ありふれた物語~とある学生の物語~
#アルダワ魔法学園
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●終幕
とある学生がいた。
学業に励み、迷宮の封印を護る為に愚直に研鑽を積み重ねてきた。
仲間である学友からの信頼も厚く。順風満帆とは言わずとも、一歩一歩、実直に歩みを続けてきた。
その日も、いつものように仲間と共に、探索と哨戒に迷宮を訪れていた。
迷宮に潜り三日目。彼は、迷宮の落とし穴に落ちた。
災魔との戦闘での疲労や、戦闘が終わった事でのほんの僅かな油断。
普段なら回避できた落とし穴を、たまたま踏み抜いた。
落ちた先が、たまたま災魔が群れをなす部屋であった。
落下した際に折れた脚を引きずり、彼は無我夢中で逃げ回った。
やがて悲鳴は聞こえなくなり。迷宮は姿を変え、そのフロアは閉ざされた。
そして、また迷宮に静寂が訪れた。
ただそれだけの、迷宮ではよくある、ありふれた物語。
●幕間
「――夢を、視ました」
グリモアベースの一角。墨文字の綴られた、巻物型のグリモアを広げ、春日・陽子が淡々と語り始める。
「アルダワ学園の地下迷宮。閉ざされていたフロアが開き…かつて、学生だったモノが災魔となり、地上を目指して、侵攻してきます」
表情の無い顔のかわりに、白い尻尾がゆるりと沈む。
「…『学園に、仲間がいた場所に戻りたい』。その一心で、かつて同じように迷宮で倒れた人達の亡霊を引き連れ、地上へとあふれ出してきます」
それはもう、執着と呼べるのかもしれませんが、と付け加えて続ける。
「かつての学生とはいえ…目に入った人達を、仲間に引きずり込もうとします。それは…とめなくては、いけません」
巻物に紐で封をし、集まった猟兵達を見上げる。
「先触れとして、『彼』に影響された亡霊達が、地上を目指してきます。まずはそちらをおさえて下さい」
瞳を伏せ、淡々と。けれど、すがるような声で告げる。
「どうか、救って下さい」
誰を、とは続けずに巻物をしまい込み、深々と頭をさげる。
「宜しく、お願いします」
●後書き
そういえば、と思い出したように呟く。
「…アルダワ学園に、昔からある甘味処…かふぇ?ですが。学生に人気があり、美味しいものが、あるそうです」
かつて、『彼』も通っていたかもしれません、とつけくわえ。
「学生や転校生向けに、催し物をしているそうです。よければ…行ってみては、どうでしょうか」
八幡の人
お世話になっております、八幡の人と申します。
頂いたプレイングを楽しいリプレイでお返しできるよう微力を尽くしますので、宜しくお願い致します。
●シナリオについて
心情寄りのシナリオになります。
『彼』が元に戻る事はありません。
どのような想いで向き合うかをプレイングで記載して頂けると、幸いです。
ただ骸の海にかえすも、何か言葉もかけるも、全ては猟兵の皆様にお任せします。
●第一章
『彼』に感化された迷宮の亡霊達が侵攻してきます。
広めの部屋での戦闘になりますので、それを踏まえて方針を検討されて下さい。
●第二章
亡霊との戦闘後、『彼』との戦闘になります。
一章と同じく、広い部屋での戦闘となります。
『彼』の執着はただ一つ。『帰りたい』、それのみです。
●第三章
学園のとあるカフェで、学生や転校生向けにイベントをやっているそうです。
学園に昔からある密かに人気のお店。いつかの日に、『彼』が通っていたかもしれません。
甘味も揃っていますので、ご友人や仲間とゆっくりするのも良いかもしれません。
お誘いがありましたら、陽子がご同行します。
チームやペア等でご一緒されるかたは、その旨わかるように記載をお願い致します。
複雑なギミックや条件のない討伐に依頼になります。
皆様のご参加と、熱いプレイングを楽しみにお待ちしています。
第1章 集団戦
『首無しの熟練騎士』
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POW : 雷鳴刀
【迸る魔法刀の剣筋】が命中した対象を切断する。
SPD : 疾風迅雷
【「炎」と「氷」を無効化する強化魔法】【脚力を上昇させる強化魔法】【物理的防御力を上昇させる強化魔法】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 怒髪天
【掌を天高く掲げて】から【全方位に向けて高威力・広範囲の雷】を放ち、【電気や雷に対策のないものは感電】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●黄泉がえり
迷宮のフロアを、無貌の甲冑が埋め尽くしていた。
怨差の声も、悲哀の声も無く。
彼らはただ、地上を求めて行軍する。
セルヴィ・アウレアム
「地上に帰りたい。かつての友に、愛する者にひと目会いたい。その気持はよーくわかる。」
「いやしかし。迷宮に挑んだ時点で、そんな分不相応な願いが叶うわけ無いやろが。」
「所詮は迷宮に負けた落伍もんや。そのくせ骨を埋める覚悟もない、半端門や。」
「そんな奴らに、掛けたる慈悲はないな。」
・行動【POW:UC/マギア・ガトリングによる攻撃】
首無しの熟練騎士達にガトリングによる命中重視の攻撃。一体も撃ち漏らさないくらいの気合を込めて叩きのめす。
「…んーしかし。躯くらいは拾ってやってもバチは当たらんやろて。」
その後、迷宮外の親族達に渡す為、倒した個体が持つドッグタグ等の本人識別ができそうなものを集めて回る。
城田・紗希
過去からの亡霊に加えて、未練からの亡霊かぁ……。
あんまり気は進まないけど、幽霊退治も猟兵のお仕事だよね……。
ゆ、幽霊とか、怖くないデスヨ?ちゃんと攻撃も当たるし……。
攻撃はウィザードミサイル、範囲攻撃も乗せてなるべく多くの敵を巻き込むようにする。
あと雷対策に、金属棒(愛用の刀じゃなくて廃材)を持ち込んで、避雷針代わりにする。
(避雷針以外の方向から雷を受けた場合)うわーっ……あれ?
(電撃耐性と激痛耐性を忘れてるせいで、雷撃で動けることに首かしげる)
……なんか動けるから、こっちからお返し!(忘れた耐性を深く考えない)
●戻れぬモノ達
広間には、無数の足音と、時折甲冑がぶつかる音が反響し、響き渡っていた。
声なき鎧の群れが立てる複雑な反響音は、怨嗟のようにも聞こえた。
「広い迷宮とはいえ、ようもこれだけ集まっとうなぁ」
「幽霊が10匹、20匹、沢山…べ、別に、こ、怖くないデスヨ?」
迷宮探索用の荷物の詰まったバックパックを降ろしながら、セルヴィが呆れたように甲冑の群れを睥睨する。
バックパックの後ろに隠れるようにしながら、紗希が甲冑を数え、怖くない怖くないと視線を背ける。
「幽霊よりなんぼも怖いもん相手してそうなのに、なんで紗希センセそんな怖がっとるんや」
「うーうん…まあ、攻撃も当たりそうだし、多分ダイジョウブデスヨ…」
気乗りしないように武器を構える紗希と並び、セルヴィも仕方ないとばかりにバックパックの口を開く。
「なんぼ昔の学生達といっても、こっから先にいかせるわけにはいかへん。ここで全部仕留めたる」
●セルヴィ・アウレウム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)
見渡せば数を数えるのも面倒になるような甲冑の群れ。ウチも迷宮暮らしは長いけど、迷宮は過去にどんだけの命を呑み込んでいっとるんやろ。
顔も生まれもしらん連中ばかり。けど、地上に帰りたいとか、かつての友、もしかしたら愛するもんに一目会いたい。
地上を目指して行進する連中みとったら、細部はちがったとしても、その気持ちはよーくわかる。
けれど、と使い込んだバックパックに手をいれる。中は見んでも何がどこに入ってるかは把握しとる。左手を抜き取れば、手には使い慣れたダガーが手におさまる。
ウチと紗希センセが武器を構えたのを見てとったのか、連中が武器を構えてこちらへ向かってくる。
ウチら女子二人を押しのけてでも、地上へ帰りたい気持ちは、よーくわかる。
けれど、と改めて死者の群れをみる。ウチら転校生が増えてきたとはいえ、今も昔も学生の被害は増え続けとる。
迷宮が危険な場所なんてのは、迷宮を住まいにしとるウチやなくても想像は易い。
そないな危険な場所に挑んだ時点で、覚悟を決めんアンタさんらにも問題がある。
右手を前にだせば、ウチの右手に仕込まれたガトリング機構が駆動音を立てて顔を現す。残弾も問題無し。いつも通り、意思ひとつで連射ができる。
「迷宮に負けた落伍もんのくせに、骨を埋める覚悟もない半端もんにかけたる慈悲はないな」
あの半端もん共に、わざと聞こえるように宣言する。ウチの言葉に反応したんかどうかはわからへんけど、連中の雷の威力が増す。
「言われて怒るぐらいなら、迷宮に挑むべきやなかろうが!」
これ以上半端なことさせんように、ここで根性叩きなおしたる!
