●
銀河皇帝が率いる艦隊、白魔と白城。
それらを突破した解放軍は、銀河帝国の二大巨頭の一つ、白騎士ディアブロとの相対へ挑んだ。
の、だが。
「くそっ、ダメだ……!」
解放軍艦隊から放たれる砲撃は、白騎士に掠りもしない。
飛ばした戦闘機では、追い付くことはおろか、姿を捉えることも出来なかった。
「ーー深入りするな。所詮奴は、手駒を欠かれた独りの戦士。今は皇帝を倒すことに集中しろ」
だから、解放軍の多くは、船の進路を変える。
この戦争は、あの天に座すものを討ち倒せばいい。
ただ、それだけなのだから。
●
「ああ……やだな、うん。いやだ」
肆陸・ミサキ(狩られるモノ・f00415)は、伏した瞳で呟いた。
これまでにない鼓動の早鐘が煩くて、その原因となる強敵を思うと、そこへ仲間を送らなければならない自分の役目を恨めしく思っている。
けれど。
「ーーやぁ、みんな。お疲れさま」
戦う皆の前では、いつもの様に笑うのだ。
そして、いつものように、説明を始める。
「銀河帝国、かなり追い詰めてきているね。チェスで言えばチェックメイトまでもう少しってところかな? けど、キングを取れば終わるゲームと違って、僕達は二つのナイトを取りこぼす訳にはいかない」
白騎士と黒騎士。
皇帝を倒したとしても、実力や求心力の高い二人を逃せば、残党や不穏分子のオブリビオンを纏め上げ、新たな勢力となるのは間違いない。
「倒さなきゃならない。……可能なら、だけれど……」
正直なところ自信はない。
尻すぼみになる言葉から、そういう印象を受け取るだろう。
「なにせ、白騎士は今、一人だ。たった一人の戦力がこれほど恐ろしい奴も、そういない」
指揮を執る為に割いていた能力の全てをただ、剣を振る為だけに使う。
その強大さが如何程のモノか。解放軍を寄せ付けない動きを見れば嫌でもわかる。
「勝算は五分、ってとこかな。君達の力を疑ってるわけじゃなくてーーいや、むしろ疑ってないからこそ、白騎士との戦いはかなり辛いはずだ」
何故なら。
「何故なら白騎士は、未来を操る事が出来る」
未来。
それは、幾数もの可能性の中から選ばれる、ただ一つの瞬間。
「それは完全なものではない、限定的な能力だけれど。けれど、ただ突っ込んだだけじゃ君達の攻撃は掠りもせず、回避も不可能な攻撃を、最大の効果を発揮するように使ってくるだろう」
しかも、それを行うための装備は、銀河帝国の粋を集めて作られている。
防御するとしても、それを貫通してくるはずだ。
回避も、防御も、至難。
それに、例え倒しても、力の続く限り骸の海から奴は甦るだろう。
「でも、絶対じゃない。僕らは、白騎士の視る未来なんか、凌駕出来る……ね、そうでしょ?」
願いだ。
そうあって欲しい、そういう願いの言葉。
「……うん、じゃあ、行こう。奴が来る場所の候補は分かってるんだ」
グリモアが空間を繋ぐ。
行くのは、敵の船の一つ。
「さ、みんな。世界を救おうか」
いつもの言葉で締めて、ミサキは猟兵達を送り出した。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
白騎士ディアブロは、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
というシナリオです。
かなり難易度高いです。
協力するにしても、ふわっとした協力では太刀打ちできないでしょう。
でも、みなさんなら、大丈夫のはずです。
プレイングを待ってます。
第1章 ボス戦
『白騎士ディアブロ』
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POW : 収束する運命の白光
【対象の未来位置に向け放たれるレーザー】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : ホワイトライト・トゥルーライト
