第二次聖杯戦争⑫〜|赤き憤怒《レッドフューリー》
●勝利の鍵は怒りにあり?
銀誓館学園の教室に猟兵が集まったのを確認すると、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)がブリーフィングを始める。
「みんな、よく来てくれたわ。今回はオブリビオンとして蘇った原初の吸血鬼、赤と黒の淑女……今は『闇の淑女』を自称しているオクタンスの討伐よ」
かつてこの世界で戦った能力者ならば、オクタンスの事を覚えている者もいるだろう。
今から13年前、マヨイガの戦いにおいて討ち取られた原初の吸血鬼……奴がこの戦争で蘇ったのだ。
「オクタンスはひがし茶屋街周辺を己の『闇の領域』に沈め、大量の鮮血を用いて何らかの儀式を行っているのを予知で観測したわ。それが一体何の儀式なのかまでは分からなかったけど、早い内に制圧した方がいいのは確かね」
だが、闇の領域の内部ではオクタンスの他にも配下の『|吸血鬼大隊《ヴァンパイア・バタリオン》』が大勢布陣しており、鉄壁の防御を持って儀式の邪魔をされないようにしているのだとか。
「今回は他のグリモア猟兵と連携して、他の猟兵が|吸血鬼大隊《ヴァンパイア・バタリオン》と戦っている間、みんなは奇襲部隊としてオクタンスに直接攻撃を仕掛けてもらうわ」
しかし、かつて万の軍勢に匹敵する力を持っていたオクタンスの力は強大である。
奴は復活に際して『極めて冷静になった』らしく、猟兵達の攻撃を冷静に見極めカウンターをしながら、淡々と儀式を続けると言う余裕っぷりを見せるそうだ。
「まともにあいつと戦うと苦戦は必至だけど、かつて『赤と黒の淑女』と呼ばれていたようにオクタンスは『怒ると冷静さを欠く』事でも知られているの」
我を失うぐらいキレさせて『赤のオクタンス』の面を引き出すことが出来れば、奴は儀式と戦闘を両立する事が出来なくなり、キレて滅茶苦茶な攻撃を繰り出してくる。
オクタンスに付け入る隙があるならば、そこしかないと言う訳だ。
……だが、いくら怒らせると言えど、奴はそれで二度も不覚を取った過去がある。
故に生半可な挑発は軽く受け流されてしまう事だろう。
また、上手くキレさせたとしても相手の攻撃は非常に強烈だ。
その辺りを留意しなければ、あっと言う間に返り討ちに遭うのは避けられまい。
「勝利の鍵は敵をどうキレさせるか、それにかかっているわ。十分に気を付けてね!」
〆の言葉と共に、アヤカは闇の領域へのゲートを開くのであった。
NS
はいどうも、|NS《えぬえす》でございます。
何やら色々と懐かしい顔ぶれが出てきているようですね。
戦争シナリオ二本目です、どうぞよろしくお願いします。
●目的
闇の領域へ攻め込み、闇の淑女オクタンスに奇襲を仕掛け、討ち取る。
プレイングボーナス:オクタンスを怒らせる。
OPにもありますが、生半可な挑発はまず通用しないと思って下さい。
そのため、これは挑発に乗らなさそうだと思ったプレイングは不採用になる事を予めご了承いただければと思います(とは言えNSのシナリオなので、その辺りの判定は割と緩めですが)。
また怒らせた後でも奴の攻撃は強烈なので、戦闘プレイングの方もしっかりとお願いします。
●ご注意
プレイング受付は章の導入部を書いてから開始となります。
なお今回はプレイングの内容次第で『リプレイ内容がコミカル寄りに傾く』可能性も割とあります。
その辺りをご理解の上でご参加いただければと思います。
戦争シナリオは戦況にも影響するため、なる早で完結を目標としております。
そのため、リプレイは出来るだけ早めにお返し出来ればと思います。
また、クリアに必要な人数が集まり次第プレイング受付を締め切る方針です。
その際には『プレイング受付〆切』とタグに表記します。
もし参加人数が多い場合、不採用も出る事を予めご了承の上でご参加下さい。
それでは死にぞこないのBBAをキレさせ、やっつけてしまいましょう。
第1章 ボス戦
『闇の淑女オクタンス』
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POW : ジェット・シャーク・ファング
召喚したレベル×1体の【ホオジロザメ型妖獣】に【チェーンソー刃】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
SPD : ブラッディ・シャーク・バルカン
【体内】から無限に供給される【生命体を追尾飛行する鮫型妖獣】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
WIZ : シャドウ・クレマンソー
【現代兵器】で武装した【ヴァンパイア・バタリオン】の幽霊をレベル×5体乗せた【影の空母】を召喚する。
イラスト:新井テル子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●赤と黒改め……
猟兵達はゲートから闇の領域へと飛び込むと、既に何かの儀式を行っているオクタンスの姿があった。
奴はこちらに気付いたのか、儀式を続けつつ口を開く。
「……なるほど、奇襲と言う訳ね。確かに戦術としては上策でしょう。もっとも、わたくしに勝てるのならばの話だけれど」
自分に負ける要素はないと言う自信の表れなのか、余裕たっぷりな様子のオクタンス。
実に癪に障る相手だ。
「かつては赤と黒の淑女と名乗っていたけれど、これからは敬意を持って『闇の淑女オクタンス』とお呼びなさい。わたくしは自らの弱点を克服したの……|怒り《キレ》やすいという弱点をね」
オクタンスは笑いながらそう言った。
奴の言うように『極めて冷静になったのであれば』奴は確かに強敵であろう。
だがブリーフィングで聞いた通り、赤のオクタンスの面を引き出すことが出来れば奴に付け入る隙は十分にある。
いかにして奴を怒らせ、冷静さを失わせる事が出来るかが重要なのだ。
オクタンスをキレさせる巧みな口撃で奴の怒りを引き出し、冷静さを失わせる事で再度撃ち滅ぼしてしまおう!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
何とか怒らせればよい、と。
では、やってみましょう。
まずは服を着て頂けません?
