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銀河帝国攻略戦㉓~解放軍と共に彼の敵を討て

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 『白城』艦隊を、ついに突破した。その先に控えていたのは、彼のインペリウム護衛軍である。帝国旗艦『インペリウム』を守護する、強力な宇宙艦隊である護衛軍は、もはや解放軍のみで突破できる相手ではない。
 この状況を打破するために、『解放軍』の砲撃によってダメージを与えたインペリウム護衛軍の艦艇へ猟兵達が強襲。撃沈させる必要がある。
 解放軍もここまでの戦場で、経験を積んできている。その砲撃は着実に精度を増しており、インペリウム護衛軍のその艦艇へと着実に着弾させていた。
 だが、後一歩足りない。そうさせているのは、青の突撃騎士――GRR-06S ブラウエルフォーゲルであった。

「させん、させんよ!」

 迫りくる砲撃を、狙いを定めてブラウエルフォーゲルは落としていく。ビームライフルの一撃一撃が、砲弾を、レーザーを相殺、撃ち落とす――しかし、全てを落とせる訳ではない。回復する速度で賄える分は逃がし、過剰な分を削ぎ落とす――まさに、神業とも言うべきダメージコントロールだった。
「ふん、現代の解放軍もなかなかにやる」
『少佐! こちらの艦艇のダメージが30%を突破しています!』
「構わん、その程度ならば回復する。それよりも砲撃を続けるのだ――銀河皇帝の加護がある限り、こちらに負けは――」
 少佐、と呼ばれたブラウエルフォーゲルの中にいた青の突撃騎士は、不意に振り返った。
『少佐? どうされました? レーダーに敵影はありませんが……』
「――来る」
『はい?』
 オペレーターの問いに、青の突撃騎士は己の第六感に絶対の自信を持ってこう言った。

「――来るか、現代の英雄」


「おう、乗ってやろうではないか!」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)の目に、強い闘志がある。自らが乗り込まないのは、グリモア猟兵の役目があるからだ――だからこそ、君たちへ短く、熱く語った。
「敵が待っておる。あの青の突撃騎士さえ倒せば、解放軍の砲撃でも艦艇は落とせるじゃろう」
 戦場は宇宙。敵は青の突撃騎士一騎。真っ向勝負だ。それ以上の言葉はいらない、ガングランは言ってのけた。
「騎士の首級は、戦が華じゃ! 誉れを求め、行くがよい!」


波多野志郎
さあ、見せてもらおうか? 現代の英雄というものを。どうも、波多野志郎です。


このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

多くは語りません。帝国の艦艇を落とすため、青の突撃騎士との戦いをお楽しみください。
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第1章 ボス戦 『少佐専用の青の突撃騎士』

POW   :    見せてもらおうか、新しい相手の実力とやらを!
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    …ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に!
【新人類とも呼べる胸囲的な感応能力】に覚醒して【リミッターを解除した高機動モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    これ以上はやらせんと言っている!
【自身の強い意志】から【感応波】を放ち、【戦慄するプレッシャー】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は春日・釉乃です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

烏丸・都留
「脅威ね‥護衛として離れられないのよね‥ならその中域に対し動きを阻害する何かがあれば機動力も落ちるかしら?」
そう言いながら力を活性化、これまでに戦闘で出来たデブリに偽装した54機のアクティブ・デコイを特攻モードで相手周辺にランダム展開、UC発動の直前に突撃自爆し注意をそらした上で、UCによるさらなる弱体化を行う。成功しなくてもアンチ・アストラル・マインを展開すれば相手の強い意思に反応爆発するので、幾らかの能力阻害もあるはず?

「悪いわね騎士道とかないわ‥結果が全て‥」

残ユニットで自信や味方を援護し中遠距離からスナイプや隠密型攻撃で、攻撃能力を少しづつ奪いながら無力化を行う。

他者連携、アドリブ可


キャスリーン・ジョイス
うふふ……素晴らしいですわ!
このような素晴らしい機体がまだ残っていただなんて!
でも残念。これを壊さないといけないなんて!
でも仕方ありませんわ。ワタクシの技術力の方が上だと見せつけてあげなくては!

