第二次聖杯戦争⑯〜れきせんのごーすとうるふ
「皆さん、お疲れ様です」
神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)が、複雑そうな顔で一同を迎えた。
「ようやく、石川県庁前への道が開けたわけなのですが……」
そこで言葉を区切ると、複雑な表情のまま叫ぶ。
「フェンリルを統べる者って言って出てきたのが、震えるミントたんって、ずるくないですか?!」
ミントたん。たん付け。
そういえば、元能力者であったり、|銀の雨降る世界《シルバーレイン》に縁のある猟兵が、一様に複雑な顔をしたり、震えたりしていたような気もするし、今も深雪の叫びに同意する様子を見せたりしている者がいるような。
「……ええっと、一応ご説明すると、ミントたんは、過去の戦争にも現れたゴーストウルフなんです。豪運って言ってもいい偶然で、生き残り続けた個体です。いつの間にか、オブリビオンになってたようですけれど」
真面目な表情で説明をするが、たん付けの時点で締まらない。
その豪運っぷりをハビタント・フォーミュラに目をつけられ、フェンリル召喚のユーベルコードと膨大な魔力を与えらたらしい。確かに、「複数回の戦争を生き延びたゴーストウルフ」に「強力な力を授ける」と、いうのは、戦略としてはあり得る話だろう。
「でも、ミントたんって、運と偶然に祝福されてるけれど、本人……本狼?は普通のゴーストウルフなんです。ただ……」
石川県庁の駐車場をうろうろとしているミントに猟兵達が近づこうとすると、フェンリルの群れが召喚されるのだという。勝手に。自動で。
「召喚されるセコ……いえ、フェンリルは、当然フェンリルなので、強いです。おまけに群れで現れますから、これらに正攻法で挑むのは厳しいと思います」
突破口のひとつとしては、ミントの頭上にある魔力の渦。ハビタント・フォーミュラから与えられたそれを破壊することが出来れば、召喚されたフェンリルは力の供給源を失い消え、ミントも何処かへ逃走するだろう。
「……と、いうわけで、皆様。ミントたんをもふ……いえ、ハビタント・フォーミュラから解放してあげてくださいね」
そう言いながら、深雪は一同を送り出した。
白神 みや
ミントたん! ミントたんじゃないか!!
取り乱しました、|白神《しらかみ》です。
みんなだいすき震えるミントたんが現れたとなれば無視できませんでした。
ハビタント・フォーミュラに魔改造(違)されたミントたんには、魔改造の際に|フェンリルの群れ《セコム》召喚術が付与されました。この召喚されたフェンリルの群れに対処することがプレイングボーナスです。
●お願い
MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
公開後即受付開始で、最少人数進行予定ですが、抱えているシナリオの完結を優先しますので、最速対応が8日以降を想定してください。
第1章 ボス戦
『フェンリルを統べる者『震えるミント』』
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POW : なぜかフェンリルに慕われている
【魔狼フェンリル】を召喚する。騎乗すると【フェンリルの毛並みに隠れた】状態となり、【フェンリル頼みのパワー】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
SPD : けなげっぽい目で見つめて噛み付く
【かみつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【顔】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : くぅ〜ん、きゃんきゃん!
自身が【ぷるぷる不安な気持ち】を感じると、レベル×1体の【魔狼フェンリル】が召喚される。魔狼フェンリルはぷるぷる不安な気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:吉希
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「大丈夫う! うーちゃんがあげた力で頑張れう!」
そのふしぎないきものは、獣にそう言うと姿を消した。言われた獣がぷるぷると震えながら所在無さげにくぅんと鳴いたその時、傍らの空気が重く沈んだ。びくりと身を跳ねさせた獣が、恐る恐るその方向を見上げると、そこには獣より遥かに巨大な|魔狼《フェンリル》の姿。
慌てて逃げようとした獣に、その身ほどもあろうかという|魔狼《フェンリル》の顔が摺り寄せられる。その様はまるで子を護る親のよう。
|魔狼《フェンリル》に護られるその獣の名前は、震えるミント。
かつて複数の戦場を幸運だけで生き延び、能力者にもその存在を認められ、何故か愛されたゴーストウルフがオブリビオンとなり果てた姿である。
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加
まずは作戦相談の前に現場の様子確認だけど
これだけフェンリルが居ると中々壮観だ…
感想が出るのは分かるが落ち着けと
相棒の口をふさぎつつちょっとだけ後退だ
作戦会議で
それなら俺は時人と攻撃の邪魔をさせないよう
攪乱と牽制を兼ねて全力で、フェンリルへ妨害だ
「了解。任せとけ」
行動開始と同時に【戦文字「重縛鎖」】を使用
戦場全域に地を這うように文字を広げ
フェンリルがこちらに気づく前に
先手を打って文字で縛り上げる
「ククルカンの通り道、開いてもらうぞ」
ついでに渦が移動して避けないよう
ミントも軽く縛り上げておこう
ちょっと可哀想だけど、大人しくしててくれよ
「頼んだぞ、相棒」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と!