貴女の年齢も有って、猥褻物陳列になっておりますので。
私達が此処に辿り着いたのも、加齢臭を辿ってですし。
無事に怒らせましたら、彼女の『召喚』に合わせ【万華】を発動、『祭礼の女神紋』の効果も併せ『祭器』共々全身を『雷』に変換しますねぇ。
飛翔能力は有っても『雷速』には及ばないでしょうし、怒りに囚われた状態なら、殆どの個体を攻撃に回すでしょう。
であれば、『隙間に入り込む能力』と速度差使い『妖獣』達の間を突破、『FPS』の概念結界で『妖獣』達の転進を阻害しつつ『F●S』各種と『雷撃』で彼女を狙いますねぇ。
●もっとも基本的な口撃手段
「さて、お前達の鮮血も儀式に使ってやるとしましょう。光栄に思うのね」
「まずは服を着て頂けません?」
オクタンスが右手をこちらに掲げると、何もない空間から魔法陣が現れ、その中からホオジロザメ型妖獣が頭を出す。
しかし向こうがジェット・シャーク・ファングを放つ直前、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が先制攻撃……もとい口撃を仕掛ける。
「は? お前は何を言っている? 服は着ているでしょうに?」
布面積が少ないとは言え、これはれっきとした衣装であると言い切るオクタンス。
見ようによっては水着にも見えなくはないが……
「貴女の年齢も有って、猥褻物陳列になっておりますので」
そこへるこるの追撃!
オクタンスのプライドを傷付ける一言に、眉がピクリと動いた。
(こいつッ、高貴たる原初の吸血鬼のわたくしを、猥褻物呼ばわりしただと……!)
一瞬だが怒りに火が付きそうになるも、ここで挑発に乗っては過去の二の舞だと思い直したか、心を落ち着かせようとする……のだったが。
「フ、フン。その程度の言葉でこのわたくしが」
「私達が此処に辿り着いたのも、加齢臭を辿ってですし」
「……あ゛?」
臭い。
その一言を耳にしては、さすがのオクタンスも燻っていた怒りに火が付いたようだ。
「こ……このクソガキがッ、惨たらしく殺してやるッ!」
一気に化けの皮が剥がれたオクタンスが怒り狂う。
付け入る隙が生まれた今がチャンスだ。
「妖獣共、あのクソガキを喰らい尽くせッ!!」
怒りのままにオクタンスがジェット・シャーク・ファングでホオジロザメ型妖獣を大量に召喚すると、るこるに向けて一斉に放つ。
仮に奴らに襲われてしまえば、骨の一欠片も残さずに喰い尽くされてしまう事だろう。
「本当の事を言われてあれだけキレるなんて、やっぱりダメですねぇ」
やれやれと言った様子でるこるが『|豊乳女神の加護・万華《チチガミサマノカゴ・カギリナキハナ》』を発動させ、全身と祭器を雷に変換すると、襲い掛かってきた妖獣を雷の速度で瞬時に躱す。
いくら妖獣が高速で飛翔出来るとは言え、雷の速度にはさすがに追いつけるはずもなく……
「おのれ、ちょこまかと! もっと早く追いかけろ!!」
こちらの攻撃が当たらない事にオクタンスは苛立つしかない。
もし奴がまだ冷静でいられたのであれば、何かしらの対抗策でも打ち出してきたやもしれないが……
「万の軍勢に匹敵すると聞いてましたけど、とんだ期待外れですねぇ?」
「……貴様ァ、言わせておけばッ!!」
るこるは攻撃を避けつつ、更に挑発を重ねる事で更にオクタンスの怒りを誘う。
何せ向こうの速度が速すぎて、当てようにも当てられないのだ。
苛立つのも当然である。
「では、そろそろ仕掛けさせてもらうとしましょうかぁ」
こちらに向けて飛んできた妖獣の間をるこるは隙間に入り込む能力で抜け、『FPS』の概念結界で妖獣の転進を阻害する事でオクタンスを単独の状態に持ち込むと、祭器の浮遊武装各種と雷撃を一斉に叩き込んだ!