●城田・紗希(人間の探索者・f01927)
セルヴィさんの腕から、薬莢が排出される音と一緒にマズルフレッシュが瞬く度に幽霊達の鎧に穴が空く。
あ、良かった、ちゃんと攻撃当たってる。それなら、なんとかなりそうかなぁ…?
スペースエンパイアは過去からの亡霊で大変だけど…次は未練の亡霊かぁ…。
改めてみれば、セルヴィさんが何体も吹き飛ばしてるのに後から後から行進してくる亡霊達の群れ。ちょっと数多過ぎじゃないかな。
あまり気は乗らないけど…幽霊退治も猟兵のお仕事だよね。
予知で雷を使うっていうのは聞いてたから…その辺でひろった長い金属棒。これがあれば、避雷針がわりになるんじゃないかな。
よいしょっと、地面につきさして用意満タン。
それじゃあ、始めよう。月明かりに輝くはずの愛刀を抜き放ち、天へ向けて構える。残念ながら月はないから輝きはしないけど。
相手を打ち倒す様を思い描けば、私の周囲に110本の光の矢が形を為す。あまり近づきたくないからではなく、敵が多いので近接戦は勘弁してあげてるんデスヨ…?
セルヴィさん、疑いのまなざしを向けるのはやめてクダサイ。
亡霊達に刀の剣先を向ける。指向性を与えられた光の矢が亡霊達に殺到する。2体、3体、4体と身体を打ち抜かれて倒れ込んでいくけど…うぬぬ、そのうち雷の剣で切り払ったり対応してくる相手も現れ始めてきた。
残弾には余裕があるから、フェイント込みで対処していくけれど…数が多いっ。って、こっちにむかっていっぺんに雷炸裂させようとしてきてる?!
雷撃の何筋かは避雷針にひかれて地面へと流れていく。私の計算通…横からの雷撃とかずるい?!
身体が雷光に包まれ、漫画なら骨まで見えそうな状況。
「うわーーーー?!やられ…あれ?」
体中に痺れと熱を感じるはずだけど、何故か痛みが無い。そうか…避雷針がきっとほとんど吸い取ってくれてたんだろうね。ふふり。
「…なんか動けるから、こっちからもお返し!…あれ、そういえばミサイルあと何本残ってましたっけ?」
●セルヴィ・アウレウム
雷が直撃した紗希センセがなんかいうてはるけど、いやいや雷が直撃して影響ないはずあらへんやろ。
耐性持ちか結界かなんか張っとるんかもしれんけど、素で忘れ取るんやろか。
連中の標的が紗希センセに向かった隙に、魔力と実弾を代わる代わる補填しながら右腕のガトリングを連射する。
雷の剣で接近してくる相手の剣劇をすんでてかいくぐり、がら空きの胴体に銃弾をたたき込む。跳弾は勘弁やから、魔力の弾の選択。
懐に潜り込んだ際に、甲冑の首下に光るロケットが目に入る。何度か繰り替えしてきた作業。甲冑に似つかわしくないもんをみつけたら、左手のダガーで切り離し回収する。
ロケットをパチリとあけてみれば、若い女性の写真が顔を覗かせる。死んでまでなんを後生大事にもっとるんや、未練がましい。
んー、まあ…しかしまあ…
「…遺族にわたす遺品ぐらい、回収してやってもバチはあたらんやろ」
自分で届けられんもんなら、ウチに預けたほうがなんぼもましやろ。親族とか残された人達の為であって、アンタらの為やないで?
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
触叢・アン
怒涛の如く、宇宙原付で突き抜ける!
上から踏んだり轢いたり背中ドスンしたり(踏みつけ/騎乗7/操縦8/鎧無視攻撃9)
通り抜け様に(2回攻撃2)密集地にマシンガン(範囲攻撃9)
敵の攻撃より速く突き抜け戦場離脱…を繰り返すヒット&アウェイ(逃げ足8/騎乗7/操縦8/地形の利用…&機体から伸びたワイヤー)
何があろうと決して止まらず
「鎧?なもん意味無ぇで、貫通じゃ~」
「わしゃ誰も止めれんでぇ」
「オラオラ~、轢~き逃げじゃ~っ!」
気分も戦場もスッキリしたら颯爽と逃げる。轢き逃げる。細けぇ事ぁ気にせず逃げる。
「ほんならのぅ!」
ただ轢き逃げしまくっただけの暴走バイクな気がするけどたぶんきっとおそらく気のせい
レイナ・オトゥール
仲間、友人、家族、恋人、大切な人たち
私だって、迷宮で命を落としてしまったら
寂しくて寂しくて、地上に……皆の所に帰りたくなると思います
でも、もうダメなんです
貴方達が今仲間にしようとしてる人たちも大切な人たちがいるんです
それに仮に地上にまで出れても
貴方達の大切だった人たちをも傷つけてしまう可能性もあります
だから…もう一度言います、ごめんなさい
貴方達はここで私が倒します
悲しみの連鎖が続かないためにも!
・戦闘
私はまだ未熟です
熟練の騎士さんたち相手ですと
技量勝負に持ち込まれたら勝てる気はしません
だから、槍を当てた瞬間にドラゴニック・エンドを私の持てる精一杯の力を込めて放つ戦法で行きます
アドリブ・連携歓迎
紬雁・紅葉
溜息
…この上は是非もなし…
先ずは、推し通ります!!
兵達よ!退くがいい!
汝等の先は葦原に非ず
なれど闇無き常世なり
自らの剣を穢す勿れ!
【雷の魔力】を防御力に付与
剣、薙刀、弓を適宜使い分け、雷属性+破魔の衝撃波を以て回数に任せて範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃は躱せるかを見切り残像で躱しUCとオーラ防御などで防ぎカウンター破魔雷衝撃波で吹き飛ばす
仲間は積極的にかばい、援護射撃
聞こえませんか?その雷から
黄泉にて住まう雷神の
そちらへ行くなの咆哮が?
感じませんか?その雷から
八柱坐します雷神の
此方に揃えの号令が?
