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第二次聖杯戦争㉑〜時の果ての袋小路にて

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #キリング・フィールド #生と死を分かつもの #閻魔王

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 ソレがこの世界へ戻り来て、最初に耳にしたのが、遠く微かに流れてくる眷属達が哭く声だった。

 かつてこの世界でソレは生と死の端境に座していた。生命を讃え歌う者たちにより、確かに|倒された《除去された》筈だった。しかし、今ソレは生と死が渾然一体となった骸の海より此処に滲出し、鎮座する。

 ソレの名は、『生と死を分かつもの』。ある世界では閻魔王とも呼ばれる、異形の存在。



「お疲れ様です。先ずは甘い物でも」

 神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)が、一同の前にイチゴのタルトを並べながら言った。

「え、ああ。昔|銀の雨降る時代《学生時代》、戦争っていうと何時もお菓子を作って差し入れしてたので、久し振りに」

 そういえば、そうだった。と、元能力者の猟兵が頷いた気配がする。
 生命賛歌のみならず、重視する行動指針や能力傾向に特化した結社――猟兵達における旅団のようなものが、銀誓館には存在したのだ。戦争になると結成されるそこでは、決戦の日までは日夜問わず戦場や敵の考察等の議論が交わされ、決戦当日は戦況情報が飛び交う、まさにハブのような役割を果たしていたのだ。
 一部の結社にはお菓子が山のように積まれていたのだとか。糖分は脳の活性化にも利くというから、問題は無かったのだろう、きっと。

「では、本題に入りますね」

 トゥルダクの群れを追い払った先。小立野という地区が、消滅したという。

「消滅というか、闇に呑まれた……というほうが正しいでしょうか」

 闇の中は太古から、何時のものか判らない景色がランダムに現れる混沌とした空間になっているのだという。

「そこに居るのが、『生と死を分かつもの』という異形の存在です」

 かつてこの世界の生命を殲滅せんと暗躍していた異形。その一体であり、最後に対峙した異形でもある。それが、オブリビオンとしてこの世界に現れたのだ。

「異形としてこの世界に在った時も強大な敵でしたが、オブリビオンとなっても強敵であることは変わりません」

 今回はその『生と死を分かつもの』に味方するモノが居るという。

「ソレが何なのかは私にははっきり判りませんでしたが、そちらもまた強敵であることと、|対峙した猟兵《あなたがた》に縁がある事は判りました」

 深雪はここで言葉を区切り、一同の顔を見た。

「当然ですが、戦いを避ける事は出来ません。
 他にグリモアから伝わったことは、「つよく、否定をすること」です」

 そう言うと、席を立つ。

「おそらく相当に厳しい戦いになると思います。
 それでも、皆さんなら越えられると、信じています。どうか、宜しくお願いします。」

 ――あ。ケーキを食べてからで、大丈夫ですよ。

 そう付け加えると、深雪は銀光珠のカタチを取るグリモアに力を籠めた。


白神 みや
 お世話になります、白神しらかみです。
 書きたいなって思ったシリーズその2になります。
 もしよろしければ、お付き合いください。

 『生と死を分かつもの』と、それに味方する|英雄《何者か》。双方を相手する戦いです。
 どちらも強敵で、先制攻撃を仕掛けてきます。それに対処することと、|英雄《何者か》を想起し克服することがプレイングボーナスです。
 (|英雄《何者か》については、募集開始前に断章でもう少し掘り下げます)

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 先行でだしている槍男シナリオ完結後にプレイング受付となります。
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第1章 ボス戦 『生と死を分かつもの』

POW   :    テンタクル・ボーダー
戦場全体に【無数の触手】を発生させる。レベル分後まで、敵は【死の境界たる触手】の攻撃を、味方は【生の境界たる触手】の回復を受け続ける。
SPD   :    キリングホール
レベルm半径内に【『死』の渦】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ   :    閻魔浄玻璃鏡
対象への質問と共に、【無数の触手の中】から【浄玻璃鏡】を召喚する。満足な答えを得るまで、浄玻璃鏡は対象を【裁きの光】で攻撃する。