【10秒先を見たかの様に的確な攻撃を行い、】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : デストロイマシン零式
戦闘力のない【66機の動画撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【正確無比な未来予想シミュレーション】によって武器や防具がパワーアップする。
イラスト:神手みろふ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
居る。
飛んだ猟兵達の前に、そいつが待っていた。
まるでわかっていたと言うようにーーいや、事実、わかっていたのだろう。
余裕と威圧感のある佇まいは、攻め手を怯ませるのに十分すぎる。
それでも。
それでもこいつは、倒さなければ。
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
「かわし切るなんて考えるな…ただ、斬り捨てる!!」
ユーベルコード【獄炎解放『爆心』】を使用した後に【戦闘知識】による戦いの勘と絶妙な【見切り】、【残像】と【フェイント】により少しでも狙いをそらせるようにしつつ、【オーラ防御】による防御を重ね、避け切るのではなく、【武器受け】で相手の攻撃をぎりぎりまでダメージを減らすように受けるようにするぜ。
『肉を切らせて骨を断つ!!』
【怪力】のスキルを使い、ユーベルコードの効果で炎と衝撃波を纏ったドラゴンランスによる【鎧砕き】を乗せた【串刺し】と妖刀による【鎧無視攻撃】【範囲攻撃】のスキルを乗せた【なぎ払い】の【2回攻撃】での連続攻撃で攻める
カタリアンナ・バソリー
【WIZ】
一族郎党根絶やしにして、後の憂いを断つ。
ええ、分かりやすい話で安心しましたわ。
この戦い、私から直接の攻撃は控えて支援に注力いたしましょう。
動画撮影ドローンによる強化だけでも抑えてみますわ。
最初に受ける攻撃に合わせてユーベルコード:チェンジバットを使用します。
これで攻撃を軽減しながら群れは散開し、各々ドローンの元へ。
そのままドローンのカメラ部分に張り付いて、何も見えないようにしてしまいましょう。
全てのドローンは抑えられなくとも、
目を塞いだ分だけ無効化できると思いますわ。
※移動は自身が腰かけた椅子を念動力で浮かせて行います。
椅子が破壊された場合は、適当なものに腰かけて浮かせます。
メーティオル・スター
未来を操る敵か。
でも、オレだって(なんでか知らないけど)未来を(時々)視れるんだ、やってやるさ!
SPDで勝負!
そっちが「10秒先を見たかのような攻撃」を出してくるなら、
オレは「10秒後にやられる未来」を視て、それにカウンターしてやればいい!
(そんなに都合よく未来が視えるかわかんないけど)
もしもあいつがオレの未来視すらも予測して攻撃してくるなら、
オレはオレの未来視すらも予測した攻撃を受ける未来を視て、それにカウンターをしてやる!
なんかよく分かんなくなってきたけど、とにかく行けるとこまで行ってやるんだ!
天御鏡・百々
あやつの未来を操る力をどうにかせねば勝機は無いか
なれば、我が神鏡にてその未来を操る力、映し取ってやろうぞ!
「デストロイマシン零式」を
「鏡像反攻儀」で我の本体である神鏡に映し取り発動させる
お互いに未来を操るならば、その力は相殺できるはずだ
真朱神楽(武器:薙刀)を振るい白騎士の鎧の隙間を狙って攻撃だ!
(なぎ払い10、2回攻撃1、武器受け1、戦闘知識1、鎧無視攻撃1)
敵の攻撃は神通力による障壁で対処する
(オーラ防御30、第六感1)
可能であれば仲間の猟兵にも未来予知付与し一緒に戦う
我ら猟兵は其方の操る未来を打ち破り
我らが手に未来を掴むのだ!
