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第二次聖杯戦争②〜その慢心を打ち砕け

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #背徳のラダガスト

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「素晴らしい……これが、オブリビオン!」

 その男は、蔑みの笑みを浮かべて独り言ちた。その視界には夥しいオブリビオンの群れ。

「この圧倒的な力があれば、フェンリルの指揮権をあの巫山戯た存在に奪われたのも些細な事だ!」

 全てを蔑む笑顔で、男は大仰に言う。既に己には勝利しかないという自信が男をさらに饒舌にする。

「過去なぞ知ったことではないが、銀誓館の能力者共より厄介な戦力なぞそうそう湧いてくるものでも無かろうよ」

 手にした槍を振るうと、群れは男の意を汲み粛々と散開していく。

「さあ、かかってくるが良い、猟兵共!
 この俺の勝利を飾るがいい!!」



「……この1年で、そこそこの人数の能力者が、猟兵になってるんですけどねぇ」

 神塚・深雪(光紡ぐ|麟姫《りんき》・f35268)は、ため息混じりにそう言った。

「新年早々の|横スクロール《謎の妨害》を経て、戦争が始まっていますね。
 しかも、我等が|銀の雨降る世界《シルバーレイン》で」

 年末年始位は家族水入らずで過ごしたいのに、などとぼやいた後。

「あの頃能力者だった方なら覚えてらっしゃいます?」

 背徳のラダガスト。己が生き延びる為に異形に従った男。

「過去の戦争で、異形に抵抗せずに屈していた人狼騎士です」

 異形。生命の敵。猟兵達にはドクター・オロチの同族と言う方が早いのかもしれない。彼等がいち早く人狼達を配下に収めた時に、自らの意思で生き延びる為に配下に屈したのだという。

「過去の戦争で倒された彼が、オブリビオンとしてこの世界に滲出してきました」

 しかし、そうして現れたラダガストは、当時とだいぶんと異なるのだという。

「ビジュアルが、イケメンなのはそのままなんけどねぇ……」

 まあ、伴侶には負けますけど と、さらっと笑顔でのろけを挟んだ後、深雪は真面目な顔に戻る。

「過去の記憶が欠落しているラダガストは、こちらが本来の性格かどうかはわかりませんが、非常に傲慢で好戦的な性格になっています」

 当時の彼は、どちらかというと「長いものに巻かれろ」といった側面があったが、むしろ逆といったところか。

「その分、ご自身に大層自信がおありのようです。
 先程も触れた通り、猟兵の事を能力者より下にみておられるようですし」

 過ぎる程に自信を持ってしまったが故の慢心。そこが突破口なのだと深雪は語る。

「能力者だろうと猟兵だろうと、そもそも銀誓館関係者なわけですよ。舐めすぎです。なので」

 ――全力で、ふんじばってきてくださいね。

 何故かとても晴れやかな笑顔で深雪はそう言って、一同を送り出した。


白神 みや
 本年もよろしくお願いいたします、|白神《しらかみ》です。
 きちゃいましたね、銀雨戦争。繁忙期と相談しながら頑張りたい所存……と、いいつつ初っ端からいろんな意味で出遅れ気味に、ラダガスト戦をお送りします。

 自信満々自意識過剰ウエメセな(誰もそこまで言っていない、多分)ラダガストの慢心を突いて戦うのがプレイングボーナスとなっております。
「そのキレイな顔をフッ飛ばしてやる!!」的な思いを込めたプレイング、お待ちしております。

 ……もふくない?
 その代わり|マスコメ《ここ》がカオスということで、ひとつ。

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 今回は、公開後即受付開始で、最少人数進行です。4日までは随時執筆予定。
 期間中にいただいたプレイングで進行予定です。
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第1章 ボス戦 『背徳のラダガスト』

POW   :    背徳の十騎士
常識的な行動を囁く【生前の自分の幻影】と、非常識な行動を囁く【『ドクター・オロチ』の幻影】が現れる。[『ドクター・オロチ』の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
SPD   :    旋律のヴァンパイアハンター
【召喚したゴーストウルフ】と合体し、攻撃力を増加する【人狼騎士の咆哮】と、レベルm以内の敵を自動追尾する【十字架型の紋様】が使用可能になる。
WIZ   :    呪装ライカンスロープ
【無敵の狼獣人】に変身する。変身後の強さは自身の持つ【勝利への確信度合い】に比例し、[勝利への確信度合い]が損なわれると急速に弱体化する。

イラスト:木田

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『あんまり、俺たちを・・猟兵をなめんな!!』

【戦闘知識】で相手を見極め、【残像】と【フェイント】を織り交ぜながら突撃するぜ!!
力を手にして慢心してるようだから気づかれないように武器に【オーラ防御】を多層にかけて、【武器受け】と【見切り】で攻撃に対処するぜ!!
【怪力】での【鎧砕き】とアサルトウェポンでの【制圧射撃】の牽制で攻め、ユーベルコード【秘剣・神殺し】を叩き込むぜ!!