「な、しまっ……があぁぁぁぁぁッ!?」
そのままオクタンスは一斉攻撃をまともに浴び、痛烈な一撃を被るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
人を怒らせるには自分が言われて嫌な事を言うのが基本よね
ちょっと質問
あなた何歳?
アラフォーじゃ済まないわよね
分かるわよ
だって私もいい歳だもの
そう言えばあなたの同僚…あの山林の王キャラみたいなキラキラネームの小娘
しなもんとここあだったかしら?
その子達に言われたのよ
ピークを過ぎた癖にやたらと肌を出してる惨めな勘違い行き遅れおばさんが前線に出張って耳障りな声でイキり散らしてるって
あなたは言われた?
多分陰で言われてるわよ
私とあなたは見た目だけなら似たような年齢層だし
…思い出したら私の方が腹が立ってきた
ちょっとあなた
あのガキ共の居場所を吐きなさい
吐く気がないなら用済みよ
鮫諸共この区画ごと暗月に潰されなさい
●対決、BBA対BBA!
「人を怒らせるには自分が言われて嫌な事を言うのが基本よね」
自身もかつて別世界の依頼で同じ経験を味わったのか、桐嶋・水之江(|機巧の魔女《モーラットイーター》・f15226)にはオクタンスを怒らせるであろう策があるようだ。
とは言えオクタンスは極めて冷静になった事もあり、水之江の口撃がどこまで通じるのかは未知数だ。
「く、わたくしとした事が何たる失態を……しかし今度はそうはいかないわよ」
一方で先程手痛い一撃を喰らった事で冷静になったか、オクタンスが立ち上がり再度戦闘体勢に入る。
「冷静になったわたくしに」
「ちょっと質問。あなた何歳?」
ここで突然、水之江の物言い!
初手から歳を聞くとは何ともカッ飛ばしている。
「アラフォーじゃ済まないわよね。分かるわよ、だって私もいい歳だもの」
……本人自らがいい歳と口にしていて、自身にダメージは受けないのだろうか。
もしかしたら割り切っている可能性もあるやもしれないが。
「は? 歳? そんなの千から先は覚えている訳がないでしょう?」
対するオクタンスは『何言ってんだこいつ』と冷めた表情である。
こうかは いまいちのようだ。
「そう言えばあなたの同僚……あの山林の王キャラみたいなキラキラネームの小娘、しなもんとここあだったかしら?」
あの水之江さん、そのギリギリ攻めたセリフは大丈夫なんですか。
「うん? ……ああ、あのナイトメアビーストの子供二人の事かしら?」
「ええ、その子達に言われたのよ。『ピークを過ぎた癖にやたらと肌を出してる惨めな勘違い行き遅れおばさんが前線に出張って耳障りな声でイキり散らしてるって』」
※言われてません。
※水之江の捏造です。
「あなたは言われた? 多分陰で言われてるわよ」
「な、何ですって……?」
あの姉妹とは最低限顔を合わせた事はあったかもしれないが、どのような性格かまでは把握していない事から『もしかしたら本当に陰口を叩かれているのではないか』と思い、オクタンスの怒りに火が付きそうになる。
「私とあなたは見た目だけなら似たような年齢層だし」
「に、似たような……ッ!?」
みずのえの じばくこうげき!
オクタンスのこころに つうれつないちげき!!
まあ確かに二人ともBB……もとい妙齢と言うか何と言うか。
「おのれッ、さっきから好き放題口にして……貴様の事は許さ」
しかし、なんやかんやでオクタンスはキレた。
水之江の捏造を信じ込んでしまっている辺り、冷静さはどこへ行ったのか。
「……思い出したら私の方が腹が立ってきた。ちょっとあなた、あのガキ共の居場所を吐きなさい」
「は!? そんなクソガキ共の居場所など知る訳ないだろう!? そもそも、ここで儀式をしている訳で」
うわあ、なんだか色々と理不尽と言うかグダグダな展開になってきたぞぉ。
「吐く気がないなら用済みよ。鮫諸共この区画ごと暗月に潰されなさい」
「ええい妖獣よ、あの女を喰らい尽くグベボッ!?」
そして養豚場の豚を見るような目で『|水之江の暗月《ミズノエ・ダークムーン》』で暗月を射出する水之江。
慌ててジェット・シャーク・ファングで迎撃するオクタンスであったが、触れるユーベルコードの全てを消滅させる力を宿した暗月に妖獣は消滅させられ、そのままカエルが潰れたような声を上げるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アルジェン・カーム
…あまり人を怒らせるというのは好きじゃないんですけどね
とはいえ温厚な人を怒らせる手段というのも一応知らない訳じゃありません
キレさせる手段
(極めて簡単な手段ですがこれしか思いつきませんでした…
単純にオクタンスの言葉を唯々オウム返しで繰り返し続ける
人はこうして真似されることを不快に感じるものですからね
【戦闘知識】
敵の動きと攻撃の癖を把握
【オーラ防御】
オーラ展開
主にキレた敵の攻撃の癖を察知しての回避に利用
【念動力・弾幕】
ケルベロス展開
念動光弾の弾幕で鮫型妖獣を迎撃
【二回攻撃・切断・串刺し・貫通攻撃】
UC発動
己の限界まで力を引き上げて宝剣による連続斬撃から槍による串刺しへ繋げ最後宝剣で切り上げ!!
