第二次聖杯戦争⑪〜暗黒のライスメキア
●『伯爵領域』
暗闇満ちる『闇の領域』の中を二匹の竜の如き巨大なオブリビオンが飛ぶ。
この領域を認識できぬ一般人の人々は、次々に意識を失い倒れていった。
だが、それだけではない。
二匹の竜『オロチ』が放つ膨大な魔力は、周囲のオブリビオンをも次々と『闇の領域』に取り込み、支配していく。
二匹の『オロチ』にとってオブリビオンも人間も関係ないのだ。
ただ、遍く魔力の発露によって支配していく。
嘗ての戦いを知る者がいるのならば、その二匹の竜の姿を認め、恐怖の感情に支配されてしまったかもしれない。
初めて見る者であっても、見上げるほどの巨体は恐怖を増幅させるには十分すぎた。
龍脈を用いて造り出されたゴースト兵器。
二匹のうちの一体の姿は闇に溶けて消えていく。
如何なる光を持ってしても照らすことの出来ぬ『完全不可視状態』。それによって一体の『オロチ』は領域の中を悠然と飛び、さらに支配したオブリビオンをも『闇の軍勢』として召喚し続ける。
圧倒的な物量。
如何なる者も、この『闇の領域』においては支配から免れぬと言わんばかりの力。
数と力。
如何なる点に置いても『闇のオロチ』は強大そのもの。
真白の光すら照らすことの出来ぬ姿は、あらゆる者の視界から消え去ることだろう。
名を『闇のオロチ』。
それはあらゆるものを欺く暗黒――。
●第二次聖杯戦争
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『第二次聖杯戦争』が開戦し、シルバーレインの多くの人々が巻き込まれてしまっています。金沢駅周辺も、その一つです」
ナイアルテが示すのは金沢駅周辺を覆い尽くす『闇の領域』。
この領域の中にあって、膨大な魔力を放出し続ける二匹の竜の如き超巨大ゴースト兵器たる『オロチ』によってオブリビオンさえも支配下に引きずり込んでいっているのだ。
人々は捕らえられ、意識を失っている。
さらにオブリビオンは『闇の軍勢』として猟兵たちに迫るだろう。
「『オロチ』とは、嘗ての戦いを知る方々には言うまでもないのかもしれません。かつて古のルナエンプレスが龍脈を用いて造り出した超巨大ゴースト兵器。能力者の皆さんによって打倒された『異形』によって超強化され、オブリビオン化したのが、今回倒さねばならぬ敵なのです」
『完全不可視状態』――それは『闇のオロチ』の姿を捉えることのできぬ力。
如何に猟兵と言えど、その姿をくらませ『闇の軍勢』と連携して襲ってくる『闇のオロチ』になんの対策も持たずに挑むのは敗北を意味することだろう。
「個としての『闇のオロチ』の力は勿論のこと、『闇の軍勢』の数も脅威です」
ナイアルテの言葉に猟兵たちが頷く。
姿の見えぬ敵。
膨大な数の敵。
それらが連携をしてくるというのならば、これほどの脅威もないだろう。
「ですが、幸いなことに今の『闇のオロチ』には『乗り手』がいないのです。『オロチ』が完全なる力を発揮するためには、騎乗する存在が不可欠。そのため『闇のオロチ』は完全な力を発揮できていない状態なのです」
完全でないのに、これだけの力を有しているのは嘗ての恐怖を能力者であった者たちに湧き上がらせるかもしれない。
「皆さんのユーベルコードは柔軟にして千差万別。そこに勝機を見出すことができるはずです」
あの死と隣り合わせの青春の日々は、いつだってこうだったのだ。
いつだって簡単ではなかった。
いつだって試行錯誤だった。
暗闇の中で手をのばすことを諦めなかったからこそ、紡げた『今』があるのだ。
ナイアルテは猟兵たちを見送る。
どれだけの恐怖が蘇るのだとしても、それでも乗り越えてきたという事実がある。
ならば征こう。
すでにその手には戦うための力が輝きを放っているのだから――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『第二次聖杯戦争』の戦争シナリオとなります。
シルバーレイン世界の神沢駅周辺に現れた広大な『闇の領域』。
そこに人々は捕らえられ、二匹の巨大なゴースト兵器『オロチ』のうち、二体が蠢いています。
今回戦うのは『闇のオロチ』。
恐るべき力と巨体を持っていますが、『乗り手』が存在していないため、完全な力を発揮できていません。
ですが、『闇の領域』にてオブリビオンを取り込んで従える『闇の軍勢』の召喚と『完全不可視状態』にある『闇のオロチ』は連携攻撃を仕掛けてきます。
これに対処できなければ、勝利を手にすることはできないでしょう。
プレイングボーナス………「闇の軍勢」と「完全不可視状態」に対処する。
それでは『第二次聖杯戦争』、嘗ての強敵『オロチ』に立ち向かう、皆さんの死と隣合わせの青春の続き、その物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『闇のオロチ』
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POW : 暗き門
レベル×1体の【リリス化オブリビオンの軍勢】を召喚する。[リリス化オブリビオンの軍勢]は【生命力吸収】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 闇月帝姫
