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第二次聖杯戦争⑬〜何を以て己が正義と成す

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #神将『睡藍』

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「さて、あんたらに次に行ってほしい依頼だけど」
 マリア・ルート(紅の姫・f15057)は神妙な面持ちで話し始める。
「場所は長土塀青少年交流センター。まぁ場所名は覚えなくていいわ。ここに展開されている仮想世界に行ってほしいの」
 仮想世界に行くとはつまりどういうことか。
「ここでは『|史・睡藍《し・すいらん》』って奴が待ち構えているんだけど、こいつの周囲には絶陣っていう小さな仮想世界が複数あるみたいでね。あんたらを引きずり込んでしまうってわけ」
 なるほどそれで目的地は仮想世界とか言っていたのか。
「仮想世界はあんたら個々人ごとに独立したものだけど、2つ共通点があるわ。1つは、『古の戦場を象るかりそめの世界』であること。ま、色々と戦場とか経験してきたあんたらなら大丈夫と思いたいわ」
 重要なのが次の2点目だ。
「この仮想世界の中は苦痛に満ちていて、しかも中にいる人々は狂ってしまって正義を振りかざしている」
 これには史・睡藍の意思も影響しているのではないかとマリアは言う。そもそも史・睡藍は鴻鈞道人の残酷な己の扱いのために現在復讐の意志を抱いている状態。それも相まり、己を正義とし、悪に歯向かう狂気が伝播しているのだろう、と推測した。
「……とはいえ、一般人まで巻き込むのはやりすぎだし、それに史・睡藍はオブリビオン。本当は同士討ちさせて復讐心に応えてあげたいけど……やはりここで倒しに行くのがいいでしょうからね」
 マリアが一つ嘆息する。オブリビオンである以上、放置すれば何をしでかすかわからない。ならばすべて倒していく、今までもそうしてきたではないか。
「相手も相手だし、そうね。あんたら自身の正義でも見せつけてあげれば――形はどうあれ、暴走を止めて脱出することができると思うわ。そうすれば史・睡藍自身の妖力も減るでしょうね」
 止める、の解釈はあんたらに任せるわ――と小声で付け足し、マリアはグリモアを展開した。


 そこはまさに古戦場という言葉が似合う場所だった。
 漂う風からも、雰囲気からも、『日常』から乖離した場所ということが分からなくもないような。
 少し歩いてみれば転がった折れた武器、生臭い香り。
 見上げてみれば先に見えるのは、己が正義か、或いは史・睡藍の正義か――に狂った人々だった。
 ここはまさしく善悪の彼岸とでも言うべき場所なのか、それとも――。


結衣謙太郎
 今一度問いたまえ。己が正義とはいったい何か。
 結衣(戦争モード)です。
 少し設定強化に活かせそうかもしれない。
 以下詳細。

●メイン目標
 『『シャーデンフロイデ』正義を振り翳す人々』を止める。
 ……敢えて、生死は不問、と言っておきます。

●章構成
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「第二次聖杯戦争」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 このシナリオは少し特殊です。
 個々人ごとに違う絶陣に放り込まれるため、基本的に1人ずつの執筆になります。
 対して相手は複数人です。しかも狂気に駆られ、正義を振りかざしてきます。
 正義と正義のぶつかり合いは常に起こりうるもの。誰かの正義は誰かの悪。
 そう、猟兵の皆さん也の正義を以て彼らにどう相対するか……それが問われます。
 例え適当に生きていてもきっとあるはず。あなたの正義が何か。あなたが戦う理由が何か。

●ロケーション
 絶陣内。
 中は隔離空間みたいな感じでかなり円状に広いです。
 様相は古戦場みたいで、あちこちに戦火の跡や武器などが落ち、地面に赤い線や点がある場所もいくつか。

●備考
 世界が世界だけにTW2ネタは全面的に使用OKです! 結衣がわかんなくても可能な限り全力で調べる。

 プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
 ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
 オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。

 以上、プレイングお待ちしております。
 あなたの正義、思いきりぶつけてみてください。
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第1章 集団戦 『『シャーデンフロイデ』正義を振り翳す人々』

