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星空を奪うもの

#スペースシップワールド #ブルーアルカディア #戦後 #プリンセス・エメラルド

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●翠玉は永遠に変わらず
 スペースシップワールド、危難に満ちたビーストの宙域。
 かつて未踏宙域と呼ばれた虚空の海を、一艇の巨大戦艦がゆく。
 禍々しく鉄屑を融合させたが如き継承軍の旗艦、『ソング・オブ・オーンブル』。
 遥か遠き希望の地の名を冠する戦艦は、名の由来と裏腹に希望を灰塵とすべく航行していた。

「これだけの時間を戴ければ、流石に十分でした。勿論、一切の痛手なくとは運びませんでしたが」
 紫水晶の科学者。超頭脳を宿すもの。名家に連なるサイキックの行使者。
 幹部たる者の幾らかは大宇宙に散ったが、引き換えに得たものは計り知れない。
 プリンセス・エメラルドの眼前を埋め尽くす、闇の騎士の軍勢。
 宙域最大にして最強といわれた未知の生体、クエーサービースト。
 それら無敵に思える軍勢すら、彼女の漿船を覆い隠す前座でしかない。

「侮るわけではありません。ただ、如何に猟兵といえこの軍勢を突破するのは至難というだけ。そして彼らの遅延は私たちに必ずや、追い風となるでしょう」
 戦艦の付近を巡回する『小惑星規模』の影。無尽の軍勢を破ったとて、クエーサービーストすら餌としたこの怪獣を前にしては進むも退くも侭なるまい。
「銀河皇帝よ、あなたの遺した帝位継承の条件は永遠不変であること。それに適う私だからこそ、ここまで成し遂げたのです」
 圧倒的物量、力量の差。帝国継承軍は文字通り、星間を埋め尽くす無敵の軍勢となった。
 矛先を向けるは猟兵ではなく、世界。皇帝の夢見た、自由なる宇宙。
「待っていなさい、絢爛たるスペースオペラワールド。あなた達の主が誰であるか、間もなく知る時です」
 遠く彼方に映る、星々の輝き。クエーサービーストの宙域を抜け切るまで、残り僅かであった。

●皇帝をも凌ぐ軍勢
 グリモアベースに立つなり、リグ・アシュリーズは即座に用件を切り出した。
「シルバーレインでの戦いの最中だけど、今すぐスペースシップワールドへ向かえる? 猟書家の首魁、プリンセス・エメラルドが姿を現したわ」
 迷宮災厄戦以降、足取りの掴めていなかったオウガ・フォーミュラの一人の名だ。猟兵たちの反撃が骸の月を押し返し、敵の居所をついに暴いた。
「でも潜伏期間が長かった分、彼女の元にはおびただしい量の軍勢が集っているわ。厄介なのは質も伴いすぎてること……クエーサービーストが前座、と伝えればお分かりになるかしら」
 小惑星規模の質量を持つビーストすら、下級の捨て駒扱い。戦いが如何に熾烈を極めるかは、居合わせた歴戦の者の表情を見れば嫌でも解った。

 姫の駆る帝国継承軍は多数の護衛に囲まれ、外宇宙・スペースオペラワールドを目指し進軍中だ。奇襲にも近い形であるため準備が間に合わず、今回は惑星ロボの出陣が適わない。
「今回とる作戦はこうよ。第一に、闇のフォースナイトと軍勢の突破。第二に、姫の戦艦に付き従う巨大な影との戦闘。最後に旗艦に乗り込んでの、プリンセス・エメラルドの討伐」
 このうち、闇のフォースナイトとプリンセス・エメラルドは軍勢に囲まれているため戦術的優位に立つ。敵のユーベルコードがこちらへ先に襲いかかる都合、対処なくして勝ち目はない。
「軍勢の全てを討ち果たすことははっきり言って不可能……でも、姫一人を倒せば統率は一気に崩れるはず」
 統率者を失えば、洗脳が解け制御を失ったクエーサービーストの反乱により継承軍は瓦解。これにより侵攻も食い止められるはずだ。
「分が悪い賭けにも等しいけど、それしか打つ手はないわ。各自得意な役を分担して、どうにか姫の元までたどりついて!」
 旗艦さえ崩せば、宇宙の平和は守られる。仮に姫が諦めずに蘇生したとしても、オブリビオンとて蘇る機会は無限ではないのだ。

 説明を終えたリグはグリモアのゲートを開き、各々の目を見る。
 これより向かうは死地、生半可な覚悟では送り出せぬ。
 敵の討滅、そして生還――あなた達の意志を確かめたリグは静かに、ゲートの前を譲る。
「いってらっしゃい、気を付けて。勝って、絶対に……生きて帰るのよ!」
 さんざめくグリモアの輝きが視界を埋め尽くし、あなた達の意識は危難に満ちた宇宙へと運ばれていった。


晴海悠
 胸に抱くは見果てぬ夢。されどその夢、闇黒に満つ。
 猟書家決戦、プリンセス・エメラルド。
 愛をこめ、大宇宙より晴海悠がお送りいたします。

『シナリオについて』
 猟書家「プリンセス・エメラルド」との決戦シナリオです。
 二回の前哨戦を挟み、三部構成でお送りします。

『執筆形式』
 今回は各章ごとに受付期間を設け、複数の猟兵たちが入り乱れる形でのリプレイを予定しています(従来型PBWに近いリプレイ形式となります)。
 人数によっては全採用でなく、一定の採用基準を満たした順に、章の必要人数+α名までの採用とさせて頂きます(先着順とは限りません)。
 二章以降では継続参加の方を若干優先しますが、必須ではありませんのでどうぞご無理のない範囲でお越し下さい。

『プレイングの採用基準』
 参加者多数の場合、以下のいずれかを満たしたものを優先して採用します。
・作戦や敵ユーベルコードへの対処が具体的である
・キャラの個性がよく表れている
・敵や世界への思いを表現している

『一章 ボス戦』
 銀河帝国が残党、宮廷道化師パイド・パイパー。ならびに大量のオブリビオン艦隊、クエーサービーストの群れとの戦いです。
 戦略上の圧倒的優位を用い、先制でユーベルコードを放ってきます。大軍勢を掻い潜り、彼を討ち果たして下さい。

『二章 ボス戦』
 かつて空の世界にあった、天魔の怪獣。クエーサービーストを餌とした今、その規模、小惑星クラス。
 今回は自身の力とユーベルコードのみで、これを討ち果たさねばなりません。

『三章 ボス戦』
 テレポートしてくる継承軍の大軍勢ならびに先制ユーベルコードを掻い潜り、敵の首魁を討ち果たして下さい。狙うはプリンセス・エメラルド、ただ一人。

『その他』
 非常時ですが、最低限の小型宇宙船・船外活動用の宇宙服等は借りられるものとします(自前も可)。惑星ロボの準備は間に合いません。
 先制ユーベルコードへの対処は、自身が選んだユーベルコードに対応する一種(POW・SPD・WIZ)へ対策が取れていればOKとします。
 各章ともに断章を挟み、断章は状況説明も含みます。プレイングをかける際の参考にして頂ければ幸いです。

 それでは、リプレイでお会いしましょう。ご武運を。
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第1章 ボス戦 『パイド・パイパー』

POW   :    ジャグリング・ボム
【自らが操るジャグリングボール 】が命中した部位に【ボール内に蓄積されたオーラ】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    レーザー・ハンドル
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【レーザー光線 】で包囲攻撃する。
WIZ   :    ウイルス・ランページ
攻撃が命中した対象に【無機物・有機物関係なく浸蝕するウイルス 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【ウイルスの浸蝕】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:のはずく

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠菫宮・理緒です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 フォースナイト。精神感応の力を光の具現体・フォースへ変換し戦う、超能力者の総称だ。
 莫大な力を得られる一方、精神の鍛練を怠れば闇に堕ちる危険性をも孕む。
 だが、今にして思えば。この宮廷道化師は健全なる魂など、はなから宿していなかった。

 宙域を行き交う、ジャグリングボール。
 球の正体がクエーサービーストの肉片だと気付く頃には、
 愚かな犠牲者は顔面をぶち抜かれ新たなジャグリングボールとされていることだろう。
 同じく自在に操る網目状の熱線、真空すら蝕むウイルスの浸蝕。
 異常なまでの力を手にした今なお、彼の関心は宇宙の支配には向かない。

「あーあ、もう全部ニクダマにしちゃったよぉ~。継承軍の兵士って強くても所詮人間大だからさ~、ミンチにしちゃえばあまり量ないんだよねぇ~」
 戯れに動かす球の、おぞましき輝き。
 3度Kをも下回る宇宙空間に凍てつく、かつて命だった紅きもの。
 ボールと指先を昏いサイキックのパスが駆け、お手玉のように弄ぶ――。
 彼はまさしく精神異常者として生を受け、愉悦のためだけに生きている。

「およよ~? どうやら奴さん、来なすったようで」
 グリモアの転移光と小型宇宙船の輝きに、漸く男の目は歓喜に満ちた。
 飽いた球を高速で放り、更なる先制攻撃を差し向ける。

 この狂った道化を逃してはならない。
 万一にも取り逃がし、彼の狂気を人々の住まう宙域へ浸みださせるなど。
「さあさあ、ボクのもとへおいでよ~。とっておきのショウを見せてあげる……まかり間違っても前座で撃墜、なんてのは御免だからねぇ~」
 矢継ぎ早に無数の攻撃を放ち、パイド・パイパーは歪んだ笑みを浮かべた。
チトセ・シロガネ
まだ、帝国の残党が残ってたんダ。だけどユーたちにスペースオペラワールドの|宇宙《そら》は跨がせない。ユーたちと戦い散っていったフォースナイトの名にかけてネ!

器用なレーザー操作ネ。でも心眼センサーを持つボクにはその軌道は手に取るようにわかるネ。その軌道を瞬間思考力で計算して見切り、軽業と推力移動で回避する。でもこれはボクを徐々に追い詰める罠、だからこちらから仕掛けていくヨ!

四肢のフォースセイバーを展開、オーラ防御を纏った刃を振るいカウンターでレーザーを持ち主に打ち返していく。これぞUC【鏡面返し】、フォースナイトの基礎中の基礎ネ。これくらいボクの早業とダンスならイージーイージー!


マシュマローネ・アラモード


【先制対策】
『権能・斥力』(吹き飛ばし)
モワ、全てを拒絶なさい。

私の権能は宇宙空間でこそ最大級の性能を発揮します。

ウィルスはUCデスティニー・チャンピオンの状態異常反射で撃ち返しましょう。

【斥力】
推力移動で艦隊の影にいきましょう。
逃げる?いいえ、斥力の使い方を教えて差し上げますわ。
艦隊を斥力で弾き飛ばして、戦艦同士を衝突させて艦隊を機能不全にしていきましょう。
キネティックリパルサーの吹き飛ばしで乱戦に持ち込み、ラヴィアラモードと挟撃、斥力のラッシュで彼方へ吹き飛ばしましょう。

「|ヴォーラ・ヴィア《飛んでいきなさい》」


シュクルリ・シュクルグラッセ
レーザー光線の包囲から逃げるために、ミラーリングコートで周囲を映して光学【迷彩】。【オーラ防御】を展開して、ミラーリングコートと合わせてレーザーを【受け流し】ながら包囲網を抜けましょう
抜ける方角はレーダーで【索敵】し、【情報収集】して、包囲網の先。敵の位置を把握していきましょう

抜け出せば、此方から仕掛けます!
情報収集を探ると、ボールの正体まで分かって、嫌な気分になりますね
理解しました。あのオブリビオンは、絶対に逃してはいけない
ここで止めます!

「砲身展開。照準調整。術式解放! ファイア!」

道化師が避けるだろうと予想し、本命はジャグリングボールです!
撃ち続けることで、敵の武器を潰しましょう!


