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銀河帝国攻略戦⑳~白い巨頭

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #白騎士ディアブロ

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●グリモアベース/ブリーフィング
「アナタ達、そして解放軍艦隊の活躍で、ついに白騎士艦隊が撃破されたアルヨ! ヤッタネ!」
 グリモア猟兵、ミャオ・ニャンニャン(謎のヒーローマスク・f13204)の素顔は相変わらず伺い知れないが、その声は心なしか嬉しそうだ。この勝利によって、既に撃破済みのオロチ艦隊、黒騎士艦隊も含め、帝国の主力攻撃艦隊三つが撃破されたことになる。だが喜んでばかりもいられない。
「やはりというべきか、【白騎士ディアブロ】本人は解放軍艦隊から逃れたみたいアルネ。解放軍本隊はインペリウムとの決戦を優先し、白騎士は捨て置いたアルネ」
 それは賢明な判断アル、とミャオはフォローする。少なくとも、今回の攻略戦でもはや白騎士は解放軍を邪魔立てすることは叶わぬ。優先すべきは戦争の元凶にして帝国の旗印、銀河皇帝であるからだ。
 とは言え、白騎士が皇帝に次ぐ強大なオブリビオンであることには間違いない。放置すれば、戦後のスペースシップワールドで銀河帝国の新たな旗印として暗躍を働くことは間違いない。それこそ、皇帝に次ぐ新たなオブリビオン・フォーミュラにすらなり得るというのだ。

「既に白騎士ディアブロがどこに出現するかは確率的に予想されているアル。アナタ達はその内の一つに待ち伏せ、白騎士を倒すアルヨ」
 転移先は壊滅した白騎士艦隊の艦艇の一つ。白騎士以外の戦力の存在は予知されていない。倒すべきは白騎士ディアブロただ一人だ。
「でも相手は黒騎士アンヘルと並ぶ帝国の二大巨頭と並びたてられるだけあって、強敵――有り体に言うなら『メチャクチャ強い』アル。相手は銀河帝国最強のウォーマシンにして鎧装機兵。銀河帝国の技術の粋を尽くし、コストを度外視した最高の武器と装甲を搭載した究極の兵器。でも本当にヤバいのはそこじゃないアルヨ」
 ミャオが息を付き、一度説明を止める。単純な大火力や重装甲を頼みにするオブリビオンは、猟兵達も緒戦でいくらでも経験してきたのだ。白騎士にはそれよりもさらに危険な能力があるという。
「超AIによる『未来操作能力』。白騎士ディアブロが最強と呼ばれる所以アル。白騎士への攻撃は全て避けられ、逆に白騎士からの攻撃は全て必中にしてクリティカル。さらに生半可な守りを軽くブチ抜く攻撃力が加わることで、一見無敵にも思える相手アルヨ」
 一見無敵――そう、白騎士が本当に無敵であり、猟兵をもってしても対処不能な相手だという訳ではないのだ。
「だけど白騎士をもってしても未来操作は絶対的ではないアル。究極の兵器だからといって決して破壊不能ではないアル。アナタ達の知恵とユーベルコードを駆使し、何とか敵の初手を掻い潜った上で有効な攻撃を与えられれば、きっと白騎士だって倒せるアルヨ!」
 精鋭猟兵をもってしても勝算は五分五分。だがアナタ達なら勝つ方の五分をきっと引き寄せられるだろうと激励する。

「白騎士ディアブロはオブリビオンとしても別格の存在アル。例えアナタ達が勝って一旦は骸の海に還したとしても、すぐに別の場所で蘇るアル。だけど短時間にそれを何度も繰り返せば――やがて力尽きて二度と蘇れなくなるアルヨ。アナタ達の力で、白騎士を根負けさせるアルヨ!」
 この戦いは、すぐさまスペースシップワールドの存亡に直結する戦いではないだろう。だが人々の存続の先で、真なる平和と尊厳を勝ち取るためには決して負けられない戦いだ。許される最大戦力を投入し、猟兵達は白騎士ディアブロに決戦を挑む。


前後
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 白騎士ディアブロは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
====================
 皆さん、初めましての方は初めまして。以前プレイングを送って下さった方は今回も御贔屓にありがとうございます。前後です。

 ついに来ました。【白騎士ディアブロ】との決戦シナリオです。相手は先に出た他のボス格にも劣らぬ強敵ですが、上記の項目をよく読んだ上で、皆さんの知恵と勇気とユーベルコードをぶつければきっと勝てるはずです。
 皆さんのプレイングに熱いリプレイで応えられるよう尽力しますので、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『白騎士ディアブロ』

POW   :    収束する運命の白光
【対象の未来位置に向け放たれるレーザー】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    ホワイトライト・トゥルーライト
【10秒先を見たかの様に的確な攻撃を行い、】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    デストロイマシン零式
戦闘力のない【66機の動画撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【正確無比な未来予想シミュレーション】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

コエル・フーチ
未来操作能力か、ただでさえ強そうだってのに
まったく厄介な能力だよ……(煙草の煙を吐き出し)
んじゃ、ちょっと未来を覆してみるか

先制攻撃のデストロイマシン零式は
【高速詠唱】で『熱線の雨』を装填した
ダブルバレルショットガン型の精霊銃、ホウセンカで撃ち落とす。
一つのトリガーを引き、『熱線の雨』の熱【属性攻撃】を
誘導弾にして、66機にの動画撮影ドローンを撃ち落としていく
ドローンが動くようなら【念動力】で動きを阻害する。

ドローンをすべて撃ち落としたら、もう一つのトリガー(トリガーが2個あります)を引いて白騎士にも『熱線の雨』で攻撃だ【2回攻撃】
【誘導弾】で熱線を集中させ、一点集中でダメージを与える。



●白騎士、顕現
「未来操作能力か、そんなものなくたって強そうだってのに。まったく厄介な能力だよ……」
 コエル・フーチ(指先の熱・f08889)は愛煙する煙草【jaeger】を吸い、煙を吐き出す。待ち構えていた猟兵達の前に骸の海より現れた白備えのウォーマシンこそ、帝国の二大巨頭が一つ【白騎士ディアブロ】。軽くコエルの十倍以上はあるその巨体に、だがダブルバレル式の散弾精霊銃【ホウセンカ】を構えた薄桃色のフェアリーは怖気付くことはない。
「んじゃ、ちょっと未来を覆してみるか」
 『厄介』という言葉は、対抗し得ぬ絶対の力に対し用いるものではない。道筋があって、されどそれが面倒な力に対し用いる言葉だからだ。コエルは【サポートウィング】に風を孕み、白い巨頭へと接近する。

「来たな、猟兵。我を倒したくば、我が『未来操作』を崩して見せよ」
 コエルの飛来と共に、白騎士の周囲の虚空より、66機もの【デストロイマシン零式】が召喚される。それらは出現すると同時に未来予想の演算を開始する。コエルもまた【高速詠唱】を紡ぎ、ホウセンカに魔力散弾【熱線の雨】を装填する。
「装填完了――熱線発射!」
 コエルがトリガーの一つを引くと、銃口の一つから赤熱する無数の光が放たれる。それらは【誘導弾】と化し、デストロイマシンを追跡する。同時にコエルは【念動力】を開放し、マシンが回避行動を取れないよう、空中に縛り付ける。放たれた【属性攻撃】が一機、また一機とマシンを撃墜し、炎上しながら墜落していく。まずは敵の先制攻撃の突破に成功した。

