ダークうさみっち様だぞ!
榎・うさみっち
うさみっちの宿敵『ダークうさみっち』がアルダワで次々と悪事を働く!
(U廿x廿)<「ケケケケ!ダークうさみっち様だぞ!おそれおののけー!」
■内容詳細
・ダークうさみっちの悪行の数々と、一般人のリアクションを書いたノベル
・ノベルの雰囲気はドタバタギャグ、コミカル
・悪行の例:
食い逃げ、借りた消しゴムの角を全部使い潰す、他人の家の庭にミントを植える、シャンプーとボディソープの位置を入れ替える、等々
つまり「ギャグで片付けられる程度の割と地味な悪行」が多いです
人が死んだり大怪我したりと残酷な描写はNG
(ギャグっぽくちゅどーんと吹っ飛ぶとかはOK)
・宿敵がメインなので、うさみっち本人の出番は基本的に無し
(あっても最後にくしゃみして終わりとか)
・アドリブや自由な解釈大歓迎
■宿敵『ダークうさみっち』について
・外見はステシに活性化している最新イラスト参照
・うさみっちの2Pカラー。口調や性格もまんまうさみっち
だがやることは本物うさみっちと違って極悪非道!(本人談)
ユーベルコードも本物うさみっちのと似たようなものを使う
こいつの正体は一体何なのか?どういった経緯で生まれたのか?等、詳細は謎に包まれている
■ノベル文字数
最低1500文字以上はあると嬉しいです。あとは書きやすい文量だけ書いて余った分は返金で構いません。
■その他
・制作期限いっぱいかかっても構いません
・可能でしたら、数行程度でも良いので「後書きor前書き(MS様のコメント)」があると嬉しいです。無しでも勿論問題ありません
●マンドラゴラが逃げ出す程度の悪行
――オォォォオォォォォオォオォォォォォォォォオォオオォオォォォォォォ――。
――オォオォォォォォォォォオォオオォオォォォォォォオォォォオォォォォ――。
――ォォォォオォオオォオォォォォォォオォォォオォォォォオォオォォォォ――。
アルダワ魔法学園の学舎内のアチコチで、何とも不気味な音が波打つように響いている。
音がこのように響いているのは、音源が移動しているからだ。
――オォォォオォォォォオォオォォォォォォォォオォオオォオォォォォォォ――。
その音を発しながら移動しているモノの正体は、走る大根のようなもの。
手足の様に分かれた4つの根を元気よく振って走っている、活きの良いマンドラゴラ改良種である。
この学園で品種改良されたものだ。
なんでか逃げ出してしまったそれを追って、学生達もドタバタと駆け回っている。
「んなろっ! 逃げんじゃねえ!」
俊足自慢の学生は、とにかくダッシュで追いかけていた。
「そっちに行ったぞ!」
「ここで教室に追い込む」
別の学生達は、連携プレーで袋小路に追い込む作戦を取っている。
此処はアルダワ魔法学園。魔王を封じると言う目的は失われたとは言え、災魔と戦えるものを育てる場である。災魔に比べれば、マンドラゴラの1匹や2匹や10匹くらい、どうという事もない。
――オォォォオォォォォオォオォォォォォォォォオォオォォォォォォ――。
不気味な声が聞こえなくなるまで、あまり時間はかからなかった。
●悪行が多すぎる
「本当にごめんなさいっ! まさか土から出てなんて思わなくて」
園芸担当の学生が、申し訳なさそうにしながら無事に確保されたマンドラゴラ達を詰め込んだ箱にしっかりと封をしている。
声を聞いても誰も何ともない様に、と安全性を求めて品種改良したら、何でか凄く活きが良いマンドラゴラが出来てしまったのだ。普段は温室内の畑に埋まっているのだが、何者かが掘り起こしたらしく、温室を開けるなり飛び出して来たという。
「代わりにミントが植えられてたの……全部、引っこ抜かなきゃ」
「なんでミント。つーか、何なんだ今日はー。おかしなことがあり過ぎだろ」
疲れた顔で溜息を零す園芸担当の学生の言葉に、マンドラゴラを走って捕まえた学生が、こちらも疲れた顔でへたり込んだままツッコミとも相槌ともつかない声を上げた。
「朝はよー、あちこちで男子学生のロッカーに白紙のラブレターが入ってた事件あったろ」
「あれは……むごい事件だった」
――ドヤァ。
一部の男子学生が、遠い目になった。
「チョークがクレヨンに替えられていた事があったとも聞いたわ。洗うのが大変だったって」
――ドヤァ。
「購買では、炭酸飲料がブンブンされた形跡があったらしいよ。開けたらブシャーッ」
――ドヤァ。
「購買と言えば、ヤキソバパン食い逃げ事件もあったな。通りすがりの転校生の3分クッキングで事なきを得たとか」
――ドヤァ。
「あとアレ。転校生から猫の国に伝わって密かに流行してる『センタイモノ研究会』の人形バラバラ事件な。頭部と胴体と手足がバラバラにされた挙句に、色がチグハグなキメラ合体された。許せん」
