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第二次聖杯戦争⑭〜グレイブ・ディファイラーズ

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #トゥルダク

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 天徳院は今年で建立400年を迎える曹洞宗の寺院である。
 その歴史に相応しく、広い境内には齢を経た木々が枝を伸ばし、参拝者を楽しませてくれる。
 だがその境内のあちこちに、樹木の根が露出する程の大穴が開いていた。
 ざっざっざっ。
「るーるー」
 その穴の側にスコップを突き刺し、しきりに土や石畳を掘り返すのは、白髪の少女達。
 だが、くすんだ色合いの洋服から覗く彼女達の体には、本来あるべき肉が無かった。明らかにこの世の存在ではない。
 ざっざっ。
 感情も抑揚も篭らないるーるーという言葉だけを繰り返し、少女達は無表情で手を動かし続ける。
 ざっ。
「るー」
 やがて、何かを掘り当てた一人が、ぶんぶんとスコップを振って合図をする。
 するとたちまち石灯籠の陰から、木立の間から、塀の側から、境内中からそっくりな少女達が集まって来た。
 同じような作業をしていたのだろうか。土に塗れた彼女達の数は予想以上に多い。
「るーるー」「るーるーるー」
 しばらく頭を寄せ合いそんな事を言っていたかと思えば、全員でその一箇所を掘り返し始めた。
 急ピッチで進む作業。すると程なく辺りには、瘴気と腐臭が立ち込め始めるのだった……。


 グリモアベースの片隅に集まった猟兵達を前に、アメリア・バーナード(量産型キャバリア乗り・f14050)が、予知の内容を語り始める。
「みんな、集まってくれてありがとう。シルバーレインでの戦争、『第二次聖杯戦争』についてよ。今回みんなに対処してほしいのは、『トゥルダク』の群れよ」

 トゥルダクは『地面を掘り返すことで、かつて滅びたゴーストをオブリビオン化して蘇生させる』というユーベルコードを持ったオブリビオン。
 彼女達は天徳院の境内でこれを使い、過去に銀誓館学園の能力者達と戦った、強力なゴーストを多数蘇生しようとしているのだという。
「かつてのゴーストをオブリビオン化するわけだから、ユーベルコードも使える訳よね。だから……厳密には強化復活と見て良いわ。そう考えると、なかなか厄介かも」
 トゥルダクが地面を掘り返し続ける限り、無数のオブリビオンを生み出され続けるだろう。
 急ぎ現地に赴き、一刻も早く止めなければなるまい。

「トゥルダク達の数は多いみたい。でも時間を掛ければ、それだけ取りこぼしのトゥルダクがオブリビオンを発生させてしまうでしょうね」
 そうならないためにも、なるべく手早く多くの敵を蹴散していく事が求められる。
「神聖な場所をオブリビオンの発生源にする訳にもいかないわ。という訳で、一刻も早く、撃破を宜しくお願いするわね」


白妙
●戦争シナリオ
 これは戦争シナリオです。
 1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。

●状況
 ゴースト『トゥルダク』の群れが天徳院の境内のあちこちでゴーストを復活させています。
『トゥルダク』はあちこちに散っていますが、決して境内から出ることはありません。

●プレイングボーナス
『多くのトゥルダクを素早く倒す』です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『トゥルダクの群れ』

POW   :    るーるー
【スコップ】のスイングで近接範囲の敵全員にダメージを与え、100m吹き飛ばす。
SPD   :    るーるーるー
【スコップ】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を掘って死の瘴気を浴び】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    るー、るーるー
【スコップ】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。

イラスト:ふじ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
敵が境内のあちこちに散っているのは面倒ね。
なら、まるごと絨毯爆撃(敵味方識別付き)で片づけましょうか。

できれば境内全体を把握できる場所に位置取り。
気づかれないように[目立たない]ように、ね。
そしてユーベルコード【ヤヌスの矢】。
境内全体を戦場と見なして、全域に魔法の矢の雨を降らすわ。
「降り注げ、友に癒しを、敵には滅びを」
味方や一般人が万一いてもそちらには癒しの矢をプレゼントよ。多少怖いかもしれないけれど、そこは勘弁してほしいわね。