【太古のルナエンプレス】の霊を召喚する。これは【月光魔術】や【生命力を奪う闇】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : オロチ分体
自身の【龍身を包む、生者の生命力を奪う闇の中】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【闇のオロチ分体】を召喚する。
イラスト:saw
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天御鏡・百々
なるほどな
乗り手のいない今のうちに倒すが吉か
まあ元より、一般人に被害が出るというならば
倒さぬ手はないな
『天神遍く世界を照らさん』を発動
『闇の領域』を『清浄なる神域』に塗り替えてくれよう
さすがに『闇のオロチ』や『闇の軍勢』もこれには対応できまい
そのまま『天之浄魔弓』より放つ光の矢で攻撃だ
敵は完全不可視なれどユーべルコードによる行動成功率上昇がある
<第六感>を頼りに射れば、当てることは問題なかろう
防御は『神通力』による障壁<オーラ防御>で行うぞ
金沢駅周辺を覆う闇。
それは『闇の領域』であり、あらゆるものを支配下に引きずり込む力の発露であったことだろう。
その中で蠢くようにして飛ぶのは『闇のオロチ』の巨体。
いや、巨体であると認識することすら許さぬ『完全不可視状態』に至った『闇のオロチ』は、『闇の軍勢』を以って、己と敵対するものを迎え撃つ。
咆哮が轟き、それと同時に引きずり込まれたオブリビオンたちが足並みをそろえるようにして打ち鳴らす足音が、『闇の領域』に在りて、その力が脅威であることを知らしめるようでもあった。
しかし、それでもなお本来の力を発揮していない。
「なるほどな。『乗り手』のいない今のうちに倒すが吉か」
天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は『闇の領域』に足を踏み出す。
恐れはない。
あるのは怒りだけだ。
彼女にとって、如何なる脅威が目の前にあるのだとしても、一般人たちが、無辜たる人々が傷つくことを赦してはおけないのだ。
どれだけ困難な戦いであるのだとしても、人々に被害がでているというのならば倒さぬという選択肢はない。
例え、それが強大な脅威そのものたる『闇のオロチ』であったとしてもだ。
「如何に見えぬ姿。数多の軍勢を手繰るのだとしても」
百々の瞳がユーベルコードに輝く。
その煌めきは、神の光。
主神から賜った光は、ヤドリガミたる彼女の本体に湛えられている。
その発露を持って、『闇の領域』を清淨なる神域へと変化させるのだ。
「天神遍く世界を照らさん(テンジンアマネクセカイヲテラサン)――これにてこの地は神域と化した。悪しき者よ、その罪を悔い改めるがよい」
オブリビオンが取り込まれた『闇の軍勢』が如何に百々を捉えようとしても、この神域に置いては無意味である。
あらゆる暗闇を遍く照らす主神の光。
それは清淨なる神域を持って塗りつぶした百々だけが適応できる戦場。
手にした弓が神力によって矢を番えさせる。
「如何に『闇の軍勢』とはいえ、ここでは対応できまい」
放つ光の矢が『闇の軍勢』を次々と貫いて、霧散させていく。
どれだけの数を揃えようとも、神域に存在する百々を捉えることはできない。襲いかかる軍勢を躱し、舞うように百々の姿が『闇の領域』の中に煌めく。
その光をこそ食い破らんと迫るのは、不可視たる『闇のオロチ』。
蠢く巨体が闇を纏い、姿見えぬままに百々を飲み込まんと巨大な顎をもたげる。まるで巨鯨が全てを飲み込まんとしているかの如き威容。
しかし、それを獲物たる百々が見ることはない。
「確かに見えぬ。けれど、気配は感じる……ならば、我を軍勢ごと飲み込まんとする……その本能こそが!」
百々の瞳は『闇のオロチ』を捉えていない。
「我には見えずとも感じることができる」
障壁がまるで支えのように『闇のオロチ』の顎を塞ぐ。
神通力に寄る障壁。
それが大顎をもたげた『闇のオロチ』の牙に引っかかり、その開閉を妨げているのだ。
軋む障壁。
それ故に百々は、そこに『闇のオロチ』が、己が討つべき敵が居ることを知る。
「神通力宿りし光の矢を受けて見よ、『闇のオロチ』。汝の『乗り手』は現れぬ。例え、現れたとて」
己たちが討ち果たす。
それが世界の危機に駆けつける猟兵という存在であると知らしめるように、弓引く百々の指が、まるで琴の音を鳴らすように弾き、『闇のオロチ』の見えぬ口腔へと光の矢を叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
光と闇が合わさり…合わさってねーわ
あっちは眩しくて見えない…と考えると、不可視状態なだけならって思う
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
でもって|ビビッドカラーの《陣取り合戦に使いそうな》ペンキを持ち込んで…
剣に垂らして…『斬撃波』で飛ばす!
兎に角無作為に飛ばす!
ついでに飛ばした斬撃波で闇の軍勢を『吹き飛ばし』て混乱させて連携を取れないようにしよう
そのまま塗料がオロチに付けばヨシ
塗料も見えなくなるって言うなら消える場所が分かる時点で何処に居るか分かるからヨシ
見える斬撃ならどーとでもなるさ
場所が特定出来たらこっちの番だ
【Code:T.S】起動
雷刃最大形成
軍勢ごと『なぎ払い』!
