第二次聖杯戦争⑯〜俺たちのミントたんはこんな戦争しない
「話には聞いていたが、可愛いなミント」
そんな無表情で淡々と言うことある??
「かつて|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》の戦争で『震えるミント』と呼ばれるゴーストウルフがいた。そいつは戦争を生き延び、今『フェンリルを統べる者』として石川県庁前に立たされている」
かわいそう。
因みに何でこんなことになったかと言うと、|ハビタント・フォーミュラ《うーちゃん》がその|カリスマ性《かわいさ》に目をつけ、ほんならフェンリルだって従えられるやろ的なノリで『魔狼フェンリル召喚術』を移植され、哀れオブリビオンと化したミントはフェンリルにすら慕われ傅かれる(?)ようになってしまったと。
なお『|カリスマ性《かわいさ》』のルビに関しては山立・亨次(人間の猟理師・f37635)の主観が含まれていることについては否定しない。
「因みにそんなミントの頭上には、無限大マークの渦が浮かんでるらしいが。それが移植された魔力らしいな」
混乱マークに見えるのは気のせいか。
「で、ミント自身はぶっちゃけ弱い。滅茶苦茶弱い。が、何でか知らねぇがラダガストの元部下の人狼騎士がこっち護りに来てるらしくてな。ミントに手を出そうとすると般若の形相で駆けつけてくる」
怖。
彼らはミントの何がいいと言うのだろうか。え、愚問? そっかぁ(地の文洗脳済)。
「……いや、いっそそっち方面のアプローチ、アリだな」
エ??????
「|人狼騎士《俺たちのミント過激派》と、ミントの魅力について語り合うんだ」
ドウイウ=コトナノ。
「もし意気投合出来れば、連中は勝手に例の渦を破壊して、ミントと安地に退いていく筈だ」
そこまでか強火勢。
「んなワケで語って来るといい。ミントの魅力を。存分に」
いや圧が凄い。何さそうとしてんのきみ。
あっ待って有無を言わせず|光の狼《グリモア》作動しないd――、
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
いや、スタダをキメないとこの波に乗り遅れると思って……。
戦争シナリオのため、今回は1章構成です。
第1章(ボス戦):フェンリルを統べる者『震えるミント』
人狼騎士に何らかの対処をする――即ち、ミントたんへの愛を語り合うことでプレイングボーナスが得られます。
語れ。愛を(ツッコミ放棄)(元より私はこちら側)
断章なし、公開された時点で受付開始です。
それでは、よろしくお願いいたします!
第1章 ボス戦
『フェンリルを統べる者『震えるミント』』
|
POW : なぜかフェンリルに慕われている
【魔狼フェンリル】を召喚する。騎乗すると【フェンリルの毛並みに隠れた】状態となり、【フェンリル頼みのパワー】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD : けなげっぽい目で見つめて噛み付く
【かみつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : くぅ〜ん、きゃんきゃん!
自身が【ぷるぷる不安な気持ち】を感じると、レベル×1体の【魔狼フェンリル】が召喚される。魔狼フェンリルはぷるぷる不安な気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:吉希
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神塚・深雪
(普段よりテンション高め。ミントたん語りはひらがな多め)
UCは念のため
ミントたん! ミントたんじゃないですか!
あの時から皆大好き震えるミントたん!
ええ、判りますとも。
つぶらな瞳。
もふもふのたてがみ。
おなじくもふもふのしおれたしっぽ。
ぺたんとへにょった耳。
かわいいじゃないですか。
もふりたいです。
わっしゃわしゃと撫でまわしたいです。
なんならもふ吸いしたいです!
え、何を言ってるんですか。
もふもふは、正義じゃないですか。
ねえ、そうですよね?(と、人狼騎士の皆さんに笑顔で)
同意されれば笑顔のままサムズアップ
ミントたんが人狼騎士の皆さんと去っていくのを見送りながら
オブリビオンなことが残念ですよね、本当に
荒珠・檬果
ユーベルコードは判定用。
もふもふに呼ばれた気がして!!
まずは、同志にご挨拶を。荒珠檬果です。
ええ、同志です。この『震えるミント』さん好きならば、例えオブリビオンといえど同志でしょうよ!!
以降、ミントさんと呼びます。
いやー、いいですよね!もふ!
