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第二次聖杯戦争⑯〜わんわんワールドwithフェンリル

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #フェンリルを統べる者

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「お疲れ様ですの。次に出向いて欲しい場所をお伝えしたいのですがー……わんちゃんが1人で佇んでますの」

 どうしたものかと首を傾げつつ、エミーリア・アーベントロート(|毒吐き淑女《Poison Lady》・f35788)は次に出向いて欲しい先――石川県庁で見えた予知について解説する。

 石川県庁の前で、ぽつんと佇む1匹のゴーストウルフ。その名は『震えるミント』。
 知る人は知っているであろう、弱そうに見えるゴーストウルフなのだが……銀色の雨時代に偶然生き延びたことでオブリビオンとなった今も何故だかオブリビオンに慕われ続けている存在。
 しかしそのカリスマ性っぽい何かをハビタント・フォーミュラに目をつけられており、無理矢理「魔狼フェンリルの召喚術」のユーベルコードを移植されてフェンリルの統率者として仕立て上げられたそうだ。

「夢の中でリアが近づくと、あっという間にフェンリルがたくさん呼ばれてしまって大変でしたの~。どうやら誰かが近づくことで起動する術式みたいですの~」
「もしそのまま放っておくとフェンリルが蹂躙、ミントがぷるぷるで大変になりそうですの。なので、皆さんにやってほしいことであるですの!」

 エミーリアがいうやってほしいこと。それは『ミントの頭上に出来た魔力の渦を断つ』こと。
 その渦がある限り、ミントの許可なくフェンリルは勝手に召喚され続けてしまって大惨事へと発展する。
 故に、超巨体のフェンリルの群れをうまく躱しながらミントを倒す、あるいは魔力の渦を断つことでフェンリルへのパワー供給を止めるのが今回の目的となるという。

「とにかくまずはフェンリルの群れをどうにかしてミントに近づくですの。それから対処しちゃってくださいな~」
「あ、ちなみに渦を断ったらミントは逃げ出すみたいなので、その辺も考えつつ動くと良いですの~」

 ほわほわのんびり、エミーリアは手を差し伸べて猟兵達を送り込む。

 ――超巨大わんちゃんワールドへ。


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 可愛い~って思ったけど敵なんだよなぁ……。

 初めての方はMSページを読んで頂ければと思います。
 また、MS自身は「シルバーレイン未履修」なので、それを踏まえてのプレイング送信をお願いします。
 過去作の話が入る場合には流してしまう可能性が高いです。

●採用について
 「シナリオの成功数に到達する🔵の確保が確定した時点」で締め切ります。
 採用についてですが、現時点では全員採用を目標にしています。
 ただし、スケジュールの調整、人数や内容によっては採用の確約が出来ません。
 また採用が難しいと判断したプレイングはお返し致しますのでご了承ください。

●場所:石川県庁前
 猟兵が近づいた瞬間に大量の巨体フェンリルによって囲まれます。
 キャバリア使用可能、飛翔問題なしで可能。

●プレイングボーナス:フェンリルの群れに対処する。
 ミントの意思とは関係なく、フェンリルの群れが一瞬にして召喚されます。
 召喚されたその時から、牙とか爪とかで猟兵達に襲いかかってきますのでご注意下さい。

 皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
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第1章 ボス戦 『フェンリルを統べる者『震えるミント』』

POW   :    なぜかフェンリルに慕われている
【魔狼フェンリル】を召喚する。騎乗すると【フェンリルの毛並みに隠れた】状態となり、【フェンリル頼みのパワー】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD   :    けなげっぽい目で見つめて噛み付く
【かみつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    くぅ〜ん、きゃんきゃん!
自身が【ぷるぷる不安な気持ち】を感じると、レベル×1体の【魔狼フェンリル】が召喚される。魔狼フェンリルはぷるぷる不安な気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:吉希