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は語る。
サブカルチャーにおいて光と闇というのは、二大勢力である。
大抵の物語の根底にあるのは光と闇。
古くからそういうものなのである。時には様式美とも言うのだろうが、それはそれとして今、金沢駅周辺に満ちる『闇の領域』の中で蠢く二匹の竜。
その片割れたる『闇のオロチ』の姿は何処にも見えない。
「光と闇が合わさり……合わさってねーわ」
最強に見える。
まあ、そういうものなのである。しかし、現状は合わさっていない。ただ、この戦場に在る、というだけである。
もしも、この二匹が連携してきていたのならば、猟兵たちはさらなる苦戦を強いられたことだろう。
しかし、そうはならない。
光満ちる戦場と暗闇満たす戦場。
どちらかを突き崩していけばいいのであれば、柔軟な対応力を見せる猟兵にとっては勝機というものはいくらでも見出すことができるものであった。
「あっちは眩しくて見えない……と考えると、不可視状態なだけならっ!」
玲は戦場を走る。
すでに満ちているのは『闇の軍勢』。
『闇のオロチ』が放つ膨大な魔力によってオブリビオンさえも支配され、その『闇の軍勢』としての駒に成り下がっている。
「なら遠慮はいらないよね!」
抜き払った模造神器の蒼い刀身が煌めき、暗闇の中を照らす。
それだけではない。
彼女の手にあったのは、なんかこう、イカとかタコとかサケとかなんかそういうあれがそれしてどうする陣取りゲームいでてきそうなペンキ。
所謂ビビットカラーであった。
それを模造神器の刀身に垂らし、玲は振るう。
兎にも角にも手数である。
垂らしては飛ばし、垂らしては飛ばす。
「……意味分かんないって顔をしているね。だけどださ」
振るう斬撃波が『完全不可視状態』の『闇のオロチ』と『闇の軍勢』の連携を裁ち切るように放たれる。
だが、見えない。
不可視状態たる『闇オロチ』は、リリス化オブリビオンたちを持って玲の生命力を吸い上げようとする。
「どれだけ数で押そうたって……」
玲の振るったペンキは、『闇の軍勢』だけではなく、暗闇の中で蠢く『闇のオロチ』の巨体にも付着しているのである。
「大きければ大きいほど脅威なのは認めるけどさー……逆にこれだけ派手にぶちまければ塗料が付いて、何処に居るかなんて丸わかりでしょ。ヨシ!」
玲は模造神器を暗闇の中で蠢く『闇のオロチ』に向ける。
だが、すぐに付着したであろう塗料が消えていく。
『闇のオロチ』の巨体はを覆う『完全不可視状態』は、自身の体の一部として認識された時点で付着したものをも暗闇の中に溶かすのだ。
「ええい、めんどう! だけど、塗料が消えていく飛沫が形作ってくれるってものだよ。なら、ヨシ!」
玲はめげない。
どれだけ敵が『完全不可視状態』になるのだとしても、僅かな糸口を彼女は見逃s内。
「くそでっかいってことだけはよくわかったよ! なら――出力上昇、雷刃形成」
玲の手にした模造神器の刀身から雷が迸る。
雷の刃は極大にまで膨れ上がる。
暗闇の中にありて、その刀身は暗夜という帳を切り裂く閃光。如何なる闇であったとしても、それが濃いのであれば濃いほどに稲光を鮮烈なものへと変えていく。
玲の手にした雷刃の煌めきもまた同様であった。
「Code:T.S(コード・サンダーソード)……まとめて薙ぎ払う!」
振るう一閃は横薙ぎ。
それは、『闇の軍勢』ごと『闇のオロチ』の巨体に叩きつけられ、その龍鱗を砕きながら振り払う。
どんなに色濃い絶望の如き暗闇が迫るのだとしても。
玲の放つ稲妻の力が、これを切り裂く。
それを証明するように『闇のオロチ』の苦悶に喘ぐような咆哮が轟き、玲の放つ雷の力の発露を知らしめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
あやー、光なき世界に軍勢率いる恐怖の存在でっすかー。
えっとですねー、誠に言いづらいのでっすがー。
それ、地元(ダークセイヴァー)ではいつものことなのでっすよー?
何せ太陽なき世界であっちもこっちも驚異驚異でっしたのでー!
領域一つなど可愛いものなのでっす!
そのような世界でも藍ちゃんくんは歌い続けてきたのでっす!
ダークセイヴァーに光を!
歌うのでっす。
闇夜を照らす歌を。
ダークセイヴァーを照らすというのは単に光で明るくするということではないのでっす。
そこに住む人々の心に愛を、希望を取り戻すということ。
ヒトはこんなにも素晴らしい歌を紡げるのだと夢を抱いてもらうということ。
それこそが、藍ちゃんくんでっすよー!
「あやー、光なき世界に軍勢率いる恐怖の存在でっすかー」
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は金沢駅周辺を覆う『闇の領域』を見やる。
その闇の中では『闇のオロチ』が猟兵の一撃を受けて苦悶の如き咆哮を上げている。
巨大なのたうつなにか。
その姿が見えぬのは、『闇のオロチ』が『完全不可視状態』にあるからである。
まるで、それを守るように『闇の軍勢』へと落ちたオブリビオンたちが湧き上がってくるだろう。
その数は尋常ならざるものであった。
リリス化オブリビオンたちは、生命力を奪う。
しかし、藍はためらうこと無く歌う。
その瞳はユーベルコードに満ちている。これまでも数多の世界を見てきた。
海洋の世界、宇宙の世界、此処とは似て非なる世界。
あらゆる世界が合ったのだ。
そして、藍にとって地元とも言うべき世界もまた『闇の領域』と似通っていた。
陽光はなく、月光だけが照らす常闇の世界。
夜明けなど無く、そして夜空すらも偽りの天井。
そんな世界があるからこそ、藍はためらうことしなかった。