それに、ぷるぷる震えるのも可愛い。いえ、そのために怖がらせるのはダメですけどね!?
寒さで震えてるならば、カイロ持ってきたのでどうぞ。あ、同志の方々もどうぞ。
毛色も好きなんですよ。まさに『ミントさん!』っていう色で。
やばい、撫で撫でしたいし、櫛で解かしたい。
いえ、ミントさんが嫌がることはしたくないので、無理にはしませんよ。
栗花落・澪
ぜんっっぜん語れる
ミントさんの魅力ならもう滅茶苦茶語れる
まず絶対外せないのはもふもふな毛並み
艶やかな毛艶だし顔埋めたら絶対いい香りしそうじゃんふわふわ素敵じゃん
首回りとか特に柔らかそう
あと尻尾
プルプル震える様は可愛いし耳も眉も下がり気味なの可愛いし
弱くても僕達で守ってあげるから大丈夫だよーって気持ちになるよね
ええもう庇護欲っていうの?
毛色がなんかレッグウォーマーみたいなのもお洒落だよね
そしてキラキラした金の瞳、最高
その目で見つめられたらもうあまりの可愛さに心臓撃ち抜かれちゃう
そんなに可愛いのに威嚇ポーズされると凛々しいカッコ良さも垣間見えるのいいよね、もういくらでも威嚇されたい
騎士さんはどう?
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
こういう戦いも良いよね
しかもミントだし(元々動物好き・ステにも書いてる)
ていうかね
そもそもさ、こんな超初期からずっといるヤツさ
もう今更ね?倒さないで済むなら倒したくないよ
可能ならマヨイガ連れてって保護したいぐらいなんだからさ
「ね、君たちもそう思うよね!?」
俺は意思をある程度曲げられるUCも持ってるけど
此処は敢えてもう徒手空拳でただ語るよ
陸井とも声を大に合わせて
ミントがぷるぷるしてるのが可愛いとか
もふもふは正義とか只管真顔で笑顔で語りあって
可能なら地べた座り込んでミントもおいでおいでして
成功したら手を振って見送る
殺さないで済むの嬉しいな
「良かったね陸井!」
笑顔で帰ろ!
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加
こういうのも戦いの一つだもんな
震えるミントなら戦闘は避けたいし
それなら俺達がやることは決まってるな
「実際、保護できるならしたいよなぁ」
相棒の言葉に頷きを返しつつ、UCも出さないし
武器も構えないで人狼騎士達の方へ向かい
当たり前のように笑顔で
「な、相棒の言う通りだよな」
ミントの魅力って言ったらやっぱり
保護したくなるような様子とか
震えているのを撫でてあげたくなるとか
安心して甘えさせたくなるとか
「護ってやりたくなるよな」
相手も納得して解決出来たら良しだ
何よりミントに手を出さずにすむからな
「あぁ、お疲れ様だよ、時人」
●理由は後で解ると思いますが今回久々に章題つけようかなと思います
「ミントたん! ミントたんじゃないですか!」
遠巻きに、震えるミントを怯えさせないよう声量を抑えつつも、あの時から皆大好き震えるミントたん……! と、声音に混じる気色を隠し切れない神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)。
数々の戦争を生き残り、その不憫さと愛らしさで当時の銀誓館学園の能力者たちにすらファンが出るほどの存在――それが震えるミントだった。言わずもがな、深雪も御多分に漏れずその一人だ。
そして、同じ想いを抱いて石川県庁前を訪れた、当時の能力者は彼女だけではなかった。
「こういう戦いも良いよね。しかもあのミントだし」
葛城・時人(光望護花・f35294)は動物好きである。なんなら目に見える箇所にそう書いてある。ここでは敢えてどこにとは言わないけれど。
そんな彼が、倒す必要はないと言われているミントを敢えて傷つけるなんて選択肢を取る筈があろうか。いやない(反語表現)。
さて、その相棒たる凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)はと言うと。
「こういうのも戦いの一つだもんな。それに震えるミントなら戦闘は避けたいし」
彼もまた穏健派だった。ミントたん可愛いもんね。わかるよ。
明らかにこちらに敵意を向け、世界を滅ぼす意思を感じる相手であるのならばいざ知らず。戦意のない相手に対し、徒に戦うことなく解決出来るならそれが一番じゃないですか。何せあのミントだし!
