第二次聖杯戦争③〜迫り来るゾンビ
●仕事始め
「みんな集まってる? じゃあ手短に済ませるわね……金沢市の香林坊商店街に、多数の妖獣化オブリビオンが出現する予知を見たわ。直ちに討伐に向かってほしいの」
年明け早々に戦争が起きるのはこれで二年目と言う事もあってなのか、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)はどこか投げ遣りな様子であった。
……一応、自身の生まれ育った世界の危機だと言うのに、それでいいのだろうか。
「今回の第二次聖杯戦争の黒幕である聖杯剣揺籠の君に捧げる生贄を集めるため、妖獣化したオブリビオン達が香林坊商店街を襲おうとしているみたいね」
妖獣化オブリビオンは暴力衝動に支配されており、単純な思考しか行えないものの高い戦闘力を持っている。
もし一般人が襲われてしまえば、あっと言う間に奴らの餌食となってしまうだろう。
彼らを守りつつ、妖獣化オブリビオンを倒すのが今回の任務である。
「わたしが見た妖獣化オブリビオンはゾンビの群れ……ええ、文字通りゾンビよ」
奴らは妖獣化の影響で凶暴化している事から、一般人を真っ先に狙ってくる事だろう。
元より知性の欠片もないような連中だが、奴らの性質を突いて戦えばこちらが優位に立てるのは間違いない。
……それにしても大勢のゾンビが商店街に押し寄せて一般人を狙うとは、まるでB級ゾンビ映画のようなシチュエーションである。
「今回は一般の人達を守るのもそうだけど、戦いの余波で商店街に被害が出る事も可能な限り避けてもらえると助かるわ」
この戦いは世界結界の影響でいずれ人々の記憶から消え去る事だろうが、物理的な被害はどうにもならない。
それらの事も考慮した上で、ゾンビ退治を行ってほしいとアヤカは付け加える。
「説明はこんなところかしら。もう間もなく、妖獣化ゾンビは向こうに現れるはずよ。急いで現地に飛んで、何も知らない一般の人達を守ってあげて!」
そう〆るとアヤカはグリモアを展開し、ゲートを開くのであった。
NS
はいどうも、|NS《えぬえす》でございます。
あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。
今年一発目のシナリオです、どうぞよろしくお願いします。
●目的
香林坊商店街に現れた妖獣化ゾンビから一般人を守りつつ迎撃する。
プレイングボーナス:妖獣化オブリビオンの性質を突いて戦う/商店街の一般人を守って戦う。
妖獣化ゾンビは数が多く、一般人を真っ先に狙ってくるようです。
※今回は一般人を守って戦うにプラスし、『商店街の被害を避けつつ戦う』もプレイングボーナスとさせていただきたいと思います。
●ご注意
プレイング受付は章の導入部を書いてから開始となります。
戦争シナリオは戦況にも影響するため、なる早で完結を目標としております。
そのため、リプレイは出来るだけ早めにお返し出来ればと思います。
また、クリアに必要な人数が集まり次第プレイング受付を締め切る方針です。
その際には『プレイング受付〆切』とタグに表記します。
もし参加人数が多い場合、不採用も出る事を予めご了承の上でご参加下さい。
それでは新年早々のゾンビ退治と洒落込みましょう。
第1章 集団戦
『ゾンビ』
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POW : 集団の脅威
【群れを為したゾンビの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【ゾンビ同士】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : ゾンビ、走る
【上着を脱ぎ捨てる】事で【走るタイプのゾンビ】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ゾンビカース
攻撃が命中した対象に【ゾンビ化の呪い】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【肉体のゾンビ化の進行】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:桜木バンビ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ゾンビのバーゲンセール
香林坊商店街に人の群れが押し寄せる。
あれは初売り目当ての客なのだろうか?