木霊・ウタ
心情
この宇宙に充る命を
命が創り上げる未来を守り抜く
エメラルドを倒すぜ

対先制
獄炎で身を包めば宇宙服は必要ない
身を焔矢として宇宙を飛翔

爆炎をスラスターとして回避したり
高熱で当たる前に溶解させる
当たっても獄炎がウィルスを焼却浄化

戦闘
道化師目掛けて突撃

確かにすごい物量だけど
ひと一人の大きさが通り抜ける隙間は無数にある

相手はオブリビオンだから
同士討ち覚悟で攻撃してくるかもしれないけど
小さくて速い的には当てづらい

爆炎を用いた回避行動で攻撃を掻い潜り
或いは前方に展開した焔のバリアで防ぎ
すれ違いざま
火力を上げて大焔摩天に変えて
戦艦やビーストを両断したり
突貫して貫き
ついでの駄賃として倒していく
オブリビオン相手だ
遠慮はしないぜ

道化師の姿を捉えたら
同じく大焔摩天を一閃
周囲のボールやウィルスごと
赤に輝く光の大刃で両断し燃やし
宙に紅の大輪を咲かせる

あんたもオブリビオンとして蘇り
歪んじまったクチなのかもな
紅蓮に抱かれて眠れ

終幕
鎮魂曲はちょいと待っててくれ
先を急ぐぜ


エリー・マイヤー
悪趣味ですね。
どうせその肉もオブリビオンでしょうし、
継承軍の兵士に対して同情しようとは思いませんが…
若干イラっと来ますね。

そんな感想はさておいて、とりあえず念動力で障壁を作成します。
敵のボールも援護射撃もまとめて弾き返す方向で。
受けきれないようなら逸らして向きを変えて、
それも無理なら自分を動かして回避ですね。
後はウィルス対策で、障壁は体を覆う形で常時展開しておきたいですね。
罹っても面倒ですし。

で、反撃に【念動プランダー】でサイキックエナジーを奪い、
そのまま奪ったエナジーを念動力として叩きつけます。
捻り拉ぎ千切り潰してやりましょう。
そんなにミンチが好きなら、自分がミンチになってろって話です。


ネフラ・ノーヴァ
共闘、アドリブOK

やれやれ、しつこいお方だ。クリスタリアンの長老なれば隠居して後世に譲れば良いものを。執念深さそのものは評価に値するが。
まずは前座の道化師か、まあ楽しませてもらおう。
敵の攻撃に対してUCでの反射結晶で先を読ませぬ回避を試みる。宇宙空間であればデブリも活用しよう。
多勢を相手にするのは私の好むところではない。狙うは道化師、懐に潜り込めばこちらの手番、刺剣の円舞を披露しよう。さあ、美しく咲く花と成れ。


テリブル・カトラリー
……宮廷道化師か。
この手の輩とはあまり話す事もないな。

マシンヘルム【情報収集】
ジャグリングボールの軌道、支援攻撃を【見切り】
絶対物質盾で【盾受け】スラスター【空中機動】で回避機動を行い、
【武器改造】機械刀の刀身に義手黒剣の地獄の炎を纏わせ、
【武器受け】ジャグリングボールとその中に込められたオーラを焼き、なぎ払いのけてパイド・パイパーへ迫り、『天地無双剣』発動。

……。

なぎ払いからの返し刀でジャグリングボールを受け止め溶断【属性攻撃】、
【カウンター】反撃、神速の突きで貫通攻撃。と、
|【クイックドロウ】《盾を離し自働拳銃で》弾丸を撃ち込む。


カフ・リーメ
殲滅対象、帝国継承軍を確認
…世界の、大切な人達の、私の敵

【星彩風】発動、敵の包囲攻撃に対処
直撃を回避しつつ、敵レーザーの発振装置の位置を探索
複雑な制御を実行するために何らかの通信が発生しており、検知は可能と推測
位置を特定次第、レーザー発振装置を射撃し排除、回避難度を低減

包囲攻撃突破後は敵本体へ加速、近距離戦闘へ移行
先程のレーザー制御を参考に他の兵装による迎撃パターンを予測、最短経路で突破
可能なら友軍と連携し火力を集中、敵を多方向から攻撃
射撃位置を高速で移動、回り込んで射撃を繰り返し翻弄、反撃の機会を与えず確実に撃墜

…帝国継承軍の存在は全て、許容できない
交渉不要、捕虜不要、殲滅を最優先


パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】
愛機Glanzで【騎乗突撃】ィ!
アハッ☆先方はお手玉がスキみたいだよ、ジャスパー。
オレ達とも遊ぼうや!

▼先制攻撃&敵艦隊+クエーサービースト対策
日頃鍛えた【運転】テクを駆使し
【悪路走破】の要領でレーザー光線の合間をくぐりながら
わざとクエーサービーストと敵艦隊の間を飛び回ろう。
帝国軍の死因No.1って知ってるかい、指揮官殿。
フレンドリーファイアだよ!

ジャスパーの陽動の隙に
パイドの後方に回り込んでUC発動―!
強化後Krakeでキツめの【零距離射撃】。
腸臭ェガキはとっとと骸の海に還んなァ!!

囮役を終えたジャスパーを抱きとめたら
機動力を活かした、ヒット&アウェイ戦法で継戦するね♪


ジャスパー・ドゥルジー
【エイリアンツアーズ】
先制対策
防御は不得意なんだよな
【激痛耐性】で耐える
なーに、多少怪我した方が自分で血を流す手間が省けるってね
『操作』だけは阻止だ
俺の中の|魔炎龍《ジャバウォック》の血
一緒に抗ってくれ

傷口に歯を立て【ジャバウォックの詩】
翼で空を翔け炎を撒き散らしながら派手に立ち回るぜ
数でしかイキれねェ奴らなんざ散々相手にしてきたからなァ!
声高々に挑発飛ばし

真の狙いはパウルや
他の猟兵が宮廷道化師に近づけるよう
ビーストの群れを引き付けること

勿論派手さだけじゃ囮の役目は務まらねえ
弱ってる個体は積極的に仕留めに行って
危険な敵だってアピールし続けるぜ

パウルと合流後
満足気に肩を抱き返し
このまま突っ走るぜ


神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

うわぁ……なんかすごい見た目の人が居ますね
……それでも強そうなのは変わらないですか……
(キャバリエを呼び出し、乗っけて貰う。艦隊とクエーサービーストの攻撃はキャバリエに強力な攻撃を中心に回避、回避できそうにない攻撃を防御して貰い、自分はショットガンを使ってパイド・パイパーのUC攻撃に絞って迎撃する方針で動く)

完全に個人的な理由で来ましたけど、やっぱり準備万端な相手と戦うのはきついですね。
まぁ、でもやっと準備出来そうですかね。

(UCを使用して敵に突撃。艦隊に肉薄して艦隊の攻撃を減らすのに加えてて敵UCで同士討ちも出来るかな?と期待を込めながら、敵を障害物に使って減らしていく)



●敵影
 漂う宇宙デブリの合間を埋め尽くす、無尽の軍勢。それを操る敵の姿を遠目に認め、チトセ・シロガネ(星光の青・f01698)は警戒の色を露わにした。
「まだ、帝国の残党が残ってたんダ。しぶとさは流石に認めざるを得ないね」
 猟兵達がはじめて大規模戦闘を行った銀河帝国は未だ記憶に新しい。あれから随分時間が経過したが、予知を掻い潜って暗躍するしつこさはある意味で賛辞を贈りたくもなる。
「だけどユーたちにスペースオペラワールドの|宇宙《そら》は跨がせない。ユーたちと戦い散っていったフォースナイトの名にかけてネ!」
 啖呵を切るチトセの手に、青い星雲のような光が生まれる。フォースの刃は次第に青白さを増し、戦艦を焼き切るには十分な出力だ。
「うわぁ……なんかすごい見た目の人ですね。奇抜な見目でも、強そうなのは変わらないですか……」
 自身と同じ名のサイキックキャバリアに騎乗する神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は、幾戦経ていまだ慣れない宇宙空間での機体操作に戸惑い気味だ。敵は圧倒的物量で攻めてくるという。あらかじめ立てた作戦を遂行するには寸分の狂いも許されない、道化師の見た目に気を取られている暇はなさそうだ。
「完全に個人的な理由で来ましたけど、やっぱり準備万端な相手と戦うのはきつそうですね……うまく乗り切れるでしょうか」
 手元を見ずとも操作できるよう、レバーの握り位置を確かめる。確実に一矢報いる為には、まずある程度の距離まで近づかねばならない。
「アハッ☆ 先方はお手玉がスキみたいだよ、ジャスパー! わざわざあんな玩具までこさえちゃってサァ」
「ハッ。イカれた野郎の相手なんざ散々してきたが、アイツァ大したことねーな」
 白銀色の宇宙バイクに跨り、クラッチを握り込むパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。放っておけば猛速度で突っ込みそうなスピード狂の相方を、ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)が窘めるように言い聞かせる。
「――数だけでイキってやる奴ァ、大概小物だ」
 遠くに滲む恒星の光がかき消され、代わりに夥しい数の黒い影が銀河を埋める。確かめるまでもない、オブリビオン艦隊とクエーサービーストの集団がこちらへ向け動き出したのだ。
「敵影確認……殲滅対象、帝国継承軍」
 多機能スーツに身を包む少女の、感情を押し殺した声。コールドスリープより目覚めた時に人の姿はなく、星間の孤独に骨の髄まで浸されたあの日の記憶。
 移民船を襲った軍隊の名を知り、今日まで鍛錬を積み生きてきた。人の心を取り戻してからも忘れ得ぬ、名も知らぬ隣人たちの仇の名。
「……世界の、大切な人達の……私の、敵」
 全てはこの日のために。標的を堅く定める決意と共に、カフ・リーメ(支援戦闘員・f38553)は熱線銃のグリップを握りしめた。