どれだけ視界が暗闇に閉ざされたとしても。
「いつものことなのでっすよー? なにせ太陽なき世界であっちもこっちも驚異驚異でっしたのでー!」
ならば、この領域一つであるというのならば、藍にとってそれは可愛いものでしかないのだ。
故に、藍は歌う。
歌うことをやめない。
それをやめてしまったら自分でなくなることを理解しているからである。
「歌声よこの宇宙に響け ああ 彼方をも超えて 広がるこの世界を塗り替えて行こう 藍で」
はるか宇宙を超え、彼方まで届く歌声。
それが『闇の軍勢』はおろか『闇のオロチ』の耳朶をうつ。
ダークセイヴァーに光を。
歌う。歌って、歌って、喉がちぎれるほど歌って。それでなお、藍は歌う。
常闇の世界にあって照らすということは光で明るくすることだけではないのだ。
隷属を強いられる人々の心に愛を。
希望を。
それを取り戻すということ。
己が歌うのは証明。
ヒトはこんなにも素晴らしい歌を紡ぐことができるのだと夢を抱いてもらうこと。
ユーベルコードの旋律は、世界を作り出す。
藍が藍ドルであるという証明。
闇を世を照らす、愛と希望を熱く心に燃やす限り、その歌は途切れない。
溢れ出る生命の力がリリス化オブリビオンたちの生命吸収すら脅かす。
「夢を抱くこと! 希望を抱くこと! それら全部をヒトの両手いっぱいにすること。それこそが!」
藍が笑うように歌う。
どれだけの巨体であったとしても、視覚を奪われているのだとしても。
それでも歌は響く。
この闇の領域に在りて、藍の歌声はオブリビオン化した『闇のオロチ』のみならず『闇の軍勢』も包み込む。
それは反響し、身を打ち、オブリビオンであるがゆえに滅ぼされる運命を齎す交響。
「それこそが、藍ちゃんくんでっすよー!」
歌う。
歌う。歌うことがだけが己のできることであると示すように。
暗闇の中であっても光が強くきらめくように。
藍ノ空(アイノソラ)は何処までも暗闇の中に広がっていくのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
プリズム・アストランティア
アドリブ可
オロチには本当に苦しめられたわね
死と隣り合わせの危険な戦いになるだろうけれど
元ルナエンプレスとして放っておくわけにはいかないわ
向こうに月光魔術を使える霊を召喚できるなら
私にも使えるという事ね
鏡月極光で分体や召喚の霊ごと闇のオロチを攻撃するわ
可能な限り詠唱に時間をかけてより威力を高めるわね
一撃で倒れなくても力の限り撃ち続け、近づけさせないわ
太古のルナエンプレスの霊に見覚えのあるのがいても
心を落ち着かせて浄化させるわね
猟兵になったからには、過去の存在に縛られたりなんかしないわ
「月の光は闇も照らすわよ」
「以前のように長々と付き合うつもりはないわね」
楔穿たれ、稲妻が切り裂き、旋律が響き渡る『闇の領域』の中を、しかして『闇の軍勢』は大地を打ち鳴らして揺らすように征く。
その姿、その威容、いずれにしても強敵であることに変わりはなく。
故に嘗て、死と隣り合わせの青春を送った者たちは過去を思い出したかもしれない。
プリズム・アストランティア(万色の光・f35662)は、かつての戦いにおいて地球に降り立ったルナエンプレスの一人である。
月に幽閉されていた過去も、本来の人間性を取り戻した轍の一つであったというのならば、今日という日の戦いもまた、いつしか彼女の轍に変わることだろう。
「『オロチ』には本当に苦しめられたわね」
嘗ての戦いのことを思い出す。
プリズムにとって、それは過去。
けれど、放ってはおけない。恐怖を乗り越えるものが彼女の心の中にある。
伏せた瞳が開かれる。
其処に映っているのは『闇の軍勢』のみ。『闇のオロチ』は『完全不可視状態』を持って、その巨体をひた隠しにしている。
「未だ『乗り手』がいないことが勝機なら、完全な力を発揮する前に叩くのは必定……そして」
猟兵に負わされた傷がうずくのだろう。
苦悶にも似た『闇のオロチ』の咆哮が戦場に轟き、『闇のオロチ』の分身が渦を巻くようにしてプリズムを取り囲んでいく。
「生者を蝕む闇の中から召喚するということは、私にも……『闇のオロチ』、異界の月光があなたを滅ぼすわ」
開かれた瞳がユーベルコードに輝く。
紡がれた詠唱によって、プリズムのユーベルコードの威力は変わる。
ならばこそ、彼女は紡ぐ。
例え、古のルナエンプレスによって、『オロチ』が生み出されたのだとしても心を落ち着かせていれば大丈夫だ。
彼女はこれまで戦ってきたことの意味を知っている。
この生命が溢れる世界を守りたいと思ったからこそ、彼女は戦ってきたのだ。がんばり屋で優しい人間性。
それが本来のプリズムという猟兵の本質だ。
そして、どれだけ過去が己の足を掴むのだとしても。
縛られることなどない。
すでに彼女は一人でこの大地に立っている。
他の誰でもない。
彼女自身の足で。それがあの死と隣り合わせの青春で得た、彼女の掛け替えのないものだ。
「月の光は闇も照らすわよ」
そして、プリズムの祈りは、鏡月極光(ミラーナイト・ルナブラスター)となって解き放たれる。
その凄まじき熱線は、周囲にありしものを透過し、オブリビオンのみを溶かし尽くす一閃となって迸る。
吹き飛ぶ『闇の軍勢』。
オブリビオンは過去の化身。あらゆる過去を持ってプリズムの前に立ち、道を阻むだろう。
しかし、彼女はためらわない。
「以前のように長々と付き合うつもりはないわね」
力が続く限り。
人々を救うため。
世界を救うため。
そのためにこそ、彼女はユーベルコードの輝きと共に『闇のオロチ』の見えぬ巨体を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん?