 天徳院本堂。その瓦屋根の上に、人影が滑り込む。だがそれに気付いた者は居ない。
 何故なら地上から発見されにくく、かつ境内全体を視界に収められるこの位置を、最初からヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は選んで現れたのだから。
『るーるるーるーるるる』
『るーるーるー』
「……面倒ね」
 ヴィオレッタが呟く。
 風に乗って聞こえて来る声は、たった一箇所からではない。
 空き地から木立から灯篭の隙間から。
 声の主であるトゥルダク達は、境内の至る所に散っている事が見て取れた。
 ならば、境内全体を戦場と見なさねばなるまい。
「――降り注げ、友に癒しを、敵には滅びを」
 そうヴィオレッタが呟いた、次の瞬間、天空より何かが迫る。
『るー』
 見上げるトゥルダク達。
 驟雨、と錯覚したのは一瞬。
 ざぁ、と音を立てて地上を襲ったのは、夥しい数の魔法の矢であった。
 炸裂する魔力の絨毯爆撃に打たれ、至る所で灰色の少女達が斃れていく。
「さて」
 新たに境内に響き始めた戦闘音の方へと、ヴィオレッタが視界を転じる。
 そこには癒しの矢をプレゼントすべき仲間の猟兵達が居る筈だ。
 もっとも、その恩恵を受ける為には、矢の雨の中に留まる必要があるのだが。
 とはいえヴィオレッタが良い形で戦端を開いたのもまた事実。
「そこは勘弁してほしいわね」
 なおも気配を殺しつつ、ヴィオレッタは皮肉交じりにそう呟いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スミス・ガランティア
ニホンの文化に明るくないからテラ、がどういう場所かは我は分からないけど……ここは人の子が大切にしている神聖な場所だと聞いたよ。
それをそんな風にぐちゃぐちゃにしてしまうなんて……酷いことをするね(静かに怒る神様。その影響で周囲の温度が刺すような寒さになる

なら、その道具を奪ってしまおうか。
【氷結の世界】を発動させてトゥルダクの持ってるスコップを吹雪に変換するよ。これで掘ることも自己強化も出来なくなるだろう。
そこに変換した吹雪による【範囲攻撃】を打ち込もうか。できるだけ沢山巻き込めるようにね。

これが無粋なことをする君たちへの【神罰】だよ。
氷漬けになってそこで反省するといい。



 スミス・ガランティア(春望む氷雪のおうさま・f17217)は神である。
 長命ではあるものの、その経歴はやや複雑とも言える。
 それ故にか、此処シルバーレインの日本文化に対する知識も、決して豊富とは言えない。
「だから、テラ、がどういう場所かは、我は分からないけど……」
 軽く目を伏せ、呟く。
「ここは人の子が大切にしている神聖な場所だと聞いたよ」
 スミスは人々への理解を惜しまない。
 この天徳院は死者を悼み、今を生きる人々の心の安寧をも保証する、大事な場所である筈だ。
 だがそこは今、灰色の少女達の手で穴だらけにされていた。唯々その現実が、スミスの目前には在る。
『るーるーるーるー』
『るるるーるーるるー』
『るーるーるー』
『るーるるーるーるるるー』
 スコップをくるくると回し、虚ろな目で近付いて来るトゥルダク達から悪意は感じられない。
 だが彼女達は一人残らずオブリビオン。存在するだけで世界を滅亡に導き、その過程で神々と人々の営為すら破壊する存在だ。
「……酷いことをするね」
 スミスの表情が静かな怒りに覆われていけば、周囲の空気が、刺すような冷たさを帯びていく。
「……なら、その道具を奪ってしまおうか」
『るるるー』
 刹那、トゥルダク達の手元で、鉄のスコップが掻き消えた――そう見えたのは一瞬の事。
「これが無粋なことをする君たちへの神罰だよ」
 ユーベルコード『氷結の世界』は無機物を氷雪へと変換するユーベルコード。
 少女達の唯一の武器は今や雪交じりの一陣の風と化し、スミスの元へと収束した。
 渦巻き、うねり、合わさった雪風の群れが、次第に巨大な吹雪に成長を遂げていく。
「――氷漬けになってそこで反省するといい」
 その言葉と共に、絶対零度の壁が爆発した。
 吹き荒れる凄まじい冷気は、スミスの視界に居たトゥルダク全てを襲い、その骨の体を霜で覆う。
 そして逃げる間もなく彼女達は氷に閉ざされ、一体残らず沈黙したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三上・くぬぎ
アドリブ歓迎