POW   :    俺達は絶対正しい!どんな犠牲を払っても必ず正す!
【自分は絶対正しく、自身が信じて疑わない】【正義の為なら、無関係な人を巻き込んで】【犠牲が出るのは、仕方がないという狂気思考】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    これは正義を成す為の聖戦!いざ正義の名の元に!
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【と同時に、自分達は正義そのものという狂気】を与える。
WIZ   :    あなたは絶対間違っている!必ず阻止してみせます!
「【自身が感じた相容れない相手の価値観を正す】」という誓いを立てる事で、真の姿に変身する。誓いが正義であるほど、真の姿は更に強化される。

イラスト:光華 三毛

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

荒谷・つかさ
苦痛に満ちた世界、ね……上等よ。
そういうものを乗り越えてこそ、より強くなれるというものだわ。
(修行の一環的捉え方)
で、私の正義だっけ。
簡単よ、それは……『力』!

【超★筋肉黙示録】発動
脳筋自己暗示で無敵化し、人々を適度にボコって制圧
力こそ正義であり、無力は悪であるという暴論を振り翳しながら『怪力』で以て圧倒、狂気の上から心を折りにいく
(本音としてはもう少し違った正義を持ってるけど制圧目的なので敢えてシンプルな暴論でいく)

正しい自分を通すのに必要なのは『力』!
力があれば無関係な人は巻き込まない!
仕方ないと諦めるのは『無力』だから、即ち悪!
無力なお前達が正義を語るなんて片腹痛いのよ!(殴る)



 まるで戦場かのような雰囲気に正義の振りかざしのような言葉が響く絶陣。
 普通一般人であればこんな世界など耐えられるものじゃない。すぐに気狂いしてしまう……だがそれはあくまで一般人の話。よく放送などで特殊な訓練を云々と注意書きがされるように、訓練さえ積めば耐えられるようなものではある。
 それはこの世界に飛ばされた荒谷・つかさ(|逸鬼闘閃《Irregular》・f02032)にも同じこと。否、彼女は猟兵である以上少し違うかもしれないが。
「苦痛に満ちた世界、ね……上等よ。そういうものを乗り越えてこそ、より強くなれるというものだわ」
 この絶陣も心を鍛える修行の一環と捉える事さえできてしまう、これがいわば境地というものだろうか。嗚呼、向こうからそのような『修行』に耐えられなかった一般人が襲いかかってくる。何を叫んでいるか等つかさには関係ない。その理由は至極単純。
「で、私の正義だっけ。簡単よ、それは……『力』!」
 これに集約されている。そもそもつかさは半ば普段からコードも使った脳筋自己暗示理論――力こそ正義であり、無力は悪であるという暴論――を持って動いている猟兵だ。否、本当はもう少し違う、のだが、狂う彼らを制圧するのに小難しい話など不要、何より自分らしくない。だからこそシンプルイズベストに行く。そう、遠慮なく攻撃を無敵のまま受け止めたうえでボコり、相手の心を折るという作戦に。
 いわば一種のかかり稽古だ。勿論殴り殺してしまわないようセーブはしているが、殴る蹴る頭から地面に埋められるジャイアントスイングされるそれに吹き飛ばされる腹パン丹田蹴り何でもありな肉体言語を次々と鍛えた怪力で繰り出せば狂う一般人さえ震え上がってしまう。だがこれは割と有効打で震えて心が折れてしまえば無力になり、狂う気力さえも失う。ちょっと強引ではあるが、それはご愛敬。
 耳に狂気的な正義の声が入ってくる。折れるものかと言い聞かせながら言い放つ。
「正しい自分を通すのに必要なのは『力』! 力があれば無関係な人は巻き込まない!
 仕方ないと諦めるのは『無力』だから、即ち悪! 無力なお前達が正義を語るなんて片腹痛いのよ!」
 若干一理ある。世論は所詮世論であり、力ある者がそれを見せてしまえば即折れてしまうような者まで出るのが世の定め。ではなぜそれが起きるか、それは『無力』だからだろう――と考えていけば、あら不思議つかさの言葉が真理に見えてくる。
 そしてその『力』にも恐らく色々とあるだろうが、つかさはその中でも単純かつ狂気を強引に止めるべく有効な『暴力』によって人々を沈めてみせた。物理的に。
 程なく軽く汗をぬぐうつかさを纏う絶陣が消え、大量の倒れた一般人とつかさが元の世界に戻ってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水無瀬・旭
|道具《ハガネ》に正義を考える能など無い
煩いと感じる能など無い
頸を刎ねる能など無い
無思考の正義を翳す貴様達と何ら変わらない
だが、正義を振り翳したい|悪《旭》がいる様だ
ならば、振われるままに、今直ぐこの煩いモノたちをロード・ハガネが黙らせよう

