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遠い夜明けを待つために

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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「ん、皆集まってくれてアリガトね!今回はキミ達に、趣味の悪いオブリビオンの退治をお願いしたいんだ」

 猟兵たちの拠点となっている世界、グリモアベースの空は闇に閉ざされていた。
 時と共に移ろい変わるこの世界の風景が、これから猟兵たちが向かう世界・ダークセイヴァーの景色を映し出しているのだ。

「……って、いきなり敵を退治して来いなんて言われても分からないよね。それじゃ、改めて私が予知した事件について説明させてもらうよ」
 ダンピールの咎人殺し、ロベリア・エカルラートは軽い調子で集まった猟兵たちに語りかけた。

「その前にこれから行く世界について少し教えておこうかな。ダークセイヴァーって呼ばれてるこの世界は、1世紀くらい前に甦ったヴァンパイアたち……まあ、オブリビオンなんだけどね。コイツらに支配されちゃってるんだ」
 今見つかってる世界の中では、一番オブリビオンの支配が広がってるんじゃないかな?そう付け足してロベリアは説明を続ける。
「そのヴァンパイアたちがまた悪趣味でね。支配した人間たちを遊び半分で虐殺したりするのが日常茶飯事……。で、これが今回集まってもらった用件なんだけど」
 猟兵たちを見渡し、事件の概要を説明する。

「とある村が、このままだとオブリビオンに滅ぼされちゃいそうなんだよね」

 努めて軽い口調のまま、ロベリアは多くの命が理不尽に奪われる未来を告げた。
「正直オブリビオンに好き勝手されるのも気に食わないし、せっかく予知したんだから邪魔したいと思ってね。皆、力を貸してくれないかな?」

 ロベリアからの要請を了承した猟兵たちは、改めて事件の起きる村について情報を受け取る。
「今回行ってもらうのは、辺境の小さな村だね。周りを深い森に囲まれて、他の村との交流もあんまり無いみたい」
 猟兵たちに簡単な村の見取り図が配られた。
 村は四方を木々に囲まれているが、これといって防備は無く、侵入しようと思えば何処からでも侵入出来てしまいそうだ。
 加えて周囲には深い霧が掛かり、森の中では視界が効かなくなる。闇雲に村を出ても、やって来る敵を見つけるのは困難だろう。

「正直、予知出来るって言っても肝心な敵の情報が分からなかったんだよね……。とりあえず、皆には現地で情報収集をしてもらいたいんだけど……」
 軽く肩をすくめる態度が、その困難さを物語っていた。
「この村を支配してるオブリビオンは、これまでに何度も村の人を殺したり、食べ物やお金を献上させたりしてるみたい。逆に言えば村の人は、オブリビオンの情報や何処からやって来るかも知ってる……けど、この世界の大多数の人たちは、長いこと支配されてきたせいで色々諦めちゃってるんだよね。そう簡単にオブリビオンに反抗する気は起きないと思う」
 この村もこれまで何度も理不尽な暴力に晒されてきたが、逆に言えば皆殺しにはされていない。オブリビオンが村を襲うことを告げても、村人たちはオブリビオンの暴虐を黙ってやり過ごすつもりだ。最も、今回オブリビオンは完全に村の住人を殺し尽くすつもりなのだが。
 加えて、ダークセイヴァーでは猟兵の存在が知られていない事もある。余所者への警戒心も加われば、村人もそう簡単には猟兵たちに口を割らないだろう。

「それでも敵の情報が有ると無いではかなり違うからね。上手いこと情報を集められれば、やってくる敵との戦闘も有利に進められるし……あるいはこっちから先手を打って攻めることも出来る」
 オブリビオンが村を襲うまでの時間は限られているが、幸いある程度の猶予はある。
「そうだね……まずは自分たちの力を見せるのもアリかも知れない。キミたちがオブリビオンに勝てるって分かれば、村の人たちも少しは頼ろうって気も起きるんじゃないかな?もちろん、時間を懸けて言葉で説得するのも全然アリだよ」
 あるいは村人を無視して周囲を調査し、オブリビオンの痕跡を探しだすのも有効だ。
 重要なのは、敵がやってくる方向、そして敵が何者なのかを把握する事だ。

「で、最終的にやってくるオブリビオンを倒しちゃえば当面は村も安全かな。情報を集めて、敵を倒す。やることはシンプルだよ」

 その言葉に猟兵たちが頷くのを確認し、ロベリアは現地へのテレポートの準備に入る。

「あっ、悪いけど私は現地では一緒に戦えないから、あっちでの事はキミ達に任せるよ。力になれなくてゴメンね?」

 クスリと笑ってから、ロベリアは少し真面目な表情になって猟兵たちに言葉を掛ける。

「これから行く世界は暗くて辛気臭い所だけど、私たち猟兵なら何時かはヴァンパイアたちを倒して少しはマシな世界に出来るかもしれないでしょ?……この村の人達だけそれを見られないのは勿体無いからさ、態度は気に障るかも知れないけど今回だけは助けてやってくれないかな」


桃園緋色
 はじめまして、この度第六猟兵のシナリオマスターとして登録させていただきました。

 一緒にこの世界を盛り上げていきましょう!

 このシナリオは3章構成です。
 初日ということもあり、皆様のキャラクター作成を待つ意味も含め、最初のプレイングはどれだけ集まっても、リプレイ執筆は16日9時以降となります。
 それまでは全てのプレイングに目を通させていただき、その中から採用させていただきます。

 状況等によって上記の予定は変更になる可能性があります。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『支配された村』

POW   :    強さを見せて村人を信頼させる

SPD   :    村周辺の探索を行う、村人達と密かに接触する

WIZ   :    会話や行動で信頼を得る、村人たちから情報を引き出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


闇に閉ざされたダークセイヴァーの片隅。
 深い森に閉ざされた辺境のとある村は、その日、小さなざわめきが村の彼方此方から起こっていた。
 定期的に訪れる細々とした行商以外は人も立ち寄らないような村に、何人もの旅人が訪れたのだ。
 
 前触れもなく訪れた余所者に対し、厄介物を見るような目、自分には無関係だという態度、あるいは外から来た者たちへの純粋な興味……。様々な感情を伴った視線が向けられる。

 だが、そういった視線は総じて負の方向の感情を伴ったものが多いように思えた。それは単に村が閉鎖的なのか、あるいはこの村の状況がそうさせるのか。

 そうした状況の中で、旅人として村を訪れた猟兵たちは……
ライラ・ラライララ
何かを諦めた人がもう一度立ち上がるのはとても勇気がいるよねぇ。私の差し伸べる手を取ってもらうには……そうだなぁ、周囲の森で狩りをしてから村に行こうかな。たまたま大物が捕れてしまったから、村で引き取ってほしいって体はどうかな。ジビエの料理と、一晩の宿をもらえれば、他は全部村に譲渡するって言ってさ。
供物を捧げているからには、自分たちの食事は満足なものじゃないだろう?腹が満たされれば、気持ちも満ちて、力も満ちる。なんなら私がとっておきの武勇伝を話してやろう。心を湧き立たせてやりたいねぇ。そうして立ち上がってくれたら、ゆっくり話をしてみよう。
そういうわけで、リーダー格の家に鹿でも持って行ってみるよ。