そして、同志は何も銀誓館学園出身者に留まらない。
「もふもふに呼ばれた気がして!!」
はい一名様ご案内ー!
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)が好きなのは何もゲームだけではない。彼女はゲーマーであると同時にモフリストでもあるのだ!
ミントは確かにシルバーレイン界のアイドルだ。だが、もふもふを愛する気持ちに世界など関係ない。もふもふは異世界間の境界すら取り払ってしまう奇跡の存在なのだ。
沼へようこそ。我々は初見さんも分け隔てなく歓迎します。
そんな中、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はひとり、ミントたんにも負けず劣らずその肩をぷるぷると震わせていた。その掌はぐっと握りしめられ、俯いた顔からその表情は窺い知れない。
(「オブリビオンへの愛を語れなんて……そんな……そんなの……!」)
強い意思を持って、澪はきっと顔を上げる。
「ぜんっっぜん語れる」
とってもいい笑顔だった。輝いていらっしゃる。
「ミントさんの魅力ならもう滅茶苦茶語れる」
この愛、シルバーレインの能力者たちにだって引けは取りません!
「それなら俺達がやることは決まってるな」
陸井が時人を、そしてここに集った全員を見渡した。
誰一人として頷かない者はいない。各自、それぞれの|想い《愛》を胸に戦場へと足を踏み出すのだった。
●まずは敵意がないことをちゃんとお伝えしておきましょうね
「敵襲か!」
猟兵たち、と言うより他者の気配を感じ、精悍な人狼騎士たちがミントを庇うようにして立ちはだかる。判断が早い。
そんな人狼騎士たち――否。
「同志にご挨拶を。荒珠檬果です」
「……同志……だと……!?」
「ええ、同志です」
そう、檬果は一切の躊躇いもなく、力強く言い切る。
何故ならば。
「この『震えるミント』さん好きならば、例えオブリビオンといえど同志でしょうよ!!」
その時、|人狼騎士《同志》に電流走る――!
「ミントたんを……倒しに来たわけではないのか?」
しれっとたん付けしよったぞ|人狼騎士《こいつら》。
「え、何を言ってるんですか」
汚れなきまなこで深雪は言葉を継ぎ、そして問う。
「もふもふは、正義じゃないですか」
そうだ。
|正義《もふもふ》を前に争うなど、愚劣の極み。
寧ろ共に手を取り、讃えるべきではないのか。讃えよもふもふを。
「ねえ、そうですよね?」
人狼騎士の皆さん、と深雪が笑顔を向ければ。
「……ああ、目が覚めたよ」
「もふもふを愛する心に、立場など関係ない――!」
「くぅん」
双方サムズアップ。戸惑うミントたん。
人狼騎士の品位? 推しの前には無力だった。
推しは人を狂わせるからね。ショウガナイネ。
話がついたところで座談会の様相を呈してくる石川県庁前。立ち話もなんだからということで、県庁前の花壇――植えられているのは低木だが――の縁に座る一同。遠巻きにぷるぷるしながらその様子を窺ってくるミントたん。尊い。
さて、ここからが本番である。
各方、存分に語っていただきましょうか。愛を。
●ROUND1:栗花落・澪の|場合《ターン》
「まず絶対外せないのはもふもふな毛並み。艶やかな毛艶だし顔埋めたら絶対いい香りしそうじゃんふわふわ素敵じゃん、首回りとか特に柔らかそう」
「わかりみしかない。何あの奇跡のもふもふ。天才か」
うんうんうんうんと首が千切れんばかりに頷きまくる人狼騎士たち。掴みはオーケーのようだ。
澪にとっては話合わせてるつもりでも何でもなく本心なんですけどね!(なお、他のメンバーも同様な模様)
「あと尻尾。プルプル震える様は可愛いし耳も眉も下がり気味なの可愛いし、弱くても僕達で守ってあげるから大丈夫だよーって気持ちになるよね。ええもう庇護欲っていうの?」
「わかる……このかよわいいのち守らねばという気持ちになる」
「かわいそかわいい」
「尊い」
「毛色がなんかレッグウォーマーみたいなのもお洒落だよね」
「流石同志、お目が高い」
完全に同好の士の集まりと化している。
「ふっ」
だがそんな中、甘いぜと言わんばかりにせせら笑う|人狼騎士《もの》が。
「ミントたんのもふもふが至高なのは最早自明の理。ミントたんの魅力はまだまだこんなものではない――」
「そしてキラキラした金の瞳、最高」
「それな〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
地の文でなきゃ見逃しちゃうほどの恐ろしく速い掌返しだった。チョロい。
何度でも言うが澪としては決して話を合わせているわけではなく本心から以下略。
「な?? 最高だよな!!??」
「うんうん、その目で見つめられたらもうあまりの可愛さに心臓撃ち抜かれちゃう」
「ウッ」
イマジナリー上目遣いミントたんでも想像したのか、左胸を押さえて蹲る人狼騎士たち。
一方その頃ミントたんは遠巻きにくぁっと欠伸をしていた。かわいい。だが残念なことに、犬は不安を感じた時にも欠伸を頻発すると言う。
まぁミントたん狼だけど。忘れがちだけど。
「そんなに可愛いのに威嚇ポーズされると凛々しいカッコ良さも垣間見えるのいいよね、もういくらでも威嚇されたい。騎士さんはd」
「ギャップ萌えが嫌いなミント担なんていません」
おおっとそれは偏見だぞ!