逝かれませ
幽か哀し気に詠いながら、仲間から突出せぬように留意しつつもゆるゆると戦線を圧し上げる
八田・阿須摩
そうだな、帰りたいよな
気持ちは解るよ、とてもね
だから、君達を斬り伏せさせてもらうよ
それが俺の、俺達の役割だからね
魔法刀の太刀筋はきちんと見ていれば避けられるだろうし
一体ずつ確実に仕留めていく
手を天へ翳す所作をする騎士から攻撃しようか
その腕を斬り落とさせて貰うよ
雷落とすのは止めて欲しい
静電気でバチバチするの、あまり好きじゃないんだよね
自業自得とは言わないけれど、
自分が辛いからと他の人を巻き込むのは道理が通らないよね
…うん
お疲れ様
これからゆっくり眠ろうか
しっかり俺達が引導を渡してあげるよ
だから安心してお休み
●指揮者亡きデスマーチ
「ほっほう、引きがいのある連中が大量じゃのぅ」
宇宙原付の上から戦場となる広間を見渡し、アンが口笛を一つ。
「…皆のところに、帰りたいですよね」
そんなアンとは対照的に。自分の両手を握りあわせ、レイナが悼ましそうに甲冑の群れを見る。
先行した二人が数を減らしてはいるが、過去に迷宮で亡くなった亡霊達の行進は止まらない。
レイナに同意するように、阿須摩と紅葉が頷きを返す。
「きっと、彼らにも地上で待ってくれていた誰かがいただろうしね。けど…」
「はい。かつて、迷宮を護ってきた英霊であっても。地上に災いをなすならば、鎮めなければなりません」
悼みはするけれど、災いを祓う意思を持つ二人の姿をみて。自分に言い聞かせるように、レイナが言葉を放つ。
「はい…。ごめんなさい。みんなで、とめて…あげましょう」
「ようゆうた。わしはあんまりそういう細かい事はきにせんが、つらみだのなんだの晴らしてやりたいなら好きにすりゃええ」
道ぐらいならあけてやろう、とアンが笑いながらレイナの背中をぱんと叩く。
宇宙原付のイグゾースト音が響けば、甲冑の群れが四人を見据える。
●レイナ・オトゥール(竜と共に・f11986)
金属質な足音を鳴り響かせ、甲冑の群れが私達を目指して駆けてくる。
頭より上がない騎士達の表情や感情を読み取ることはできない。けれど、と騎士達の歩みを見る。
それは、どんな障害があっても地上へ戻りたいという意思を、明確に私に伝えてくるようで。
想像してしまう。
出会ったばかりだけれど、今、私の隣に仲間達がいるように。
村に戻れば、家族や友達がいるように。
もしかしたら、愛する人や、大切な人達が…貴方達にも、いたのかも知れないと。
そんな光景を、思い浮かべずにはいられない。
そんな人達との別れ。
私だったら、寂しくて寂しくて…こうやって、きっと帰りたくなると思います。
けれど、と。今も障害物を払いのけるために、破壊を振りまいている姿をみて、思う。
でも、もうだめなんです。私や…今、貴方達が仲間にしようとしている人達にも、大切な人がいるんです。
貴方達が目指す地上にいる人達にも、みんな、みんな!
一番大切な友達であるウィルが宿る槍をにぎりしめ、前を見る。ちゃんと、向き合きあうと決めたから。
貴方達は、ここで私が倒します。
「もう一度言います、ごめんなさい。ここで、絶対に止めます!」
●触叢・アン(銀河疾風・f01011)
若い子がええ啖呵をきる。そんなら、道をあけてやるのがわしら大人の役目じゃろ。
どこの世界だろうと走りまわる、縛られるもののない自由な大人の姿。焼き付けちゃらんとのぅ!
愛用の宇宙原付にまたがり、軽くスロットルを開けばご機嫌なイグゾースト音を立てる。
うむ、今日もええ調子じゃ。
湿った空気は性にあわん。陽気なBGMを口ずさみ、スロットルを全開にして風になる。
慣れたGに身を委ねれば、ほれもう鎧共らぁが目の前じゃ。
金属の鎧?そんなもん、意味無ぇで!当然の如く、そのまま…
「貫通じゃー!わしゃ誰も止められんでぇ!」
『牙』の前に展開した衝角が鎧に激突し、耳をつんざくような激音を響かせる。
スロットルは全開のまま、速度を緩めず鎧を砕き割り前に進む。
わしを押しつぶすように鎧共らぁが群がってきるよけど、攻撃くらうんは好きじゃない。
前ブレーキを握りしめ、跳ねるようにあがった原付の後部をぶち当て、退路を開く。
どうじゃ、捕まえられるもんなら捕まえてみぃ!
通り抜けざまに、愛用のマシンガンを連射すればアップテンポの快音が響き渡る。
「うはは、オラオラ~、轢き逃げじゃ~!!」
調子よく十体程跳ね飛ばすと、近寄るんは危険と判断したんか空に手をかざして、雷を帯電させはじめる。
さすがにあれが直撃したらたまらんと対処を考えとったら、それより怖い雷様が鎧共らぁに駆け寄るのが目に入る。
●紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)
彼らはかつて、命を賭して学園の封印を護ってきた御霊達。
本来であれば、敬意をもって祀られてもおかしくはない英霊であるはずですが。
地上を目指す災魔と成り果てた今、素通しにするわけには参りません。
だから、押しとどめるための力を希う。巴を手に、舞うように、歌うように奏上する。
――掛けまくも畏き剣神の、諸々の災魔・悔・業有れば、御神の御力我が身に宿らせ給へと恐み恐み申し上げます。
私の祈りが聞き届けられたのか、世界に清らかなで透明な鈴の音が響き渡る。
神の力の一部を借り受けた私の体の周囲を、紫電が取り巻く。
「この上は是非も無し。元凶である災魔を鎮める為、先ずは推し通ります!」
彼らを鎮める為に、巴を手に触叢さん達のいる戦場に向けて駆け出す。
御神の力を薙刀に宿せば、魔を祓う鈴の音が響き渡る。
ほの暗い雷光を宿す騎士達に向けて、渾身の力を込めて、一閃。
鈴の音と共に放たれる破魔の雷光が騎士達をまとめて斬り伏せる。
「兵達よ、引くが良い!汝等の向かう先は葦原に非ず!」
後ろのレイナさん達に向かう騎士達の脚を止めるために、二閃、三閃。
仲間がやられたのをみてとった彼らが、またほの暗い雷光をあちらこちらに撒き散らし始める。
私には、それが声なき彼らの悲哀の声にも聞こえてくる。
同じ雷の力を宿すものとして、問いかけずにはいられない。
聞こえませんか?貴方達のその雷から。
「黄泉にて住まう雷神の、そちらへいくなの咆哮が」
向かうべき道は、地上ではないはず。
感じませんか?その雷から。
「八柱坐します雷神の…此方に揃えの号令が!!」
あるべき場所へ、導きましょう。彼らが帰るべき天へと。
「逝かれませ。御鎮め致します!」
●八田・阿須摩(放浪八咫烏・f02534)
仲間の二人が派手にやっているから、俺は散開して抜けてきた騎士達を相手しようか。
声も意思もないように見えて、地上に向けて歩を進める執着だけはかわらないようにみえるね。
そうだね、帰りたいよな。
ほの暗く、煤けた地下迷宮。
仲が良かった人達と別れざるを得なくなって、こんな所に縛り付けられる。
俺みたいに道に迷っても、どこに迷いでても永遠に見上がれば、星もみえない天井ばかり。
帰りたいって、気持ちはわかるよ、とてもね。
思いながら、彼らのほうへ歩み寄る。
俺の存在をみとめた騎士が、雷光が形を為した魔法刀を手に駆け込んでくる。
生前がどういう存在だったかはわからないけど、剣速は速いね。俺の首を落とすような軌道の剣閃を見極め、脚の動きひとつで回避する。
俺の髪を掠めるように頭上を通過した魔法刀がばちりと音をたてるのが聞こえる。
やだなぁ、雷で攻撃してくるのはやめて欲しい。
静電気でバチバチするの、あまり好きじゃないんだよね。猫達も、静電気帯びてると嫌がるんだ。
真白の刀を抜き様に一閃。堅い手応えと共に、切り落とされた騎士の腕が金属音をたてて床に落ちる…前に、返す刀で甲冑を一薙ぎして命を刈り取る。
刈り取るといっても、もう亡霊なんだけどね。
生前は、何かしら意思をもって迷宮に挑んでたんだろ。
