5
第二次聖杯戦争⑰〜アミザージ・アマレラの稀人達と蜘蛛女

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #ふたりでひとり #蓮華と橘 #榊原葉月の受難

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#シルバーレイン
🔒
#第二次聖杯戦争
🔒
#ふたりでひとり
#蓮華と橘
#榊原葉月の受難


0




 ふたりでひとり。
 薔薇に包まれ、世界との戦いに挑む少女ふたり。
 その美しくも破滅を呼ぶ願いを打ち砕くべく、ふたりの元へ向かう猟兵たち。
 その背を見守る、少年と少女がいた。
「……猟兵の皆さんは戦いに向かったようね」
「薔薇の壁くらいじゃ、あの人たちを阻むことなんて出来ないからね。……ん?」
「どうしたの、立花くん」
「………………今、何か光ったような……」
「え?」
「いや、何でもない。僕らは僕らに出来ることをやろう」
「……そうね」
 彼らは眼前に広がる黄色い薔薇の壁へと手を伸ばす。
 その身を傷つけるのが、棘ではないと知らぬまま。


「周太は本業ジョブを土蜘蛛の巫女に変えたみたいだな」
 誰だよ。
 一部を除いた猟兵は、聞き慣れぬ名前に南天庵・琥珀(ナイトタイムドリーマー・f36445)を半目で見据えた。
「その前に。この世界が今、聖杯と融合した揺籠の君によって崩壊の危機を迎えているのは、もう知っているよな」
 この第ニ次聖杯戦争も、猟兵たちの怒涛の進撃により次々と戦線が押し上げられつつある。揺籠の君へとその牙が届く時も、そう遠くはないだろう。
 そんな中、この戦いに横槍を入れようと目論む存在があると言う。
「万能宝石エリクシル。異世界からの侵略者だ。『ふたりでひとり』の願いを叶えるために現れたらしい」
 ふたりでひとり――『魔槌・しなもん』と『雪降・ここあ』。
 彼女らは既に合流を果たし、金沢南総合運動公園のバラ園、その急成長した薔薇の中に身を隠してしまったらしい。
 既に彼女らを打倒すべく出撃している猟兵もいるが、実はその薔薇の中にこそ、万能宝石エリクシルは萌芽し鈍い輝きを放っている。更に始末の悪いことには、潜んでいるエリクシルを全滅させない限り、薔薇は再生し続けると言うのだ。
「だからと言って、はいそうですかと侵略を許す俺たちじゃない。そうだろう? だから皆には、」
 薔薇を模したエリクシルを、根こそぎ殲滅する。
 それが猟兵たちの――、

「周太と夏蓮を助けに行って貰いたい」

 何でだよ。
 と言うか本当に誰だよ。
「周太は銀誓館学園の能力者だ。俺にとっては先輩にあたる。夏蓮は銀誓館学園生じゃないけど、周太と同い年の土蜘蛛だな。二人は今、俺たちがこの世界を護るために戦っていると知って、榊原先生に頼んで現場に向かったらしい」
 また知らない人名出てきた! ……いや、それはこの際もういい。
 問題は、猟兵でもエンドブレイカーでもない能力者ふたりが、エリクシルと対峙しようとしている。その点なのだろう。
「周太も夏蓮も、少しでも俺たちの助けになろうと薔薇の駆除を手伝ってくれてるんだが。それでも、エリクシルをどうにかすることは出来ない」
 二人を救うことが、結果としてエリクシルを駆逐することに繋がるわけか。
「ただ、エリクシルは薔薇に擬態している上に、広範囲に存在している。範囲攻撃が出来ないなら、周太の力を借りるといいと思う」
 彼らはエリクシルを滅ぼせない――だが、逆に言えば『|それ以外《薔薇そのもの》は駆除出来る』わけだ。範囲攻撃を頼む他、薔薇とエリクシルを瞬時に見分けるユーベルコードや技能を持たない者にも助けになるだろう。
 但し当然、エリクシルは抵抗してくる。猟兵やエンドブレイカーであれば、ユーベルコードに頼らずとも武器や魔力の防壁などで叩き落とせる程度のものだが、周太と夏蓮にとってはそうもいかない。ゆえに、無闇に協力を仰ぐのは避けた方が無難だろう。
「俺も気持ちは解るよ。この世界の能力者なら、猟兵の力がなかったとしてもきっと、何か自分に出来ることを探してた。でもな、今の俺は能力者であり、猟兵でもある。そうなるとな、ふたりの気持ちを汲むよりも、死んで欲しくないって思いの方が、勝ってしまうんだよ」
 だから、ふたりも助けて、侵略者も撃退して、皆でハッピーエンドを迎えようじゃないかと。
 琥珀は、恐れることなく微笑んだ。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 この三人にも顔を出させたいなって。