広場では大きな火が焚かれていた。
 村を訪れた女性、ライラがここに来るまでに狩ったと言う大きな鹿を持ち込んだのだ。

「思ったより大物が狩れたからねぇ。一晩の宿と、あとは私達が食べる分を調理してくれれば後は渡すよ」

 初めは警戒心を顕にしていた村人たちも、そう言われれば断る理由も無く。
 目を見張るほど大きな獲物の解体と調理のために、広場が使われることになったのだ。

「それじゃ、この辺に置かせてもらうよ」

 大の男でも腰が引けるような大きな鹿を狩り、それを今まさに軽々と担いで運んできたライラを村人たちは畏怖と憧憬が入り混じったような目で眺めている。
 
 そうしている内に何人かの村人が協力して鹿を解体し、香ばしい匂いが広場から広がり始めた。

「ほら、そこのキミたちも食べたらどうだ?まだまだ肉はあるからさ」

 受け取ったジビエに舌鼓を打ちながらライラが呼びかければ、遠巻きに眺めているだけだった村人たちも1人、また1人と広場に集まってくる。
 一番最初に来たのは大人に比べて警戒心の薄い子供たちだった。

「凄え!姉ちゃん、何処かの騎士様なの?」
「ははっ、そんな者じゃないさ。けど腕っぷしなら負けないよ。よし、私の活躍を聞かせてやろうじゃないか」

 遠慮なく集まってくる子供たちにも大らかに対応しながら、温かい料理が村人たちに確かな活力を与えたのを感じていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハルト・ラヴィン
苦しい、世界だな。ここは・・・。奪われてばかりの生活の中じゃ、希望を持つ事も諦めちゃうよな。俺に出来る事・・・何かないかな。父上のように、誰かの為に。俺も・・・。こういう村だとよそ者に閉鎖的だよな。警戒心を出来るだけ与えないよう旅人として、村に入る。村の様子を見つつ、困っていそうな人達の手伝いをクールにかっこよく(重い荷物に手がブルブル)する。また怪我人がいたら生まれながらの光を使用して、驚かせてしまうかもしれないけど、助けたい。村人と少しづつ打ち解けられたら、ヴァンパイアの武器、襲撃時間、場所等、情報を聞いていく。


ボアネル・ゼブダイ
弱者を虐げ悦に浸る外道を討つにはまずは村人達の助力も必要だろう。
敵の弱点とは言わずとも、どのようなモノなのか知るだけでも我々の助けにはなる。
そのためには村人の信頼が必要だが、それを得るために俺の【生まれながらの光】を使う。
疲労しても構わないからなるべく複数の人間の怪我や病気を癒そう。
食物だけではなく金品すら捧げてるのだから満足に治療を受ける事も出来まい。
なにより・・・身体が疲弊していたら生きる希望を持つ事すら出来ないからな。
もっとも半吸血鬼である俺が恐れられないとも限らないので自分の素性がバレないように注意は払う。
外道を狩るための猟兵である事だけは伝えるがな。



時刻は夕暮れ。闇に閉ざされた空は猟兵たちの時間感覚を鈍らせるが、村人たちは各々の仕事に手を付けていく。

 広場が賑わっていく一方で、普段と変わらぬ営みを送る村人たちも多い。
 夜に備えて火を焚き、食事を用意し、獣除けの松明を点検して。
 
 仕事に戻った者の中にも、訪れた旅人たちに興味を持つ者は居る。それでもやはり日々の営みを疎かにするわけにはいかないのだ。
 
 暗闇に覆われたダークセイヴァーの辺境に、貧困は珍しい物ではない。ただでさえ少ない人手が自分の仕事を疎かにしてしまえば、あっという間に生活は立ち行かなくなってしまうのだ。

 今、片足を引きずりながら、背負った薪の束を家まで運ぶ老婆もその1人。突然の客人への興味はあれど、この薪を運ばなければ夜を越すのに不安が残る。
 もっと早い時間に済ませてしまえればよかったのだが、足が悪ければ時間も掛かる。人手を借りようにも、村全体で人手が足りないのだ。

「手伝おう」

 ただ一言そう告げ、老婆の背負う薪を手に取ったのは旅人……猟兵のハルト・ラヴィン。

「えっ?」
「家はどちらだ?さっさと運んでしまおう」

 凛とした態度でそう告げるハルトだが、予想より薪が重かったのか、その手は目に見えて震えていて……。

(だがこの程度……。俺も、父上のように、誰かのために……)

「ふふっ、それならお願いしましょうか」

 そんな様子が警戒を解いたのか、初めは驚いていた老婆も、クスリと微笑んでハルトに荷物を任せた。

「ああ、その前に」

 内心で落としてしまわないかと不安になりながら、ハルトは薪を片手で支えると空いた手を老婆にかざした。
 すると白い光が老婆を包み、気づけば怪我で上手く動かせなかった彼女の足が治っていた。

「えっ?今の、あなたが……?」
「気にするな。大した事ではない」

 片手に負荷を掛けたためか、慌てて荷物を持ち直しながら、態度だけは毅然としてハルトは歩き出した。


 村の一角では、同じ様にボアネル・ゼブダイが村人の治療をしていた。
 彼らから信用を得るためという打算もあるが、それ以上にボアネル自身の信条が、この村を見捨てることを許さなかった。

(やはり金品も献上しているのか、医者に掛かることが出来ない者が多いな。……それに、満足に食事を取れていないのか、怪我や病気以前に疲弊している者が多い)

 2人の猟兵はそれぞれ村人の治療を行い、グリモア猟兵から説明を受けた以上に村の深刻な状況を実感していた。
 これでは確かに、生きる希望を抱くことすら出来なくなるだろう、と。

「済まない、次を頼む!」

 村の中で噂になったのか、怪我を治して欲しいと集まる者も徐々に増えてきた。
 村の現状を考えながらも、ボアネルは自身の疲弊を度外視して、「生まれながらの光」で人々を癒やしていく。

「手を翳すだけで怪我が治るなんて……。この不思議な力……まさかヴァンパイア様なのか……?」
「おいっ!滅多なことを言うな!きっとこの人は噂に聞く聖者様なんだよ」

 その様子を遠巻きに見ていた村人が疑念の声を上げ、別の村人に制された。交流の少ない辺境の村の住人では、異世界からの猟兵は愚か、この世界に生まれた聖者すら見たことが無い者も多い。

