東雲深耶の事件記録 04号『山奥のラーメン屋』弐
東雲・深耶
『山奥のラーメン屋』の続きをお願いします
今回はホラー色強めでお願いします
タケとその先輩が深耶の報告を聞いている所から
『私はラーメンを食しているなら、胃の残留物を解析した『どのようなラーメン』を食べたか』を突き止め、そこから『解析したラーメンを提供している店舗』を割り出す事にしました
その結果『全く未知のアミノ酸が検出』されました。
ラーメンとしては『魚介類の出汁を活用したラーメン』である事が判明
そこから死亡推定時刻と併せて調べてみた所、割り出せたラーメン店舗に目撃証言はありませんでした』
そんな、奇怪な報告を二人は聞く
『ですが、車両の目撃証言はありました。彼らは山中にてドライブをするつもりだったようです』
その報告を聞いたタケは『閃いて』しまう
タケ『私は彼らが営業届を出していない山中の店に立ち寄ったのではないかと思います』
そのタケの仮説に一瞬目を驚かせるものの、否定はしない深耶
そこから山中を中心として捜査を進める事になる
『(厄介なことになった……)』
次の日、四人組で深耶、タケとその先輩、その他の県警の警部が山中を車で捜索していく
今回、深耶は模造刀を警棒代わりに持ち込んでいる(拳銃自体は持っている)
『私の剣術はただの銃撃よりはるかに優れている』
傍から見れば虚栄にしか聞こえないが、純然たる事実である
そこで川辺を捜索する事になるが、打ち上げられている川魚を見て深耶以外の三人は驚く事になる(深耶は耐性があるので以降の事象も一貫して冷静に観察している)
どうも、化石にある古代魚じみた見た事の無い魚なのだ
ふと、周囲を見渡すと……なんだか、シダ植物の様な植林地帯となっている
まるで古代の植林に一帯が置き換わっているかの如く……
『急いで引き返すぞ。どうもここは変だ』
魔界に入ったかと判断
引き返せるうち、他の三人が狂乱しない内(先輩は正気度が削れていないが、他二人は3くらい削れている)に無事現世へと帰っていく所で今回は終了となります
●山の中へと。
一服を済ませた東雲・深耶は、上役から受け取った内容を確認してから県警署に帰ってきた。
捜査本部に戻るやいなや、タケと呼ばれる―――深耶のことを知らなかった若い刑事が深耶に気づき、先輩の刑事に声をかける。
「あ、シゲさん! 東雲さん帰ってきましたよ」
「東雲警部。何か掴めましたか」
「はい」
深耶が軽く視線を巡らすと、捜査本部の人員は今なお走り回っているのか、まばらであった。
ひとまず、シゲとタケに自身が得た情報を報告する。
「私は被害者たちがラーメンを食しているならば、胃の残留物を解析して『どのようなラーメン』を食べたかを突き止めました。
そこから『解析したラーメンを提供している店舗』を割り出そうと」
「なるほど。具材やスープの出汁から、ある程度は絞り込めると」
肯く二人の反応を見て、深耶は続ける。
「解析の結果、『全く未知のアミノ酸が検出』されました。
また、ラーメンとしては『魚介類の出汁を活用したラーメン』である事が判明したのですが……。
そこから死亡推定時刻と併せて調べてみた所、割り出せたラーメン店舗に被害者たちの目撃証言はありませんでした」
「未知、か。単に知られてないだけならいいんですけどね……」
「ってことは、家で食べてから現場に向かったんですかね?」
奇怪な報告を聞いて、シゲが頭を掻き、タケが疑問を投げかける。
だが、タケの疑問を深耶は否定する。
「二人がどちらかの家で食べたとすれば、消化状況と死亡推定時刻の時間が噛み合いません。
それと、現場付近で走行していた当該車両の目撃証言がありました。
彼らが山中に向かってドライブをしていたのは間違いなさそうです」
「山中……あっ!」
その言葉を聞いたタケが、ハッと閃いたようにアイデアを溢す。
「もしかしたら、彼らは営業届を出していない山中の店に立ち寄ったんじゃないですか?
看板を出してない民家とかだったら現場に行かないとわからないですよ」
「ふむ」
深耶は、タケの仮設に一瞬目を驚かせるものの、否定せずに静かに頷く。
その様子を見て、シゲもまた深耶と視線を交わして、頷く。
「なるほどな。よし、タケ。今からだと陽が暮れる。
明朝、市道の先の山中に調べに行くぞ」
「わかりました、シゲさん!」
「私も同行しましょう。」
厄介なことになった。
心中でそう呟く深耶は、目の前の二人が怪異に巻き込まれないだろうかと、案じているようだった。
そして、次の日。
深耶、シゲ、タケ、運転手として県警の刑事の四人は、市道の先にある山奥へと車を走らせていた。
深耶は拳銃の他に、警棒代わりに模造刀を持ち込んでおり、助手席に座って窓の外へ油断なく視線を走らせていた。
なお、模造刀についてタケが苦言を呈していたが、「私の剣術はただの銃撃よりはるかに優れている」という純然たる事実―――簡単な素振りを披露したことで口をつぐんだ。
尋常ならぬ剣技を前にして、深耶の言葉が虚栄ではないと理解したのだ。
「……! 停めてくれ」
「はっ」
ほどなくして車が川辺に差し掛かり、深耶が車を停めるよう指示を出す。
いち早く降りた深耶の後を男たちが続くと、彼らはすぐに異常性に気が付いた。
一匹の大きな魚が……川で見かけるようなものではない、生きた化石と言われる古代魚のような、異質な鱗やヒレをもつ見たことのない魚が、川辺に打ち上げられていた。
その生臭さが、魚は本物だと突きつける。
「ふむ」
「何ですか、あれ。作り物、とか……じゃ、ない……?」
「……あれ? え? おかしい……木が、木が変だ!」
タケと刑事は、狼狽している。
周囲を見渡すと、いつの間にか見たことのないシダ植物のような植林地帯へと踏み込んでいたのだ。
まるで……この一帯が古代の森林に置き換わっているかのように。
気が付かないうちに、時を弄ばれたかのように。
「シ、シゲさん、東雲さん! これは、いったい……!?」」
「ひっ!?」
「これは(魔界に入ったか……!)」
風のざわめきに枝葉がこすれ、辺りに響き渡る。
遠く茂みの中から、何かが視線を向けているような錯覚すら抱かせる。
異質な空気に呑まれ、タケと刑事は呼吸が荒々しくなっている。
「こりゃあ……尋常じゃないですな」
「急いで引き返すぞ。どうもここは変だ」
「わかりました。急いで車に戻りましょう」
比較的正気を保っているシゲがタケと刑事の手を引き、二人を後部座席に押し込んでから運転席に着く。
速やかな判断が功を奏したのか、四人はそのまま何事もなく山から下りることができた。
見慣れた市道に出たことで、タケと刑事は落ち着きを取り戻し、シゲは大きく息を吐いた。
そして、深耶はこの山奥に怪異があると認識したのだった。
「さて……境界はどこか……あるいは|標《しるべ》があるか……どう出るかな」
ドアミラー越しに遠ざかっていく山を見つめて、深耶は独り言ちていた。
成功
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