あと食い気味に来るな。圧が凄い。デジャヴ。
だが同意を得たのは事実。この時の澪の表情は晴れ晴れとしていたと言う。
●ROUND2:神塚・深雪と荒珠・檬果の|場合《ターン》
待ってましたと言わんばかりにはい! と挙手する檬果。
「いやー、いいですよね! もふ! それに、ぷるぷる震えるのも可愛い。……いえ、そのために怖がらせるのはダメですけどね!?」
「完全同意。ぷるぷるミントたんはかわいさの化身でしかないが、我々の自己満足のためにミントたんに怖い思いをさせる者などミント担を名乗るも烏滸がましい愚行」
「と言うかそのためにミントさんの嫌がることをするような人はそれはもう『ミントさんを愛でる自分可愛い』であって『ミントさん可愛い』ではないですよね」
「ほんそれ」
淡々と言い放った檬果に神妙な面持ちで頷く人狼騎士たち。
オタクの基本です。
「ミントたんが健やかであればそれでよい」
「そして健やかで愛くるしい姿を我々に見せてくれ」
「ええ、判りますとも」
ここですかさず深雪も追撃を。
「つぶらな瞳。もふもふのたてがみ。おなじくもふもふのしおれたしっぽ。ぺたんとへにょった耳」
枚挙に暇がない。
怒涛の推しポインツを挙げていけば、じっと聞き入る人狼騎士たち。
「かわいいじゃないですか。もふりたいです」
「Foo〜〜〜〜〜〜!!」
さぁ盛り上がって参りました(言葉通りの意味で)。
と言うかさっきから薄々勘付いてはいましたけれども深雪さん脳溶けしておられますね? 平仮名が増えてる。
「わっしゃわしゃと撫でまわしたいです。なんならもふ吸いしたいです!」
「わかりみしかね〜〜〜〜〜〜でもここは我慢だ同志!」
「つらい!」
本当に辛そう。何故か人狼騎士も。
「そうだミントさん、カイロ持ってきたのでどうぞ。あ、同志の方々もどうぞ」
「最近寒いからね」
「かたじけない」
「わふん」
檬果がカイロを挟んだタオルケットを取り出し、深雪と一緒にミントを包む。直じゃないけどちょっと触った気持ちになれるアレ。
ミントさんは最初ちょっとビクッとしていたが、ほかほかしてくるとちょっと安心したように目を細めた。あれ、天使かな?
人狼騎士たちと、深雪や一旦休憩中の澪や順番待ちの時人と陸井にもお裾分け。
「それにしてもやっぱり毛色もいいですね。好きなんですよ。まさに『ミントさん!』っていう色で」
「清純そうなこのミントブルーがいいんだよな〜」
同意の仕方が独特な騎士さんがいらっしゃるな?