 疑念を抱かれたボアネルは内心で苦々しく思いながらも、ボアネルはそれを否定し、自らが何者かを名乗る。

「ヴァンパイアではない。むしろその敵だ」

 その一言で村人たちがビクリと震えた。堂々とヴァンパイアの敵を名乗る人間など、自分たちの想像の埒外にあるものだからだ。

「私達は猟兵……外道を狩るための猟兵だ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フユト・ユーキデル
フユトは、ロベリアの発案したものの中から、"村人に対する説得"を選んだ。最も自分の能力に合った方法だと判断したからである。
フユトは限られた時間を最大限に利用し、村人と積極的に交流した。そして、"見極めた"。村人の中で、誰が最も、部外者である自分に対して、情報を流布してくれそうなのかを。対象は女性であることは好ましい。客観的に判断して優れてると言える己の容姿を、活用しない手はなかった。厳重なる熟考の末に、フユトは、親密度をある程度深めた、1人の女性を選ぶ。
ある日の夜――最も感傷的な気分に浸れる時間帯だ――フユトは、その女性と対峙した。そして、説得する。ぼくが君たちを守って見せる、と。


ミサヲ・カリナ
村人からなるべく情報を聴き出せるよう務めるよ。
聞きたい事は「ヴァンパイアの数」「村に来るのは日中なのか夜間なのか」この2点に絞ろうかな。

旅人を装ってまずは宿屋へ行こう。
「いやいや、霧が酷くて道に迷っちゃってね。危うく野宿するところだったから村があって助かったよ。」
「この辺りはいつもこんなに霧が酷いのかい?」
自分の事と軽く雑談をしたら、宿屋へ滞在する期間は3日と伝えて宿屋の主人の反応を見る。
焦るようであれば「何かまずいのかい?」と聞き、ヴァアンパイア達に関して可能な限り聴いてみる。

逆に反応がなければ無理強いはせず、挨拶ついでに村の長の家へ。
そこでも似たような会話から何か聞き出せないか反応を伺う。



「今日はここを使ってくれ。掃除はしてあるし、泊まる分には問題ないはずだ」

 ミサヲ・カリナとフユト・ユーキデルは一足先に今日の宿に案内されていた。
 2人を案内したのは、この村の長である中年の男性と、その娘らしき少女だった。

(ふむ……ここは空き家なのかな?確かに、寝泊まりするのに問題はなさそうだけど……)

 宿とは言うが、そこは料金を払って部屋を借りるような場所ではなく、ごく普通の民家のようだった。しかし生活感は無く、少なくとも誰かが住んでいる様子は無い。

 ミサヲがその宿の様子を見ていると、村長が声をかけてくる。とは言え、初めて目にするフェアリーに対してどこか及び腰だったが。

「一日に何人も旅人が来ることなど、ここ数年は無くてな。全員が泊まれるような宿屋は無いんだ。この家はもう使う者も居ないし、泊まるだけなら好きにしてくれ」
「ああ、いやいや助かるよ。危うく野宿する事になる所だった。ここも良い所だね。3日くらい滞在させてもらっても良いかな?」

 そう聞くと村長は唸るように悩み、

「止めておいた方が良い。こんな村に滞在する理由などないだろう」
「ほう?何かマズイのかい?」

 そう問い詰めると、余計なことをしてくれるなとばかりに村長の顔が歪む。

「でもお父さん、アイツらはこの前来たばかりだし……」
「余計なことを言うな」

 横から口を挟む娘を村長が制するが、娘も食い下がり。

「旅人さんたちは森を通ってきたんだし、あの子たちの事もきっと平気だったのよ。ね、そうでしょ?」
「いい加減にしろ!」

 村長は一喝すると、猟兵たちに余計なことをするなと告げて家を出ていった。
 渋々ながら娘もその後をついていくが、ちらちらと猟兵たちを伺っているようだった。

「ちょっと性急だったかな?とは言え収穫が無いわけでもなかったね」
「みたいだね……」

 ミサヲの指摘に、黙って様子を見ていたフユトが相槌を打つ。
 事前の情報通り、オブリビオンが近い内に来襲するのは確かなようだ。
 加えて、森の中になにかの驚異が存在すること。

「ぼく確かめてくるよ」

 フユトはそう告げると、村長の娘が去っていった方向に目を向けた。




 その夜。
 フユトは宿の外で村長の娘と会っていた。
 案内された時の様子から、彼女はこちらに情報を渡してくれる可能性が高いと判断したのだ。
 そのために、案内された後も村を巡って彼女と接触し、交流を深めていた。
 そうして今、まさに彼女から情報を聞き出すことに成功しようとしているのだ。

 この時まで、村長の娘もまた、フユトを含めた旅人たちの伝聞を村人から集めていた。
 まだ若い彼女にとって、村の外の情報はこの上なく興味を引くものだ。加えて村に若い男性が居ない事も相まって、年の近い異性の旅人に憧れのようなものを抱いている。
 フユトもそういった機微を見抜いて自分が接触することに決めたのだが、彼女が最終的に情報を渡すことを決めたのはそれ以外の理由も大きい。

「ねえ、あなた達がヴァンパイアと戦うって、本当?」

 村に来てからの猟兵たちの活動は、噂となって狭い村を駆け巡り、彼女に伝わっていたのだ。

 旅人たちが、村の人々に食料を分け与え、仕事を手伝い、傷病者を治療している事。
 彼らが使う不思議な力の事。
 そして、彼らが『猟兵』という、ヴァンパイアと戦う存在だという事。
 

「本当だよ」

 フユトは静かに肯定し、彼女に告げる。

「だから教えて欲しいんだ。安心して欲しい。ぼくが君達を守ってみせる」

 フユトと対峙した彼女は、意を決したように、村を襲う驚異の事を猟兵へと告げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


猟兵たちは、この村を襲うオブリビオンの正体を聞き出した。
 それは『異端の騎士』と呼ばれている。かつて、人間でありながらヴァンパイアに降った騎士の成れの果てで、オブリビオンとして復活した現在も、強力なヴァンパイアの配下として、その支配地域の村に派遣されては献上品を巻き上げていく。

 敵がやって来るのは森の東。
 村人に教えられた目印を頼りに進めば、辛うじて馬車が一台通れるかどうかという道が森に埋もれるように存在していた。

 敵はこの道から現れるだろう。

 だが森には別の驚異も存在する。
 それは騎士に殺された村の人々。彼らはオブリビオンとして復活させられ、普段は森を徘徊して近づく人間を襲っている。
 そして異端の騎士が訪れれば、その手下として従わされるのだ。