一度血に塗れたならば、|狂気《せいぎ》から醒めた後、残るのは決して消えぬ|赤《あく》の感触のみ
正気を守る為に|狂気《せいぎ》に溺れ続けるか?
…人は溺れたままで居られるほど、強くはないさ
一過性の熱に依る|『正義』《きょうき》の味方は出来ない
汚れる前に、君たちは日常に帰れ
これも一つの【救助活動】として、UCで無敵の鎧で身を守りながら、峰打ちで意識を奪っていこう



 ――水無瀬・旭(両儀鍛鋼ロード・ハガネ・f25871)は道具である。
 |道具《ハガネ》に正義を考える能など無い。
 煩いと感じる能など無い。
 頸を刎ねる能など無い。
 無い無いづくしの彼は無思考の正義を翳す狂った者達と何ら変わらない。とんだ皮肉だ。
(――だが、正義を振り翳したい|悪《旭》がいる様だ)
 正義という名の暴力を振りまいたその存在。己の中の闇、否、闇の中の己とでも言うべきか。
(――ならば、振われるままに、今直ぐこの煩いモノたちをロード・ハガネが黙らせよう)
 ロード。その名は、闇に堕ちし存在達の中の一部派閥の中でも強者達が持つ名。
 そして、彼にとっての――であった。

(……一度血に塗れたならば、|狂気《せいぎ》から醒めた後、残るのは決して消えぬ|赤《あく》の感触のみ)
 |赤《あく》の痕がこの戦場にも至る所に散在するのを横目に見る中、なおも狂う一般人を前にロード・ハガネは静かに語り掛ける。
 ――正気を守る為に|狂気《せいぎ》に溺れ続けるか? と。
 一般人のこの狂いはもしかすると己が心を闇堕ちより守るための無意識の自己防衛なのか、それとも彼の神将の正義や思想の伝播か――どちらにせよ、その先に待つのはただの破滅であり、そこに強さなど何もない。
「……人は溺れたままで居られるほど、強くはないさ」
 それはロード・ハガネとしての言葉かそれとも水無瀬・旭としての言葉か――或いは……
「悪いが、一過性の熱に依る|『正義』《きょうき》の味方は出来ない。汚れる前に、君たちは日常に帰れ」
 黒鋼の鎧で全ての攻撃を受け止めつつ、これも一つの救助活動かと己に言い聞かせながら峰打ちで一般人達の意識を奪っていくロード・ハガネの姿はまさしく狂気から人々の目を覚ますダークヒーローと呼べるものだった。絶陣が解け、元の世界に帰ってくるよりも前に、一般人達は峰打ちによって一足早い|日常《静寂なる眠り》への帰還をしていく。きっと後になれば自分は何をしていたのかと想起するだろう。そこに朧気に浮かぶだろう|黒鋼の鎧の男《ロード・ハガネ》は、嗚呼、きっと――

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
僕は敢えて、彼らの目の前で武器を捨てるよ
傷つけるつもりは無いもの

自身に最低限の【オーラ防御】は纏い
けれど僕の意思を届けるためなら
命は渡せないから刃は素手ででも防ぐけど
物理くらいなら受け止めたっていい
血が出たって構わない

