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第二次聖杯戦争⑫~|妙齢淑女の艶姿《BBA無理すんな》

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #闇の淑女オクタンス

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#闇の淑女オクタンス


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「ああ、なんということ。かつてわたくしはこの世の春を謳歌しつくしたと思っていたのに……」
 闇の中、鮮血を用い何かを行う女。
「全くの不明、今は悔いるのみ。この愉悦を知らずにいたなど……」
 言葉こそ悔恨のものだが、女の顔は恍惚の笑顔。
「この悦楽を教えてくれた礼に、頼みの一つくらい聞くのもやぶさかではなし。わたくしはこう見えて義理堅いのよ」
 鮮血に濡れる女の姿は妖しく、美しく、そして悍ましい。
「さて、来れるものなら来て見なさい能力者……いえ猟兵。このわたくしの儀式と美しさに、隙はない」
 その豊かな肉体を曝すような薄衣を纏い、女は年月を美しさに変えたかの如き笑みを浮かべていた。


「みんなー! 第二次聖杯戦争の依頼だよー!」
 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装備した花園・ぺしぇが元気よく声を上げた。
「あのね、今回の相手は『闇の淑女オクタンス』っておばちゃん! このおばちゃんは『闇の領域』ってところで血をこねこねして儀式してるんだって! 何の儀式かは分かんないけど、それを邪魔しに行って欲しいの!」
 それはかつて恐るべき大敵として能力者たちの前に立ちはだかり、幾度かの激戦を持ってようやく滅された大敵。
「で、このおばちゃんは『原初』っていうものすごーく強い吸血鬼なんだって。原初って言うからには年の功みたいな感じで頭も良くって、なんか吸血鬼の弱点を技術でカバーしちゃったこともあるみたい! しかもおばちゃんはすっごく強い上器用だから、戦いながら儀式を続けることもできるみたいだよ! さらにすっごい美人で、若くてスタイルに自信がなきゃ着れないようなエッチな格好もしてるの!」
 ぺしぇの説明が乱雑なためかゴーグルから触手が伸び、当時の資料を出して来る。それによると彼女は超巨大戦艦に乗ることで事実上陸地にいるような状態になるという奇想天外な方法を持って、巨大な流水とも言える海を強引に渡ったことすらあるらしい。そして添えられた写真の姿は、なるほど確かに色気溢れる年経た美女である。
「おばちゃんは体の中にいっぱいゴーストを飼ってて、それを使って攻撃してくるよ。特に鮫型のがお気に入りみたい! あと現代兵器を装備したゴーストを空母に乗せて召喚したりもするの! むかーしのゴーストに、無理矢理でも今のアイテム装備させちゃう、時代を気にしない攻撃だよ!」
 吸血鬼という言葉のファンタジー性を保持しつつもも妄信しない、過去から現代にいたるまで進化と取捨選択を続けてきたまさに時の中で研鑽された能力と言えるだろう。
「でもね、やっぱり歳だからイライラしやすいのかな。怒るとすっごく口が悪くなって、せっかくの作戦とかも全部忘れちゃうみたいなんだ。おばちゃんはもう一つ『赤と黒の淑女オクタンス』っていうあだ名があるんだけど、怒ってなくて冷静な時が黒モードで、怒って乱暴になっちゃってる時が赤モードなんだって」
 二重人格とかではなく、怒り時とそうでない時の落差が極端なまでに激しいらしい。
「だから、みんなはおばちゃんを怒らせてから戦って! そうすればおばちゃんは儀式するのも忘れて皆を攻撃してくるし、その攻撃も雑になって全然あたらなくなっちゃうよ!」
 相手の悪癖を利用しろと、つまりはそう言うことだ。だが普段は冷静で頭も切れるという彼女をどう怒らせろというのか。
「えーと、それはー……うーん、ごめん。わかんない。おばちゃんはいっぱい生きてるからいろんな経験してるだろうし、ぺしぇちっちゃいから想像できないの」
 申し訳なさそうにしゅんとするぺしぇ。それではそれらしい手段を総当たりするしかないのだろうか……
 だがそれはそれとしてこの幼女、さっきからやたら年齢に関するワードを連発している気がするのはなぜだろうか。
「でもね、きっと皆なら思いつくと思うよ! だって皆おばちゃんよりは若いもん! 若さゆえのじゅーなんせーでなんとかしちゃえ!」
 これはミルケンが言わせているのかはたまたそれこそ若さゆえの残酷さというやつなのか。ついでに猟兵の中にも悪魔とか妖怪とかの年齢ってなんだよな種族もいるのだが、そこに気が付かないのもまた若さゆえの思慮の浅さなのかもしれない。
 まあともあれ多分そういうことなのだろう。何やら猟兵たちが納得したような表情になったのを見て、ぺしぇはグリモアを起動する。
「それじゃみんな、がんばってねー!」
 そうやってぺしぇは闇の領域へと猟兵を送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。無理してるお姉さんは好きです。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……オクタンスを怒らせる』

 今回の相手となる『闇の淑女オクタンス』は『闇の領域』の中で儀式を続けています。彼女は極めて強く冷静で、儀式をしながら猟兵の攻撃を見切り、片手間程度のカウンターで対処できるほどの実力者です。ただし彼女は一度怒ると冷静さを失い、怒らせた相手を殲滅するまで滅茶苦茶に暴れることでも有名です。なので、彼女を怒らせた上で儀式を中断させ、雑になった攻撃の隙間を塗って倒してください。