●嫌悪
 視界を右から左まで埋め尽くしていた点の集合体は次第に大きく、それ自体が小惑星規模の影とわかるまでになった。間隙を縫って差し込むレーザーの光。咄嗟に呼び出した反射結晶で躱しながら、ネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)は淡緑色の長い髪をかきあげた。 
「やれやれ、しつこいお方だ。クリスタリアンの最長老なれば、隠居して後世に譲れば良いものを」
 自らも白玉のクリスタリアンであるネフラは、同族が猟書家の首魁となった事に心中複雑な様子だ。赤の他人とは言え不名誉には違いない、引導を渡すつもりで彼女はここへ訪れたのだ。
「まったくです……加えて、手下も悪趣味ですね」
 動いて躱すのも面倒だと、念動力のバリアを張るエリー・マイヤー(被造物・f29376)の挙動は厭世観を漂わせる。接触を拒むように襲い来るボールを障壁でいなし、的を逸らしきれないものは障壁ごと自分をずらして回避する。
「どうせあの肉もオブリビオンでしょうし、継承軍の兵士に同情しようとは思いませんが……若干、イラッとは来ますね」
 敵に倫理を問うエリーではない。そのような崇高な魂は持ち合わせてはおらず、どちらかと言えば地を這い生きてきた自覚がある。ただ、不愉快な点があるとすれば……享楽のためだけに意味もなく味方を屠る、その空虚な余裕が疎ましい。
 パイド・パイパーの波状攻撃が敵陣後方に満ちる。どうやら軍勢が被弾するのも構わず、敵味方共に根絶やしにする気らしい。
「……宮廷道化師か。この手の輩とはあまり話す事もないな」
 斬り捨てるようなテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)の声。帝国の亡びた今は戦いのみが意義と割り切る、ウォーマシンの思考はどこまでも冷ややかだ。全ての帝国残党はいまや残骸、意味なきもの。故に、己は一切の言葉なく障害を排除するのみ。
「この宇宙に充ちる命を、命が創り上げる未来を守り抜く。……ふざけたあいつを片付けて、プリンセス・エメラルドを倒すぜ」 
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)が宇宙服の代わり、獄炎を纏った。炎の突端を楔のように尖らせ、鏑矢の如く駆ける。
 飛び出したウタを襲うウイルスとレーザーの包囲網。彼一人には背負わせまいと、仲間たちが後に続いた。
「先陣を切る役目は任せてください」
 鏡面状の光学迷彩を身に纏い駆ける、シュクルリ・シュクルグラッセ(ガーディアンドール・f10278)。オーラの護りを巡らせながら、兎耳型のレーダーで電波を照射、敵の包囲に探りを入れる。
「……そこ、レーザーが来ます。罠です」
 突出しかけた仲間に飛び込まぬよう告げ、敢えて敵の待ち構える方へドリルランスを構える。回旋する矛先で胴を穿てば、厚く見えた守りは瞬く間に散開した。
「感謝いたしますわ、モワ! あとの有象無象は任せて下さいまし」
 遮るものなき宇宙空間にあって、斥力の働きを妨げる引力はない。周囲に従えた王の覇気、ラヴィアラモードが光を放ち、マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)は虚空を疾駆する。
 噴き出すバーニアで推力を生むたび、宇宙服の中で美しい巻き髪が揺れる。杵状のメカニカルな鈍器を大きく振るい、皇女は艦隊の波を押し退ける。
 大きな影を退ければ、次に満ちるは小さな敵。微粒子のように紛れ込んだウイルスの浸蝕が、前衛と接触しようとしていた。
「モワ、全てを拒絶なさい。この宇宙空間にあって互いを散らす斥力は最大、何者をも寄せつけませんわ!」
 すかさず回り込むラヴィアラモードが守護精霊と化し、微粒子の海に道を開けた。かの身に宿すは自由の闘志、命令せずとも不浄なものを押し退けてくれる。
「……」
 声なく、テリブルのヘルムの下で敵を探る眼光が駆け巡る。支援攻撃を見切った彼女が手を翳せば、名高き|絶対物質《ガルベリオン》の盾がジャグリングの球を受け止め、後は義手の刃を添えるだけで地獄の炎が燃えていく。
「……っ、なかなか息つく間もないが……おかげで各々、力を振るえているようだな……!」
「自ら動くのは極力御免被りたいですが、仕方ありません。余分に働いた分は後で請求するとしましょう」
 ネフラが刺剣で血薔薇を咲かせ、かかるウイルスの飛沫をエリーが防ぐ。敵の第一陣は間もなく切れ、遠くに見える道化師の姿が僅かに近づいた。

●痛苦
 ユーベルコードの第一波を潜り抜けた猟兵を、艦隊と準星の獣たちが出迎える。オブリビオン艦隊が押し寄せる後方、控える巨大なビーストたちは触手の鞭を振るい、闇雲に近づけばスクラップと化すだろう。
「神咲、お願い。艦隊の攻撃を防いで下さい」
 機体をオートパイロットモードに切り替え、七十は飛来するレーザーへ照準を合わせる。ショットガンでの迎撃はレーザーを誤射させ矛先を逸らすが、それだけでは到底追いつきそうもない。
 突出したジャスパーが腕をレーザーに射抜かれ、反対側に貫く光の柱が静かに消えた。咄嗟に救護しようとしたカフを手で制止し、血まみれの聖者は愉悦に唇を歪める。
「おっと嬢ちゃん、心配は無用だ。なーに、多少怪我した方が血を流す手間が省けるってね」
 続け様に襲い来るミンチボールが爆発的な邪気を肉体に流し込む。抗えぬか、否。操られかけた腕の内側で、支配を拒む魔炎がめきりと膨らむ。
「一緒に抗ってくれや、|魔炎龍《ジャバウォック》」
 傷口に糸切り歯を突き立て、肉を裂く。獰猛な炎が噴き出して全身を鎧い、黒龍の如き翼が闇夜を焦がした。
 宙を駆ける、一匹の邪竜。ビーストの眼前を掠めて鼻っ面を焼き、仕留めようとした艦隊をそのまま獣へ衝突、餌食とする。
「ハッハァ、オレ達とも遊ぼうや!」
 パウルの跨るGlanzがビーストの顔面を轢き、肉の球に轍を残して走り去る。レーザーの束を|運転《ドラ》テクで一手に惹きつけたなら、向かう先など唯一つ。
「よォ、帝国軍の死因No.1って知ってるかい、指揮官殿。|仲良くお陀仏《フレンドリーファイア》だよ!」
 艦隊が網目状に焼き切れ、|解体《バラ》される。あの道化師は友軍の犠牲など意にも介さないだろうが、肉の盾がなくなった時の表情が今から見物だ。
 遮るもののなくなった空間をチトセが駆け、次いでレーザーの波状攻撃が駆け抜ける。
「器用なレーザー操作ネ。でも心眼センサーを持つボクには軌道は手に取るようにわかるネ」
 踊るように宙を駆けながら思考する。躱すだけではいずれ限界も来よう。恐らく、これは罠――ならば、リスクに飛びこまずしていつ勝てよう。
 腕だけでなく、四肢に仕込まれた刃を振り抜く。自分を捉えたレーザーの照準を見切り、光る瞬間に合わせて放つ、鏡面返し。乱戦の中に身を隠していたビットが息絶え、宇宙のデブリと同化した。
「フォースナイトの基礎中の基礎ネ。これくらいボクの早業とダンスならイージー、イージー!」
 傍らでは、躱さずの枷を己に課して突撃する七十の姿。敵の攻撃を一身に引き受け、キャバリアの装甲は不死身の吸血鬼よろしく破壊と再生を繰り返す。
 ひとまず味方は無事だが、いつまた大攻勢に出られるかわからない。
(「これだけ大規模な攻撃、どこかに発信源があるはず……」)
 一人検知システムを作動させていたカフは星間の闇にふと目を向け、そこだけ先ほどから敵影が見えない事に気づいた。左腕部の情報端末パネルを叩いてみれば、微かな熱源、レーザーの糸。
「……そこで、感知してる」
 熱線銃を構え、高出力ビームで一射虚空を射抜く。何かが壊れた破片が宇宙空間に舞い、次いで襲い来るレーザーの網。
「……やっぱり」
 カフを捉えた筈のレーザーは精彩を欠き、小さな少女を焼き損ねたまま彼方へ去った。発振装置以外にも、通信が成されているとの読みは正しかった。
 囮役として駆けたジャスパーの肩を抱き、パウルが伴侶を座席の後ろに座らせる。体を張った後はもう一陣、敵の本丸が待っている。
「ハッ、仕組みさえ壊せば粗末なオモチャってワケだ! かっ飛ばそうや!」
 荒息に上下しながら、肩を掴む温もり。負傷を案じるのはいつだってできる。ぶっ飛んでるのは互い様だ。宇宙バイクに発進音はなく、青白い波動エンジンの軌跡が道化師の本拠へ、まっすぐに駆けていく。

●侮蔑
 宇宙空間に音を運ぶものはなく、ひしゃげた艦隊の末路を伝えるのは醜い火花のみ。
 大杵を振るい、艦隊を沈め終えたマシュマローネは、向こう側に覗く姿に少しの喜びも感じさせない声で呼びかける。
「ようやく見えましたわね、モワ」
 友軍だったはずの艦の残骸を念力で押し退ける道化師の顔。そこに味方を惜しむ感情はなく、ただ飽きた玩具を捨てる時の悪童の表情に他ならない。
「あれれ~。喜んでもらえなかったかな。もしかして量が足りなかった? それとも……流した血が足りないかな~?」
 道化師服のままくるりと翻り、おどけるパイドの周りには今、彼を護る味方はいない。やがてはまた援軍が押し寄せるだろうが、その前に圧し潰せば事足りる。
「……理解しました。あのオブリビオンは、絶対に逃がしてはいけない」
 解析を終えたシュクルリが、ガラス玉のように透いた眼を見開いた。敵であること以上に邪悪な魂、周囲に浮かぶ赤き球が彼の性質を物語る。
「よろしくてよ。|私《わたくし》たちから告げる言葉は唯一つ……|ヴォーラ・ヴィーア《飛んでいきなさい》」
 大振りの杵を躱したところへ襲い来る、新たな球体。敵の手数にも限りはあれど、易々と撃たせていては身が持たない。
 味方を庇うように躍り出、シュクルリが四つの砲身を敵へと向ける。
「砲身展開、照準調整……術式解放! ファイア!」
 自らを固定砲台と化し、金の髪の乙女は魔導蒸気砲を放ち続ける。身軽な道化師が躱すことは織り込み済み、真の狙いは彼を守る禍々しき球。
「およよ、壊されちゃった? また作らないとだねぇ」
 崩れた血塗れのボールを惜しむ事なく放り、道化師はウイルスの波を放つ。
「あんたもオブリビオンとして蘇り、歪んじまったクチなのかもな」
 大焔摩天と化した大剣の字が、赤熱を帯びて輝く。押し寄せる大気を焼き払いながら、ウタは敵の成り立ちへと思いを馳せる。
「嘗てはともかく、今のアンタを可哀想とは思わないぜ」
 大剣の軌跡をそのまま焔のバリアとし、味方へ波及しかけたウイルスの一切を焼却する。切り結ぶ合間に他の者たちも追いつき、包囲が築けたなら道化師の逃れる場所は何処にもない。
「ヨゥ、会えたがちっとも嬉しくねぇな! 腸臭ェガキはとっとと骸の海に還んなァ!!」
 翳した蛸の触手から直接流し込む固定砲台の弾。背中がガラ空きだとパウルが叩き込む弾の雨は道化師のマントを蜂の巣にしたが、振り返るパイドは痛覚もないのか顔を歪める様子もない。
「ヘンなの~。ムキになってる? ねぇ、ムキになってる?」
「煽ったところで無駄です。アナタへの感情なんて、初めから氷点下ですから」
 エリーが一瞥と共に思念波を返し、敵のサイキックを逆手にとって流し込む。フォースの反逆が体中を駆け抜け、パイドのガードをこじ開けた。
 熱線銃のブラスターに射抜かれるパイドを、カフの緑の目が冷ややかに見下ろす。
「……交渉、捕縛、全て不要。殲滅……帝国継承軍の存在は全て、許容できない」
「そう焦らずにさ~。ボクともう少し遊んでいきなよ~」
「生憎、お前は前座だ。せいぜい美しく咲いて宇宙を飾れ。私が相手取りたいのはメインディッシュの方なのでな」
 ネフラが突剣で小突くたび血の華が咲き、道化師の機敏さは失われる。惜しむらくは赤き血潮、悪辣なるこの者が人と同じ色をしている事すら嘆かわしい。
 杵の斥力、獄炎の焔、魔導砲の光弾。立て続けに撃ち込まれるラッシュに体がくの字に折れた。なおも嗜虐に満ちた目でこちらを見上げ、折れた己の肉を球として浮かべてパイドは嗤う。
「ほら、まだできる。まだショウは終わらないさ! あは、あはは――」
「不要」
 ざん。テリブルの機械刀がボールごと突き抜け、返す刀が胴を二つに分けた。下半身がまず味方の斉射に千切れ、残る上体へと自動拳銃の鉛を叩き込む。
「……あれぇ?」
 間抜けた声だけを残し、上顎が宙を漂った。それすらも目障りだと光と焔が焼き尽くし、道化師の痕跡はピラニアの食べ滓よりも小さく、微塵に消え失せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『主天魔怪獣ドミニオン』

POW   :    コールオブドミネーター
自身が装備する【大杖】から【破壊衝撃波と支配感応波】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【洗脳】の状態異常を与える。
SPD   :    パーフェクトドミネーション
【口から黒雲を吐き、嵐を引き起こす。雨】が命中した部位に【障害を無視して浸透する体を支配する水】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
WIZ   :    ドミニオンクラッシュ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【眼】から【支配洗脳効果を持つ破壊光弾】を放つ。