 戦争シナリオのため、今回は1章構成です。

 第1章(冒険):『エリクシルの薔薇を刈れ』

 薔薇の形をした『エリクシルの力の断片』をひとつ残らず滅ぼすという意志と手段が見られればプレイングボーナスが得られます。
 意思があっても手段が不安、という方にはお声がけいただければ周太がお手伝いいたします。
 因みにエリクシルの息がかかった薔薇を駆除し尽くしても、バラ園に元からあった薔薇は何故か無事に元に戻るようですのでご安心ください。

 !周太と夏蓮について!
 プレイング冒頭に『🍊』のマークを入れていただくことで二人がお手伝いいたします。
 但し、エリクシルからの反撃を二人は何度も受けられないので、協力を仰ぐ場合は護ってあげてください。
 詳しい能力は以下の通り。

 周太:スターライト・エアリアル+ダメージ能力相当の範囲攻撃アビリティにて薔薇の駆除を担当。
 夏蓮:薔薇の駆除には加わらないが、【二回まで】猟兵の力を借りずにエリクシルから周太を庇える。

 🍊マークがない場合、彼らはリプレイ内に登場しません。その場合は声をかける必要も護る必要もございません。

 !榊原先生について!
 今回は本当に名前が出てきただけです。
 リプレイ内には登場しません。

 断章なし、公開された時点で受付開始です。
 但し今回は受付期間が短く(タグ参照)最低成功数での完結を目指すため、人数によっては全員採用がお約束出来ません。
 また、逆に足りなくても募集延長はせず、サポートをお願いして執筆を進めさせていただきますことをご了承いただければ幸いです。
 それでは、よろしくお願いいたします!
56




第1章 冒険 『エリクシルの薔薇を刈れ』

POW   :    強烈なユーベルコードで万能宝石エリクシルを叩き潰す

SPD   :    増殖以上の速度で薔薇園の薔薇を刈り取る

WIZ   :    強い「願い」をぶつけ、エリクシルの反応を探る

イラスト:十姉妹

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ムゲン・ワールド
🍊 アドリブ歓迎

ふたりでひとりの二人が(好みなので)エリクシルに歪められてしまわないため、が動機だが、他人もいる手前、シルバーレイン世界にエリクシルが氾濫しないためを表向きの理由に

 銀誓館の能力者か。行動力が高くて結構な事だ。俺が学生だった頃を思い出す。いや、今も学生なんだが。
「銀誓館の能力者同士、力を合わせていきましょう。|起動《イグニッション》」
 UCでナイトメアビーストに変身、2人を背中に乗せて駆け出します。
 周太さんに範囲攻撃してもらい、エリクシルは私が仕込み杖で破壊。
 攻撃は回避出来る筈ですが、無理なものは武器で【受け流し】