●シンプルかつ分かりやすくキレさせる手段
「……あまり人を怒らせるというのは好きじゃないんですけどね」
怒らせなければ倒す事もままならない敵とは、なんとも厄介な敵が現れた物だとアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は嘆息する。
(とはいえ温厚な人を怒らせる手段というのも一応知らない訳じゃありません。キレさせる手段……となれば……)
アルジェンは考える。
オクタンスはどう見ても温厚とは言えないだろうが、奴を怒らせる手段はあるはずだ。
「ぐぐ、おのれ……こうも巧みにわたくしの心の隙を突くとは」
「ぐぐ、おのれ……こうも巧みにわたくしの心の隙を突くとは」
オクタンスの言葉にアルジェンがオウム返しで繰り返す。
それも心のこもっていない棒読み気味で、だ。
「……しかしそれもここまでよ。わたくしは冷静さを得た、故に敵はないわ」
「……しかしそれもここまでよ。わたくしは冷静さを得た、故に敵はないわ」
スルーしようと自身の言葉を口にするオクタンス。
それに続いて構わず相手の言葉を繰り返すアルジェン。
(極めて簡単な手段でこれしか思いつきませんでしたが……人はこうして真似されることを不快に感じるものですからね)
根本的に不快に感じる嫌がらせを行うアルジェンだったが、奴が少しばかりイラッとしているのを見るに、効果はじわじわとだが出ているようだ。
「……ええい、真似をするな! 鬱陶しいわ!」
「……ええい、真似をするな。鬱陶しいわ」
アルジェンは当然ながら嫌がらせをやめなかった。
これで向こうがキレてくれれば狙い通りだからだ。
「……貴様、そんなに死にたいか? いや、聞かずとも殺すがな!」
「……貴様、そんなに死にたいか? いや、聞かずとも殺すがな」
そして決してオウム返しをやめないアルジェンに、オクタンスはついにキレた。
「……その口を永遠に聞けなくしてやるッ! 行け、妖獣よ!」
怒れるオクタンスがその場に立ち、ブラッディ・シャーク・バルカンで体内から無限に供給される鮫型妖獣を放つ。
尽きる事のない鮫型妖獣がアルジェンへ向け、次々と牙を剥く。
「ようやくキレてくれましたね。では、行きますよ」
戦闘開始と同時にアルジェンはオクタンスの動きと攻撃の癖を素早く読み、飛んできた鮫型妖獣をオーラ防御で逸らして回避する。
攻撃を回避しても鮫型妖獣は生命体を追尾飛行する能力があるため、空中を180度ターンで素早く回頭し、再度彼の元へ突撃していく。
「僕にも迎撃手段はありましてね!」
そう言うやBX-F遊撃射撃兵装『ケルベロス』を展開し、念動光弾の弾幕で鮫型妖獣を撃ち落とす。
このまま壮絶な撃ち合いになるかと思われたが、ここまで相手の攻撃の癖を読み切った事で『|絶・四門開門《ゼツ・シモンカイモン》』を発動させる。
「あなたを…『仕留め』ます」
「な、こいつ、どこにそんな速度が……!?」
高速で攻撃出来るからと言う理由で足を止めた事が奴の大きなミスであった。
一瞬の隙を突いて急速接近を行うと、アルジェンは己の限界まで力を引き上げ、宝剣による連続斬撃から槍による串刺しへ繋げ、再度宝剣を手にする。
「……これで!」
「ぐはッ!? ……お、おのれ、おのれおのれェェェッ!」
そして仕上げに渾身の力を込め、一気に斬り上げるとその身に大きな傷を付けられ、鮮血を噴き出すオクタンス。
恨みの籠った叫びから、受けた屈辱は計り知れない物となった事だろう。
大成功
🔵🔵🔵
アドナ・セファルワイド
貴様は伯爵に拘っていると聞いた
奴は流石だな
偶然が重なったとはいえ札幌で犠牲者が出た銀誓館相手に大陸妖孤を介して講和を勝ち取り、特別勢力として協力関係を握りとった
どんなものも生きていれば勝ちなのだ
オブリビオン化した上で気合と根性でその宿痾から逃れたならまだしも、オブリビオンの宿痾に囚われた状態で生き残った伯爵を見下しても滑稽なだけだ
ああそれとも…おめでとう、過去の奴隷になった気分はいかがかな?