武器:四天霊障
完全不可視ですかー。さらには闇の軍勢に対抗しろと。
わかりましたー、やるだけやりましょう。
すぐにUCを発動。以後、全ての攻撃は強化にしかならない。
生者の生命力など、私にはないのですし。
攻撃するがいい、それは糧にしかならぬ。
そうしてしばらくしたら、四天霊障による範囲攻撃を。範囲ですから、不可視も何も関係ないですよ。
忍びたるもの、闇に生きていくのは当然でしょうに。
※
危険なので、影の外に出られなくなってる陰海月と霹靂
「ぷきゅ!?」「クエ!?」
光条の一閃が『闇の領域』を照らす。
しかし、さらに闇に飲まれていく領域は『完全不可視状態』を保つ『闇のオロチ』にとって、未だ猟兵には捉えられぬ領分であったことだろう。
巨体でありながら不可視。
そして、ユーベルコードに加えて支配下に置いたオブリビオン『闇の軍勢』。
数と力。
その二つが合わさり、猟兵たちを苦しめる。
「やるだけやりましょう」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)たちにとって、それは当然のことであっただろう。
どれだけ危険が満ちる場所であっても、どれだけ強大な敵がいるのだとしても。
それでも飛び込まずにはいられない。
それが彼ら猟兵といものであったのならば、それは正しい認識であったことだろう。
「因果は巡り回る。どこまでも……それが定めというのならば、『闇のオロチ』の出現もまた過去に在りし戦いを思えば当然の帰結であったのでしょう」
それは己たちが戦う理由とも同じだった。
猟兵のはなったユーベルコードの一閃は『闇の軍勢』ごと『闇のオロチ』を薙ぎ払ったが、しかしそれだけではまだ戦いは終わらない。
切り裂かれた『闇の軍勢』に『疾き者』は切り込む。
己の全身を再構築しながら『四悪霊の呪詛』でもって覆う。
その力は、ユーベルコードを含めた全ての攻撃に比例して戦闘能力の増強を担う力。
放たれる『闇のオロチ』の分身たちによる突撃が『疾き者』を吹き飛ばす。
生命を吸い上げる闇。
きっとそれはあらゆる生命に対する捕食の牙となり得ただろう。
しかし。
「我等には通用しませんよ。ええ。我等はすでに死んでいるわけですからー」
そして、迫るユーベルコードも。
攻撃も。
あらゆる敵性行為の全てが今の『疾き者』の力となり、糧となる。
膨れ上がる戦闘能力。
それが呪詛となって『疾き者』の体を覆っていく。
苦悶の咆哮が聞こえる。それは『闇のオロチ』を猟兵たちが追い詰めている証左であろう。ユーベルコードは確かに巨体にとっては小さな傷であったのかもしれない。
けれど、その傷は繋がれていく。
紡がれていくのだ。
個としての力ではなく。
かつての能力者たちの戦いがそうであったように、猟兵たちもまた紡いでいく。
「忍びたるもの、闇に生きてくのは当然でしょうに」
この暗闇の中こそが自分の生きてきた道。
終わらないものなど何一つない。
故に『疾き者』は己の身を覆う呪詛でもって霊障を広げる。
「ならば、この呪詛でもって全てを討ち滅ぼしましょう。ええ、不可視も範囲攻撃には無意味。例え、傷が小さきものであっても、我等だけではなく、誰かの次なる一手のためには」
楔は鎹となる。
己の影の中にいる二匹のためにも。
自分たちができることをしなければならない。
すでに死した己たちは悪霊として此処にある。ならばこそ、『今』に生きる者たちのためにこそ戦う。
終わらぬ戦いがあるのならば、その終わりを手繰り寄せる。
霊障の一撃が『闇の軍勢』を吹き飛ばし、その力の発露でもって次なる猟兵の道を『疾き者』は己の前にて戦う者と同じように切り開くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユエファ・ダッシュウッド
完全なる闇
確かに何も見えない――が
その気配を隠さない、音を隠さない、殺気を隠さないのならば
兎は耳がいいのですよ
視えぬのなら目を閉じて
音の、気配のする方へ駆ける
魔術も闇も喰らって構わない
この足さえ止めずに
ただの一撃
誘蛾が、月華慫慂が暗黒の身に届いたならば
――覚えた
血、クセ、動き
脳裏に滑り込むそれらを喰らい
お前は、殺しても問題ないのでしょう?
ならば解き放とう、衝動の獣
普段は飼い慣らした殺戮の衝動を
ボクに生を下さい
殺しても殺しても渇くこの喉も
お前を殺せば満たされるかもしれません
返り血に染まりたくて纏う白
それを楽しめぬのは甚だ残念だが
ボクの命が尽きるが先か
お前の命が尽きるが先か
さあ、試してみましょうか
何も見えない。
それが最初の印象で、感想であった。
『闇の領域』――そこに広がるのは闇一色。
迫りくる『闇の軍勢』も、この暗闇の中で蠢く『闇のオロチ』の巨体が苦悶に喘ぐ咆哮も。
何もかもが吸い込まれるような闇の色。
「完全なる闇。確かに何も見えないが――が」
そんな中、猟兵の放つユーベルコードの煌めきこそが、ユエファ・ダッシュウッド(千死万紅・f19513)の視界を照らす。
確かに見えた。
標のように思えたし、また同時に楔のようにも思えたことだろう。
戦いを紡ぎ、つなぐのが猟兵の戦い方だ。
個としてオブリビオンの力は猟兵を上回る。だが、力の強弱が常に戦いの勝敗を決するのならば、猟兵は常に負け続けなければならない。
しかし、猟兵たちは勝利してきたのだ。
共に戦い、共に立ち向かう。
「それ以前に気配を隠さない、音を隠さない、殺気を隠さないのならば」
ユエファにとって、それは見えぬこと以上の意味を持たない。
視えぬのならば目を閉じる。
ヒトには五感が備わっている。ならば、一つの感覚を閉じた時、他の感覚は鋭さをます。
聴覚が、触覚が、意識を集中すればユエファには鋭く認識されるだろう。
巨体が己に迫る。
瞬間、ユエファの体に魔術的な縛りが加えられる。
古のルナエンプレスが放った月光魔術が彼の体を縛り上げ、その肉体に宿る生命力を奪っていく。
だが、それでも止まらない。
足を止めてはならない。己の振るう鍔無き月白色の刀剣の切っ先が己に迫った『闇のオロチ』の巨体を掠める。