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
きゃわっ…
っとと、ときめいてる場合じゃなかった

翼の【空中戦】での回避と
杖を攻撃をいなすための盾代わりに
自分に【オーラ防御】を纏い
【催眠術】を乗せた【歌唱】を奏でる
狼は耳が良いし、周りのフェンリルだけでも動きを鈍らせたい
寝てくれたらラッキーだけど
ついでに僕の魔力を宿した★飴をばら撒いて
【高速詠唱】で植物魔法の【属性攻撃】
飴から急速発芽させた蔦でフェンリル達を捕らえたい
その隙にミントさんに近づき

怖がらせてごめんね

お詫びも兼ねて飴一粒プレゼント
食べても害はないよ
食べてくれなくても仕方ないけど

渦ってどんな攻撃でも効くのかな…
【指定UC】で狙い撃ち

※余裕があれば一瞬でももふりたいです怪我も覚悟のうえです



●可愛いと怖いなら可愛いがいい
「きゃわっ……」
 何かを言いかけて、首をブンブンと横に振った栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。県庁前で静かにぷるぷると震えているゴーストウルフのミントにときめいていたのだが、今はそんな場合じゃない! と自分の気持ちを切り替える。
 というのも、県庁前は現在ミントの意思と関係なく呼び寄せられたフェンリルの群れによって取り囲まれており、澪はそれらを対処するために空を飛んで様子を伺っていた。
 巨体のフェンリル群は何度も跳んでは脚を伸ばし、澪を地上へ叩き落とそうと画策する。玩具を見つけた大きな犬が遊んでいるという様相に、ミントは追加でぷるぷると震えた。
「きゃわっっ……んんっ、いやいや集中しないと……」
 思わずまた言いそうになった言葉を飲み込んで、フェンリル達を背後にどうするかを考える澪。あれよこれよと考えた中から澪が選んだのは、歌で動きを封じる作戦だった。
「少し、眠っていてもらおうかな!」
 催眠術を練り込んだ歌唱技術を披露して、背後から追いかけてくるフェンリルの足を鈍らせつつ……こっそりとCandy popの中からぱらぱらと魔力を含んだ飴を撒き散らし、歌唱の中に詠唱を加えつつ飴に魔力を与えていく。
 与えられた魔力は植物を発芽させる力。飴を種として生えてきた巨大植物の蔦は瞬く間に召喚されたフェンリル達の足を絡め、動きを封じていく。
 いくつかの蔦はフェンリルの破壊エネルギーによって破壊されたが、澪の魔力を含んだ飴は次々に新たな蔦を作り出し、同じようにフェンリル達を絡め取り捕らえていった。

「ふう……もう大丈夫だよ。怖がらせてごめんね?」
 フェンリルの動きを封じ込めた後、ミントへと近づいた澪。
 突然やって来た見知らぬ相手にまたもぷるぷると震えるミントだったが、澪はそっと飴を差し出して敵ではないことを示す。
「食べれるかな? 食べても害はないから安心してね」
 優しげな言葉と裏腹に、澪が見つめるのはミントの頭上に出来ている魔力の渦。
 それをユーベルコード『Orage de fleurs』で生まれた花嵐で狙い撃ちし、絶大なダメージを与える。
 魔力の嵐は完全に動かなくなった訳では無いが、一時的に効力を失ったようだ。

「…………ちょっとくらいいいかな?」
 きょろきょろと辺りを見渡して、誰も見てないことを確認した澪。
 優しく、こっそりとミントをもふもふしておいたとさ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎

ふーむ、ミント……。
オブリビオンとはいえ、ハビタント・フォーミュラのせいで無理やり戦場に立たされているとは……。
戦意のない方を蹂躙するのはあまり好みではないデース……。
ので、我輩は魔力の渦を狙いマース!

襲い来るフェンリルの群れは、強行突破!
滑走靴による空中機動で駆け抜け、迫る爪牙はファルシオンで受け流し!
HAHAHA! 渦へ向けて飛翔しマース!

さて、魔力にどのように干渉するか。
腕に着けるは、以前アルダワ学園にて零時殿と一緒に作り上げた魔道具『生命の水輪』。
武器という訳ではありマセンガ……魔力に干渉する力を貸してくだサーイ!
「六式武装展開、光の番!」
渦を吹き飛ばしマース!