 怒らせる方法ですが……|まあそんな感じ《年齢と服装いじり》です。彼女の名誉のために行っておくと、性格は悪いですがスタイルはめっちゃいいです。美人です。でも、少なくとも学生に紛れるのはキツいです。前回やられた時なんて周り中ガチ年下だらけでした。
 また時代に合わせた技術を取り入れられるとはいえこの10年くらいは死んでいたので、その期間の話にはピンポイントに疎いです。それこそ流行についていけなくなった大人の如く。

 まあ、こんな感じなのでネタ寄りです。|高露出の綺麗なお姉さん《いい歳したエロBBA》を煽り倒してやってください。
 ただしキレても強いのは変わらないので、言葉攻め以外の攻撃もお忘れなく。

 それでは、若々しいプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『闇の淑女オクタンス』

POW   :    ジェット・シャーク・ファング
召喚したレベル×1体の【ホオジロザメ型妖獣】に【チェーンソー刃】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
SPD   :    ブラッディ・シャーク・バルカン
【体内】から無限に供給される【生命体を追尾飛行する鮫型妖獣】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
WIZ   :    シャドウ・クレマンソー
【現代兵器】で武装した【ヴァンパイア・バタリオン】の幽霊をレベル×5体乗せた【影の空母】を召喚する。

イラスト:新井テル子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キャスパー・クロス
「ヒュゥ、結構いい女じゃない?今晩誘いたいくらいだよ」

まずはちょっと持ち上げるような軽口をひとつ
まぁオクタンスが女同士のアレソレに興味があるかはこの際置いといて……
「あーでも止めといた方がいいかぁ」
鼻で笑いながら
「おばさん程の歳だと私の体力についていけないだろうしね……」
と言葉の【暴力】を叩きこんじゃる

「胸も尻も良い感じに垂れてきてるから、揉み心地は良さそうなんだけどねぇ」
なんて、怒り易くするためにわざと話題をセクハラ方向に
私にロックオンしてくれたら、今度は真面目に攻撃を【見切り】対処するよ

立ち止まると連射速度が上がる、追尾式の鮫?
じゃあ、ギリギリまで引きつけたら
「‪──‬呂色ッ」
《呂色は詳らか》を発動、オクタンスの背後に瞬間移動!
追尾式であるほど、怒りで我を忘れてるほど、この動きには付いてこれないだろう!

「ちゃんとパンツ履けっ!ケツのセルライト見えてんよ!」
と心の【傷口をえぐる】ようにオクタンスの尻をベチーーン!とひっぱたきつつ(※触りたかっただけ)
後ろから【斬撃波】をブチ込んでやる!



 金沢はひがし茶屋街周辺、紅殻格子の町家が並ぶ観光地であるそこは、今闇の中に飲み込まれていた。
 それは『闇の淑女オクタンス』が作り出した『闇の領域』。誰も近づけぬよう大量のヴァンパイア・バタリオンに守られたそこだったが、多くの猟兵たちがその軍勢をなぎ払ったことでついに領域内へ直接転移の道が開かれた。
 その闇の中にいたのは、鮮血に濡れ何かを続ける妙齢の女。
 その容姿は美女と呼ぶに相応しいものではあるが、恍惚とした顔で血にまみれるその姿は見た者の心を恐怖で塗りつぶすには十分すぎる程の恐ろしさであろう。
「能力者でもバタリオンの守りは抜けられるとは思えない。猟兵……なるほど、聞いていた以上に規格外の様ね」
 その女、オクタンスは血を捏ねる手は止めず、視線だけを流していった。その視線の先には本来ならあり得ざる侵入者……猟兵の姿が。
「ヒュゥ、結構いい女じゃない? 今晩誘いたいくらいだよ」
 キャスパー・クロス(空色は雅やか・f38927)は、何一つ怖じることもなく、オクタンスへ軽口をたたいた。
「よく言われるわ……でも残念、あなたは今日の夜を迎えることももうできない」
 自身の容姿が美しいことを自覚しているオクタンスは、褒められたことも当然と言わんばかりの態度でそれを受け流す。彼女が女同士というものに興味があるかどうかは定かではないが、流石にこの程度で取り乱すようなことはないのはキャスパーも分かっていることだ。
「あーでも止めといた方がいいかぁ」
 だから、さらに鼻を鳴らして続ける。
「おばさん程の歳だと私の体力についていけないだろうしね……」
 誘ってからの撤回、挑発としてはままある手。だが、その中に含まれていた言葉にオクタンスの儀式の手が僅かに鈍った。
 その反応を見逃さず、キャスパーはさらに畳みかける。
「胸も尻も良い感じに垂れてきてるから、揉み心地は良さそうなんだけどねぇ」
 容赦ない言葉の暴力を浴びせ続ければ、オクタンスは完全に儀式の手を止めキャスパーを睨みつけた。
「少し……黙ってろ!」
 己の姿を堂々と曝け出すオクタンスのこと、セクハラ程度ならむしろ歓迎するくらい。なれどその自慢の姿態を老けているなどと呼ばれれば、それは高く脆いプライドにいやでも響き渡る。
 露払いのためのカウンター主体を心がけているはずのオクタンスの体から、鮫型の妖獣が大量に湧きだしキャスパーへと襲い掛かった。それは大口を開け獰猛さを露にし噛みかかってくるが、キャスパーは恐れることなくその軌道を注視する。
「……ここっ!」
 その顎が体を捕らえる瞬間を即座に真剣さを宿した目で見切り、一気に跳躍して躱す。足の下で閉じる顎の力は万力の如く、それに挟まれれば体など軽く両断されよう。
「逃げるなぁぁぁぁっ!!」
 一度避けられたことで怒りを募らせたか、完全に体ごとキャスパーの方へ向き直ったオクタンス。大股を開き体を見せ、その全身を露にすればそこからさらなる勢いで大量の鮫が溢れ出して来る。
「立ち止まると連射速度が上がる、追尾式の鮫?」
 最早儀式など眼中になし。完全に目の前の無礼者を始末することしか頭になくなったその攻撃の勢いはすさまじく、だがそれ故に乱雑。
 相手の怒りは自分をより冷静にさせてくれる。この勢いは圧巻、自分に届くまでの時間はごく僅か。その時間を測った刹那。
「‪──‬呂色ッ」
 キャスパーの口が動いた、その瞬間、その体の何倍もの質量の鮫が彼女のいた場所を埋め尽くした。
「……くっ……わたくしとしたことが……あの程度の相手に少々取り乱したようで……」
 猟兵がどれほどのものであろうとあれだけの牙に食われて生きてはいられまい。その事実が、オクタンスに冷静さを取り戻させる。少し背を丸めながら胸をなでおろした、その時。
「捉えた!!」
 後ろから、倒したはずの女の声が聞こえた。そして同時に姿勢の関係で少し後ろに突き出された尻が大きく揺れる。
「ちゃんとパンツ履けっ! ケツのセルライト見えてんよ!」
 豊かな尻を、キャスパーが思い切りひっぱたいた。その勢いで揺れる尻肉の中身が果たして何かはさておいての話だが。
「貴様……なぜ!」
 キャスパーは冷静な頭と、オーバーロードでオクタンスさえ見透かせるほどに引き上げられた眼力で見切っていた。追尾式であるほど、怒りで我を忘れてるほど、この動きには付いてこれないだろうと。それ故に、相手の攻撃が自分に当たるまで引きつけ、その瞬間【呂色は詳らか】を発動し相手の背後に瞬間的に移動したのだ。鮫は自動で追尾する故にオクタンスが怒っていようが敵を追いかけはする。だがそれだからこそ、冷静さを失ったオクタンスはその軌道上に敵がいると信じて疑わず、念のため背後を警戒するなど全くしていなかった。
 再び頭に血を上らせ振り返ろうとするオクタンス。だが、それより早く尻を叩いたキャスパーの腕がさらに上がる。それが撫ぜるのはオクタンスの体のライン。そしてその手先からは、巨大な斬撃波が走る。
「ぎぃぃぃぃぃぃ!?」
 その豊満な体が裂け、鮮血が噴きあがる。自らの頭を『赤』に染めた闇の淑女は、体までをも自らの血で赤く染めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソアル・セレム
今回はソアルちゃんが行くよー!