 猟兵たちは『異端の騎士』との決戦に備え、先に森の中の亡者を倒すことに決めた。

 霧に覆われた森の中で、オブリビオンとの戦いが始まる。
犬上・爪牙
何かを変えようとするのは、勇気がいるものです
救いを求め、生きようと手を伸ばしてくれたのです。ならば僕は誇りを持ってそれに応えるまで

生を支配され、死してなお隷属される亡者達もまた、支配から解き放ち眠らせてあげなければ
トリニティ・エンハンスの水の魔力にて、防御力を高めて炎に備えましょう
円盾で攻撃を受け流し、水の属性を纏わせたルーンソードにて斬ります

人狼としての研ぎ澄まされた知覚を持って、霧で薄暗さを暗視で見極めます
枝葉の揺れる音、篝火の炎の燃える音を聞き取り、不意を打たれぬよう注意を払い


ミサヲ・カリナ
村の周りを徘徊している亡者は元は村人なのか。
…と言う事は当然家族がいるよね。
こういう時程何と声をかければ良いのかわからないけど、恨んでくれて全然構わないからね。と、一言だけ。

戦闘は後衛として参戦。
小さいから小回りが効くけど、その反面接近戦に持ち込まれたら勝ち目薄い。なので一定の距離を保つ様心がける。

ユーベルコード禍花の大輪で複数の敵の体力を削ぐ。
視界が悪いが幸い相手は松明を持っているようなのでその灯りを目印に攻撃して行く。



「……来ましたね」

 枝葉の擦れる音、松明の火が弾ける音。そして、亡者の呻くような声……。
深い闇の中にあって、人狼の感覚はそれらを正確に捉えていた。
犬上・爪牙がポツリと呟くと、程なくして森の奥から幾つもの揺らめく炎が現れる。
1つ、また1つと数を増すそれは、やがて数十もの鬼火となって森を漂い始めた。

 どこかの世界に伝わるウィル・オ・ウィスプの伝承のように、その灯の持ち主たちは、出会った生者の命を奪い、そして自分たちと同じ場所に引きずり込もうとするのだ。
 森に入った生者を察知した彼らは、既に朽ちた足を引きずり、一歩一歩と猟兵たちに迫ってくる。

 その有様を目にした爪牙は、手にしたルーンソードを握る手に力を込めた。
 死してなお隷属させられるその姿は、哀れみと義憤を抱かせるに十分なものだ。

 同じ様に戦いに備えるミサヲ・カリナも、普段の柔和な表情をわずかに歪め、苦々しい視線を亡者たちに向けていた。

「彼らも元は村の人たちなのか……」

 あるいは、自分たちが宿として使わせてもらった家の持ち主も、あの中に居るかも知れない……。
 ミサヲはそこで頭を振って思考を中断すると、両手に護符を構えて亡者たちに向き直った。

「……恨んでくれて全然構わないからね」

 同時に花びらが闇夜に舞う。
 ミサヲの護符が美しい牡丹へとその姿を変え、迫りくる亡者たちに襲いかかった。

「ォ、ぉおおお……」

 うめき声の大合唱が森に染み渡る。ミサヲは目に入る松明の灯を目印に、手繰る花を次々に打ち込んでいく。

(この体じゃ、距離を詰められたら危ないからね……。今のうちに攻撃しておかないと)

 そう考える間に、亡者たちも反撃を始める。彼らが手に持つ松明を掲げると、そこから赤々と燃える炎が一直線に放たれた。
 正確な狙いも付けられない大雑把な攻撃だが、それを数十体の亡者が同時に放てばその攻撃範囲は馬鹿にできた物ではない。
 だが……。
 
「させません」

 周囲の木々ごとミサヲたちを飲み込もうとした炎弾は、爪牙のルーンソードから放たれた水の魔力によって打ち払われた。
 鬼火は虚空で打ち消され、亡者と猟兵たちの間には煙が闇に溶けて消える。

「前衛は任せて良いかい?」
「はい。後ろはお願いします」

 ミサヲと短く言葉を交わすと、爪牙は地を蹴り亡者への群れへと攻め込んだ。

(まずは、彼らを解放しなければ)

 木々の根と土によって作り出された天然の障害を物ともせず、瞬く間に爪牙は距離を詰めると剣を一閃。
 水の魔力を纏った刃は亡者を断ち切り、オブリビオンに囚われた魂を解き放つ。

(そして何より)

 爪牙は村人たちの事を思う。現状を変えるため、リスクを承知しながらも自分たちに救いを求めた者たちの事を。

「僕たちを信じて手を伸ばしてくれたのなら、僕は誇りを持ってそれに応えるまで」
 
 一体を切り伏せた後は、流れるように二閃、三閃。
 その刃が振るわれる度に、亡者はその数を減らしていく。

 そうする内に亡者たちが爪牙を取り囲もうとするも、ミサヲの攻撃がそれを牽制。その隙にミサヲが距離を取り、再び攻勢に。

「よし、この調子でいこう」

 前衛の爪牙が敵を引き付ける様子を見ながら、ミサヲは戦いが自分たちの優勢に進んでいることを確かめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ボアネル・ゼブダイ
罪なき命を奪うだけではなく、死後も辱めるとはとことん見下げ果てた外道だな・・・。
ともかく、今はこの亡者達を二度と邪魔されることのない眠りにつかせることが大事だな。
先の行動で疲労が溜まっているので、まずは私の【黒剣グルーラング】で生命力を吸収しつつ亡者達を倒す。
なるべく騎士との戦いに参加できないようにここで全て倒しておきたい。
苦戦しそうであれば【血液パック】から血を補充してユーベルコード【血呪解放】を使う。
強化するのは攻撃力だ、一気に亡者達をなぎ倒す。
亡者達への深い哀れみの気持ちはあるが、それで私の剣先が鈍るようなことはない。
他に参加してる猟兵がいれば、私に出来る手助けがあれば行おう。


ライラ・ラライララ
己の意思を持たない亡者など恐れるに足らず、だねぇ。私が今一度、冥府に送ってやろう。聞いた話じゃもともとこの村の人間だったそうだし、こっちにはハルトとボアネルの二人も聖者がいるんだ。亡者への鎮魂は二人に任せて、私は亡者どもに確実な死を与えてやろう。
できるだけ苦しまないように【燦燦たる戦斧】で首を落とすとしようか。
「望まぬ復活なんだ、この亡者どもを眠らせてやろう」
亡者が火を放つなら、背筋から噴出する【ブレイズフレイム】を使い、先に可燃部を燃やし尽くして自由に火を扱えないようにしよう。
「私の炎は地獄の炎でね、火葬するには向いてないんだ」
亡者を憐れむライラは絶対に亡者を自分の炎で燃やそうとはしない。