イラスト:佐渡芽せつこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その|英雄《未来》を否定せよ
 混沌とした空間で待ち受けていたのは、触手でその身を構成された、異形の存在。

「|吾人《われわれ》は『生と死を分かつもの』である」

 重く淡々とした声でソレは名乗る。その後ろから現れたのは。

「そして、此れなるは、そなたが未来の姿のひとつ」

 その姿と、『生と死を分かつもの』の宣告のような言葉は、様々な感情を想起させた。しかし、その存在は「違う」モノであると、本能的に理解できてしまった。

「信じぬか。否定するもまたそなたの選択であろう」

 『生と死を分かつもの』が、猟兵の様子を見透かしたように言う。

「だが、|吾人《われわれ》はただ、此れを数多の未来から選び取っただけである」

 その言葉と共に、「|猟兵《自身》の未来」と異形は同時にその牙を剥いた。
キアラ・ドルチェ
否定すべきは「若さを保ち、永遠に生き続けようとする私」
生命は円環…私の死が誰かの生に繋がり、そしてその死がまた別の誰かの生と繋がる…それを否定する「私」は美しくない!

「ヤドリギ使いの、生命使いの、その根源を忘れた貴方に」
【全力魔法】を【高速詠唱】し【多重詠唱】
「私が負けるはずがないっ!」
森王の槍を「私」と「生と死を分かつもの」にぶっ放します
「老いる事で知を積み重ね世界を知る…何事にも意味はある物ですよ、greener?(未熟者の意とヤドリギ使いであるなら私の想い受け止めて?の意を込めて)」

そして分かつものよ
骸の海に飲まれた貴方は既に「分かつ」ものではない
存在意義を失くしたなら、早く疾く去ね!



●円環を紡ぐ時の流れは大樹の如く
 キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)の前に現れた『生と死を分かつもの』が伴って現れたのは、今のキアラと変わらぬ女。しかし、キアラとは明らかに異なっている。その目に宿る彩はキアラにはない執着の彩。
 キアラはその姿を見て眉を顰める。目の前の女がどういう存在かを、察してしまったから。

「ねぇ。貴女なら、私の|えいえん《望み》を、理解できるのではなくて?」

 そう言って女は艶やかに微笑んで、キアラを手招く。|自分《未来》へ堕ちろと言わんばかりに。

「いいえ、そんな「|えいえん《望み》」は私には理解できません」

 そう女へ返すキアラの瞳に宿るのは明確な拒絶の彩。

「でも、死んでしまえば、終わってしまうわ」

 女はそんなキアラをあやすように、語る。しかし、姿こそ女と変わらないキアラを今形作る純粋さと潔癖さ、そして彼女が彼女たる所以が強く確固であるが故に、女の語る言葉は響かない。

「然り」

 そこに『生と死を分かつもの』の声が割って入る。

「――しかし、この世界は|吾人《われわれ》が消えし後、生と死は混然と成った。
 なればこそ、そして、生命の埒外と成った汝であれば、斯様に在り続ける事も出来よう。
 其れに何の不満があるのか」

 その問いかけは既に彼等の攻撃の始まり。言葉と共に『生と死を分かつもの』の身を覆う触手の奥から浄玻璃鏡が姿を顕す。

「生命は円環……私の死が誰かの生に繋がり、そしてその死がまた別の誰かの生と繋がる……それを否定する「私」は美しくない!」

 そう声をあげるキアラへ、浄玻璃鏡の光と、女の放つ植物の槍が襲い来る。

「……ヤドリギ使いの、生命使いの、その根源を忘れた貴方に」

 キアラは女を見据えたまま、ユーベルコードが展開し、幾重にも重ねていく。浄玻璃鏡の光を避けることは容易かったが、女の放った槍がそれをすり抜けてきた幾本かがキアラの身を傷つけていく。

「――私が負けるはずがないっ!」

 キアラは受けた傷の痛みを堪え、展開したユーベルコードの槍を放つ。それは確かに、過去を未熟と誤認した女の身を貫いた。

「老いる事で知を積み重ね世界を知る……何事にも意味はある物ですよ、|greener《未熟な貴女》?」

 驚愕の表情のまま消え逝く女に、今度はキアラが諭すようにそう零した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
閻魔王が召喚してくる未来のわたし……でしょうか?なんとなく嫌な予感がしますが、やはり……まだその可能性は残っていたと言う訳ですか!