で、敵はこのおばちゃんだね?
うーん、パッと見は確かに綺麗だけど、よく見るとやっぱりこう、たるんでたりシワがあったり…
あとお化粧濃すぎるよね。ごまかしてる感じ凄くあるよね。
因みにソアルちゃんはすっぴんです!

まあ要するに…おばちゃん、無理しない方が良いよ?

おばちゃんが攻撃してきたらUC発動、スピード上げてサメさんから逃げつつおばちゃんに接近。
ジャンプやスライディングで上手いこと攻撃かわして殴りにいくよ。
ついでに追いかけてきたサメさんも、おばちゃんを盾にして避けつつ自爆させられればベストかな?


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
或る意味、難儀な方ですねぇ。

若しかして、お年で認知が歪まれてます?
この寒い中で薄着、更に明らかに若い方が着る様な服装と、年齢的に色々と合っていない気が。

等と煽ることで、怒りを誘いますねぇ。
そして、彼女の『召喚』に合わせ【炳輦】を発動、『FAS』の障壁と『FMS』のバリアを重ねますぅ。
冷静な状態なら兎も角、怒ってしまえば『妖獣への指揮』は低下しますから、【炳輦】の飛行速度と『瞬間移動』による回避を捉えるのは難しいでしょう。
後は、攻め気に逸り防御が疎かになったところを、『時空切断の嵐』の[範囲攻撃]で『妖獣』達を排除し射線を空け、『F●S』各種を重ねた集中攻撃で叩きますぅ。