 無論、コエルの攻撃は終わりではない。まだホウセンカの二連砲身のもう片方にはもう一発の魔力散弾が仕込まれている。もう片方のトリガーに指を掛け、狙いを定める。発射と同時に全散弾を一点集中させ、白騎士の体を撃ち抜くのみ。
「喰らえ、これが――」
「本命の一撃だな。そしてその未来は我が手の内だ」
「なっ……!!」
 白騎士が腰に構えた大型レーザーキャノンは既にコエルに狙いを定めていた。すかさずコエルが引き金を弾くも、同時に白騎士の砲撃も放たれる。大出力の奔流にコエルは呑まれ、光に焼き焦がされながら戦場の彼方まで吹き飛ばされる。遠く離れ行くコエルが見たものは、装甲の一部が穿たれ、だが未だ完全な機能を残す白騎士の姿であった。

「我が躯体に傷を付けるとは。だが浅い。それでは我が未来を妨げるには足りぬ」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

トゥリース・リグル
アドリブ連携歓迎。

未来操作とは御大層です、ね。面白いです。

初撃及びその後の攻撃は【スカイステッパー】で縦横無尽に動き回り、【見切り+第六感+フェイント】により相手の攻撃のタイミングを少しでも狂わせ避けることを優先し、攻撃の軌道によって【ダッシュ】【スライディング】【ジャンプ】のいずれかで効率的な回避を試みる
成功したら後は攻撃に転じ、【錬成カミヤドリ】の複製ダガーと共に【鎧無視攻撃】で相手の厚い装甲の隙間をダガーで突き刺すように攻撃します
複製ダガーを囮にして僕自身が攻撃したり、逆のパターンを行ったり、囮と見せかけて直球で攻撃など、状況に応じて【第六感】で最適な攻撃パターンをその場で決めます。



●さらば、さらば――我を忘るる事なかれ
「未来操作とは御大層なことですね」
 次に対峙するのはダガーのヤドリガミ、トゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)だ。銀の髪と赤い瞳を持つ中性的な顔立ちの少女は、身軽な服装の両手にダガーを構えながら目の前の巨体を見据える。だが彼女の表情は心なしか楽しそうだ。
「面白いです」
 『帝国最強』を名乗るからには、それくらいでなくては。トゥリースは構えを崩すことなく、ジリジリと間合いを見計らう。白騎士は屹立して動かない。

「……ではこちらから攻めさせて貰いますよっ!」
 トゥリースが艦艇の床を蹴り、大地を駆ける。敵は未来操作能力の持ち主。単純な接近では先読みされるのは明白だ。【見切り】と【第六感】をフル稼働させ、計算尽くの中にランダム要素を織り交ぜながら接近する。
 白騎士は直立したままレーザーキャノンのみを構え、トゥリース目掛けて撃ち放つ。白騎士の巨体は、明らかに取り回しの悪そうな長身の銃砲をまるで拳銃を操るかのように瞬時に照準を定め、大地に次々とエネルギーの爆発を生み出していく。
 まともに受ければ一撃必殺であろうその攻撃を、トゥリースは直前で横に【ダッシュ】し、あるいは爆風の上を【ジャンプ】して回避する。フェイントが効いているのか、白騎士の攻撃はトゥリースに当たることはない。少しずつ、だが確実にトゥリースは距離を詰める。
 そしてついにトゥリースは白騎士を殺し間に捉えた。狙うは【錬成カミヤドリ】を交えた連携攻撃。まずは【スカイステッパー】で真上を取り――
 
「そのユーベルコードはよくないな。潰させてもらう」
「……え?」
 トゥリースが空気を蹴るその直前、白騎士のフォースセイバーが閃く。その太刀筋すら見えぬままトゥリースは肉体を深々と引き裂かれ、唖然とした表情のまま後方へと吹き飛ばされる。
「お前に相対した瞬間から、全て見えていた」
 淡々と語る白騎士のその一言にトゥリースは愕然とする。
 白騎士の攻撃、即ち読みを回避したことで、トゥリースは彼の未来操作を破ったのだと思っていた。だがそれすらも白騎士の手の内だったという事実に、トゥリースは驚き、そして恐怖した。
 だがそれでも。せめてカミヤドリの投射で一矢報いれれば――
「……よくない。実によくない」
 それすらも見切った白騎士は止めとばかりにレーザーキャノンを撃ち放つ。
 なにが『よくなかった』のだろうか。カミヤドリが放たれるよりも早く、正確無比にして必殺の光条がトゥリースの体を半ば消し飛ばす。後には本体であるダガーが落ちる金属音が艦内に響くのみであった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

浅川・恭介
未来を操作する、とても恐ろしい力です。
でもそれがAIの力だというのなら抗って見せましょう。
まがりなりにも僕は電脳魔術士にしてガジェッティア、その末席を汚す身なのですから。

・先制攻撃対策
敵の召喚した動画撮影ドローンにハッキングを仕掛けます。
ハッキングが完璧である必要はありません。
というかドローンの制御を完全に奪える時間があるとも思えません。
66機あるドローンの挙動を少しずつでも狂わせることが出来れば、
正確無比な未来予想も狂わせることが出来るのですから。
後は防具のガードプレートに頑張ってもらって攻撃を防ぎます。

敵の先制攻撃を防いだら反撃です。
鈴蘭の嵐でドローンを叩き落としつつディアブロに攻撃。



●チェックサムエラー
「未来を操作する――とても恐ろしい力です」
 次に白騎士に挑むのはオラトリオの少年、浅川・恭介(蕚開く・f01610)だ。小柄な背丈に透き通る肌を持ちながら、その緑の瞳は目の前の『帝国最強』を強く見据える。
「でもそれがAIの力だというなら、抗って見せましょう。曲がりなりにも、僕は電脳魔術士にしてガジェッティア、その末席を汚す身なのですから!」
 AIに抗う。その言葉に白騎士のバイザーが輝き、興味の光を示した。彼らを上回る威力と能力を誇る自分が負けることがあるとすれば、恐らくは己の持たぬ真の心によってのみだろう。果たして目の前の猟兵達は、真にそれを操り得るものだろうか。
「よかろう。なれば猟兵よ、恐れを知らぬ我が頭脳、敗北の見えぬ我が未来――打ち破ってみせよ!」

 その言葉と共に、デストロイマシン零式が再び放出される。数はやはり66機。先の戦闘で全滅した過去などなかったかのように、搭載された無数のセンサーで、一斉に恭介の未来をシミュレーションし始める。
「デストロイマシン……残せば確実に未来を操作される。されどマシンを倒すだけでは真に白騎士を穿つことは叶わない――なら!」
 恭介は手に握った多機能リモコン【サポート君2号】を操り、ハッキングツール【サポート君1号】を作動させる。狙うはデストロイマシン群、サポート君を介しそれへの【ハッキング】を開始する。無論、恭介も己に与えられた力と時間で、それら全ての制御を掌握出来るなどとは思ってはいない。故に恭介が狙ったのはデストロイマシンに膨大なノイズを放つ攻撃だ。
 だが未来操作とは高度な未来予想の上に成り立つもの。僅かな誤差で予想は不確定なものになる。ましてやそれを己が望む方向に操作するとなれば、その難易度は幾何級数的に増大する。白騎士のAIにすぐさま浮かぶはずの未来の青写真は曇り出し、曖昧なものとなる。