貴方達の正義ってなんなの
ここで僕と戦って、僕を倒したとして
それになんの意味があるの

僕は貴方達を助けたい
貴方達が住む世界を守りたい
だから戦いたいし
そのために生きてる
僕の命は貴方達のために使いたい
でも、今じゃない

狂気ゆえだとしても
彼らの正義を否定はしない
代わりに僕の意思を行動で示し
少しでもいい、動揺で隙を作ってくれたなら
指定UC発動
【破魔】の光による【浄化】で
彼らの狂気を祓いたい



 ――正義とはそもそも何なのだろうか。
 絶対的な正義なんかどこにも存在せず、戦いがある限りそこに正義と悪は存在する。

 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)に多数の狂った人々が襲いかかる。
 だけど澪は首を振り、目の前で武器を捨ててみせた。
 自分に傷つけるつもりなどない。だがその声など狂った人々には伝わらない。悲しいかな、狂気とはそういうもの。まともに考える事すらできないほどには彼らは狂ってしまっている。

 ――貴方達の正義ってなんなの。
 ――ここで僕と戦って、僕を倒したとして、それになんの意味があるの。

 澪も大概な頑固者で、こちらもひたすらに問いかけ続ける。効き目がないのになぜするという。
 刃が澪の柔肌を傷つける。受け止めた攻撃が痣や傷を作り、赤い線が引かれていく。
 猟兵は命ある存在だ。一般人の攻撃を無効にできるほど強くはない。そういうコードがあれば別だが、澪はそういう手段を取っていない。
 ――それは彼らですら澪は認めているから。彼らの正義を澪は否定しない。それが狂気から来たものだとしても。
 それでも澪は抗う。己が正義を行動で見せる。例えどれだけ苦しくても、心を捻じ曲げる事はない。

 ――僕は貴方達を助けたい。貴方達が住む世界を守りたい。
 ――だから戦いたいし、そのために生きてる。
 ――僕の命は貴方達のために使いたい。
 ――でも、今じゃない。

 それはいわゆる『守護者』の思想。
 一般人の為なら命も惜しむことはない精神。
 嗚呼、もしやこの狂気の一般人の攻撃を全て受けていたのはそのためなのだろうか。
 その正義を示す彼の『在り方』なのだろうか。

 それが心に響いたのだろうか。一般人の攻撃が少し止まった。
 一つ息をつく。瞬間、澪の全身から、赤いところからも未だ肌色の所からも、光が零れ出す。
 その神々しい|光《Fiat lux》は、狂った一般人にかかりし『呪』を浄化していく。

 気づけばそこにいるのは何をしていたかもわからぬ一般人と、光を放つ澪の姿。
 崩壊していく絶陣に見えた彼は嗚呼、救世主に見えたか、それとも。

成功 🔵​🔵​🔴​

エダ・サルファー
聖職者は軽々に正義を語らない、というか語れないもんなんだよ。
何しろ絶対的な神や正義の神、みたいなものの信徒ならわかんないけど、うちの神様が正義を語らないのに、信徒の私が何を語れるっていうのさ?
まあ、人の身に正義なんてものは重いんだよ。
だから私のこれは正義じゃなく、単に押し通したい意地と信念だよ!

そんなわけで、狂気に囚われた一般人の方々を、聖職者式精神攻撃で片っ端からぶん殴っていくよ!
これは痛くはないけど直接心をへし折る打撃!
これ喰らって残る正義なら本物かもだけど、そんなものがここにあるとは思わないね!
君らの私を傷付けてでも為したい正義なんぞ、私の君らを傷付けないって信念に折られる程度のもんさ!