そう褒めればよかったかな?
そう言って激怒させた後、UCを発動
全属性のヴァルギリオスバリアを多重に重ねて鮫型妖獣を受け止め、そのまま全属性ブレスで反撃
そうして確実に防御しながら反撃で倒すぞ
●赤と黒の淑女と伯爵
「凡愚共め、思った以上にやるようね……」
ここまでいいようにやられ、オクタンスが荒い息を吐く。
未だ致命傷に至らずとも、猟兵達の巧みな口撃で自身のプライドを深く傷付けられた事は事実であり、それが原因となって怒り狂った事で傷を負う事となった。
冷静になったと思い込んだ自らの慢心が招いた結果である。
「さて、貴様は伯爵に拘っていると聞いたが」
続いてオクタンスの前に立ちはだかるのはアドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)。
彼女は伯爵を引き合いに出し、怒りを誘うつもりのようだ。
「……伯爵? ああ、オブリビオンの愉悦を理解出来ぬ考えの古い愚かな同胞ね」
「奴は流石だな。偶然が重なったとはいえ札幌で犠牲者が出た銀誓館相手に大陸妖孤を介して講和を勝ち取り、特別勢力として協力関係を握りとった」
アドナはこの世界の記録で確認した伯爵戦争を語る。
生命賛歌の切れる直前でいよいよ伯爵の喉元に刃を突き付け、決着も間近と言うところで乱入した妖狐と異形の勢力……当時の能力者達は選択を迫られるも、結果的に妖狐勢との共闘により異形を撃退する事となった。
それ以後はシルバーレインの辿った歴史の通りである。
「へえ、わたくしが討たれた後にそのような事がね……それとは何の関係が?」
「分からないか? どんなものも生きていれば勝ちなのだ」
猟兵達の見た予兆でオクタンスはこう口にした。
『永遠に骸の海を漂う悦び。これは、『伯爵』といえど味わった事は無いでしょうね』と。
「オブリビオン化した上で気合と根性でその宿痾から逃れたならまだしも、オブリビオンの宿痾に囚われた状態で生き残った伯爵を見下しても滑稽なだけだ」
「……ッ!」
何か引っかかる物を感じてか、オクタンスの眉が動く。
「ああそれとも……おめでとう、過去の奴隷になった気分はいかがかな? そう褒めればよかったかな?」
オブリビオンとは消費された過去の化身。
死して蘇った存在は世界を滅ぼすための奴隷として、戦う事を余儀なくされる。
アドナ曰く、オクタンスもそうなのだと。
「貴様……奴隷と愚弄するか……ッ!」
口ではどうとでも言えるだろうが、オクタンスはどこかしら伯爵に対するコンプレックスがあったのだろう。
その辺りを上手く突かれた事で、怒りの導火線に火が付いたようだ。
「行け、妖獣共! あのクソガキの腸を喰らい尽くせ!!」
怒りのままにジェット・シャーク・ファングを放つオクタンス。
無数のホオジロザメ型妖獣がアドナを襲う。
「では、余の力をとくと見せてやろう」
アドナは『|帝の名を冠する竜の頂たる戴冠宝器《ドラゴンズ・レガリア・ヴァルギリオス》』で帝竜ヴァルギリオスに変身すると、ヴァルギリオスバリアを多重に重ねてジェット・シャーク・ファングを迎え撃つ。
多重のバリアに阻まれた妖獣は必死にチェーンソー刃で壁を破ろうとするが、まるでびくともしない。
「な、何故だ!? わたくしの力は万の軍勢に匹敵するはず……!」
「怒りに我を忘れているようでは、貴様は所詮その程度と言う事だ」
バリアに阻まれている妖獣を反撃のブレスで焼き払うアドナ。
ブレスはオクタンスに向け、更に飛んでいく。
「ま、負けるか! 負ける物か!! わたくしは闇の淑女、こんな奴らに……!」
オクタンスは必死にホオジロザメ型妖獣を放つも、それは無駄な抵抗だと思い知るのにそう時間はかからなかった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
オブリビオンとなって良かったと語るとは……アレか、自らの人生を否定する愚者か?