イラスト:柴一子

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 宇宙の藻屑と消えた道化師に見向きもせず、宇宙をゆく十一の影。
 翠玉の姫の操る漿船の座標が暴かれたいま、寄り道をする理由はない。
 軍勢の魔の手が外宇宙、スペースオペラワールドへと届く前に。
 目的地へ向かう航路は真一文字に、遮るものなき真空を駆けてゆく。

 クエーサービーストの満ちる危難の宙域を間もなく抜ける頃、
 レーダーが遂に巨大船の影を捉えた。
 漿船の亡骸を寄せ集めて急造された旗艦船、ソング・オブ・オーンブル。
 左右非対称な姿の艦に乗り込もうとした矢先、手元のレーダーが激しく明滅した。

 レーダー画面に巨影が映り込むが、覗き込む必要はない。
 敵の実体は既に視界の大半を占め、旗艦船を覆い隠しているのだから。

 天使と悪魔が融け合うが如き、異形の頭部。
 無機質な大杖からは衝撃と共に脳髄を支配する感応波が迸り、
 四肢の千切れんばかりに洗脳の魔力が伝う。
 口から吐くは惑星規模の磁気嵐、星雲の如き雲からオーロラが伸び、
 触れた者に染み入り肉体の主導権を侵す。
 そしてあれ自体が飛翔しながら、無数の眼より支配の光弾を放つのだ。

 その規模、|小惑星級《アステロイド》。その強さ、|支配的《ドミナント》。
 駆けるあなたたちを蹂躙すべく――主天魔怪獣ドミニオンは侵略軌道を開始した。
テリブル・カトラリー
『ハイ・オーバーコート』発動。超巨大機械兵器化。
惑星ロボほどではないが、それなりには迫れる。
超巨大化絶対物質盾で破壊衝撃波や破壊光弾を【盾受け】
巨大義手黒剣の地獄の炎で支配感応波や支配する水を【焼却】
ブースター【推力移動】
【戦闘知識】から敵飛翔軌道を【見切り】敵顔面目掛け最高速飛翔【怪力】で【シールドバッシュ】怯ませ、味方の攻撃も通しやすくする。

其処を、どいて貰うぞ。

【早業】|【誘導弾砲】《ミサイルランチャー》による【範囲攻撃】に加え、
巨大携行浮遊砲台を展開【貫通攻撃】
【砲撃】徹甲弾榴弾を可能な限り撃ち込み体内で炸裂【部位破壊】


木霊・ウタ
心情
未来を過去の化身に渡しゃしない
このまま押し込む

こいつもオブリビオンだ
今は歪み切った存在だけど
嘗てはこの宇宙に生きる命の一つだったはずだ
海へ還すぜ

戦闘
紅蓮を纏い迦楼羅を炎翼として顕現

衝撃波や感応波を
爆炎で小刻みに軌道を変えて回避したり
炎でいなしつつ眼前に掲げた剣で受ける

内に燃える獄炎の火力を上げて
洗脳の状態異常を喰らう端から焼却浄化

一気に間合を詰め
突っ込んだ勢いも乗じ
獄炎纏う焔摩天を叩きつける
まずは鬱陶しい大杖狙いだ
砕いてやる

諦めずに剣撃を繰り返し
僅かでも罅が入ったら
そこから延焼させて内部から燃やし溶かし
そこに一撃を加えて叩き折る

で、すかさず
以下同文で
本体へも大剣の連撃とそこから紅蓮の炎を
怪獣の全身へと拡げていく

そして仕上げだ
攻撃を掻い潜って
そのどデカい口に突っ込み
口腔の内側に大剣を突き立て
そこから紅蓮の奔流を一気に流し込む
内と外からこんがりと焼いてやる

火力を高め
怪獣を上回るまで伸長した大焔摩天の光刃で
内から桃の如く唐竹割に

終幕
同じく鎮魂曲はお預けだ
行くぜ


カフ・リーメ
小惑星級の敵影を確認
…帝国継承軍の戦力、排除開始

【星彩風】発動、敵の黒雲と嵐に対し射撃による除去を実施
全ての除去は不可能で不要、回避しつつ接近可能な突入経路の確保を優先
突入時は極力接触を避け、回避不可の状況では頭部や右腕を防御し、射撃能力の低下に繋がる部位への被弾を阻止
浸透が進行し行動不能となる前に、敵の撃破が完了すれば問題なし

接近後は黒雲を吐き出す口内を狙い射撃、敵の損害状況を観察
効果が見られなければ頭部、眼球等の有効と思われる箇所へ射撃
可能な限り友軍と連携、一点に攻撃を集中して致命傷を与える

どんなに巨大な敵でも、攻撃が有効であれば撃破可能
…敵旗艦は目前、障害となる存在は全て排除


エリー・マイヤー
いや~でかいですね。
背が高い人を羨ましいと思うことはありますが、
あそこまで行くといっそ可哀想というかなんというか。
どうせ倒すので、どうでもいいっちゃどうでもいいんですが。

さて、とりあえず衝撃波とか感応波とか撃ってくるみたいですが…
物理的な波であるなら、念動力で干渉できないことはないでしょう。
自身を囲むように念動力の壁を作って防御しつつ、
そのまま攻撃力重視の【念動スマッシャー】で斬りつけます。
小惑星サイズというと、大体100km未満ですか。
まぁ、余裕でぶった斬れますね。
デカいのはいいことかもしれませんが…
それに見合う推力が確保できないなら、ただの的です。


マシュマローネ・アラモード
【エイリアンツアーズ】

モワ、パウルさんとジャスパーさん!
これでエイリアンツアーズ合流ですわね!

洗脳効果対策はUC、デスティニー・チャンピオン!
ラヴィアラモードのフリーダムブレイズで洗脳を反射しましょう!
ジャスパーさん、パウルさんも策があるようですわね!ご無理はなさらず!

推力移動で飛翔して、眼を斥力(吹き飛ばし)とキネティック・リパルサーの衝撃で弾き飛ばしますわ!
後は邪な事を考えてる頭に、ラヴィアラモードの連撃で性根を叩き直しましょう!

モワ、敵の動きが止まったなら、グレイス・フルムーンを体内に飛び込ませ、遠隔の斥力爆破!

ジャスパーさんご無事ですか?
治療なら、UC黄金の林檎を使いますわ!


ジャスパー・ドゥルジー
【エイリアンツアーズ】
マシュマローネも来てたのか!頼もしいぜ

まーた洗脳系か
宝石のお姫様は随分お人形遊びがお好きと見える
そんなら操られる前に操られてやるさ

衝撃波に飛び込んでいく
腕をクロスして命だけは護るけれども
意識吹っ飛んでもおかしくねェくらいのダメージは受けるだろうな

俺の代わりに俺の身体を動かすのは【リサシテーションの刃】
こうなりゃ操られる自我なんて無いも同然だ
体中から噴き出す『燃える血』を武器に突っ込んでいくぜ

まァた無茶してって心配かけちまうかな
でも俺が一番耐えられねえのは
精神攻撃に抗う術の無い俺がパウルやマシュマローネに刃を向けちまう事だから
……ちょっとだけ勘弁してくれ
死なねえから


ネフラ・ノーヴァ
あの巨躯であれば口に飛び込んでとも思うが、そこから黒雲が出てくるのでは考え物だな。では視線も届きにくいであろう、下方より攻めよう。
しばし距離を取っておいて、他の猟兵が攻め込んだのち下方へ回り込む。UCにて白金甲冑を纏い、一気に突撃し下顎を刺剣で貫く。少しはその呆けた口を閉じさせよう。
しかしやはり相手するのは人型の方が華々しくて良い。さあ、次はプリンセス・エメラルドだ。


パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】
マロちゃんと合流。ジャスパーとは引き続き共闘するよ!
ワァオ…また厄介そうなの鹵獲してきたモンだね。
オレもヒトのコト言えないけど。

敵の規模がデカい分、光弾の軌道も大味にはなってそう。
Glanzを【運転】して被弾を避けつつ
ヒット&アウェイ戦法で、Krakeで眼を狙った狙撃を。

マロちゃんが操られないよう常に心配りを。
けれどジャスパーが洗脳された瞬間に秒で理性がトビそう。

眼が多ければよく見えるってワケでもないんだな。
隻眼に虚を突かれる気分ってどう?
背後の死角に回り込んだら、UC発動―…懲罰のお時間だぜ。
洗脳も支配も金輪際願い下げだ。
テメェの脳をテメェで焼き切ってとっとと失せなァ!


神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

あ~……大きいだけじゃなくて、面倒そうな力も持ってそうですね。
あまり近づかない方がいいですかね

(キャバリエを呼び出し、UCを使用。攻撃が届かない位置を保ちながら捕食する結界で敵を攻撃していく)

すごい、嵐です……あれに巻き込まれない様にしないといけないとは結構面倒ですね
……常に位置を頭に入れて回避していかないといけませんね

(結界の範囲から出さずなおかつ攻撃も届かない、ぎりぎりの位置を結界の探知能力を使って維持し続ける)

……食べれて力も上がっていますけど、下手に突っ込むと私の力的に最悪の事態になりそうですし、大人しくしてますか。
……次がメインディッシュでもありますしね


シュクルリ・シュクルグラッセ
ドミニオンの先制攻撃に対し、私はオーラ防御を纏います。
巨大な相手なら、襲い来る雨も相応のモノと予想。

オーラを紡錘形に展開し、水を流れに沿って受け流します!

自身の周囲から少しでも距離を離すことで、浸透してくる水の量を抑え込み。

船艇に入るか、ガジェットで周囲を固めて、自分のボディに水が触れないように

爆破されそうなガジェットは分離して排除。操作されるなら、メカニックとしてハッキングで対抗。ユーベルコード展開までの時間を稼ぎます


世界は広い。とは、本当ですね
小さな星のような相手と戦うことになるとは、思いませんでした

けれど、それならば星を砕くまでです!
外殻はサイズ相応と見て、防御の薄そうな口内を狙います!



●端緒
 目に圧を伴う異形の頭部。無数の眼が遠間よりこちらを睥睨する。
 彼我の距離はいまだ遠く、間合いの外。だのに怪異の姿は視界の大部分を占め、邪悪な吐息さえ耳元で聞こえそうだ。
「あー……大きいだけじゃなくて、面倒そうな力も持ってそうですね」
 不運にも近づいた小型のオブリビオンが瞬く間に支配され同化するのを見、神咲・七十は己との相性の悪さに歯噛みした。敵の洗脳の力は侮れない。それが『広域に及ぶ力』を持つ者に降りかかったなら、戦場は瞬く間に叫喚地獄へと一変するだろう。
 ひとまずは嵐を凌ぐことを決め、キャバリアの操縦桿を握る七十。こくり、と喉が鳴るのは聞こえてはいまいが、機体の外よりネフラ・ノーヴァの交信が届いた。
「あの巨躯であれば口に飛び込んでとも思うが、黒雲が出てくるのでは考え物だな。至近距離で支配の雨水を流し込まれるのは、ぞっとしない話だ」
「ですね……決意を固めてる人たちもいそう、ですが。私たちは無理せず、バックアップに回りましょう」
 撃破は急ぐが、功を焦って敵に操られては元も子もない。何より次が控えていることを思えば、己ができる役割を担う方が合理的だ。
「いや~でかいですね。背が高い人を羨ましいと思うことはありますが……」
 船外活動服に身を包むエリー・マイヤーは、癖で指を口元に運びかけて日頃嗜む煙草がないことに気付く。元より念動力で浮ける彼女にとっては、宇宙の浮遊感も別段目新しいものではない。
「あそこまで行くといっそ可哀想というかなんというか。どうせ倒すのでどうでもいいっちゃいいんですが」
 汚染物質のタブレットを取り出し、煙草の代わりに噛み砕く。歯に衣着せぬ物言いのエリーは冷めて見えるが、別に冷血というわけではない。辛辣なのはただ単に、彼女の想いは死せる者より生ける者の側にあるだけだ。
「……」
 無駄口を叩かぬテリブル・カトラリーの意思を汲み、機械兵器が次々と真空のただ中へ飛来する。ハイ・オーバーコート――外部武装との謙遜じみた名と裏腹に、組み上がる超機構は惑星ロボにも迫る巨躯となり、テリブルを無機質なコックピットへ招く。
 顔は元より髑髏の面に隠れ、元来持つ女性型の美しいフォルム、穏やかさを思わせるその一切が機械の鎧に隠れていく。これよりテリブルは物言わぬ機神、止めたくばパーツの僅か一つまで機能停止に追い込まねばなるまい。
 次々と武装を整える猟兵達の戦意に呼応し、天魔の大杖に禍々しき光が集う。まもなく光は波濤のように押し寄せ、抗いそびれた者の四肢の自由を奪うだろう。
「帝国継承軍の戦力、動作確認。……敵影、排除開始」
 自らに言い聞かすよう告げる、カフ・リーメの静かな声。小型宇宙船の後部エンジンが青白く光り、支配者へ立ち向かうように感応波の中へと分け入っていった。