●一点、強行突破!
「ふーむ、ミント……オブリビオンとはいえ、ハビタント・フォーミュラのせいで無理矢理戦場に立たされているとは……」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は眉を顰める。フェンリルを総べる者として認定されてしまったゴーストウルフのミントは、ただただぷるぷると震えるだけで戦意は全く見当たらない。
 戦意のない相手と戦うのは少々気が引けるタイプのバルタン。そこで彼女は、フェンリルを呼び出す元となっている魔力の渦を重点的に狙うことにした。

 既に先んじて魔力の渦に狙いをつけていた猟兵がいたため、渦の流れは少々変わってきている。
 呼び出されたフェンリルの身体も巨体のままではあるが、数が少なくなり始めていた。
「HAHAHA! この数であれば強行突破で問題なさそうデース!」
 陸海空対応型滑走靴を用いて空を飛び、フェンリルの脚から逃れていくバルタン。その様相はまるで玩具を追いかける大量の犬のような光景だが、むしろそれを彼女は楽しんでいる様子。
 全てのフェンリルを自身の後ろで走らせたことを確認し、迫るフェンリル達の中からミントをあぶり出したバルタンは魔力の渦を再確認し、アルダワ学園にて作り上げたが一番いいだろうということで用意した魔道具――|生命の水輪《アクア・ヴィテ》を腕に装着。
「武器というわけではありマセンガ……魔力に干渉する力を貸してくだサーイ!」
 装着した|生命の水輪《アクア・ヴィテ》に魔力がチャージされる一方で、ファルシオン風サムライソードを構えたバルタン。完全に魔力が溜まりきったところでユーベルコード『光芒一閃』と組み合わせ、絶大な魔力を含んだ光り輝く斬撃を放つ。
 ミントは突然の光に驚き足がすくんでしまって動けず、眩しくて目を閉じる。その間に魔力の渦が斬撃によって大ダメージを受け、一時的な停止状態へと陥った。

「あとは……」
 ちらりとフェンリルに目を向けたバルタンは、光によって目潰しを食らった彼らに気づかれないようにゆっくりと戦場から離脱していく。
 ユーベルコードの反動でバルタンは既に戦闘を行えない。故に、気づかれずにその場を脱する必要があったのだ。

 あと少し。もう少し。
 残る|仲間《猟兵》達が渦を壊すと信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブ絡み歓迎

震えるミントさん、怯えてるから震えてるんだね…
オブリビオンでも、それは助けてあげたいね
でも、あのフェンリルの数は…、さすがに結界で防ぎ切れなさそうなの
なら、別の手段なの
UC発動
魔術陣の首輪と魔術回路の鎖で縛られた狼に変身
怖がってる相手を助けられるなら、少しぼくの時間をあげるの

結界を周囲に張って中を満月の魔力で満たすよ
お月さまには手が届かないでしょ?
フェンリルのエネルギーを別所に逸らし、ぼくの位置を偽装する結界なの
でも長くは持たない
渦に一撃だけでも!

逸らしたフェンリルのエネルギーを収束、遠吠えと共に渦へ射出するの
こんなもので怖がらせて、許さないの

でも、引き際は見誤らないの



●どんなに手を伸ばしても月には届かず
「震えるミントさん、怯えてるから震えてるんだね……。オブリビオンでも、それは助けてあげたい……」
 拳を握り、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は呟く。
 オブリビオンは敵だというのは猟兵となった瞬間に理解している。けれど、ミントの話を聞けば聞くほど、本人にはなんら罪もなく、むしろ巻き込まれた側なのだから救いたいという気持ちが強くなった。
「でも……あのフェンリルの数は……っ!」
 ロランが強い決意を持ったとしても、目の前にあふれるのはミントの意思と関係なく召喚されたフェンリルの群れ。先立ってやって来た猟兵達のおかげで多少数は減っているが、それでもまだ大量のフェンリルが県庁前を根城にしていた。
 ミントの姿は小さくて見えないが、魔力の流れを確認出来るロランは確かに|そこにいる《・・・・・》と判断はついている。だからこそフェンリルを何処かへ追いやらなければ、魔力の渦へ突撃が出来ないわけで。
「だったら……!」
 もうこれしかないと決断を下したロランはユーベルコード『静寂を慈しむ音狼の加護』を発動。魔術陣の首輪と魔術回路の鎖で縛られ、満月のオーラを纏うハイイロオオカミに変身し、県庁周囲を満月の魔力で満たせるように結界で取り囲む。
 まるで夜になったかのような空気にミントとフェンリル達は一瞬だけ狼狽えたが、ロランがミントへ不安を与えたと感づいたフェンリル達は一斉にロランに向かって走ってくる。
「残念だけど、お月さまには手は届かないよ」
 フェンリルの爪がロランを切り裂いた――と思ったのもつかの間、それは結界の内部に満たされた魔力で作られたロランの幻影。位置偽装の結界とエネルギー収束の力を敷いているため、フェンリルには区別をつけることが出来ていない。

