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第二次聖杯戦争⑰〜貴方と交した薔薇契り

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #ふたりでひとり

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#ふたりでひとり


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●死が二人を分かつまで
 不幸な運命を背負った二人の少女が、今、
 死が訪れる日まで、世界に認められる日まで、
 共に居る事を誓った。

 私はその誓いを、しかと聞き届けた。
 貴方達の為に、私は美しい薔薇を送ろう。

●薔薇の園に魔神咲く
「こんな時に余計なことを」
 グリモアベースにてディルティーノ・ラヴィヴィス(黄昏の獅子・f38911)が小さく呟く。
「いやね、シルバーレインの世界だというのに、別の世界から首を突っ込もうとしてる奴がいてさ」
 その名を『魔神エリクシル』という。エンドブレイカー!の世界から他世界へ侵略を目論む者だ。
「『魔槌しなもん』と『雪降ここあ』が合流したのは知ってるね? その二人の願いをエリクシルが聞いたみたいなんだ。そのせいでこの有り様だ」
 背景に映像を映す。シルバーレインの世界にある、とある場所の様子だ。しかし何処を見ても視界に映るのは――おぞましい数の『薔薇』だ。
「金沢南総合運動公園……って所にある薔薇園だったかな? そこに、これだけの薔薇が咲いちゃってさ。この薔薇の中に『万能宝石エリクシル』の萌芽を確認したんだ」
 しなもんとここあ、誰にも切り離せない二人の強い願いがエリクシルを呼び寄せ力を与えた。願いを歪んだ状態で叶えるエリクシルの萌芽。それを見過ごす訳にはいかない。
 公園を覆うほど咲き乱れた薔薇の中に二人はいる。ただ、今回ここに集まった猟兵たちにはエリクシルの萌芽を阻止する行動に集中してもらう。
「迷惑な奴にはご退場願おうよ。出てくる舞台を間違えてるぞって伝えてやるのさ」

 斬るなり燃やすなり腐らせるなり、方法は問わない。ただの薔薇ではないため簡単な方法では刈れないが、ユーベルコードを使えば刈ることはできるだろう。
「まー余計な敵は増やしたくないもんね。どうせ季節外れの薔薇だし、遠慮せず全部刈り尽くしちゃってよ!」
 最後にディルティーノは笑ってみせると、少々慣れない手付きでグリモアを輝かせた。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 シルバーレイン『第二次聖杯戦争』の戦争シナリオとなります。
 1章で完結します。

 ●戦場について
 薔薇園で「万能宝石エリクシル」の萌芽を確認したため、これを阻止せねばなりません。
 薔薇が覆って邪魔をしているため、本シナリオでは魔槌しなもんと雪降ここあとの戦闘はありません。
 咲き誇る薔薇をより多く一掃できるよう専念してください。

 プレイングボーナスは以下の通りです。

 ====================
 プレイングボーナス……薔薇の形をした「エリクシルの力の断片」をひとつ残らず滅ぼす。
 ====================

 ●プレイングについて
 受付はいつでも。『#プレイング受付中』のタグがある間だと採用率は高めです。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『エリクシルの薔薇を刈れ』

POW   :    強烈なユーベルコードで万能宝石エリクシルを叩き潰す

SPD   :    増殖以上の速度で薔薇園の薔薇を刈り取る

WIZ   :    強い「願い」をぶつけ、エリクシルの反応を探る

イラスト:十姉妹

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バロン・ゴウト
まったく、勝手に咲かせられた薔薇もいい迷惑なのにゃ。
この数を刈り取るのは大変だけど、エリクシルの萌芽を放っておく訳にもいかない以上、頑張って刈るのにゃ。

【SPD】
【金色の一閃】で薔薇を刈り取るのにゃ!
一度目は鞘を捨て、二度目はマントを捨て、三度目は帽子を捨てるのにゃ。
この時三角形の軌道を描くように動いて、技の加速の為に捨てるものを再び拾えるように動くのにゃ。
四回目の地点に鞘が落ちてるから拾い、それをまた捨てて技を放つ、を繰り返して薔薇を刈り取るのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