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ関係
●可能であれば他の猟兵と連携を
「かわし切る」
槍と刀。
亜種の二つを両手に持って、ガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)は行った。
「なんて、考えるな……ただ思え。斬り捨てる、それだけを……!」
全身に炎を纏い、踏み込む一歩が加速を叩き込み、その速度は高速に達した。
その、瞬間の事だ。
「それは、視たな」
加速の先を、射撃が制した。
ディアブロの手にある、紅白カラーの筒から放たれた光線だ。
それがガイの体を撃ち、前へ掛かった運動量を跳ね返す様に吹き飛ばした。
「ほぉ」
光は一瞬だ。が、心構えがあった分だけ防御の動きはとれる。
眼前、直撃の寸ででオーラを放ち、穂先を突き出し刃を縦に。
簡易な三重の防護として、致命傷少し手前まで減衰させたのだ。
「……これだけやって、やっと、か」
肉を切らせて骨を断つ。
そのつもりだったが、これでは骨を断つ前に命が尽きる。
「あれが、あやつの未来を操る力か」
ただ一度のやり取りで見る力量差、その厄介さ。
天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)はそれを知る。
知った上で、勝機を掴まなければならない。
「連携で事に当たらねば、万に一つ、勝ち目は無いだろうな」
策を考えなければ。
白騎士ディアブロは、余裕を持った態度で居る。攻撃してこないわけではないが、思案と打ち合わせの隙はあるはずだ。
「未来を操る敵、か……でも、オレだって未来は視れるよ」
時々だけどね。
そうメーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)は呟いて、リボルバーを両手で支えて顔の高さに上げる。
「未来を視た攻撃を視て攻撃して視てやろう、うん、よーしよくわかんないけどやれそう!」
「うむ、ちと落ち着け」
勢いはわかるが博打が過ぎる、と。
百々は思い、しかし一理も見いだした。
「……なれば、我が神鏡にてあの力、映し取ってやろうぞ」
●
ふわり。
深めに腰掛けた椅子を浮かせて、カタリアンナ・バソリー(1/2の純なる血統・f12516)はそこにいる。
「一族郎党を根絶やしに、後の憂いを断つ、というお話ですね、ええ。大変、シンプルに分かりやすいことですわ」
仲間の猟兵は三人、攻めに傾倒するというのならば、
「支援に注力、致しましょう」
思う。
白騎士、ディアブロの周りにはドローンが飛んでいる。
予知の情報から察するに、それに戦闘能力は備わっていないが、代わりに、ディアブロの能力を強化する役割があるはずだ。
だから、それを抑える必要がある。
「塞ぎますわ」
カメラの視野を潰す。
数にして66機。その全ての対応をするのは、現実問題不可能だろう。
だが、減衰するための手はある。
「ふふ……捕まえますわ」
それはカタリアンナのユーベルコード、チェンジバットを用いた人海戦術だ。
数には数を。
小型の蝙蝠へと変じた彼女は群れを作り、散らばらせ、ドローンに向かって飛んだ。
「我らも行くぞ」
「おう……ッ」
「次は斬るぜ!」
それを再開の合図に、百々の声に乗って三人が行く。
バラけはしないが、固まりもしない。
ガイは受けてでも前へ行くつもりであるし、メーティオルはカウンター狙い、そして百々は、防御からのユーベルコードを映し取り算段だ。
「ああ、戦いの定石で、正しい判断と褒めよう」
それを、白騎士は笑った。
戦士として、考えうる正しい選択だと、猟兵をそう評価する。
「10秒」
評価した上で。
「10秒先に、貴様らは立っていないぞ」
宣言して、行動した。
ドローンを泳がせ、カタリアンナの群れを誘導。
射線を重ね、背部、スラスターを思わせる四本が、その先端を宙に向ける。
「ーー!?」
射撃した。
帝国の作り出した火力兵器。その熱線は、威力を軽減させる技と言えど関係なく焼き払う。
そして、その様をドローンは記録し、撮して、ディアブロの装備を強化した。
二秒。
照準が百々に向く。
……来るか!