 では、本物のロランはというと。
「こんなもので怖がらせて……許さないの!」
 逸らしたフェンリルのエネルギーを集めて調節し、遠吠えと共にミントの頭上に出来た魔力の渦に狙いをつけて一気に発射し、その機能を停止させていた。
 強大な力を与えられている故に一撃では破壊出来ないが、一時的に停止させるには至っているようだ。

 だが、寿命と引き換えにこの力を行使するロランは引き際を見誤らない。
 危険だと判断したその瞬間には撤退し、次の|仲間《猟兵》に託したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーネスト・シートン
渦をどうにかすれば良いのですかね…
動物に攻撃するのは気が引けますからね。
だがしかし、この禍々しいのを相手にしなければ前へは進めないのがね…

なら、まだ望みは絶たれてはいません。
これが効くかにもよりますね。
UC使用
貘さん、お願いします。

まず、全員寝たら、滅竜銃とM.S.L.で嵐に向かって連打します。
「コレは致し方なし…」
そして、その後、滅竜銃でフェンリルを1体ずつ頭めがけて撃ちます。

アドリブ歓迎



●良い子は眠れ、何も知らぬままに
「渦をどうにかすれば良いのですかね……? まあ、動物に攻撃するのは気が引けますからね」
 アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)は対策を考える。県庁前に集まるフェンリルと、その統率者たるミントのためにどう動いてあげようか、と。
 動物愛好家の称号は伊達ではない。如何に動物たちを傷つけることなくこの場を収め、終わらせるかを緻密に計算していくアーネスト。
「……これが効くかにもよりますが、試してみますかね……?」
 成功するかどうかはその場の環境と彼らの効き具合次第だと呟いて、アーネストは県庁前へと足を踏み入れる。

 ぷるぷると震えるミントとそれを取り囲むフェンリル。彼らは敵がいつ来るか、どう攻撃してくるかと警戒しながら辺りを歩いている。
 ……が、突如頭がふわふわとした感じになって、地面にへたりこむ。言葉にするのならば、とても眠い。眠くてたまらない。今すぐにでも寝てしまいたい。そんな感じだ。
「き、効いていますかね?」
 その眠気の正体はアーネストのユーベルコード『|夢への案内人《ドリーム・ウィズ・ガイドマン》』。アーネストのそばにバクを召喚し、アーネストを中心に半径124m以内のフェンリル達を睡眠の波動によって眠らせていく力が撒き散らされている。
 抗おうにも、これまで戦い続けたフェンリル達にとって睡眠は最高の快楽。疲れ果てた身体を休めて、ぐっすり眠って、明日の朝に備えてしまいたいという欲が差し迫って……。

「全員、寝ました……?」
 地面に倒れ伏したフェンリル達に声をかけてみるアーネスト。その言葉に反応するフェンリルの存在は1つもなく、すやすやと寝息を立てて皆眠りこけていた。
 疲れというのは恐ろしく、眠気というのは些細なきっかけ。フェンリル達はそのまま起きることはなかった。
「それじゃあ、あとは魔力の渦を、と」
 滅竜銃ドラゴンブレイカーとマルチプル・スナイパーライフルを取り出し、渦めがけてしっかりと命中させたアーネスト。既に大ダメージを受けている渦は亀裂のようなものが走り、壊れかけを証明していた。