「やばい、撫で撫でしたいし、櫛で解かしたい。……ああいえ、ミントさんが嫌がることはしたくないので、無理にはしませんよ」
「推しの幸せが我々の幸せだものな……でも本音を言えば推しと触れ合いたい、わかるよ」
わかり顔された。
するとそんな己の欲を抑え込む戦いを繰り広げている女性二人を前に、リーダー格と思しき人狼騎士が『ふむ』と腕を組んで何やら考え込んでいた。
●ROUND3:葛城・時人と凶月・陸井の|場合《ターン》
「ていうかね」
時人には一言、物申したいことがあった。
「そもそもさ、こんな超初期からずっといるヤツさ、もう今更ね? 倒さないで済むなら倒したくないよ。可能ならマヨイガ連れてって保護したいぐらいなんだからさ」
ごめん前言撤回。一言に収まり切らなかった。
ともあれ、何度も顔を合わせていれば、なおかつ本人(狼)には敵意もなく戦場に駆り出されるも実質ぷるぷるしているだけとあれば、愛着も湧こうというもの。
「ね、君たちもそう思うよね!?」
突然食い気味に同意を求められる人狼騎士たち。
「ミントたんが安全に健やかに暮らせる楽園があるのか!?」
即座に反応返ってきた。適応力が高い。
因みに、時人は一切ユーベルコードを発動していない。と言うのも、彼はやろうと思えばユーベルコードである程度は敵の意思を捻じ曲げたりすることも出来るのだ。
だが、時人はそうしなかった。徒手空拳!
大事なのはこの熱意と! 愛!
「実際、保護できるならしたいよなぁ」
ここで聞きに徹していた陸井も頷き、同意を示す。
このミントたんはオブリビオンなので難しいだろうが、オリジナルのミントたんが存命(?)であれば割と真面目に検討したいところである。グリモア猟兵の誰かが【Q】を通せばいけるか……?(※通りません)
「魅力って言ったらもう皆言ってるけど、やっぱりぷるぷるしてるのが可愛いよね。『震えるミント』ってくらいだからそこがチャームポイントだと思うし」
「いやそうなんだよな。何度でもそれは語れるんだよな。そして何度聞いても飽きないんだよな」
時人の言葉に赤べこのようにぶんぶん首を振る人狼騎士たち。推しの褒め言葉は健康にいい。
「あともふもふは正義って神塚も言ってたし。実際もふもふと毛艶のバランスが取れたいい毛並みだよね」
「な、相棒の言う通りだよな」
笑顔を絶やさない時人と陸井。歴戦のミント愛。
陸井に同意を求められた人狼騎士たちもナチュラルに頷きまくっている。そろそろ首取れん?
「あとはミントの魅力って言ったらやっぱり保護したくなるような様子とか、震えているのを撫でてあげたくなるとか、安心して甘えさせたくなるとか……」
続けて陸井も語り始めると、食い入るように聞いている人狼騎士。ほかほかでうとうとしているミントたん。
「護ってやりたくなるよな」
「禿同!!!!!!」
「ヒャン!」
あ゛ァやめろやめろ大きな声を出すな!!
ミントたんがビクッとして起きちゃったでしょうが!!
これには陸井も苦笑するしかない。あと禿同ってもうだいぶ聞きませんよね。死語なのでは。
ぷるぷるが増してしまった(※犯人:|人狼騎士《過激派》)ミントに、時人は地べたに座り込んでおいでおいでする。
「怖くないよー」
「ヒュン……」
恐る恐る近づくミント。差し出された手の匂いをスンスン嗅いでいる。
でもこれ人狼騎士たちが黙っていないのでh
「スンスンするミントたん尊い」
あっ大丈夫みたいです続けて。
崩れ落ちる人狼騎士一同――約一名を除いて。
「……少しだけ撫でてみるか?」
――えっ?
●これは筆者のコミカル系シナリオにおける判定が引くほど甘いから生まれたワンシーンであってこのシナリオだけ(とは言い切れない)の特別なんだからねっ!
「普段は我々も控えているし、肝心のミントたんがアレだからまぁそんなところも推せるんだがともあれ今日は新たな同志を迎えた記念日いや寧ろ君たちにとってはミント沼が始まる誕生日と言っても過言ではないからなHappy Birthday」
ごめん何の話してたっけ??
