第二次聖杯戦争⑯〜お日様の匂い
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「そういえばいたっけな、こいつ……」
過去の戦争の資料を調べていた栗原・嘉狼(狼と獅子の二人劇・f35771)はそう呟いたあと、集まってきた猟兵たちに手をあげた。
「シルバーレインでの戦争は皆知っていると思う。俺からの依頼もそれだ」
場所は石川県庁前。
そこにある一匹のゴーストウルフがぽつんと立っている。
「ゴーストウルフっていうのは、魔狼フェンリルを呼び出した際の余波で生まれる妖獣と思ってくれ。でそいつの名前なんだが」
名前はミント。
なんとも可愛らしい名前だ。
「銀誓館との戦いを三度経験し、二度生き残ったゴーストウルフだ」
オブリビオン化している時点で察せられるが三度目の戦いで討伐された。
なんとも強そうな気配がするが……。
「ミント自体に戦闘力はない。集団敵の一体と数えるにしても可哀想なくらいにない、数に含めない方がいいくらいに」
ついた称号は『震えるミント』。
可哀想である。
ただ妙に慕われているらしく、オブリビオンとして蘇生された「背徳のラダガスト」の配下だった人狼騎士達が、何故か皆勝手にミントの配下になっている。
普通に戦おうとすればこの人狼騎士達が束になって必死にミントを守ろうと応戦してくるし、ミント自体が魔狼フェンリルを召喚してくる。
この召喚術だがミントが最初から持っていた能力ではない。
どうやらハビタント・フォーミュラから「魔狼フェンリル召喚術」のユーベルコードを移植されたらしく、統率者に仕立て上げられた形だ。
「こいつに限っては討伐する必要はない。弱点が露出してるからそいつを叩き割ればいい」
ハビタント・フォーミュラの魔力が「無限大マークの渦」としてミントの頭上に顕現している。
それを破壊さえすればミントはきゃんきゃん言いながら撤退するらしい。
可哀想。
蘇生された人狼騎士達もその魔力が良くないものだとは分かっているようで、何らかの対処を行えば自主的に砕いてくれるらしい。
その対処の仕方だが。
「犬や猫を飼っている人は?もしくはそれに近い人」
なぜ犬猫の話しを?
「予知で見た感じ、ミントはいい匂いがするみたいでさ」
ミントの香り?
「いや、そういうアロマ的なやつじゃなくて。お日様の匂いというか、焼き立てのパンの香りというかそういうの」
なるほど、そういう匂いか。
「最終的にミントを討伐するかは任せる。ただ、倒さないほうが気持ちは楽になるとだけは言っておく」
川内嘉治
ミントなのにパーン!
どうも、川内嘉治です。
今回はシルバーレインの戦争シナリオ。
ゴーストウルフ『震えるミント』の対処をお願いします。
以下、簡単な状況把握
石川県庁前にいる『震えるミント』の対処。
普通に攻撃しようとすると配下になった人狼騎士達(オブリビオン)が束になって応戦。
人狼騎士達に何らかの対処を行い、可能であれば自主的にミントの頭上に顕現している魔力渦を破壊。
魔力渦を破壊されたミントはきゃんきゃん鳴きます。
ミントはお日様の匂いのような焼き立てのパンのようないい匂いをしている。
(召喚されたフェンリルも同じ匂い)
プレイングボーナスは以下の通り。
=============================
プレイングボーナス:人狼騎士達に「何らかの」対処をする。
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……答え見えてますね。そういうことです。
では、嘉き対応を。
第1章 ボス戦
『フェンリルを統べる者『震えるミント』』
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POW : なぜかフェンリルに慕われている
【魔狼フェンリル】を召喚する。騎乗すると【フェンリルの毛並みに隠れた】状態となり、【フェンリル頼みのパワー】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD : けなげっぽい目で見つめて噛み付く
【かみつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : くぅ〜ん、きゃんきゃん!
自身が【ぷるぷる不安な気持ち】を感じると、レベル×1体の【魔狼フェンリル】が召喚される。魔狼フェンリルはぷるぷる不安な気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:吉希
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
栗花落・澪
☆
良い匂い…しかもフェンリルさん達も…?
天国では??吸っていい??