るーるーさん、前はいろんな髪型がいたってきいたですけど、今はみんなおんなじ髪型なんですね

もきゅ、たいへんです。お寺が穴だらけです!
ハチさんたち、みんなでるーるーさんをいっぱいはやく倒すですよ
【どくどくパニック】でスズメバチの大群を召喚
散らばるです! いっきにまとめて毒こうげきですー!
とってもおおきくて毒もつよいハチさんたちです。頼もしいです
もちろん、くぬぎもたたかうですよ
敵のスコップこうげきが当たらないように気をつけながら、注射器銃で毒こうげきです!
がんばっていっぱいいっぱい倒すですよ!



「もきゅ、たいへんです。お寺が穴だらけです!」
 三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)が到着した時、境内は大変な事になっていた。
 あちこちで地面が掘り返されているせいで、綺麗だった石畳や苔もめちゃくちゃになっている。
 そこへ、くぬぎに気付いた灰色の少女達が、ふらふらと近付いて来た。
『るーるるるーるるー』
『るるーるるー』
『るるるるーるるるるー』
「るーるーさん、前はいろんな髪型がいたってきいたですけど、今はみんなおんなじ髪型なんですね」
 くぬぎの呟いた通り過去の報告書によれば、かのジハード作戦を妨害したトゥルダク達は、ストレートにぼさぼさロング、さらにはツインテールと、様々なバリエーションがあったようだ。
 だが目の前のトゥルダク達は一体残らず、赤メッシュの入ったショートヘアに統一されている。
 判を押したように同じ姿で、無表情で並んでいる彼女達の様子は、ほんの少し不気味だ。
「ハチさんたち、みんなでるーるーさんをいっぱいはやく倒すですよ」
 くぬぎが身に着けている花の形の虫かごを開ければ、そこから飛び出したのは大型の蜂、スズメバチの大群だった。
『るーるー』
 応戦するトゥルダク。だが獰猛なスズメバチ達は、でたらめに振り回されるスコップを掻い潜り、次々毒針を灰色の皮膚に突き刺していく。
「散らばるです! いっきにまとめて毒こうげきですー!」
 羽音と共に境内中に散開するスズメバチ達。
 するとたちまち森の中から、物陰から、至る所からスコップが空を切る音が聞こえ始める。
 広がる乱闘の気配。そんな中くぬぎは、新たに姿を現したトゥルダクの群れを発見する。
「もちろん、くぬぎもたたかうですよ」
 くぬぎが遠くのトゥルダクに向けたのは、ポップでかわいらしい、おもちゃのような見た目の注射器銃であった。
 バシュバシュッと連続する発砲音。
 反動をくぬぎが小さな体で抑え込んだのとほぼ同時、射線の先では、生成された毒を受けたトゥルダクがばったりと倒れ、そのまま動かなくなる。
「がんばっていっぱいいっぱい倒すですよ!」
 その言葉通り、スズメバチの群れとも協力し、くぬぎは境内中のトゥルダク達を倒し続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新名・有花
アドリブ連携OK
【WIZ】
(白い髪に赤二筋。赤い髪に白一筋。
本来ならば人を害さねば|存在し《いき》てはゆけぬ在り方。
類似性を、見いだしてしまった。
ともすれば今、人類の敵として立っていたのは『彼女』かもしれない。
『そんなことは許せるものか』と『彼』に遺る自我は思う。
故に、目の前の少女らは『彼』の『花嫁』の明確なる敵だと定義する。
拒絶する。否定する。『花嫁』に害を成すすべてを)
「……あぁ。あたしのために歌ってくれるんだね、ミィ。
ふふ、あんたの歌があれば百人力さ」
怪力をもって赤手を振るい、一刻も早く相手を殲滅しようと試みる。
奇しくもその髑髏の肉なき喉から放たれる音は、少女たちのそれによく似ていた。