「つまり今回は特別だということだ。ミントたんも少しなら許してくれるだろう」
推しへの信頼が分厚い。と言うか勝手に決めていいんか。
当のミントたん時人の影に隠れてぷるっぷるしてますが。
まぁそれはそれとして。
「本当に? いいの……!?」
「ミントたんをなでなでできるんですか!」
「えっ、本当にいいんですか? いや、申し出はとてもありがたいですけど」
澪に深雪、檬果も集まってきて。
「耳の後ろか身体の横を本当に数秒だけだがな。それ以上はミントたんにかかる負担が大きすぎる」
主に|精神《メンタル》面で。
「彼の後ろに並ぶといい。一人ずつ順番にな」
「ありがとう! ミントはいい子だねー」
「きゅーん……」
トップバッター時人、ミントを怯えさせないよう下から手をミントの身体の側面まで持っていき、一撫で。
ぷるぷるが伝わってくるが、逃げはしないようだ。動物って自分のこと好きな人って察知しますよね。いや愛が重すぎるとどう判断されるか解らないけれど(人狼騎士たちにズームされる画面)。
「えへへ、やった……! ミントさんちょっと触るね……」
澪は耳の後ろを撫でる。ミントがちょっと気持ち良さそうな顔をしたので不覚にも澪は|人狼騎士たちの二の舞になり《崩れ落ち》そうになったが、辛うじて堪えた。
倒れたら|試合《撫でもふ》終了してしまう。僅かな時間を大切にするためにも、屈するわけには行かなかったのだ。
何にって? ミントたんの愛らしさにかな……?
「櫛は流石に駄目でしたか。いえでも充分です」
ミントたんは何度も言うが分類的には狼であるし、見ての通り臆病だから、半ば檬果も触れ合いに関しては駄目元だったのだ。しかしそこに転がり込んできた僥倖。
この|好機《チャンス》、無駄には出来ない。そっと身体の横を毛並みに沿って撫でれば至高の手触り。
ホクホクで列から離れ、ついでにビクッとした反動で落としてしまったらしいタオルケットとカイロを回収する檬果。
「じゃあ俺も失礼するな、ミント?」
ミントは陸井には余り怯えた様子を見せなかった。彼は戦いともなると凛々しく強い猟兵であるが、日常における彼の人柄は落ち着いており穏やかだ。それをミントも察したのかも知れない。
耳の後ろを撫でるときゅうんと鳴いたので人狼騎士たちが瀕死になりかけたとか何とか。戦闘一切してないのに死にかけるんじゃないよ。
「もふもふ……ミントたんのもふもふ……!」
逸る気持ちを抑え(られてる?)ながらもそっと澪や陸井に倣ってミントの耳の後ろを撫でる深雪。
……ちょっと失礼して、こっそり首のもふもふにも一瞬だけ触ったのは内緒である。筆舌に尽くし難いもふもふであった。生きててよかった。これでまた戦争頑張れる。
因みに深雪の後ろには人狼騎士たち(リーダーすらも)も並んでいた。何でだよ。
だが、深雪の後ろに彼らの姿を認めたミントたんが目に見えて飛び上がり後退ってしまったため、そこで撫でもふ会はお開きとなってしまった。
人狼騎士たちは|(´・ω・`)《しょぼんとした》顔をしていた。
●なんか当社比参加者様に対して物凄い長さになったんだけどなんだこれ
猟兵たちは満たされた気持ちで去り行くミントと人狼騎士たちの背を見送る。
「ミントさん……撫でさせてくれてありがとう……!」
「ええ、ミントさんに感謝しなければなりませんね」
感動と名残惜しさが綯交ぜになったようにその尻尾を見つめる澪と、まるで悟りを開いたかのような清々しい面持ちで頷く檬果。
え、人狼騎士たち? いやだって怖いだろうに撫でさせてくれたのはミントたんですし。
と言うよりミントたんと触れ合ったことによって、そっちに意識が完全に持っていかれてしまい、人狼騎士たちのことが頭からすっぽ抜けているものと思われる。哀れ。
ミントは討ち取られず、平和的解決に終わったことで、時人と陸井、そして深雪も達成感に溢れていた。
「良かったね陸井!」
「あぁ、お疲れ様だよ、時人」
それに神塚も! と時人が深雪を振り返り、陸井も微笑みを向ける。深雪も応えてこくんとひとつ頷いて。
「オブリビオンなことが残念ですよね、本当に」
それでも、ミントたんへの想いは揺るぎない。
嗚呼、震えるミントよ。永遠なれ。
――なお、例の渦は人狼騎士たちによって完膚無きまでに粉々にされ、無事に消滅したことをここに追記しておく。
大成功
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