 一応学生同士なので既知設定とかにしてくれても大丈夫です




 猟兵たちはバラ園へと急ぐ。
 ムゲン・ワールド(愛に生きたナイトメア適合者・f36307)もその一人だ。
 猟兵であり能力者でもある彼は、やはり故郷の一大事に戦意に燃え――、
(「ふたりでひとり……彼女たちの願いを、エリクシルなんかに歪ませはしない。何が何でも守り抜く」)
 あっ、そっち?
「……こほん。|この世界《シルバーレイン》にエリクシルを氾濫させないためにも、全力を尽くします」
 何にせよ、やる気があるのはいいことである。
 それに故郷のため、だって完全な建前というわけではないのだ。ただちょっと、ふたりでひとりへの想いが上回っただけの話で。
 ともあれ、ムゲンは改めて一度、周太と夏蓮へとその視線を向けた。彼にとっては、後輩にあたる少年少女。
(「しかし……銀誓館の能力者か。行動力が高くて結構な事だ。俺が学生だった頃を思い出す」)
 かつての自分も、学園の仲間たちと共に数多の戦地に赴き、様々な土地へ向かったものだ。
 ……とは言え。
(「いや、今も学生なんだが」)
 運命の糸症候群により、周太たちと同じく高校生の時分まで若返ってしまったムゲンは、二度目の学園生活を送っているのだ。
 キャンパスが違うのか周太に会ったことはないが、今後何かの折に学内で会うこともあるのかも知れない。
「銀誓館の能力者同士、力を合わせていきましょう。――|起動《イグニッション》」
 一度目の死と隣り合わせの青春で、そうだったように。
 猟兵となった今も、ムゲンはイグニッションカードを掲げ、告げるのだ。力の解放を!
「さぁ二人共、背中に乗ってください」
 己のナイトメアと融合し、有翼のケンタロスのような姿となったムゲンは周太と夏蓮をその背に乗せて、バラ園を駆け巡る!
「実際の薔薇は無事なんですよね。それじゃあ、遠慮なく刈り尽くします。――ふっ!」
 ムゲンの背を基点に、周太はその周囲を星を生み出すと、それを足場に日本刀で花も茨も一帯を斬って捨て、またムゲンの背へと戻る。
 彼が打ち果たせず宙に残った偽りの黄薔薇、その花弁の如き宝石の弾丸を軽やかな身のこなしで回避して、かつても振るった仕込み杖を今もまた、抜き放つ。
 幾重もの銀の軌跡が、万能宝石の断片を粉々に打ち砕く!
(「全部、守ってみせる」)
 世界も、少女たちの心も!

大成功 🔵​🔵​🔵​

八坂・詩織
🍊
|起動《イグニッション》!
髪を解き、瞳は青く変わり白い着物を纏う

周太さん、夏蓮さん初めまして。銀誓館中学部の教師、八坂・詩織です。
手助けに来ていただいてありがとうございますね。
事情を説明、能力者だけでは対処が難しいと思いますので私も手伝います。

氷属性の【オーラ防御】展開、二人を【護衛】できる位置取りを心掛けます。
では…|極月煌光《ウルティメイトルナ》!

同名のアビリティを見たことあるかもしれませんね。
この光は敵を溶かす光なのでエリクシルだけを攻撃できるはずです。
周太さんは周りの薔薇を、偽物ですから遠慮なく。
夏蓮さんが庇いきれない反撃は【かばい】ます。
能力者だって、共に戦う大事な仲間ですから…




「――|起動《イグニッション》!」
 八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)が唱えると同時、そのイグニッションカードが呼応する。
 さらりと散った黒髪に、瞳は青を吸い込んで、真白に散る新雪の如き純白の着物を纏ったら、それが解放の証だ。
「周太さん、夏蓮さん」
 そして詩織はすぐに、少年少女へ駆け寄り声をかけ。
「初めまして。銀誓館中学部の教師、八坂・詩織です。手助けに来ていただいてありがとうございますね」
 まずは挨拶と、感謝を。
 危険な戦場ではあるが、能力者として知ってしまえば静観は出来ない、その気持ちは学園の卒業生でもある詩織にも理解出来るものだから。
 彼らの気持ちはありがたいし、尊重したい。だが、彼らにとってここが非常に危険な場所であることも事実。
「今回の件は、能力者だけでは対処が難しいと思いますので、私もお手伝いします」
 手短に事情を説明し、協力を申し出る。周太も夏蓮も、猟兵と関わった経験があることもあり、飲み込みが早かった。
 話を聞けば納得して、こちらこそよろしくお願いしますと頭を下げた彼らのために。
(「教師として、猟兵として、そして能力者の先輩として、出来ることは全てやりましょう」)
 雪女としての力で氷のオーラを周囲に展開し、詩織自身を周太と夏蓮の盾代わりに出来るよう立ち位置を調整してから。
 す、と流麗な所作で淡紅の風花を薔薇の茂みへと翳せば。
「では――|極月煌光《ウルティメイトルナ》!」
 赤い月の光を受けて、風花もまたその色を濃くする。
 そして、どろりと一部の黄薔薇が変色し、溶け始めた。花弁と見紛う宝石が射出されるが、オーラを防壁代わりに防ぐ。
「同名のアビリティを見たことあるかもしれませんね。この光は敵を溶かす光なのでエリクシルだけを攻撃できるはずです」
 現役教師でもある詩織の説明は丁寧だ。
「周太さんは周りの薔薇を、偽物ですから遠慮なく。夏蓮さんは周太さんのこと、お願いしますね。私もフォローしますから」
「解りました。全力で刈り取ります」
 周辺へ生み出した星を蹴って、目にも止まらぬ速さで翔る周太は日本刀を振り抜き、偽りの黄薔薇を切り捨ててゆく。着地の瞬間を狙って放たれた反撃は夏蓮が庇い、地に落ちたエリクシルを詩織が溶かしていく。
(「能力者だって、共に戦う大事な仲間ですから……」)
 共に戦おう。大切なこの世界を、守るために!