わたしは、自分の信念を捨てません!
わたしを支えてくれた方々の為にも

●POW
閻魔王と未来のなめろうを捨てたわたしの先制UCを含めた攻撃を

「空中戦&推力移動」で駆けながら
「第六感&瞬間思考力」で「見切り」
「属性攻撃(デコイ)&オーラ防御」を込めた「一斉発射」のわたしそっくりなダミー「弾幕」を「範囲攻撃」で巻き

「念動力」操作しながら、欺きながら
「残像&空中機動」で掻い潜り
未来のわたしまで近接

なめろうを捨てたのなら(POW型なら)
使うUCは限られる筈、やはり蒼鉛王の要塞ですか、このまま「早業」UC発動

ビス・バイシーズを纏い食い付き
未来のわたしが堪えきれなくなるまで
装甲を抉りつつ、閻魔王の触手UCに
盾にしつつ「オーラ防御&結界術」込めた「シールドバッシュ&貫通攻撃」突撃で閻魔王を貫きます!

※アドリブ歓迎
※湊ゆうきMS様の「アポカリプス・ランページ⑮〜NO FEAR」参照



●それは信念と優しさの絆故に
 ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)が、『生と死を分かつもの』と相対した時、その傍らにいたのは見たことのある自分の姿だった。

「やはり……まだその可能性は残っていたと言う訳ですか!」
「貴女こそ、まだなめろうを捨ててはいないのですね」

 それは、ビスマスにとっては、一度相対したことがある存在。彼女を今の彼女たらしめた|「それ」《なめろう》を棄ててしまうという、今の彼女からすれば愚行にしか思えない行いをしたその先の存在だという、未来の自分。嘗て、他世界の戦争で姿を顕したその存在を、あの時確かに消し飛ばした。それ故にその未来は潰えたと思っていた……筈だったのだが、今確かにソレはそこに立っている。

「当然です! わたしは、自分の信念を捨てません!」
「運命には逆らえないと、あの時にも伝えたました。それでも、疑念すら抱かないとは……」

 そう、それを棄てるなどという選択肢は今のビスマスには存在しない。支えてくれた人たちと、今の自分を形どるものなのだから。



「ならば私がこの手で貴女のその執着を断ち切ってあげましょう」

 未来の自分が『生と死を分かつもの』を護るようにユーベルコードを展開し、それと連携するように『生と死を分かつもの』がその身を構成する触手を周囲に広げた。
 対するビスマスは、触手が拡がると同時に地を蹴り、攻撃を避けながら分身を生み出し囮としてぶつける。

(なめろうを捨てたのなら、使う術は限られている筈だと踏んでいましたが、正しかったようですね)

 推力を利用して空中を駆けながらもう一人の自分が展開したユーベルコードを確認したビスマスは、己の読みが正しかったことを確認し、ユーベルコードを起動させる。

「『Huge! Fuge! Form! Todo! Todo! Bis・Pisces!』」

 纏う鎧装が硬い音を立てながら、双魚の星の名を冠した鎧装へと形を変えて、もう一人が自分が展開した要塞に喰らいつく。そのまま齧り喰らい脆くなった装甲ごと、手にしたガントレットを盾の代わりにして殴りつける。

「わたしは、わたしが信じたものを、支えてくれる人達を、絶対に捨てません!」

 ビスマスのその決意と、改めての望まぬ未来との決別の宣言を乗せた一撃は、確かに立ちはだかる「敵」を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天城・潤
凍る時を進める為唯一人で往く