「あとは……コレは、致し方なし……」
 眠りこけているフェンリル達の頭に滅竜銃を向けたアーネスト。
 謝罪の言葉を心のなかで唱えながら、その引き金を引いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

あれが噂のアイドルミントちゃんか。うん、モフりたい。
リミッター解除、限界突破、オーバロード……ただし、ミントちゃんを刺激しないようこっそりと。
|多重詠唱拠点構築化術暗殺結界術《気配を周囲に同化させ、まるで空気のごとくいるのが当たり前に認識させる》。一流の暗殺者はね、たとえ目の前にいても存在を認識させないものよ。知覚の内にいて認識の外にいる、これが意識の死角というものよ。
知覚されてもまぁ、運動エネルギーであれ位置エネルギーであれ質量であれエネルギーであるなら|大食い、魔力吸収、魔力供給、エネルギー充填、継戦能力《私の糧よ。魔力に変換しておいしくいただいてダメージを軽減するわ》。
さて、|創世神の繭《ソーンコクーン》でミントちゃんを包みながら|多重詠唱楽器演奏《魔法の子守唄を奏でましょ》。この繭は|廃棄された時間質量《オブリビオンの構成物質》を改竄してミントちゃんをただにわんこに再羽化させるわ、お持ち帰りできるわね♪
大食いで魔力の渦を魔力吸収するわ。



●|モフリミッター解除《オーバーロード》!
「あれが噂のアイドルミントちゃんか……」
 じぃっとミントの様子を眺めているアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)。
 ぷるぷると震えるミントの様子はまさしく見知らぬ人達に取り囲まれた哀れな一般人わんこのようなもので、周囲のフェンリル達がもはやヤのそれのような状態である。
 そんなミントをどう救ったら、より良い結末に到達できるか。思案に思案を重ね、彼女は思い至る。
 ――じゃあ、とことん|限界突破《オーバーロード》してやろうか♪ と。

 何かが通った。何かがいる。
 何かが動いた。何かがいた。
 そんな感覚さえ1つ残さず、アリスはフェンリルの傍を通り過ぎる。ミントを刺激しないようにリミッター解除した彼女は周囲の空気と同化するように気配を馴染ませ、|それは空気である《・・・・・・・・》と錯覚させるまで精神を研ぎ澄ます。
 おかげでフェンリルは周囲をきょろきょろと見渡すだけで、隣を通り過ぎたアリスのことなど気にも止めない。むしろ他に敵がいないか、と探りを入れている状況だ。
(まあ、触れたら気づかれちゃうかもだけど……そんなに気にしない気にしない)
 多少知覚されようが、彼女の魔力変換がそれをなかったことにするので気にせずミントへと近づく。

 ミントはというと……なにかが起こると気づいたのか、はたまた予感が震えを呼び起こすのか、ぷるぷると震えだす。それは不安でもあったが、不安以上に何が起こるかわからないと言った部分が強く、フェンリルもどうしたらいいのかわかっていない。
「大丈夫、少しだけ暗くなるぐらいだからね。暗くなって、明るくなったらもうあなたは怖がらなくていいんだよ」
 優しく声をかけて、ユーベルコード『|創世神の繭《ソーンコクーン》』を発動。視界に入っているミントのみを繭状に包み込む|棘《ソーン》を放ち、物質組成――オブリビオンの構成物質を改竄していく。
 魔力の渦はいつものように美味しく食べて、ただただ目の前のミントが変わるまでを待っていた。

「あら、おはようミントちゃん♪」
 |棘《ソーン》が開いた時、アリスとミントは目が合った。
 だが自分の置かれた状況に気づいたミントは、アリスに礼を述べる事もなくその場を逃げてしまう。
「あっ! ……アレってオブリビオンから解き放たれたのかな……?」
 ミントが完全にオブリビオンから元のわんこへと戻ったのかは、定かではない。
 しかし少なくとも魔力の渦は完全に消え去っているため、フェンリルの召喚もなかったこととなって県庁前はまた元のとおりに戻っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月11日


挿絵イラスト