だから、自業自得とはいわないけれど。自分が辛いからと他の人を巻き込むのは通りが通らないよね。
同じように挑んでくる彼らを、歩く速度を変えずに斬り伏せていく。
同情しないわけじゃないけれど、手は決して緩めない。地上には、まだ生きている人達がいるんだから。
「だから、君達を斬り伏せさせてもらうよ。それが俺の、俺達の役目だからね」
●レイナ・オトゥール
歴戦の猟兵である紅葉さん達と、熟練の騎士である亡霊達が激戦を繰り広げている。
私は、まだ未熟です。あそこに飛びこんで、無事でいられる自信はありません。
だから、遠くからの全力攻撃一点狙い。それしかできない。
言葉を交わさずとも、仲間の皆がそれを察して、私を護ってくれている。
ウィルを握りしめる私の手に、緊張で汗がにじむ。
皆が稼いでくれた時間。絶対に、外せない。秒単位で推移する戦場を見据えると、焦りが生まれる。
貴方達をきちんと鎮めてあげたいのに…っ。
けれど。
口元をひき結ぶ私の顔をみて、皆が笑う姿が見える。
●触叢・アン
時間は十分稼げたみたいじゃの。若い子がきばっとるんなら、成功させてやろうっちゅう気もわいてくる。
高速で駆ける原付からワイヤーを伸ばして、残った騎士共らぁをまとめてふんじばっていく。
長くはつづかんじゃろうが、数秒ももてば十分じゃ。
「ほれ、一発でかいのぶちかましてやりぃ!」
●紬雁・紅葉
レイナさんの身体と槍から、溢れるような水の気を感じますね。綺麗で透明な、澄み切った気の色。
私がここにいては邪魔になりますので…最後に足止めを。
御神の力を込めた巴で床を大上段からなぎ払えば、床に長い亀裂がはいり騎士達の脚をとめる。
「後はお任せします。彼らが自らの剣を穢す前に、止めてあげて下さい」
●八田・阿須摩
大事な局面ではあるけど、そんなに緊張しなくてもいいのにね。
こういう場合はなんと言ってあげるべきなのかな。そんな事を想いながら、レイナさんに近づく騎士をまた一体、斬り伏せる。
…うん、お疲れ様。こんな場所だけど、これからゆっくり眠ろうか。
俺が…いや、違うな。そう想い、レイナさんのほうをみて。
「しっかり、俺達で引導を渡してあげよう。彼らを、安心して寝かせてあげるために」
肩に力が入っていたら、あたるものものあたらない。だから、笑ってみせる。
「大丈夫、俺達ならできるよ」
●レイナ・オトゥール
皆が笑顔で託してくれる。私ならできると信じてくれている。
深呼吸をして、息を整える。もう焦りはない。
だから、ありったけの力をこめて、水の気を湛えるウィルを構える。
狙うのは、残った彼らの中心。彼らを救うために、絶対に…はずしません!
「悲しみの連鎖が続かない為にも…!ウィル、力を貸して下さい!」
蒼い軌跡を残して、ウィルが空を翔る。
水竜であるウィルが、過たず騎士の甲冑に突き刺さり。
津波にも似た水の奔流が騎士達を飲み込んでいく。
悲しみも、苦しみも。全て、この水がつつみこんでくれればと、願う。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『無限回廊の亡霊』
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POW : ……あナ……タ、も…………
【怨念を宿した弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【引きずり込む亡霊の腕】で繋ぐ。
SPD : …………た、ス……け………
いま戦っている対象に有効な【ジョブの、冒険者の亡霊】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : ……ア、ああアアあアあああアアアアアアアア
対象の攻撃を軽減する【おぞましい亡霊の姿】に変身しつつ、【断末魔の金切り声】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「バルディート・ラーガ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●共に逝こうと
『彼』に感化された甲冑達が消えたフロアに。
捻れた角が生え、翼が生えたその姿。異形と化し、青白い顔色の『彼』がゆっくりと姿を現す。
その顔に敵意はなく、微笑みながら猟兵達をみる。
『君達は…?』
問い、しかしすぐに合点がいったように手を差し伸べる。
『そうか…君達も、迷宮で迷っているんだね』
仲間を見つけたと笑む顔とは裏腹に。『彼』を取り巻く瘴気が力を増す。
『帰ろう…一緒に、地上へ』
セルヴィ・アウレアム
「善意でやらかしとるあたり、ほんま質悪いなぁ、こいつなぁ!」
●行動【UC:マギア・ガトリングによる攻撃】
先ずは一度距離を取らないと、冒険者の亡霊によって押しつぶされる。『内蔵レッグ・スラスター』で即座に離れ、十分に距離をとった段階で『内蔵ミニガトリングガン』を構える。
亡霊を召喚するようであればそちらの処理を優先、怨念弾や金切り声で攻撃を行ってくる場合は、あえて避けず、【マギア・ガトリング】を用いてノーガードでの殴り合いを行う。
八田・阿須摩
あぁ、そうだね
君はもう、還らないといけない時間だね
一緒に、は無理かな
できれば「君」の証が、小さくても在れば一緒に地上へ連れて帰れるんだけど…
まあ、そんな事を考えながら戦うのは礼儀に反するから
全力で行かせて貰うよ
俺はよく迷うけどこの迷宮ではまだ迷っていないよ
何せ心強い仲間達が居るからね
腕や脚を狙う
機動力を削ぐ事で此方に少しは有利になるだろうし
【怨念を宿した弾】は弾く事できるかな
うん、無理せず避けておこう
亡霊の腕で繋がれると行動制限されるし
何より引きずり込まれるのは御免被るよ
足手纏は仲間に迷惑かかるからね
亡霊はどんな形で現れようと躊躇なく斬る
●地上へ馳せる想い
『君達も、迷宮で迷子になっているんだね』
青白い顔に微笑みを浮かべ、『彼』が手を差し伸べる。
迷宮にいる猟兵達が、同じ迷宮での迷子であるということに疑いはないように見える。
『帰ろう…一緒に、地上へ』
道連れがいるなら、共に逝こうという誘いを。けれど、阿須摩とセルヴィは拒絶する。
「帰ろう…そうだね。確かに君はもう帰らないといけない時間だ。けど…」
「アンタの帰る先は、この先やあらへんねん」
セルヴィが剣呑な視線をむければ、戸惑うように彼が伸ばす手を止める。
戸惑いに比例するように、彼を取り巻いている黒い瘴気が形を為し始める。
『確かに、僕が帰る先は、この先のはず。僕は…地上へ帰りたいんだ』
だから、邪魔をしないで欲しいと。銃口から瘴気が零れる蒸気式の銃を、二人に向ける。
『そうだ、帰るんだ。君達も、僕も。そして、僕達も…!』
「言葉が通じるようで通じんやつやなこいつっ」
「迷っている間に、心も迷子になったみたいだね」
二人はそれぞれの武器を構え、彼と対峙する。
これ以上、彼が地上へ迷いださせないように。
これ以上、彼の道連れをつくらせない為に。
●セルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)
目の前で悲劇の主人公を気取る兄さんが、怨嗟の声をあげる。
そないな泣き言いわれても、もうどうにもならんのになぁ。
瘴気がだんだんと人の形になっていきよる。見えるだけでも二人、一旦距離とらなあっちゅうまに囲まれる。
そう思い、脚に仕込んだ機関に体内の魔力で生成した蒸気を送り込む。
スラスターから排出される蒸気圧と脚の動きひとつでウチの身体が後ろに跳ねる。
下がり際に兄さんに目をむければ、とうとう瘴気が人の形をとる。
文字通り表情が曇って判別つかんけど、多分男二人。
数でこられたらかなわん。動き出す前に、右腕のガトリングをうちこんだる!