何故ってそうだろう、負けてよかった。死んでよかったと言っている訳だ
その程度の根性しかない奴がこれからを語るとは片腹痛いにも程がある
所詮は過去の残滓でしかないお前は何も変わる事はない。変わったと思い込もうとしているだけだよ
あくまで淡々と、冷静に。これも煽ってるように聞こえるだろう……正直こういうのは得意じゃないんだけどな
神刀を抜き、神気を纏って身体能力を強化
基本的に回避と防御優先。飛んでくる鮫を切り払いつつ会話の時間を稼いでおく
怒らせたなら、一気に踏み込んで、大上段からの振り下ろし。参の型【天火:猛】を叩き込む
●正論で斬る
「そう言えばお前、確かオブリビオンの愉悦がどうとか言ってたよな?」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が単刀直入に尋ねる。
彼の問いを受けるとオクタンスは邪悪な笑みを浮かべ、こう答えた。
「ええ、言ったわ。永遠に骸の海を漂う悦び……それを知らずにいた、わたくしの何と愚かだった事か」
13年前は戦いの中で恨み節を口にしながら塵と消えたオクタンスであったが、オブリビオンとして蘇って以後は実に生き生きとしているようだ。
「オブリビオンとなって良かったと語るとは……アレか、自らの人生を否定する愚者か?」
「わたくしの事を愚者ですって? ……フン、何故そんな事を?」
「何故ってそうだろう、負けてよかった。死んでよかったと言っている訳だ」
敗死した末にオブリビオンとなったオクタンスが今に満足していると言うのは、つまりそう言う事なのだろう。
「そんな物は生きている愚か者には理解出来ないでしょうね、何せわたくしは」
「その程度の根性しかない奴がこれからを語るとは片腹痛いにも程がある」
オクタンスの言葉をピシャリと遮り、鏡介が言い切る。
「確か自らを『冷静になった』とか言っていたな? 所詮は過去の残滓でしかないお前は何も変わる事はない。変わったと思い込もうとしているだけだよ」
「な、わたくしが何も変わっていない、ですって……!?」
「だってそうだろう? 現にさっきからやられっ放しじゃないか」
「ぐッ……!」
奴自身は冷静になったとは口にしても、猟兵達から言葉巧みに怒りを引き出され、その結果がこれである事を淡々と、冷静に指摘する。
正論を叩き付けられた事で何も言い返せないオクタンスだったが……
「貴様……許さんぞッ!!」
これ以上は我慢ならぬと言った様子でオクタンスがキレた。
こうなれば実力で黙らせるしかないと思ったのだろう。
(……正直こういうのは得意じゃないんだけどな。でも上手く行ったから御の字か)
言ってみるものだと鏡介は思いつつ、『神刀【無仭】』を抜く。
オクタンスはすぐにでもこちらに攻撃を仕掛けてくる事だろう。
「わたくしが敗北者かどうか、身をもって教えてやる! やれ、妖獣!」
ジェット・シャーク・ファングを鏡介に向けてけしかけるオクタンス。
妖獣の体に生えたチェーンソー刃が唸りを上げて襲い掛かる。
「なるほど、確かにこいつはなかなか強烈だな」
鏡介は襲い来る妖獣の攻撃を避け、時には神刀で受け止めつつ、一瞬の隙を突いて切り払うなどして迎え撃つ。
放たれた妖獣の数が多い分、彼はやられないよう立ち回るのが精一杯なようだ。
「フハハ! 少しは腕があるようだが、どうやら防戦一方のようだな!」
「そうか? 俺を倒すには勢いが足りてないんじゃないのか?」
それでも鏡介は敢えて余裕を見せ、オクタンスを挑発する。
実際のところ威力や勢いは大した物だが、怒りで我を忘れている事から攻撃は単調と言わざるを得なかった。
「ほざけッ!」
煽られた事で更に怒りに火が付き、攻撃の手を更に強めるオクタンス。
それが自身の隙を更に生み出している事に気付くはずもなかった。
「……ここだ!」
そして、大きな隙が生まれたチャンスを逃さず鏡介が一気に踏み込む。
一歩、二歩、三歩と駆け抜け、大上段からの振り下ろし……『|参の型【天火:猛】《サンノカタ・アメノヒ・タケリ》』を叩き込んだ。
「ぐ、あぁぁぁぁぁッ!?」
怒りで回りが見えなくなった事で参の型【天火:猛】をまともに受け、その身に大きな傷を刻まれ鮮血を噴き出したオクタンスが絶叫する。
オブリビオンとなった原初の吸血鬼に、再びの死が着実に迫りつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
フカヒレ・フォルネウス
アドリブ連携コミカル歓迎
何か、騙されやすそうな女ですね。
恩を返す主義と言ってますが、深く考えずに命令してきた奴の言いなりになってる様子ですし。
……まあ、一当てしてみましょう。
『黄駆鮫』に乗り、闇の領域を駆け抜けて、と。
「ははははは!
オクタンスといいましたか?
いやはや、見込みがありそうだと思っていたのですが、なかなかどうして……哀れなのでしょう!