「くっ……いけないわね。わたくしともあろう者が、あの程度の挑発に……」
 敵が去り、一人になった所で冷静さを取り戻すオクタンス。深く刻まれた傷は既に塞がり始めており、原初と呼ばれる彼女の生命力の高さを物語っている。
 だが、すでに道は開かれている以上猟兵は絶え間なくやってくる。
「今回はソアルちゃんが行くよー!」
 明るい声とともにやってきたのは、ソアル・セレム(ホワイトシャドウ&ブラックブライト・f05001)。今表に出ているのは、彼女を形成する二つの人格の内、幼く直感的な思考で動くソアルの方だ。
「で、敵はこのおばちゃんだね?」
 戦場についたソアルは改めて今回の標的を確認し、そのまま無遠慮な視線で相手をじろじろと見る。
「うーん、パッと見は確かに綺麗だけど、よく見るとやっぱりこう、たるんでたりシワがあったり……あとお化粧濃すぎるよね。ごまかしてる感じ凄くあるよね」
 その上で何の遠慮もない素直な感想。もちろんばっちり声に出している。
「因みにソアルちゃんはすっぴんです!」
 その上でばるるんと大きな胸を張ってのドヤ顔。
「やかましいわ! 化粧の仕方も知らないクソガキが!」
 その煽りに、せっかく取り戻した冷静さを早速かなぐり捨ててブチ切れるオクタンス。化粧の上手さは大人の女の証とはいえ、すっぴんを曝せるのはよほど自分の容姿に頓着がないか若さに自信があるかのどちらかであり、オクタンスにはいずれも縁遠い思考である。
「或る意味、難儀な方ですねぇ」
 そんな彼女の変わり身を夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が呆れ気味に見て呟いた。
 だが、そんなるこるもまずは彼女に声をかける。
「若しかして、お年で認知が歪まれてます? この寒い中で薄着、更に明らかに若い方が着る様な服装と、年齢的に色々と合っていない気が」
 今は一月、場所は北陸。どう考えても薄着で出歩いていい状況ではない。まあオクタンスのとんでもない強さならその辺はどうにかなるのかもしれないが、年齢と服装の取り合わせの方についてはやっぱり流せない。
「お前にだけは言われたくないわ!」
 実際るこるも何というか色々はみ出している格好なので、この返しも最もと言えば最もである。
「私はまだ若いのでぇ」
「まあ要するに……おばちゃん、無理しない方が良いよ?」
 煽りの内容をソアルが端的にまとめたことで、オクタンスはまたもブチ切れた。
「いけ鮫ども! あの駄肉の塊食ってこい!」
 オクタンスの体から湧きだす大量の鮫軍団。バルカンの如く乱れ出るものはソアルを的確に狙い、チェーンソーの刃が生えたものはうなりをあげてるこるを襲う。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
 それに対し、るこるは【豊乳女神の加護・炳輦】を発動、防御兵装を並べつつその後ろをマッハ10を超える速度で飛び回った。
「逃げんな! 刻め! 殺せ!」
 オクタンスが怒りの声を上げ鮫に命令を飛ばす。目がその超速度を追えているのは流石という所だが、余りにも雑過ぎる命令に知能の高くない妖獣は適当なところを飛び回り刃を振り回すしかできないでいた。
「ソアルちゃんの全力、見せちゃうんだからね!」
 一方ソアルも、自らに強烈な薬物を注入、【獣性突然変異】し迫る鮫の群れの間に滑り込む。筋肉の塊となって膨れ上がった体に鮫が食らいつこうとした瞬間、ソアルは素早く飛びあがって鮫の頭部を踏みつけ、それを足場に次々と鮫を踏み越えていく。
「ああ、クソ、この役立たず共が!」
 いらだった様子でオクタンスが声を上げる。体を広げさらに鮫を追加し物量で相手を押し潰そうとするが、背を反らして上を向くようなその格好はまるで前を見てもいない。
 その狙いの甘い攻撃の隙間を縫い、るこるが放った時空切断がオクタンスの体を捕らえた。
「うぐっ……!」
 その一撃によろけるオクタンス。まるで守りを考えない体にユーベルコードの一撃をまともに受け、それでもよろける程度で済むのは彼女の実力の高さの証か。だがそれならばそれを十分に発揮できないままに終わらせるべしと、さらに兵装を差し向けその体にぶち当てていった。
 砲撃、斬撃がオクタンスの体に炸裂し、ただでさえもろくに見ていなかった視界をさらに雑にする。
「この程度……!」
 自らそれらの攻撃を振り払おうとした瞬間、その腕を後ろから掴まれた。後ろに回り込んでいたソアルがその腕を捻り上げたのだ。
「いつのまに……!」
「え? たった今だけど?」
 ソアルは筋力と反応速度こそ上がっているが、特別な手段を使ったわけではない。ただ急いで動きオクタンスの後ろに回り込んだだけ。だがそんな単純な動きすらも、頭に血の上ったオクタンスは気づくことができなかった。
 そのままソアルは巨大な体でオクタンスを抱きすくめ、さらに巨大な胸まで押し付けつつ抑え込む。
「は、はなせ……!?」
「おばちゃん前見ないと危ないよー?」
 ソアルの言葉に前に目をもどすと、そこにはソアルを追ってきた大量の鮫の群れ。
「と、とま……」
 自動追尾機能の付いているそれは、何があろうと標的を追い続ける。例えその軌道上に召喚主がいようとも。
 るこるの攻撃によって体勢が崩れ、そこをソアルの巨大な体で抑え込まれたオクタンスはとっさにそれを躱すことができない。そのまま冷静である時から誇っていた自身の強さを、オクタンスは余すところなくその身に受けた。
「うげあぁぁぁぁぁぁっ!!」
 汚い絶叫を上げるオクタンス。鮫の嵐が去ってから、ソアルは捨てるようにその体を離す。
「人のこと散々言ってくれたけど……お前らだってそのでかさじゃ油断したらすぐ垂れるからな……覚悟しとけ……!」
 倒れながら負け惜しみのように、自分よりもはるかに大きい胸を持つ二人に言うオクタンス。その言葉にソアルは関係ないとばかりにその巨大な胸を張り、るこるは目を逸らしながら自分の胸に手を当てるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
ここ十年は逆風の時代だった
人を傷つけない笑いが持て囃され
外見や年齢を弄る行為は
差別だと非難されるんだ

コンプライアンスって知ってる?
僕はコンプラを遵守する偉い猟兵
人を傷つけるような事は言わないさ
妙齢の女性も好きな服を着ればいいし
女に興味がない男の前で露出するのも自由だ…
それが令和のシルバーレイン
あ、年号変わったんだよ
もしかしてまだ平成だと思ってたかな