「……小癪!」
 恭介目掛け、白騎士が大出力にして正確無比なレーザーキャノンの一撃を放つ。対する恭介は12枚の【ガードプレート】を目の前に展開し、真っ向から攻撃に立ち向かう。淡く光るプレートが力の奔流に耐え切れず一枚、また一枚と砕かれる。
 矛と盾のぶつかり合い――それ発生した時点で白騎士はしてやられたことを悟る。完璧な演算が実現していれば、12枚全てを恭介毎一瞬で撃ち抜ける出力をレーザーキャノンは持っているはずなのだ。そう、膨大なエラーが誤り検出をも潜り抜け、結果未来にも僅かな、だが目に見えるバグを生じさせたのだ。

「各部に損傷……!」
 恭介は単に守りを固めただけではない。守りを固めると同時に彼はユーベルコード【鈴蘭の嵐】を詠唱していたのだ。そしてそれを妨害するために白騎士はレーザーキャノンを撃った――だがそれは叶わなかった。
 吹き荒ぶ花の嵐が、先程の巻き戻しのようにデストロイマシンを撃墜し、同時に彼の躯体にも次々に突き刺さる。攻撃はレーザーキャノンにも及び、恭介を撃ち貫く前に攻撃は阻止された。
「だが軽微……作戦行動、そして帝国の勝利に支障なし……!!」

成功 🔵​🔵​🔴​

緋縅・善蔵
戦いに絶対は無い
先ず疾風に搭載されてるUAVを放出し、敵の動向を逐一偵察。(技能:先制攻撃)
敵の射程はこちらより長い物と想定し、防御重視(盾受け)で射程まで接近
味方と戦線を合わせ、射程内に入ったら同時に攻撃(スナイパー)
可能な限り、敵のユーベルコードに命中しないよう動き、防御しながら行動。
敵の攻撃は絶対被弾するものと考え、防御には気を配る。
使用可能距離まで近づけたらミサイルカーニバルで飽和攻撃。
(カウンター)の発動にも期待するが、薄氷の可能性より防御を確りしなければ撃破されるものと考え行動。
近接戦闘の可能性も考え、防御には鉄塊剣を使用。直ぐに格闘戦が出来るようにも気を付ける。
指定したUCも使用


緋月・透乃
過去の残骸のようなものであるオブリビオンが未来を操るとはねぇ。

転送されたらすぐにディアブロの武器や周囲をちらちら見て、攻撃と回避先を探っているようなそぶりをしつつ、ディアブロへまっすぐ突っ込むよ。視線はそぶりだけだね。回避先にレーザーを撃ってもらえればラッキーだし、レーザーに当たるとしても結構接近はできるのではないかな?
接近できたら捨て身の罷迅滅追昇を叩き込むよ!
レーザーに当たっていても、攻撃に支障のないルールなら守りつつ攻撃、支障があるなら破って気合いでダメージに耐えつつ、一発叩き込むよ!
レーザーに当たるとしてもできるだけ接近したいのは不利なルールを受けにくくするためだね。



●象牙の塔を揺さぶる
「戦いに絶対は無い。確定した未来も、最強という称号もまた然りだ」
 愛機【疾風】搭載のUAVより敵の動向や戦況を偵察していた緋縅・善蔵(893顔特別国家公務員・f06737)は、これまでの戦いで白騎士の恐るべき強さを目の当たりにし、同時にその力も未来操作も決して『絶対』でがないことを把握していた。
 射程は絶大。狙いは必中。直撃を受ければ一撃必殺。特にこちらのユーベルコードに対しては最大限の演算能力を割いているのか、使おうとした瞬間に確実に先手を取ってそれを防ごうとする。その上からいかに攻撃を通すか――この戦いの核心を善蔵はそう結論付けた。

「過去の残滓のようなもののオブリビオンが未来を操るとはねぇ」
 グリモアによって転送された緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)が確認したのは倒すべき白騎士の位置、そして武装だ。敵の主兵装は大口径レーザーキャノンと大型フォースセイバー。白騎士の使う攻撃も恐らくそれらとユーベルコードを複合させたものだろう。
「過去は過去らしく眠っててよ。未来は――私達に任せてよね!」
「汝らが未来は、皇帝陛下の名の下に破却される。永遠の無、終わりなき眠りこそが真の救いと心得よ」
 透乃が考案した対白騎士の戦法に、無駄な時間は許されない。彼女は斧を構え、炎の如く大地を駆ける。

「透乃さん、自分も援護します!」
「ありがとね!」
 彼女の参戦に呼応し、善蔵も己の職分を全うせんと鉄塊剣【屠龍】を構えながら距離を詰める。白騎士のレーザーキャノンが別々から迫る二人を交互に狙い撃っていく。
 透乃は接近しながらもあちこちに視線を送りつつ、正面から来る攻撃のみを的確に回避し、距離を詰めていく。あくまで探るような視線は素振り。必要な情報は一瞥目で全て把握しているからだ。
 とは言え相手は仮にも自他ともに認める帝国最強のウォーマシンたる白騎士。透乃自身もあまり期待していなかった視線による牽制には引っかからず、地面に炸裂する爆風で接近を妨げる足止め攻撃を主体とし、なかなか距離が縮まらない。
 善蔵も接近を試みる。予想通りに敵の射程は長大。放たれる光条に対し、可能な限り回避を試み、極限まで屠龍への負担を減らせる体制でそれを受け止めていく。透乃ほどではないが彼のユーベルコードもまた、白騎士の重装甲を打ち破るためには距離を詰めなければならない。
「やはりな。ユーベルコード以外の行動に対してはあまり正確な予想が行えないと見える。あるいは、ユーベルコードさえ防げば後は些事とでもいうつもりか」
 しかしそれも一理あるだろうと善蔵は分析する。帝国の科学の粋を尽くしたその装甲は、恐らくユーベルコード以外ではまず破ることは出来まい。ならば唯一の『弱点』を防ぐことのみに集中し、それ以外への演算を抑えようとする魂胆だろう。

 善蔵と透乃はほぼ同時に己の攻撃の射程へと踏み込む。その瞬間、白騎士の巨体から只ならぬ気配が放たれる。
「――来る!」
 善蔵がそれを感じたのとほぼ同時に、まるで白騎士が二体に分裂したかのように、善蔵と透乃は同時にレーザーキャノンから放たれる【収束する運命の白光】によって貫かれる。
 それ自体にダメージはない。だが二人は、目の前がネガ反転したような光に包まれると同時に、体の五臓六腑から指の先々までに凍えるような空気が走る。時間が止まったような一瞬の中、白騎士の声が脳裏に響く。

「『汝ら、我を攻撃すること能わず』」

「ガハァッ!?」
 善蔵が【カウンター】気味に【ミサイルカーニバル】を放ったのはその直後だ。彼はルールを破ったことにより、体が爆発四散するような激痛と共に夥しい数の血を吐き、その場に倒れ伏す。並大抵の人間であれば幾度もショック死する程のダメージを受け、もはや善蔵は指一本動かすことは愚か、【戦場の亡霊】を放つことすら叶わない。だが、彼の全武装一斉発射は余すことなく放たれた。後は当たるのを祈るのみだ。