「あんまり、俺たちを……猟兵をなめんな!!」

 得た力による慢心と蔑みを笑みに刻み付け立ちはだかるラダガストに向けて、そう吼えながら地を蹴ったのは、ガイ・レックウ(|明日《ミライ》切り開く|流浪人《ルロウニン》・f01997)。

「ははは! 過日の銀誓館の能力者共に比べれば!」

 ラダガストはガイの振るう刀を受け流して、ガイから距離を取る。

「さあ、来い。ゴーストウルフ!」

 喚び出したゴーストウルフの背に乗ったラダガストが、槍を振るい咆哮をあげると、その身の丈程の十字架が出現し、ガイに向かって飛ぶ。

「なめんなって、言ってるだろう!」

 ガイは十字架を刀でいなすと、携えていたもう一つの刀を抜き放つ。いなした十字架が追尾し襲い掛かってくるが、時に見切り、武器で受け流しながら、ガイはユーベルコードを発動させる。

「『神を斬り、全てを断ち切る我が秘剣…受けてみろ!!』」

 二刀が纏うオーラが巨大な光の剣の形をとり、ラダガストへと振り下ろされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
追尾持ち相手じゃあ、相討ちも覚悟しないとかな…

翼の【空中戦】と地上戦を適宜切り替え駆使して
★杖を盾代わりに受け流し防御と回避主体
更に【誘惑】を乗せた【歌唱】にさり気無い【催眠術】を乗せて
攻撃を引き出しながら少しずつ追い詰められている【演技】

実際物理は苦手ですしね
最悪武器自体も吹っ飛ばされる覚悟で

銭湯に余裕を感じて凝った作戦なんて要らないと思ってくれれば
僕にトドメを刺しに突っ込んできてくれれば
そこが反撃のチャンス

【高速詠唱、多重詠唱】で【彩流星】発動
指先から追尾型の、水と雷を重ねた他属性魔法を放出
単純な火力と感電の【範囲攻撃】で

こまるのは子どもになっちゃうことかな…
拾ってもらえるまでかくれてよう




(追尾持ち相手じゃあ、相討ちも覚悟しないとかな……)

 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、翼をはためかせ空をからラダガストを見据えながら思う。元々物理攻撃や近接攻撃を得手とはしない澪は、先ずは空中から様子を伺うことにする。

「なんだ、自ら攻撃することも出来ない腑抜けか! ならば此方から行こう!」

 そんな澪の偵察を察知したラダガストが、蔑みの笑みと共に槍を向けた。対する澪は、その笑みを受け止め見つめ返し、手にした杖を握りしめる。その髪を彩る金蓮花が澪の心を映すように揺れた。

「ッハハハ! 防戦一方か!」

 ラダガストが繰り出す槍の連撃を、澪は手にした武器で、時に受け流し、時に防御をし、いなそうとするが、じりじり追い詰められていく。
 そのうちに、澪の手から杖が弾き飛ばされた。アスファルトの地面を杖が転がっていく。

「そら、丸腰だ!」

 武器を無くした澪に勝利を確信したラダガストが澪を仕留めようとしたその瞬間。

「……ただ攻撃するだけが、作戦なんて思ってほしくないかな」

 それまでの気弱に防御に徹していた様から、澪の様子が変わる。掲げた指先から、煌めく流星のような魔力がラダガストを射貫く。

「貴様……!」
「演技だって、搦め手だって、作戦のうちだよ」

 手痛い反撃を受けたラダガストは、体制を立て直すために澪の前から一旦退いた。姿を消したことを確認した澪は、安堵の息をつく。連撃をいなす間から、息遣いに誘惑と催眠術を乗せた歌を隠し戦うことで、ラダガストの判断力を鈍らせ、かつ、ユーベルコードの反動で幼児の姿になったことを偽装していたのだ。

(|彩流星《クロレメテオール》は強力なんだけど、こまるのは子どもになっちゃうことかな……)

 この姿では戦闘もままならない。誰かに連れて帰ってもらえるまで、建物か路地裏にでも姿を隠していようと、澪は周囲を見回した。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリルーン・アーンスランド
キアラさま(f11090)と参ります

ご相談しなよやかな手弱女を装いますわ
戦闘にも夫からのドレスにて
キアラさまはよりお可愛らしゅうございますゆえ
勝手に侮ってくれましょう
そしてフルボッコ致しまして深雪さまにご報告を(にこにこ)

「さぁ猟兵が倒しに来ましたのよ!」

恐らく嘲弄と増上慢の罵声が飛びましょう
わざとわたくしキレたように見せ
遮二無二攻撃を行い近づきますわ

わざとあわや、としましたところで
メガリス・さまよえる舵輪を詠唱

UCとしては制約を受けそうですが
大きなロボさまからのライトニング・フォーミュラは
さぞ恐ろしく意外にて虚脱を招きましょう
それこそが勝機

「いざキアラさま!止めを!」
お顔を狙いあそばしませ!