「――覚えた」
痛みが体に走る。
けれど、すでにユエファは告げたのだ。覚えた、と。
それは血潮によって記憶するユーベルコードの輝き。瞳に宿る輝きは、暗闇の中に在りて一層強く輝くことだろう。
脳裏に満ちるのは血、クセ、動き。
どれだけ『完全不可視状態』になるのだとしても、ユエファにはもう視えている。
「お前は、殺しても問題ないのでしょう?」
咆哮が返答となって聞こえたかはユエファにしかわからないことだろう。
ユーベルコードの輝きは、ユエファの中にある獣の如き衝動を抑える鎖を裁ち切る。飼いならされた殺戮衝動は開放される喜びに打ち震えるように彼の中で迸る。
殺すということは彼にとって生きているということだ。
喉の乾きを癒やすのと同じように、切りつけることしかできないのかもしれない。だが、渇望だけが彼の胸の内に渦巻く。
どうしようもないほどの衝動。
「ボクに生をください。殺しても殺しても乾くこの喉も、お前を殺せば満たされるかもしれません」
振るう刃が暗闇の中できらめく。
迫る巨体をゆらりと躱す。大げさではない動き。気配と音。そして、ユーベルコードの力によって、『闇のオロチ』は愚か、古のルナエンプレスの放つ魔術も、『闇の軍勢』の攻勢も彼には関係がなかった。
「ボクの生命が尽きるが先か」
振るう刃は血潮を吸って赤く染まるだろう。
だが、それを見ることは出来ない。残念だと思う心があれど。
「お前の生命が尽きるが先か」
さあ、試してみましょうか、とユエファの声が暗闇の中に響き渡る。剣閃が迫りくる『闇の軍勢』を切り裂き、古のルナエンプレスの亡霊さえも引き裂いて、『闇のオロチ』へと迫る。
振るう刃は誰かためではなく。
きっと己のために。
この衝動のためにこそユエファは刃を振るう。一閃、一閃に、衝動の源たる獣の乾きを潤すように。
ただ、只管に彼は『闇のオロチ』の巨体を斬撃で持って切り刻むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
御影・しおん
ゴースト兵器『オロチ』……わざわざ竜や蛇の形を模して創ったのかしら?
……彼らにとって、竜や蛇とはどういう意味を持つ存在だったのかしらね
さて、闇に紛れ込むけれど、それだけじゃ足りないわよね?
『ライン・ブルーム』で周囲に境界線を引き、その内を結界に
即席の結界にすぎないけど、時間が稼げればそれでいいのよ?
竜身解放、【彼方より来る極光】
無限光そのものと化して軍勢の「生命力吸収属性攻撃」を取り込み輝きを増しつつ光放射で反撃をするわね
同時に再度周囲へと境界線を引き、今度は境界線自体に「分断」、つまり踏み越えたものを切断する機能を持たせ、少しづつ境界線で囲い追い詰めるわ
見えないだけなら方法はあるものよ?
嘗て龍脈を用いて造り出されたという妖獣兵器。
それが『オロチ』である。
「ゴースト兵器『オロチ』……わざわざ竜や蛇の形を模して創ったのかしら?」
古のルナエンプレスたちが作り上げたという巨体の威容は暗闇の中であっても凄まじいものであった。
感じる気配の巨大さ。
『完全不可視状態」であるがゆえに全貌は把握できないであろう。
そして、迫る『闇の軍勢』。
あらゆるものを支配下に引きずり込む力は、オブリビオンであっても例外ではない。
しかし、その軍勢を切り裂くユーベルコードの輝きが示す道を御影・しおん(Unknown・f27977)は走る。
「……彼らにとって、竜や蛇とはどういう意味を持つ存在だったのかしらね」
理由は判然としない。
けれど、しおんは自分がしなければならないことを理解していた。
闇に紛れるようにして、彼女は他の猟兵たちが切り開いた道を征く。
それだけでは足りないことは百も承知である。
彼女の手にした魔法の箒が境界線を引く。
「即席の結界だけれど――……」
迫りくる膨大な数の『闇の軍勢』。
まるで押し迫る大波のようであったことだろう。砕けていく境界の結界。しかし、それでしおんはよかったのだ。
守るのではなく、時間を稼ぐ。
それこそが彼女のユーベルコードにつなぐための導線であったのだろう。
「我が名は御影しおん、彼方より来る極光(アルターエゴ・アイン・ソフ・オウル)」
竜身を開放する力。
光で出来た竜としての姿を発露した、しおんは己の身より発する光を反射させ、己に迫る『闇の軍勢』を切り裂きながら、周囲に境界線を引く。
反射した光が暗闇に刻む線。
それは彼女のユーベルコードによって膨大な数でもって反射し、『闇の領域』に満ちていく。
引かれた境界線は、あらゆるものを分かつ。
一つを二つに。二つを四つに。
増えていく裁断線。
「超えた瞬間に光によって分断する。それこそがわたしのユーベルコード」
きらめくかがやきは、あらゆるものを囲い、切り裂く。
『闇の軍勢』がずたずたに切り裂かれながら、その分断された肉体が『闇の領域』の中を舞う。
「これだけ増えれば問題は何もないでしょう?」
例え、『完全不可視状態』であっても関係ない。
彼女にって、見えないことは重要ではない。
「見えないだけなら方法はあるものよ?」
際限なく満たしていく境界線。それは光の乱反射によって次々と編み目のように『闇のオロチ』を捉えるだろう。
苦悶の咆哮が聞こえる。
他の猟兵たちのユーベルコードによって、切り開かれた道が『闇の軍勢』によって埋め尽くされることを許さない。
光の反射攻撃は閃光となって放たれ続ける。
暗闇の中で光は吸い込まれていくだろう。けれど、止まらない。囲いは出来ている。
「これが光の檻。『闇のオロチ』、あなたを囲い込む力よ」
しおんの言葉と共に囲いは狭まり、ユーベルコードの輝きがついに『闇のオロチ』を捉えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
【SPD】
アドリブや連携も大歓迎だ
「本当に真っ暗だ。まさに闇の領域だな!」
全身にひしひしとオロチの威圧感を受けながら、
それでも笑みを絶やさずに雄々しく立つ
「無数の軍勢か。なら、コッチはこいつで対処する!