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
🍊
【心情】
頼りになる後輩が応援に来てくれたことは嬉しい
嬉しいがちょっと痛しかゆしと言うか

最悪の場合でもこの2人は無事に帰さねえとな

【戦闘】
「サンキュー、助かるぜ、2人とも」
「冬休みどうだった? クリスマスとかあったろ?」
「コミュ力」でリラックスさせつつ

UCを発動して、エリクシルの存在を「索敵」
周太に範囲攻撃を使用してもらい、薔薇を吹き飛ばしてもらう

エリクシルの攻撃パターンは伝えておく
どうしようもない状況と判断したら「かばう」

『エリクシルの力の断片』に対しては、「斬撃波」「なぎ払い」で確実につぶす

状況解決後には制圧した戦場での警戒・人命救助を依頼

こういう時、俺も大人になったんだって感じちまうな




「手伝いに来てくれたんだってな。サンキュー、助かるぜ、二人とも」
 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は周太と夏蓮に屈託のない笑顔を向けて見せた。
 だが、その胸中は穏やかであるとは言い難い。
(「頼りになる後輩が応援に来てくれたことは嬉しい。嬉しいが」)
 彼らが猟兵たちの力になりたいと考えてくれていることは喜ばしい。
 しかし、そのために死地に飛び込んできたような形だ。
(「ちょっと痛しかゆしと言うか、だな」)
 笑顔を返してくる周太と、こくんと頷く夏蓮の姿に、何とも言えず複雑な感情が、魎夜の中に去来する。
(「最悪の場合でも、この二人は無事に帰さねえとな」)
 そうでなければ、魎夜は自分を許せないだろう。
「……暗都さん?」
 周太の声に、はたとする。二人が、不思議そうな顔で自分を見上げている。
「いや、何でもない。あ、そう言えば冬休みどうだった? クリスマスとかあったろ?」
「二人で出かけてきましたよ。ね」
「………………ええ」
「そっかそっか。順調そうで何より」
 努めて場を和ませるような会話を心がければ、二人の肩の力もいい具合に抜けたようだ。油断は出来ないが、彼らには必要以上に気負って欲しくないと、魎夜は思う。
「じゃ、そろそろ行くか」
 告げる、魎夜の頭の中に膨大な知識が激流のように押し寄せる。
 豪雨で大河すら氾濫させるが如きそれは、歴代のストームブリンガーの記憶。しかし源流には己の経験もまた、確かに。
「明らかに『咲いてちゃいけねぇもん』があるな。指示するから薔薇だけ吹き飛ばしてくれ」
「了解しました。まずは……」
「そっちだ!」
 全能の姿に悪意を秘めた、偽りの黄薔薇への道を。
 星を翔け、その太刀筋で切り開いていく周太。
 偽りのみが浮き彫りになる、その瞬間。
「危ない……っ」
 飛んできた『何か』を、夏蓮が赤手を盾に庇う。
 それは、花弁に似せた宝石の弾丸。
「攻撃直後に花弁が見えたらそれを飛ばしてくる! 気をつけてくれ!」
 注意喚起を飛ばしつつ、魎夜も二刀を振るい。
(「確実に、潰す!」)
 薙ぎ払い生む風の刃で、纏めて一刀両断!
 はらはらと崩れ枯れてゆく、虚構。
(「状況が解決したら……制圧した戦場での警戒に人命救助の依頼も……っと……」)
 攻撃の手は止めず、時折周太たちを庇いつつ、己の思考に魎夜は思わず苦笑した。
「こういう時、俺も大人になったんだって感じちまうな」
「え?」
「いや、何でもない。さ、まだまだ行くぜ!」
 まだ、少年少女には先の話だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