……否、妖獣化オブリビオンであるゾンビの群れだ。
奴らは聖杯剣揺籠の君に捧げる生贄を集めるべく、商店街にやってきた人々を餌食にしようとやってきた、招かざる客である。
「お、今日は大賑わいになりそうだな」
「不景気な今の時代、稼げる内に稼い……いや待て、なんか様子がおかしいぞ?」
そして最初はゾンビの群れを客と認識していた商店街の人々も、ただならぬ何かを感じたらしく警戒する。
アレはただの客とは違うのではないか、と。
「ウゥゥ……」
「アァァー……」
唸り声を上げつつ、ゆったりとした足取りで商店街へとやってくるゾンビの群れ。
このままではこの地の一般人が根こそぎ餌食となってしまうのも時間の問題だ。
さあ、一般人と商店街を守りつつゾンビ退治と行こう!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
これは、急いだ方が良さそうですぅ。
『FAS』を使用し飛行、『FGS』の重力波でゾンビ達の動きを止め避難までの時間を稼ぐと共に、『FMS』全てのバリアで囲んで一般の人達を追えない様にしますねぇ。
ゾンビ達の性質上『上空の相手』を狙うのは難しそうですが、『FES』で聖属性結界を展開し万一に備えますぅ。
そして『FPS』による探知で周囲の詳細情報を把握し【乳焔海】を発動して[範囲攻撃]、ゾンビ達を纏めて焼払いましょう。
『任意で消せる炎』ですから、周囲の情報が把握できていれば『街の施設』への延焼を防ぎ、ゾンビのみを狙えますぅ。
『FBS』の斬撃で[追撃]も加え、着実に仕留めますねぇ。
●カナザワ・オブ・ザ・デッド
「ウァァァー……!」
遠くから獲物を見つけたであろうゾンビの群れが、ゆったりした動きから一転して走り始める。
ゾンビ映画のお約束として、このような走るゾンビは一般的に邪道とも言われているが……奴らにそんな常識など通用するはずがない。
「おい、なんかヤベえのが来たぞ!?」
「あれってゾンビ? 撮影じゃなくて本物……? に、逃げないと!」
一方でこの異常事態に気付いた一般人達が踵を返し、慌ててその場から逃げようとするが……人で賑わっている商店街故、周りの人の波をかき分けて進むのは容易ではない。
このままではあっと言う間に追い付かれ、奴らの餌食となってしまうだろう。
「ウ、ウゥゥゥ……?」
だが、獲物に向けて全力疾走していたゾンビ達の動きが、突然スローモーションになったかのように大きく鈍り出す。
この謎の事態に、奴らも何が起きているのか分からないと言った様子だ。
「皆さーん、ここは私が抑えますので、落ち着いて避難してくださぁーい!」
突然上から聞こえてきた声に、一般人達が顔を上げる。
彼らの頭上には、『祭器』FASで浮遊した夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の姿があった。
ゾンビの動きは『FGS』の重力波で抑え、奴らが侵入してくるであろう商店街の入口は『FMS』のバリアで固めて入れないようにすると言った徹底ぶりだ。
これならばまだパニック状態にあるとは言え、一般人が退避するだけの時間は十分稼げるだろう。
「ひとまずは一般の人達も安心でしょうか? さて、次は……」
るこるは高い場所から少しずつ退避していく一般人達を見送ると、すぐさまゾンビの群れに視線を向ける。
奴らは重力波の包囲網を抜けたのか、商店街入口に展開したバリアに群がって壁を破ろうとしている様子が見えた。
「まるでゾンビ映画みたいですねぇ……現実じゃなければ良かったのですけど」
そんな事を呟きつつ、るこるは『FPS』で周囲の詳細情報を探知・把握する。
まるでレーダーのように周囲の地形や構造、ゾンビの数が手に取るように把握したるこるは攻めの一手に出る。
「さあ、火葬の時間ですよぉ」