フユト・ユーキデル
「亡者の戦士たち、か……。実に冒涜的だね」

死して尚、醜悪の手先として動かされるなど、許すわけにはいかない。
湧き上がる怒りを冷静に抑えながら、フユトは木々の間を駆けた。

フユトの役割は「敵の足止め」だ。
【サイキックブラスト】を、敵の篝火の射程外から放つ。眩い閃光と共に眼前に放たれるそれは、【目潰し】の役割を担っていた。激しい電撃により身動きを封じられた敵を、仲間が片付けてくれるだろう。そのまま距離を詰めて、自らトドメを刺してもよい。

気掛かりなのは敵の炎による木々の延焼だ。なるべく敵に炎を使わせたくない。電撃による行動抑止に、彼は撤した。



「亡者の戦士たち、か……。実に冒涜的だね」

 村人たちを、自分に敵の情報を託してくれた娘の事を思い、フユト・ユーキデルは怒りを湧き上がらせる。
 しかしそれを理性で抑えて、逸ること無く力に変え、フユトは木々の合間をすり抜け、森を駆けた。
 
「この距離なら……」

 夜闇を切り裂くように紫電が奔る。
 フユトの掌から放たれたサイキックブラストが、閃光とともに亡者の一団を射抜いた。
 視界を奪うような光と共に、電流が亡者たちの自由を奪う。

 ……とは言え、数多くの敵を巻き込むように放たれたその攻撃は一撃必殺、とはいかない。
 運良く数体の亡者を倒したが、それ以外に対しては多少動きを鈍らせた程度の効果を発揮するに留まった。

(足止めさえ出来れば問題ない。出来れば森で炎は使わせたくないしね)

 そう思考するフユトの視界の中で、亡者たちが動き出した。

「ォオ、オオオ……」

 呪詛のような声をフードの中から吐き続ける亡者たちは、電流を浴びながらもぎこちない動作で動きだし、炎弾をフユトに見舞おうと、その手に持った篝火を掲げる。
 松明が燃え盛り、そこから敵を焼き尽くす赤い炎が放たれようとして……。

「おっと、そうはさせないよ」

 割り込むように放たれたライラ・ラライララの……ブレイズキャリバーの炎がその篝火を飲み込み、そのまま亡者の松明を燃やし尽くした。

「ォオオオ……」

 自らの武器たる篝火すらも焼き尽くした炎に、亡者たちは次の動作を忘れてその場に立ち尽くす。
 彼らに感情が残っているのであれば、感じているのは「戸惑い」と「恐怖」だろうか。
 当然ライラはその隙を見逃すこと無く、手にした戦斧で亡者の首を刎ね飛ばした。

「己の意思を持たない亡者など恐れるに足らず、だねぇ」

 その手応えの軽さにライラは余裕を見せ、そのまま戦斧を振り回し亡者の群れに突っ込んでいく。

「さあ、いくよ!」

 風を切る音とともに、斧が亡者たちを薙ぎ払う。
 木々に囲まれた森の中でも、ライラは淀みない動作で長柄の斧を振るい、その度に亡者が数を減らしていく。
 時折放たれるブレイズキャリバーの炎は、森を焼くことも、そして亡者自身を焼くことも無く。彼らが持つ松明だけを焼き尽くし、それ以外のものは一切焼く事無く消えていく。

「私の炎は地獄の炎でね。火葬には向いてないんだ」

 だから、無理やり蘇らせられた無辜の人々に向けるべきではないだろう、と。
 ライラは自分の武器の一つを封じたまま、確実に眠らせてやろうと斧を振るい続ける。

「ま、今回は味方に聖者もいるんだ。鎮魂はそっちに任せよう」

 ちらりと目を向ければ、黒騎士にして聖者であるボアネル・ゼブダイが伝家の宝剣である黒剣グルーラングを振るい、亡者たちを打倒していた。

(罪なき命を奪うだけではなく、死後も辱めるとはとことん見下げ果てた外道だな……)

 彼もまた、この惨状を引き起こした元凶への怒りを抱きながらも、目の前の亡者たちが二度と邪魔されること無く眠れるようにと剣を振るっていく。
 同時に、ボアネルはこの後の戦いにも思考を巡らせていた。
 猟兵たちは未だ姿を見せないオブリビオン・異端の騎士との戦いにこの亡者たちが加勢してくる事の無いよう、この場で全て倒そうと決めていた。

「行くぞ。お前たちはもう、眠れ」

 亡者たちへの哀れみはあれど、決してその手に持つ黒剣は鈍ること無く。
 

 オブリビオンへの怒りと、囚われた犠牲者たちの魂を解放する事。
 森での戦いにおいて猟兵たちの意志はその2つに収束していた。
 そのために各々が力を発揮し、互いをカバーしつつ自らの技を惜しむこと無く振るう。
 その結果、猟兵たちは圧倒的優位のまま戦いを進めていた。

 そして数刻後、猟兵たちの手によって、森を彷徨う亡者たちは全て、オブリビオンの呪縛から解き放たれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ガチャリ、ガチャリと、プレートメイルが重い音を響かせ、闇の向こうからその男は現れた。
 黄金の装飾を施された、優美な黒鎧に身を包んだ騎士は、森の中で戦闘態勢を整える猟兵たちを睥睨する。

「……亡者共が見当たらぬと思えば、なるほど。貴様らか」

 異端の騎士は不可解なものを見るような目を猟兵たちに向ける。

「雑魚とは言え、オブリビオンとして蘇った亡者共を殺しただと?いや、だが。分かるぞ……。そうか、貴様らは我々の『敵』か……!」

 誰に聞かせるでもなく、ブツブツと呟くように声を漏らす騎士は、やがて兜の奥で赤い目を煌めかせ、漆黒の長剣を抜き放った。

「まあ、良い。あの方々のお望みは、村に関わる全ての命の刈り取りだ。貴様らのことは、亡者として蘇らせた後で喋らせるとしよう……!」
ミサヲ・カリナ
真打ちの御登場だね。
さあ、村の人達が長い間奪われ諦めていた希望ある明日をもう一度送る事が出来るよう、僕も精一杯励むとしよう!