「そんな事言われても、もう止まれないんだからっ!」
 透乃は強大な気配を感じた瞬間、踏み込みを限界まで高め、収束する運命の白光に貫かれると同時に【罷迅滅追昇】を放っていた。善蔵に課せられた至極簡単な命令、言うなれば『目の前に車に追突するな』という命令を『止まっている車』に課したようなもの。故に契約違反が必殺の一撃と化した。
 だがユーベルコードを放つ前に、既に天翔ける弾丸と化した透乃。それの命令は、例え内容が同じであろうとも、それを『アクセル全開で突っ込む車』に課したも同然だ。彼女の言う通り、そんなことを今更言われようが透乃にも不可能だ。高まった難易度と反比例し威力は低下し、致命的ダメージを防いだ透乃のタックルが白騎士の巨体を揺らす。
「おのれ、図ったか……!!」
「骸の海で――竜巻相手に交通整理でもしてたらどうかなぁ!?」
 そして罷迅滅追昇は、タックルと斬り上げが一体化した攻撃。例え先の白光で体を裂かれるような痛みを受けようとも、タックルが入ってしまった以上実際に体が裂かれでもしない限り透乃にすら止められない。
 追加される痛みを堪えつつ、透乃は重戦斧【緋月】を振り上げる。白騎士はすかさずフォースセイバーで切り結ぶ。だが白騎士の膂力言えども、完全に『入った』一撃を止めることは叶わない。数秒の抵抗の末に腕ごと弾かれ、白騎士はその体の正面に深々と切創を刻む。

 二度の攻撃によってよろめきながら後退する白騎士。恐るべき未来操作と戦闘能力を持つ白騎士が、初めてその足をふらつかせる。そこに追撃とばかりに善蔵が放ったミサイルカーニバルが迫る。レーザーキャノンとフォースセイバーで迫るミサイルの雨を迎撃するも、戦場の亡霊に代わり善蔵の魂が込められたような決死の一撃が一発、また一発と白騎士の装甲と内部構造を抉っていく。

 爆発が収まった後には、シルエットは残しながらも所々で装甲が砕かれ、内部が露出した白騎士が体のあちこちでスパークを放つ。
「躯体中破……!? だが負けぬ……我は帝国最強、即ち銀河無敵なり……!!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

唐草・魅華音
敵が行動を予測する。それを止める術は思いつきませんが…思いついた手はありますね。予測できても、対処法が絞れれば、それをこちらが予測できれば…

相手の先制攻撃の対処方法、わたしはその位置、状態で出来る事を制限させ、それに対処できる動きを行う事、です。
【塵斥魅踏の流法】を、『敵に接近してスライディングで足元へ滑り込む→攻撃してくるタイミング予測位置を攻撃範囲に入り込んだ瞬間(10秒後を読めると分かっていればそのタイミング)に設定して腕で方向を変えて脇へ飛びのく→飛びのいた後脚力で懐へ入り込み刀で一閃する』とプログラミングして発動させるよ。


アドリブ・共闘OK


緋翠・華乃音
その未来の予測はどの程度の正確さを誇っているのだろうな。
予知であれ予測であれ未来の操作であれ、変数1つ代入し損なうだけでその式から得られる解は全く出鱈目なものとなる。

ああ、今回は狙撃手じゃなくてダガー1本だけの暗殺者として相手するから。

先制攻撃は回避を試みる。
先天的に優れた直感や視力、蓄積された戦闘経験、"瞳"や"靴"などのアイテム、『見切り』や『第六感』を始めとする各種技能、相手が人の形を取っているが故に生ずる"行動予測が可能となる"という構造的な欠陥、それらを鑑みるに十分に予測可能と判断。

此方は敵の情報を得ている。
翻って敵は――?
そう、俺のユーベルコードなど知らないだろう?
これが変数だよ。


虎熊・月霞
未来予知に近い予測能力って、ずいぶん厄介だねぇ。
『未来操作能力』なんて大層な名前も付いてるし、僕が欲しいくらいだよぉ。
まぁとりあえず頑張ってみよー。

と言ったものの隙を作らないと、どうしようもない相手ってのもあるねぇ。
うーん、ちょっと危ないけど相手の予知通りに動いてみようか。自分の見た未来に絶対の自信があるみたいだしねぇ。
相手の予知通りに斬られるか貫かれる直前に体を霞化、僅かでも硬直してくれたらその隙をついて頑丈そうな鎧装の隙間に攻撃って感じでいこう。
深追いはしないつもりだよぉ、後続の為に少しでも手傷負わせて動きを鈍らせないとねぇ。
まぁ押し切れそうだったのなら勇気を出してみるよ。

連携、アドリブ可


聖護院・カプラ
白騎士ディアブロ、デストロイマシンの申し子よ。
ウォーマシンである誼みです。その行いを改める気はありませんか?
……いえ、お互いにとって詮なきことでしたね。

戦場に『存在感』を放出し白騎士の気をこちらに引き付けます。
『収束する運命の白光』は未来偏差からの極大ダメージを与える恐るべき攻撃。
座禅体勢を取る私には避けようとする事すら叶いませんが、それで構いません。

レーザーに徳チョップを打ち当て『警策』により”因”であるレーザーと”果”である宣告効果を断ち切り無効と化すのです。
返す手刀で白騎士、貴方のオブリビオンであるから復活するという”因”と
復活した”果”を絶ちこの戦場での復活に終わりの宣告をしましょう。


アーサー・ツヴァイク
【街角】の皆と共闘するぜ、アドリブ歓迎

未来位置に飛んでくる謎レーザーね…面倒なこって
だが【レーザー】とだけなっている以上、直線でしか撃てない。そこを突いてみるか
ライドランに【騎乗】し、一直線に突撃。未来予測されるんだ、下手に動き回っても意味ねえ。相手のレーザーがきたら真っ正面から、盾モードのバスターホーンで【盾受け】する。まあ、受ける時は両手使うからライドランはそのまま飛び降りるぜ。そのまま突っ込むかもしれんがな
後は向こうが変な難癖言ってくる前にバスターホーンから手を離し、横っ飛びしながらレイシューターのフルチャージを放つ!
…つーか銀河無敵って皇帝はいいのか? ま、どうでも良いか…


アシェラ・ヘリオース
【街角】にて参加したい。

「白騎士殿は強敵だ。だが委縮も無用だ」
作戦前に礼儀作法とコミュ力で情報収集の結果を共有する。

転移後に【66機の動画撮影ドローン】が展開されるのを確認する。
展開は防ぎようがなく、放置すれば白騎士殿は無敵の騎士になる。
【黒騎招来】にて騎士ユニットを召喚。
ドローンのハッキング及び破壊を命じる。迅速に駆除しつつ、白騎士殿のシュミレーションに誤情報を与えて隙を作りたい。

「ディアブロ殿……推して参る」
私は念動力とオーラ防御に二回攻撃と串刺しを駆使し、正面戦闘だ。
共に戦う仲間は全力で庇い、鼓舞しよう。先制への防御をフォローするのだ。
長くはもたないので、勝機はハッキングの成果にある。


塩崎・曲人
【街角】で参加・連携

先制攻撃対策だが…
「気合で耐える」
以上!