るこるは『|豊乳女神の加護・乳焔海《チチガミサマノカゴ・シロキホノオノウミ》』で女神の波動を放ち、バリアに群がっているゾンビを一斉に乳白色の炎で焼き払う。
奴らはそのまま恨めしげな唸り声の合唱と共に体が崩れ、灰へと変わっていく。
これだけ炎が燃え盛ると、商店街にも延焼してしまうのでないかと思われるが、この乳焔海は任意で消せる炎であるため、その辺りも安心だ。
「アァァァー……!」
そんな中、炎に焼かれる寸前でバリアを乗り越え商店街の中へ入り込んだゾンビの数匹が、空中のるこるを攻撃しようと地上をぐるぐると回る。
当然だが、奴らの突進攻撃は当たるはずもない。
「ん、この位置で焼き払うのは少し危ないですねぇ。でしたら……」
周囲の被害を考慮し、るこるが『FBS』を放ってゾンビの首を切り落とすと、その場にガクリと崩れ落ちる。
いくらゾンビとて頭を潰されてしまえば終わりなのは、この世界でも共通なようだ。
「さあ、まだまだゾンビ狩りと行きますよぉ」
彼女が焼き払ったゾンビの群れはまだほんの一部に過ぎない。
――猟兵達のゾンビ狩りは始まったばかりだ。
大成功
🔵🔵🔵
ニーニアルーフ・メーベルナッハ
…こんなゴーストタウンも昔はありましたね…。
ですが、此処は未だ人の住む街です。ゾンビの好きにはさせません!
敵の足は然程速くない様子ですが、その分追い詰められると逃げるのが困難になります。
逃げ道を確保しつつ、追い詰められそうな一般人の方々を助けていきましょう。
裏道を走り、ゾンビを見つけ次第【蟲使い】で操る白燐蟲を弾丸として射出、攻撃して気を引きましょう。
ある程度の数を引き付けたら表通りへと出て、其方のゾンビの群れ共々白燐拡散弾で一掃を試みます。
建物に被害を出さないように範囲を指定しますので、撃ち漏らしが生ずるかもしれません。白燐蟲の弾丸で確実に仕留めていきましょう。
●死を喰らうは白燐蟲
「……こんなゴーストタウンも昔はありましたね……」
どこか昔を懐かしむ(?)ように、ニーニアルーフ・メーベルナッハ(黒き楽園の月・f35280)が一人呟く。
ロケーション的な意味で近いのは、かつてあったアミーゴ横須賀だろうか。
「ですが、此処は未だ人の住む街です。ゾンビの好きにはさせません!」
一人も犠牲者は出さないと言う意思と共に、ニーニアルーフがグッと拳を握り締める。
ここは今はまだゴーストタウンではないが、奴らの好きにさせてしまっては未来のゴーストタウンとなってしまうのは明白だ。
「……うわぁ、だ、誰か助けてくれぇー!」
「そんな、もう襲われている!? 急ぎませんと!」
そんな中、早速一般人の助けを求める叫びを耳にしたニーニアルーフは考えるよりも先に走り出す。
そのまま声の聞こえてきた方向へ足早に向かってみると、そこには行き止まりに追い込まれて絶体絶命と言った状態の一般人の姿があった。
「そこまでです!」
ニーニアルーフが右手をかざし、掌から白燐蟲を弾丸として射出してゾンビを攻撃。
背後から攻撃を受けたゾンビがぐるりと振り返ると、威嚇するような唸り声を上げてターゲットを彼女に切り替えるや否や、突然走り出した。
「……早く逃げて下さい!」
襲われていた一般人にそれだけ告げると、ニーニアルーフがゾンビを引き連れてその場から離れていく。
この状態で一般人の無事を確かめる術はないため、何とか逃げおおせてくれと祈る事しか出来なかった。
「させません!」
「ヴ……ァッ!?」
それからもニーニアルーフは商店街の中(主に裏道など)を駆け巡り、襲われそうになっている一般人を見つけてはゾンビの群れに白燐蟲の弾丸を放ち、狙いをこちらに向けつつ助けると言った行動を繰り返していた。
そうする事で彼女を追うゾンビの数は次第に増えていき、その様はまるでゾンビトレインと言ったところである。
「はっ、はっ……ここまで結構な数を引き付ける事が出来たはず……!」