あ、ダメだテンションが…(深呼吸
倒すつもりはないです
例えオブリビオンでも
でもミントさんにいきなり近寄るのは怖がらせちゃいそうだよね
だからひとまず騎士さん達に交渉から
あの渦、どう思います?
ミントさん、多分あれにも怯えちゃってますよね
もっと平穏に過ごさせてあげたくないです?
あ、あと、あの
無理強いはしませんが
むしろこのために来たというか
ぎゅってしていいですか
顔埋めたい
もふもふしたい
許可さえ得られれば
色んなもふもふと対峙してきた身
気持ちよくさせる撫で方等は心得てるのでそのように
あわよくばミントさんも…怖がらせない程度に
……離れ難い…っ!
希那古・もち
パンのにおい!パンのにおい!パンどこ!!
あれっ、パンじゃなくてオオカミさんがいる!
オオカミさんこんにちは!ぼくきなこもち!
あわー!ぼくたたかいに来たんじゃないよー!
ミントをさがしにきたんだよー!
ミントはね、ほわほわしていいにおいってきいたの!
ぷるぷるしないでー!おともだちになろー!
(戦場いっぱい走ってたから、ぼくの身体もお日様の匂いついてるかも?
ぼくも仲間だよーってアピールできればいいなー)
|キシ《騎士》さんもミントのにおい好き?ぼくも好き!
ミントはすごいオオカミさんってきいたよ!かっこいい!よかったらお話きかせて?
あれれ、ミント、あたまのぐるぐるがきになるの…?
ねぇ、ミントをたすけてあげて!
マロン・ビネガー
◎アドリブ等歓迎
動物好きに悪人はいない
騎士達も話せば分かるかな?
◆行動
・人狼騎士達への対処
技能「礼儀作法」を使用
白昼失礼します
皆様から強者の雰囲気を感じますが
もしや高名な方の護衛中ですか?
あちらの狼さん……ミントちゃん、の親衛隊?
狼=真神とも言いますし
つまり皆様は神様の騎士なのですね
寒い中でのお勤め、ご苦労様です
UC【ウォー・アイ・満漢全席!】で
料理各種を差し入れに、誠心誠意のお持て成しを
是非ともミントちゃんの武勇伝と愛らしさと魅力について教えて下さい
皆様がいればミントちゃんも安心ですね……って
変な渦が頭上に有る様な
ミントちゃんが震えている原因ってアレですか?
早速、騎士様方の腕の見せ所ですよ!
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石川県庁前。
そこは他の戦場と比べると異彩を放っていた。
ゴーストウルフ『震えるミント』を守るように魔狼フェンリルやオブリビオンとして蘇生された人狼騎士達が円陣を組んでいた。
「いいか、我らが太陽ミントに手を出すような下賤な輩が来たら束になり守り抜くぞ!」
「「「おぅ!」」」
気合十分といったところだろう。しかし、そんな光景を目の当たりにして怖がるものがいた。
「くぅーん……」
ミント本人であった。
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「天国では?」
開口一番そう言ったのは、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
グリモア猟兵の話しによればミント本人だけでなくミントが召喚する魔狼フェンリルもお日様の匂いがするとのこと。
かわいい犬(狼だが)だけでも良い匂いがするのに、でっかい犬(狼だが)もまた良い匂いがするとは。
これを天国と言わずなんと呼ぼう。
いけない、テンションがおかしいかも。
気持ちを落ち着けるためにまずは深呼吸。
「あの……」
「お前達は猟兵……!やはりミントを殺しに来たか!」
「いえ、そんなつもりはなくてお話しに来たんです」
武器を構える人狼騎士達に雫とマロン・ビネガー(夢幻の恋人・f37213)の二人はそう答える。
「わぁ、パンのにおいがする!」
その横から丸くて茶色いもふもふ、希那古・もち(|あまり賢くない動物《わんわんわんわんわんわん》・f24531)が走ってくる。
「なんだこの丸っこいの!?」
「というか喋ってたぞ!?こいつも猟兵の仲間か!?」
「あわー!ぼくたちたたかいに来たんじゃないよー!ミントをさがしにきたんだよー!」
もちのその言葉で信じたのか、人狼騎士達は三人が戦う意思がないことに気づいたようだ。