避けてもその位置に飛んでくるなら
ハナから無駄な回避行動はしねぇ
最悪自分のユーベルコードを放つ為に首から上だけを守れ
声を放つまでの数秒だけ耐えればいいと【覚悟】を決める

後は旅団の仲間がなんかどうにかしてくれる
それを信じて攻撃UCを放つ方に全力を出す(【捨て身の一撃】)

攻撃は【睨撃粒子砲】を使用
さあ、「お前が今一番されて困ることは何だ!」
その高すぎる未来解析/演算能力なら
一番されて困る最適解も計算できちまう
計算できちまった以上、それを答えなければペナルティだぜ!

【アドリブ大歓迎】


ヤクモ・カンナビ
●心情
【街角】の皆々様のため、わらわも一肌脱いでしんぜようぞ
此の世界はわらわの世界ゆえ、他世界人にばかり任せる訳には参らんじゃろ?

●目的
メンカルどのの相殺成功率を上げ、最終的に攻撃の成功に繋げるぞえ

●行動
メンカルどのに先駆けて行動し、ユーベル・コードハックにて、ドローンどもをハッキングし故障させるぞえ
無論、武具の強化阻止には間に合わんじゃろうて
わらわがドローンを故障させるよりも速く、強化された武器がわらわを貫くやも知れぬ
…が、わらわはメンカルどのに『見せた』故、後はメンカルどのが上手う遣って下さる筈じゃ

若しも彼奴がメンカルどのを危険視してわらわを無視すれば、其の時はわらわが妨害を致すだけじゃの


メンカル・プルモーサ
【街角】で参加。
…白騎士、最後にして最高のウォーマシン…全力でいく……
…ドローンに対して炎や雷の術式を使って攻撃、破壊して動画の撮影を妨害…白騎士からの攻撃も術式によるオーラ防御で時間を稼ぐ…
…が、本命は術式発動時に発生する魔法陣に浸透破壊術式を仕込み…ドローンを通してウィルスに感染させ、観測データに僅かな歪みを蓄積させる…
そして、白騎士が行うであろう「歪みの修正」やヤクモが見せてくれた白騎士の行動から未来予測シミュレーションのプロセスの情報収集・解析…
未来予測による●ホワイトライト・トゥルーライトや●デストロイマシン零式を致命のタイミングで【崩壊せし邪悪なる符号】で打ち消し、隙を作る…



●イニシアチブ
「敵が行動を予想する。それを止める術は思いつきませんが……」
 桃色の髪をリボンを巻き、刀を差したスペースノイドの少女、唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)は、敵の恐るべき未来予想能力に思いを馳せる。
「例え敵が予測出来たとしても、その対処法が絞れれば。そしてそれをこちらが予測出来れば……」
 そして幸いにも、敵の迎撃手段を魅華音は把握している――レーザーキャノンによる先制射。それさえ、それさえ掻い潜れば、魅華音の流法は白騎士を断つことも叶うはずだろう。

 魅華音は相棒の【野戦刀・唐獅子牡丹】を構える。飾り気はないが質実剛健。無駄を省いた工業的な美しさを持つ一振りを構え、白騎士へと走り出す。白騎士は屹立したままレーザーキャノンを連射する。魅華音は長い髪を翻しながら、攻撃を左右に回避していく。激しい弾幕の中、魅華音は距離を詰める。
 やがて距離を詰め――彼女の使うユーベルコード【塵斥魅踏の流法】の間合いまで詰め寄る。自身の動きを一つの舞いの如くプログラミングすることで、それらを流れるように、そして一糸乱れぬ正確さで繰り出すものだ。敵に接近し【スライディング】で足元に滑り込みつつ攻撃に合わせて回避、そしてすかさず刀で一閃する――攻防一体の動きによって敵に一太刀を浴びせる作戦だ。

 ついに間合いに踏み込む。直前に放たれた一撃も回避に成功し、ユーベルコードを後は発動するのみ。
「我はこの戦場で塵と斥け舞い踊る……流法、塵斥魅――」
「そこだ」
 今までにない速度で放たれた閃光が、瞬時に魅華音を貫く。【ホワイトライト・トゥルーライト】が示した的確な攻撃のタイミング、それはユーベルコードの発動直前であった。
 回避する間もなく放たれた、一瞬にして必殺の一撃。地面を打つ爆轟が魅華音を吹き飛ばし、宙へと舞い舞い上げる。激痛と愕然の中、今までにない最悪の空中体験を味わった後に、彼女は地面へと叩きつけられる。
「汝が流法、確かに発動さえすれば我と言えども捉えられぬだろう――故にその前に封じさせてもらった」
 仰向けに倒れた魅華音は、再び立ち上がろうとしたが、それすらも叶わなかった。

「確かに未来を予想出来るだなんて恐ろしいな。だが、その未来の予想はどの程度の正確さを誇っているのだろうな」
 蝶の如く美しい色、猫の如くしなやかな体を持つ緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)はその冷たい瞳を白騎士の割れたバイザーに向ける。真に未来全てが知れるのであれば、あのような損壊など生じはしないだろう。つまり、それは決して完全無欠なものではない。
「予知でも予想でも操作でも、変数一つ代入し損なえば、解は全く出鱈目なものになる……そうだろう?」
 華乃音は一本のダガーを構え、顔の前に翳す。白騎士の返答はない。
 彼の武器はその短刀、そして『変数』だ。此方は今までの戦いで、敵から多くの手の内に引き出すことに成功している。翻って敵は? そう、こちらのユーベルコードを知らない。それこそが、目の前の白き機械巨人を倒し得る『変数』になる。華乃音はそう確信していた。

「行くぞ」
 華乃音は駆ける。己の身体能力、直感、経験。磨き上げられた数多の道具の力をもってすれば、そして相手が人の形を取っているが故に生ずる欠陥をもってすれば、こちらだって未来予測が出来ない道理はない。
 敵のレーザーキャノンが閃く。攻撃が来た。今だ。華乃音はユーベルコード【王は途方に暮れた】を発動する。24分の1秒の速さで瞬時に敵の背後を取り、そしてダガーの一撃が背中を断ち切る――はずだった。
 
「チェックメイトだな」
 その言葉を語ったのは華乃音ではなく、白騎士だった。華乃音の体を、白騎士は向きすら変えぬままフォースセイバーの双刃の背で突き貫く。トゥルーライトは10秒先の全てを視る。攻撃はおろか、回避行動に至るまでも見通すことで、白騎士は華乃音の回避と回り込みを予想した上で、さらに攻撃を重ねたのだ。
「認めよう。我が予想は絶対に非ず。変数一つ代入し損なえば、我とてそれを見誤るだろう――されど、汝のそれは変数と呼ぶにはまだ足りぬ」
 ダガーを取り落としながら足掻く華乃音に、白騎士は一瞥すらせずフォースセイバーを握る手を捻る。貫かれた華乃音は投げ飛ばされ、地面へと転がる。そして右耳を飾る十字架が虚しく音を立てると共に、華乃音の意識は闇に沈んでいく。