いくぜ、インビンシブルモード!
見えないってんなら手当たり次第にいかせて貰う!」
白銀の鎧を纏い、清導は飛翔する
そして、闇の中でも一際輝く銀の翼を展開した
「超必殺!ワールド・パニッシャー!」
戦場全体に光焔を叩き込み続けることで
「闇の軍勢」と太古のルナエンプレスをなぎ払う
さらに、吸収したエネルギーで[力を溜める]
「お前が動く音は消せないぜ!そこだ!!」
右腕に力を集束させて創った光刃でオロチを一刀両断だ
金沢駅周辺を包み込む闇。
それは『闇のオロチ』が蠢く領域であり、次から次に湧き上がる『闇の軍勢』によって覆い尽くされていた。
どれだけ猟兵達のユーベルコードが煌めくのだとしても、それでもなお迫る『闇の軍勢』は無尽蔵であるように思えたことだろう。
乱舞する閃光が『闇の軍勢』を蹴散らしながらも、それでも苦悶の咆哮を上げる『闇のオロチ』は古の妖獣兵器であるところの力を些かも損なうことはなかった。
召喚される古のルナエンプレスの亡霊。
その手から放たれる月光魔術が『闇のオロチ』の力となるだろう。
「本当に真っ暗だ。まさに『闇の領域』だな!」
空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は真っ赤な機械鎧を纏いながら戦場を駆け抜ける。
全身に痛いくらいに『闇のオロチ』の重圧を感じる。
強敵と呼ぶにふさわしいし、かつての戦いにおいて多くの能力者たちを恐怖に叩き込んだという話もうなずけるものであったことだろう。
だが、である。
それでも清導は笑みを絶やさない。
困難に立ち向かう時、重要なのは心だ。笑顔を忘れたのならば、心が折れる。心が折れては誰も戦い続けることなど出来はしないのだ。
ならばこそ、笑いながら雄々しく走るのだ。
「無数の軍勢か。なら、こっちはこいつで対処する! レイ! 無敵機械のデータをロードしてくれ!」
清導の瞳がユーベルコードに輝く。
赤い機械鎧が銀翼の白鎧(インビンシブル・シルバリオン)へと変わる。
飛翔する体が、一気に『闇の領域』の中を飛び、闇の軍勢を惹きつける。
敵の攻撃は苛烈を極めるだろう。
月光魔術が追いすがり、闇の軍勢からもユーベルコードが飛ぶ。
しかし、笑うのだ。
機械鎧の背から排出される白銀の光焔が一際、闇の領域で輝くことだろう。
「行くぜ、ブレイザイン・インビシブルモード!!」
煌めくユーベルコードは、ブレイザインの白銀鎧より放出されて、闇の軍勢を燃やし尽くす。
そして、その燃やし尽くした敵のエネルギーを己のものとするようにブレイザインへと集まっていく。
満ちる力。
しかし、そこに飛ぶこむのは『闇のオロチ』の巨体。
体が軋む。
凄まじい質量攻撃。
受け止めながらも、ブレイザインの体が大地に叩きつけられる。
けれど、それでも清導は折れない。笑って雄々しく立つ。そのためだけに彼の瞳はユーベルコードに輝き続けている。
「超必殺! ワールド・パニッシャー!」
膨れ上がる光焔が翼のように広がり、周囲に迫る闇の軍勢を焼滅しながら己の体にエネルギーを満たしていく。
『闇のオロチ』は『完全不可視状態』。
巨体に寄る一撃を叩き込みながら、再びブレイザインに迫る。
確かに見えぬことは脅威である。
しかし、ブレイザインはわかっていた。
「どれだけ見えないのだとしても。お前が動く音は消せないぜ!」
右腕に奪い取ったエネルギーを溜め込んだ光刃が形成されていく。
それは己に迫る重圧と音を頼りに放たれる一閃となって振り降ろされる。『闇のオロチ』の巨体にぶつかる。
光刃が歪に歪む。
それは、『闇のオロチ』の巨体に光刃が触れたことを示していた。
渾身の力を込める。
握り締めた拳が軋む。
けれど、それでもなお、ブレイザインは光刃を振り下ろす。光刃が光の火花を散らしながら折れ曲がり、それでも『闇のオロチ』の龍鱗を削りながら闇の軍勢をも巻き込み、その一閃を届かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
オロチ……触手とは違うんだね?
触手ならサージェさんが得意だから、いけると思ったんだけど……。
って、ん? ナイアルテさん『闇のオロチ』って言ってたよね?
ということは、サージェさんいけるね!
なんといっても闇に忍ぶのはクノイチの得意分野だもんね!
さ、忍んで!すぐ忍んで!!がつんと忍んで!!!
そして、さくっとオロチやっちゃってー!