『るーるるーるー』
『るーるーるーるーるー』
 戦場に立った瞬間、聞き慣れた歌声が耳に飛び込んで来る。
 迫るトゥルダク達の乾き切った白髪に走る赤の二本メッシュ。
 奇しくもそれは『彼』の『花嫁』、新名・有花(白愛づる花嫁・f35676)のそれを彷彿させる容姿であった。
『LuluLuLu――♪』
 それはともすれば、『花嫁』の運命であったかも知れない。
『花嫁』が本来、人を害さなければ存在出来ない事を認識した上で、髑髏の口から紡がれるのは、はっきりとした敵対の遺志。
「……あぁ。あたしのために歌ってくれるんだね、ミィ」
『るるるー』
 回転の動作から薙ぎ払われるスコップ。だがその軌道は赤手の一動作で往なされる。
「ふふ、あんたの歌があれば百人力さ」
 肉無き髑髏の喉から紡がれるのは恋歌。
 それが『花嫁』に害成す全ての目論見を否定し拒絶するものであると、トゥルダク達は知る由も無い。
「っ!」
 反撃の一振り。スコップの防御をすり抜けた赤手が少女達を吹き飛ばす。
 今はただ、殲滅あるのみ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日輪・黒玉
なにやら随分と危険な臭いがする相手ですね……
ですが、どんな敵だろうと関係ありません
誇り高き人狼として私は貴女たちを狩る、それだけです

スコップであれほどの力を発揮するのは脅威ですが、本来は武器でない物
その分、隙も大きいものです
スコップの高速回転、回すのが腕なら死角もその長さと形状から凡そ予測はできる……ならば、後は私がどこまでできるか、それだけです

狩るならばまずは一体ずつ
召喚した残像と共にスコップの回転が届かない死角を狙って懐に飛び込み、蹴りを撃ち込んでいきます
基本は背後を狙って回り込むように、あるいはスコップを握る手とは反対側から
足を止めずに動き続けて少しでも長く戦い続けることを目指します



『るーるーるるー』
『るーるー』
 天徳院の境内を訪れた日輪・黒玉(日輪の子・f03556)の元に、トゥルダク達が集まって来る。
「なにやら随分と危険な臭いがする相手ですね……」
 黒玉はそう言って眉を軽く寄せると、対峙しつつも敵の様子を窺う。
 数は思った程には多くない。おそらくは他の猟兵達に数を減らされ、彼女達はその残党なのだろう。
 灰色の襤褸の下から覗く骨の体は不気味そのものだ。
 生気のない顔立ちが整っている事も逆に人形のような不穏さを与えている。
「ですが、どんな敵だろうと関係ありません」
 黒玉はそう言うと、ざ、と脚に装着する武器『藍晶疾走』の爪先を向ける。
「誇り高き人狼として私は貴女たちを狩る、それだけです」
『るるーるるるるーるるー』
『るーるーるー』
 その宣言を待っていたかのように、トゥルダク達もまた黒玉へと迫り始める。
 彼女達の手元でびゅんびゅんと音を立てて回転するのはスコップ。
(「あれほどの力を発揮するのは脅威ですが、本来は武器でない物。その分、隙も大きいものです」)
 そして見る限り、スコップ自体は特別なものでは無く、決してリーチも長くはなさそうだ。
 やりようで隙は幾らでも見出せる。そう自身に言い聞かせた黒玉に、1体が躍りかかる。
『るー』
 振り下ろされる一撃に合わせて飛び込む。
 高速移動。スコップを持たない方へと滑り込み、そのまま背後へと。
「……そこです!」
 懐で黒玉の回し蹴りが炸裂し、トゥルダクの小さな体が派手に吹き飛ぶ。
 別の1体が応戦の構えを見せる――だが自身の背後にするりと潜り込んだ影に、彼女が気付くことは無かった。
 どん、と衝撃に揺れる体。トゥルダクが前方に躓くようにして倒れ込む。
 その背後には、ユーベルコード『黒玉狼の舞踏』で生み出された、黒い残像の姿があった。
 足を止めず、一体ずつ、確実に。
 黒玉の立ち回りは境内のトゥルダクの数を少しずつ減らしていき、最終的には全滅させるに至ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月13日


挿絵イラスト