 小さなケットシーから見て、恐ろしいほど咲き誇る薔薇は森にも等しく見えたかもしれない。
 その中には眠り姫などではなく世界の脅威となり得る少女二人がいる訳だが。
「まったく、勝手に咲かせられた薔薇もいい迷惑なのにゃ」
 本来ここには咲くはずのない薔薇。文字通り『外来種』である薔薇を刈らんと、バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)は鞘からレイピアを引き抜く。
「これ以上放っておく訳にもいかないのにゃ。元の薔薇園に戻すのにゃ!」

 レイピアが金色のきらりと輝く。剣先を薔薇へと向ければ、片手に握った鞘をその場へ捨てるように手を離した。同時に地面を蹴り上げるバロン。
 自身も輝く閃光と化し、弾丸の如く薔薇の森を真っ直ぐ突っ切る。風穴が開いた薔薇は花びらを散らしながらボロボロと枯れていく。最後にはパリン、と植物では決して聞くことのない音を響かせ消えていった。
「本当なのにゃ、宝石が砕けたような音がしたのにゃ」
 やっと地面に着地をしたバロンが耳を動かす。確かにこれはただの薔薇ではない。レイピアで砕いたその感触から改めて実感する。
「この調子でもう一回にゃ!」
 体の向きを森の方へくるりと回せば、再びレイピアが輝き薔薇を貫く。今度は身に着けていた赤いマントだけがその場に取り残されていた。
「次はこれにゃ!」
 薔薇の森を通り抜けたバロンは帽子を摘まみ、高々と放り投げる。投げられた帽子がふわふわと地面に落ちた時には、既に主は違う場所へ到着していた。その場所には――小さな鞘が落ちていたという。
「ただいまなのにゃ」
 バロンが鞘を拾って埃を払う。そう、この地点は彼の『スタート地点』であり『ゴール』でもある場所だ。
「でもまた行って来るのにゃ。まだまだこれからなのにゃ!」
 そう鞘に語り掛けると、次の|目標地点《相棒の場所》へ狙いを定め、レイピアと共に薔薇の森へ姿を消した。

 光に射貫かれたボロボロの花びらが散り、宝石の砕ける音を聞きながら、取り残された鞘はまた主を待つ。とはいえ、次の再会までにかかった時間はほんの数十秒ではあったけれど。それすらも待ち遠しく感じていたかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
花好きなのに…薔薇も大好きなのに…
自らの手でやらなきゃなんて…エリクシル許すまじ…

とにかく早くってことなら…

浄化と祝福発動
炎の鳥達を一斉に薔薇園に向かわせ
破魔の炎で焼き尽くし狙い

今回は消火狙ってくる敵もいないわけだし
全てを燃やし尽くすまで鳥達が消えることは無い
念のため【高速詠唱】で風魔法の【属性攻撃】を起こし
炎を煽ることで火力増強
ついでに【魔力供給】のため、火種としてCandy popを与える
飴ではあるけど僕の魔力を込めてあるから
そうして広範囲をより速く、より高火力で燃やし尽くす【範囲攻撃】

戦いが全部終わったら
せめて普通の薔薇達が正しい時期にちゃんと避けるように
整える手伝いくらいはしたいな…



 花を愛する者からすれば酷な依頼かもしれない。とは言え放っておく訳にもいかない。
 もやっとする気持ちを抱きながらも栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は薔薇園に赴く。
「分かってはいるけど、自分の手でやらなきゃなんて……」
 これもエリクシルのせいだ。どうせなるなら花じゃなければよかったのに。なんて思ってしまうのはわがままだろうか。

 この場所まで来たからには、躊躇っている時間もそれほどない。せめて早くこの薔薇を除去して、そして終わらせよう。澪は祈る。合わせた両手をそっと開くと、きらきらと輝く小さな小鳥の群れが手の中から羽ばたき飛び出していく。
「行っておいで」
 放たれた鳥たちは炎を纏い、薔薇園の宙を舞う。翼や長い尾から舞い散る火の粉がぽつぽつと薔薇と交わると、じんわりと花びらが侵食されていき、やがて美しい姿を失っていくのだった。
 鳥たちは薔薇の森の中を泳ぐように飛ぶ。ぱちぱちと静かに燃え移る炎。行動範囲を広げる鳥たちの侵食は止まらない。彼らを止める者は誰もいない。
 植物の燃える音の中に、ピシリと植物らしかぬ音が聞こえた。硝子の割れるような音だった。恐らくはエリクシルの宝石なのかもしれない。