平成の笑いなんかに僕は負けない
え?芸人枠じゃない?またまた
僕のUCで理解できてきただろう
空気…読めてないって

ちなみに僕は鮫を早業で解体し続け
血みどろかもしれないが
美形なので公序良俗を守っている扱いになる
この世の理不尽に怒り狂い
精神的打撃を受けるといい



 次に闇の領域へと現れたのは鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)。彼はオクタンスを前にし、攻撃するでもなく訥々と語り始める。
「ここ十年は逆風の時代だった」
 露骨に煽って来た今までの相手と違い静かに話しだす相手に、オクタンスもまずは手を出さないでいる。
「人を傷つけない笑いが持て囃され外見や年齢を弄る行為は差別だと非難されるんだ」
 だからどうした、とも思うが猟兵は一人一人が全く違う能力を持っている。個々のの力は自分に及ぶことはなくともその攻め手は千差万別、故に相手の出方を見切るべく、オクタンスはまずは彼の話を遮ろうとはしなかった。
「コンプライアンスって知ってる? 僕はコンプラを遵守する偉い猟兵、人を傷つけるような事は言わないさ」
 言葉自体は知っているが、吸血鬼組織は上から下まで常に命懸けの仕事だらけ。少しでも上の機嫌を損ねれば理不尽に殺されるし、下は下で一見言う通りにしているが手綱を離せばすぐに自分の欲望に走り出す。いわばパワハラ、モラハラで成り立っているような超絶ブラック組織だから、そんな話をされても知ったことではない。
「妙齢の女性も好きな服を着ればいいし、女に興味がない男の前で露出するのも自由だ……」
 さらに続く語りにオクタンスはぴくりと反応する。一見ただ自分の意見を語っているようではあるが、その内に秘められた遠回しなディスりを見逃さなかったのは彼女がまだ冷静だからか、あるいはここまでの流れで過敏になっているからか。
 このまま語らせてもまずい。先んじて仕留めるか……そう思うオクタンスの手を、次の言葉が止めた。
「それが令和のシルバーレイン」
「令和……?」
 知らない言葉。話の流れからして時代に関する言葉なのだろう。最も危惧すべき能力者組織が存在する国なのだ。日本については10年前に多少なりと調べてはおり、年号という独自の暦を持っていることも知っている。
「待ちなさい、今は平成35年ではないの……?」
「あ、年号変わったんだよ。もしかしてまだ平成だと思ってたかな」
「アァアアア年号がァ!! 年号が変わっている!!」
 頭を抑えうずくまるオクタンス。一つ前の年号を基準にするというのは例えそれが馴染みない異国のものであってもそれだけで強烈に年齢を意識させるものだ。
「平成の笑いなんかに僕は負けない」
「笑わせるつもりなんかないわ!」
「え? 芸人枠じゃない? またまた」
 変わらぬトーンで続ける章。まあ期せずして丁度年号が変わる時ちょっと流行ったネタをやってしまったのでその扱いも仕方なし。
「僕のUCで理解できてきただろう。空気……読めてないって」
「うるさい! もう死ね! 死ね死ね死ね!!」
 乱雑に、滅多矢鱈に鮫を射出するオクタンス。その鮫を、章は捕まえてさくさく解体しはじめた。
 もちろん返り血で血まみれ、どっちが鮮血儀式をやっているのか分からない状態だが、おあつらえ向きに追尾機能で自分から飛び込んでくる鮫を章は片っ端から捕まえて捌いていく。
「血みどろかもしれないが美形なので公序良俗を守っている扱いになる」
「人のこと散々馬鹿にしといてそれか!」
 何か言われる前に自分はOKと言っておく章とそれにツッコむオクタンス。
 まるで締まらない状況だが、そもそも怒っているならその高い実力を振り回し、強引にでも章を滅すればいいはず。それをしない理由はまさに、章が作り出している『空気』にあった。
 【鵜飼流人間奥義『働く』】。その場の空気に相手を従わせ焦らせる精神攻撃のユーベルコード。相手の思考、精神だけを責める技は10年前の時代にはほとんど存在せず、あったとしても人が扱えるものではない特殊空間か、音や物体など因果が明確に分かりやすいものが同時に発現していた。
 ユーベルコードを得たとてオクタンスのそれは自身の能力の延長、ヴァンパイア・バタリオンの召喚を強化した者に過ぎない。場の空気、思考の方向をそれと悟られず操作するなど彼女の想定の内には無い戦術であった。
「この世の理不尽に怒り狂い、精神的打撃を受けるといい」
 これもまた、一見すれば単なる煽り。だがその本当の意味を介せぬままに、オクタンスは捌き能う勢いで飲み自らの能力を吐き出し、徒労と疲弊を重ねていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

死絡・送
POW
アド絡みOK
ノーブルバットに変身して参加、仲間達と助け合いながら戦う。
「原初の吸血鬼、先輩方から話は聞いてはいたがドギツイ婆さんだな
更年期の加齢臭を越えて死臭がするぜオブリビオン!」
銀誓館のトレジャーハンター部に所属しているので、過去の歴史は勉強して来たから自分も吸血鬼の血を引いている癖に煽る。
見た目は美人だが、性格は好みのタイプではないので辛辣。
念動力とオーラ防御で身を守りつつ、ノーブルアンカーで攻撃。
敵は攻め、味方は援護したり庇い守り支える。
「超科学の光りでくたばれ、エロババア!」
と言ってからユーベルコードを使う。