黒衣の騎士に懐へ入り込ませないよう、特に敵の能力を上げてしまう《ブラッドサッカー》に注意して立ち回る。
敵が攻撃を打って来たら《七星七縛符》で捕縛を狙い、その隙に《禍花の大輪》で攻撃。
一緒に戦っている猟兵へ繋げる為にも確実に相手へ傷を負わせて行く。


ボアネル・ゼブダイ
「どうやら首魁のお出ましのようだな。貴様が虐げてきた村人達や先の亡者達の分も合わせ、今までの償いを受けるが良い」
まずは【彼方からの来訪者】を呼び寄せ、戦力を増強し、異端の騎士への攻撃を指示。
私も【黒剣グルーラング】で前線に出よう。
相手のユーベルコードに注意をしつつ、苦戦するようであれば【血呪解放】も使っていく。
共に戦う猟兵達とも積極的に連携を行い、前衛の被害が大きくなり出したら、手遅れになる前に一度後衛へ下がり【生まれながらの光】で仲間達の回復も行おう。
無事に戦闘が終われば、亡者達や犠牲者を弔うために村人達と共に墓碑を建て、祈りを捧げようと思う。
せめて天国では永遠の安息の中に憩えるように



「おっと、真打ちの御登場だね」

 フェアリーの陰陽師、ミサヲ・カリナは、異端の騎士の視線を真っ向から受けてなお、のんびりとした態度を崩さない。
 この敵を倒すこと。それが、村の人々が諦めていた希望を取り戻す第一歩なのだ。
 ならば臆する理由など無い。自分に出来る事を、精一杯励もうとミサヲは護符を構えた。

「そのようだな。貴様が虐げてきた村人達や先の亡者達の分も合わせ、今までの報いを受けるが良い」

 ボアネル・ゼブダイもまた、騎士を睨み返すように真っ向から黒剣グルーラングを突きつける。
 ダンピールとフェアリー、種族が違えば大きさも違う2人は、許すべきではない敵に対して、確かに肩を並べて立ち向かっていた。

「……死ね」

 2人の宣言を無視するかのように、異端の騎士は鋭い踏み込みで距離を詰める。
 その剣が大上段に掲げられた所で、ボアネルは焦ること無く詠唱を完成させた。

「来たれ異界からの魂よ、闘争と流血を友とし、安寧と静謐を敵と呼び、戦場を自らの臥所とする戦士の魂よ、今一度蘇り、その力を我に示せ!」

 ガキン!
 重い金属同士が衝突した瞬間から、互いの力が拮抗し続ければ振動は起こらず、音は響かない。
 異端の騎士の斬撃は、ボアネルを守るようにして現れた霊体の掲げる二本の剣によって微塵も揺らぐこと無く受け止められていた。

「……!」

 その戦士は敵の剣を受け止めたまま、さらに二本の剣を振るう。

「ちぃっ……!」

 異端の騎士は舌打ちと共に後退し、左右から同時に襲いかかる剣を躱すと油断なく剣を構えた。

「四腕とは奇怪な……」

 その言葉の通り、ボアネルに召喚された異界の戦士の霊は、四本の腕にそれぞれ剣を握り、それらを巧みに操って攻撃を仕掛ける。

「逃さん!」

 その動きに合わせるように、ボアネルも黒剣を手に連携して騎士に斬りかかる。
 息を合わせた2人の連携は、後退した騎士に対して、必ずこの場で仕留めて見せんという意思が感じられた。

「……!」
「舐めるな!」

 だが、異端の騎士もさる物。かつて、オブリビオンになる以前からの戦いの経験からか、連携するボアネルと戦士に対して、彼らを同時に相手しないよう、位置取りを変え、攻撃を捌き続ける。

「ぐっ……」

 さらに、自らが何度か傷を負おうと動きを鈍らせること無く、ボアネルを始末すれば彼に召喚された戦士も消えると踏んだのか、戦士を半ば無視しつつもボアネルに剣を振るう。
 激しい打ち合いの中で、徐々にボアネルも傷を負っていく。致命傷には程遠いが、このまま続ければこちらの体力が先に尽きてしまうのではないかという考えが頭をよぎった。

「おっと、邪魔させてもらうよ?」

 だが、その乱戦の合間を縫って護符が飛来する。
 ミサヲによって放たれたユーベルコード・七星七縛符は、騎士の鎧に張り付いた護符を媒介として発動し、騎士のユーベルコードを封じる。

「なに……!貴様っ!」

 異端の騎士がボアネルを集中して狙った理由はもう一つ。自らの武器の封印を解くために、「自らが他者に流させた血」が必要だったからだ。
 ボアネルに剣戟を浴びせ、その条件を満たした騎士が自らのユーベルコードで愛剣の封印を解こうとした瞬間、ミサヲのユーベルコードがそれを封じる。

「感謝する……受けろ!」

 動揺したその瞬間を見逃さず、ボアネルは自らが呼び出した戦士の霊と共に、渾身の斬撃を異端の騎士に叩き込んだ。

「まずは一撃。だが、貴様が重ねた業はこの程度で償えるものではないぞ!」
「そうだね。今回はボクも少しばかりあるし。このまま確実に削らせてもらうよ」

 蹌踉めきながら再び距離を取った騎士に対して、2人の猟兵もまた息を整え、逃しはしないとそれぞれの武器を向けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソフィア・テレンティア
流石はオブリビオン、数人がかりでも耐えますか、ですがこれなら如何でしょう?
味方を射線に入れないように注意しつつ、自UC【魔導式収束光照射機構・紫眼】(属性はWIS)
の収束光線により【援護射撃】を行い、異端の騎士へ攻撃しましょう。
例え●フォーリングローゼスにより武器を花びらに変え範囲攻撃をされようと、全て纏めて薙ぎ払えば問題は無いはずです。
メイドだからと言って、戦闘力がないとは思わないでくださいまし。



「なるほど、さすがはオブリビオン。あの連携を受けても耐えますか」

 異端の騎士と正面から斬り合う味方の様子を観察し、ミレナリィドールのソフィア・テレンティアは改めて異端の騎士を油断ならぬ相手だと認識する。

「……ですが、これなら如何でしょう?」

 今まさに味方と鍔迫り合っているオブリビオンには当然聞こえないであろう問いかけ。
 それを口にしながら、ソフィアは自らの右目……既に亡き自らの姉妹機から移植された紫の瞳で異端の騎士を捉える。

「ソフィアの僚機の遺した力、少しだけお見せして差し上げましょう」

 そうして前衛で戦うボアネルの剣が弾かれ、防御を崩された瞬間。
 剣を振りかぶる異端の騎士の鎧を、光が撃ち抜いた。

「ぬ、ぐぅ……っ!」

 うめき声を上げてたたらを踏む騎士を前に、味方は即座に体制を立て直す。
 敵を撃ち抜いたのは、ソフィアに搭載された、とある機構によって極限まで収束された光線の一撃。

「援護射撃は私にお任せ下さい。皆様は、この騎士の打倒にご注力を」

 恭しく味方へと告げるソフィアに対し、異端の騎士は兜の奥から忌々しげに言い捨てる。

「召使い風情が、小賢しい真似を……!」

 同時に異端の騎士は、このままでは後衛からの援護射撃にさらされ続けると判断し、即座に現状を打破するための一手を打つ。

「我が剣よ……!」

 水平に構えた漆黒の剣が、切っ先から解けていく。
 そうして闇に散ったのは、血の色をした薔薇の花弁。それらは一枚一枚が使い手の意を反映する刃となり、猟兵たちを後衛までまとめて切り刻もうとする。