閻魔王とは人を裁く者と聞きました
父を喰い殺しその有様で母を狂わせた僕が
最も裁きに相応しいでしょうね

「ですが申し訳ありません」
『ソレ』を
自分を
涎垂らしヒトを貪るだけの
浅ましい姿を見据えながら話します

「『自ら選ぶ』僕はソレには決して堕ちません」

記憶を運んだ死霊は僕には救いの神でした
お陰で得た今は仲間と呼べる優しい方々のお顔が
僕を導く星

苦い記憶を姿を封じ込た僕は
決して先へは進めなかった
呼び起こしてくれた事を感謝したいですね

真の姿を解放
見かけは…ほぼ同じですね
でも違いますよ
「僕は意思持つ者であり続ける」
自らの意思で闘う者に正しい未来があるのだと
「今、自分で証明します」

先ず己を倒す
幾ら力得て強くなるとも
「頭のない者に負ける道理はありませんね」

護剣・断罪捕食詠唱

強く命の力籠め激烈な一閃を
強い否定が力となるのなら
一度で斬れるはずです

還す刀で閻魔王を
攻撃を喰らっても痛みも感じない
その上捕食もしますから
「往生際が悪い…さようなら!」
ぬめる触手を斬り顔廻りをスッキリさせたいですね



●封じ凍った時を動かす戦い
 それは、英雄にはかけ離れているように見える生き物だった。
 生命の埒外であれば、確かにヒトの型ではない真の姿を持つ者は少なくない。しかし、天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)の前に『生と死を分かつもの』と共に現れたソレは、そういう存在とは明らか異なっていた。

「閻魔王とは人を裁く者と聞きました」
「然り。|吾人《われわれ》は生と死の境界に立つものであり、死したものを裁くものである」

 淡々と言葉を交わす潤と『生と死を分かつもの』の傍らで、ヒトであることを棄て去ったかのような生き物が唸り声をあげた。
 その在り方のように捩じれ曲がった角と鋭い爪牙と黒い翼を備えた、吸血鬼の父の要素とは異なるそれは、さながら魔族のソレである。
 その姿を視認した時、鍵が解ける音が、心のどこかしたような気がした。それと共に、両親の要素が欠片もないその異形は、あの日記憶と共に封じ込めていた|吸血鬼《父親》を喰らった時の己の姿であると、何かが解けるように理解した。理解できてしまった。

「――たしかに、父を喰い殺しその有様で母を狂わせた僕には、その裁きが最も相応しいのでしょうね」

 ですが。
 と、潤は常と同じ仄かな笑みを口の端に乗せたまま、その生き物へと視線を動かした。生あるものの血肉に飢えた獣のようなその姿は、浅ましいとしか思わなかった。

「申し訳ありません。僕はソレには決して堕ちません」

 与えられた力ではなく、託された記憶と力が、今の潤を支え、形作っているのだ。それはさながら導く星となって道を示す。
 封じた記憶、止めてしまっていた時を動かす為の戦いが、此処に始まる。



 黒い獣が咆哮をあげ地を蹴ると共に、『生と死を分かつもの』が潤に向けて触手の群れを差し向ける。
 武器で受けとめながら、潤は記憶と共に封じ込めていた真の姿を解放する。その姿は確かに受け止めた爪牙の持ち主と違わぬもの。しかし。

「僕は意思持つ者であり続ける」

 そう。獣と違い意思がある。戦う意思が。生きようとする意志が。

「自らの意思で闘う者に正しい未来がある――。
 今、自分で証明します」

 その言葉と共に、潤はユーベルコードを展開する。獣の爪牙を受け止めていた刀が、斬り裂く為だけでなく、斬り裂く喰らう為の武器へと在り方を変える。
 そのまま、真の姿に転じたことで強化された膂力を用い獣を斬りつける。

「頭のない者に負ける道理はありませんね」

 獣となり果てる未来を断罪するような一閃が、黒い獣を両断する。そのまま還す刀で『生と死を分かつもの』へと、触手の群れを押し退けるように駆け抜け、肉薄する。
 押し退けた触手がその身を傷つけていくが、押し退ける為に振るった刀の喰らう力が、その痛みを相殺していく。