 聖職者は軽々に正義を語らない、とはよく言われる話だ。
 絶対神や正義の神がいるならまた話は別だろう。その信徒であればまだその神を持ちだして正義を語るのも良しだろう。それは宗教に定められた正義なのだから。尤もこれはこれでまた問題を引き起こすものだというのは歴史が物語っている。
 つまるところ、人の身に正義なんてものは重いのだろう。そしてそれはエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)にとっても同じ。尤も彼女は人ではなくドワーフだが、彼女の信ずる神が正義を語らないのに、信徒の彼女が何を語れようか?
 なれば彼女のこれは正義と言えるかは甚だ怪しいところであり、単に押し通したい意地と信念と見るしかあるまい。

 聖職者式精神攻撃という拳。
 殴りアコなんてものが普及して久しいが、その部類だろうか。
 エダは狂気にやられた一般人たちをひたすら殴っていく。それは殴打の傷を与えるものではなく、直接心をへし折る打撃。
「これ喰らって残る正義なら本物かもだけど、そんなものがここにあるとは思わないね!
 君らの私を傷付けてでも為したい正義なんぞ、私の君らを傷付けないって信念に折られる程度のもんさ!」
 これこそまさに正義のぶつかり合い、そしてその果てに示される正義と言えよう。ましてやエダのそれなんて、正義でもなく、ただの意地と信念でしかない。そんなものにやられる正義とはいったい何なのだろうか?
 一人一人、着実に心を壊していく。狂気に満たされたその心を。狂気で植え付けられた歪んだ正義を。

 ――誰かを傷つけて為す正義より、傷つけない信念の方が価値がある。嗚呼、よく創作でも描かれる話だろう。
 それが果たして真理か否かはさておき――エダのその信念の強さは狂気をも超え、一般人を救う拳と化した。
 絶陣が消える頃には一般人たちは皆地面に伏していたという。それは所詮一般人の抱える正義なぞ――ましてや狂気にやられた正義なぞ――彼女のそれには遠く及ばない証左でもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アヴァロマリア・イーシュヴァリエ
アドリブ歓迎

正義……格好いいし、強い言葉だけど、難しくてマリアにはよくわかんない。
だけど、狂ったままの気持ちで言うこともすることも、正しいことじゃないって思うよ。

だから貴方達の『正義』は正しくても、『狂気』で口にしてるならそれはきっと『心からの言葉』じゃ、ないんだよ。

『|あなたが救われますように《オン・テシュヴァ・スヴァーハ》』

狂って捻じ曲がった言葉を吐いている限り、あなた達の心が、あなた達の正義は嘘だって叫んで、教えてくれるから。

ごめんね。すごく痛くて苦しいけど、こんな風にしか救ってあげられない。

これが本当の正義かなんてわからないけど……『心からの言葉』で戦うのが、今のマリアの正義だよ。



「正義……格好いいし、強い言葉だけど、難しくてマリアにはよくわかんない」
 アヴァロマリア・イーシュヴァリエ(涯てに輝く・f13378は未だ幼い。力も弱く、気持ちも臆病で、夢も大きく見てしまっていて。
「だけど、狂ったままの気持ちで言うこともすることも、正しいことじゃないって思うよ。
 だから貴方達の『正義』は正しくても、『狂気』で口にしてるならそれはきっと『心からの言葉』じゃ、ないんだよ」
 ――それでいて、誰かを優しく癒すための心は、人一倍あった。
 正義とはいい響きだろう。己が行動を正当化するには、己が心を説得するにはこれ以上ない言葉の1つだ。だが、それがもし『本心から出たものではない』とすれば? 例えば彼らみたいに――狂気にやられたあげく無理やり、否、増幅されて歪まされた正義だとしたら? そうだ、一縷の躊躇いの1つもあるように、その正義は本心からのものではないだろう。もし本心からのであるならば迷いなどないはずだ。迷いは己に傷を生み、誰一人として得することをなくしてしまう。後に残るのは後悔のみ。
そのような本心すら狂気に封じられてしまった一般人にアヴァロマリアがもたらす救いは、1つ。

「ごめんね――|『あなたが救われますように』《オン・テシュヴァ・スヴァーハ》」

 一般人たちの心から棘が生える。苦しみ、もがき、そして、伏す。己が狂気、己が本心にもない言葉が、文字通りに心を蝕んでいく。

 ――狂って捻じ曲がった言葉を吐いている限り、あなた達の心が、あなた達の正義は嘘だって叫んで、教えてくれるから。

 精神的なものであるはずのそれを肉体的に転換したかのようなコードを受けてしまう一般人。こと切れてしまった存在もいそうな中、アヴァロマリアは苦しみながらもか細く言葉を紡ぐ。
「ごめんね。すごく痛くて苦しいけど、こんな風にしか救ってあげられない。
 これが本当の正義かなんてわからないけど……『心からの言葉』で戦うのが、今のマリアの正義だよ」