――ドヤァ。
マンドラゴラ脱走事件の収拾に当たった学生達は、口々に事件を並べて立てていく。
今日は朝から、何かが色々とおかしい。
「温室には鍵がかかってたわ。換気用の天窓は開けてるけど、小さいからフェアリー種くらいじゃないと……丁度、あのくらいの」
思索を呟きながら、園芸担当の学生はふと窓の外に視線を向けて、そして指差した。
そこに浮かんで、さっきから事件を並べられる度にドヤァしてる黒髪のフェアリーを。
「ケケケケ!」
笑うその黒髪の一部は兎のタレ耳の様になっていて、肌の色はフェアリー種には珍しく黒い。
「……ふむ。そう言えば、件の白紙のラブレター事件のあったロッカーに黒髪が落ちていたと聞いたな」
「チョークがなくなった教室から、黒髪のフェアリーが出ていくのを見たって証言もあったわよね」
「購買の周りでも見たって聞いた!」
「ヤキソバパンは俺様が頂いたぜ、とか言ってた声に似てる気がする……」
「『センタイモノ研究会』でも見たぞこんなの!」
徐々に、窓の外のフェアリーに集まる視線。
「ケケケケ! ……ん?」
フェアリーも、学生達に気づいた。
「このダークうさみっち様の極悪非道な悪行の数々を乗り切ったな! 褒めてやろう!」
――ドヤァ。
「極悪……」
「非道?」
「悪行?」
「なに言ってんだこいつ」
ダークうさみっちと名乗るフェアリーの自慢げなドヤ顔に、しかし学生達は揃って首を傾げる。
悪行。確かに悪行と言えば悪行だろう。だが何と言うか、どれも地味だ。
「ダークうさみっち様を本気にさせたことを、後悔させてやる!」
そんな学生達の視線を浴びながら、ダークうさみっちはバッと両手を広げて――。
「ダークせみっちファイナル!!!」
そんな掛け声と共に、ダークうさみっちの全身が漆黒の輝きを放ち出した。
●騒音という悪行
――ウサ……。
黒光の中から、幾つもの影が現れては、周囲の樹々や校舎の壁に貼り付いていく。その数、優に数百匹以上。
――ウサウサ……。
――ウサウサウサ……。
「何だあれ」
「虫……なのか?」
「あー! これ、マンドラゴラの温室の中でひっくり返ってるの見たよ!」
「何!? ではやはりあのフェアリーが犯人……!」
その無数の何かに、学生達が反応した、その直後。
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
「「「ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ……」」」
【妙にリアルなセミっぽい小型ダークうさみっち】の群れ、が一斉に鳴き始めた。
「「「う、うるせぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」
季節外れのセミの大合唱に、学生達が揃って頭を抱える様に耳を塞いだ。
それでも、ウサウサという謎の鳴き声(?)は完全に消えはしない。
「そもそもなんだこの鳴き声。何ゼミだ?」
「って言うかセミなの?」
「わからん。うさいと言うか、うるさい」
「むしろウザいね」
「誰が上手いこと言えと言った」
「ケケケケ! これがダークうさみっち様の力だ! おそれおののけー!」
ドヤァ。
混乱してわけの分からない事を言い合う学生達を尻目に、ダークうさみっちは物凄い満足気なドヤ顔で浮かび上がっていって、そのまま何処かへ飛び去って行った。
ダークうさみっち。
その悪名は、これからのアルダワ魔法学園に響き渡る――かもしれない。
やつが何処から来て、何処へ行ったのか。そもそも微妙な悪行の数々は何だったのか。
その正体、目的は、今はまだ本人のみぞ知る事である。
●あとがき
ご依頼ありがとうございました。
『ユーベルコードも本物うさみっちのと似たようなものを使う』との事でしたので『なら、せみっち召喚くらいしとかないと本物に賑やかしさで負けかねないぞ2Pカラー』とか思って、ダークせみっち召喚させてみました。
ダークせみっちのモデルはクマゼミにしてみました。色、黒いし。『シャワシャワシャワ』とか『シャンシャンシャン』とか書かれるやつらなので、鳴き声は『ウサウサウサ』になりました。鳴き声を決めてから調べて初めて知った事なのですが、クマゼミとミンミンゼミの鳴き声って、実は構成してる音はほぼ同じらしいです。違って聞こえるのは、再生速度の違いなんだとか。
泰月がリプレイで描写してきた本物せみっちの鳴き声『みーっちみっちみっち』はミンミンゼミをモデルにしてます。凄い偶然ですね。(ドヤァ)
成功
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