「……戦意のない者が何の用だ」
構えを解いた騎士の一人が三人に問いかける。
そこにマロンが一礼をして話し始めた。
「白昼失礼します。皆様から強者の雰囲気を感じますが、もしや高名な方の護衛中ですか?」
「そうだ、我らが太陽ミントを護衛している」
「あちらの狼さん……ミントちゃん、の親衛隊?狼は真神とも言いますし、つまり皆様は神様の騎士なのですね」
寒い中でのお勤め、ご苦労様です。
「差し入れをお持ちしました。食事をしながら、是非ともミントちゃんの武勇伝と愛らしさと魅力について教えて下さい」
マロンのそんな対応に騎士達は戸惑う。当然と言えば当然だろう。
「いいのか?我らはオブリビオンだぞ?」
「動物好きの人に悪人はいません」
騎士のその言葉にマロンはそう返した。
そういうことならと騎士達は差し入れとして出された料理に手を付ける。何人かは毒の可能性を考えて手をつけようとしない者もいたが、そこは澪やマロンが率先して食べて毒がないことを実践してみせた。
「ミントさんの頭の上にある渦、どう思いますか?」
身体が温まった頃合いで澪が本題を切り出す。
「多分あれにも怯えちゃってますよね。もっと平穏に過ごさせてあげたくないです?」
「それはそうだが、だがあれはフェンリルを呼ぶための魔力で……」
「でもミントはたいへんそうにみえるよ?」
もちのその言葉に騎士達は押し黙る。思うところがあるのだろう。
「ここは騎士様方の腕の見せ所ではないでしょうか?」
マロンのその一言に騎士達も思案する。
「そう、だな。ミントが苦しむのは我々の本意ではない。あれは我々で破壊しよう」
目的は達成できそうだ。
「あ、あのちょっといいですか?」
話しがまとまったところで澪が挙手をする。
「無理強いはしませんが、むしろこのために来たというか、ミントさんをぎゅってしていいですか」
あわよくば顔を埋めたいしもふもふしたいと澪がいった。
大成功
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サリア・カーティス
【夜狼】
お日様のにおい……とは、何かしら……?
ダークセイヴァーにはあまり太陽がなかったので、よく分かりませんわね……エリックさんはお分かりになって?
あの騎士の方達ならご存知かしら……
聞いてみるためにも敵ではないと示す必要がありますわね
彼らがミントさんの為に動くなら、ミントさんに対して敵意がないと伝えればいいのではないかしら?
目線を低くして、あまり見つめすぎず、しっぽを高く振りすぎないようにして、狼なりの【礼儀作法】で敵対する気は無いことを彼らに示しましょう。ふ、触れるのもが、我慢……
騎士達と意気投合……は……とりあえずミントさんを褒めましょう。その珍しい毛並みとか、控えめでいらっしゃる所とか。
エリック・シェパルド
【夜狼】
お日様の匂いは…いや、実際触れば分かるだろうよ
俺も元はダクセ民だからお日様の匂いは新鮮だったからな
知った時の嬉しさを薄めるわけにはいかねえよ
だな、まずは警戒を解いてもらわねぇと怪我人が増えちまうし
俺はお嬢の作法を真似つつ敵意がない事、武器を手に持っていない事を狼語でミントにクーンと話すわ(コミュ力、動物と話すを使用)
お嬢頑張れ…今手を出したら嫌われちまう…
騎士達にはミントの良さを力説して協力してもらうぜ
『俺達は敵じゃねぇ。味方だ
そもそも戦えるわけねぇじゃねえか…こんな不安そうなヤツをよ…むしろ守るわ…お前らもふわっふわであったけぇミントを守らねばならねえって思った奴らだろ?』
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お日様の匂いとはなんだろう。
ミントのもとへと向かう途中、そう口に出したのはサリア・カーティス(犬の子・f02638)だった。
ダークセイヴァー出身の彼女からすると理解の外のようだ。
太陽の下という意味ではこの世界にいる時点で叶っているが、肝心の匂いはしていない。
それを聞いたエリック・シェパルド(狼のおまわりさん・f26560)は説明をしようと思ったがやめた。
説明するのは簡単だろう。だが、それは初めての感動を薄めてしまうことになると考えたからだ。
