイプログラムを走らせ、毒煙の攻撃を隠蔽していたのだ。既にエージェントの入力系統は機能不全に陥りつつある。今の今までカタラを認識できていなかったのが何よりの証拠。
 想定以上にダメージを受けていることを突きつけられたエージェントは、動じることなく。
「は、は。呪い返しというのはご存知だろう、呪術師クン」
 蠢いていた獣の脚が突如硬直し、再び動き出す。先刻までと異なるのは、脚と翼の動きが一定の規則性に従うようになったことだ。妖精の攻撃はこれまでよりはるかに通るようになったが、致命傷になる場所だけは――あれだけの短時間で妖精の自律行動アルゴリズムをラーニングするとは面白い、とグルクトゥラは不敵に口角を吊り上げた――的確に守っている。
 身体をルーチンで回すということはおそらく、電脳戦を本気で仕掛けてくるということだろう。グルクトゥラに目配せされたカタラは、やや曖昧に頷いた。
「呪い返しか~。知ってるけど、素人がやるものじゃないかな~」
「オレが素人かどうかは、くたばってから理解するといい」
 ウォーマシンの音声デバイスから可聴域外のコードが詠唱される。鉄の空間が塗料をぶちまけたように黒く塗り替えられていく――宇宙を思わせる深い闇色、虚空に走る"銀格子(グリッド)"。帝国の電脳空間フォーマットの一つ。
 巨大なモジュール群とそれを覆う”蒼氷の防壁(アイス)”として視覚化された獣にも、カタラは怯む様子を見せない。
「うん。君がくたばったら、嫌でもわかると思う」
 のんびりとした口調でやりとりする、その息継ぎの中に織り込まれた高速の呪文。処理をパンクさせる強烈なデータ”奔流(ストリーム)”が、電脳獣の演算に割り込んだ。”分散機(バランサー)”が負荷をバラすより速く、カタラの”呪槍蒐監”が蒼氷の隙間を縫って命令系統に直接突き刺さる。危機を予測していた獣が槍の侵蝕領域を閉鎖してパージすれば、槍に封じられていた呪詛が解き放たれる。ウォーマシンにとって未知なる形式のデータは、解釈の猶予を与えない。呪詛は既に侵入していた天蠍縛砂と結合し、システムを”拘束(ロック)”する。こうなってしまえばいかに堅牢な防壁を備えたマシンといえど、籠の鳥。
「猟兵如きが図に乗りやがって……! 貴様の脳、焼かれるだけでは済まないと思え!」
 それでも獣は吼える。それゆえ鳥は詠う。敵意こそ、夜の喰らう糧。
「呪うは祈り、祈りは救い、やがて救いは絶望に、騙りませ・願いませ、全ては等しくこの夜に……満たされ閉じるは最後の詩なり」
 闇の宙と銀の檻を捻じ曲げて、濡羽色の――夜の腕が顕現する。
「それがお前の呪いとやらか! ”割(クラック)”るがいい、我が”毒蜘蛛(ワーム)”よ……」
 漆黒の電脳空間から、蜘蛛の形に具象化したウイルスが沸き出た。粗造のコードではあるが、夜の腕を食いちぎる悪意を帯びたものであることは間違いない。肉食蜘蛛は腕に群がる、も。
 夜の腕は、沸き出る蜘蛛ごとエージェントを圧壊させた。ホログラム氷の欠片が、拳の下で散る。
 権限者を失った電脳空間は明滅し、灰を散らすように剥がれていった。物理空間に蹲るエージェントの首を、カタラの鎖が間髪入れずに捩じ切る。
 首の落ちるやけに軽い音と同時に、天井から声が降った。
「デコイを使うのはお前たちだけじゃないんだぜ。体を一つ壊されるとは思わなかったが……"二重処理(ミラーリング)"をやめたオレは、これまでよりも速い」
 逆さの銀盤に独り佇む影。エージェントと同じ姿形、つまりはバックアップということだろう。
「残機1、てトコロのようじゃな」
 グルクトゥラが苦笑い交じりのため息をついた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ハロ・シエラ

あちらの敵は戦艦、過去を操る騎士に未来を見る戦士。
こちらの敵はサイボーグ。
仲間達も様々な武器や超能力を持っています。
私の武器は金属の刃物が二つ。笑えるでしょう?
ですがこの刃、鍛え方と研ぎ方が半端じゃありません。