キアラ・ドルチェ
シリルーンさん(f35374)と事前相談し弱く見せ油断させる作戦展開

「何ていう風格…あれが背徳のラダガスト!」(恐怖に慄いた顔

両手に一対のスティレットを構え相対
敢えて相手の攻撃を受け流すのに集中し、劣勢を演じます
「何て槍捌き…! これが人狼十騎士の実力…!」

…そして調子に乗らせ油断した所をシリルーンさんと連携し
【暗殺】で一撃
魔法的追尾紋付与!
「油断しましたね、これで貴方は私の刺突から逃れられないっ♪」(あっかんべー

「大体フェンリルの指揮権奪われた所から、ダメダメじゃないですか」
「首から上以外は要りませんね。顔もシリルーンさんの旦那様に比べれば微妙だしっ」(言葉責め

「はいっ、シリルーンさん!」




「何ていう風格……あれが背徳のラダガスト!」

 キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)が、対峙したラダガストの姿を目にし、声を震わせた。寄り添うように共に立つシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)も、唇を引き結びラダガストを見つめる。

「小娘二人か……銀誓館の能力者であればいざ知らず、猟兵程度であれば、今の俺の敵になど!」

 対するラダガストは、可憐な少女二人――方や成人女性であるのだが――が己に恐れ戦きながらも対峙する姿に、仄暗い愉悦を覚えながら優越感を笑みに刻んで槍を振るう。

「シリルーンさんっ! ここは私がっ!」

 そう言って前に躍り出たのは、神護る為に創られた十字剣を手にしたキアラ。槍の猛攻を武器で受け、勢いを殺して受け流そうとするが、勢いを殺し切れずに吹き飛ばされる。

「何て槍捌き……! これが人狼十騎士の実力……!」
「キアラ様……ッ! よくも!」

 悲痛な声をあげたシリルーンが、キアラに代わり長剣を手にラダガストへ斬りかかる。その剣筋は、過ぎる程に必死で、彼女が捨て身で挑んでいるようにも見える。

「ハハハ! 猟兵等恐れるに足らず! 二人纏めて串刺しにしてやろう!」

 ラダガストが哄笑と共に二人に向けて槍を突き出そうとしたその時。

「『太陽神ルーよ、天に安らかなる平穏を、地に平らかなる静謐を、人に甘やかなる生を、どうか与えたまえ……|白天甘生剣《ビャクテンカンショウケン》!』」

 響いたのはキアラがユーベルコードを起動する声。その声共に、ラダガストの身に魔力の込められたヤドリギの紋様が刻まれる。

「油断しましたね、これで貴方は私の刺突から逃れられないっ♪」

 そう言って舌を出すキアラの表情には先刻までの苦戦の彩は微塵も見受けられない。

「貴様……ッ! 謀ったのか?!」
「大体フェンリルの指揮権奪われた所から、ダメダメじゃないですか」

 睨みつけるラダガストに、指を揺らして、諭すようにキアラは続ける。

「首から上以外は要りませんね。顔もシリルーンさんの旦那様に比べれば微妙だしっ」

 その言葉を半ば聞き流し、己の状況を把握しなおそうとしたラダカストの頭上に影が差す。振り仰げば、其処に立つのは鋼鉄の機神。その肩に立つのは、何故かほんのりと頬を染めたシリルーン。

「……ッ。皆様、どうかお力お貸し下さいませ!」

 猟兵となるより以前、能力者だった頃に深い縁で結ばれた|メガリス《さまよえる舵輪》と、|今はそこに宿るものたち《キャプテンたち》。シリルーンは彼等にその助力を願う。
 彼等とて、この世界が過去に塗り替えられる事は是としない。そして、彼等を彼等として接したシリルーンの願いであればこそ、彼等はそれに応えるのだ。

「いざキアラさま! 止めを!」
「はいっ、シリルーンさん!」

 シリルーンの凛とした声に促されたキアラの振るう十字剣が、ラダガストの身を確かに捉えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