 悪しき花とはいえ、火傷を負い穴だらけとなった花が地面に落ちている様子は痛々しく見えた。その花を鳥が啄ばむと、あっという間に炭となって姿を消す。
「……ん? 何か欲しいの?」
 俯いていた澪の傍へ、薔薇園へ向かわず近付く鳥が数羽。顔を覗くように首を傾けている様子に思わず微笑み。
「うーん、これならどうかな」
 キラキラ光る飴玉を見せると、吸い込まれるように鳥たちは次々と集い、飴玉を啄ばみ飛んで行ってしまった。
 魔力の込められた飴玉の効果か、それとも単純に飴玉を貰えたことが嬉しかったのか。鳥たちの纏う炎は威力を増し、飛翔の速度を上げ、薔薇の森を駆け巡る。傍を通り過ぎただけで薔薇は枯れるように黒く染まり燃え尽きていく。
「……戦いが終わったら」
 澪がぽつりと呟く。
「せめて普通の薔薇たちが、正しい時期にちゃんと咲けるように、整える手伝いくらいはしたいな……」
 本来咲くべき花たちのために。見る人を笑顔にさせる薔薇を、今度は見たいから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マシロ・コールドウェル
やー、美しい百合で完成している画に、赤い薔薇まで描き込むのはちと無粋だと思うマシロさんですヨ?

面積1630㎡なら、私の砲撃射程で割とカバー出来るのでは?
補足出来るだけ対龍捕獲糸で薔薇の花の付け根を絞めて切り取り、宙に浮いたところをDブラストの【砲撃】で追撃だッ!
薙ぎ払う形で撃てば一網打尽?
疲れるけど!仕事だから仕方ない!
一手間掛かるけど、貴重なバラもあるみたいだし、根刮ぎやったら今年のバラを楽しめなくなってバラにも人にも可哀想だし!

世界の敵。や、マシロさんはあーいう手合いは嫌いじゃないにゃー。
余人には測れない2人の覚悟、余計なことせず、最期まで見届けるってぇのが筋ってモンです。

アドリブ歓迎ッ!



 マシロ・コールドウェル(真白色の鎮魂歌・f38912)は思う。ここで咲くべきは薔薇ではないと。
「やー、美しい百合で完成している画に、赤い薔薇まで描き込むのはちと無粋だと思うマシロさんですヨ?」
 紆余曲折あった上で誓い合った、美しい二人の友情愛。ここで百合の花が咲かずになんだというのか。
「ま、薔薇園だし百合はないのかな……とはいえ邪魔とのことなので! さくっと刈っちゃいますか!」
 長い付き合いである相棒の紫煙銃を手にし、マシロは薔薇の森へ向かう。さてどうしてやろうかと、あちこちに咲き誇る薔薇たちへ視線を向けながら楽し気に歩く。
「一つ一つっていうのも違うしなー。……あっそうか! ユーベルコードを同時に使っちゃえばいいんだ!」
 猟兵となってからまだ日が浅いエンドブレイカー。覚えたてのユーベルコードは何でも試してみたくなるものだ。
「そうだにゃー、これくらいなら……私の砲撃射程で割とカバーできるのでは?」
 のんびりしていられない状況だが邪魔する者は誰もいない。であれば好きなだけ試せばいい! 善は急げと早速試してみることにする。