さぁ、行きますわよ!ワタクシのガジェット!
【ガジェットショータイム】ですわ!
相手機は機動力がキモと見ましたわ!
それを封じる何かを……ワタクシの技術力なら可能ですわ!
「ワタクシならやれますわ!おいでませ!ガジェット!」

動きを封じましたら、【トリガーハッピー】で銃を錬成して【バレッタ・オーケストラ】で一斉射撃ですわ!
「弾幕はパワーですわ!そのどデカイ図体に風穴あけて差し上げますわよ!おーっほっほっほっ!!」


壱季・深青
城島・冬青(f00669)と参加

彼女のことは「お姉さん」と呼んでいるけど…実の姉ではないよ
さてと…こっちが行くことは知られているようだね

お姉さんと連携するけど…まずは俺から攻撃を仕掛ける
相手の意識が少しでも俺に向けば…お姉さんは攻撃しやすくなるし…
もちろん、二人の動きが読まれる可能性はあるけれど、むやみに突っ込む
より…いいかなって、ね

スペースデブリに隠れつつ、ユーベルコード「黒曜奇譚」を使う
姿を映してから攻撃するから…読まれやすいのが難だけど、それはそれで…
敵に意識を向けてもらえるなら…問題ない
こちらも攻撃開始する…
敵と周囲に注意しつつ…勘も働かせて、動く
体力的にマズいと思ったら…距離を取る


城島・冬青
【深青くん(f01300)と一緒に行動】
Pow選択
わー!大きい
強敵相手だけど
頑張ろうねみおくん
敵の攻撃を避けつつ接近
第六感と聞き耳を駆使して相手の攻撃を避けるみおくんが被弾しないよう
攻撃の気配を感じたら伝える
「来るよ!警戒して!」
みおくんが敵の注意をひきつけてくれるので その隙を狙って攻撃
相手が相手なので長く惹きつけるのは危険なので血統覚醒で短期決戦を狙う
「屍山食らいて実を結び
血河飲み干し咲き誇れ!花髑髏!」
機体の関節部分やメインカメラやコクピット等
破損が機体の動作に重要な影響を及ぼす部位を狙い攻撃する
みおくんが危険な時はこちらに注意を向ける
一斉発射攻撃は地形の利用で
スペースデブリを盾にする


アルト・カントリック
丸腰ではなく、僕は宇宙バイクに乗って行くよ――

……手汗握るハンドルを離すとアルトは視界に『青』を捉える。

……青の突撃騎士だ、今回のターゲットである。サイバーアイで相手の能力を探ろうとするが、
「くっ、なんて強さだ……」

「だけど、僕は一人じゃない……逃げずに僕も戦わないとね!」

バイクのハンドルから手を離し、懐を探る。両手に1本ずつ黒い柄を握ると、アルトの戦意に応じて赤い光の刃を放つ。一対の光の手斧だ。

「これ以上暴れさせる訳には行かないよ!」

【UC】
武器を握ったまま宇宙バイクに乗るなんて危険だけど、やるしかない!追尾型の光の刃を放ち、アルトは不思議な踊りで切りまくった!

騎乗・追跡・見切り・念動力


霧島・クロト
おー、みっけたみっけた。お前みたいなの『造った』から付き合えよ
……なァ?

【氷戒装法『貪狼の裁鎧』】を【高速詠唱】して、
3mぐらいの魔力で動く機械鎧に乗り込むぜェ。
高機動だろうと『同じ土俵』かソレ以下に引き摺り落とせばいいって話だァ。
氷の魔力を機械鎧に回して【マヒ攻撃】【属性攻撃】【鎧砕き】で強化。
【2回攻撃】を合わせて付属武装で殴るか白兵戦を仕掛ける形で行くぜェ。
かすらせてでも相手を凍らせてご自慢の機動力を奪っていく形で。

「――同じ土俵で戦うんだから、同じ所まで引き寄せなくっちゃ、なァ?」
「ついてこれるか、じゃねェよ。勝手に降りてきて貰うのさァ」


霧城・ちさ
青い騎士さんとの戦いですわね
ここは私達で攻めて艦艇は落とさせて戴きますの
強い意志なら私達も負けませんわっ
二回攻撃や全力魔法など威力や手数の違う攻撃で敵にうまく防御させないように攻撃していきますわね
私たちもこの戦いには負けられませんし回復を行いながら粘り強く敵を消耗させて決定的な攻撃が行える隙を作っていきたいですの