「顔廻りをスッキリさせましょうか」

 振るう刀が『生と死を分かつもの』の触手を斬り裂いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
真の姿:全盛期の能力者 錫杖装備 大人

其処に居る
生と死を別つ者とソレが

解る…これは確かに、俺だ

醜悪だ…魂が腐ってる
力に酔い銀の雨降る時代を踏みにじり
蔑ろにした末路の姿だ
遠い未来で在ってはならない方向に
こんな風に堕ちるのが俺の定めか

一瞬息を呑む
そしてこいつは…信じられない程強い
​目の前の死者の王よりも、はるかに

「…研鑽だけは怠らなかった、か…」

陸井の闘気が高まった
相棒が俺の横で憤っている
恐らくは、俺の為に

陸井と対峙したモノを見る
「…お前は絶対にこうはならない」
即座に言い切れた
「相棒のこの俺が断言する」

自分の未来を出されるより
遥かに腹が立った
…よし!

「とっとと片づけて一緒に元凶の彼奴を!」

即時己と戦闘
強いのは解ってる…だが!
「安心しろ!貴様にだけは絶対にならないっ!」
技能も全励起し刺突し終わらせる

「次はお前だ!」
UC白燐武空翔詠唱
ククルカンの上に立ち陸井と呼応し
生と死をわかつ者に突撃
裁きの光何するものか!
激突と同時飛び降り止めを

「貴様は既に終わったモノだ!去ね!」


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加

真の姿:全盛期の能力者、装備は着流しに「護」の字の羽織

あの時の、能力に目覚めた日の事は今でも思い出す
だからこそ、目の前のその姿が間違っているとは俺には言えない

この敵は確かに俺だ
異形の姿だろうとソレがそうだと
感覚で伝わってくる
あの場所を見つける事も
たどり着くこともできず
仲間達にも巡り合えず
ただ一人で復讐を誓って戦い続け
敵と自身の血に塗れた道の果て
「その果てに、掴めるものがあるとは思えないけどな」

迷いはするが、背中にかかる相棒の言葉に冷静になり
相棒が対峙する相手も見て
「時人もだよ、お前はそうならない」
それに俺の未来も相棒の未来も見れば解る
ただ強いだけで、それだけだ
共に戦う仲間達の心強さも
妻の暖かな優しさも
相棒が共に立つ安心も
その全部がある強さも
「お前には分からないだろうな」

戦闘開始と同時に突進
英雄も先制攻撃も覚悟して切り抜け
懐に入って切り払う
「こんな所で、止まれないからな!」

突破後即【戦文字「昇龍」】を使用
相棒と合わせて生と死をわかつ者に突撃
「これで止めだ!」



●繋ぎ繋がる未来と全てを断ち切り続けた果て
「是なるは、汝等の歩みの果てである」

 葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)の前に現れた『生と死を分かつもの』は無機質な声音でそう告げた。その左右に傅くように立つのは、見た目こそ彼等が厭という程によく知る男が二人。
 時人も陸井も、相対した時点で男達が見た目だけではなく間違いなく己の辿り着く極致の一つなのだと思い知らされた。

(醜悪だ……)

 相対した己がどういう過程でそう成り果てたのかを察してしまった時人は思う。自分にとって大切な、此処に至った道程を蔑ろにし、それらを血と土足で汚し至った末路が、目の前の存在なのだ。
 そんな思いを巡らす時人と目があった男が笑みを浮かべた。其処に在ったのは己の力への自信。そして、時人への蔑み。

 他方、陸井もまた、対峙した己と相対する。大切な場所や其処に集った仲間達との縁が繋がれないまま、唯々戦い続け復讐と見えぬ血に染まった果ての姿。
 血と戦いに飢えたようなニタリとした笑みは、自分自身でもそんな笑みは浮かべた事は無ければ、今後もそういう事はあり得ないと言い切れるそんな表情だった。