酒井森・興和
🍊
こんな修羅場だが無事な二人にまた会えて嬉しいよ
自分の動ける範囲で騒動を収めたいと言うのはごく自然な事だ
ただ…気をつけて
君たちが違和感を覚えアビリティで対処できない敵の破片が薔薇に紛れている
深追いはするな
これは肝に銘じておくれ
只では済まないからね
…夏蓮さん
周太さんと離れず危険を遠ざけてあげて

基本は三砂の【追撃、早業、なぎ払い】で薔薇を刈り、叩き割る
常時周太、夏蓮を気にかけ【気配感知】【第六感】もしくは端的に雰囲気が変と悟れば【咄嗟の一撃】でUC火纏で対応
この火は君らに害は無いから落ち着いて、言いつつ薔薇らか二人を【かばう】
薔薇に囲まれるより先に【カウンター】で【狩猟】の様に三砂の柄で狩り獲る




 周太と夏蓮。
 酒井森・興和(朱纏・f37018)もまた、彼らに関わり続けてきた者の一人で。
「こんな修羅場だが、無事な二人にまた会えて嬉しいよ」
「こちらこそ、その節はお世話になりました」
 やはり再会は喜ばしいもの。
「自分の動ける範囲で騒動を収めたいと言うのはごく自然な事だ。ただ……気をつけて」
 二人の思いに理解を示しつつも、興和はその眼差しをバラ園に生い茂り成長を続ける黄薔薇に向ける。
 正確には、そこに潜む偽りの黄薔薇へと。
「君たちが違和感を覚え、アビリティで対処できない敵の破片が薔薇に紛れている」
 そして、二人に向き直る。
 平素、穏和な興和の真剣な面持ち、張り詰めた空気に、周太と夏蓮も姿勢を正した。
「深追いはするな。……これは肝に銘じておくれ。万一のことがあっては、只では済まないからね」
 猟兵として、能力者の先輩として、そして、年長者として。
 しっかりと、伝えておかねばならない。それが二人の身を守ることにも繋がるのだから。
「解りました。無理はしません」
「……はい」
 幸いにして、周太と夏蓮は興和を信頼している。食い下がることなく、忠告を聞き入れてくれた。
「……夏蓮さん。周太さんと離れず危険を遠ざけてあげて」
「ええ、解っています」
 少しでも、二人の生存率を上げなければ。
 エリクシルを駆逐出来ても、二人に死なれてしまっては、めでたしめでたしとは言えないから。
「それじゃあ、行こう」
 三砂を振るう。
 流れるような薙ぎ払いで、茨の道を切り開く。周太と協力し、より広範囲を刈り取ってゆく。
「花弁のようなものに気をつけて。あれは……」
 虚空に鈍く煌めき、興和と周太を狙うのは宝石の弾丸だ。興和は最低限の動きで回避し、周太には夏蓮が赤手をかざして盾となる。
 その反撃と成長速度に負けぬよう、攻撃の手は休めずに、ひたすら刈り取ってゆく作業。
 だが、その分だけ敵の反撃にも曝される。
(「もう、夏蓮さんの方が保たないな」)
 ちらと横目で様子を窺えば、赤手で周太を庇っていた夏蓮が、肩で息をしている。一撃の重さが、猟兵の感じるそれとは違うのだろう。
 そこに、三度目の反撃が来る!
「八相、烈火」
「!?」
 バラ園に真っ赤な炎が奔り、エリクシルの魔手から周太と夏蓮を庇うように立ち昇る!
「この火は君らに害は無いから落ち着いて」
 言いつつ、二人を背後に庇い、速度も数も格段に落ちた宝石の弾丸を打ち落とす。
「さぁ、囲まれる前に刈り尽くしてしまおう」
 残る緑の壁もまた、拒絶するように切り払う!