 嗚呼、これが狂気などなく本心同士のぶつかり合いならどれほどよかったか。
 狂って歪んだ正義を吐くたびに心が肉体的にも精神的にも傷ついていく。
 その果てに鼓動を止めてしまった存在にアヴァロマリアが近づけば、彼女は優しく黙祷と祈りを捧げてあげた。
 今はまだできなくても、世界を、みんなを救えるようにいつかなるから、と思いを込めて。
 だからどうか、力不足で申し訳なかった|『あなたが救われますように』《オン・テシュヴァ・スヴァーハ》――

成功 🔵​🔵​🔴​

アポリト・アペルピシア
我が世界では永らく、|よりワルい奴がカッコイイ《悪たる事が正義》であった
デビルキング法より解き放たれてなお、その掟を尊ぶ者は少なくない…この我のようにな

さて人の子らよ、汝らはこの魔王アポリトを悪と断ずるか?
だがそれは、我もまた正義である事を肯定する事
同じ正義の信奉者ならば、手を取り合おうではないか…ククク

無論、このような誘いは到底受け入れられる物ではなかろう
己の正義にのみ固執する者はそもそも理解すら出来ぬやもな
だが、それこそが我が『魔王の甘言』の狙いよ!
もはや逃げる術も抗う術も失った人間共に、我が念動力で絶望を刻みつけてくれよう!
力無き正義は無力!良い言葉よな!ハーッハッハッハ!



 そもそも正義とは、文化や文明によっても変わってくるもの。一番わかりやすいのが宗教だろう。あるいは文化のジェネレーションギャップなどもわかりやすい例だ。
 例えば、アポリト・アペルピシア(魔王アポリト・f31726)の住むデビルキングワールド。彼の地は長らくの間よりワルい奴がカッコイイ、悪たる事が正義な世界だった。常人の感覚――この場合の常人とはこのシルバーレイン世界を含むアース系世界の一般人を指す――では、デビルキングワールドの皆のやる事など全て悪に見えておかしくない。しかしデビルキングワールドではこれが普通だし、猟兵達も皆通った世界。ガチデビルがやられ、デビルキング法より解き放たれてなお、その掟を尊ぶ者は少なくない。
「さて人の子らよ、汝らはこの魔王アポリトを悪と断ずるか?」
 無論、悪だと答えるだろう。狂気に侵されずともそれは自明だろう。
「だがそれは、我もまた正義である事を肯定する事。同じ正義の信奉者ならば、手を取り合おうではないか……ククク」
 何度も書いていることかもしれないが、正義の反対は悪なれど、それは立場的な問題。例えばデビルキング法に従えば悪いことこそ正義であり、正義の味方は悪の怪人なのだ。
 結局、何が正義か何が悪かはその時の立ち位置で変わるものであり、本来どちらも正義でどちらも悪であるはずなのだ。
「無論、このような誘いは到底受け入れられる物ではなかろう。己の正義にのみ固執する者はそもそも理解すら出来ぬやもな」
 それは狂気に蝕まれずとも、普通なら受け入れられるものではない。ましてや狂気にやられた者にそれが理解できようか?