兄さんと亡霊共にぶちあたる寸前に、盾もった亡霊が射線にはいって邪魔しくさる。
『どうして…邪魔をするんだ!僕達には、帰りたい場所がある。君も、一緒にこの迷宮からでよう!』
そんな事言いながらこっちに銃口向けてくるあたり、ほんまええ根性しとる。言うてること、ばらっばらやないか!
「思考回路ぐっちゃぐちゃのくせに、善意でやらかしとるあたり、ほんま質悪いなぁ!」
後衛を護る前衛二人と、火力と支援の後衛二人。上手いことたちまわとって、ありったけ弾丸くれてやっても切り崩しづらいのがほんま腹正しい。
さっきまでの騎士型の連中とは違う。多分…生前の仲間なんやろな。
真っ黒に染まったエレメンタルソードを持った亡霊が、距離を詰めてくる。牽制にガトリングを打ち込んでやっても、器用にいなしてはじきよる。
距離が詰まってくる。また距離をとっても、状況は変えづらい。
だから、前にでた。振り下ろされるエレメンタルソードを見据える。脚のスラスターに蒸気を送り込み、不意打ちの体当たりのように右手を相手の胸元にぶち当てる。
瘴気の宿るエレメンタルソードが肩を掠め、やけるような痛みがはしるけど、構わない。かわりにありったけ、魔力の弾くれたる!
「アンタらも仲間なんやったら…とめてやるのが役目やろが!」
●八田・阿須摩(放浪八咫烏・f02534)
接射でガトリングをたたき込まれた亡霊が吹き飛ばされるように転がる。
セルヴィが引きつけてくれている間に、刀を片手に彼に斬り込んでいく。
『どうして…僕の仲間を!僕達は、みんなで一緒に地上へ帰りたいだけなのに!』
彼のもつ銃口に、黒い瘴気が凝縮していくのがわかる。もうそれは、蒸気式の武器のようでまったく別物みたいだね。
回廊に響く発砲音。連射される怨念弾が俺に押し寄せてくる。
斬り伏せようと刀を振るおうとした刹那。怨念の弾丸が炸裂し、禍々しい腕に形を変える。
とっさに進路を変えて避ける俺の横を、相手を捉えるような挙動で空をきる腕が通り過ぎていく。
「一緒に帰ろう…か。一緒には、無理かな」
あの腕で引きずり込んで、仲間を増やしてきたのかな。
何本もの腕を、すんででかいくぐって彼に近づく。
銃を手繰る腕を狙って斬り込めば、彼が困惑の顔を浮かべて距離をとる。
理解できない、という顔をされても困るね。
彼が狙われた事に気づいて、盾の亡霊がカバーリングに加わってくる。
連携は見事。きっと、彼の指揮のもとで、いいチームだったんだろうと推察できる。
「けど、残念ながら君達の道はもう閉ざされたんだ。君達が悪いわけではないけれど、もう地上へは戻れない」
『終わってない…!地上へ戻って、仲間と!もっと仲間を増やして…!それから、それから…?』
思考の迷路。
帰りたいという願望が、怨霊化の影響で仲間を増やすことにすりかわりはじめてるね。
「たとえ今の君が地上へ戻っても、永遠に迷子のままだよ」
気持ちは汲んであげたいけれど。だからこそ、躊躇はしない。ここで止める。
きっと、それが彼の為でもあるはずだから。
盾との真っ向からのぶつかりあいは、刀じゃ分が悪い。
だから、加速する。息をとめ、音もなく背後を取る俺の姿を盾の彼が見失う。
そのまま振り向きざまに首を刈り落とせば、亡霊が空に溶けるように形をなくしていく。
●共に在る、ということ
前衛の亡霊二人が消失し、彼一人が残される。
仲間の二度目の消失に、悲痛な表情をうかべ銃を乱射する。
『もう少しで…もう少しで、一緒に地上へ帰れたのに!どうして、どうして…!!!』
慟哭する彼の怨念の弾に怯まず、セルヴィが駆ける。
彼の眼前。銃弾が変化した腕に左腕を捕まれるが、構えた右の拳を振り抜く。
「みんなとみんなとって…アンタ自分が帰りたいだけや!そういうのは、『おためごかし』やろが!」
気にくわない、という想いをのせた拳が彼の頬を打ち据える。ガトリングの重量をのせた拳に、彼が蹈鞴を踏む。
「俺はよく迷うけど…この迷宮では、迷子にはなってないよ」
セルヴィに続いて、阿須摩が踏み込み。一閃。
銃をもつ利き手を斬り裂く。斬り落とす事は叶わなかったが、銃を持つ力が緩む。
「だって。何せ、心強い仲間達がいるからね」
斬りさかれた彼の腕から、銀のブレスレットがはねとび宙を舞う。
そんな彼の小さな証を阿須摩はつかみ取り、懐へしまう。
尚も距離を取ろうとする彼を追撃しようとした刹那。
彼を中心に、強烈な瘴気の嵐が吹き荒れる。
制動をかける二人の目には、嵐の中心に新たな亡霊が形を為すのが見えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紬雁・紅葉
…我が神"布都主"は剣の神
穢れ、命、未練…禍為す一切を斬る神です
貴方のその執着
御鎮め致します
我が名は"都牟刈"紅葉
貴方も、名乗られませ
神霊体を宿し、正面からするすると近寄る
射程に入った時点で破魔+光の属性衝撃波を打ち込む
敵の攻撃を見切り躱せる攻撃は残像で躱し
そうでない攻撃はUCとオーラ防御などで受け
その都度カウンター破魔光衝撃波を狙う
敵の動きが止まったら力を溜め渾身の一撃を以て止めとする
去り罷りませ…
終わったら
どうか、迷わず常世へ向かわれますように…
一礼
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
タニヤ・ヒルヴィサーリ
地上に帰りたくても帰れない…
気の毒ではありますけれど、貴方の道連れを増やすことを良しとするわけにはいきませんの!
お帰り口はこちらではございません
巫覡載霊の舞で神様…森の貴婦人、狩猟の女神ミーリッキ様を降ろしますの
皆様に比べて出来ることが少ないですけれど、亡霊を攻めて攻めてみんなの隙をつくりますのよ!
かつのて仲間が倒れるのを、何度もみるのが貴方の望みですの?!
側にいる仲間の事がみれないなら、永遠に迷子のままですのよ!