「ご生憎ですが、それは想定内でございます」

 しかし、その薔薇が広がり切るより前に、閃光が闇夜を切り裂いた。
 先程より収束率を下げた代わりに攻撃範囲の広がったソフィアのユーベルコードが、まるで剣を振るように照射され、薔薇の花弁を薙ぎ払う。
 自らの一手を完全に封じられた異端の騎士は、再び射殺さんばかりの目線をソフィアに向けた。

「メイドだからと言って、戦闘力がないとは思わないでくださいまし」

 そんな敵に対しても態度を崩さず、ソフィアは挑発的に一礼すると、再び味方を援護するため、その動きに集中していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神久・紅玉
どうやら間にあったみたいね、既に多くの人たちで乱戦状態かしら?
でも……問題ないよね、一緒にオブリビオンと戦う仲間なんだから。
初対面の人だって仲良く上手に息を合わせて戦うよ!
持ち前の高い「コミュ力」で瞬時に周りとの連携、意思疎通を行います。
そっちに行くよ!危ない気をつけて!任せて今隙を作るから!
ユーベルコードの影を駆使し、敵を翻弄し味方を援護してりします。
好機と判断した際は、影の追跡者による強襲を行い勝利へと近づける。
ふふーふ、困ったときはお姉さんにお任せ、よ?
皆と勝利を向かえる為に目いっぱい頑張っちゃうんだから!


クリスティーナ・ツァルリーノ
この世界の一員として、そして誇り高きダンピールの一人として、村の皆さんを皆殺しになんてさせるものですか!
それに、私の血なんて貴方には絶対にあげませんわ!●ブラッドサッカー対策に【トリニティ・エンハンス】の3属性の魔力で防御力を強化!
他の猟兵さんと協力して私の魔剣(ルーンソード)の【属性攻撃】で華麗にぶった切ってやりますわ!


ライラ・ラライララ
やあ、間に合ったな? まさか私の居た場所とこんなに離れた場所に現れるとは。大急ぎで来たが間に合ってよかったよ。
戦斧を片手に戦場に走り込み、異端の騎士へ一撃を見舞う。振り回す戦斧での攻撃を続けながらも、注意深く異端の騎士と距離を保ち続ける。
「フォーリングローゼス」が発動するようであれば「八方火走る業火」を放つ。周囲の猟兵には「当たっちまったらごめんなぁ!」と声をかけておく。
また、定期的に「ブラックキャバリア」の機動力を削ぐために「グラウンドクラッシャー」も放つ。当たるかどうかよりも、地面を騎馬が走りにくいように地形破壊を優先する。落馬したならばこっちのものだと言わんばかりに裂帛の一撃を放とう。



「今ですわ!」

 新たに剣を形成する異端の騎士に、ルーンソードを手に斬りかかる影が一つ。
 金髪の少女、クリスティーナ・ツァルリーノの魔力を込めた斬撃は騎士の剣に受け止められ、両者はそのまま距離を取る。

「この世界の一員として、そして誇り高きダンピールの一人として、村の皆さんを皆殺しになんてさせるものですか!」
「あの方々の尊き血を受け継ぐ者が、その意思に逆らうか」

 兜から漏れる様な声に、自身が傷を受けた時とは毛色の違う怒りが混ざった。

「愚かな。ならば、その血をあるべき所へ還すが良い……!」
「私の血なんて貴方には絶対にあげませんわ!」

 その威圧を前にも凛とした表情を変えず、クリスティーナは炎・水・風の魔力をその身に纏い、防御を固める。

「異端の騎士……覚悟!」

 裂帛の気合と共に再び騎士に立ち向かうクリスティーナ。
 その一撃は、金属の同士が擦れ合う甲高い音と共に異端の騎士の胸部に吸い込まれた。
 騎士を守るために最も堅牢に作られた胸部の装甲。クリスティーナの剣はそれを削り斬りながら、騎士自身には大きなダメージを与えられていない。

(しまった……受けられた!?)
「……死ね」

 乗せられたと理解した時には、既に騎士の剣は大上段に振り上げられている。
 剣を振り切った姿勢からでは防御も間に合わない。魔力による防御でどれだけ軽減できるか。
 自らを襲う痛みを覚悟しながらも、目をそらさず敵の剣を睨みつけるクリスティーナの視界に妙な物が飛び込んできた。

 それは影だった。
 人型だが、本当に全身が影で構成されたかのようシルエット。
 それが高速で異端の騎士へと飛びかかる。

「むっ!」

 攻撃を中断し、それを腕で振り払う騎士。影は騎士の腕をするりと躱すと、暗闇に紛れるように視界から消えた。

「そら!次はこっちだ!」

 同時に騎士へと戦斧による重い一撃が撃ち込まれる。
 影に気を取られた隙を突いたソレに対しても騎士は反応し、両手で構えた剣で受け止める。

「やあ、間に合ったかな? まさか私の居た場所とこんなに離れた所に現れるとはね」

 そう言って快活に笑いかけるのは羅刹の女性、ライラ・ラライララ。
 彼女は更に戦斧へ力を込め、押し込もうとする。

「こっちこっち!一旦下がるよ」

 赤い髪の小柄な少女、神久・紅玉が呼びかけると、クリスティーナもハッとしてその場を離れた。

「よぉし!喰らいな!」

 巻き込むような味方が居ない事を確認し、ライラは鍔迫り合いを外して一歩下がると、斧の長柄を活かして振り回し、遠心力を乗せた攻撃を騎士に叩き込んでいく。

「くっ……貴様!」
「どうしたどうしたァ!まだまだ行くよ!」

 次々と攻撃を繰り出して異端の騎士を圧倒するライラを見ながら、クリスティーナは自分を助けたもう1人、紅玉に向き直る。

「助かりましたわ。あなたは……?」
「ふふ、君と同じ猟兵、よ」

 笑いかけながら、紅玉は戦場を観察する。

(既に乱戦状態だと思ったけど……。なるほど)

 敵と直接斬り合うのはライラのみ。既に攻撃を仕掛けていた猟兵たちも周囲に居るが迂闊に加勢出来ない。
 その原因は他ならぬ異端の騎士。先程までの攻防で猟兵達の連携を厄介だと考えたのか、1人に張り付くように攻撃を仕掛け連携や援護射撃を許さない立ち回りに切り替えている。
 今も轟音と共に振るわれるライラの戦斧を恐れず接近し、援護射撃を狙っていた猟兵と自分の間にライラを挟むように位置取りを変えていた。

「よし、それじゃ行こうか」
「え?」

 同じく現状を理解したクリスティーナは思わず紅玉を見返すが、紅玉は笑みを崩さずに答える。

「問題ないよ、一緒にオブリビオンと戦う仲間だもん。わたしも協力するしね」

 それに。

「君だってこのまま引き下がれないでしょ?」
「当然ですわ!」

 クリスティーナもまた自信に満ちた表情で、再び剣を握り締める。



 一方、異端の騎士と正面から向かい合っているライラは内心で歯噛みしていた。

(ちっ、コイツ……かなりの使い手だ)

 戦斧のリーチを活かして一定の距離を維持しながら攻撃を続けるライラに対し、騎士は一歩も引かずに攻撃を捌き、隙あらば踏み込もうとしてくる。
 そのせいで大振りの攻撃を使えず、味方の援護が無ければ後退も隙きを晒すだけの結果に終わる。今はこちらが押しているが、何れは自分のリーチの内側に入られる危険もあった。

(どうする、無理にでも炎を使うか……?)

