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銀河帝国攻略戦㉓～黒い羽の婦

作者：幾夜緋琉

●銀河帝国攻略戦㉓～黒い羽の婦
「猟兵の皆、度々ごめん。でも、後もうちょっと……だと思う」
　双葉・章は、軽く頬を掻きつつ。
「みんなのお陰で、『解放軍』の皆も力を付けてきてる。でも……解放軍の目の前に、帝国旗艦『インペリウム』を守護する、強力な宇宙艦隊が現れたんだ！」
「この宇宙艦隊は、防御力が非常に高い上、銀河皇帝の力によって、損傷を徐々に回復する様な能力が備わっているんだ。だから、『解放軍』の戦艦であっても、砲撃戦のみでは『インペリウム護衛軍』を撃破する事が出来ないんだ。恐らく、攻撃するペースより、回復するペースの方が上回ってしまうからだと思う」
「でも、この状況を打破するためには、『解放軍』の砲撃によってダメージを与えたインペリウム護衛軍の艦艇に対し、猟兵が転移による強襲を賭け、撃破する作戦が必要なんだ！」
「やり方としては二つ。解放軍の砲撃支援を受けながら、外から突撃して敵を撃破する。もしくは『解放軍』の砲撃により撃ち破られた外壁から一気に突入し、インペリウム護衛軍の一個艦隊の指揮官を撃破する事になる」
「皆が相手にする、このインペリウム護衛軍の指揮官は『人造生命体『マンティコア』』の様だね。かなり強力な相手だから、皆の力を合わせ名と、例え艦隊の中に突撃したとしても、追い返されてしまう可能性も高いと思う。だから決して油断ならない相手なのは間違いない」
「とは言え、彼女達を逃してしまえば後々、不味い事になるのは間違いない。だから、ここで決着を付けてきて欲しいんだ！」
　そして翔は、グリモアをその手に作り出し。
「それじゃ、皆、準備が良ければ言ってね！　転移を始めるよ！」
　と、強く頷くのであった。