   ◇    ◇    ◇

 大杖より迸る、精神干渉をもたらす思念の波。支配の命令を刻み込む光は、禍々しくも穏やかに宇宙空間を駆ける。
 紅蓮を纏いて迦楼羅となった木霊・ウタは、炎の翼をめいっぱいに広げて大宇宙に羽ばたく。太陽の炎柱の如く爆炎を噴き、その反動で感応波の薄いところへと身を滑らせる。
「俺達は自由の下に集ってるんだ……誰かの支配なんて受け付けないぜ」
 周りを見れば、小型艇にオーラの加護を宿してシュクルリ・シュクルグラッセが速度を上げるのが見えた。小刻みに回避するウタと違ってシュクルリの軌道は直に突入する形だが、その訳はスピンドルのように紡がれた清廉なオーラを見れば自ずと知れた。内へ入り込む思念や黒雲の水滴を弾き、できるだけ支配を遠ざけながら直進する航路を選んだのだ。
「世界は広い……とは、本当ですね。まさか小さな星のような相手と戦うことになるとは、思いませんでした」
 学園の地下迷宮に閉じこもっていては、巨大な敵といえどこれ程の相手とは出会わなかっただろう。創造主の守護を解かれて出会った敵は、子攫い、おぞましい暴食の怪異、蒼焔の魔狼……新たな敵と遭遇するたび、異なる対処を求められる。
 辛いか、と今は亡き創造主が問うた気がして、身を案じる優しい面影を振り払うよう口元に笑みを浮かべる。
「相手は巨大……ならば星を砕くまでです!」
 ペダルを踏みこみ、船の推力がぐんと増す。そうしてシュクルリの小型艇は思念の波へ、楔を打ち込むように吸い込まれていった。

●惑星嵐
 音もない真空に、天魔ドミニオンの思念の咆哮が響く。間もなく猟兵達の第一陣が間近に迫り、戦いの火蓋が切られるのだろう。
 天魔の膝元、支配の領域。熱烈にもてなすように無数の光弾が飛び交い、敵は近付くものを穴だらけの残骸へと変える心算のようだ。
「ワァオ……避ける余地は少なそうだ。厄介そうなの鹵獲してきたモンだね……オレもヒトのコト言えないけど」
「あン? 誰のコトだ?」
 軽口を叩くパウル・ブラフマンにとぼけてはみたが、返る声はなく口笛のみ。若干苦い顔になるのを堪え、ジャスパー・ドゥルジーはぼりぼりと悪魔角の生えた頭を掻く。
「まーた洗脳系か……宝石のお姫様は随分お人形遊びがお好きと見える。マシュマローネもいてくれて頼もしいが、仲良く同士討ちなんてのァ御免被りたいぜ」
「|心配には及びませんわ《サヴァアリ》、モワ! わたくしのラヴィアラモードは気高き王族の誉れ、他者の支配なんて寄せ付けませんの」
 先の戦いでも見えたマシュマローネ・アラモードの守護精霊は賢王の覇気そのものだ。身に纏う鎧は束縛や干渉を跳ね除け、敵の下へと送り還す。
「パウルさんもジャスパーさんも、策はあるようですわね! でも、ご無理はなさらず!」
「策ってよりテクだがな! 奴さんデカブツになった分、些か攻撃は大味なようだぜ……っと」
 愛機を駆り、突き進んでいたパウルは再び敵が感応波を放つのを認め、マシュマローネを庇える位置に移動しながら警戒の声を飛ばす。
「ジャスパー! 来るぜ」
 宇宙バイクの背で、ジャスパーは紫の思念波を見つめた。自分以外の二人は大丈夫としても、つい快楽に従ってしまう己に洗脳を退ける術はない。
(「まァた無理してって心配かけちまうかな。……唯、俺が一番耐えられねえのは」)
 体が独りでに動き、二人が気付いた時にはジャスパーの背は前方にあった。ばしゅっ、と肉体の随所が衝撃に裂け、噴き出した鮮血が大宇宙の温度に凍りつく。傷だらけの背中をむき出しに、交差した腕で辛うじて命だけは護りながら支配の奔流へ飛び込む。
(「お望みってンなら……操られる前に操られてやるさ」)
 がくん、と意識の喪失を表すように|頤《おとがい》が揺れ、闇色の炎が噴き出した。

   ◇    ◇    ◇

 精神感応の波が過ぎって間もなく、今度は暗黒の星雲が牙覗く口より垣間見える。磁気嵐は小型艇の装甲などものともせずに染み入り、無策でいれば瞬く間に船の中枢を制圧するだろう。
「すごい、嵐です……あれに巻き込まれないようにするのは、結構面倒ですね」
 生命を捕食する結界を張り巡らせながら、七十を乗せた魔導ロボは嵐を掻い潜って進む。細かく操縦桿を動かすたび震えが指を伝い、瞬きしただけでも手元が狂いそうだ。
 敵を結界内に捉えながら直撃を受けない、狙うはギリギリの位置取り。嵐に揉まれながらの航行は困難を極めたが、敵の位置だけは探知の力で捕捉できるのが幸いだ。
 シュクルリが乗る小型艇が、強い磁気嵐の渦中におかれた。バチバチと弾ける真空放電の明滅、紡錘形のオーラが一瞬弾け飛び、泡の内側に入り込むように黒の波が押し寄せる。
 その波濤を押し退けたのは一筋の極太い黄緑の光線。レーザーを放出したカフはすぐさま元の姿勢に戻り、機体の安定を図るべくレバーを握った。
「っ……危なかった、です。ありがとうございます!」
「全ての除去は不可能、不要……必要最低限の救護しか、できないけど」
 レーザーで焼き切った雲の道が途切れる前に、航路を急ぐ。カフとて無傷ではなく、このまま浸透を許せば機体も自身も支配下に置かれるだろう。せめて頭と、管制装置を備えた右腕は庇おうと思案する――少女の心はどこまでも撃ち抜く意思に固められていた。

   ◇    ◇    ◇

 再び思念の奔流が駆け巡り、ジャスパーの肉体はがくがくと揺れた。支配に抗う都度噴き上がる、再燃の黒炎。血反吐を吐きながらも意識なき肉体は獰猛に吼え、手足を突き出して敵の下へと虚空を走る。
 炎の傀儡。魔炎竜のしもべ。それが感応の魔力に対するジャスパーの回答だ。どうせ支配を受けるなら利害の一致するオウガの方がマシだと、男は己が身を差し出した。
「……ッ」
 ぎり、とパウルは奥歯が嫌な音を立てるのを聞いた。|怒髪天を衝く《プッツンする》のはまだだ。後少しとっておくべきだと理性で堪え、宇宙バイク『Glanz』のギアを最大に入れる。
「モワ、ジャスパーさんばかりに無理はさせませんわ!」
 同じ旅団の友として彼を無事に帰すべく、マシュマローネは機械仕掛けの杵を握る。近づいてきた敵へバーニアの出力を上げて迫り、一転、二転、大きく回旋する槌で眼を打ち据えれば、天魔は痛みとも諧謔ともつかぬ耳障りな声で鳴きながら遠くへ飛び去る。
 巨大化したガルべリオンの盾が破壊の光弾を斜めに弾き、彼方へと飛ばした。目を見張る威力の光弾には目もくれず、テリブルは敵の元へと迫る。天魔が速度を上げようともウォーマシンのアイセンサーの感度は欺けまい。飛翔する軌道を読み切り、顔面めがけブーストエンジンを噴かせれば、柔いものの砕ける鈍い手応えと共に盾に衝撃が伝わった。
「……其処を、どいて貰うぞ」
 間髪入れずに放つ、|誘導弾砲《ミサイルランチャー》の広範囲爆撃。一方的に攻めるばかりだった動きに隙が生まれ、天魔を大きく後退させた。
 獄炎を纏い、飛翔突撃を見舞う金翅鳥。敵を間近にしてウタは回避よりも攻勢に転じ、詰めた間合いから更に飛びかかって焔摩天を叩きつける。
「こいつもオブリビオンだ。今は歪み切った存在だけど、嘗ては空の世界に生きる命の一つだったはずだ」
 プリンセス・エメラルドの魔の手はブルーアルカディアにも伸び、帝国継承軍には一部魔獣が従えられたという。天魔もその成れの果てなら、本来この地にあるべきではない。
「纏めて海へ還すぜ……まずは鬱陶しい大杖を砕いてやる」
 斬り結ぶ最中、剣戟の一つが確かに杖を打ち据えた。白銀の天使を模した豪奢な杖にひびが入り、亀裂から伝わる炎熱がじわりと杖を溶かす。
「支配の力も、物理的な波であるなら念動力で干渉できないことはないでしょう……何より」
 エリーが念力を束ね、白緑色のサイキックの剣と化す。小惑星規模といえば多くは数十キロメートル未満、そのような寸法はエリーには『精々その程度』だ。
 立ち昇る剣は波長を纏い、どこまでも軽やかに伸びる。全長、天魔のおよそ十倍――遠くスペースオペラの惑星系より眺めれば、彼女の剣はカッシーニの間隙よりはっきりと見えただろう。
「杖の形を模したが最後……まぁ、余裕でぶった斬れますね?」
 重さを伴わぬ剣は易々と敵の半身を通過した。杖はおろか、握り締めた腕が泣き別れとなり、虚空にけたたましい咆哮が響き渡った。