走り続けて一般人の救助を行っていたニーニアルーフは、ふと後ろを振り返る。
背後には、これまでに彼女が引き付けたゾンビの群れが走りながら追いかけてくるのが見えた。
幸い向こうはゾンビ故に機動力はそこまでではないにせよ、奴らが走りながら追いかけてくる様子は恐怖の光景と言ってもいいだろう。
「……よし、これくらいで十分かもしれません!」
それはさておき、相手の数を見て頃合いだと判断したか、すぐさま表通りへと飛び出したニーニアルーフを追い、ゾンビの群れもそのまま商店街から出てきた。
それが罠だとも気付かずに、だ。
「まとめて釣られて出てきましたね……この時を待っていました!」
そして、表通りでゾンビの群れを迎え撃つ体勢に入った彼女が構えと共に叫んだ。
「……消えて、なくなってくださーい!」
裂帛の気合と共に白燐蟲の大群を放つ『|白燐拡散弾《シュツルム・フォスフォール》』が、表通りに出てきたゾンビの群れへ一斉に襲い掛かると、輝く無数の白燐蟲は生ける死者を跡形も無く次々と喰らい尽くしていった。
「ウ、ウゥゥ……!」
「そこ、見逃しません!」
「アァ……ッ」
そんな中でニーニアルーフが建物に被害を出さないように白燐拡散弾の範囲を指定した事で撃ち漏らしが発生したらしく、運良く生き延びたゾンビもいたようだったが……そこは白燐蟲の弾丸で頭を確実に撃ち抜き、偽りの生命活動を終わらせるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
マロン・ビネガー
◎アドリブ・連携等歓迎
新年早々、福袋もまだ見ていないのにゾンビが来るなんて
でも、街と人々の平和を守るのが僕達の仕事だね
◆行動
UC【月煌幻惑】を商店街入り口に発動、物理的に時間を稼ぐよ
街の人には「礼儀作法」を使い、ゾンビが来る事を知らせて
速やかな避難を呼びかける
念の為に「結界術」で結界を張り、お店や商品を衝撃から保護する
自分には「オーラ防御」に「浄化」でダメージ軽減・対策を行う
僕自身は迷路の出口で待ち構えるけれど
ゾンビには「範囲攻撃」+「電撃」に「貫通攻撃」を使用して弱らせ
迷路を抜けてきた敵から手持ちの得物で「零距離射撃」や「切断」等で攻撃するよ
ゾンビ化は出来れば避けたいけど
敵の撃退が最優先だよ
●いらっしゃいませゾンビ様
「新年早々、福袋もまだ見ていないのにゾンビが来るなんて」
せめて年明けくらいはゆっくりしたかったであろうマロン・ビネガー(夢幻の恋人・f37213)が一人呟く。
今回の戦争がなければとも思った事だろうが、敵はこちらの都合などお構いなしだ。
「でも、街と人々の平和を守るのが僕達の仕事だね」
少し愚痴りたい気持ちを抑えつつ、マロンが気持ちを切り替え、戦う決意を固める。
自身が生まれ育った世界――シルバーレインに大きな危機が迫っているともなれば、ゆっくりしている暇などない。
オブリビオン・フォーミュラである聖杯剣揺籠の君を討たなければ、この世界が滅びるどころか全ての世界への侵攻が始まってしまうのだ。
「さて、敵は……うわ、凄い数。これは入り込まれたら大変な事になるね」
視線を外に向けるや、早々にゲンナリしたような様子のマロン。
いずこからか現れたゾンビの群れは、今まさに商店街の入口へ辿り着こうとしていた。
おそらくあと一分もしない内に、奴らは一気に雪崩れ込んでくる事だろう。
「今、僕が出来る最善の手は……ん、これしかないかな?」
一般人ならあの群れを見てパニックを起こしそうな物だが、マロンは冷静さを保った状態で『|月煌幻惑《ムーンライト・ダズル》』を発動。
商店街入口に月光の帯で出来た迷路を作り出す事で、時間を稼ぐ手段に出た。
何せ知性の欠片も無いゾンビの群れだ……簡単に迷路を抜け出せるはずもないし、破壊して突破しようにも、かなりの硬度を持っている事からそれは困難に違いない。