 紫煙銃を一度しまい、両手に力を込めれば、薔薇の森に向かって思い切り放つ。
「うんうん、隠してた手札、ここで役に立ちそうだッ!」
 投げ込んだのは不可視の糸。【対龍捕獲糸】は真っ直ぐに薔薇たちの首元を狙い、力強く締め付ける。やがて薔薇は首を折られ、その頭を宙に浮かせる。いくつもの薔薇が空へと放たれると、
「今!」
 マシロは回転させながら紫煙銃を素早く抜き取る。
「イブ・ザ・プリマビスタの紋章展開……『根源の力』、励起完了!」
 構えた紫煙銃の銃口から創世神の紋章が浮かび上がる。巨大な紋章がいくつも重なり層を作る。狙うは悪しき宝石の宿る、呪いの薔薇。
「紫冥の光芒に虚無と消えよ……ッ! Dブラストッ、|発射《テ》ェーッ!!」
 トリガーを引き、輝きを集結させた巨大な|砲弾《ビーム》が撃ち放たれる。創世神の紋章を潜ったそれは破壊力を増し、因縁の薔薇たちを抹消させる。轟音と地響き、神の如き輝きがやっと収まった頃には、空中に浮いていた薔薇など、宝石の欠片すら残さず消えていた。そこには何もなかったかのように青空が広がるだけだ。

「――ッ、ふーっ」
 強大な一発を撃つのに持っていかれるスタミナは多い。疲れるけど仕事だから仕方ない! それに、現役ではできなかった力に少し興奮も覚えたのも確か。
「世界の敵。や、マシロさんはあーいう手合いは嫌いじゃないにゃー」
 余計なことせず、最期まで見届けるってぇのが筋ってモンです。だから黙って引っ込んでてくださいな、と。彼女は悪しき薔薇の首だけをひたすらに狙っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ローズ・ベルシュタイン
アドリブや連携歓迎

■心情
薔薇は私も大好きな花ですので、それがエリクシルの力の断片だとは
少し心苦しいですわね。
ですが、だからと言って見過ごす訳には行きませんわ。

■行動
薔薇園に素早く向かい、そこでエリクシルの力の断片となる薔薇を
残さず刈り取りますわね。
私は、夕暮れ時に薔薇は踊り咲く(UC)を使用して
【範囲攻撃】で広範囲の薔薇を一気に刈り取りますわ。
「さぁ、本物の薔薇の力を見せてあげますわ!」
ユーベルコードの力なら、手こずらずに刈れそうですわね。
「さて、これだけ刈れれば充分でしょうかね。綺麗な薔薇でしたので、少し残念ではありますけど。」



 薔薇。それは自らの名にも使われている大好きな花。別の世界のものとはいえ、まさかそれが悪を象徴するものだとは。
「ええ、それがエリクシルだと分かっていても」
 ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)にとっては心が痛むことであろう。しかし猟兵として、騎士として、世界を脅かすものを見過ごす訳にもいかないのだ。
「……ローズ・ベルシュタインの名において、摘み取らせていただきますわ」
 彼女は薔薇の園に向かう。自身の手でやらねばならぬと、そんな決意を抱きながら。

「さぁ、本物の薔薇の力を見せてあげますわ!」
 夕焼け色の剣を掲げて太陽に照らせば、剣先からさらさらと姿を変えて現れたのはオレンジ色の薔薇の花びら。渦を巻きながら空中を舞い、主の手から剣の姿が見えなくなると、花びらは悪しき薔薇へと立ち向かう。
 薔薇には薔薇を。オレンジ色の薔薇は自ら風を操るかのように薔薇の森を泳ぎ、宝石を宿す薔薇を斬り刻んでいく。反撃をすることもなく、ただボロボロとなり地面へ落ちていく様子は本当に無害な植物のよう。
「……いえ、仕方ないのです」
 そう自身に言い聞かせても、やはり心はちくちくする。それもまた仕方のないことなのだと、心の何処かで自分を許すことにする。
「……綺麗な薔薇でしたので、少し残念ではありますけど」
 右へ、左へ、踊るオレンジ色の薔薇は次々と薔薇を刈る。次訪れる時は、ここに本当に美しい薔薇が咲き誇っていることを夢見て。
「その為にも、この世界も無事救わねばなりませんわね」
 ローズは一人頷き、ふと微笑んでみせる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャスパー・クロス
仲睦まじい女子達の邪魔をすることへの葛藤はあったけれど…
エリクシル。
その名を聞いたなら体が勝手に動く
アレが相手なら、私達エンドブレイカーが動かねばならないよね

しゃしゃり出てきて人の願いを歪める唾棄すべき醜悪な魔。不倶戴天の敵!
普段はへらへらしてる私だけど
アレを思うだけで冷徹な怒りが心頭に発し、私の纏う“風”のオーラが変質して
オーバーロード、身体の周囲に“雷撃”を纏う『真の姿』へと変ずる!