 『闇の淑女』オクタンスが作り出した『闇の領域』。次に現れたのは、その闇に説けそうなほどに黒一色のスーツを纏った猟兵であった。その名はノーブルバットこと死絡・送(ノーブルバット・f00528)。ヒーロー活動を行うダークヒーローである。その姿に、オクタンスは冷笑を向ける。
「原初であるわたくしに蝙蝠の仮装で挑むなど……あるいは差を悟って軍門に下りに来たのかしら?」
 吸血鬼でも最高位に位置するオクタンスにとって、蝙蝠は最早用もなさないほどの格下の存在。それを模したスーツなど、オクタンスからしてみればまさに滑稽極まりない姿であった。
 だが、それは送の方からしても同じこと。
「原初の吸血鬼、先輩方から話は聞いてはいたがドギツイ婆さんだな。更年期の加齢臭を越えて死臭がするぜオブリビオン!」
 原初が、オクタンスが如何なる存在か。それは事前にグリモア猟兵からももちろん多少なりと説明はあったが、それ以上に深く、直接知る者からの教授を受けていることを示すその言葉。原初となる条件がまさに死臭ぬれになるほどに陰惨であることを吸血鬼以外で知る存在。
「先輩? なるほど……やはり今ものさばり続けているようね、銀誓館!」
 10年前に激戦の果てオクタンスを滅した組織。今そこに所属し過去の歴史も勉強してきた送は、自分も吸血鬼の血を引いていることを棚に上げつつオクタンスを煽る。最も当時から学園に所属するヴァンパイアは多数いたし、如何に見た目は美人だろうと性格がまるで好みではないのだから否定することに躊躇いなどない。
 そしてオクタンスも、年齢に対する煽り以上にその存在そのものに怒りを燃やし相手を滅さんと赤き側面を露にする。
「ちょうどいいわ! その肉引き裂いて! ワタ引きずり出して! 脳味噌かき回して! 鮫に食わせてクソにしてやるわ!」
 10年前に受けた屈辱を纏めてぶつけてくれんと、何百匹もの空飛ぶ鮫を体から吐き出すオクタンス。それは命令通り送を切り刻まんとするが、その軌道は極めて直線的でわかりやすい。
「ふん!」
 送は念動力で鮫を押し、展開したオーラに当てて防いだ。鮫に生やされた刃は力強くオーラの壁を容易く削り取っていく。
「やれ! 殺せ!」
 それを見てオクタンスは激情のままただ猛進を命じ続ける。殺到する鮫は互いに押し合いへし合い市ながら送に向けて回転する刃を振り回しオーラの壁を切り裂いていくが、それは決して向こうへ抜けることはなかった。
 怒って雑になっているとはいえオクタンスの実力自体はまさに桁違い。正面から完全に弾き返せるものではない。だから、送は念動力は押し返すのではなく横にずらすような当て方にし、オーラの壁も鋭角に張ることでそのまま鮫が滑っていくように仕向けた。そして削られた壁の材料は自分の力なのだから、力尽きさえしなければその場でいくらでも補修は聞く。味方がいれば広げるつもりで力を身積もってきたのだ、己一人守るなら容易い。
 だがもちろんここで膠着していては、オクタンスの高い地力の前にいずれすり潰される。だから少しずつ、少しずつ状況は動かしていかなければならない。
 一方で怨敵に連なるものを何としても惨殺せんと、オクタンスも鮫を繰り返し差し向ける。一度弾かれた者にもすぐに再突撃を命じ、自分か相手が死ぬまで攻撃し続けよと同士討ちさえ気にせず物量戦を挑み続ける。
 その鮫の山から何匹かの鮫がまた滑り落ちた、その瞬間。
「超科学の光りでくたばれ、エロババア!」
 鮫の塊の中、思っていたよりもはるかに近い所からの罵倒。それと同時に防壁がはじけたかの様に光が漏れ、何匹化の鮫が吹き飛んだ。
「全てを光に変えて消す!! 光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
 その光の奥から、【光子魚雷一万発発射!!】が放たれた。残りの鮫も吹き飛ばし、至近距離から光の渦がオクタンスを包み込む。
 鮫をずらし押しのけながら、送は僅かずつでも足を進めオクタンスに近づいていたのだ。怒り狂っていてなお強いオクタンスを、必ず当てられる距離に捉えるために。
「光など……このクソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 吸血鬼として忌むべきものである光を当てられ、オクタンスが絶叫する。長き時の中学んだ科学技術さえ使いこなすオクタンスも、この世界にはまだ生まれてもいない超技術は理解しえない。これが今の異能だと、銀世界所属の猟兵は相手の年経た体に刻み込んだのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

櫻井・クロ
「怒らせて儀式を中断させるのにゃ」
(スレンダーでもメロン並の爆乳(成長中)を弾ませ立ち向かうピチピチの猫娘)

猫猫軍隊で味方を治療させつつ影の空母には突撃兵猫で集団攻撃するのにゃ
「スタイルはクロも負けてないけどお肌はクロの圧勝にゃね♪」
猫達と連携して【早業】【2回攻撃】でさらに攻撃
あちらが言い返したら「にゃ?」と首を傾げて聞こえなかった感じにしてさらに怒らせるのにゃ
攻撃は【オーラ防御】【第六感】【野生の勘】を総動員して対処
「クロの知り合いもお婆ちゃんがいるけどスタイル良くてピチピチにゃよ、復活したてて傷んでそうなおばちゃん吸血鬼には負けないのにゃ」