大成功 🔵​🔵​🔵​

新名・有花
アドリブ連携歓迎
🍊(手伝いは無し出番あると嬉しいです)
【SPD】
エリクシルは面倒だって聞いてるよ。
ただでさえ忙しい戦争の最中、厄介ごとは少ない方がいい。
とっとと片付けちまおうね。
「さぁ、いっておいでみんな。薔薇をかじりつくしてやりな!」
裂帛の気合いと共に白燐蟲を解放。
他の猟兵の邪魔になるといけないから光は控えめに。

……死によって分かたれることを拒むふたりに、
土蜘蛛の女と能力者の男、か。
(傍らのされこうべ、能力者だった最愛を撫でる)
(有花は死を経てもなお傍らにある死者の花嫁で、土蜘蛛である)
(一歩違えば、どちらかの相似だったのではないか?)
(今の関係に後悔はしていないが、そんなことを考える)




 戦場を見渡し、新名・有花(白愛づる花嫁・f35676)はひとつ頷いた。
「ここまで来れば充分だ。後はあたしたちに任せて」
 奮戦してくれた周太と夏蓮を下がらせ、最後の始末に。
 偽りの黄薔薇は未だ成長を続けているが、これだけ減れば後は有花一人でも対処出来る。
 いや、正確には一人ではない。
(「エリクシルは面倒だって聞いてるよ。ただでさえ忙しい戦争の最中、厄介ごとは少ない方がいい」)
 だから、とっとと片付けちまおうね――と。
 有花の言葉に、呼応するように姿を見せるのは。
「さぁ、いっておいでみんな。薔薇をかじりつくしてやりな!」
 裂帛の気合いと共に解放された、白燐蟲の群れだ!
 他の猟兵の目が眩まぬよう、煌めく程度の光で拡散、展開し、星河のようにバラ園へと広がり、緑を包み込むように、食らい尽くしてゆく。跡形も残さぬように。
「……場違いなのは解っているけれど」
 ぽつり、後方で見守っていた夏蓮が、呟いた。
「綺麗ね」
「……うん」
 周太が再び、煌めきへと視線を移す。
 もう、バラ園を埋め尽くしていた黄色と緑は、殆ど見えない。
「生命の輝きだ」
 周太と夏蓮。
 そして――ここあとしなもん。
(「……死によって分かたれることを拒むふたりに、土蜘蛛の女と能力者の男、か」)
 そのどちらにも、有花――と、『彼』に通じるものがあった。
 傍らの最愛を、そっと有花は撫でた。
 白い肌は骨、有花に応えて歌うされこうべ。
 有花は彼を、ミィと呼ぶ。|有花《アル》を広い育ててくれた、かつて能力者だった青年。
 ミィが死んだあの日から、有花は土蜘蛛にして傍らに在る死者の花嫁だ。
(「一歩違えば、どちらかの相似だったんじゃないか――なんて、」)
 思案に耽る有花へと、短く歌う声。
『|Lo《どうかした》――?』
 ミィの真意を、確信出来たわけではない。
 けれどそう、問われているような気がして。
 ふとひとつ、微かに笑みを返す。
「後悔してるわけじゃないさ」
 ただ、どうしたって考えてしまうのだ。
 ミィもきっと、それくらいは許してくれるだろう。
 ふわり、白燐蟲たちが有花の元へと帰ってくる。
 顔を上げれば、そこに薔薇はもう一輪たりとも咲いてはいなかった。


 かくして、偽りの花園は本来の姿を取り戻した。
 鮮やかに歪められ、毒々しく咲き誇った|黄色《友情》の薔薇は。
 今は静かに、今度こそは清らかに芽吹くその時を、待っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月14日


挿絵イラスト