 そう思考するライラの視界で、先程の焼き直しの様に黒い影が騎士に飛びかかった。

「なっ!?」

 驚いたのはライラも同じ。だが騎士は先程の攻防でその影に直接的な脅威は無いと判断したのか、軽い牽制で対応するとライラへ距離を詰めようとして、直後に繰り出された横合いからの攻撃に足を止めた。

「自ら血を捧げに来たか……!」
「ご冗談を!」

 再び斬り合いを始めたクリスティーナと異端の騎士を前にどうすべきかと考え始めたライラへ、黒い影……自らが召喚した『影の追跡者』を伴った紅玉が現れる。

「射線はこっちで確保するよ。攻撃はお願いね」
「!……なら、任せるよ!」

 自分の狙いを理解している様子の紅玉に驚きつつ、ライラはそれを信じて自らのユーベルコードを準備する。

「よし、わたし達も行くよ!」

 それを確認し、紅玉は追跡者を伴ってクリスティーナに加勢する。
 クリスティーナが防御を崩されれば、追跡者を突撃させて攻撃を中断し、自分もその影から攻撃を繰り出す。
 剣を振るう味方を邪魔しないように立ち回りながら、敵の行動を制限していく。

「小蝿が……!」

 吐き捨てる騎士。それに対して紅玉は不敵に笑い返し味方に合図を送る。

「……今だ!」

 同時に追跡者は最後の突撃を仕掛け、そのまま溶けるように消える。
 騎士がそれに反応して足を止めた瞬間、クリスティーナも飛び退くように距離を取った。

「むっ、これは……!」

 騎士が気づいた時、同士討ちを匂わせて遠距離攻撃を牽制するために位置取っていた背後の猟兵が消えているのに気づいた。
 他でもない、今まさに自分の邪魔をしていた猟兵、紅玉が周囲と連携してこの瞬間、大技に巻き込まれる位置にいる猟兵を移動させたのだ。

 そして正面には、背中の八本の角にそれぞれ火球を形成したライラの姿。

「八卦に賭せ、地獄に備え、業火の礫を御覧じろ……喰らいな!」

 躱す暇すら与えず、ライラの放った地獄の炎が異端の騎士ごと周囲を飲み込み、闇夜を照らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クリスティーナ・ツァルリーノ
ふふふ、あと一押しですわね!ここは攻め時ですわ!!
【血統覚醒】によりヴァンパイアとしての力に覚醒、普段は桃色の瞳を真紅に染め、騎士へと挑みます!
先ほどまでの戦いで使っていた【ルーンソード】により再び切りかかると見せかけて、
脚に装備した【レガリアシューズ】で強襲しますわ!私、剣技だけではなく足技にも自信がありましてよ!
●ブラッドサッカーは厄介ですが……今更強化されたところでもう遅いです!
さあ、今度こそ貴方を倒して村の人達の笑顔を取り戻しますわよ!



「ぐ、おおおおお……っ!」

 業火に呑まれ、異端の騎士が苦悶の叫びを上げる。
 燃え上がる炎が静まった時、現れたのは高熱で歪み、焦げ付いた鎧を纏いながらも未だに二本の足で地を踏みしめる騎士の姿だった。

「殺さね、ば。……この場でっ、一人でも多く……!」

 自らの滅びを悟りながら、騎士はその手に持つ剣の封印を解く。
 これまでの戦いで啜った敵の血を代償に、より多くの血を食らうための、より凶悪な形態に。

「……今更強化されたところでもう遅いですわ!」

 その剣が放つ禍々しい気配を正しく認識しながら、それでもクリスティーナは怯まない。
 対抗するように、彼女も自らに流れる血の力、ヴァンパイアの力を開放する。

「あとひと押し。……決着を付けましょう」

 桃色の瞳を真紅に染め、クリスティーナはルーンソードを手に地を駆ける。
 ヴァンパイアの力を覚醒させた彼女は、その力を爆発的に増大させていた。
 代償に1秒ごとに命を削り続けているが、今この瞬間、クリスティーナは異端の騎士を上回るだけの力をその身に宿していた。

「今度こそ貴方を倒して、村の人達の笑顔を取り戻します!」
「貴様だけは……殺す!」

 数メートルの距離を一瞬で縮め、両者の影は瞬きの間に交差する。
 殺戮喰血態を開放した騎士の愛剣は、真紅の眼の少女を切り裂き、その血を喰らおうとして……

「莫迦、な……っ!」

 騎士の視界から、少女が消え去った。
 剣がその姿を捉える瞬間、文字通り眼にも止まらぬ速さで消え去ったのだ。

「これで決めますわ!」

 声に釣られ、騎士が上を向く。
 そこには、途切れた雲から覗いた月を背に空を舞うクリスティーナの姿。
 翼は無くとも、彼女には空を自在に駆ける力がある。剣とヴァンパイアの力のみに気を取られていた騎士は、それ以外の攻撃の可能性を知らずのうちに脳裏から消し去っていたのだ。

「申し訳、ござい、……」

 空から放たれる攻撃は流星の如く。
 交錯は一瞬。クリスティーナのレガリアスシューズによる襲撃は、その一撃で異端の騎士に止めを刺した。
 闇に溶けるように散る騎士が最後にこぼしたのは、人類を裏切った果てにオブリビオンとなっても捨てることの出来なかった、彼の忠義なのかも知れない。
しかして、今殺されようとしていた村人にとって、彼は忠義を捧げる相手を間違えていた事だけは確かだった。


 そうして猟兵たちは、異端の騎士の手から一つの村を救った。
 オブリビオンを撃破した猟兵たちは、各々がその場を後にする。

 村に報を届けるもの。また次の戦いに赴くもの。その場に留まり配下にされていた村人の骸を弔う者。

 やがて夜が明ける。
 ダークセイヴァーを開放するための猟兵たちの戦いは、一先ずの勝利を迎えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月05日


挿絵イラスト