「未来予知にも近い予測能力って、随分と厄介だねえ。『未来操作』だなんて大層な名前も付いてるし、僕が欲しいくらいだよぉ」
 グリモアの能力がこういう戦闘中にも使えたらなあ、とぼやくのは虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)。黒と金の二色で構成される特徴的な髪型に、ハイカラな雰囲気の衣装を纏う少女だ。とは言え、ないものねだりをしても仕方がないことは月霞もまた分かっている。とりあえず頑張ってみよー、とゆったりとした構えで自身の背丈にも近い剛刀【童子切・鬼血】を引き抜く。
「とは言ったものの、隙を作らなきゃどうしようもない相手ってのもあるし、どうしようねぇ」
 月霞は思案する。単純に力押しが通用する相手ならば白騎士だの、帝国の二大巨頭だの、未来操作能力の保有者だのとは呼ばれたりはしない。そして相手は己の見た未来に絶対の自信を抱いており、現にそれらの攻撃はまさに見計らったようなタイミングで叩き込まれる、必殺の一撃だ。

「うーん、ちょっと危ないけど、相手の予測通りに動いてみようかっ」
 月霞はゆらりと、されど隙のない流れる風のような歩みで白騎士へと迫る。深追いはせずとも、後続の猟兵達のために少しでも手傷を負わせたい。それによって動きを鈍らせれば、いくら未来が予知出来ようと、操作が追い付かなくなるという事態だって作り出せるはずだ。
「さあ来ーい。僕がやられる未来が見えてるんだろぉ? その通りに撃ってみろー」
 白騎士は黙して語らず、ただレーザーキャノンを構え、そして撃ち込む。月霞の作戦は単純明快だ。敵の必殺の攻撃に合わせ、ユーベルコードを発動する。それによって身体を霞化するしてレーザーキャノンを回避、硬直の隙を付いて鎧装の隙間から敵に攻撃を加える作戦だ。

 そして月霞はレーザーキャノンに呑まれる直前、【霞流転在】を発動しようとした。だが瞬時に踏み込んだ白騎士のフォースセイバーによって、霞化よりもさらに早く宙へと打ち上げられた。
「えっ、うそ……」
「その霞化すらも見通していた、と言ったら?」
 月霞は血の霞を散らしながら吹き飛ばされ、天井に叩きつけられた後に地面へと落下する。端的に語る白騎士の言葉こそが、月霞の唯一の誤算、そして敗因であった。

 僅かな時間で三人もの猟兵が叩き伏せられた戦場。だがそこに、白騎士をもってしても尋常ならざると感じさせる【存在感】を示す者が召喚される。
「白騎士ディアブロ、デストロイマシンの申し子よ。ウォーマシンである誼みです。その行いを改める気はありませんか?」
 その存在感の主は、聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)。座禅体勢を取りつつ、白騎士に戦いの中止を語り掛ける。
「残念だが、我が心は帝国、そして銀河皇帝に全て捧げたものなり。我は善悪を判ぜず、ただ皇帝の牙爪なり。そしてオブリビオンは決して改められぬ存在なれば」
「そうですか……お互いにとって詮なきことでしたね」
 カプラも最初から説得が成功するとは思ってはいなかった。帝国もオブリビオンも、ある意味で誰よりも強い信念を持つ存在。それ故に過去ならざる現代、そして未来さえも己の色に塗り替えようと試みるのだ。

 カプラは思案する。恐らく白騎士が撃ち放とうとする攻撃は【収束する運命の白光】。未来偏差によって必中を誇り、そして契約によって使用者を縛るユーベルコード。座禅を組むカプラに回避は叶わないが、白騎士のユーベルコードは元より回避も阻止も不能。なれば、使われることを前提に動かねばならぬ。
 カプラは座禅のまま、手刀を振り上げる。彼が放つは【警策】。敵の因たるレーザー照射、そして果たる宣告効果を断ち切り無効化する――つまり、ユーベルコードにユーベルコードをぶつけ相殺することを図った。白騎士がレーザーキャノンを向ける。カプラもまた、徳チョップを振り下ろす――

「『汝、その腕を振るうこと能わず』」
「……!!」
 白騎士が放つ白光は一瞬にしてカプラを撃ち抜く。チョップはそれを打ち消すことは愚か、当てることすら叶わなかった。それは言うなれば、因果に割り込むかのように放たれる一条の光だ。
「ユーベルコードは未来操作をも打ち破る恐るべき技。されど些か『遅すぎる』」
 白騎士は猟兵のユーベルコードに先んじて攻撃をする。故に尋常の方法で打ち合うことは決して出来ない。その事実を冷厳に、そして実例をもって白騎士は告げた。
 だが、カプラはなおも食い下がる。なれば断つべき因果はかの白騎士。その復活と暴威をここで断つべし。カプラは契約で封じられているのも構わず【警策】を放つ。だが振り下ろす度にカプラの躯体はズタズタに引き裂かれ、徳チョップの軌道が物理的に歪んでいく。渾身の力で放たれたそれは、だが白騎士の脇を掠めていき、彼を穿つことは叶わなかった。
 カプラは座禅を組んだまま、もはや指一本動かすことも出来ない状態にまで大破した。どれ程の存在感を示していても、もはや戦闘不能のカプラに白騎士が興味を示すことはなかった。

●ラプラスの魔は……
「白騎士殿は強敵だ。だが委縮も無用だ」
 黒備えの麗しき女性騎士、アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)。彼女は未だ目の前に屹立する白騎士を倒すため、自身を含めた【街角】メンバー全員が情報収集の結果を共有出来るよう、作戦前に準備した上で転移する。
 彼女達が白騎士を詰められなければ、この戦場での作戦は失敗だ。白騎士の力を減ずることが出来ぬまま、骸の海に逃れられることになるだろう。メンバーはアシェラを含めた五人で構成される。
「……白騎士。最後にして最高のウォーマシン……全力でいく……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)。【魔法学園服】の上にローブを羽織った、ボサボサの髪に眠たげな瞳を持つ少女魔術士は、少ない言葉で敵の脅威、そして自分達の勝利を誓う。
「……つーか銀河無敵って皇帝はいいのか?」
アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)。赤茶色の髪に赤いマフラーを巻き、槍の如くフォルムの先端に竜頭を持つ大型バイク【ライドラン】に【騎乗】した青年は、白騎士の発言が聞き捨てならぬものではないかと疑問に抱く。
「ま、どうでも良いか……そんな事より、未来位置に飛んでくる謎レーザーね……面倒なこって」
「要は避けた先に飛んでくるから、ハナから回避行動は無駄ってことか」
 アーサーの言葉に付け足すように核心を突くのは塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)。彼を形容するならば、目つきの悪い、そしてスゴイ髪のチンピラだ。彼の言うように、回避の前に攻撃が飛んでくるという恐るべき性質故、白騎士を傷つけるためには、その攻撃を真正面から受け止めた上でさらにこちらの攻撃を成功させねばならないのだ。
「ここに集いし皆々様のため、わらわも一肌脱いでしんぜようぞ」
 ヤクモ・カンナビ(スペースノイドのサイキッカー・f00100)。民族風の衣装を羽織った皮膚の表面に、青いスペースシップワールドの紋が浮かんだ乙女だ。その古風な言い回し、そして落ち着いた物腰故、彼女は実際の年齢よりもさらに大人びて見えた。
「此の世界はわらわの世界ゆえ、他世界人にばかり任せる訳には参らんじゃろ?」
 世界を股にかける猟兵といえども、誰もが部外者という訳ではない。己の世界を守るために戦う猟兵もまた存在する。そしてヤクモもまた、その一人だ。
「そして白騎士殿……此処はおぬしらの世界でもあらぬ。あるべき場所へ帰られよ」
 ヤクモ達の目の前に立ちはだかるのは、とうに滅び、棄てられた過去を蘇らせようとするもの。否、棄てられた過去そのものだ。それが今を生きるものを脅かすのであれば、誰であろうと戦う。それこそが猟兵なのだ。

