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銀河帝国攻略戦㉓～GRR-06Sブラウエルフォーゲル

作者：空白革命

　銀河帝国と解放軍の戦いは大きな局面へと移っていた。
　帝国軍第三防衛ラインを突破し、同ラインにおける幹部騎士たちとの戦いへと突入。
　解放軍はついに銀河帝国の旗艦にして諸悪の根源である『インペリウム』へとせまりつつあった。

『こちらネオスペースルドルフ号。帝国軍の戦艦を撃破！　進行し――な、なんだ！？』
　クリスマスカラーの武装民間船の前に、青い宇宙船が躍り出た。
『あれは……人？　違う！　戦闘機械鎧だ！』
　宇宙を駆ける高機動戦闘機械鎧GRR-06S、ブラウエルフォーゲル。
　ある帝国騎士専用機であり、かつてフロア戦役において解放軍の艦を六機も落としたという伝説からパイロットは『蒼い稲妻』の異名をもつ。
『防御フィールド展開！　俺たちの歯が立つ敵じゃ無い。だから……宇宙の未来を託します。イェーガー！』

「インペリウム護衛艦隊の戦力は膨大だ。
　解放軍が着実にダメージを与えているが、それでもエース級のオブリビオンが相手では歯が立たない。
　だから、俺たちがいる」
　グリモアベース。ナンシー・アラタメは焦げ付いたスーツ姿で拳を握った。
「今より俺たちイェーガーは解放軍の船『ネオスペースルドルフ号』にテレポート！
　襲撃をかけてくるブラウエルフォーゲルを撃墜する！」
　猟兵の中にはスペースルドルフ号という名前に聞き覚えのある者もいるだろう。
　この船はほかでもない、イェーガーたちがオブリビオンの脅威から救った船なのだ。
「ネオスペースルドルフ号は武装と小型船によって俺たちを支援してくれる。
　自力で突っ込むもよし、自前のマシンやドラゴンで戦うもよし。ルドルフ号のサンタクロースたちから戦闘用の小型船を借りるもよしだ」
　腕を振るその瞬間に、ナンシーのスーツは輝かんばかりの白色に染まった。
「行こうぜ。季節外れのメリークリスマスだ！」

第1章 ボス戦 『少佐専用の青の突撃騎士』

POW   :    見せてもらおうか、新しい相手の実力とやらを！ 【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    …ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に！ 【新人類とも呼べる胸囲的な感応能力】に覚醒して【リミッターを解除した高機動モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    これ以上はやらせんと言っている！ 【自身の強い意志】から【感応波】を放ち、【戦慄するプレッシャー】により対象の動きを一時的に封じる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

『パル・オールドシェル猟兵。宇宙の未来をあなたに託します。我らに聖夜の希望があらんことを』
「承知しました」
　薄暗い発艦ハッチに星々の光が入り、ビーム誘導路が延びる。
　ゴーグル側部のスイッチに触れた途端、ゴーグルににグリーンのカクテルカラーが走った。
（GRR-06Sブラウエルフォーゲル……僕はこの機体を知っている）
「ヒューマンカウル、高速迎撃B型装備」
　転送された追加装甲がパルの各部に装着された。
　背部スラスターがグリーンのエネルギージェットを吹き、パルが宇宙空間へと『発射』される。
　ネオスペースルドルフ号からの援護射撃がおこるが、ブラウエルフォーゲルはその全てを恐ろしい高速機動で回避していく。
『砲撃が当たらない！』
「必要ありません。そのまま牽制を」
　パルはただでさえ激しいＧのかかった速度にありながら更に加速。
　肩部に出現したミサイルポットから一斉発射。７６ミリスナイパービームライフルを発射した。
　正確無比な射撃。ブラウエルフォーゲルはそれを非現実的反射神経をもって回避。
　青いラインとグリーンのラインが宇宙空間で衝突、交差、同じ方向にカーブしねじれるように混じり合った。
（性能は互角！　しかし……！）
　パルは、次なるイェーガーの攻撃へと繋ぐ！