「その果てに、掴めるものがあるとは思えないけどな」

 知らずその不気味さに総毛立つような嫌悪感を感じながら陸井が零した言葉は傍らの時人の耳にも届いた。
 その言葉は、自分に向けられたものではなかったが、目の前の男のように「堕ちる」のが己の定めなのかと暗鬱に曇った時人の内心に光が差したような気がした。このような時に、自分の為にそう示してくれる相棒の存在のなんと頼もしい事か。
 そこで時人には漸く相棒が対峙する相手を観察する余裕が生まれた。

「……お前は絶対にこうはならない」
「時人もだよ、お前はそうならない」

 時人がすぐさまにそう結論を下せば、陸井もまた時人の曇りを言葉で祓う。

「当然だ。お前は俺には成り得ない」

 その言葉に応えたのは、時人の成れの果ての方だった。相対したその時から浮かべていた蔑みを隠す事のない声音。

「他人に甘えるようなお前が、俺になる訳がないよ」

 彼は蔑みの笑みを刻んだまま、時人を見据える。その笑みを受け止めた時人は、その言葉を耳にした傍らの相棒から言葉にならぬ気配が揺らめいたのを感じた。

(陸井が、憤っている)

 そう思いつつも、時人自身も、相棒の成れの果てには憤りを抱いていた。本人だけでなく、態々そこを選び抜いてきた、『生と死を分かつもの』に対しても。

「……よし! とっとと片づけて一緒に元凶の彼奴を!」
「ああ。こんな所で、止まれないからな!」

 二人背を合わせ武器を構えると共に、その姿が時の軛から解き放たれる。対する二人は、『生と死を分かつもの』の両翼に佇むまま。その戦いの火蓋は静かに落とされた。



(相手が強者なのは解っている……だとしても!)

 男が振るう大鎌を受け止めた時人の錫杖の鎖が揺れる。

「甘い……甘過ぎる! 他人に依存して、他人に縋って、それがお前の……ッ!」

 錫杖と大鎌のぶつかり合う最中、嘲るような男の言葉に割り込むように短刀銃の刃が割り込んだ。

「ただ強いだけで、それだけだ」

 静かな怒りを秘めた声音で陸井が告げた。その陸井に向けて拳が向けられる。

「協力等とという行いは己を甘やかす行いに過ぎない」

 諭すような声音でありながら、その目はこの会話すらも不要だと苛立ちに揺れている。その目を受け止める陸井は既に憤りを己の裡に沈め、平素と変わらぬ泰然さを見せる。

「お前には分からないだろうな」

 共に戦う存在のいる事の大切さも、共に生きる家族の温もりがどれだけの力を与えるのか。それを知らぬままにそこに至ってしまった事が哀しいとすら思いながら、陸井は短刀銃の引き金を引いた。

「貴様にだけは絶対にならないっ!」

 時人が錫杖を振るいながら吼えた。その咆哮の激しさと真逆のような鎖の揺れる音と共に、錫杖が「敵」を打ち据え貫いた。

 二人は否定した未来に振り返る事なく『生と死を分かつもの』と対峙する。
 時人はユーベルコードを展開し、己の身に宿る​|白羽の白燐蟲《ククルカン》を喚び出す。それを目にした陸井も相棒の意図を読み取り、戦文字から黒龍を喚び出す。
 |白羽の白燐蟲《ククルカン》と墨絵の昇龍が対のように並び立った。

「斯様に未来すら踏躙って猶進むか。其れは汝等が忌避したものと違いは在るか」

 『生と死を分かつもの』が投げかける言葉には応えず、二人はそれぞれに喚び出したものの背に乗り宙を舞う。その一方で、異形が携える浄玻璃鏡が、その背の主ごと2体を貫かんと裁きの光を照射する。
 |白羽の白燐蟲《ククルカン》と墨絵の昇龍は光をすり抜けるように空で連れ舞いながら、『生と死を分かつもの』へと迫る。

「貴様は既に終わったモノだ! 去ね!」
「これで止めだ!」

 |白羽の白燐蟲《ククルカン》と墨絵の昇龍其々から身を躍らせた二人の落下の勢いをも乗せた一撃が、『生と死を分かつもの』の身を穿った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年02月26日


挿絵イラスト