「これでよし、と……で、次は」
迷路内で右往左往しているであろうゾンビの事は一旦置いておくとして、マロンは商店街内に残っている一般人に避難を呼びかける。
「……かくかくしかじかと言う訳でゾンビが来るので、すぐに避難して下さい」
「え、ゾンビ? あの映画に出てくるアレの事?」
「はい、アレです。外でいっぱい動いていた連中、何だかヤバそうだったでしょう?」
「た、確かに……」
マロンは礼儀作法を交え、落ち着いた様子で分かりやすく一般人に伝えると、彼らは安全な出口から少しずつ退出していく。
迷路で時間を稼いだ事もあってか、避難がスムーズに行えたのは大きいだろう。
「これでひとまず安全確保は出来たかな? 後は迎え撃つだけだけど」
一般人の退避を済ませると、迷路の出口でゾンビの群れを待ち構えるマロン。
戦いの前に結界術で結界を張り、店や商品を戦闘の余波から守れるよう、対策も忘れていない。
……それから少しすると、最初の招かざる客が迷路の出口に現れた。
「はい、いらっしゃいませ。これはサービスだよ」
「ァ、ウアァァ……!?」
まずはご挨拶と言った感じで広範囲に電撃を浴びせて弱らせると、そのままクロスシザースでゾンビの首をズバッと切断・始末する。
続いて別のゾンビが迷路を抜けて出口に差し掛かるも、同じように電撃を喰らい、今度はクロスボウの零距離射撃で頭を的確に撃ち抜いた。
ゾンビは一匹も通さない、まさに鉄壁の布陣だ。
「向こうは小出しで攻めてくるしかないからやりやすいけど、あと何匹来るのかな」
ゾンビが出口に少数現れては撃退を繰り返すマロンが少し疲れた様子で呟く。
仮にゾンビの数が多ければ対処も少し大変な事になっていただろうが、奴らが迷路に迷った事で群れが大きく分散したのが功を奏したようだ。
(この仕事が終わったら、ここで福袋売ってないか見てみようかな)
そんな後のお楽しみの事を考えつつ、マロンのゾンビ応対はまだまだ続く……
大成功
🔵🔵🔵
古賀・茉莉
相手はゾンビかぁ、あいつら斬ってもつまらないんだよね
でもたまには暴れまわるのもいいかな
前日に儀式(切腹)済み。
何かあったら能力アップできるのと、ボクの血とはみ出た内臓で釣れたらよし
ゾンビだし…痛みでくらくらするけど
…これ、ボクもゾンビに思われる…?
とならないようにゾンビを手当たり次第殲滅していくよ
思ったより強い…?
ゾンビの呪いかも、足の腱とか狙えば動きを阻害することができるかも
みんな逃げて、ここはボクが、大丈夫だから!
動きすぎて腸がはみ出してきて掴まれると意識が飛ぶくらい激痛
我慢、もっと、集まるまで、耐える
肉を食らわれてもモツを引きずり出されても
最大限集まったらUC発動
3分でできるだけ削る!
●ブラッディ・デュエル
「相手はゾンビかぁ、あいつら斬ってもつまらないんだよね。でもたまには暴れまわるのもいいかな」
どこか楽しそうな様子でそう口にする古賀・茉莉(人間の殺人鬼・f33080)だが、この戦争が始まり、今回この任務に参加する前日には既に儀式で切腹済であった。
つまり、彼女の腹部からは現在進行形で流血をしており……
「なあお嬢ちゃん……もしかしなくてもケガ、してないか……?」
「ん、これくらい大丈夫大丈夫。ちょっとくらくらするけど」
「いや大丈夫じゃないよなそれ!?」
心配そうに尋ねる商店街で働く一般人に対し、茉莉は何事もないと返すが……どう見ても救急車案件である。
傷口からは臓物の一部がはみ出ているなど実際命に関わるレベルの重傷ではあるが、これも彼女が自ら行った事だ。
「お、おい! なんかあっちからやべぇのが来てるぞ!?」
「何だって!? ……うわ、なんだあいつら!?」
ふと一般人の驚きの声を耳にした茉莉が、彼らの視線の先を目にする。
……ゾンビの群れだ!