 ――それこそが彼女のコードのトリガー。
 狂気で理解不能な一般人たちが反抗する意思を失い、次々と武器を落としていく。顔は苦痛に歪んでいく。まるで反抗したいと狂気が願えどそれが表に出せないように。
「はっ、もはや逃げる術も抗う術も失った人間共よ、我が念動力で絶望を刻みつけてくれよう!」
 アポリトが念動力で近くの人間を浮かせると飛び道具かのようにその体を他の者へとぶつけていく。精神が摩耗していたのも相まってすぐに肉体的にも再起不能になるのに時間はかからなかった。
「力無き正義は無力! 良い言葉よな! ハーッハッハッハ!」
 台無しだ、と言いたいところだが一理あるのもまた事実だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

隠神・華蘭
あー……分かった分かった、そうきいきい鳴くな猿の出来損ない共が
貴様等人間ぐらいだぞ、わざわざ正義などと言葉にして奮い立たせねば何も出来ぬのは
他の生物らは黙って行えるようすり込まれておるわその位のこと……まったく

連中の主義も思想もどうでもよいのでこれ以上は無視して手持ちの葉っぱ状態の葉っぱの小判を手に乗せてUC使用
複製した葉の雨を降らせよう
さすがにこれならそうそう死にはするまい
二足歩行などせず重みで這いつくばっているがいい、それが嫌なら疾く失せることだ

鉈の雨で皆殺しの方が手っ取り早いのだが、それでは主が嘆くのでな
ふん、こうして主の為に加減して戦うのが一応この華蘭の正義、そういう事でもよいだろう?



 こうまで正義だなんだ云々言ってきてそれを例えば異質な存在はどう見るだろうか?
 例えば隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)に言わせれば、
「あー……分かった分かった、そうきいきい鳴くな猿の出来損ない共が。
 貴様等人間ぐらいだぞ、わざわざ正義などと言葉にして奮い立たせねば何も出来ぬのは。
 他の生物らは黙って行えるようすり込まれておるわその位のこと……まったく」
 この言いようである。
 結局、人間は弱気なのだろう。黙ってそれを行えるほど強くないが故に正義などを持ちだして奮起しているのだろう。例えば怪人や一騎当千の武将に立ち向かう人間を想像すると分かりやすい。明らかに戦力差、個体差ありそうな存在にただ黙して立ち向かえるだろうか? ……普通そんなことできない。あっさり返されるのがオチだから。リスクヘッジというか、臆病なのだ、人間というのは。それは生存競争からすれば正しい選択肢の1つではあるだろう。

 ――だが、華蘭にはそんなのはどうでもいいし。今一般人に植え付けられてる正義はそんな大義名分もあまりないような自分たちこそ正義という独裁的思考だ。
 最早まともに聞いてあげる余地なし。華蘭は完全に無視を決め込み、葉っぱの小判を手に乗せれば一般人の頭上に狸火が生まれる。雨の代わりに降り注ぐ葉は一般人たちに重みを与え、動きを鈍らせ、這わせるに至った。
「二足歩行などせず重みで這いつくばっているがいい、それが嫌なら疾く失せることだ」
 とはいえ失せることもできず狂気的に叫んだりする一般人も多いが、その頭を一つ踏んで言葉を封じる。
「鉈の雨で皆殺しの方が手っ取り早いのだが、それでは主が嘆くのでな。
 ふん、こうして主の為に加減して戦うのが一応この華蘭の正義、そういう事でもよいだろう?」
 その華蘭の圧からはいつもの華蘭のようなゆるゆるお姉さんっぽさは存在しなかった。
 嗚呼、もし一般人が素面ならここで怯えて状況は終わるだろう。だが悲しいかな、狂気にやられた一般人が止まることはない。いくら睨めど圧をかけど、狂気が無理やり継続させる。結局言葉が鳴りやむのは、葉の雨が彼らの喉を圧し潰すまで続いてしまった。絶陣から解放された一般人が果たしてどんな状態で素面に戻るか、それは最早神のみぞ知る――妖怪のみぞ知るものになってしまった。そしてきっと華蘭はおちゃめにやりすぎたかな、と思いつつ、きっと内心では――

成功 🔵​🔵​🔴​

スティーナ・フキハル
スティーナ口調 ★から下はミエリで

この人達見たら絶対ロクなこと言わないだろうなうちの狸……早めにケリつけなきゃ

価値観正すって?
白と黒がぶつかったら喧嘩になるに決まってんだからさ
間取り持つ者が必要だよね、こんな風に!
UC発動、ミエリと分離し攻撃は捨て身の覚悟でアタシが受けつつ全力で歌う!
落ち着かなきゃ話も出来ないだろってね!