桐崎・早苗
地に足のつかない場では私に出来ることはそう多くはありませぬ。…なればこそ、出来ることへ注力致しましょう。
●戦闘
【桐紋の治癒符】を霊力で飛ばし味方の回復に注力いたします。
プレッシャーへは覚悟と気合いで対応。
飛び道具もそう容易く当たるものでもございませぬし、直撃弾ならば【実戦の勘】【符術・滅気封命符陣】などで対応や迎撃を試みたく。
不用意に向こうから来てくだされば一太刀浴びせるのですが…。
首級の首はやはり狙えるならば。手柄の一つは立てたいので。

プレッシャーって呪詛に含みますでしょうか…?いっそそのまま、通じる思念に呪詛を乗せて返すのも、可能ならば。
睨み返してやりましょう。

・アドリブ歓迎



●蒼い稲妻
 漆黒を星々が彩る空間――宇宙。その中をアルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)は漆黒の大型バイク、ピュートーンで駆け抜けていく。視界に捉える前から、そのプレッシャーは感じていた。手汗握るハンドルを離すと、アルトは見た。
 宇宙空間、そこに咲き誇る大輪の白い爆発を。それは花弁のように無数の爆発が生み出した、戦場の徒花だ。
「くっ、なんて強さだ……」
 サイバーアイで相手の能力を探ろうとして、アルトは逆にその視線に貫かれていた事に気付いた。あそこからここまで、どれだけの距離がある? サイバーアイの拡大を持ってようやく豆粒ほど、あの蒼き稲妻の姿が収められた程度の距離だというのに。

 ――来たか、現代の英雄。

 プレッシャーが、語っていた。銀河帝国時代、ウォーマシンが宇宙を駆け巡る戦場で、人の操縦で蹂躙した、青の突撃騎士GRR-06S ブラウエルフォーゲル――撃墜王(エース)だ。
「だけど、僕は一人じゃない……逃げずに僕も戦わないとね!」
 アルトは宇宙バイクのハンドルから手を離し、懐を探った。ヴン! と両手に1本ずつ黒い柄を握ると、アルトの戦意に応じて赤い光の刃を放つ――ツイン・フォースハチェット、一対の光の手斧だ。
「これ以上暴れさせる訳には行かないよ!」
 ピュートーンは慣性の法則に従い、加速しながらGRR-06S ブラウエルフォーゲルへと迫った。
「さてと……こっちが行くことは知られているようだね」
「わー! 大きい」
 ブラウエルフォーゲルを見下ろし――宇宙空間に重力はないので、上下は主観に過ぎないが――、壱季・深青(無気力な道化モノ・f01300)は無表情で城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)ははしゃぎながら言う。
 宇宙空間を真っ直ぐに進む二人は、あまりにも小さい。光学センサーでこれを捉えるなど、砂漠に混じった砂金を探し出すようなものだ。
「来るよ! 警戒して!」
 だが、その困難をブラウエルフォーゲルはあっさりとやってのけた。青い光線のビームライフルが迎撃してくるのを、深青と冬青は互いの足の裏を合わせ――勢いよく蹴ることで回避する!

「やるな、現代の英雄」

 ブラウエルフォーゲルの中で、エースが笑う。この宇宙空間に、宇宙服一つで身を投げ出す勇気、それは彼にとってしても称賛に能う行為だった。ならばこそ、この撃墜王に遠慮と手加減の文字はない。
 それが、宇宙時代の騎士が持つ『礼儀』だからだ。
「ここは私達で攻めて艦艇は落とさせて戴きますの。強い意志なら私達も負けませんわっ」
 霧城・ちさ(夢見るお嬢様・f05540)が、魔法のピコピコハンマーを振るって翼の生えたハートを二つ、放った。ちさの魔法攻撃を、ブラウエルフォーゲルはバーニアの加速で紙一重で掻い潜る。
「うふふ……素晴らしいですわ! このような素晴らしい機体がまだ残っていただなんて!」
 キャスリーン・ジョイス(はぐれお嬢様純情派・f12803)が、ブラウエルフォーゲルの機動にその目を輝かせる。あの手の機械とは言わばインターフェイス、人間の行なう動作・判断で動かすものだ。ならば、タイムラグがあるはずだ。コンマ秒? いや、あるいはそれよりも短い。
 操縦しているエースに目が行きがちだが、あのブラウエルフォーゲルという機体も素晴らしい! ガジェットに魅入られた者ならば、アレを魅せられて心が踊らぬはずがない。
「でも残念。これを壊さないといけないなんて! でも仕方ありませんわ。ワタクシの技術力の方が上だと見せつけてあげなくては!」
 ガシャン! とキャスリーンの周囲でガジェットが展開していく。
「さぁ、行きますわよ! ワタクシのガジェット! ショータイム、ですわ!」
 キャスリーンのガジェットショータイムが、ブラウエルフォーゲルへと迫った。ブラウエルフォーゲルは、その動きをカメラアイで追わない――追っていては間に合わないからだ。
 ならば、どうする? 答えは簡単だ。