相手は複数の帽子を飛ばしてくるのでしょう。
それらを【見切り】【武器受け】でいなしつつ、まずは敵に近付きます。
敵から20m以内であればリトルフォックスが届く位置でなくて構いません。
そして【フェイント】として、途中で攻撃の勢いに前進できないかの様に立ち止まります。
複数の帽子の攻撃を誘い、それらごと敵をユーベルコードにて攻撃します。
とにかく、味方に当てない様に注意しないといけないですね。



 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は己の手に在る二振りの剣を見つめる。薬で神経をクロックアップしてブッ飛ぶ”先端(エッジ)”でもない、出所不明のガジェットを積層させて組んだ技術の”辺縁(エッジ)”でもない、強く靭やかに鍛えられ研ぎすまされたシンプルな”刃(エッジ)”。
 銀河帝国の超技術とこの手の鋼鉄、果たしてどちらが優っているだろうか? それは刃を撃ち合わせれば判ること――低重力の戦場へと、ハロは躍り出る。
 天井に陣取っていたエージェントはハロの姿を認めると、自身を天地逆さに繋ぎとめていた念力を外し、超重合金を仕込んだ幾つもの帽子と共に落下してきた。自由落下の速さを破り、サイキックの思考速度で。
 剣術の構えを取るハロを警戒しているのか、落下速そのものを乗せたストンピングを入れてこようとはしない。代わりに複製した帽子を蹴り飛ばし、念動制御でハロの移動導線を妨害する。
 (なんて、あっけない)
 ハロは気の抜けたため息を気付かれないよう唇を噛んだ。向けられる仕込み刃は軌道が不規則とはいえ、故郷で向けられた血染めの剣に比べれば、一つ一つは致命の一撃たりえない。向かい来たる鉄帽の全てを、俊敏な身のこなしで回避する。逃げ惑うような足取りはフェイントの下準備。エージェントとの確実に距離を詰める……一歩、二歩、三歩。もう充分。ハロはやや後退りしながら、窮地に陥ったかのように足を止めた。――と見せかけ、腰溜めに剣を構える。“フレイム・スローワー”の射程は半径20m強。可能な限り、あの厄介な鉄帽を引き付けなければ。
「駆けずり回ってご苦労さん。そろそろ逃げ場が無いんじゃないか?」
 浮遊する鉄帽の上からエージェントが嘲笑する。
「ええ、そうですね。――逃げ場はありません、そこは私の間合いです!」
 一陣の熱風。ハロを中心に、空間が灼熱で歪む。生身である猟兵たちは皆それに気付き、各々射程から身を離した。熱は巡る――半径にして約20mの環。
 斬。
 環に捉えた全て、魂までをも焼き尽くす灼熱の一閃。鉄帽は消し炭となって散った。霊剣リトルフォックスの刀身が呼応し、”斬った”モノの”熱”が宿る。

 ――焼いた命の数が合わない?

 ハロの背を冷や汗が伝った。この刃には今、十数を超す命の残り火が焼き付いている。味方は誰一人斬っていないのに。
「く、くく、”魂(ゴースト)”焼きとは恐れ入った……!」
「ゴースト……?! まさか、あなたは!」
 エージェントの合成音声が明確な喜色に上擦る。
「オレは一度貴様らの戦いを見ているんだぞ? 少しばかり遊んだって構わないだろ、なあ」
 ひらひらと指先で弄んでいるのはウォーマシンやサイボーグの使う薄型”高密度集積記憶盤(ストレージ)”。ストレージに保存していたヒト――おそらくはサイキッカー――の意識をより上位のサイキックで潰し、念動兵器の補助燃料にした。そういうことなのだろう。
「ヒトの魂はよく燃えるんだ」
 エージェントに乗せられるな。ハロは身を焦がす怒りを押し留める。既に魂だけになってしまったものを救う術はない。ならば、この刃は。
「焼ける痛みより疾く――斬ってみせます」
 それは剣士の矜持。つるぎのように、折れぬ心の在り方だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊美砂・アクアノート
【SPD】★◎ 最初は、後衛担当として振る舞う。ーーーくそッ! 撃て、撃ちまくれッ! 畜生、なんて強さだ…! …と三下っぽく台詞を吐き、遮蔽物に隠れながらマシンピストルを連射する。【援護射撃5、スナイパー2】で、銃弾を弾幕のように撒き続ける。敵がウォーマシンに変身したら、呆然として声を失う。……デケぇな。畜生、こんなヤツが相手だなんて……ーーーテンション上がるねっ! やっほー!【だまし討ち5、暗殺5、フェイント5、2回攻撃5】【結界糸・無風陣】……アタシと一緒に踊ってくれる? ボクと一緒に笑ってくれる? さあさあ一切合切が斬々舞。オレの糸操りを、どうぞご覧あれ! 表情も口調も千変万化に移ろわせ



 低重力空間に足音が響く。更なる援軍だ。
 ヒャッハー! 景気良すぎる吶喊とともに飛び込んできた伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)は、挨拶代わりとばかりにマシンピストルをブッ放す。ガンガンと鋼の反響音。即ち、半狂乱の跳弾。
「撃て、撃ちまくれッ!」
「おっと……危ないことをするな。また派手な奴が来たものだ」
 少ないながら列伍を組んで飛ぶ帽子を横っ飛びに避け、伊美砂は懸命に弾丸をバラ撒く。だが帽子を足場に、曲芸の体捌きで猟兵を翻弄するエージェントには、なかなか弾が当たらない。だって、レーザーサイトの赤い照準は念力に歪められてしまうし、ほぼ正面からカチ合ってる時点でサプレッサーだって役に立っちゃくれないのだ。拡張マガジンは既に空。残弾15、12、9――ダメだ! エージェントの戦闘射程に入った!
「玩具担いで出てくるとは……宮廷道化でも演るつもりか?」
 伊美砂は戦闘の爪痕、深く抉られた床パネルの即席塹壕に体を滑り込ませる。髪の毛を数本巻き込んで頭上を鉄帽がすり抜けた。
「オレもな、暇じゃあない。一撃で終わらせるから安心しろよ」
 地鳴りが鉄の断層を揺らす。デカブツが接近してきやがってる――! 脱兎のごとく塹壕を飛び出せば、爆風が背後から吹き付けて彼女は頭から転倒した。重心をずらして両腕を床に突っ張り、ぐるり反転しながら着地。
 エージェントの眼は金に瞬いていた。腰から伸びた無骨な鉄塊、背鰭よろしく一枚だけ展開された皮膜翼。全長3mの半ウォーマシン、先程よりは小柄だが異形の威圧感は変わらない。
「……デケぇな。畜生、こんなヤツが相手だなんて……」
 エージェントは鉄塊底部のブースターとスラスターを操って、ナノセカンドで最高速に達する。閃く"剃刀(レイザー)"。
 伊美砂は一瞬声を失う。青褪めた顔はたちまち上気して赤らむ。常軌を逸して奇々怪々。魑魅魍魎の跳梁跋扈、彼女は、いや彼女たちは。
「――テンション上がるねっ! やっほー!」
 ダンスみたいに宙へ跳んだ。幽霊と踊るように、踊らされる人形のように、伊美砂は空中に静止する。
「バグってんじゃねえのか、猟兵!"思列矯正(マインドピース)"でも嵌めてもらうか?!」
 ウォーマシンの剛脚にも耐える鉄帽を蹴って、エージェントは伊美砂を追走した。
「"平和(ピース)"? アンタには"二本指(ピース)"で充分かな――アタシと一緒に踊ってくれる?」
 伊美砂が人差し指と中指を突き出した。その爪先には、彼女だけに見える意図が絡められている。"幽霊蜘蛛の糸"。強化ガラス繊維を撚った糸は視えず、鋭く、風切り羽が空切る密やかさで物体を切断する。
「踊るのは貴様ひとりだ、鉛弾を腹に詰め込んでな」
「ボクと一緒に笑ってよね?」
「ああ、そいつは全く。オレも滑稽で笑っちまいそう」
 燃え立つような笑いは凍り付くような笑みに。掬う為でない、断つ為の蜘蛛の糸。鋼鉄は既に絡めとられた。これより一切合切は斬々舞、それで御仕舞。
 ――"結界糸・無風陣"。
「オレの糸操りを、どうぞご覧あれ――って、もう見えないか」
 スワイプした指と指。伊美砂の視界、人差し指と中指の間で、エージェントは二つに裂けて絶命していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月23日


挿絵イラスト