●瓦解
 空中に自走させた|携行浮遊砲台《アルテミラ》より、無数の徹甲榴弾が降り注ぐ。天魔にまともな痛覚は備わっていないと見え、砲撃のたびに空虚な哄笑が鼓膜を揺らす。
 テリブルに倣い、カフは身に纏う黄緑色の奔流をレーザーに変え、敵の|顎《あぎと》へと叩き込む。厄介な黒雲を吐き出す箇所であるのは無論ながら、効き目があるなら柔い箇所から狙うのが定石と考えたのだ。
「損傷程度、不明。効力、未だ……」
 今一つ読みづらい敵の反応に駄目かと思い、頭部、眼球など他の弱点を探す。だが次の標的を定める前に、生み出される磁気嵐の異変にカフは気付く。雲の濃さは薄れ、垣間見える向こう側の景色。口腔内に生み出された傷が、支配の嵐の威力を弱めていた。
「……攻撃精度、低下。損傷、見込めるものと推測。全軍に通達……弱点、口腔内」
 効いている。その一言に背中を押され、下顎部から攻めていたネフラが顔を上げる。
「よかろう。先陣は務めようぞ」
 口に出せば真になるものだと、苦笑いを禁じ得ない。飛び込むチャンスがあるかは運次第だが、誰かが作らねば好機はやっては来るまい。
「眩き白金の輝きよ!」
 高貴なる白金を身に纏い、己が身を極楽鳥の花と変える。血棘の刺剣で、先ほどまでは閉ざそうとした口を今度は開いたままにすべく、飛翔の勢いも乗せて上から下へと刺し貫く。
 パウルもまた敵の後ろに回り込み、突入口を開かせようと攻撃を加える。
「よォ、隻眼に虚を突かれる気分ってどう? 眼が多けりゃ見えるってワケでもなさそうだな」
 勢いよくドリフトさせたバイクが、虚空に見えない轍を残す。手にぬらめくはキマイラの形質たる蛸の触手、先端に光るは先ほど受け止めた光弾。触手の一つ一つに宿る光弾を、返礼とばかり同等かそれ以上の勢いで続け様に放つ。
「洗脳も支配も金輪際願い下げだ! テメェの脳をテメェで焼き切ってとっとと失せなァ!」
 天魔を揺るがす、歓喜の身悶えが如き激震。剣で押し留めるネフラの間近に黒雲が弾け、ばちばちと白金のドレスを焦がした。味方を通すまでは自由にさせるものかと力を籠め、耐える頭上を幾人もの影が通過した。
「グレイス・フルムーン! 彼らの援護をお願いしますわ!」
 マシュマローネの言葉に従い、機械仕掛けの月が追走する。口腔内へ飛び込んだ味方を噛み砕かんとして閉じゆく顎を、シュクルリの魔導機関砲が次々と撃つ。
「全砲身、展開。術式、解放! いかに外殻が硬くても、口内までは装甲を備えていないでしょう……!」
 光の弾丸に背を押され、弾けるように顎の中を中枢へと駆ける。血を燃料として燃え盛るジャスパーの四肢から炎血が噴き出し、血の色の迷宮の壁を焼き焦がす。
「仕上げだ。派手に行くぜ」
 鳳が駆け、紅蓮の奔流が一拍遅れて嘗め尽くす。大焔摩天と化したウタの光刃は敵の頭蓋より突き出し、脳天唐竹割にすべく細い光が駆けた。
 独力ならそれも叶わなかったろう。塞ぎかけた傷へと、榴弾、レーザー、内からの炎熱、念動力の剣――あらゆる攻撃が怒涛のように駆け巡る。
 みしりと嫌な音を立てて肉が裂け、哄笑をあげた矢先に顎が千切れた。下顎、眼、悪魔の翼。天魔を成していた巨体のあらゆる部位が結合を解かれたように霧散する。
 クエーサービーストと同サイズを維持するのは元より無理があったのだろう。それらは筋繊維の一本に至るまで細かく分解され、虚空の中へと散っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『プリンセス・エメラルド』』

POW   :    プリンセス・エメラルド号
自身の【サイキックエナジー】を代償に、【宇宙戦艦プリンセス・エメラルド号】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【エメラルド色の破壊光線を放つ多数の砲】で戦う。
SPD   :    侵略蔵書「帝国継承規約」
自身の身長の2倍の【皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    クリスタライズ・オリジナル
自身と自身の装備、【敵に被害を与えうる、半径100m以内の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。

イラスト:鶸

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 巨体の主がいなくなったことにより、視界はただちに晴れた。
 負傷した味方へ投げ渡される、果汁の滴る黄金の林檎。癒しを得、辛うじて戦線に復帰したのも束の間、目の前の巨大漿船より交信が届く。
「まあ、もう追いつくなんて無粋な人たち。来るとは思っていましたけれど、少々死に急ぎすぎではなくて?」
 声の発信源を辿る間もなく、無数のテレポートの光が宇宙空間を満たす。
 帝国継承軍。その数、少なく見積もれど数千。無尽蔵に湧き続ける命なき|兵士《トルーパー》を肉の盾とし、翠玉の姫は戦術的優位を保つ心算のようだ。

 敵の首魁と遭遇したあなたたちは、旅立つ前にグリモア猟兵より受けた説明を思い出す。
 旗艦を護るべく配備されたプリンセス・エメラルド号は、号令を発すれば数多の緑色光線で群がる者を網目のように焼き尽くす。
 帝国継承条約により譲り受けた皇帝乗騎はワープドライブを搭載し、背後より音もなき奇襲を可能とする。
 それら兵器の脅威度を更に上げるのが碧玉の輝きだ。複雑な光学迷彩は敵兵や乗騎、宇宙戦艦すらも大宇宙と同化させ、視認をおよそ困難とする。
 猟書家はこれら手段を組み合わせ、遠間より一手先んじて放ってくる。雑兵どもに構う暇はない。効果的に兵を蹴散らして最短ルートで接近し、こちらが倒れる前に敵を討ち果たさなくてはならない。

 兵士たちが光線銃を構え、彼らの乗騎が唸りをあげる。悠長に策を練る時間はなさそうだ。
「孤独な最期を選んだものです。宇宙の藻屑と消えるにしても、ここで散っては誰も末路さえ知らないでしょうに」
 嗜虐めいた笑みを浮かべるクリスタリアンの最長老、アリスラビリンスに現れたオウガ・フォーミュラが一人。豊かなる外宇宙の安寧を守るにあたり、狙うべきは彼女、ただ一人。
「さあ、おいでなさい。結果は変わらないでしょう。どう足掻いてみせても、懐かしき故郷を手にするのは私なのですから」
 殺到する軍勢の宇宙バイクの音に混ざり、プリンセス・エメラルドの声が響いた。
テリブル・カトラリー
ウォーマシンに無粋を語る等、それこそ無粋だろう。

騎乗型浮遊砲台に乗りブースター【推力移動】
ミサイルポッドから【誘導弾一斉発射】爆炎で敵の追随を撒き、
破壊光線を【空中機動】で回避しながら光学砲【制圧射撃】で隠れた敵艦を暴き、突撃『多重武装』内部に強引に突入しUCと液体黒剣で敵艦を【解体】し【早業】合体巨大人型兵器化。

シールドを展開し光線を【盾受け】
合体した敵艦からの【情報収集】他敵艦隊を【索敵】
高速飛翔から【怪力】格闘で敵艦を破壊し、内臓武装で【砲撃範囲攻撃】
プリンセス・エメラルドを炙り出し、艦載砲で【スナイパー】
【追撃】破壊した戦艦で【なぎ払い重量攻撃】味方の居る方向へ吹き飛ばす。


カフ・リーメ
…プリンセス・エメラルド、帝国継承軍の首魁
最優先目標、殲滅開始

【星彩風】発動、進路を妨害する敵兵のみ撃墜、残りは最大速度で振り切り強行突破
皇帝乗騎によるワープ、先の私達の戦闘は分析済みと思われ、最も効果的な方法で攻撃を仕掛けてくると推測
私を狙うなら右手の銃を最も向け難い左後方から、それも陽動の可能性あり
…窮地こそ、自身の感覚を信じ行動すべき
索敵機能でも目視でもなく、こちらを排除しようとする殺気を捉え照準を補正し迎撃
奇襲を阻止、皇帝乗騎に損害を与え機動力を削ぎ、火力を集中し畳み掛ける

結果、末路、決まっているとしても、やるべきことは変わらない
帝国継承軍を、私達の敵を、速やかに確実に殲滅する


木霊・ウタ
心情
命を
命が生み出す未来を守り抜く
ここでケリをつけるぜ

対先制
光線の奔流を
爆炎の反動で瞬時に位置を変えて回避

掠らずとも
破壊エネルギーの余波だけで大怪我だろうけど
炎のバリア&大剣を重ねて防御し
怪我を瞬時に炎を物質化させて補う

戦闘
紅蓮の炎で身を包み
宙を紅に切り裂いて突撃

構えた焔摩天の刀身から爆炎を噴出させ
その勢いで錐揉み状に高速回転

焔の竜巻と化し
旗艦へ向かう道すがら
敵艦や敵機を溶解・誘爆させていく

地獄の炎の高熱で破壊光線の軌道を捻じ曲げたり
紅蓮で緑を相殺しながら
エメラルド号の砲や機関を
やはり爆発させたり溶かしたりして
空いた穴から艦内に突入

内部にも同様に炎でダメージを与えながら
プリンセスの許へ

宇宙には沢山の命が満ちている
命の重みが判らない奴が
宇宙を統べられるわけないだろ
自分しか見えてないあんたは
器が小さいんだよ
過去の化身に言っても無駄だろうけど

獄炎纏う焔摩天の攻撃で
姫の体も溶かし罅を入れて
内包された超能力エネルギーを漏れさせ弱体化
そのまま紅蓮の渦で燃やし尽くす

事後 
鎮魂曲を宇宙に響かせる
安らかに


マシュマローネ・アラモード
【エイリアンツアーズ】

ようやくお出ましですわね!
『準備万端』というのが貴女の仇となる事、心得ておきなさい!

戦艦群の射撃、権能斥力の吹き飛ばしと推力移動で急速接近、窮地のひらめきにより、自身への斥力により急速旋回、立体機動による捨て身の回避を。

ジャスパーさんの炎が敵を炙り出していますわね……!
先制攻撃でこちらの先手を取ったつもりでしょうが、権能斥力の本懐は『反射』、今までに貴女が放った尖兵の一撃も含めて……今こそお返しします!
UC、叛逆の黄金回転は充分に力を蓄えておりますわ!
一撃限りの大技という代償はありますが、パウルさんを無視してこれますか?
チェックメイト!ここで帝国の野望は潰えますわ!


シュクルリ・シュクルグラッセ
オブリビオンとして蘇った貴女が永遠不変?
ジョークにしては上出来でしょう

先制攻撃に対し、私はオーラ防御による迷彩で闇に紛れこみ、ジグザグ航行。正確な位置は狙わせません

数が多いほど、連携するには通信が必要不可欠
プリンセスの位置はレーダーによる索敵。メカニックとして敵艦隊へのハッキングし、情報収集
敵の動きを予測し、最短ルートの予想。それは敵の誘導と考え、そのルートを狙える位置にプリンセス・エメラルドがいると絞って情報収集
見えずとも、得た情報から攻撃を予測。オーラ防御で受け流します!

輝きは輝きを以て、相殺します
ミラーリングコートによる鏡面加工で光を反射し、ミレナリオ・リフレクションで暴き出しましょう!


ネフラ・ノーヴァ
急ぐべきは長老様のご引退だ。さあ、早々に隠居されるが良かろう。

数ばかりは邪魔な量をそろえたものだ。だが所詮は烏合というもの。
そして透明となれどこちらもクリスタリアン、クリスタライズの特性は熟知している。音や温度を探知する爆裂結晶で対応しよう。機械の発する熱など狙ってくださいと言っているようなものだ。動けなくなったところを刺剣で貫き止めを刺していく。

可能であれば翠玉の君の胸郭めがけて刺剣の一閃を見舞おう。美しく散るが良い。


ジャスパー・ドゥルジー
【エイリアンツアーズ】
ついに出て来やがったな
この世界を危機にさらされたパウルとマシュマローネの恨みに
|故郷《アリラビ》で好き勝手された俺の恨み
きーっちり晴らさせてもらおうぜ

【ゲヘナの紅】の炎を空間中に撒き散らす
俺の傷と怒りを燃料に燃える炎だ
最初からフルマックスで行くぜ

どんなに透明化してようが
こんだけ火ィ噴いてりゃ炙り出せる
でけェ塊がある筈だ
エメラルド号か、皇帝乗騎に乗った本人か
どっちみち二人や他の猟兵達にぶっ壊して貰えばいい
狙いが定まったら俺の炎も一点集中
|相棒《ジャバウォック》の炎は鉱物だって溶かしちまうぜ


神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

うん、やっと個人的な理由を目の前に出来ました。
後は、それを果たすためにも……これを凌がなきゃですね

(キャバリアを呼び出し、今回も強力な攻撃に絞って回避して、避けれない攻撃はキャバリアに受け止めて貰う。ショットガンの迎撃もしながら、被害を抑える。不可視攻撃には最悪UCが使えるまで即死してなければいいと言う気持ちで避ける部位をさらに絞って対応)

……苛烈でしたね
ボロボロにされちゃいましたが、まだこれからですよ。

(UCを使用。失った部位と機能を植物達で代用し、さらにそこから全身を食物達で何重にも包み込み、一匹の巨大な生物のようになるまで肥大していく)

では、いきますね

(巨体による一撃に加え、叩きつけた部位から敵を植物体の中に飲み込み、植物体の内部で捕食。攻撃を受けても、新たな植物で補強して)

このまま……飲み込んであげます
覆い尽くされて喰われてください

(植物の巨体で押しつぶすように植物体の中に飲み込み、隷属化の力も使って、内部でエメラルドを食い潰そうとして)


パウル・ブラフマン
【エイリアンツアーズ】
エイツア有志による怒りの鉄拳をお見舞いするよ!