新たに来た二人に対し、人狼騎士達は武器を構えた。
とはいえ、それは形式的なもので本当に事を構えるつもりはなさそうに見えた。
「俺たちは敵じゃねぇ味方だ」
エリックのその言葉ですぐに構えを解いた辺り戦意はないと判断したのだろう。
「……一応聞く、我らが太陽ミントを殺しに来たのか?」
「いいや違う、そもそも戦えるわけねぇじゃねえか……こんな不安そうなヤツをよ……。むしろ守るわ……お前らもふわっふわであったけぇミントを守らねばならねえって思った奴らだろ?」
ミントに会わせてくれないかというエリックの申し出は、後ろに何人か付ける条件がついたが通してくれた。
怯えるミントにサリアは目線を低くし、しかし視線は合わせ過ぎないように。尻尾も高く振り過ぎないように、狼なりの礼儀を見せ始める。
隣のエリックも同じように。こちらに戦意はないことをくーんと鳴いて後押しする。
ミントは怯えながらもサリアに近づき、すんすんと匂いを嗅ぎ始める。
近づくミントに手を伸ばそうとするが、ぐっと耐えるサリア。
(お嬢頑張れ……今手を出したら嫌われちまう……)
サリアの心情を理解しているエリックも心の中で応援している。
本当に戦意がないと気づいたのか、ミントはサリアに向かってワンと吠えると体を寄せてきた。
大丈夫なのかと視線を向けるサリアにエリックは頷く。
ゆっくりと手を伸ばしてミントの背を撫で、顔を近づける。
暖かい陽の香りがサリアをくすぐった。
大成功
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ソフィア・アンバーロン
WIZ/☆
あ、パンの香りだ
そういえばミントを追いかけ回して、食事をとってないや
今回のミント追いかけ回しが終わったら食事にしよ
あ!人狼騎士さんだ!
ストップ!ストップ!ミントをたおしに来たんじゃないだよう
頭の渦を壊しに来たんだよう
大体、どっかんのうさぎモドキがあんな渦つけたせいでミントがフェンリル呼び出し製造機にされて、ミントが困ってるんだから
よかったら、一緒にあの渦壊さない?
そうすればミントが今より震える事がなくなると思うよ?どうかな?
いまなら、私の相棒(スピカ)を数分モフる権利をあげよう!
だから私もミントをモフりたいなぁって
…だめ?
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震えるミントのいる戦場を駆け巡っていたソフィア・アンバーロン(虚ろな入れ物・f38968)は、ふわりとしたパンの香りにそういえば食事をとっていなかったことを思い出した。
今回のミントを追いかけ終えたら休憩もかねて食事をしようと決めた。
「むっ、お前、猟兵だな!」
「ストップ!ストップ!ミントをたおしに来たんじゃないんだよう。頭の渦を壊しに来たんだよう」
ソフィアを見た人狼騎士が構えたので慌てて制止する。
他の猟兵と同じようにソフィアもまたミントを救いたいと思って来ていた。
そもそも、ミントが使うフェンリル召喚術はハビタント・フォーミュラとかいうウサギモドキが無理矢理移植させたものだ。
「頭の渦のせいでミントが困っているんだから、良かったら、一緒にあの渦壊さない?」
そうすればミントが今以上に震えることもなくなるだろうとソフィアは人狼騎士に提案する。
「いまなら、私の相棒を数分モフる権利をあげよう!だから私もミントをモフりたいなぁって……だめ?」
ひょいと自身の相棒、星霊スピカを騎士に見せるソフィア。
条件を出されてたじろいだ騎士だが、やがてスピカを持ち上げるとソフィアをミントのもとへと案内していった。
伏せの状態でミントは視線を上に向けていた。
猟兵や人狼騎士の協力もあって、なるべくミントを怖がらせないように頭上の魔力渦を破壊しようと動き始めた。
騎士が剣の持ち手部分で魔力渦を破壊する。
パキンと軽い音を鳴らして魔力渦が消失していく。
完全になくなったのを確認した人狼騎士達は猟兵に礼を言い、ミントと既に召喚されていたフェンリルを連れて戦場から離れていった。
大成功
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