「ふふ、来た来た! さあ、ボクを楽しませてよ!!」
早速獲物を見つけてニヤリと笑うと、茉莉は黒星ノ双剣を抜いてゾンビの群れへと突撃していく。
いきなり先制攻撃を受けたゾンビの群れが、一般人を狙おうとして邪魔された事からターゲットを茉莉へと切り替え、数に物を言わせて襲い掛かる。
血生臭い戦いがここに幕を開けたのだ。
「く、思ったより強い……? ……でも、そうでなきゃ!」
早々にゾンビの数に押され、数的不利な状況にあっても茉莉は笑みを浮かべていた。
……与える痛みも、受ける痛みも自分が生きていると実感させてくれる。
だからこそ、この命を燃やす瞬間が何よりもたまらなく楽しいのだ。
「みんな逃げて、ここはボクが、大丈夫だから!」
茉莉は未だ不安そうな様子で遠巻きから見ている一般人達に向けて叫んだ。
切腹の傷で流血し、臓物が激しい戦いの中で更に傷口からはみ出るなどの壮絶な状態にある彼女の気迫に押されてか、一般人は足早にその場から逃げ去っていく。
(そうだよ、急いでこの場から逃げて……1メートルでも向こうへ……!)
逃げていく一般人の背を見送りつつ、彼らの無事を祈る。
はみ出した腸をゾンビに掴まれ、肉を喰らわれるなど意識が飛ぶくらいの激痛にもひたすら耐える茉莉……既に凄まじい数のゾンビに取り囲まれ、逃げ場などないかと思われた、その時であった。
「頃合いだね……さあ、3分間のショウタイムだよ」
その言葉と共に、茉莉は『|割に合わないsacrifice《ワリニアワナイギシキ》』を発動、弾丸のように跳ね起きると疾風のごとき勢いで黒星ノ双剣を振るう。
彼女の刃が煌めくと同時に、ゾンビの群れがまるでバターを切るように易々と切断され、骸の海へ還っていく。
切腹の儀式はこのユーベルコードのために行っていた物だったのだ。
(ああ、この痛み……ボクは生きてるんだ……楽しいなぁ、本当に楽しいなぁ!)
瀕死レベルの重傷にも関わらず、茉莉の表情は今まで以上に生き生きしていた。
彼女が生を最も実感出来る瞬間、それが今なのだからだろう。
気付けば周囲にいたゾンビの数も次第に減っていき……
「これで……っ!」
茉莉を取り囲んでいたゾンビの最後の一匹を倒したと同時に、その場に崩れ落ちる。
どうやらちょうどいいタイミングでユーベルコードの時間が切れたようだ。
「あーあ、終わっちゃった……もっと楽しみたかった、なぁ……」
床を自身の鮮血で染め上げ、その上で倒れ込む茉莉。
楽しい時間はあっと言う間に終わってしまったが、その表情はどこか満足げであった。
大成功
🔵🔵🔵
鳥羽・白夜
八坂(f37720)と。
学生時代から付き合いのある後輩。
新年早々、リアルゾンビ映画って縁起悪すぎだろ…
世界結界で忘れてくれるかもだけど、早いとこなんとかしねーとな。
|起動《イグニッション》!
紅い刃の大鎌を手に。
俺がゾンビの相手するから、八坂は一般人と商店街に被害が出ないように気を付けててくれ。撃ち漏らし出たら頼むな。
指定UC発動、ほら雨降ってきたから店の中入ったほうがいいぞ、と一般人を店の中へ誘導し、【拠点防御】で建物や中の一般人を守る構え。
誘導しながらも近づいてくる敵は大鎌の【斬撃波】で攻撃、【部位破壊】で足を【切断】、移動速度の低下を狙う。
万一誘導が間に合わなそうなら身を挺して【かばう】。
八坂・詩織
白夜さん(f37728)と。
犠牲者が出たら洒落にならないですね…守り抜きましょう、絶対。
|起動《イグニッション》!