「そこだ!」

 ブラウエルフォーゲルのレーザーライフルが、ガジェットが移動する先を正確に捉え、撃ち落とす! 第六感とそれを支える技術、そして膨大な経験値――レーザーが飛び交う宇宙空間でこそ生まれた、まさに蒼い稲妻だ。

「おー、みっけたみっけた。お前みたいなの『造った』から付き合えよ……なァ? ――我が許に来たれ、七星の加護宿しし壮麗なる裁きの鎧よ」

 霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)が高速詠唱、宇宙空間に描かれた魔法陣へと突っ込む。魔法陣を通り過ぎたクロトは、もはや人ではなかった。氷戒装法『貪狼の裁鎧』――その巨大な機械鎧を身にまとったクロトは、氷魔術で精製された溶けない氷剣を振りかぶった。
「高機動だろうと『同じ土俵』かソレ以下に引き摺り落とせばいいって話だァ!」
「付き合わんよ!」
 クロトが振るった斬撃を、ブラウエルフォーゲルはバーニアの加速で回避する。その軌道上を取ったのは、アルトだ。
「そこぉ!」
 ギィン! とアルトのツイン・フォースハチェットが、蒼い盾に受け止められる。攻撃を『受けた』など、いつ以来か? そう、あれは過去の英雄――解放軍との戦い以来か。
 ならばこそ、ブラウエルフォーゲルは滾る。

「……ついてこれるかな、蒼い稲妻と呼ばれたこの私に!」

 ブラウエルフォーゲルの内部が、蒼く発光。装甲のパーツが展開し、リミッター解除による高機動モードへと移行した。
 そして、戦場を蒼い稲妻が蹂躙した。

●稲妻を捉えよ
「くそ、銀河帝国のエースは化物か!」
「そうとしか呼べないですね……」
 クロトの負傷を桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)は桐紋の治癒符(キリモンノチユフ)による霊符によって、回復する。相手が機械であろうと金属生命であろうと、治癒の効果に代わりはない――それが、ユーベルコードだ。
「脅威ね……護衛として離れられないのよね……なら、あの宙域に対し動きを阻害する何かがあれば機動力も落ちるかしら?」
 烏丸・都留(ヤドリガミの戦艦傭兵ナース・f12904)が視線を向けるのは、銀河帝国の艦艇だ。解放軍と艦艇の戦闘は、今も続いている――この戦争が始まった頃、烏合の衆であった解放軍は、独力で銀河帝国の艦艇と撃ち勝てるほどの練度を手に入れたのだ。生体宇宙戦艦のヤドリガミである都留が見ても、見事なものだった。
 そして、戦場で蒼い稲妻は縦横無尽に飛び回っている。離れてその光の軌道を追えば、驚異的な動きだとわかる。慣性の法則をあざ笑うかのような動きに、しかし、クロトの闘志は萎えるどころか燃え上がる。
「――同じ土俵で戦うんだから、同じ所まで引き寄せなくっちゃ、なァ?」
「引き寄せる、ですか?」
 クロトの言葉に、早苗が問いかける。それに、都留は納得したようにうなずいた。
「そうね、それしかないでしょう」
「い、いや、ですから――」
「簡単な話だ」
 この場で唯一理解できていない早苗に、クロトは『貪狼の裁鎧』の中でニヤリと口の端を持ち上げる。