※アドリブや他の人の連携などはお任せなのにゃ♪



「怒らせて儀式を中断させるのにゃ」
 次に現れたのは櫻井・クロ(トラベルキャット・f12090)。スレンダーでもメロン並の爆乳を弾ませ立ち向かうピチピチの猫娘……といかにもスタイルを自慢していそうな相手にオクタンスも苛ついた眼を向ける。
「次から次へと……そんなにわたくしの邪魔をしたいのかしら?」
 もちろん、前回同様敵対者が何かしらの棒会を試みることくらいは予想していた。だが今回の連中はなぜだかこちらを煽り倒すことを主眼に置いている様にすら見える。その礼に漏れぬかのように、クロはまずオクタンスの体と顔をじっと見てきた。
「スタイルはクロも負けてないけどお肌はクロの圧勝にゃね♪」
「それ全くこっち褒めてないだろ!」
 よく聞いてみればスタイルの方も自分が勝ちという言い回しを見逃さず、オクタンスは体内からゴーストを召喚する。それは今まで出してきた鮫型のものではなく船……それも巨大空母。しかもその上にはアサルトライフルやボディアーマーで武装した兵士姿の吸血鬼が大量に搭載されていた。
「支援よろしくなのにゃ!」
 兵士には兵士を。クロも【猫猫軍隊】を召喚し、吸血鬼軍団と衝突させる。さらには自分も素早く攻めかかり、先陣を切る兵士たちを鋭い爪で切り裂いていく。
「撃て撃て撃てぇ!」
 オクタンスの命令に、一斉に小銃を撃ちかけるヴァンパイア兵の軍団。その銃弾をひょいと飛び越え、その後ろから猫の突撃兵を進ませる。
「やっちゃうのにゃ!」
 こちらも突撃指令を出し、近接での集団戦を展開させるクロ。さらには衛生兵たちに後ろに抜かせぬためと、万一の負傷に備え待機もさせておく。そしてクロは兵士たちの頭上を飛び越え、敵を一体ずつ引っかきながらオクタンスへと接近した。
「そんな邪魔くさいもんぶらさげてぽんぽん跳ねやがって、切れて垂れんぞてめぇ!」
「にゃ?」
 跳ねるたびに巨大なクロの胸が揺れる様にオクタンスが怒鳴り散らすが、それに対してクロは首をかしげてまるで聞いていない風。
「クロの知り合いもお婆ちゃんがいるけどスタイル良くてピチピチにゃよ、復活したてて傷んでそうなおばちゃん吸血鬼には負けないのにゃ」
「それはそれでキモいだろ! つか傷んでないわ! 復活したおかげでピチピチだ!」
 多分典型的な老婆顔の下にクロのようなスタイルが付いているのを想像したのだろう。そして確かにオブリビオンとして復活した以上、その体は全盛期。あるいはそれもまたオクタンスがオブリビオン化を至上の愉悦と評した理由かもしれない。
 だがあくまで彼女の全盛期とは銀誓館と戦った時の姿であり、基本10代、最高で20代前半の相手からは少なからず弄られるような外見年齢であった。残念ながらそれより若い年齢の者からは弄られる運命からは、オブリビオン化をもってしても逃れることは出来ない。
 そのまま怒りに任せクレマンソーに進撃を命じるオクタンスだが、クロはそれに飛び乗ってヴァンパイア兵をかき分け、一気に跳躍する。
「にゃ!」
 その自慢だろう顔に爪を一閃。美しい顔に赤い筋が走り、そこから鮮血が溢れ出す。
「おのれ、おのれぇぇぇぇぇっ!!」
 顔を抑え滅茶苦茶に手を振り回すオクタンス。的確に振るえば当たっているだろうそれも、視界を閉ざし無暗に振り回しているだけではしなやかに飛び回る猫を捕らえることなど出来ない。
 そのままクロはオクタンスの体を蹴って後ろに跳び、ヴァンパイア兵殲滅のため猫兵士に手を貸すべく戻るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘グロ×
とどめ希望
WIZ

ああああ、止めなさい猟兵!!
年齢の話は|長命種《わたし》に効く!!

ぜぇぜぇ……お会いできて光栄です、オクタンス様
私はドゥルール。オブリビオンの救済者です

私に心身を委ねていただければ
貴女様を猟兵からお守りし
真の永遠と無限の悦びを約束いたします♥

【脱衣・早業】

雑種のくせに生意気?
若い体を晒して当てつけか?
い、いえ、私はただ……

咄嗟にオーバーロードで黒炎の翼を生やし
【第六感・見切り・カウンター・高速詠唱】『絶対なる理想郷』で
132秒間、無敵になりつつ
ヴァンパイア・バタリオンとオクタンス様から生命力吸収

ダメージと媚毒の【呪詛】で弱らせ
私は吸収した力の【ドーピング】で超強化!
UC解除後を狙われるより早く
【ダッシュ・ジャンプ・怪力・捕縛】で抱き着き
私ごと【結界術・全力魔法】に閉じ込め
【誘惑・催眠術】で褒め殺しつつ【慰め・生命力吸収・大食い】