予感に、片手を前へ。神通力により、前方の空間を歪ませて障壁を作り出す。
……受けなければならない。
百々の技は、防御することで相手のユーベルコードを一度だけ使えると言うものだ。
「未来を操るその力を、同じ操る力で相殺出来るはずだ」
思い、防御した。
障壁にぶつかる光線は、その守りを破壊すると共に空気へ散る。
条件を満たし、百々の本体である神鏡にその技は映され、
「ああ、これはーー」
そうして視た、百々のシミュレーションは、
「四秒」
間髪入れずに撃ち込まれた銃撃に撃たれる、自分自身の姿だった。
●
ガイとメーティオルは振り返らなかった。
今は、何よりも、距離を詰めることを優先すべきだと、そう感じたからだ。
行く。
カタリアンナと百々への攻撃、その合間の四秒で、ガイは加速の踏み込みを幾度も得た。
その速度で、急接近を叶える。
「それは」
「オレにも視えてる!」
迎撃のレーザーソードがガイを打つ。
その未来を、メーティオルは視た。
だから、リボルバーの銃口を向けて射撃する。
敵の手首を撃ち抜き、コンマの硬直を与える目的だ。
「ここだ、焼き付くしてやる!」
そして、それは叶う。
レーザーソードを取りこぼしたディアブロへ、ガイのランスが叩き込まれ、
「視えていたとも」
なかった。
複腕の一つが、迎撃の拳をガイの顔面にぶちこまれ、吹き飛ばす。
「ーーヤバい!」
さらに、落ちて跳ねたレーザーソードをディアブロは蹴り飛ばす。
メーティオルは、その先を視た。
突き刺さる、自分の未来を、だ。
そしてそれは、やはり、叶うのだった。
苦戦
🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
アリア・ヴェルフォード
白い騎士ってキャラ被ってませんか?
青が加わった方が強いのを見せてやります
【WIZ】
●対処法1(ドローンによるシミュ前)
最初は光【属性(攻撃)】を付与した聖剣で戦います
回避方法は【見切り】、防御方法は【武器受け】
●対処法2(ドローンによるシミュ後)
邪聖剣を取り出して闇【属性(攻撃)】を付与し【2回攻撃】で対応
回避・防御方法は対処前と同様(2本になる分【武器受け】もし易いはず)
そして白騎士の2回目のシミュ前に『混沌閃光』で66機のドローンを破壊
※未来予想シミュはドローンの撮影中のものが基準になると考え
そのシミュ前後でこちらのギアを変えて狂わします
防御は属性で補強した自分の聖剣と邪聖剣を信じます
天御鏡・百々
「映し取り使うのでは遅すぎるか……なれば……!!」
真の姿を開放し立ち上がる
(真の姿:服装や装飾品が日本の神様っぽくグレードアップ)
「我が奇跡をもって、汝が力を打ち消してやろう!!」
『幻鏡相殺』を使用
自分の正面に作りだした幻の鏡から敵の能力の鏡像を放ち
未来予知の力を相殺する
其方の力は先ほど見た。ならば、打ち消せる可能性は高いはずだ
未来予知を無効化できれば真朱神楽を振るい近接戦闘
(なぎ払い10、オーラ防御30、武器受け1、鎧無視攻撃1)
未来予知さえ無効化できれば、後はただ強いだけだ
その程度ならば、猟兵の連携をもってすれば打ち砕けるのだ!
●アドリブ関係
●可能であれば他の猟兵と連携を
メーティオル・スター
(「しょうがねぇ小僧だな」、と。
聞き覚えのない誰かに笑われたような。そんな気がする)
…いってえ…死ぬとこだよ、これは…。
あの未来視をどうにかしないと勝ち目はない。
確証はないけど、仮説は思いついた。
1、未来を視ても判別できなければ対処は難しい?
2、仕込み完了から発動まで、10秒より長ければ途中で見破られない?
一旦、部屋の外なり死角なりに移動したいな。
そしたら、宇宙船のシステムを乗っ取って。
20秒後に照明が落ちて真っ暗になるように指令を出す。
誰か得意な人に手伝ってもらいたいけど…ダメ元でやってみる。
暗闇の中にいる未来のオレたちも見えるのかい?