「白騎士ディアブロ殿……推して参る」
 そしてアシェラが赤黒の刀身を持つ【ダークフォースソード】の切っ先を、目の前の敵へと向ける。
「……よかろう。汝らの弱力、愚勇、そして稚智……全ては無為と知れ」
 白騎士もまた両刃のフォースセイバーを地面に立て、胸の前で組んだ手の指を鳴らす。白騎士の周りより再びデストロイマシン零式が丁度66機召喚され、勝利の未来を確定させるための演算を開始する。
 今までの戦いで、あの動画撮影ドローンの展開が決して防げないことを把握している。それは放置すればすぐさま猟兵を倒すための演算を完成させ、あらゆる攻撃は必中必殺となり、猟兵からの攻撃は一切無効――文字通りの無敵状態に陥るだろう。そうなれば今度こそ猟兵達の敗北は確定する。
「【黒騎招来】――来たれ闇鋼の騎士、敵の未来を曇らせよ!」
 その掛け声とともに、総勢100体もの戦闘ユニットが召喚される。それらの標的はデストロイマシンだ。アシェラをミニチュア化したような黒騎士達が天に浮かぶマシンを次々に撃墜していき、迅速な駆除が白騎士の絶対未来視の精度を低下させていく。
 しかしそれで全てを撃墜出来た訳ではない。白騎士もまたレーザーキャノンで猟兵達を狙い撃ちながら、フォースセイバーで撫でるようにアシェラのユニットを撃墜していく。さらに恐るべきことに、全滅まで残り僅かという所で、白騎士は再び指を鳴らす。アシェラが破壊したはずのデストロイマシンが、全機元通りに再召喚――復活したのだ。

 通常であれば愕然するような情景、だが彼らにとってそれは予想の範疇だ。復活直後のマシンが、急に痙攣したように空中で震えだし、次々に故障により機能停止を引き起こす。ヤクモの放った【ユーベル・コードハック】――サイキックで編まれた無効化プログラムが、宙に浮くマシンを侵食していく。
 迅速かつ執拗なまでのデストロイマシン対策により、白騎士はドローンを用いた未来予測――即ち、武器や装甲の絶対最適化という手立てを大きく封じられることとなる。とは言え、これで勝利という訳ではない。ここまでして、猟兵達は漸く勝負という土俵に登れるのだ。
「無論、白騎士殿が再び指を鳴らせば、再び復活するじゃろうて」
 ヤクモは脳裏に感じた懸念を口にする。幸いにも、現状武具の強化阻止は間に合っている。だがこのまま召喚され続ければやがてこちらの妨害も追いつかなくなるだろう。
「わらわは『見せた』。故に、後はメンカル殿が上手う遣って下さる筈じゃ」
 そう。ヤクモの目的はデストロイマシンの妨害だけでなく、白騎士にデストロイマシンの発動を強要させ、手の内を衆目に晒すことだ。ユーベルコードの中には、相手が手の内を晒せば晒す程に成功率が上昇するものがある。そして白騎士言えども、ユーベルコードという手の内を晒すことなしに、猟兵のユーベルコードを止めることは出来ない。

 そしてヤクモの予想通り、今度はメンカルに対抗するために再々度デストロイマシンを再構築しようとし、何としても未来を確定させようと試みる。
「――解れ、壊れよ」
 だが今度は撃墜でも故障でもなく、ユーベルコードという情報そのものを分解する魔術が放たれ、それらを受けたマシンが忽ち消滅する。メンカルが歌うように唱えた【崩壊せし邪悪なる符号】によるものだ。アシェラやヤクモを介しその生成を『見ていた』ことで、それらは殆ど未来操作を行うことすら叶わず瞬時に消滅する。
 さらにメンカルは残るドローンに対し、宙に魔法陣を浮かべ炎や雷の術式を放ち、残るマシンを損壊させながら撮影を妨害していく。一見するとそれは徹底的な対デストロイマシン対策にも見えるが、メンカルにはもう一つの思惑、否、本命の目的があった。
 メンカルは術式には浸透破壊術式【ベルゼブブ】を仕込んでいたのだ。それは言うなれば、光学感染のウィルス。ドローンにそれを『視せる』ことによってウィルスに感染させ、観測データに歪みを蓄積させ、未来を歪ませる。さらには歪んだ未来を修正するプロセスを解析し、そこにヤクモや他の――【街角】ならざる、そしてこれまでに倒れていった仲間の猟兵達が命懸けで齎した行動データを合わせ、白騎士に対し逆に未来予知を掛ける作戦だ。
 ベルゼブブは順調に感染を始めている。ドローンの誤情報が白騎士を歪ませ、あわよくば白騎士自体にウィルスを感染させる――

「……ほう。そんなに怖いか。汝ら自身の未来を知られることが! 倒れ伏すあの仲間達の二の舞になるのが!」
 白騎士の声が響くと共に、フォースセイバーが一閃される。ただ一振りで、アシェラの戦闘ユニット全機が、ウィルスに感染した、あるいは無事な残るデストロイマシン全て諸共撃墜する。
 メンカルの抑揚の少ない表情が、愕然したものへと変わる。まさか、こちらの思惑に気付かれたのか。
「汝らに敗因があるとすれば、まさしくその怯懦なり! マシンの補助など不要――こちらから行くぞ!」
 今まで自ずからは動かなかった白騎士が、猟兵目掛けて強襲する。狙うはマシンの妨害を試みる三人。ユーベルコードが効かぬなら、通常攻撃で排せばいいとばかりにフォースセイバーを構え切り込む。その中破した巨体からは想像も付かぬ機動力で迫り、三人をまとめて薙ぎ払おうとフォースセイバーを振りかぶる。

 だがその刀身に立ち塞がるように赤い影が現れる。それはライドランを駆るアーサーだ。赤と青、二つの光が衝突し一点で静止する。
「やっぱマシンの補助はいるんじゃねえか? 現に、こうやって攻撃を防がれてるじゃねえか――!!」
 アーサーはライドランの上で、名前のに違わぬ一角獣の角を持つ【バスターホーン】を構え、フォースセイバーを受け止めている。彼が指摘する通り、完全な演算を実施していれば、アーサーが防ぐ間もなく四人まとめて両断されていただろう。猟兵達の作戦により、恐るべき絶対者をついに対等の地面に引きずり下ろしたのだ。
「我は帝国最強――銀河無敵の武なり!」
「だからそれ、皇帝差し置いて敵無しとか名乗るの不敬じゃ……うおあっ!?」
 されどなお相手は白騎士、アーサーの決死の防御は長くは持たない。数秒の鍔迫り合いの後、アーサーは咄嗟にバイクから横に飛び降りる。直後、バスターホーンとライドランがフォースの刃に両断され、爆散する。アーサーは転がりながら白騎士の間合いから離れていく。