接近が叶えば鎧通しで傷を与えにいきますわ
刃がとおれば、ブレイズフレイムで内側から燃やしていきますの
お帰りなさいはいえませんの
お疲れ様と…いってらっしゃい、ですわ
●迷える魂を鎮め給う
広間に瘴気の嵐が吹き荒れる。猟兵達が一度彼から距離をとった後。
強大な魔力は長くは続かないのか、徐々に嵐が止み始める。
嵐が晴れた中心には、彼と、彼に寄り添うように立つ…恐らく女性の、杖を掲げる亡霊が一体。
「まだ、仲間の亡霊がいたようですね」
「あの亡霊の魔力、精霊術士っぽいですの」
騎士型の亡霊を鎮めた紅葉と、押っ取り刀で駆けつけてきたタニヤが並んで彼らをみやる。
かつての仲間の亡霊をやられたことへの悲しみか、それとも帰路を邪魔された事への苛立ちか。
身体をおぞましい亡霊の姿に変容させながら、彼が慟哭する。
身体の輪郭が消える寸前の蝋燭の炎の様に明滅する姿。
災魔としての命も捧げて、先へ進もうとする彼の悲鳴を二人が感じ取る。
「地上に帰りたくても帰れない…気の毒ではありますけれど、これ以上道連れを増やすわけにはいきませんの!」
「はい。還るべき場所へ、導きましょう」
顔をあわせ頷きあい。
東洋と西洋の神に仕える巫女が並び立ち、薙刀を構える。
彼を止める力を得るために、それぞれの神に希う。
「「奏上!」」
柏手の音が同時に二つ。
二人の巫女の舞に。瘴気に染まる広間に、鈴と風の清浄で透明な音が響き渡る。
「掛けまくも畏き剣神の 」
「森の貴婦人、森の奥方様。狩猟の神ミーリッキ様」
「穢れ・命・未練、罪禍為す一切を斬り一切を還す布都主なれば」
「命の迷い子を沈める為に、私を導いて下さい」
「彼の者の悔い・未練・畏れを斬り祓う御力を。御神の御力我が身に宿らせ給へ 」
「彼の者を幸運の枝の上に、導いてください」
「「恐み恐み申し上げます」」
二人の周りを、寿命と引き替えに強大な神気が取り巻く。
迷い子を導けと。亡霊の未練を斬り祓えと、渦巻く瘴気を浄化していく。
●紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)
地上へと帰れぬ事実に、更に異形へと変じる彼の姿。
薙刀を構え前にでれば、私達に気づいた彼女が瘴気を乗せた衝撃波を撃ち放つ。
魔力の流れ、核を見切り。神威を乗せた薙刀で衝撃波を斬り伏せる。
我が神、布都主は。穢れ、命、未練、禍為す一切を斬る神です。
私は、慟哭を力に変え、怨霊弾を撃ち放つ彼に深い執着をみる。
それを斬り伏せるのが、剣神に仕える私の役目です。
だから、彼らを真っ直ぐにみすえ、告げる。
「貴方のその執着、御鎮め致します」
仲間達が力を削いでいるにもかかわらず、怨霊弾の勢いはなかなかおちませんね。
神の知覚を宿した視界で彼我をみすえ、魔力と怨霊弾をかわし、いなし前に進む。
神気のこもる薙刀で打ち払う度に、神社の鈴の音に似た音が連打し、瘴気を清めていく。
「我が名は災厄を斬り裂く剣。”都牟刈”紅葉。貴方も、名乗られませ」
名には魂が宿る。彼をきちんと払う為、名を問えば、青白い炎を灯す瞳で、彼が私をみる。
『僕は…僕の名前は…?』
災魔に成り果て、思考と記憶が混濁したのか、名前を問われ狼狽えるような姿をみせる。
ですので、今一度、問いましょう。
「貴方にも名前があったはずです。与えられた、貴方自身の魂に刻まれた名前が!」
群れを為して迫る瘴気を祓い続け前に進めば、人の身に余る神気の負荷に身体が痛みを訴え始める。
構いません、それが私の務めですから。
何度かの逡巡の後に、彼がぽつりと呟くのが聞こえるのを聞き逃さない。
『僕の名前は…あ、ああ…僕の、名前は…ウィル』
「御名を聞き届けました。ウィルさん、その魂を必ず御鎮め致します」
私が真っ向から瘴気を引き受けている間に、一陣の風が私の横を駆け抜けていく。
●タニヤ・ヒルヴィサーリ(北欧の巫女妖狐・f13628)
攻撃一辺倒の私のかわりに、紅葉さんが二人の攻撃を引きつけてくれてますの。
その間に、私は亡霊を仕留める為に動きますわ。
ミーリッキ様の力の一部が私の身体にやどり、小さな身体の指先まで力が行き渡るのを感じる。
代償は私自身の命。それは、彼…ウィルさんも、紅葉さんも同じですの。
だからこそ、できるだけはやく終わらせてしまいますわ。
薙刀を手に、ウィルさんのほうへと風を纏い駆け出す。
私の進路を妨害するように、女性の亡霊が標的を私に切り替えてきますわ。
構いませんの、元より攻めることしかできない身ですので。
これだけ近づけたなら…攻めて攻めて、推し通りますわ!
深緑色の神威を開放し、瘴気とぶつけて相殺する。紅葉さんは淡々と斬り裂いてましたけれど、お相手の魔力も威力がありますのねっ。
それだけ必死に、彼を護っているのでしょうか。考えても、詮ない事ですけれど。
亡霊となった、かつての仲間達が護ろうとする彼。仲間を失い、慟哭を上げ続ける彼。
だからこそ、彼に問わずにはいられません。
「かつての仲間が倒れるのを…何度もみるのが、貴方の望みですの?!」
彼の攻撃が紅葉さんに集中している今、私が対峙しているのは亡霊の瘴気のみ。
果てしなく遠く感じる20m程度の距離を、何度も薙刀を振るい前にでる。
そう、これだけの手数を費やしても辿り着けない程の、仲間の亡霊の…何かの想いがこもった攻撃の嵐。
「帰りたいという想いは、仕方ないのかもしれませんの。何を賭しても、帰りたいという気持ちは、馬鹿にはしませんの。ですけれど!!」
ありったけの神気と、私の内に宿る炎を剣先に宿して、一閃。深緑の風に、業火をのせた一撃が、彼女へ向かう。
「貴方の事を大切にしていた…いえ、今もきっと大切にしている、側にいる仲間の事すら見失ったのなら!地上に戻っても、永遠に迷子のままですのよ!」
彼を庇うように、彼女の亡霊が腕を広げて、炎に包まれる。
『あ…あ、あああああああ?!一緒に、地上に帰り…地上へ…、君達と…!!』
仲間の亡霊の消失に、頭を抱えて慟哭する。今頃…今頃気づいても、遅すぎますわ!
「目を覚ましなさいな!」
●終章
全ての仲間を失った彼が、悲痛な声をあげて頭を抱える。慟哭に応えるように身体の周りを瘴気が燃えるように渦巻く。
その間に、深緑と銀の神気を纏った巫女達が彼に向かって駆け出す。
震える腕で怨霊弾を連射するが、精彩を欠いた射撃は二人にはかすりもしない。
「お帰り口は…こちらではごぜいませんわ!」
タニヤが神速で振り抜いた薙刀で、彼の銃を斬り裂かれ、爆発を起こす。その隙に、紅葉が懐へと深く潜り込み、つげる。
「逝かれませ。あるべき場所へ、去り罷りませ!」
破魔の力を宿した紅葉の渾身の一振りが、彼の未練ごと怨霊と化した身体をなぎ払う。
『あ、ああ…僕は…地上へ…帰り…たかった』
彼が見上げた先には、何もないけれど。
『次があるなら…また…』
この世界の、どこかで、という言葉を呟き。異形の身体は、浄化され白い輝きとなり、風に乗り迷宮へと散っていった。
最後に、そこにいた猟兵達は、『ありがとう』という言葉を聞いたような。そんな気がしたの、かもしれない。
「お帰りなさいとは、いえませんの。ですから…お疲れ様と、いってらっしゃい、ですわ」
霧散する光を見つめながら、タニヤが柏手をひとつ。
「どうか、迷わず常世へ向かわれますように」
紅葉が一礼をすれば、迷宮にまた、静寂が訪れた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『お茶のひと時』
|
POW : ケーキと紅茶を楽しむ。
SPD : ケーキ以外のお菓子と飲み物を。
WIZ : お持ち帰りのお菓子をお買い求め。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ありふれた日常、されどかけがえのない日常
アルダワ学園の敷地の外れにある、とあるカフェ。知る人ぞ知るそのお店は、今日も学生達で賑わいをみせていた。
多くの学生達が通っていた店は、いつかの日に、『彼』が通っていたかもしれまない。
昔から変わらない人気のある、上質な生クリームと芋でつくられたスウィートポテトと飲み物のセット。
産地にこだわったいちごのショートケーキに、甘さ控えめなビスケット。
少し速い4月の進級祝いとして、学生向けに割り引きキャンペーンを行っている。
一人でゆっくりとできるカウンターや、数名で来訪できるテーブル席もある。
日頃の疲れを癒やしたり、誰かと語らうのも良いかもしれない。
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブも歓迎します☆
お土産を見て、精霊や聖霊にも欲しいお土産を聞いて、ダークセイヴァー世界の子供たちや大人たちのお土産もしっかり買います♪
他の猟兵にも話しながら“こんぺいとう”を配ります☆
亡霊達を見掛けたら、「天に還られますか?☆」と聞いて『神罰の聖矢』で成仏させてあげます♪ 他にも『エレメンタル・ピクシィーズ』で光の精霊たちに導き送ってあげる様にお願いします☆
「神様は全てを許し受け入れてくださいます♪身も心も委ねて“光の未来”へ旅立ってください☆」と笑顔で手を振り“こんぺいとう”を添えて送ります♪
「神様の愛は無限で永遠です♪」と教えお伝えします☆
草剪・ひかり
一応POW判定?