…アンタのピカピカな体と武器は暗くても見やすくていいね。
煌燥・燿
SPDでホワイトライト・トゥルーライトと対決する。
10秒後先を見る力とかズルいだろ。どうするか……。
じゃあ【目潰し】と【地形の利用】、【罠使い】だ。
戦場の照明を壊し暗くして、強力なフラッシュで視界を奪う。
予知できていたとしても対処しにくい状況を作りながら。
【撮影】【目潰し】、【影焼透鏡】で閃光の光を頼りに攻撃。
10秒先が予想する力が超能力ならこれも読めるだろうが。
照明が壊れるのが10秒前分かった所で目が見えなけりゃ辛かろうよ。
暗視できる感度の良いセンサーがあるなら
フラッシュを焚きっぱなしにして焼いてやる。
ただの経験や計算で予想するんなら。
カメラで撮影して攻撃するなんて思いつかねえだろうしな。
「白い騎士って」
アリア・ヴェルフォード(謎の剣士X・f10811)は、降り立つと共に前へ出た。
行く道、その周りには一度倒された猟兵達がいる。
惨状に、しかし、彼女が思うのは、
「私とキャラ被りですね……!」
そんな感想だった。
片手に光の聖剣を。
踏み込む一歩で加速し、突き進む。
……青色がプラスされた分だけ、私の方が強いです。
とは余分な思考で、真面目に思うのは一つだ。
「ドローンに、対処します」
先手は取られてしまう。
伝えられた、白騎士の使う撮影ドローン。その能力は、高精度の未来予想シミュレーションだ。
だがそこにも、付け入る隙はあるはず。
そう、例えば。
「撮られている間だけが基準になる、と……っ!」
つまり撮られなくなったなら、その限りではないと、そう考える。
だから、いつの間にか回りに浮かぶドローン達のカメラが、自分と白騎士を納めているのを見て、アリアは行動を変えた。
「行きますよ!」
聖剣の反対に、邪聖剣を握る。
白と黒、光と闇。二つの属性を宿したそれで、射撃される光線を受けるつもりだ。
それで突破出来る確率は、五分五分と言ったところだろう。
だが、アリアは一人ではない。
その確率を、限りなく十にするための仲間が、そこにいた。
●
時は、アリアが駆け出す瞬間。
降り立つ同タイミングで、煌燥・燿(影焼く眼・f02597)は居た。
「10秒先を視る力とか、ズルいだろ……」
武器の性能と自分の力を信じて突き進む。
そういう行動へ出られるほど、燿は自分を過大に評価しない。
だが、手はないと、無力な自分だと過小にも思うことはなかった。
どうすればいいか。
どう行動すれば、未来を操る様な予知へ対抗出来るのか。
考える。
「ーーそうだ、明かり」
視えていても、見えなければ。
視えていなくても、見えていれば。
「対処は難しいはず……」
勝算はある、そう思えた。
しかし、問題もある。
「思ったより、照明灯の数が多いな」
広い船だ。光源の確保の為、ライトは満遍なく配置されている。
それらを壊して回る時間で、自分の体が穴だらけにされるのは白騎士じゃなくても視える未来だ。
「どうする……!」
結局、立ち戻る問題に燿は歯を噛み、しかし。
それを解決する手段を見つけた。
●
時を戻して、アリアの突撃。
それを、白騎士は視た。
駆ける金髪少女の向こう、同じく金髪の青年が居て。
「ーー視えているとも」
視界に、シミュレーションで導かれるアリアの動きが、幾通りも映る。
そして燿が、今から自分に向かってくる事も、白騎士には視えた。
だから射撃を構える。
高圧縮された光線を放つ銃口を、シミュレーション通りに来るアリアに向けて、引き金を引く。
ただそれだけの事だ。
容易く、そして思う通りに少女は散る。
「否、だ」
散る筈だった。
「それは、其方の力は先ほど、確と見た」
だがシミュレーション通りにあるはずの軌道が消える。
視えた筈の未来が、悉くとして霧散していく。
「なに、をーー!」
それは、鏡だった。
百々の作り出した、白騎士のユーベルコードの鏡像が、全てのドローンの前に展開する。
「映し取り使うのでは遅すぎるのでな」
見えなくなったカメラでは、未来の予想はもう視えない。
「映し消させてもらった」
「小賢しい真似を……!」
そうして、白騎士が見えるのは。
上段から振り下ろされる、二色の刃だった。
「ッ」
虚は突いた。が、未来視を除いたとしても、かの騎士は強大だ。
刃は難なく受け止められ、弾き返されるアリアは宙を回る。
一手、あと、もう一手がーー。
●
闇だ。
何も見えない、何もない、闇の世界。
ただ感覚だけがあって、浮かぶような、頼りどころの無い気持ち悪さの中に、メーティオルの意識が泳ぐ。
闇は、映る物の無い黒一面で、ただ何もないと言うわけでもなく。
音が聞こえていた。
戦う音。ぶつかり合うような音だ。
「ああ、そうだ」
それは、先程までの自分達。
その戦闘の残滓だと、彼は理解した。
頭の中で、聞いたことの無い声が、そんな自分を笑っている。
そんな気がして、うっさいな、と。
思い、メーティオルは目を開けた。
「ま、ぶし……いってて……」
仰向けの顔は、輝く照明が目に痛い。
それに、体の至るところが悲鳴を上げているのが解る。
それでも肘を支えに、上体を起こして前を見ると、丁度仲間が駆け出す所だった。
「……あの未来視への、対抗策を思い付いた」
目が、明るさに慣れない。
生物である以上、明暗で作用する眼球の動きは同じはずだ。
「大丈夫か」
なら、やれるかもしれない、と。
思う前に、燿の手が差し出された。
「似たこと、考えてるみたいだ。協力しないか?」
「ああ、やってやろう……!」
それを掴み、引かれるままに立ち上がり並んだ二人は、頷き合って行動に移した。
●
白騎士に弾かれたアリアと、打ち消しを成した百々は、一つの現象を見た。
それは、視界の喪失だ。
メーティオルと燿が行った、照明の電源を落とすという行為。
それによって起こった異常事態だった。
突如奪われる視界はしかし、幸運な事に、敵を見失うことだけは無い。
何故なら、白騎士が手に持ったレーザーの剣。それが、淡い光を伴い、白の鎧に反射して見えたからだ。
猟兵からは、その位置を把握できる。
しかし逆に白騎士からは、自分の周囲極僅かしか見えないため、猟兵を把握することが難しい。
「行くぞ……!」
百々が行く。
まだ弾かれた道中のアリアを抜いて、朱の薙刀を振り抜きながら跳ぶ。
すれ違い様の斬り払いだ。
それが、鎧の隙間部分を深く裂いた。
「貴様ぁ……!」
視えているが、見えない。
白騎士はそんな状況に苛立ち、百々を追う様に体を振り向かせ、瞬間背中に熱い物を感じる。
「ピッカピカで見やすいなアンタ。赤鼻のトナカイみたいにさ」
メーティオルの放った弾丸、そのありったけがぶちこまれたのだ。
熱さを痛みと感じ、膝を折ったその眼前に、さらに追い討ちは来る。
「お前の生きていた一瞬、永遠に焼き付けてやるよ」
暗闇に目が慣れ始めるその瞬間、燿のカメラが焚いたフラッシュに、網膜は焼かれる。
「もちろん、終わるその瞬間もな……!」
連写した。
その明かりに照らされ、丸見えになる白騎士へと、体勢を立て直したアリアは突撃して。
「ええ、まあ、やはりですね」
二つの剣を突き込み、左右へ開くように払う。
「やはり私の方が強いです」
その瞬間、白騎士は確かに、骸の海へと送り返された。
成功
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