髪を解き、瞳は青く変化し白い着物を纏う。
なるほど、トマトジュースの雨なんて超常現象も一般人にはただの雨に見えるかもしれませんね。ふざけたUCだと思ってましたけど意外と使えるかも…いえなんでも。
こちらも、吹雪を起こしてみましょうか。
指定UC発動、姿を隠した上で建物や一般人に近づくゾンビを片っ端から吹雪の竜巻で攻撃、【吹き飛ばし】ます。
単純な思考しかできないゾンビには私がどこにいるかなんて分からないはず、撃ち漏らしの対処もおまかせください。
万一被害が出そうになったら【かばい】ますね。
●本日の金沢の天気:雨時々竜巻(局地的)
「新年早々、リアルゾンビ映画って縁起悪すぎだろ……」
「犠牲者が出たら洒落にならないですね……守り抜きましょう、絶対」
商店街の入口付近で鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)と銀誓館時代からの後輩である八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)は、波のごとく押し寄せてくるゾンビの群れを目にする。
白夜はどこかウンザリしたような、一方の詩織は真剣な表情だ。
「世界結界で忘れてくれるかもだけど、早いとこなんとかしねーとな」
「はい、私達の目の黒い内は誰一人とて殺させはしません」
そう言い、二人は懐からイグニッションカードを取り出す。
元能力者ならば恒例の、いつものアレを行うためだ。
「|起動《イグニッション》!」「|起動《イグニッション》!」
イグニッションカードを手にポーズを決めると、二人が叫ぶ。
その直後、カード内に収納されていた武器が浮かび上がると、それぞれが手を伸ばして掴み取る事で戦闘準備が完了する。
「そんじゃま、いっちょやるか」
「大分早いですが、大掃除の時間と行きましょう」
唸り声の大合唱と共に接近してくるゾンビの群れを前に、二人が敢然と立ちはだかる。
普通に戦って倒すだけならばそれほどでもないが今回は一般人を守りつつ、かつ商店街の被害も抑えなければならないため、少しばかり骨だ。
果たして、白夜と詩織はいかにして戦うのであろうか?
「俺がゾンビの相手するから、八坂は一般人と商店街に被害が出ないように気を付けててくれ。撃ち漏らし出たら頼むな」
「任されました。ですが、周りにはまだ何も知らない人達がいますけど……」
詩織の言うよう、近隣には通行人も多くいる。
ゾンビの群れの接近を目にして一体何事かと足を止めている者達もおり、彼らをどうにかしなければ真っ先に襲われてしまう事だろう。
「あの一般人をどうするかって? ……こうするのさ!」
白夜が右手を掲げると、突然周囲に赤い雨が降り出してきた。
彼のユーベルコード、『|ブラッディ…じゃなくてトマトストーム《トマトジュースレイン》』である。
だが往来で赤い雨が降るなどすれば、一般人は明らかに異常を疑いかねない……
「……なんだ、雨か!?」
「うわ、やばっ。傘持ってきてなかったわ!」
「ちょっと、今日の天気は晴れじゃなかったの!? もぉーっ!」
……否、疑っていない!