主義も思想も価値観も、全部合わせて皆納得できる道を目指す
どんだけ困難でもそれがアタシの、アタシ「達」の正義なんだよ!!


耐えるって痛いには違いないでしょお姉ちゃん、もう!
姉を聖痕の力で癒して結界術かけてあげます
まぁこの位無茶言う人じゃないとうちの狸は納得させられませんからね



「この人達見たら絶対ロクなこと言わないだろうなうちの狸……早めにケリつけなきゃ」
 狂気的に正義を振りかざす一般人たちの様子を見て彼女の知り合いたるスティーナ・フキハル(羅刹の正義の味方・f30415)は嘆息した。実際別の絶陣であの狸はやってくれたのだが、違う絶陣ゆえにそれを知れるわけがない。
「それにしても、価値観正すって? 白と黒がぶつかったら喧嘩になるに決まってんだからさ、間取り持つ者が必要だよね、こんな風に!」
 妹のミエリがスティーナから飛び出し、スティーナは単騎特攻。ミエリが生んだ結界の中にはいつつも、全ての攻撃を受け止める構えでスティーナから攻撃はしない。
「主義も思想も価値観も、全部合わせて皆納得できる道を目指す! どんだけ困難でもそれがアタシの、アタシ『達』の正義なんだよ!!」
 それが恐らく道理だろう、彼女の言う通り、白と黒があれば戦いは生まれる。ならば、全て合わせて納得させる『灰』を探すことが重要だろうし、願わくばそうでありたいものだろう。正義というものの最終的な帰着点は、もしかしたらそこなのかもしれない。争い合うこともなく、ただみんな平和に暮らす――例えば、スティーナとミオリが今しているように、『共に歌い合える』ような。

 傷つけない。スティーナはそれに全力。
 ミオリが痛いには違いないでしょお姉ちゃん、と呆れながら聖痕の力でスティーナを癒す。
 しかしミオリは確かにこんな無茶をするからこそあの狸を納得させられたのだろうと思ったのだが――閑話休題。

 狂気がスティーナを蝕む。
 肉体の傷は痛いが癒されれば問題ない。
 だが精神はどうだ? スティーナにこの狂気的に振りかざす正義を受けきれるか?
 嗚呼、飲み込まれそうになった、その時――ふと、あの狸のことが脳裏によぎった。
 そうだ、あの狸のこともあるし、何よりここで飲まれたら――
「あの|狸《華蘭》に、カッコがつかないじゃねえか……っ!」
 強い想いが生まれた。ヒーローに相応しいような、強い想いが。それは狂気的な精神など軽々と弾き飛ばす。
「らぁぁぁっっ!!」
 ラスト、1人。沈めたところで、肩で息をするスティーナにミオリが駆け寄った。結界が徐々に消えていく。絶陣もまた、消えていく。ミオリに癒されながらスティーナは、視界の端に見知った狸を見た。それは、こちらに向かってどこか微笑んでる感じがした。そうだ、彼女に見限られないためにも、自分に嘘をつかないためにも。これからも困難な道を歩んでいく。例え自分が痛いの嫌いだからって遠距離専選んだヒーローだとしても、前に出て防御張ることで傷つけないように試みるように。


 絶陣は全て消えた。
 史・睡藍の正義に影響された一般人が辺り一面に倒れている。
 ――視界の端に史・睡藍本人が見えた。妖力をかなり失っているように見え、別の猟兵たちが向かっているのが微かに見えた。
 一度自分達も休息が必要だろう。そう思った猟兵たちが思い思いに休息する。

 願わくば、絶陣の狂気に侵された彼らが振りかざしたような狂気的な正義に己が侵されることなく、例え困難な道でも最良の道を自分たちが歩めますように。『1人1人違う』『己が正義』を抱えし猟兵たちはそう思った。
 もし形が違えば、史・睡藍とも――そう思った猟兵もきっと少なくないかもしれない。彼もきっと、己が正義を抱えて戦っているのだろうから……

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年01月08日


挿絵イラスト