第1章 ボス戦 『人造生命体『マンティコア』』

POW   :    不可視の牙 【真空刃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    獣の雄叫び 【凄まじい大音量の咆哮 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。 WIZ   :    猛毒の棘 【蠍の尾 】を向けた対象に、【蠍の尾から放たれる針と猛毒】でダメージを与える。命中率が高い。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「ん……戦争も、そろそろ大詰め、かな……」
　と、ペイン・フィンが、目前に浮かぶインペリウム護衛軍にぽつり呟く。
　そして霧城・ちさも。
「そうですわねっ……でも、この護衛艦を仕留めなければ、終わらないのですわね。でも絶対、護衛艦の指揮官さんは見つけ出してみせますわっ！」
　と、ぐぐっ、と拳を握りしめて気合いを入れる。
　……ともあれ、そんなインペリウム護衛軍を倒すのが、今回の目的。
　その方法としては、中に居る指揮官を倒す事が必要な訳で……突入しなければならない。
「……それで、突入方法だけど、どうする？　外から突撃も悪くないとは思うけど……最初から接近戦の方が、得意だし……自分は、砲撃で撃ち破られた外壁から突入、かな？」
　とペインが提案すると、ちさはちょっと考えて。
「んー……そうですわね。確かに壊れた外壁から突入するのが一番良さそうですわね。では、解放軍の皆さんに、外壁を破壊して頂くとしましょうか。ちょっとわたくし、話を付けて参りますわね」
　と、一端その場を後にして、解放軍へと話を付ける。
　……そして、宇宙空間に飛び出す猟兵達。
　一直線にターゲットであるインペリウム護衛軍の艦艇まで接近すると、タイミングを合わせて解放軍の艦隊から一斉に砲撃。
　一箇所に集中させる事で、護衛艦の外壁の一角に穴をぶち開け、そこが塞がれるまでの間に、猟兵達が全員突撃していく。
　……そして、艦内を敵の気配を求めて進んで行くと。
『……フフフ！』
　突然、桃色の髪に、獣の手、尻尾を備えた影が襲撃。
　その不意の一撃を喰らうペインだが、すぐ。
「大丈夫ですの？」
　と、ちさが声を掛けると、ペインは小さく頷く。
「大丈夫……やっぱり、範囲攻撃と、尾による攻撃が得意……なのかな？」
「ええ……マンティコアの攻撃は、範囲の広いものがありますし、ぎりぎりの位置から踏み込んで攻撃、離脱の流れになりそうですわね……ならば、攻撃の手数を多くしていきますわっ」
「了解……なら……こちらも、そうしようか……」
　と、ペインは頷き、マンティコアに向けて『罪の末路は獣の決まり』を発動。
　3ｍ超えの騎獣『キャット・バロニス』が現れると、それに騎乗するペイン。
　黒猫の尾を振り回して牽制する中、ちさが全力魔法を発動し、攻撃。
　……ただ、マンティコアはそれら攻撃を、素早い身のこなしで躱しながら、猟兵に対して威嚇し続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　と、そんなマンティコアに対し。
「……マンティコア……人造生命体と聞いていたが、ヒトに近いその姿に驚きと怒りがこみ上げる。コレがどうやって作り上げられたのか……考えるのもおぞましいな」
　冷たい視線と共に蔑する言葉を呟くは、當良邑・祈。
　そんな彼女の少し上に飛ぶフェム・ポーが。
「そうねぇ……銀河帝国、スペースワールドの人達を苦しめる悪い子たちねぇ？　わざわざ現世に迷い出てきて、さらに悪行を重ねてしまうなんてかわいそう、かわいそうだわぁ。ちゃんとフェムが『救って』あげなくちゃぁ！」
　と妖艶に微笑むと、それに絡繰・ビリーも。
「うん……私に皇帝を倒す力はないけど、こうして皆の援護は出来る筈。だから、頑張らないと！」
　拳を振り上げ、気合いを入れる。
　と、そんな猟兵達へ。
『……！！』
　暫し、見つめたかと思うと……耳を劈く咆哮を上げる。
　そんな咆哮をどうにかやり過ごした後。
「お前が命なら逃げるか戦うか自分の意思で今決めろ。道具なら目的に殉じてろ。すぐに楽にしてやる」
　と宣告と共に、祈るポーズを取り、足を展開、そして……斬りかかる。
　しかしその一閃、獣の手で受け止めるマンティコア。
　更に続いてフェムが。
「ウフフ。這い蹲って、哀れで愛しい姿を見せてぇ？』
　と妖艶な笑みと共に、『寵愛の鎖』でマンティコアを縛り上げる。
　そして、ビリーも。
「咆えろ、蒸気エンジン！　貫き、鋼の角！　行くぞ、ギアホーン！　スクラップ召喚！」
　と、廃材より作ったサイ型魔導蒸気機械獣を召喚、騎乗し、自己強化。
　そして、マンティコアは次の刻……今度は蠍の尾を器用に蠢かせ、猟犬達に針と猛毒を放出する。
　その毒針攻撃をひょいひょいっ、と躱しながらフェムが。
「ふぅん、マンティコアちゃんはぁ、毒針とかを使ってくるのねぇ？　……当たったらぁ、どんなに苦しいのかしらぁ。うふふ、ちょっとたのしみねぇ？」
　と、挑発する様に笑い、その攻撃を惹きつける。
　そして祈がヴァリアブル・ウェポンを発動し、不意を突いた位置からの攻撃。
　更にギアホーンに騎乗したビリーが、至近距離から、頭狙いのスナイパーショット。
　その一撃に、多少怯んだ様な動きをするマンティコアではあるが……すぐに反撃へとシフト。
　雄叫びと、蠍の尾、更には真空の刃を次々と撃ち出す事で猟兵達を無惨にも殺戮しようと攻撃し続ける。
　しかし、その攻撃をも。
「耐えてね、ギアホーン！」
　と、ギアホーンと共に仲間達の前へと立ち塞がり、その攻撃を耐える。
　そして、残る仲間達が一斉にマンティコアへと攻撃を加え、その体力を削る。
　……次第に、彼女の身体がボロボロに成り行くのを見たフェムが。
「ああ……愉しんでばかりはダメよねぇ。ちゃんと救ってあげなくちゃねぇ？　ほーら、マンティコアちゃんの痛みも苦しみも哀しみも、ぜんぶ、ぜぇんぶフェムが貰ってあげるわねぇ？」
　と笑いながら、更に『寵愛の鎖』で、生命力を吸い上げ尽くす。
　……そして、マンティコアとの戦闘開始から数分が経過。
『……ゥゥ』
　と、苦しげな呻き声を上げるマンティコア。
「……そろそろ、ですね」
　と、祈の言葉。
「了解！　さぁ、一気に仕掛けるよ！」
　とビリーが声を上げて、一斉攻撃。
　……その攻撃の前に、マンティコアは削れ、死へと至り……指揮官を失いし艦は、制御を失う。
「さぁ、急いで脱出するわよぉ！」
　とフェムが導く様に退路の先陣を切り……猟兵達は、急ぎ艦を脱出するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月20日