ジャスパーの炙り出し作戦開始後に
Glanzに搭載したサーモカメラを起動。
より正確に敵位置を割り出したら、すかさず周囲の味方に伝達を。

マロちゃんの【カウンター】と同時に
クロスするように皇帝乗騎の背面へと移動しながら―UC発動!
機動力爆上げの【スライディング】からの【なぎ払い】で
UターンしながらKrakeで『皇帝乗騎』を集中砲火。
生命力共有してんならデケェ的から落とすわ!

【コミュ力】を活かして他猟兵さんからも【情報収集】し
オレ自身も観察して『皇帝乗騎』の弱点箇所を割出し猛攻を。
ざァんねん、テメェは藻屑レベルもこの宇宙に遺せねェよ。


エリー・マイヤー
最長老なのにプリンセスを自称するとは、なんという年甲斐のなさ。
さすがは猟書家、恐ろしい度胸です。
私にはとても真似できません。

…さて、くだらないこと言ってないで戦いますか。
先制攻撃がワープしてきて見えないんでしたっけ?
とりあえず全方向に念動力で障壁を作っておいて、
障壁が破られたのを察知したら全力で回避ですかね。
ついでに不規則なジグザグ移動をして、狙いをつけ辛くしときましょう。

さて、漿船に皇帝乗騎。
どちらも、サイキックエナジーが動力のやつですよね。
それなら【念動ジャック】で制御を奪って、
同士討ちさせる方向で行きましょうか。
適当に暴れさせて増援を潰させて、
最後は特攻させて自爆装置でどかーんで。



●星の海
 星々の静寂に満ちる暗黒物質。光の粒子も音の震えも全てを吸い込み、艦隊とこちらの間を繋ぐものは闇以外にない。
 真空にほど近い空間を圧を伴って埋める、兵士たちの影。銀河帝国の残党はいまやかき集めでなく、統率のとれた一軍となって目の前に立ちはだかる。
「無粋……か。ウォーマシンに無粋を語る等、それこそ無粋だろう」
 姫にテリブル・カトラリーの返した言葉は、これきりとなった。戦闘用の機械として生み出された彼女には戦いに身を置くことが存在の意義で、猟兵の側に立って戦う今は帝国継承軍といえど排除対象に他ならない。
「ついに……ここまで来ました。プリンセス・エメラルド……帝国継承軍の首魁」
 カフ・リーメのフィルムスーツが緑の燐光を纏い、宙に浮く制御パネルを形作る。これまでの戦闘の情報が既に敵に伝わっているものとするなら、裏の裏まで読み切らねばならない。
「……最優先目標、殲滅開始」
 断続的なパルス信号が弾けるのが遠目にも見えた。散らばる敵影、個々の軌道。疎らに、間断なく襲い来る敵に紛れて、敵の首魁は狡猾にも姿を隠し、首筋を断ち切らんとしてくるだろう。
「散開……集中砲火!」
 兵の一人がカフのいた空間へと奇襲をかけた。躱された兵士は瞬く間に散り、その屍に目を向ける事なく次なるフォースブレイドの刃が差し向けられた。

   ◇    ◇    ◇

 念力の障壁を張り終えたエリー・マイヤーの軽口が、虚空に響く。
「最長老なのにプリンセスを自称するとは、なんという年甲斐のなさ」
 障壁が一つ、早くも破られた。突入箇所、α-312星雲の方角より後頸部にかけて――|念力膜《バリア》の損傷、甚大。すかさず襲い来る不可視の乗騎を、超感覚だけを頼りに間一髪躱す。
「私にはとても真似できません……さすがは猟書家、恐ろしい度胸です」
 聞こえているなら届けと嫌味たらしく、肩を竦めての言葉は虚空に舞うのみ。続く追撃の狙いを逸らすべく蛇行して駆け、全方位へ障壁を張り直す。
「オブリビオンとして蘇った貴女が永遠不変? ジョークにしては上出来でしょう」
 光学迷彩によって身を隠す、シュクルリ・シュクルグラッセの居所を知らせるものは響く声のみ。彼女だけではない、視認困難な敵の位置を暴こうと策を講じている者は既に何名もいた。その努力を嘲笑うように襲い来る敵の飛翔、即時離脱。どうやらこちらに策を打つ時間を取らせないつもりと見える。
「よォ、隠れんぼにしちゃつまらないねェ。いっぺんぐらい面ァ拝ませるもンだぜ、フツー」
 パウル・ブラフマンの放つエネルギー弾は宙を掠め、サーモカメラに過ぎった影は瞬く間に消えた。牽制程度になりこそすれど、一方的にやられるのは面白くもない。
「マ、顔出したら蜂の巣にすンだけどよォ!」
 腹いせに帝国兵のヘルメットを立て続けに撃てば、貯め込んだエアが吐き出され苦しげな窒息の呻きが聞こえた。一度死んだ身で二度目を味わうなど贅沢な話だが、侵略者にかける情けは持ち合わせていない。
「ようやくお出ましになったと言いますのに……!」
 エメラルドの駆る乗騎の位置を捉え損ね、マシュマローネ・アラモードは兵士たちを打ち据えながら歯噛みする。敵艦群が密集していれば権能も使えようが、今はどうやらその時ではない。
「やれ、数ばかりは邪魔な量を揃えたものだ。だが所詮は烏合の衆というもの」
 ネフラ・ノーヴァの緑の眼が、星間に僅かなゆらめきを捉えた。同じクリスタリアンであるならば、クリスタライズの特質もよく心得ている。
「機械の発する熱など、狙ってくださいと言うようなものだ」
 ネフラの周囲に全方位を取りまくように並べられる、探知型の爆裂結晶。姿が見えずとも熱や音を発するなら、この結晶の網を掻い潜れるはずもない。
「長老様の引退だ、早々に隠居されるが良かろう……!」
 何者かが圏内に踏み入り、煌めく結晶が続けざまに爆ぜた。航路を彩る紅蓮の噴煙。その中に浮かび上がる一兵卒の影を見、ネフラは血相を変えた。
「囮か……!」
 果てる兵士をそのままに、結晶の網を張り直しながら視線を巡らせる。結晶濃度の薄まる航路を駆ける先、敵の行く手にはカフの姿。
「奇襲だ、避けろ!!」
 声に反応した少女は銃を握りしめ、限界まで動きを堪えた。真に狙うべきは敵の首魁、この場において最も阻止すべき行動をとる者。
「……そこ、殺気が漏れてる」
 レーザーの眩い新緑が捉えたのは、カフでなくシュクルリを襲う影。緑の明滅が虚空を焼き、乗騎に乗るエメラルドの肢体を露わにした。自分を襲う帝国兵を捨て置き、索敵を担うシュクルリをレーザーの射出で守り切る。駆け引きには勝った。戦いの高揚は冷めやらぬまま、砕ける左手の情報端末を見る。
 仲間が何事かを叫んだ。受信端末の不調か、届く声の通信はノイズ塗れだ。
 キャバリアを駆り、神咲・七十が敵に向かうのが見えた。被害を微塵も怖れぬ捨て身の猛攻は、自分の代わりに怒ってくれているようにも見えた。
 何、通信がやられただけだ。すぐ回復するだろう。心配は要らない――安心させるよう、カフは宇宙服の内側で笑みの形に唇を結んだ。

●漁火
 姫がサイキックエナジーを解き放つのと同時、呼応するように巨大戦艦が姿を現した。
 不可視の攻撃だけでは分が悪いと見たのだろう。呼び寄せた宇宙戦艦エメラルド号は漿船を庇うように船体を翳し、無数の砲門をこちらへ向けている。
 あの時、あの場所で仕留めておくべきだった。ジャスパー・ドゥルジーはアリスラビリンスでの邂逅を思い返し、煮え滾る臓腑を炎で諫める。
「……あんたにゃ一つ、罪状を追加しなきゃな」
 こうした局面に出会うたび、見目によらず義理堅い性格だと自覚する。銀河帝国に利用され続けた相方だけでない。仲間を傷つけたとあれば、独占欲の権化たる己に怒りを抑える道理はない。
「この世界を危機に晒されたパウルとマシュマローネの恨みに、故郷で好き勝手された俺の恨み……それから、味方のお嬢さんを危険に晒した恨み。きーっちり晴らさせてもらおうぜ」
 瞬間、宇宙の温度とは真逆の高熱の炎が吹き荒れる。これまでに受けた傷や痛み、一切合切を焼く焔は空を彩り、何もない空間を焼いて紅に染める。
 大宇宙の色が緑以外に染まるのを嫌ってか、味方の一人ひとりへ向け収束するレーザーの集中砲火。爆炎の噴射でその網を掻い潜りながら、木霊・ウタは焔摩天の刀身を振り抜く。
「命を……命が生み出す未来を潰えさせるものか。いい加減、ケリをつけるぜ」
 レーザーの波を泳ぐように間隙を縫い、怪我を顧みずに光の奔流に飛び込む。肉体のいたる所が緑の輝きに飲まれて欠け落ちたが、欠損した部位はすぐに紅蓮の焔が埋め尽くす。
 体内を駆け巡る破壊エネルギーを打ち消す、地獄の炎。生命とは真逆にも思える熾烈な力を、ウタは炎に命ぜられるままに使いこなす。
 バリアが弾け、大剣でも防ぎ切れない衝撃が身を伝う。まだだ……まだ獄炎は尽きず、焔摩天も砕けていない。僅かな前進の好機を狙っては、焔の竜巻として旗艦の元へと駆けていく。
 テリブルの|浮遊砲台《ロートレック》が蒼炎を噴き上げ、敵の元へと直進する。ミサイルポッドから放つ誘導弾で敵の照準を誤魔化し、駆け抜けた後をレーザーの集中砲火が埋め尽くす。
 群がろうとした敵兵が無残にも焼かれ、大宇宙の塵と化した。元より死した者に恐怖は無いのか、ウォーマシンさながらに捨て身の猛攻を仕掛ける雑兵たち。その悉くを制圧射撃で撃ち払い、テリブルのマシンはいっそう甲高い駆動音を奏でる。
「……」
 銀河皇帝の時代には決して拓けることのなかった|未踏宙域《フロンティア》を見た。それが鋼鉄の心臓にどれ程響いたか等、表す言葉をテリブルは持たない。
 ただ、この者達は滅んだ帝国にはなかった可能性を秘めている。己の演算能力をもってしても未知数の猟兵達に背を押され、宇宙に生きる民たちは着実に前人未到の域へと歩みを進めている。
 全身を次々と無骨な兵装が覆い、更にその上を|多重装甲《オーバーコート》で埋め尽くす。機動性を担保する関節部位はそのままに、持てる限りの武器を取り込み、機神と化す。
 敵艦の外壁へ、楔を打ち込むようにテリブルの体が穴を穿った。そのまま彼女は出てくる事なく、自動修復を遂げる敵艦内部へと吸い込まれていった。