美と威厳に満ちた顔立ち
煌びやかな黄金の髪
妖艶なルビーの瞳
女の私でも見惚れてしまう肢体

貴女様に一目惚れです
どうか私の愛を受け取って下さい♥



 グリモア猟兵の暗示に従い、ここまで散々オクタンスを煽り倒してきた猟兵たち。だが、言葉というのは方向を選べない。近くにいれば聞こえてしまうし、猟兵の依頼である以上報告書に残りだれでも閲覧できる状態になるのだ。そうなれば目当ての相手以外にもそれが届いてしまうこともあるわけで。
「ああああ、止めなさい猟兵!! 年齢の話は|長命種《わたし》に効く!!」
 ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)もその言葉に色々とダメージを受けていた。まあある意味一番ひどいのは依頼のため敵に向けて言っていた猟兵でなく、悪意なく全方位にナイフをばらまいていた某幼女かもしれないが。
「ぜぇぜぇ……お会いできて光栄です、オクタンス様。私はドゥルール。オブリビオンの救済者です」
 そんな状態でもめげずにオクタンスの前に立ったドゥルールは、確かに学生のような若々しさはないが大人の色気溢れる彼女の体を見て何とか自分を奮い立たせる。
「私に心身を委ねていただければ貴女様を猟兵からお守りし、真の永遠と無限の悦びを約束いたします♥」
 何とかいつもの調子を取り戻し、そしていつものように服を脱ぐドゥルール。だが、それを見るオクタンスの表情は既に怒りに満ちていた。
「雑種のくせに生意気な……若い体を曝して当てつけか? お前風情が生きた年月などどうせわたくしの半分にも満たないだろう! それなのに悩むふりなどして……!」
 シルバーレインではヴァンパイアに限らず、来訪者と人間の間に生まれた子はどちらかの親と同じ種族になり混血種というのは基本的に存在しない。にもかかわらずドゥルールが雑種……ダンピールであることを看破できるのは、オクタンスの相手を見定める眼力が相当なものであることの現れか。だが結局それで見通したものから連鎖したのは『雑種→自分よりは短命→なのに年齢を気にする素振り→もっと年上の自分への煽り』という負の連想ゲームだった。恐らくここまで散々煽り倒されたことで、他人の言葉は全部攻撃に変換されてしまうようになっていたのだろう。
「い、いえ、私はただ……」
 予想外のブチ切れに思わずうろたえるドゥルール。それに言い訳は聞かぬとばかりに、オクタンスは影の空母を体内から出撃させた。
「ぶっ殺せぇ!」
 命令に従い、一斉に機銃を掃射するヴァンパイアたち。それはドゥルールのいたところを鉛玉で埋め尽くし、そこにあるもの一切を銃火の中に飲み込んだ。
 怒りを全部乗せた銃弾の嵐。その弾幕の僅か上に、闇の領域に溶けんばかりの黒き炎を背負ったドゥルールの姿があった。その足先の1cm下はもう弾丸の壁。オーバーロードを持って真の姿を出しようやくぎりぎりで回避できるほどの練度を持った軍団は、それを使役するオクタンスの実力をそのまま物語っていた。
「私自身が第2の骸の海となる!!」
 その軍団を、オクタンス諸共【絶対なる理想郷】で霧のようなものへと姿を変えたドゥルールが包み込む。
「いっちょ前に吸血鬼気取ってんじゃねぇ! 殺せ! ぶっ殺せ!」
 吸血鬼の代表的能力の一つである霧への変化を用いたことに苛立ちを募らせ、乱雑に殲滅を命じるオクタンス。それに従いそこら中に銃を撃ちまくるヴァンパイア兵たちだが、その連射速度は徐々に鈍りだしていた。
「ふざけんな! 殺されたいか役立たず共!」
 オクタンスがさらに檄を飛ばすが、兵士たちの動きは一向に改善されない。それどころか倒れ、消滅するものまで出始めた。
 そのまま意味もなくオクタンスががなり続けること二分強。霧が一気に晴れ、それにまかれていたヴァンパイア兵たちの倒れる姿だけが残る。
「……そこかっ!」
 ただ一人立ち続けていられたオクタンスはその霧が集約していく箇所、その一点を見極め掴みかかった。読み通り、その場所にドゥルールの体が再構築される。オクタンスの手がその体を捕らえる瞬間、ドゥルールはその手とすれ違うようにオクタンスへ向けて走り込み、その体に取り付いた。
 そのまま黒炎の翼を広げ闇の領域を焼き、結界としてその場だけを自分の領域にする。
「はなせこのクソが! 薄汚い雑種風情がわたくしに触れるな!」
 その状態でもわめきながら藻掻くオクタンス。一見筋力はなさそうに見えるその体だが、少しでも気を抜けば振りほどかれそうなほどにその力は強い。
 相手を怒らせるだけでなくオーバーロードを用い真の姿を出し、命懸けのタイムリミットぎりぎりまで無力化と力の吸収を行い、その力を全てぶつけてやっと何とかしがみつくことにこぎ着けたられたほどの力。もしこれを冷静な思考のまま的確に振るわれていたら、どんな策や技をもってしても抗し得ることはなかったであろう。
 だから、手段を選んで終わらせられるのは今この瞬間だけ。自分が望む手を用い、ドゥルールは最後の『攻勢』をかける。
「美と威厳に満ちた顔立ち。煌びやかな黄金の髪。妖艶なルビーの瞳。女の私でも見惚れてしまう肢体」
 オクタンスの美しい容姿をほめたたえるドゥルール。それは油断を誘うおだてではなく、本心からのものだ。だが怒り狂っているオクタンスがそれをまともに聞いてくれるとはドゥルールも思っていない。
 だから、誘惑の催眠術で心を攻める。怒っている時のオクタンスは精神攻撃にはまるで無防備なのは分かっているのだ。心を攻めろと言われたのだから、心に作用する術を使うのは何も間違ったことではないはずだ。
「貴女様に一目惚れです。どうか私の愛を受け取って下さい♥」
 そうして相手の生命力を吸収する。ここまでの戦いで大きく傷つき、またドゥルール自身も強化効果が乗っているとはいえ、残り全てを吸いきるには相応の時間がかかろう。
「クソっ、邪魔をするなっ!! 邪魔をするなこの○×△☆! 死の宇宙で生まれたリリスの女王の『本体』を抽出して『|持ち帰る《アーカイブ》』事の何が悪い!」
 最後の叫びは彼女がまだ何かを知り、その後ろに途方もない何かが控えていることを示すもの。だがドゥルールはそれについてはどうでも良かった。そんなものよりただこの美しき吸血鬼を『|持ち帰る《救済》』することの方がよほど大事と、自分の力全てを持ってその大いなる力を吸い尽くした。

 オクタンスの体が消えるとともに、闇の領域も晴れあたりには残り物のように大量の鮮血がぶちまけられる。その量は何人分かも計り知れぬほどだが、オクタンスがその長き生で貪った血はこれすらも比べ物にならないほどだろう。
 その美しき体と醜い生に今二度目の終止符が打たれた。オブリビオンとして滅された彼女に三度目はない……そう言い切るには、猟兵たちはもうあまりにも知りすぎていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月14日


挿絵イラスト