骸の海からのこのこと這い出てきて、僕たち猟兵に狩られるなんて……可哀そうにもほどがある!」
と、仰々しく蔑んでみせて怒らせてみます。
冷静さを欠いて召喚されたホオジロザメ型妖獣の群れの中を潜り抜け、オクタンスに一撃……黄駆鮫の体当たりをぶつけるとしましょう!
●サメにはサメをぶつけるんだよ!
「おのれ、クソ共が……どこまでも儀式の邪魔をして……!」
いよいよ醜い本性を隠しきれなくなってきたオクタンス。
奴の筋書きとしては、奇襲を仕掛けてきた猟兵相手に冷静かつ華麗に儀式を行いつつ迎撃すると言った物であった。
……だが、蓋を開けてみればどうだろう?
その失態ぶりは、ここまでの戦いを見れば敢えて語るまでもない。
「だが、もうあんな陳腐な挑発には……ん? あれは何かしら……?」
オクタンスはもう二度と怒り狂う事などしないと自ら誓う。
そんな中、闇の領域を何かが高速で駆け抜け、こちらに向かってきている事に気付く。
今度は一体何が来ると言うのか?
「ははははは!」
高笑いと共に現れたのは、フカヒレ・フォルネウス(鮫の悪魔の四天王・f31596)。
彼は四脚の生えた草食鮫『黄駆鮫』に乗って颯爽と闇の領域を……いやちょっと待て!
鮫なのに四脚ってどう言う事なんだ!?
あとフカヒレさん鮫の悪魔なんですが、鮫(の悪魔)が鮫に乗っているって鮫だけでゲシュタルト崩壊起こしそうだよ!
「え、シルバーレインの世界ではそう言う鮫もいるでしょう?」
いやまあ確かにシャークバイソンとか陸鮫はいるけども!
と言うか、アイテム分類見たら馬ですよね、それ!?
「これは鮫です、いいですね?」
アッハイ。
「……な、妖獣!? よもや猟兵が妖獣を駒にするとは……」
あとなんかオクタンスが(プレイングによるギャグ補正で)黄駆鮫をむ妖獣と誤認してるんですがそれは。
「何か、騙されやすそうな女ですね」
むしろ現在進行形で騙されてますね。
案外頭は弱い可能性がありそうな気が……?
「恩を返す主義と言ってますが、深く考えずに命令してきた奴の言いなりになってる様子ですし……まあ、一当てしてみましょう」
一体誰に命令されているのかは分からないが、それはともかくオクタンスを倒す事が今は最優先。
フカヒレもまた、相手の怒りを引き出すため黄駆鮫にライドしたまま挑発に出る。
「オクタンスといいましたか? いやはや、見込みがありそうだと思っていたのですが、なかなかどうして……哀れなのでしょう!」
「何? わたくしを哀れだと……?」
「骸の海からのこのこと這い出てきて、僕たち猟兵に狩られるなんて……可哀そうにもほどがある!」
フカヒレはそう仰々しく蔑んでみせる。
仮に戦いが始まった直後ならばオクタンスは軽く受け流していただろうが、既に何度となくボコボコにされている事から冷静でいられなくなったか。
「……狩られるのは貴様らの方だ、この匹夫共がッ!」
オクタンスは既に何度目か分からないジェット・シャーク・ファングを放つと、召喚されたホオジロザメ型妖獣の群れが大口を開け、フカヒレに牙を剥く!
「いいでしょう、鮫比べと行きますか!」
鮫比べなるパワーワードを口にし、フカヒレが黄駆鮫に騎乗したまま襲い掛かるホオジロザメ型妖獣の群れに正面から突っ込んでいく。
あれだけの数を相手に真っ向勝負は自殺行為もいいところだ。
「フン、自ら死にに来るとは愚かの極み! その死に様をとくと見させ……」
だが次の瞬間、オクタンスが驚愕に目を見開く。
荒波のごとく迫るホオジロザメ型妖獣の群れの中を難なく潜り抜け、フカヒレが『|黄駆鮫・雷電《サンライトイエロー・ライトニングシャーク》』で突っ込んできたではないか!
「な、何ィーッ!?」
「黄駆鮫よ、今が駆け抜ける時! ハイヤァーーーッ!」
「グワァァァーーーッ!?」
理解不能な状況に唖然とするオクタンスへ、スパーク状態の黄駆鮫が突進!