姿は変わらないね
けどまず隠して相対する
慢心をつくその時にこいつはそれを知るだろう

「貴様を倒しに来た猟兵だ!覚悟!」
陸井と名乗りを上げる

予知通りなら猟兵を侮ってる
嘘じゃないさ、俺達は今は猟兵だからね
さぁ、往こうか

空中機動で懐に入り錫杖で切り結び
機を窺ってから
アークヘリオン詠唱

恐らく初撃は無敵化される
だが
「はは!これは能力者のアビリティだぞ!」
多重・高速詠唱で次々刻印を展開し

「ちゃんと教えてやろう…俺達は能力者にして猟兵だ!」
「貴様にもう一度引導を渡しに来たぞ!」
真正面から幾度でも浴びせ

怯え確信が崩れれば灰になるまで幾許も無いはずだ
陸井の冷や水も良く効くな
味わって逝け!


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加

今度はラダガストか
あの頃と変わらない姿に相対しながら
相棒に相談された作戦に自然と笑みが零れる
時人と合わせて名乗りを上げる
「あぁ、お前を倒しに来た『猟兵』だよ」

まずは相棒のサポートで牽制攻撃
切り結ぶ相棒に当てないように射撃しながら
ラダガストの動きの邪魔をし続ける
「猟兵の力も中々の物だろ?」

相棒のUCを合図に俺も接近して
【水遁「水刃手裏剣」】を準備し
時人の攻撃に合わせて刃を生み出しながら鎖で縛り
「勿論、俺も能力者だ」
相棒が作ってくれた隙に
あの頃と同じ、水の刃を遠距離で無く
零距離で叩きつけるように放つ俺の戦い方で
「しっかり、俺のアビリティも味わってもらおうか」




「あの頃と姿は変わらないな」
「そうだね。本当に、あの時のままだ」

 葛城・時人(光望護花・f35294)と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は物陰から伺いながら声を潜め言い交す。

「陸井、ちょっといい?」

 時人はそう言って陸井を呼び留め、提案をする。それはラダガストの慢心を利用した作戦。その内容を聞いて陸井は笑みを浮かべる。

「よし、それで行こう」

 陸井の言葉と共に、二人、ラダガストの元へと躍り出る。

「背徳のラダガスト! 貴様を倒しに来た猟兵だ!」

 時人の鋭い声が戦場に響く。手にした錫杖でラダガストを指し示すと、纏う鎖がしゃらりと音を奏でた。

「また来たか、猟兵共め!」

 既に猟兵と幾度となく刃を交え、その度に手酷い竹箆返しを食らっているが、ラダガストのその心根は未だ折れてはなく、その|慢心《プライド》を散々に傷つけられた怒りでその目が燃えている。

「あぁ、お前を倒しに来た『猟兵』だよ」
「覚悟!」

 ラダガストの問に応える陸井の言葉と共に、時人は地を蹴り壁を足場に空を駆けた。その時人を援護するように陸井が短刀銃で攻撃を仕掛ける。

「猟兵如キガ……ッ!」

 錫杖振るう時人と切り結ぶうち、ラダガストの姿が半獣の姿へと変容する。頭部が狼のそれとなり、くぐもったような声音でひとの言葉を紡ぐ。

「ああ、猟兵の力も中々の物だろ?」
「キ、貴様等ァァァァァァァァァ!!」

 ラダガストの攻撃を妨害する陸井が、煽るようにラダガストに言う。その泰然とした様を余裕と受け止めたラダガストは更に激昂し、獣の咆哮をあげる。

「はは! これは能力者のアビリティだぞ!」

 その咆哮を打ち消すように、時人は創世の刻印を展開する。連ね重ねて、取り囲むように展開された刻印から放たれる創世の光がラダガストを貫いた。

「能力者、だと……ッ!?」

 創世の光に射貫かれ、半獣の姿からひとの姿へと戻ったラダガストの声が憤怒と驚愕に歪んだ。

「ちゃんと教えてやろう……俺達は能力者にして猟兵だ!
 貴様にもう一度引導を渡しに来たぞ!」

 刻印が消える度新たな刻印を喚び出しながら、時人がそう宣言する。その言葉に動揺したラダガストの隙を縫って、陸井がその懐に入り込む。その手には、水流で創られた手裏剣。これもまた、能力者のアビリティが昇華したユーベルコード。

「勿論、俺も能力者だ」

 言葉と共に、刃がラダガストの身を抉った。

「……能力者め。一度ならず二度までも……この、俺を……」

 その身を慢心諸共に断ち切られた男は、それでもなお己の敗因を自覚せぬまま骸の海へと消え逝った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月09日


挿絵イラスト