「どれだけ隠れて潜んでようが……」

【空中浮遊】して薔薇園を俯瞰し、そこにエリクシルがいるという怒りを、ひいては雷を強め
世界の敵を焼き尽くさんと‪──‬

「……私の前では丸裸も同然だ!!」

対エリクシル専用UC、《聳やかなるJaune Brillant》を発動
薔薇園全体に660の雷を叩き込む!
戦場中の『よりエリクシルに関わりが深いもの』を敵味方の区別なく…つまり自動的に判別して放つUC。相手がエリクシルの萌芽そのものならば見逃す筈もない!

ああ、足りないなら何度でも放ってやる
「|私《ここ》が!お前の終焉だッ!!」



 祝いの花であることは間違いない。ただ、その花は贈るべきものではない。
「……エリクシル」
 もはやその名を聞くのは昔話の中だけだと思っていた。だが実際は、15年経った今でも実在し世界を蝕み続けている。本来居るべき世界だけでなく、他の世界にも足を踏み入れて。
 ――それだけは許してはならない。住民としても、エンドブレイカーとしても。
 キャスパー・クロス(空色は雅やか・f38927)は忌むべきその宝石を許さない。
 例え世界の敵であろうと共にいることを誓った彼女らを、結果的に邪魔する行為となったとしても。……いや、きっと願いが叶えられた所でロクなことにならないだろう。
「しゃしゃり出てきて人の願いを歪める、唾棄すべき醜悪な魔。……不倶戴天の敵!」
 一歩一歩、力強く地面を踏みしめると同時に風が生じる。ふわりとした優しい風ではない。すべてを引き裂く、憎悪の籠った疾風だ。やがて風はばちばちと光り始め雷電を帯びる。
 抑えきれず溢れ出る力。それはキャスパーが『真の姿』を現した証でもあった。

 徐々に歩く速度が速くなる。薔薇の森に近付くに連れ、彼女から溢れる雷電が薔薇を撃ち抜き燃やす。見向きもしなければ慈悲などない。何故なら|そんなもの《・・・・・》では終わらせないからだ。
「どれだけ生い茂っていようが関係ない」
 ぐ、と踏みしめ跳躍する。薔薇園を見下ろす姿は果たしてどちらが悪に見えるだろうか。
「その中にどれだけ隠れて潜んでようが……」
 片腕を上げれば、青かった空が突然怪しく曇り出した。姿を隠す太陽。陰る大地。憤怒の腕は雷光を呼ぶ。
 キャスパーの瞳が燃ゆる。狙うは一つ。憎き|宝石《エリクシル》。
「……私の前では丸裸も同然だ!!」
 力のままに腕を振り下ろす。同時に暗雲から放たれる雷撃の嵐。鋭利な槍のように真っ直ぐと地上へ降り注ぐ。
 雷撃はエリクシルを宿す薔薇を、花びらの欠片一つ残さず一瞬にして消し去った。首を捥がれた薔薇の茎は発火し、薔薇園に炎が広がり始める。その光景を見ても尚キャスパーの怒りは静まらない。
 ――こんなものではないのだ。エリクシルの行うことというのは。
「これで終わりにさせない。……一つも逃してたまるか!」
 何度だって放ってやる。逃せば自分が自分を許さない!
「消えろ! |私《ここ》が! お前の終焉だッ!!」
 大地を砕くかの如く、再び腕を振り下ろす。焼き付く薔薇園から植物の焼ける音と、宝石の砕ける音が微かに聞こえる。青空が広がり、静寂がやっと生まれた頃には、薔薇の面影など何処にも見当たらなかった。

 第六の猟兵にして、終焉を終焉させる者。いつか来るべきエリクシル抹消の時まで、彼女の憤怒は消えないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月23日


挿絵イラスト