 さらに今度は曲人が動く。狙うは【睨撃粒子砲】の発動だ。白騎士はデストロイマシンなしでも高い未来解析・演算能力を持ち合わせる。もしそこで『自分が一番されて最も困ることは』と聞けば、どうなるか。そう、白騎士は最適解をいとも容易く算出出来る。白騎士のあまりにも高い能力故にそれはごく『簡単な質問』、故に虚偽や無回答は多大なダメージとなる。逆に正答してもまた、極限の戦いにおいてそれは白騎士を牙城を突き崩す一角となる。決まればこの勝負を決定付けられる。
「教えてやろう……そのユーベルコードだ」
 そう、あくまで決まればの話だ。そして白騎士には敵のあらゆるユーベルコードに先んじられる必殺の【ホワイトライト・トゥルーライト】がある。その演算は、曲人への即時攻撃を最適解とし、彼目掛けてレーザーキャノンの照射が襲う。
 だが、曲人の目の前にはアシェラが立ち塞がっていた。曲人がユーベルコードの兆候を見せれば必ずや妨害すると踏み、彼を庇うように【念動力】と【オーラ防御】を展開していたのだ。
「そのレーザーは直線でしか撃てないんだよな! そうじゃなきゃ最初から曲人に直接当ててる!」
 地面に屈みながらアーサーがその攻撃の弱点を指摘する。
「……それで? それがどうしたと言うのだ!」
 無論、白騎士もアシェラの姿が見えていなかった訳ではない。最初からアシェラごと撃ち抜くことを最適解とし、真っ直ぐに照射したのだ。そして事実、激烈な出力に晒され、アシェラの体がレーザーの射線から弾き飛ばされそうになる。
「曲人さん……あなたなら……」
 ついに照射に耐え切れなくなったアシェラが吹き飛び、トゥルーライトの射線に曲人が晒される。だがそれと同時に曲人はメンチを切り【睨撃粒子砲】が発動する。見上げる白騎士の割れたバイザーを、殺気の光線が打つ。
「だが汝、我に問う事は能わず! そのまま焼け死ね!!」
 白騎士の言うように、トゥルーライトの照射を今度は曲人が襲う。未来予想は示す。彼は問いを投げかける前に焼き焦げ、消滅すると。しかし曲人もまた耐えながら独り言ちる。作戦? 対策? んなものねえ。後は気合いで耐えるだけだ。ユーベルコードを放ち、その後声を放つまでの数秒を耐えれば勝ちだと。
 旅団の仲間がそれまでの時間を、なんとかどうにかして稼いでくれる。そして俺が耐えて、ユーベルコードを叩き込めば、後は残った味方が必ずや倒してくれる。仲間を信じるその【覚悟】が、本来耐えられぬはずの攻撃に耐え、起死回生の【捨て身の一撃】を導き出した。
「『お前が……今一番されて困る事は……何だぁ!!』」
 直後、曲人もまた奔流に吹き飛ばされ、遥か彼方へと吹き飛ばされる。一命は取り留めたものの、もはやこの戦場への復帰は不可能だろう。だが歪む世界、薄れゆく意識の中で曲人は勝ち誇る。
「答えなければペナルティだぜ……!」

「貴様ぁ……ぐぅ!?」
 睨撃粒子砲が完全に入った白騎士、その躯体が急速に崩壊を始める。既に自分にとって最も脅威となる事態の算出が完了した。故に回答を保留すれば、白騎士は『それ』を待つことなく崩れ落ちることだろう。
 装甲が弾け飛び、あちこちで機構が爆発する中、白騎士は『それ』を防ぐため、レーザーキャノンを向ける。その標的は【レイシューター】のチャージを開始したアーサーだ。
 白騎士は砲身から【収束する運命の白光】を放つ。意趣返しとばかりにアーサーに契約を強要する、防御も回避も不能なる一撃が閃く――はずだった。だがそれはアーサーの目前で分解され、無効される。二つのユーベルコードが、白光を打ち消しているのだ。
「わらわを無視するとは、いい度胸じゃの」
 ヤクモのユーベル・コードハックが白光の力を無効化し。
「予定は狂ったけど、十分な情報が収集出来た。タイミングさえ分かれば、攻撃を防ぐのも容易」
 メンカルの【崩壊せし邪悪なる符号】が白光それ自体を分解していく。
「お、おのれぇ……!!」
 繰り返される予想外の事態に、白騎士は驚愕を隠せない。だが白騎士単体での未来予想は既に結果を予想している。アーサーに契約さえ成立すれば勝利が確定する。例え彼がユーベルコードを放とうとも、自身を焼き尽くすほどの熱量を放つ前に契約違反で死ぬからだ。そして残るヤクモとメンカルに、己を貫く攻撃手段は存在しない。故に白光を通せば。否、白光は通る――
 だが、つい今しがた、その予想を信じ『確定』の攻撃を失敗させたのは誰か? そこに思い当たり、白騎士は照射を続けながら、危険性を承知で一度はデストロイマシンを再構築する。確実に勝利、即ち未来操作を実現するための方適式を展開する。

「……バ、バカな……ブラックアウトだと!?」
 デストロイマシンが示した絶対的な未来は、あまりにも無情なものだった。即ち、逃れられぬ死。白騎士に絶対の勝利を齎してきた未来を視る装置が、その敗死を不可避だと示す。即ち、白光はヤクモとメンカルに妨げられ通らぬ。トゥルーライトも、ユーベルコードならざる通常射も同様だ。そしてデストロイマシンによる最適化も、フォースセイバーによる接近戦も、もはや『それ』には間に合わぬ。つまり、もはや白騎士にアーサーを止める手立てはない。詰みだ。
「『その攻撃をやめろぉぉぉぉ!!』」
 崩壊していく躯体の中で、白騎士はついに『答え』を告げる。だが全ては遅すぎた。
「……やめるかよぉぉぉーーーー!!」
 戦場に響き渡る咆哮と共に、満を持してアーサーの【レイシューター・フルバースト】が放たれる。怒涛の如くソーラーパワーの奔流が、アーサーを狙い続けた白光を、66機のデストロイマシンを、そして白騎士を飲み込み、焼き尽くしていく。決着だ。

 フルバーストが放たれた後には、白騎士が屹立していた。だがそれは言われれば辛うじてシルエットから推測出来るといった程にまで焼き焦げていた。
「見事だ……猟兵……だが次は負けぬ……皇帝陛下……万歳!!」
 レーザーキャノンを構えたままの姿で往生した白騎士は、もはや原型すら保てなくなり、その場で崩れ落ちる。そして残骸は忽ち黒い霧と化し、白騎士は骸の海へと還っていく。恐らくはすぐさま次の戦場に現れ、また別の猟兵達相手に暴威を振るうのだろう。
 だが少なくとも、この戦場において猟兵は白騎士を打ち負かした。そう、勝利を掴み取ったのだ。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月21日


挿絵イラスト