サージェさん、忍んでよぅ。
いやまぁ、なんとなく予想はしてたけども!
こうなったらしかたない。
【偽装錬金】で高速バスを作って、オロチに突っ込ませるよ!
え?なんでって……。
銀誓館の人が、オロチには高速バス、って言ってたんだよ。
ということで、やっちゃえNI●●AN!
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!
はい理緒さんアウト―!
ノークノイチ、ノー触手です!!ダメ絶対
確かに闇に忍ぶのはクノイチの特性ですけども!
理緒さん何か忍ぶの意味間違ってません?!
私にこれ以上どうやって何を忍べと!!
いえ、泣かれましても……
では気を取り直して
おお!?あれは伝説のクラッシャーバス!?
アレが無ければオロチが戦争で負けていた、という伝説のアイテム(?)ですね
いえ、聞いただけの話ですけどさっき銀誓館学園の人に
んでは私はオロチを炙り出しましょう
ちまかぐや隊せいれーつ!
さぁお宝探しですよ
さくっと探り当ててくださいね!
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!」
久しぶりに聞いたであろう前口上。
その言葉は、闇の領域にあってなお、高々と響き渡るものであった。
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は金沢駅周辺を覆う闇の領域の中に飛び込む。
共に征くは菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)。
理緒にとってサージェの前口上はいつものことだったのか、特に反応はしていなかった。まあ、いつものことだし、で済まされる間柄というのも親しいものがあってよいことであるとは思う。
「『オロチ』……触手とは違うんだね?」
「どういうことです!?」
「いや、触手ならサージェさんが得意だから、いけると思ったんだけど……」
「はい理緒さんアウトー! ノークノイチ、ノー触手です!! ダメ絶対」
振りかな?
理緒はそんなふうに思った。けれど、『闇の領域』にて膨れ上がる『闇の軍勢』がそんな考えを忘れさせる。
迫る軍勢は圧倒的だった。
しかし、『闇のオロチ』の姿は見えない。
巨体でありながら見えないのは『闇の領域』にまぎれているからではない。『完全不可視状態』になっているからだ。
「『闇のオロチ』の『完全不可視状態』っていうのは、こういうことだったんだね……ん? ということは、サージェさんいけるね!」
「何がです!?」
『闇の軍勢』を相手にサージェはがんばっていた。
しかし、そんなサージェのがんばりとは裏腹に理緒はなにかひらめいたようであった。
この状況を打開できる策があるのならば、早く実行してほしい。
割と数の暴力というのは馬鹿にできないものである。
「なんといっても闇に忍のはクノイチの得意分野だもんね!」
「それはそうですけど、今それ関係あります!?」
「あるよーさ、忍んで! すぐ忍んで!! がつんと忍んで!!!」
「理緒さんなにか忍の意味間違ってません?! 綿にこれ以上どうやって忍べと!!」
暗闇の中で巨体が蠢く。
他の猟兵達のユーベルコードが確かに『闇のオロチ』を追い詰めている。しかし、それ以上に膨れ上がる『闇の軍勢』が二人を苦しめている。
「サージェさん、忍んでよぅ」
涙目である。
何がそこまでそうさせるのはサージェにはわからなかったが、これもなにかのあれなのかもしれない。
なんで泣かれているのかわからないけれど、それでもどうしようもないことはどうしようもないのである。
「いやまあ、なんとなく予想してたけども! 無理なんだね! 忍ぶの!」
「えぇ……」
「いいよ、もうこうなったらしかたない。構造、複写」
理緒の瞳がユーベルコードに輝き、偽装錬金(ギソウレンキン)によって生み出された高速バスがサージェと理緒の横を猛スピードで走り抜けていく。
「なんで!?」
「え? 銀誓館の人が、オロチには高速バス、って言ってたんだよ」
まじでなんで?
「おお!? あれは伝説のクラッシャーバス?!」
知っているのかサージェ。
「アレがなければオロチ戦争で負けていた、という伝説のアイテムですね。いえ、聞いただけの話ですけどさっき銀誓館学園の人に」
本当に? 本当なの?
「わかんないです! けどまあ、私はオロチを炙り出しましょう。ちまっとかぐや隊!(ゲーミングカグヤヒメトアソボウ)せいれーつ! さぁお宝捜しですよ」
サージェのユーベルコードによって召喚されたゲーミングかぐや姫たちが一斉に整列し、暗闇の中を走っていく。
高速バスが次々と走り抜ける光景は、かつての戦場を彷彿させたかもしれない。
『闇のオロチ』もまた過去。
ならば、能力者たちが如何にしてこれを乗り越えてきたのかを思えば、それは勝利への道筋を見出すには十分であったのかもしれない。
それ以上に他の猟兵達のユーベルコードが『闇のオロチ』を消耗させていたのだろう。
ゲーミングかぐや姫たちが、ゲーミングカラーに輝きながら、『ここ!』というように指差す。
「理緒さん、そこです! 高速バスを打ち込んじゃってください!」
「わかったよー! ということでやっちゃえ!」
理緒の号令と共に突っ込むクラッシャーバス。
その高速で走る車体が、ゲーミングかぐや姫達の示す先へと次々と突っ込んでいく。それはまるで怪獣映画さながらのワンシーンであったことだろう。
偽装錬金で生み出された高速バスが巨体を打ちのめし、そして煌めくユーベルコードの一閃がついに『闇のオロチ』を霧消させる。
「やっぱり先人の知恵はすごいですね!」
「うんうん、一度負けているならいざしらず、勝って今に至っているんだからね。乗り越えられないことなんてないんだよー」
サージェと理緒は互いに手を叩き、晴れていく暗闇を見やる。
そこにあったのは、黒でも白でもなく、青空だった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