お色気、即興連携、キャラ崩し描写歓迎
お仕事を終わらせた紅葉ちゃん(f03588)からお誘いを受けたので、遠慮なくお邪魔さえてもらいますね!
今日は闘いのお仕事じゃないからちゃんとした(?)スーツ姿で大人っぽい私を演出してみるね、ちょっとキツいけど
同じく誘われたティファちゃん(f02580)と三人でボックスの席に座る感じかな?
私は……スウィートポテトとショートケーキ両方頼んじゃう
美味しいのももちろんだけど、やっぱりちょっと……うん、足りないんだ量的に
美味しい紅茶とお菓子をいただきながら、のんびり過ごす昼下がり
折角だから、少し込み入った話を聞きたいなぁと思いつつも
まぁ……今度でいいか
紬雁・紅葉
ティファ―ナ、草剪ひかりと同行
女子の例にもれず、紅葉も甘味に目がない
お二人は如何ですか?(敢えて愚問)
おススメのセットにコーヒー(初挑戦)
…薫り高い…ちょっと胸に重いけれど、お茶とは違った楽しさがあります…
ちょっとだけ、ごめんなさい
今回の顛末を話し
無為に忘れられる過去が骸になるなら、語る事が骸を防ぐなら
「ウィル」という名の彼を、片隅に覚えて欲しいのです…
では、気分を変えましょう♪
キチンと切り替え
アルダワの甘味…餡子より軽くて華やかな甘さですね?
あちらも好きですがこちらもまた趣があります♪
何か催しが始まったら
何でしょう?見に行きます?
※アドリブ、巻き込まれ、大歓迎です※
●匂いおこせよ梅の花
肌を刺すような寒さも徐々に衰えをみせ、暖かな陽気のさす学園の一角。
迷宮での任務を終え。身支度を整え直して待つ紅葉へ、二つの声がかけられる。
「お待たせしました、紅葉!」
「紅葉ちゃん、お仕事お疲れ様」
ぴしりときめたスーツ姿で快活に笑うひかりと。ひかりの肩の上に座りにこやかに手を振るティファーナに、紅葉が微笑む。
「お二人とも、来てくれてありがとう。良い甘味処があると聞いたので。お二人とも、甘いものはお好きでしたよね?」
「せっかくのお誘いだしね、甘いものなら歓迎かなー」
「ボクも、美味しいものがあったらみんなにお土産買って帰るのが楽しみです☆」
三人が揃い花が咲いたような雰囲気に、若い学生達…主に若い女生徒達から小さな黄色い声があがる。
そんな様子に三人が笑顔を返しながら、紅葉が二人をカフェへ先導する。
「外にいても寒いですし、中へ入りましょうか」
●紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)
店員さんの案内で、敷地の庭のみえるテラス席へ。
席に座り、見上げてみれば庭に植えられた小ぶりな桃の花。
風にのって鼻孔を擽る微かな桃の花の香りに、少し頬が緩みます。
「今年も桃の季節。もうすぐ春ですね」
「こっちにも桃の花咲いてるんだね。学園でも、もう少ししたら新入生の歓迎会やるっていってたよね」
ひかりさんに頷いて見渡せば、歓迎会の打合せをやっている学生さん達もいるようですね。
桃の花のイラストがちりばめられたメニューを店員さんから受け取り、しばし黙考。
どれも捨てがたく美味しそうですけど…せっかくの機会ですので、やはりおすすめのセットにしましょうか。
「わたしは決まりましたが、お二人は何にしますか?」
「私は、スウィートポテトとショートケーキ、それと紅茶のセットにしようかな」
「ボクもスウィートポテトにします♪美味しかったら、お土産に持って帰りたいですね!」
甘味を二つ注文…そういうのもありなんですね。
「ひかりさんは健啖ですね」
「身体を動かすのが生業だから、量がね」
からりと笑うひかりさんに微笑み、店員さんに三人分の注文を。
甘味がくるまでの間。来てくれた二人に向き直る。
「ティファーナ、ひかりさん。ちょっとだけ、ごめんなさい」
わたしの雰囲気を察してくれたのか、わたしの方を向いて座り直してくれる。
そんな二人に感謝して、今回の任務の顛末を語る。
甘味の共にするような、楽しい話ではありませんが。
本当の『死』というのは、誰からも忘れ去られた時。彼の過去が無為な過去にならぬよう。
忘れ去られ、骸にならぬよう。「ウィル」という名の彼を、片隅に覚えて欲しいと…願いながら。
●草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)
依頼での顛末を、真剣に、けれど穏やかに語る紅葉ちゃんの話に耳を傾ける。
隣をみれば、店員さんがもってきてくれた妖精用の椅子に座ったティファちゃんも、頷きながら話を聞いている。
仲間がいる場所に帰りたい…って気持ちはわかるかな。
若い頃に『学園』にいた時も。卒業してから団体を立ち上げた今も。
仲間や友達の帰りを信じて待ってるし、信じて待ってもらえてると思ってる。
だから、「ウィル」が生きていた過去を、私達は覚えていよう。
…さて、せっかくカフェにきたんだし、しんみりした時間はお終い。
丁度話が終わったタイミングで、店員さんがケーキと飲み物を持ってきてくれる。
三人とも共通で、お芋の優しくて甘い香りのするスウィートポテト。
ティファちゃんのは、妖精さんが食べやすいように少し小さめなサイズだね。
「ああ、すごく甘くて良い香りだね」
「わたしは珈琲は初めてですが、こちらも良い香りですね」
「見てるだけは身体に毒ですから、さっそく頂いちゃいましょう☆」
いただきます、という三人の声が唱和する。
初めての珈琲でブラックで飲んでるけど、紅葉ちゃんは大丈夫かな?
「…薫り高い…ちょっと胸に重いですけれど、お茶とは違った楽しさがありますね…」
苦みは大丈夫そうだけど、普段は紅葉ちゃんお茶だもんね。飲み慣れてないと、胃にくるよねそれ。
わかるわかると笑って頷きながら、ミルクのポットをすすめておくね。美味しく飲むのが一番だよ。
そんなやりとりをしながら、私も甘味を一口。素朴なサツマイモと優しいクリームの甘さに舌鼓をうつ。
「ん~、頬が落ちそうです!落ちたら大変ですけど☆」
夢中でケーキを食べるティファちゃんと、甘味に顔を綻ばせる紅葉ちゃんを見ながら、紅茶を楽しむ。
穏やかな昼下がり、こんな日も悪くないよね。
●祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)
頬が落ちそうなぐらいに甘いポテト、幸せですね♪
ボクばっかり食べてるのも悪いので、精霊さん達にもお土産を選んで貰います。
小さな精霊さん達をよんで、一口ずつ試食してもらいます。ボクの分、全部たべたらだめですよ?