高速かつ質量のある体当たりでそのまま無慈悲に吹き飛ばしたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鳥羽・白夜
|起動《イグニッション》!し、紅い刃の大鎌を手に。
覚えてるぞオクタンス、すげーインパクトだったからな。目に毒的な意味で。
闇の淑女…ってかどう見ても痴女だよな…
(実際マジでそう思う)
で、極めて冷静になったって?どこが?見てきたとこ、めっちゃキレまくってたけど。結局何も変わってねーのな。だからお前はダメなんだよ。
うまく【挑発】に乗せられたなら指定UC展開。
攻撃速度3倍になってもミストファインダーを通ればエネルギーは落ちる。あとは【オーラ防御】で闇のオーラを纏って防御力を上げ、大鎌で妖獣から【生命力吸収】で生命力を奪って耐えつつ、ミストファインダー越しにエネルギー3倍に増した【斬撃波】を放ち攻撃。
●闇に、沈む
「|起動《イグニッション》!」
イグニッションの叫びと共に鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)が紅い刃の大鎌を手にすると、満身創痍のオクタンスの前に立ちはだかる。
奴と戦うのはマヨイガの戦い以来か。
「覚えてるぞオクタンス、すげーインパクトだったからな」
「それはわたくしの強大さと美しさの事かしら? まあ当然でしょうね、何せ」
「いや、目に毒的な意味で」
白夜の容赦ない一言に、オクタンスの眉間に皺が寄る。
もしかしたら、ピシッと空気にヒビが入ったような音がしたやもしれない。
「闇の淑女……ってかどう見ても痴女だよな……」
当時と変わっていない衣装を前に、思わず本音を漏らす。
実際、あれだけの露出度なら痴女呼ばわりされてもおかしくはないだろう。
「だ、誰が痴女ですって……!?」
オクタンスは聞き捨てならないとばかりに殺意のこもった声を上げる。
当然、白夜がその程度で怯むはずもない。
「で、極めて冷静になったって? どこが? 見てきたとこ、めっちゃキレまくってたけど。結局何も変わってねーのな。だからお前はダメなんだよ」
そして畳みかけるように事実を次々と連ね、精神攻撃を行う白夜。
言葉の刃がオクタンスの心をズタズタに引き裂いていくと、ついに抑えていた本性を露にし、口汚くこう叫んだ。
「……クソッ、邪魔をするなこのビチグソ共が! 死の宇宙で生まれたリリスの女王の『本体』を抽出して『|持ち帰る《アーカイブ》』事の何が悪い! お前達さえ、いなければ!!!!」
「リリスの女王の『本体』だって……!?」
白夜は思わぬ情報を引き出せた事に驚く。
奴がこの場で行っていた儀式はそれが目的だったとでも言うのか?
色々と気になるが、今はすべき事を優先しなければならない。
……オクタンスの討伐と言う、最重要任務を。
「お前の目的は分かった以上、そろそろケリをつけさせてもらうぜ、オクタンス」
「舐めるな、クソガキが! 貴様ごときに負けるものかッ!!」
いよいよもって憤怒の化身となったオクタンスがその場でブラッディ・シャーク・バルカンをひたすら放つ。
鮫型妖獣が物凄い速度で獲物――白夜を喰らわんと襲い掛かる。
「確かにまともにやり合うと勝ち目は薄いみてーだな。……けど、怒り狂った時点でお前の負けは決まってんだよ」
相手のブラッディ・シャーク・バルカンに合わせ、白夜が『ミストファインダー』で前方に霧のレンズを設置する。
ストレートに飛んできた鮫型妖獣が霧のレンズを通過した瞬間、その速度は3倍の射出速度が10分の1にまで激減。
一気に攻撃を見切りやすくなった事で防御用として闇のオーラを纏い、大鎌の生命力吸収で鮫型妖獣を次々と斬り払っていく。
「な、何故だ!? 何故こいつは傷一つ付かないのだ!?」
対処出来ないレベルの乱射を行っているのにも関わらず、白夜にはまるで効いていない様子にオクタンスが焦りを見せる。
冷静さを失っていると、こうも周りが見えないものなのか。
「おいおい、その程度か? 何ならこの倍は来ても余裕だぜ?」
「い、言わせておけば!! 闇の淑女に負けは、負けは無いのだッ!!」
永遠に黙らせてやるとばかりにブラッディ・シャーク・バルカンの勢いを強めるオクタンスであったが、ミストファインダーへの対策を怒りで講じる事が出来ない時点で、決着はついたような物であった。
「こいつにはこーゆー使い方もあるんだぜ……そらよ!」
ブラッディ・シャーク・バルカンの僅かな切れ目を狙い、白夜が渾身の力を込めた斬撃破をミストファインダー越しに3倍のエネルギーで放つ。
まるで突風のようにブワッと斬撃破がオクタンスを通り抜けていく。
「が、はッ……おの、れ……またしても、またしても負ける、など……ッ!」
それが致命傷となったのか、最期の言葉を吐いた直後にオクタンスの胴体が真っ二つに両断され闇の中へと沈み、そして溶けていった。
かくしてオクタンスは再び討ち取られ、闇の領域は消滅した。
――しかし、奴が口にした『死の宇宙で生まれたリリスの女王の『本体』とは一体なんだったのか?
新たな謎を残し、第二次聖杯戦争は新たな局面を迎える……。
大成功
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