「――勝手に降りてきて貰うのさァ」

●稲妻がごとく 閃光のように

 ――仕掛けてくるか。

 エースは、第六感でそれを悟っていた。銀河帝国隆盛の時代、この第六感に頼ってブラウエルフォーゲルは戦場を駆け抜けていった。
 この第六感を越えられたのは、後にも先にも解放軍――過去の英雄達にのみ。だからこそ、エースはここにいる。蒼い稲妻は、オブリビオン――過去となったのだ。
「……未練だな」
 脳裏によぎった過去を、エースは刹那で切り払う。だが、エースは考えるべきだった。否、考えていてはもう遅かったのだ――それが、第六感が伝えた警告、予感なのだ、と。
「――!?」
 エースの第六感が、最大級の警報を発した。それが何なのか? ブラウエルフォーゲルのバーニア部分の爆発で、エースは知る。

「これは、デブリ……いや!」

 ブラウエルフォーゲルが気付いた時には、既に囲まれていた。一つ二つかわしたところで意味のないアクティブ・デコイの群れ――都留のフォール・ザ・フォースだ。
「悪いわね騎士道とかないわ……結果が全て……」
 アクティブ・デコイの一斉掃射に、ブラウエルフォーゲルはレーザーの掃射で応える。しかし、そのデコイの影に隠れていた深青と冬青がその瞬間を狙って迫った。
「物語の終わりは……すでに見えている……」
 深青はデコイに隠れ、黒曜の剣にブラウエルフォーゲルの姿を映し続けていた。黒曜奇譚(コクヨウキタン)による強化で深青が迫るのを、ブラウエルフォーゲルは反応する――が、それより速く。
「屍山食らいて実を結び、血河飲み干し咲き誇れ! 花髑髏!」
 血統覚醒によってヴァンパイアに変身していた冬青が放つ花髑髏の一閃が、バーニアの一基を断ち切った。背後での大きな爆発に体勢を崩したブラウエルフォーゲルへ、深青は黒曜羅刹で薙ぎ払った。
「チィ!」
 ブラウエルフォーゲルは、深青の斬撃を盾で受け止める。そこへ重ねるように、ちさの魔法が突き刺さった。
 ブラウエルフォーゲルは即座に盾を放り捨て、その盾が爆発する!
「今ですの!」
「おう!」
 ちさの言葉に応え、クロトが迫る。エースは、それに対して気迫で応えた。
「これ以上はやらせんと言っている!」
 戦慄のプレッシャーが、戦場を覆い尽くしていく。それはクロトへと迫り――直前で、霧散した。
「させませぬ!」
 クロトの背に乗っていた早苗が、凛と言い放つ。それが人の想念であるならば、呪詛に等しい――そして、呪詛であれば陰陽師である自分に対処できないはずがない!
 都留は、見る。自分が持っていた懸念、その最後の一歩を早苗が埋めた。これこそが連携、これこそが力に劣る猟兵が取るべき戦術なのだ。
「ついてこれるか、じゃねェよ!!」
 クロトの氷戒剣:狼顎による一撃が、ブラウエルフォーゲルの右腕、肘から先を斬り飛ばす。そして、氷がブラウエルフォーゲルを覆っていった。
 ――速度で勝てないのならば、相手の速度を落とせばいい。単純な、しかし、もっとも効率のいい選択だ。

「まだだ、まだ終わらんよ!」

 エースが、吼える。ブラウエルフォーゲルが、応える。蒼い稲妻は、地に落とされようと稲妻だ。
 だが、その稲妻さえ、今の猟兵は凌駕する!
「弾幕はパワーですわ! そのどデカイ図体に風穴あけて差し上げますわよ! おーっほっほっほっ!!」
「いい汗かいちゃうよ!」
 キャスリーンが大量複製した多弾連装式連結銃の一斉掃射バレッタ・オーケストラが、ツイン・フォースハチェットと共に踊ったアルトが雷の蛇となって荒ぶる蛇の雷を得る如し(サンダースネイク・ランペイジ)を、同時にブラウエルフォーゲルへと放った。
 ブラウエルフォーゲルが舞い踊るように銃弾に翻弄され、雷の蛇に胴部を撃ち抜かれる――それが止めとなり、銀河帝国のエースは爆発に飲まれていった。

「これで、終わりですわ」
 ちさは、見る。解放軍の砲撃に爆発していく、帝国軍の艦艇を。この結果を、あの蒼い稲妻はただの一機で否定し続けていたのだ。
 しかし、時は逆さまに戻らない。終わった過去は、過去なのだ。だからこそ、猟兵達はこの戦いを負けられないのである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト