第二次聖杯戦争⑭〜音色に呼ばるる
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「るー、るー」
「るー、るーるー……るー……」
下半身が白骨化した少女達の群れ『トゥルダク』たちが、天徳院の境内をスコップで掘り続けている。
ざく、ざく、ざくり。
草木の根がはる土中は、生命はぐくむ畑そのもの。そして死した者が眠る場所。
「るー、るー、るー……」
スコップの先が土中へと入り、トゥルダクたちの声が渡っていく。
「るーるー」
音色のような声は死者を悼むものではない。生をはぐくむものではない。
かつてシルバーレインで戦っていた能力者たちは少女たちの行為が意味することを知っている。
「るー、るー」
ざくざく、ざくり。
トゥルダクは地面を掘ることで『かつて滅びたゴースト』を蘇生させるのだ。
●
「のんびりと、新年あけましておめでとうございます。と言っている暇もないわねぇ」
ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)は第二次性聖杯戦争に向かう猟兵たちに声を掛ける。
「今年もよろしくね。というわけで頑張っていきましょう。今回皆さんに行っていただきたい場所は、天徳院の境内よ。トゥルダクの群れが大量に出現しているの」
シルバーレイン世界出身の猟兵さんは知っているでしょう? とポノ。
「トゥルダクは『地面を掘り返すことで、かつて滅びたゴーストをオブリビオン化して蘇生させる』というユーベルコードを持っているの。
蘇生対象は、過去に銀誓館学園の能力者たちと戦った強力なゴーストたちよ。無心に掘っているトゥルダクの陣容は日に日に整っていくの。そうならないように、そしてオブリビオンを生み出し続けられないように、トゥルダクたちを撃破していって欲しいの」
時間をかければ、それだけ取りこぼしのトゥルダクがオブリビオンを発生させてしまうようだ。
「なるべく手早く多くの敵を蹴散らしていきたいところよね。もちろんトゥルダクも猟兵に攻撃を仕掛けてくるわ。実戦としてはあまり脅威はない敵だけど、数は多いから気を付けてね」
ねこあじ
ねこあじです。
トゥルダクの群れを倒していくシナリオとなっています。
プレイングボーナスは、『多くのトゥルダクを素早く倒す』こと。
参加人数によっては採用、不採用が出るかもしれません。
ではでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『トゥルダクの群れ』
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POW : るーるー
【スコップ】のスイングで近接範囲の敵全員にダメージを与え、100m吹き飛ばす。
SPD : るーるーるー
【スコップ】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を掘って死の瘴気を浴び】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : るー、るーるー
【スコップ】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。
イラスト:ふじ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鐘射寺・大殺
※アドリブ・即席連携歓迎!
んん?ま~た珍妙な敵が出てきたのう。
あの娘ども、下半身が白骨化しておる。なんとも寒々しい奴らよ。
【炎の魔王軍】を呼び出して、魔王笏を手に取り
《悪のカリスマ》で軍団を統率しながら戦うぞ。
まずは宮廷魔術師団、魔法の《エネルギー弾》を
放って、先制の遠距離攻撃を仕掛けよ。
続いて弓兵部隊は高所に陣取って火矢を射掛けるのだ。
(それぞれ、火の《属性攻撃》を使用する。)
ではいくぞ、悪魔歩兵団、吾輩に続け!
《武器に魔法を纏う》強化を施し、
魔剣オメガを手に《切り込み》をかけるぞ!
剣を勢いよく《ぶん回し》、《重量攻撃》で
スコップごと叩き斬ってくれるわ。
荼毘に伏すがいい、グワハハハハハ!!
大倉・新月
*連携・アドリブ歓迎
あれって、オブリビオン化だったのね…
納得しかないけど、とにかくそれはまずいわ
ゴーストイグニッションで
新生した雑霊弾、奥義…!
制圧射撃を繰り返して素早く片付けちゃおう
仲間と連携できるなら、打ち漏らしに追尾する弾を当てていく
WIZの反撃対策は、飛翔しているもの>威力増加>武器受け
の優先順で、同程度なら狙いやすい状況のから潰していくね
POW攻撃で吹き飛ばされても今の私なら程よく射程圏内に収まるから
乱戦で避けられないときは敢えて当たって距離をとるのも手、かな
とにかくこの子たちは見た目よりヤバいから、知らない人には懇々と説明しないと…!
緋奈森・鈴音
「熱心にお仕事中だけどお邪魔するわねー」
水の魔力で干渉して、まずは地面を簡単に掘り返すことができないよう固く凍らせるわねー。
足場も不安定になるから向こうの攻撃や防御もやりにくくなるはずよね?
そのまま氷の魔力での攻撃を続けて凍った地面に触れている敵全員にダメージを与え続けるわ。
その上でおねーさんは相手の攻撃が届かないように空中浮遊して上空から手裏剣や彼岸花で攻撃を仕掛けるわー。
不安定な足場じゃ逃げるのもままならないでしょうし、傷を負って倒れると氷でのダメージも増えていく。
見える範囲の敵を倒していくわ。
「ごめんねー。おねーさんも寒いの苦手だから辛いだろうなって思うけど、逃がすわけにはいかないのよ」
ローズ・ベルシュタイン
アドリブや連携歓迎
■心情
かつてのゴーストをオブリビオンとして蘇らせる……ですか。
何とも厄介な相手ですわね。
ですが、そう簡単にトゥルダクの好き勝手にはさせませんわ。
■行動
風嵐薔薇矢雨(UC)を使用して戦いますわ。
【高速詠唱】で素早くUCを唱え、【属性攻撃】で風と樹属性を強化し
【破魔】の力を宿して約650本もの矢をトゥルダクの群れへと放ちますわ。
【範囲攻撃】で纏めて倒して行きますわね。
出来るだけスコップによる攻撃を受けない様に、敵からは距離を離して
攻撃していきますわね。
飛翔されても【対空戦闘】で敵を撃ち落として行きますわね。
「さぁ、残らず倒して差し上げますわ。掛かってらっしゃいませ!」
「るー、るー」
「るー……」
ざくざく、ざくり。
一心不乱にトゥルダクたちはスコップで境内を掘り続けていた。一見すれば儚き少女、だがよくよく見れば異様な姿であることが分かる。
んん? と呟き眉を顰めたのは鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)。
「なんだあの娘どもは。こやつらの撃破をすればよいのか」
続く声は「珍妙な」とぼそり。
「……下半身が白骨化しておる。なんとも寒々しい奴らよ」
生まれはデビルキングワールド、砕魂王国の若き魔王である彼は育ちも良いのだろう。若干気遣わしげだ。
「えっ、あ、うーん、そうね。初めて見る子はそんな感想になるんだね」
大倉・新月(トータルエクリプス・f35688)はトゥルダクのことを知る、シルバーレイン世界の者なのだろう。
「あの子たちは見た目よりヤバいから」
「かつてのゴーストをオブリビオンとして蘇らせる……ですか」
「そうそう」
ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)の言葉に、頷きを返す新月。
「何とも厄介な相手ですわね」
ざく、ざく、ざくり。
ローズたち猟兵の存在には気付いているだろうに、トゥルダクたちは構わず掘り続けている。
「熱心にお仕事中だけど、そろそろ行っちゃうー?」
のんびりとした緋奈森・鈴音(火に願う華・f03767)の声に、ええ、とローズは頷いた。可憐な指には薔薇一輪。
「これ以上の好き勝手を許すわけにはまいりませんわ」
「フハハハハ! 炎の魔王軍よ、出番だ!」
禍々しい装飾の施された魔王笏を振り上げた大殺が大音声を放てば120体もの配下モンスターたちが召喚された。
「宮廷魔術師団、放て!」
大殺の号令により放たれるは火属性のエネルギー弾。赤き光弾がトゥルダクの広範な陣の一角へと降り注ぐ。
「弓兵部隊」
端的な大殺の命令に、翼を持つ弓兵部隊が空へと飛翔し火矢を仕掛けていく。
高所から降り注ぐ火矢がトゥルダクの乾いた胴を貫き、骨身を炎で覆い倒していった。戦において初手は遠距離から戦力を削ぐのが定石。大殺は満足げに笑む。
「先手は上々。ではいくぞ、悪魔歩兵団、吾輩に続け!」
魔剣・オメガを手に駆ければ、一斉に鯨波が上がり、境内を揺るがした。
しかし敵も大人しくはしていない。トゥルダクがスコップを振るえば派手に吹き飛ぶモンスターがいる。
踏み込んだ大殺へも大きなスイング。しかしスコップは叩き斬られた――敵の吹き飛ばす暴風にも耐える、重量ある斬撃を披露する大殺は高笑い。
「クックッ、荼毘に伏すがいい、グワハハハハハ!!」
魔剣をぶん回す大暴れ具合だが、彼の死角をフォローするのは新月の雑霊弾。スカルロードである『満月』と合体した新月は二丁のEdgeworth-Kuiper Beltを使い自動追尾する弾を撃ち放っていく。
これならば仲間を避け、トゥルダクへと確実に着弾する。
新月を邪魔する敵として見たトゥルダクはスコップを振り回し、弾丸を弾こうとする。続く回転を加えた飛翔――仲間がなぎ払われる前にと新月は雑霊弾で狙撃した。
「るー……るー」
着弾に身を跳ねさせて、地に落ちるトゥルダクが鳴く。骨のような真白な指でがりがりと土削りながら、数体が骸の海へと還っていった。
彼岸花とともにわずかに浮遊した鈴音が繰り出すは玲瓏とした青き狐火。それらはトゥルダクを直接襲わず、くるくると回れば辺りは霧状の水が散布されゆく。攻撃力を高めた水の魔力がトゥルダクの掘る地面を凍結させていく。
「これなら掘りにくいよねー」
ガチン! 魔力によって凍結した地面にスコップは弾かれ、トゥルダクは切っ先を返した。
「るー……」
放たれるはスコップのスイング。暴風が吹き荒れるも、鈴音は高度を上げて範囲外へと逃れていく。
「ざんねんー」
そしてスコップを振り回すトゥルダクへと横から矢の嵐。
「我が放つはじわりじわりと棘の痛みを与えし薔薇の矢――」
高速詠唱からなるローズの魔術。およそ665本ともなる薔薇の矢は暴虐の如く、動けぬトゥルダクの群れをなぎ倒した。
麗しき薔薇の花々が舞う戦場。
「さぁ、残らず倒して差し上げますわ。掛かってらっしゃいませ!」
スコップを回し、彼我を詰め飛翔してくる敵にローズが新たな風嵐薔薇矢雨。
樹の属性からなる矢は風の恩恵を受け、鋭く飛ぶ。彼女のユーベルコードの余波は甚大だ。他方にいるトゥルダクたちが倒れる。
吹き抜ければ華やかな薔薇の香りが満ち、死の匂いを払っている。
穿たれ倒されるトゥルダクに押し倒されたトゥルダクがゆるりと起き上がろうとすれば、わずかに残っている肉が凍結したに地面にくっついていた。肉が剥がれていく。
一度体勢を崩せば、立て直すのに困難な戦場。
そこへ鈴音の手裏剣が起き上がろうとするトゥルダクに刺さり、とどめをさす。
「ごめんねー。おねーさんも寒いの苦手だから辛いだろうなって思うけど、逃がすわけにはいかないのよ」
「るー……」
天徳院に吹き荒れる氷結と炎撃、苛烈な花園の如き攻撃によりトゥルダクの陣容は縮小し、外さぬ猟兵の一撃一撃に敵は多くその身を骸の海へと沈めていくのであった。
大成功
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アミリア・ウィスタリア
歌いながら掘るのは楽しいからなのかしら?
それとも寂しいから、同胞を探すのかしら?
ミラは、この世界には、銀誓館の皆さんには恩がありますから。
彼らが倒した存在を再び土の上に返す事は許しません。
相手が群れであるならば、ミラ達も数で戦いましょう。
無心で掘り続けている内に死角から『暗殺』すれば良いのです。
蝙蝠達を呼び出し、彼女達を喰らうよう命じましょう。
「可愛い子達。あの方達を喰らい壊して?」
頑張ってくれたのなら、後で沢山撫でてあげましょうね。
気付かれて此方に攻撃を向けて来たとしても、蝙蝠達が戦えるのなら問題ありません。
逃げる間に彼女達に優位な地形に逃げ込まないように気を付けながら距離を取りましょう。
ざくざく、ざくり。
「るー、るー」
ざくり。ざく。
「るー……るー……」
天徳院の境内をスコップで掘り続けるトゥルダク。
少女たちが紡ぐ声は、まるで歌っているよう。
(「歌いながら掘るのは楽しいからなのかしら?」)
不規則なリズムを聴きながらアミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)は思う。
(「それとも寂しいから、同胞を探すのかしら?」)
ざくっ。
「るー」
けれども、この行為によってかつて滅びたゴーストをオブリビオン化し蘇生させるというのなら見過ごすことはできない。
アミリアはシルバーレインで、これ以上の惨禍が広がることをよしとしない。なぜならば、
(「ミラは、この世界には、銀誓館の皆さんには恩がありますから」)
アミリアを救ってくれたモーラット、その主は銀誓館の能力者。モーラットの幸せそうな表情を思い出し、彼女は微笑みを深める。きっと「好き」にたくさん囲まれた世界なのだろう。
そこへ至るまでに彼らが成し遂げたことを覆すのは、決してゆるされることではない。
「あの人の様に、上手に出来るかしら」
紡いだ声にはせ参じるは、小さな吸血蝙蝠たち。闇夜に飛ぶ蝙蝠の一体がアミリアの肩に止まる。キィ、と小さな声。
「可愛い子たち。あの方たちを喰らい壊して?」
淑やかに願う声に応じ、蝙蝠たちはトゥルダクへと向かっていく。
暗闇であるがゆえに、俊敏に、容赦なく。スコップを取り落とし、一体また一体と倒れていくトゥルダク。
スコップの切っ先が一度アミリアに向けられるも、吸血蝙蝠が敵の戦意を急速に奪う。
「まあ、凄い。あとでたくさん撫でてあげましょうね」
いつものご褒美を今日も手にするため。
アミリアのために吸血蝙蝠たちはトゥルダクたちを骸の海へと還していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
三上・くぬぎ
すごいです、るーるーがとってもいっぱいいるですー!
聞いたことはあるですけど、見るのははじめてですよ
ほんとうにるーるーしか言わないんですね
はやくいっぱいいっぱい倒せばいいですね! くぬぎ、がんばるですよ!
よーし、こっちも虫さんいっぱいこうげきです
UC【どくどくパニック】使用
スズメバチさんたち、とつげきですー!
みんなまとめて毒こうげきですよ!
くぬぎも注射器銃で毒こうげきです
敵のスコップこうげきが当たらないように気をつけながら、できるだけ骨じゃない部分を狙うですよ
にがさないですよー! もきゅー!
「るー、るー」
「るー……るー、るー」
ざく、ざく、ざく。
天徳院の境内には、歌うような少女の声と地を掘り返す音が満ちている。
白磁の肌、白磁の骨、真っ白な髪に映える赤。屍の如き様相のトゥルダクの群れに、「もきゅー」と三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)は声を上げた。
震えあがったものではない。わくわくと弾んだ「もきゅー」だ。
「すごいです、るーるーがとってもいっぱいいるですー!」
シルバーレインで聞いたことのある存在、通称るーるー。トゥルダク。
彼女たちの姿を初めて見たくぬぎは、本当にるーるーしか言わないことに感動していた。
「はっ、おしごとおしごと。くぬぎ、がんばるですよ!」
ざっくざくとスコップで掘り続けるトゥルダクの姿を見てひらめき。数には数で対抗だ。
お気に入りの、お花の形の虫かごぱっかりと開けて。
「スズメバチさんたち、とつげきですー!」
ブブブブッ! と翅で空を叩き鳴らし出てきたのはスズメバチの大群。
「おにくを、ねらうです!」
くぬぎの声に応じて一斉にトゥルダクの上半身へ襲い掛かるスズメバチたち。敵がスコップを振るうもひらり円を描いて避けて、毒攻撃。
群がられたトゥルダクはたまったものではないだろう。瘴気を浴びて戦闘力を増強しようにも、その前に倒れ、毒に侵食されるがままに力尽きていく。
「くぬぎも! くぬぎも!」
突進してかわいい注射器銃で一撃!
スズメバチの大群と、モーラット。
小さな彼らに襲撃されたトゥルダクの群れは、満足な反撃もできぬまま骸の海へと還っていった。
大成功
🔵🔵🔵
御鏡・幸四郎
ルールー……トゥルダクが出てくると言うことは、
やはり生と死を分かつ者が糸を引いているのでしょうね。
少しでも力を削いでおくのは急務でしょう。
トゥルダクの群れを前に懐から詠唱銃を抜き、ナイトの駒を装填。
「共に駆けよ、ナイト!」
駒に宿った雑霊が発射され、大きな馬の姿を形作ります。
駆けだす馬の背に跨り、文字通りトゥルダクを蹴散らしていきます。
スコップを振り上げるトゥルダクは見つけ次第ガンナイフで射撃。
その場はすぐに離れるので、戦闘力の上がったトゥルダクは相手しません。
数周すれば大分間引けるでしょう。残った敵は確実に射撃で仕留めます。
難敵は確実に増えて来る。昔を思い出して感傷に浸る暇はなさそうですね。
かつてのシルバーレインで戦い抜いた者には懐かしさも覚える「るー」の声。
ざく、ざく、ざくり。
一心不乱に天徳院の境内を掘るトゥルダクの群れに、御鏡・幸四郎(菓子職人は推理する・f35892)は改めて切羽詰まった状況であることに気付く。
ざく、ざく、ざく。
「るー……るー、るー」
「るー」
「……、ルールー……トゥルダクが出てくると言うことは、やはり生と死を分かつ者が糸を引いているのでしょうね」
声とともに零した吐息は少しの重さを含んでいる。
少しでも力を削いでおくのは急務だ。
懐に入れた手が抜いたのは詠唱銃。ゴーストピースの一つ、ナイトの駒を装填し――、
「共に駆けよ、ナイト!」
撃ち放たれるは駒に宿った雑霊。銃身を駆け抜け、螺旋する身を解き現れたのは大きな馬。
一度低く翻った馬体がすくいあげる動き――駆けだす馬の背に跨った幸四郎――彼から送られる脚を合図にナイトの馬もまた脚を使う。
掘られゆく地を叩き、その衝撃を活かして筋肉を駆使し、次なる力強い一歩。障害物であるトゥルダクを蹴散らし、少女らの陣容を踏み荒らしていく。
「るー、るー」
振り上げられたスコップが幸四郎たちを迎え撃とうとするが、その挙動に気付いた時点で、ガンナイフの速射がスコップを穿つ。高らかな金属音が響き渡った。直後、蹄に穿たれる敵身。
ぶわりと瘴気が噴き上がるも、雑霊の馬は構わずに辺りを駆け荒らしていく。
蹄に砕ける骨の音。
掘り返された土は踏み固められて。
そのうえで生き残ったトゥルダクは、幸四郎の銃弾にて確実に仕留められていく。
この辺りのトゥルダクはすべて倒しただろうか――馬上から周囲を見回す幸四郎。
シルバーレインに巻き起こった戦い。そのさなか。
「……難敵は確実に増えて来る。昔を思い出して感傷に浸る暇はなさそうですね」
やがてくる強敵に備え、一つ一つを踏破していく。
その時にやれることを。
昔も、今も、戦の定石は変わらない。そう思うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
駒鳥・了
絡みアレンジおっけ!
逆ワカメちゃんスカートになってんじゃんそのワンピ
いくら骨でも感心しないな!まあ倒すんだけどさ!
さって、足の骨をばきばき折ってくのと
スコップ破壊すんのとどっちが楽かなー
ってこっわ!ナニそのスコップの威力こっわ!
猫の手をそこらの木に引っ掛けて上に逃げよ!
かっとばされても同じく猫の手でうまく木の上に逃げるけどさ!
さーて大量処理ならUCの駒鳥ちゃんたち!あのコたちの足を粉砕してきて!バランスを崩したところでオレちゃんの直刀で横殴る!
ゴーストドミノってヤツを目指して、こう!
猫の手で一旦宙に浮いたらそのあとは頭を踏みつけたり蹴っ飛ばしたりの空中戦も追加で!
夜遊びしてないで成仏しなね!
「るー、るー」
ざく、ざく。ざくり。
「るー……」
歌うような声で天徳院の境内を掘り続けるトゥルダク。木々の根が剥き出しになっている。
意外にも下半身をしっかりと据えた姿勢に対し、ふわりと動くスカート。そのデザインを見た駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)は突然とある衝動に駆られる。
「逆ワカメちゃんスカートになってんじゃんそのワンピ!」
前方が短いスカートは少女が上半身を伸ばせば丸見えだ。具体的に言うと腰骨が。
「いくら骨でも感心しないな」
ひざ丈とかさぁ、もうちょっとなんかあんじゃん??? みたいな。フレッシュな感覚が冴える了――アキは最近二十歳になったばかり。
アキの声にわずかに注意を向けながらも、トゥルダクは「るー、るー」と言いながら地面を掘り続けている。
ざく、ざく、ざくり。
ざっ。ざっ。
のんびりだったり、手際が良かったり、同じような姿を持つトゥルダクたちだがそれなりに動作の特徴はあるようだ。
「んー。足の骨をばきばき折ってくのと、スコップ破壊すんのとどっちが楽かなー」
やっぱ足の骨かなぁ。
「でも転倒してもスコップ短く持ったら掘れるしなー」
むむむん。と悩ましげにしているアキ。「あ、そだ」と指をパチン。閃いた空気に、近くのトゥルダクが過敏に反応した。
突然スコップを振り上げ、アキへと振り下ろしてきたのだ。
「うわっ」
ひょいっと避けるアキ。細い木の幹を刹那の壁に、飛ぶように後退した。
空回ったスコップが地面へと着けば、ぶわりと湧き出す死の瘴気。
「えっナニそれ!?」
みるみると木の根と幹が枯れていく様を目にしたアキは、瞬時に取り出した鋼糸を操る。上へと放った猫の手はアキの身をあっという間に木上のものとした。
「うっわこっわ! ナニそのスコップの威力こっわ!」
幹に引っかけたフックを外しながら言うアキは、なんだか猫みたいだ。ちょかいを出して、獲物の動きにびっくりして、いったん距離をとって警戒し、観察。
「ま、届かないならオッケーかな? さーて駒鳥ちゃんたち! あのコたちの足を粉砕してきて!」
魔法剣『kaleido sword』を振るえば顕現し飛び立つは可愛らしい駒鳥たちの姿。
急降下しての急上昇の体当たり、または低空に薙いでトゥルダクの群れへぶつかっていく駒鳥たちはアキの言葉に従いすべてが足の狙い。
追撃に、体勢を崩したトゥルダクを襲うは飛び降りたアキ。直刀でトゥルダクの頭部を横殴りにしの撃破。
アキの片手は猫の手を握ったままだ。フックは次なる木に掛かり、伸びやかに虚空を舞うアキ。わずかな滞空から繰り出した足はトゥルダクを蹴り飛ばし、その着地点には地面に倒れいていたトゥルダク。
「ん、こーやってソッコーでトドメをさしてけば良いんじゃん?」
さっきの閃きの正体だ。
身を躍らせばピンと伸びたワイヤーが遠心を活かし、アキの横移動力を高めた。kaleido swordを加速に任せて振るう。
「もー、夜遊びしてないで成仏しなね!」
「るー……」
アキの言葉に応えたのかもしれないトゥルダクの声。
自ら掘った穴に砕けた骨を散らしながら、骸の海へと還っていった。
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
オブリビオンさんを蘇らせてなるものですか
要は地面を掘り返せなけれよいわけです
それなら…
自身をペロっとして摩擦抵抗を操作して
スケーターの如く滑走し
すれ違いざまペロ
ペロするのはほんの一瞬です
時間もかかりません
次々とトゥルダクさんの間を
走り/滑り抜けていきます
もし攻撃を受けても
つるっと滑らせてノーダメージです
全身の摩擦抵抗を失ったトゥルダクさん方は
スコップを持ったり立つことが出来ず
すってんころりんして
カーリングのストーンのように
ランダムに滑って行って
仲間にぶつかったりされるでしょう
こんな感じで全員を無力化して倒していきます
終幕
鎮魂の調べ
貴女方も望まず蘇った犠牲者だったのでしょうね
海で静かな眠りを
ざく、ざく、ざくり。
境内を掘り続けるトゥルダクたち。
(「シルバーレインに住んでいる皆さんが、過去、苦労して倒してきたゴースト……オブリビオンさんを蘇らせるわけにはいきませんね」)
易々と、そんな事態を見逃すわけにもいかない。
箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はぺれぺろと猫の手を舐めて、顔を洗う。ヒゲをちょいちょいと整えて、おでこの毛並みを整えて。いつもより入念に毛づくろい。
「これでよしです」
準備は万端。わずかにしっぽを振ったあと、とうっとジャンプして飛び込む仄々の姿はまさしく猫。
勢いのついた着地は、そのままするする~っと、まるでここが氷上であるかのように仄々の身を滑らせた。しっぽを振り、絶妙なバランス感覚を披露する。
舌を出し、トゥルダクの群れへと突っ込んだ仄々は、トゥルダクとトゥルダクの間や、骨の脚の間をすり抜けながら、猫の毛づくろい。
ぺろっと一舐めすれば、地面を掘っていたトゥルダクはつるっと転んだ。その先にあったのは自ら掘っていた穴だ。
突然滑って転ぶ。その勢いは前のめりであり、軽い下半身は浮く。上下に半転する動きで穴に落ちればどうなるか――。
骨身を強かに打ち、滑って飛んだスコップが降ってくる。硬質なソレが次に突き刺したのは土ではなくトゥルダクの体。ざくっ。
ぺろ、ぺろ。
通った場所をすってんころりんさせながら、さらに仄々がトゥルダク密集地帯を毛づくろいしてゆけば、転倒した者同士でトゥルダクはぶつかり合う。
反撃に仄々を狙おうにも摩擦抵抗力を減らされたトゥルダクはスコップを取り落としている。
「ふぅ、これで無力化できましたでしょうか」
倒れてもまだ生きているトゥルダクに向けて爪弾くは、カッツェンリート。
「さあ、骸の海へと還りましょう」
歌声に乗せて蒸気機関式竪琴を奏でれば、生き残ったトゥルダクたちが徐々に瞼を落とし、赤い瞳を隠す。
――眠るような死。
「……、貴女がたも望まず蘇った犠牲者だったのでしょうね」
海で静かな眠りを。
そう願う仄々が紡ぐ、鎮魂の調べ。
「おやすみなさい」
海へと還っていく少女たちへ、穏やかな音色と、お別れの挨拶を。
大成功
🔵🔵🔵