苦戦 🔵​🔴​🔴​

「うお！　は、速え！？　ほんとに人間かよ！　いや、人間じゃねえのか！？」
　宇宙戦闘機『space Blitzen』。勇敢なトナカイのペイントが成された丸みのある戦闘機のコックピットから、鏡島・嵐は計器と窓の外を見比べていた。
『波動警報！　サイキックウェーブに注意せよ！』
「なっ――！」
　操縦レバーを握る嵐を目に見えぬ波が襲う。
　ただいま味方と戦闘中の敵機が放ったものだ。
『イェーガー、無事か！　イェーガー！』
「ああ、俺は無事だが……」
　嵐は計器を見て頭を抱えた。火花をふき、戦闘機が動きを失っていたのだ。
「さすがは敵のエースってとこか。それに比べたら俺なんて『ただの人間（ヒューマン）』かもな。けど、けどな……」
　操縦桿を握りしめ、歯を食いしばる。
「ただの人間にだって意地があるんだよ！」
　宇宙空間に立体投影される巨大な道化師の演奏隊。
　荘厳なクラシックミュージックが、音の伝わらぬ筈の宇宙空間に広がっていく。
　そう、これはただの音ではない。
　覚悟と意地と、希望の波動なのだ。
「一緒にやろうぜ、解放軍！」
　意地に共感した解放軍のビームが青い敵機に直撃する。
　奇跡か。偶然か。幸運か。
　否。
「これこそ意地だ！」

成功 🔵​🔵​🔴​

　荘厳なクラシックミュージックの中、ネオスペースルドルフ号の上部ハッチが開き、台がせり上がる。
「うふふ、ふふふふふ……」
　眼帯のようにはしる二種のセンサーアイ。
　上品なパーティードレスのようなフォルムのボディはワインレッドに塗られていた。
「GRR-06Sブラウエルフォーゲル。素晴らしい機体ですわ。これを壊さないといけないなんて、罪なテクノロジー。罪なワタクシ……！」
　操縦レバーを握り込むキャスリーン・ジョイスの横で、解放軍からの通信が入った。
『ミス・キャスリーン。宇宙の運命を託します。援護の準備はできている。そちらの準備は――』
「よくってよ！」
　赤いジェット噴射と共に宇宙へ飛び立つキャスリーン専用機。
　グリーンカラーの流星と混じり合っていたブラウエルフォーゲルめがけ、巨大なバズーカ砲を構えた。
「解放軍、ワタクシに続き一斉射――撃ぇ！！」
　砲撃と連動して無数のビーム砲が発射される。
　高速起動でかわしにかかるブラウエルフォーゲル。が、盛大な爆発に巻き込まれていく。
「高い機動力とて、盛大なる火力の前には無力ですわ！　おーっほっほっほっ！」

成功 🔵​🔵​🔴​

「あれは……」
　ネオスペースルドルフ号のデッキに居合わせた聖護院・カプラは、宇宙空間を非常識な速度で飛び回る青いラインにめを光らせた。
「高機動戦闘機械鎧GRR-06S。我々（ウォーマシン）との出力差はいかんともしがたい……」
「どうします。我が艦の戦闘機でもそれなりの機動力は出せると思いますが」
　宇宙サンタクロース服を纏った艦長に、しかしカプラは首を横に振った。
「あの速度に対抗するのはいかに私でも不利。そもそも、相手の長所に対し同じ土俵で対応する必要などないのです」
「では」
「はい」
　カプラは手を翳し、デッキの通信機へと翳した。
　ネオスペースルドルフ号の上空宇宙空間に巨大なカプラの立体映像が投影される。
　振り返るブラウエルフォーゲル。
　意志力の放射と、カプラによる存在波動の放射はほぼ同時だった。
「私、聖護院カプラが研鑽した宇宙の心そのもの。銀河帝国を支える不自由暴力意志と戦うのは私ではない。宇宙の民全員の意志なのです」
　波動と波動がぶつかり合い、激しいプレッシャーがお互いを襲う。
　カプラの映像が大きく乱れ、そしてブラウエルフォーゲルの動きもまた、乱れた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