来てそっと様子窺うと…うわ
どんだけ居るのフェンリル!大安売り!
突っ込みかけて陸井が慌てて俺の口を塞ぐ
もごもご『ゴメン!』
改めて見ると…どう考えても百頭固い
作戦会議
どう考えてもアレは無理。自殺行為
ならあの渦だけを壊せば
「よし、陸井攪乱と牽制頼む」
白燐同期翔を物陰で詠唱
小さ目に作ってククルカンを出し
直ぐ天へ飛ばす
時速300キロで飛翔
陸井に注意を引いてもらう間に
視界を同期させ急降下
渦だけに突っ込めー!
最後まで軌道修正し見事破壊!
後はミントが残るだけ
一応おいでおいでして見たけど…流石に無理か…
でも
殺んなくて済んで、ホッとしてる俺がいるよ
笑ってるし、きっと陸井も同じだろうね
●
「……うわ?! どんだけ居るのフェンリル! 大安売り!」
石川県庁の建物側から回り込んで駐車場の様子を伺おうをした葛城・時人(光望護花・f35294)が、驚きの声をあげた。共に立つ相棒、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が慌ててその口を塞ぎ、そのまま再度建物の陰に身を隠す。
蒼緑の毛並みの獣を護る|魔狼《フェンリル》の一体がちらりと彼等が先刻居た方向へと視線を向けたが、直ぐに護る獣の方へと視線を戻した。ちなみに、当の獣は複数の|魔狼《フェンリル》に囲まれて、その名の通り震えている。
「時人、確かにあれだけフェンリルが居ると壮観だけど、ちょっと落ち着こうな?」
「う。ごめん、陸井……」
陸井もまた|魔狼《フェンリル》が複数居るという光景に驚いたものの、危険を呼び込みかけた相棒を窘める。現時点でも複数いる|魔狼《フェンリル》が、自分達が近づけば更に増えるのだ。対峙する必要がある数は、正直想像したくない。
そう思いながら再びそっと様子を伺う。ぷるぷると震える小さな獣を大きな|魔狼《フェンリル》が代わる代わる囲んで顔を摺り寄せたり、その大きな舌で舐めたりと、これが普通の大型犬達であれば、ほっこりするのではなかろうかという光景が見える。
「うん、どう考えてもアレは無理」
自殺行為でしょ、と、時人が零す。かつての戦いの頃から、特効だけはダメだと言い続けて来たのだ。殊更それは出来ない。当然、陸井も同意を示す。
と、なれば、小さな獣の上にある、無限の印を象った魔力の渦。それを狙うしかないだろう。
「よし。陸井、攪乱と牽制頼む」
「了解。任せとけ」
長年共に戦ってきた二人だからこそ、それだけで何をするかは察する事が出来る。目的と方針を定めた二人は、頷きあった。
先ず、駐車場へ駆け出す前に動いたのは時人。|白羽の白燐蟲《ククルカン》を喚び出し、空へと舞わす。その傍らで陸井もユーベルコードを展開する。描いた戦文字が戦場へ分裂しながら広がっていく。
二人駐車場へと躍り出るのと、それに気づき唸り声をあげようとした|魔狼《フェンリル》達が、陸井の|戦文字《重鎖》に囚われたのはほぼ同時だった。
「頼んだぞ、相棒」
その声に時人は頷き応えると共に、空へ舞わせた|白羽の白燐蟲《ククルカン》と視界を重ねる。
「ククルカン! そのまま渦だけに突っ込めー!」
時人の声に応え、空から魔力の渦へと急降下した|白羽の白燐蟲《ククルカン》が、渦の一部を齧り取る。それと共に、獣の周りに居たフェンリルが霧散した。周りを囲む強大過ぎる存在が姿を消した為、獣はそのままじりじりと二人距離を離していった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
ミントさん、あんなに震えてる…
何もかも怖いのかな?
少しでも、その恐怖をどうにかしてあげたいの
生後10ヶ月程度の子狼の姿に変身して近寄るの
ミントさん、ぼくはあなたと戦いに来たわけじゃないの
上の渦、いまから壊すから待ってて?
あれだけのフェンリルは、こわいね
でも、勇気を出さないと!
結界を何重にも展開して、フェンリルの群れに飛び込むよ
あの大きさで、同時にぼくを狙える数はそう多くないの
できるだけ脚の影とかに隠れながら、渦を狙える位置まで移動なの
破れた結界は張り直し
ミントさんにもフェンリルにも反撃しないで耐えるよ
もう少しだけ、待っててね、ミントさん?
フェンリルを駆け上がりながらUC発動
槍を渦へ撃ち出すの!
●
ひょこひょこと、逃げるというには些か心許ない足どりで、|蒼緑の毛並みの獣《震えるミント》が歩いてくる。その姿を気遣わしげにみつめる小さな影は、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)。
(ミントさん、あんなに震えてる……)
何もかもを怖れるようなその様子に、人狼であるロランは|魔狼《フェンリル》よりも、ミントよりも小さな仔狼――狼におけるロランの年齢に近しい姿――に転じて、近寄る。
不意に姿を現した仔狼に、蒼狼はびくりと跳ねる。案の定|魔狼《フェンリル》が召喚され、威容が|仔狼《ロラン》と|蒼狼《ミント》を見下ろした。
『ミントさん、ぼくはあなたと戦いに来たわけじゃないの!』
|仔狼《ロラン》は懸命に|蒼狼《ミント》に向けて訴える。しかし、|蒼狼《ミント》は不意に現れた仔狼どころか、喚び出されてしまった|魔狼《フェンリル》にすら怯えを見せてしまい、更に|魔狼《フェンリル》を喚んでしまう。まさに悪循環という状況に陥りそうになるが。
『もう少しだけ、待っててね』
そう|蒼狼《ミント》に伝えた|仔狼《ロラン》は、|魔狼《フェンリル》の群れに向けて地を蹴る。|魔狼《フェンリル》に向けて走りながら、人の姿へと戻ったロランは自身の身に結界を幾重にも重ね、|魔狼《フェンリル》の脚の影や街路樹等に隠れながら疾る。
「『身に受けし傷、流れる滴に、乾く槍。我が敵を追い、悉くを、喰らい退けよ。』」
疾りながら、ユーベルコードを起動し、力を溜める。そうして狙うのは、|魔狼《フェンリル》でも|蒼狼《ミント》でもなく、|蒼狼《ミント》の頭上にに渦巻く、少し欠けた無限大の意匠の魔力。
「『ヒュッテンブレナー式殲滅結界、射出。』」
渦に向けて放った槍は、渦巻く魔力を削り取っていった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
もふりたい
ミントちゃん…いえ、ミントさん
いっそミント様でもいいもふもふ最高
自身に【オーラ防御】を纏い
距離を取るように【空中戦】
マイクで【催眠術】を乗せた【歌唱】を響かせる範囲攻撃で
あわよくばフェンリル達も寝かしつけてもふ…大人しくさせたい
ただ、強いらしいしね
全部を一気に寝かせるのは難しいかもだから
飴をばら撒きその中の魔力を種として
【高速詠唱】で紡いだ植物魔法の【属性攻撃】で蔦を急成長
絡め取り動きを封じてもふ…もふりたいです
じゃなくて大人しくさせたいです
その隙にミントさんに接近
怖がらせてゴメンね
大丈夫、敵意はないよ
この渦邪魔だよね、怖いよね
僕達が取ってあげるからね
指定UCで渦だけを狙い撃ち
●
(もふりたい)
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は遠巻きにその小さな蒼い狼を見つめて思う。
(もふもふ最高……!)
ミントちゃん……いえ、ミントさん。いっそミント様と呼んでもいいとまで思う程にもふもふを、いや、震えるミントを愛してしまった澪は、ゆるゆるに緩んでいた表情を引き締める。そう、その麗しのもふもふの周囲には厳つい|魔狼《フェンリル》が寄り添っているのだ。何をするにも先ずはそこからだ。
(全部を一気に寝かしつけるのは難しいかな……)
正攻法で正面から挑むのは厳しいと判断した澪は、いつも所持している小瓶から、魔力を込めた飴玉を取り出してばら撒く。足りない分は小瓶を軽く叩いて補充して、|魔狼《フェンリル》のみならず|蒼狼《ミント》も興味を引くように幾つも幾つも、目につくようにばら撒いていく。
狼たちが皆飴玉に興味を示したことを確認すると、澪は飴玉を種として、魔法の蔦を成長させ、狼達を絡め取る。
(この隙にもふ……ううん、ダメだってば!)
動きを封じられたフェンリルをもふりたい衝動を抑えて、澪は|蒼狼《ミント》のもとへと近づく。
「怖がらせてゴメンね。この渦、怖いよね。僕達が取ってあげるからね」
撫でたい、もふりたい気持ちをぐっと堪えながら澪はそう言うと、|蒼狼《ミント》の頭上で渦巻く魔力へ指先を向ける。ユーベルコードの花嵐が、魔力を削り取っていった。
大成功
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デュオゼルガ・フェンリル
えっと…すっげぇ儚げに震えてるオオカミがホントにオブリビオンなのか?
銀雨世界の事は報告書に目を通したくらいだからあんまりわかんないけど、まぁなんとかなるだろ!うん!
…てなわけで、俺なりのやり方で対処しようとおもうんだぜ
あの取り巻きの人狼騎士もオブリビオンなんだよな?
…なら、そいつらだけ【冰牙暴穿】で一掃してやるぜ!
各種技能を全力で活かす形で立ち回るんだぜ!崩月流の力を見せてやる!
あ、緑のオオカミさんには攻撃しないぜ。可哀想だもん
プルプル震えてる緑のオオカミさんとは仲良くなれそうな気がするんだぜ。
大爺様(自分の祖先である巨狼フェンリル)から貰ったこの『ケモノのオカリナ』で、宥めたりできないかな?
剣未・エト
オブリビオンならいつかは倒さなければいけないけれど、この戦いでは無力化できるなら戦力を他に回す余裕が生まれるよね
個人的に同情してしまうし…いこうくーちゃん
フェンリルたちにはくーちゃんから無限に手に入る視肉を口元に投げ込むよ
フェンリルとてゴースト、視肉の効果があるかもしれない、そうじゃなくても美味しいお肉に注意が向けばミント君に近づくチャンスだ
初めまして、僕は剣未エト、君と同じゴーストさ
自己紹介して視肉をあげよう。おなかが満ちて安心できれば召喚がとまるかもしれない
チャンスが訪れれば怖がらせないように渦を攻撃しよう
●
本|人《狼》にとっては非常に理不尽な出来事に晒されて、ただでさえ常からぷるぷると震えている|蒼狼《ミント》は、足取りまで覚束なくなってきている。
「……すっげぇ儚げに震えてるオオカミがホントにオブリビオンなのか?」
デュオゼルガ・フェンリル(父の背を追う蒼拳狼・f00372)はその姿を目にし、思わず呟いた。|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の事は、グリモアベース等で閲覧できる報告書等で得られる情報しか知らない。
「君もミント君に興味があるのかい?」
そんなデュオゼルガにそっと声をかけたのは、その肩にミニ視肉のくーちゃんを乗せた剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)だった。新世代のゴーストであるエトもまたかつての戦いの事は、学園が所蔵している報告書や資料でしか知らない。
「興味っていうかさ。仲良くなれそうな気がするんだ。俺もオオカミだしな」
問われたデュオゼルガがそう言いながら応える。その狼の相は表情を読み取ることがエトには少し難しかったが、興味と純粋な共感を、あの蒼狼に抱いているのだな、とは感じられた。
「オブリビオンならいつかは倒さなければいけないけれど、無力化できれば戦力の余裕も生まれるよね」
「そうだな! あんなに震えてるの、可哀想だもん」
二人はそう言い交わすと協力して対処することにし、作戦を練る。
作戦が固まりって最初に動いたのは、エト。
「くーちゃん、宜しく頼むよ」
その言葉に、くーちゃんは「まかせろ!」と言いたそうにびしりとポーズを決めると、分裂するように視肉をどんどん生み出していく。
(く。ちょっと美味そうなんだけど、これ……)
そうして生み出された視肉を、エトは手慣れたように、デュオゼルガは視肉に少し、いや、かなり興味深々で、|蒼狼《ミント》の周りの|魔狼《フェンリル》に向けて放り投げていく。反射的に襲い掛かる勢いで視肉を口にした|魔狼《フェンリル》が、雷に撃たれたように硬直し、猛烈な勢いで齧りついた視肉にありつき始めた。
「ほら、君もおいで」
エトが手招きする傍らで、デュオゼルガはパーカーのポケットにしまってきた、「大爺様」からもらったオカリナを取り出して、奏で始める。その優しい音色と、視肉の美味しそうな匂いにつられるように|蒼狼《ミント》はよろよろ、二人の方へと足を向けるが、流石に傍近くには来る気配がない。
「僕も君と同じゴーストなんだけど、やっぱり、怖いかな……」
苦笑しながら、少し離れた所へ、くーちゃんが生み出した視肉を置く。そうしてもくもくと視肉を食し、少し安堵した|蒼狼《ミント》の頭上の魔力の渦へと二人タイミングを合わせて攻撃を加える。
魔力が四散し、渦や周囲のフェンリルから感じた圧が消え去った|蒼狼《ミント》は、我に返ったように、その場から逃走していった。
「個人的に同情してしまうよね……」
「また会えたらいいんだけどな」
啼きながら去っていくその姿を二人は、どこか安心したような苦笑を浮かべて見守るのだった。
大成功
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