   ◇    ◇    ◇

 次々とキャバリアの装甲が剥がれ、レーザーの中に焼き切れるのを見送った。読み切れた乗騎の軌道へとショットガンを放ち、大破だけは免れていている。
 これほどまでにリスクを冒して突き進む七十の胸には、ある執念じみた考えがある。
「やっと……目の前に。探し求めた力に出会えたんです」
 万花変生、屈伏させた敵を召喚対象とする禁忌にも等しきユーベルコード。仮にこの力をもって猟書家を喰らえたのなら、戦力増強になるのではと目論んだのだ。
 流石に敵は強大、無傷と行かないばかりか機体は悲鳴を上げている。死ななければそれで佳いと割り切り、捕食機能の核を成す植物の格納庫を重点的に守って突き進む。
 泣き別れした機械の腕が虚空に消え、既に機体は火達磨だ。隕石の如く燃え盛りながら、敵艦へ向け虚空を進む。
 燃えているのは七十だけではない。憤怒の焔を糧として、ジャスパーが再度潜行した敵艦の位置を割り出そうと宇宙空間に炎を広げている。
(「どんなに透明化してようが、こんだけ火ィ噴いてりゃ炙り出せる」)
 炎の網はいい加減敵を捉えそうなものだが、レーザーの射出方角は刻一刻と変わり掴みどころがない。ステルス機能で巨体を隠し、また別な方角から砲撃を浴びせてくる。
(「落ち着いて探すのよ……数が多いほど、連携するには通信が不可欠」)
 シュクルリが操る魔導操作盤に、敵の放つパルス信号の解析結果がもたらされる。敵艦隊が姫のエメラルド号に協力しているなら、何かしらの合図を送っている筈だ。
(「……ビンゴ! でも待って、おかしい」)
 敵艦の配備が読めた――早合点しかけるも、明らかに妙だ。こちらの突出を誘うように敷かれた陣は明らかに、分断と各個撃破を狙うもの。
「レーザーの方角は囮です! プリンセス・エメラルド号は反射板で位置を誤魔化しています!」
 シュクルリの放つ、信号弾が虚空を駆ける。何もなく思えた空間に、よく見れば僅かに歪曲した星々の光が垣間見えた。
「よく見つけ出して下さいましたの! 位置さえ掴めば、あとは……」
 マシュマローネの振りかぶる槌が、手近な戦艦を捉えた。槌に籠められた斥力の権能は艦を遠くへ弾き飛ばし、そのまま艦隊同士を擦り合わせながら巻き込んでいく。
「モワ、わたくしの斥力の権能を甘くみないで下さいまし! この宇宙にあって止められる者は何人たりともいませんわ!」
 透化し見えなくなっていた筈の船体がひしゃげ、轟音を立てた。更におまけとばかり、エリーの放ったサイキックが付近の艦の制御を奪い、ぶつけていく。
「同士討ちとか、軍の規律がなってないですね。おととい来やがれ、です」
 次々と爆ぜる、連鎖爆発の炎。宇宙戦艦エメラルド号は姫を守り切る事叶わず、志半ばにその役目を終えた。

●翠、散る
 大破した戦艦エメラルド号に比べれば、全貌を露わにした旗艦漿船は幾分小ぶりにも思えた。何せ戦艦の影に隠れていたのだ、艦の性能はまだしもあれより大きい事はあり得ない。
 ソング・オブ・オーンブルより、惑うような声の交信が届く。
「本当に解らない子たちね……この世界で生まれ、いまや永久不変。この私を差し置いて銀河を統べる者など、後にも先にもいないというのに」
「わからないのはどっちだ? あんたこそ、何も見ちゃいないぜ」
 紅蓮の炎に身を包みながら、ウタの声が静かに世の理を説く。
「宇宙には沢山の命が満ちている。命の重みが判らない奴が、宇宙を統べられるわけないだろ」
 紅蓮の旋風は錐状に尖り、いまや焔の竜巻となった。道中に浮かぶ敵艦、残骸。その全てを融解させ、螺旋を描きながら突入する。
「自分しか見えてないあんたは器が小さいんだよ。過去の化身に言っても無駄だろうけど」
「……発言を許せば、くだらぬ戯言を」
 可哀想に、との言は終ぞ出なかった。この姫に至っては憐れむ気持ちにもなれない。骸の海から懲りずに出てくるなら、出てこなくなるまで後悔を刻むまで……己にあるのは諫める義務だけだ。
 獄炎の虹がアーチを広げ、晶石でできた船を真紅に彩る。それだけではまだ破壊に足らぬ外壁へ、遠方より無数の砲撃が降り注ぐ。
「……っと、ありゃすげえな! 敵艦を丸ごと取り込んだのか」
 こちらへ砲塔を向ける巨大戦艦には敵の装備も残っていたが、基幹部分の意匠を見ればテリブルのものだと解る。帝国残党の艦隊はいつの間にかテリブル一人が平らげ、この場に注ぐ援護射撃はいまや味方のものだけだ。
 猛進する巨大な影が追突し、漿船内部へ潜り込ませた砲塔が幾度も激しく火を噴いた。艦内の損害は甚大と見えて、剥き身のエメラルドが漿船の外に姿を現した。

   ◇    ◇    ◇

 往生際が悪いとはこの事か。居並ぶ猟兵たちを前にしても、プリンセス・エメラルドはいまだ撤退の動きを見せなかった。
「艦隊はおろか、ソング・オブ・オーンブル号まで壊滅させたことは褒めて差し上げましょう。ですが、万策尽きたわけでもない……集いなさい、兵士たちよ」
 翡翠の輝きが虚空に散り、遠くの宇宙空間に弾けるのが見えた。姫の招集能力は文字通り無尽蔵、放置すれば再度同じような兵団を組織し、艦隊までも呼び寄せるだろう。
「させません」
「なら、やってみなさい!」
 カフの放つレーザーをクリスタルの瞬きで躱し、翠玉の姫は徹底して時間を稼ぐ構えを見せる。戦艦も潰えたが、乗騎と侵略蔵書はいまだ健在。兵団が到達するまで持てる力を守りに向けられれば、猟兵といえど先行きは不明だ。
「厄介な力、ですが……防戦に回った以上は余裕もないはず。やっとこれで、叶いますね」
 七十が機体レバーを深く押し込み、キャバリア諸共突進を見舞う。機体中枢に据えたのは新緑の輝き、あらゆるものを捕食する攻勢植物の顎。
「このまま……飲み込んであげます。覆い尽くされて……喰われてください」
「冗談を!」
 瞬時に放ったサイキックエナジーの奔流がキャバリアの機体を飲み込んだ。手練のフォースナイトにも等しき制圧力を、翠玉の姫は惜しまず注ぎ込む。
「……あと一歩、なのに」
 機体ごと圧し潰されかけた巻き込まれかけた七十を、すんでのところでネフラが救い出す。宇宙服を着ていて命に別状はないが、受けた傷から戦闘不能と見るほかない。
「間一髪だったな……さて、もう逃れる場所はないぞ」
 キャバリアと斬り結ぶ合間に、球状に覆うように築かれた包囲網。骸の海より兵士を呼び寄せようとも、その前に決着をつければこちらの勝ちだ。
「どこまでも邪魔する気ですか……その執念深さ、書架の王にも見倣わせたいぐらいです」
「褒め言葉としてとっとくがよォ、もうちと気の利いた言葉選んどきゃいいんじゃねーの?」
 パウルの噴かすバイクの残光が尾を引き、流線形へと変形を遂げながら皇帝乗騎の背後に回り込む。敵は再度輝きに身を隠そうとしていたが、ここまで機動力を奪った今なら位置などサーモカメラで丸見えだ。
「何せエイツア有志の鉄拳が乱れ飛ぶンだ、どれが辞世の句になるかも判んねェんだからよォ……マロちゃん!」
「モワ!」
 ブレーキペダルを踏み、音もなくバイクを滑らせながらKrakeの|砲身《バレル》を掲げる。対岸に回り込む皇女がラヴィアラモードの形態を変え、螺旋を描いてエネルギーを収束させるのが見えた。
「斥力の本懐は『反射』、今までに貴女が向けた数々の敵意……今こそお返しします!」
 黄金の回転は姫の乗騎に吸い込まれ、内より膨れ上がる圧力に装甲が爆ぜた。急ぎ飛び退く翠玉の姫、その背中に四連の弾丸が叩き込まれ、続いて乗騎の破片が敵を襲う。
「それがどうしたというのです。まだ皇帝乗騎は動、――」
「動かねーですよ。がっちりロックしてますから」
 冷めた声で呼びかけるエリーの目は、青白く光っていた。迸るサイキックエナジーによるものだ――見た目が不気味になるのも怖れず投じた念動力は、皇帝乗騎の指揮系統をも上書きした。
「で、どーですかね。宇宙で死因が交通事故っつーのも、滑稽で悪くねーかと」
 意地悪く走らせた乗騎は瞬く間に姫を轢き、そのまま艦隊の残骸まで突っ走って砕け、|鉄屑《デブリ》の上に最後の轍を残した。
「いいえ、まだ……まだです。私は、諦めません」
 再び、今度は身一つで結晶の輝きを纏うプリンセス・エメラルド。緑色に透いた美しい肢体が徐々に薄れ、間もなく姿を消す間際の事だった。
「ならば貴女が折れるまで戦いましょう……輝きは、輝きを以て打ち消すだけのこと!」
 既に幾度も見たクリスタライズの輝きは、精巧に造られたミレナリィ・ドールにとっては玩具も同然だった。構造を解析するまでもなく、シュクルリの放つ光は光学ジャマーとしてエメラルドの輝きを打ち消していく。
「な……!」
「結果、末路……たとえ決まっていたとしても、やるべきことは変わらない。何より、今決定権があるのは……こちら」
 カフの熱線銃が網目のように飛び交い、翠玉の姫を追い詰める。行き着く先は袋小路、全ての攻撃が交差する臨終の地。
「帝国継承軍……さらば、です」
 緑の高出力レーザーが糸を引き、エメラルドの豊かな胸元に吸い込まれた。動きを止めた姫を気遣う事もなく、怒号を散らすが如きテリブルの艦載砲が次々と着弾する。
 魔炎竜の炎が、紅蓮の渦が舞った。剣の刺突が貫いた。念動力の剣が翻り、機械式の槌と交差して引き千切る。
 割れ、散り、虚空に緑の煌めきが広がる。悪しき命だったものの輝きが、大宇宙の星々の色に溶けていく。
「……嗚呼、言い忘れたが事後承諾ってことで。テメェは藻屑レベルもこの宇宙に遺せねェよ」
 それら結晶が完膚なきまでに砕かれ、骸の海へ送られてしばらくの後。やっと思い出したように、パウルはつけ加えたのだった。

●無辺の宙
 急ぎ、駆けてきたこれまでを思えば、帰りの航路は静かすぎて妙な気分だ。
 プリンセス・エメラルド強襲の報を聞き、碌な準備もないまま来たのだ。
 傷の手当以外何もすることのない帰路は、嫌でもいろいろな事を考えさせられる。

 銀の雨降り、月の光輝く世界。あちらの戦いも今頃は、ひと段落ついているだろうか。
 同じように翠玉の姫を討った仲間も、じきに帰還する頃合いだろう。

 母なる星を求め、旅する時代は終わった。
 今やこの宇宙の世界は、遠く辺境まで広がる大航海時代を迎えている。
 それでも……全ての者が、新たに移り住む土地を見つけたわけではない。
 無限に広がりゆく大宇宙。世界を巡る戦いは、まだ始まったばかりなのだ。

 小型宇宙船の内部に、ギターの調べと共に鎮魂歌が響く。
 ある者は旅団の仲間の健闘を称え、ある者は静かに星々を眺め。
 感傷に浸ることに興味がなければ、次の戦いに備える者もいただろう。

 翠玉の姫が何を見、目指したのか――いまとなっては分からない。
 或いは我々より先に見果てぬフロンティアを見て、その光景に夢見たのかもしれぬ。

 今言える、たった一つの確かな事は。
 宇宙は誰か一人の手に渡るにはあまりに広く、不釣り合いという事だけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月24日


挿絵イラスト