　荘厳なクラシックミュージック。はじける爆発と走る光のライン。
　そんな宇宙空間に一本の棺が発射された。
　否、棺ではない。
　拷問器具にも似たそれは不可思議な変形を見せ、宇宙バイクへと変化した。
「ユングフラウ――加速同調・疾走人形（ライディングドール・アクセラレーション）！」
　内部に『格納』されていたシズホ・トヒソズマが上半身を露出させ、ジェット噴射をかけて急加速。
　極端な前傾姿勢でもってブラウエルフォーゲルへと接近する。
　迎撃のビームライフルを発射するブラウエルフォーゲル。しかしシズホはそれをジグザグなイナズマ機動走行で回避。
「託された未来は、必ずここで切り開きます！　忌まわしい過去はここで斬り捨てます！」
　急接近。
　ビームサーベルを抜いたブラウエルフォーゲルの斬撃を、シズホはバイクから離脱することで回避。瞬間的に広がる合成ラバー性デコイバルーンを、ビームサーベルが切り裂いていく。
　バイクから発車されるパイクミサイルが着弾。
　紫のチャフがまかれセンサーを妨害する。
　そして。
「これぞ――過去を断つ三呪剣！」
　飛び出したシズホの剣が、ビームライフルを切断。爆発させる。

成功 🔵​🔵​🔴​

　丸みを帯びた戦闘支援機が宇宙空間を泳いでいた。
　期待識別名Space Prancer。トナカイのペイントが成された船に、エムピースリー・シャロームは乗っている。
「なるほど、エース機。確かに強力かつ驚異的ですが……」
　エムピースリーは特殊演算情報端子を船の操縦機械に接続。
　音楽発生デバイスを改造した波動発生兵器を展開すると、絶妙なタイミングでスイッチを入れた。
『サイキックウェーブ第三波、来ます！』
「構いません。カウンターウェイブ。発射」
　ブラウエルフォーゲルの強みであるプレッシャーの波。それが放たれる直前を狙い、エムピースリーは『それ』を放ったのだ。
　鳴り響くクラシックミュージックに乗せた、美しい女性によるハイソプラノのボーカル。
　それが敵機の波動をかき消していく。
「さあ、仕上げです。あなたは手札を見せすぎた」
　支援機にエネルギーフィールドを纏い、エムピースリーは突撃をしかける。
　ブラウエルフォーゲルに選択を迫るのだ。
　撤退か。
　それとも、死か！

成功 🔵​🔵​🔴​

　味方機接触まで三秒。
　敵エース機ブラウエルフォーゲルが、突如として爆発四散した。
　その事実にネオスペースルドルフ号の乗員はおろか、居合わせたイェーガーまでもが驚きに目をむいた。
　この一瞬のうちに何が起こったのか。
　説明するには、少しだけ時間を遡る必要があるだろう。

　荘厳なクラシックミュージックの中、大爆発と艦からの一斉射撃。
　宇宙空間をまばゆく照らす光に紛れるように、ネオスペースルドルフ号のメンテナンス用小型ハッチがひっそりと開いていた。
　船外部の清掃や点検、修理のために用いられるハッチから出てきたのは一人の人間。が、その姿は宇宙空間に出た瞬間に消えていた。
「宇宙服サマサマだな。まさかこのナリのまま泳いでいけるとは」
　透明になった坂上・半と、彼と手を繋いだ霧島・クロト。
「透明な宇宙服ねェ……ま、やることはいつもとかわんねェよ」
　クロトは愛用の大口径リボルバー拳銃を腰の後ろに固定し、小型スラスターを使って宇宙空間を泳いだ。
　宇宙空間に投影されたウォーマシンの立体映像とハイソプラノの波動音楽。
　ブラウエルフォーゲルはイェーガーの動きに圧倒され、対応に追われた。
　センサーが殺されているのが、感知されることなく半とクロトは味方の宇宙バイクにフックをかけ引っ張られるようにして接近。見事に背後をとった。
「ところでよ、なんでなんで俺を連れてきた？」
　クロトに問いかけられ、半は目だけを動かして彼を見た。
「これだけ派手にやりあってくれたんだ。最後は派手に決めたいだろ」
「なるほど」
　氷戒装法『貪狼の狩人』。
　クロトは氷の魔力を身に纏い、精霊銃を構えた。
　常人であれば腕が吹き飛ぶようなエネルギーが、銃へとチャージされていく。
「なにが蒼い稲妻だよ。俺らは稲妻程度で怯まねェ――吹き飛べェ！！」
　半は二人の透明化を解除。と同時に妖刀にため込んだエネルギーを振り込むことによって放射した。
　そして――。

　ブラウエルフォーゲルは全く予期しなかった背後からの直撃をうけ、爆発四散したのだった。
『ありがとう、イェーガー。だが銀河帝国の旗艦はこの先だ。もう少し付き合ってくれるな？』
　ネオスペースルドルフ号からの通信に、イェーガーたちは、勿論――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月18日