どうやら世界結界の影響で、彼らの目には普通の雨にしか映っていないようだ。
この世界の法則を上手く生かした手段とでも言えばいいのだろうか。
「ほら雨降ってきたから店の中入ったほうがいいぞ」
白夜はすぐさま周囲の一般人に声をかけ、どんどん店の中へと誘導していく。
一方のゾンビの群れも突然降り始めた赤い雨に足止めを受けているのか、その歩みが急激に鈍り出していた。
これならば一般人が避難するだけの時間は十分稼げるはずだ。
「一般人は中へ、ゾンビは門前払いってな!」
引き続き避難誘導を行いつつも白夜は紅い刃の大鎌から斬撃破を放ち、商店街まで残り50メートルにまで近付いてきたゾンビの群れへと攻撃を仕掛ける。
彼の狙いは主に足の部位。
そこを切断する事で、移動力を大幅に削いでしまおうと考えたようだ。
「自分でやっといてなんだけど、這いずりゾンビとかますますそれっぽいな……」
足を切り落とされてもなお、商店街へと進もうとするゾンビの群れを見て、白夜は顔をしかめつつも迎撃を続けていく。
――こんな悪夢めいた光景は今日限りにしてもらいたいものだ、と思いながら。
「なるほど、トマトジュースの雨なんて超常現象も一般人にはただの雨に見えるかもしれませんね。ふざけたUCだと思ってましたけど意外と使えるかも……いえなんでも」
白夜が赤い雨を降らせて一般人の避難に利用すると言った手立てを見るや、詩織は若干辛辣な事を口にしつつも感心する。
上手い事を考えたものだ、と。
「こちらも、吹雪を起こしてみましょうか」
イグニッションした事で髪を解いて、瞳は青く変化し白い着物を纏った詩織が『|吹雪の竜巻・改《スノウストーム・クローク》』を発動。
自身を吹雪の竜巻で覆って姿を隠すと、逃げ遅れた一般人に向けて今まさに牙を剥こうとしていたゾンビの群れへ吹雪の竜巻を飛ばすと、そのまま吹き飛ばされてアスファルトに叩き付けられる。
思わぬところで助かった一般人は一体何が起こったのか分からないと言った顔をしているが、入口付近を固めていた白夜がすぐさま救助に向かう事で事無きを得たようだ。
「ウ、ウゥゥ……?」
一方で、仲間が突然の竜巻に吹き飛ばされたのを目にした別のゾンビは一体どこから攻撃が来たのかと辺りを見渡す。
攻撃を受けた以上、どこかに敵がいるはずだと思ったのだろう。
だが、何度周囲を見渡しても敵の姿は影も形もなかった。
一体敵はどこに?
(単純な思考しかできないゾンビには私がどこにいるかなんて分からないはず)
……ゾンビの群れが探している敵は、すぐ近くにいた。
吹雪の竜巻を身に纏った事で、その姿を視認するのは不可能となった詩織は引き続き竜巻を放ち、ゾンビの群れを攻撃する。
見えない場所から放たれた吹雪の竜巻は、白夜が撃ち漏らした分のゾンビを容赦なく吹き飛ばし、運悪く逃げ遅れた一般人を傷付ける事なく助けていく。
「それにしても、雨の降る中で竜巻も発生とはちょっとした異常気象ですね」
ゾンビの群れを引き続き吹き飛ばしつつ、詩織が呟く。
この異様な光景は一般人の目にどう映っているのだろうか?
「……いえ、いずれ忘れる事です。気にしても仕方ありませんか」
詩織は淡々とした様子でゾンビの群れの処理を白夜と共に行っていく。
他の仲間達も時を同じくして、一般人を守るために奮戦している事だろう。
そしてゾンビの群れは次第に数を減らしていき……
「どうやらこれで打ち止めのようだな」
「そのようですね。お疲れ様です」
今まで外に溢れていたゾンビの群れは全て片付け終わったらしく、二人が一息つく。
幸いにも一般人に被害が出た報告はなく、今回は無事に任務完了だ。
新年早々からなんともハードな仕事始めであった。
「けど、これはまだ始まりに過ぎねーんだよな……はぁ、気が重いぜ」
「ですが、苦労して勝ち取った平穏をオブリビオンに奪わせる訳にはいきません」
「ああ、分かってる。こりゃ長い戦いになりそーだな」
まだ見ぬ強敵の事を思うと、今回の戦争も一筋縄ではいかないだろう。
第二次聖杯戦争はまだ、始まったばかりなのだ……。
大成功
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