お芋が気に入った子、草剪さんのケーキのイチゴが気になる子。
好みはそれぞれっぽいので、子供達の分もあわせて、半分ずつぐらい買って帰ることにします。
精霊さん達とそんな相談をしていると、杖を持った学生さんが近づいてきます。何か御用でしょうか?
話を聞いてみると。カフェのイベントで、風の精霊さんの力をかりて、ウグイスを桃の木に呼び寄せるそうです。
よければ、精霊術士のボクに手伝ってもらえないかということでした。
「桃にウグイス、風流なイベントですね」
「ティファちゃんが良ければ、せっかくなら手伝ってあげたらどうかな?」
横にいる風の精霊さんにも聞いてみたら、ばっちり問題ないそうです☆
「そういうことでしたら、楽しそうなのでボクも参加しますです♪」
ふわりと羽ばたき、風の妖精さんと席をたつ…前に、スウィートポテトは完食しちゃいましょう、ご馳走様です☆
風の精霊さんの力をかりて、桃の花の香りを、ウグイスが営巣しているところへ運ぶそうです。
それじゃあ、妖精さん、宜しくお願いしますね☆
学生さん達の妖精さんと、ボクの妖精さんが起こすそよ風が付近に微かな桃の花の香りを運んでいく。
しばらくすると、数羽のウグイスさん達がばっちり集まってきました。
ボク達以外の御客さん達も嬉しそうにしてるので、成功ですね☆
「ティファちゃんお疲れ様。いやー、風流風流だね」
「ティファーナもお見事です。健康を願う、桃の節句…桃の木は邪気を祓う、神聖な樹でしたね」
ほうほう…邪気を祓うですか。
そういうことでしたら、精霊さんにもう頑張りしてもらいます。
先程の紅葉の話をきいて、思いました。「ウィル」や共に居た亡霊さん達。
この地で戦って、迷ってる子達がまだいるかもと。だから、空へ帰るお手伝いをしてあげましょう☆
土や埃を巻き上げないように、地面におちた桃の花や花片を風の妖精さんの力をかりて空へ舞上げる。
二人や、学生さん達も共に花々が舞う空を見上げる。
神様は全てを許し、受け入れて下さいます。
邪気を祓う桃の花々が、彼らを天に導くしるべとなるよう。
身も心も委ねて『光の未来』へ旅だって下さい。
道中寂しくないよう、こんぺいとうも風にそえて☆
「神様の愛は無限で永遠です♪」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
八田・阿須摩
紅茶とチーズケーキを貰おうかな
ケーキ、甘さ控えめなら他のものでもいいけど
ビスケットは持ち帰り用に帰り際に購入していこう
一人だからカウンター席で
楽しげな学生達をのんびり眺めながら
紅茶とケーキを堪能
懐にしまっていた銀のブレスレットを取り出し、眺める
店員にブレスレットを見せて、持ち主を知らないか聞いてみよう
知っているなら話を聞いて、彼の家族か知己へ渡して貰えるように交渉してみる
知らないのなら、学園の教師か事務員へ
彼の家族か知己へ渡して貰えるように
彼の代わりに
おかえり、を言って貰えるといいね
折角地上へ帰ってこれたのだから
●人が集う場所
休日で学生達の賑わいをみせる、学園のカフェ。
庭に並ぶ桃の木の下を通り、阿須摩は店内へと歩を進める。
店内に入ると、珈琲や紅茶、それに甘い香りがまじった独特の香りが鼻孔を擽る。
店内の壁やコルクボードには、お店で撮影された学生達のピンナップ写真がいくつもとめられている。
日にやけた古いものから、最近とられたものまで様々。
そんな写真をなんとなしにみながら、店員に案内されてカウンターの席に阿須摩は腰を下ろす。
●八田・阿須摩(放浪八咫烏・f02534)
カウンター席からは外の桃の花がみれない分、カウンターには剪定された桃の花が花瓶にいれられて飾られている。
店員から受け取ったメニューも桃の花のイラストがかかれてるね。丁度キャンペーンの時だったのかな。
メニューは色々あるみたいだけど。おすすめのポテトは少し甘みが強そうだから、紅茶とチーズケーキのセットにしようかな。
持ち帰り用のビスケットとあわせて、アルバイトの店員に注文を伝えて。待つこと数分。
真っ白な陶器のティーサーバーと一緒に、注文していたチーズケーキがカウンターの前に並べられる。
一杯目の紅茶を店員がカップに注いでくれると、茶葉の香りがふわりと鼻孔を擽る。
サーバーで三杯は紅茶がとれると説明して、店員が会釈をしてさっていく。
暖かな紅茶を一口のんでから、柔らかなチーズケーキを堪能する。
控えめな甘さで良いね。
紅茶とケーキを楽しみながら、お店の中を見渡してみる。
丁度、在学生は進級と、もう少ししたら新入生達の入学の時期だからかな。
開放感や、歓迎会の打合せとか。どの子達も楽しそうに甘味を楽しんでるね。
懐から、『彼』のブレスレットを取り出して眺めてみる。
昔からあるカフェってことだけど。いつかの日に、君も、この学生達の輪の中にいたのかな。
壁にはられている写真をざっとみてみたけど、俺が知っているのは彼の異形と化した姿だけ。
ちょっと、この写真の中にいたとしても見つけるのが難しいかな。
聞いてみるなら、アルバイトの子よりもお店のマスターかな。
カウンターの中で珈琲を淹れているマスターに、カウンター越しに声をかけてみる。
「忙しいところごめんねマスター、少し訊ねたい事があるけんだけどいいかな」
「いらっしゃい、大丈夫だよ。聞きたい事って?」
淹れ終わった珈琲をアルバイトの子にわたして、マスターがにこやかに応えてくれる。
若くみえてるのかもしれないけど、40台ぐらいの女性かな。
「このブレスレットの持ち主を探してるんだけど、御客さんに心当たりはないかな」
布にくるんだブレスレットをマスターにわたして、迷宮で拾った旨、おそらく学生のものであろうと思った旨を説明する。
災魔と化していたというのは、伏せおく。
ただ、持ち主がもう生きていないであろうという事は、マスターは察しているようだけど。
「…名前はわかる?」
いくつか心当たりがあるのか、マスターが渋い表情を浮かべる。
彼が唯一自分の事を口にしたもの。『ウィル』という名前を告げる。
しばし目頭を押さえたマスターが、壁から一枚の写真をとって持ってくる。
写真をみてみれば。肩をくみ楽しそうにしている学生3人と、それを隣で笑顔で見ている女学生が1人。
真ん中で照れくさそうに笑顔を浮かべている少年がウィルであること。
写真には写っていないが、彼女にもらったブレスレットを大事にしていたこと。
二年ほど前に、彼らが店に現れなくなった事をマスターが寂しそうにかたる。
学生が迷宮にのまれる事は決して少なくない。マスターは、もしかしたらとは思ってたんじゃないかな。
だからこそ、ここにきた学生達の写真を大切にしてるんじゃないかな、というのは俺の考えすぎかな。
さすがに御客さんの住所とかまでは知らないけれど、調べれば遺族に渡せるだろうとの事。
手間をかけてしまうけれどとつげれば、問題ないよとマスターが笑う。
彼のブレスレットを渡し御礼を告げて、改めて店内を見渡してみる。
ここにいる学生達にも、たぶん俺にも。
迷子になっても…帰る場所や、まっててくれる人達が、それぞれにいるはず。
だから、彼のかわりに。
『おかえり』を、いってもらえるといいね。
折角、地上まで帰ってこれたのだから。
大成功
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