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First encounter

#アックス&ウィザーズ #ノベル

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フィア・シュヴァルツ
●ルクスとの出会い
『フィア様の使い魔フギンでございます。わたくしがフィア様の使い魔になる以前に、ルクス様とフィア様はお知り合いだったとお聞きしております。
わたくし、お二人の出会いがどのようなものであったのか存じ上げておりませんので、とても気になっております。
いったい、どのような出会いがあったのか、詳しくお話を聞いてみたい所存でございます』

(訳:フィアとルクスさんの出会いシーンのノベルをお願いします。
内容は何でも結構です。アドリブ大歓迎ですので、自由にエピソードをでっち上げていただければと思います)




(少し遅くなっちゃいましたけど、店長からお弁当もいただけましたし、らっきーかも?)
 日もすっかり落ちてしまった帰り道を、金色の髪の少女――ルクス・アルブス――は、村の中心から少し離れた場所にある家への帰路を急ぐでもなく歩いていく。
 その途中、丘のようになっている場所にさしかかったとき、月明かりとは違う、赤みのある輝きがルクスの目を引いた。
 見たことのない不思議な灯り。いつものルクスなら村に戻って知らせるところなのだが、今夜のルクスはなぜかそう思わなかった。その灯りがとても気になり、確かめに行くことにしたのだ。


 とんがり帽子をかぶり、漆黒の衣装に身を包んだ美少女は、服の色より黒い瞳をきょろきょろと動かしながら周囲を見渡すと、大きく息を吐いた。
「なんとか撒いたようだな……」
 ぽつりと呟いたかと思うと、軽く咳払いをし、一転して、
「ふははははは! 我を捕らえようなど100年早いわ!」
 いきなりの高笑いを周囲に響かせた。
 誰が聞いているわけではないが、これがアイデンティティというものである。最強の魔女が借金取りを撒いて溜息を吐くなど、キャラが許さないのだ。
 美少女は、一通り笑いきったことに満足すると、人影がいないことを確認してキャンプ道具を取り出して、野営の準備をはじめた。
 手際よくテントを立てると、落ちていた木切れを集めて火起こしの準備をする。
「火起こしなど、我にかかれば一瞬よ」
 美少女が自身に満ちた顔つきで精神を集中させると、掌の上に炎が浮かび上がった。
 

 灯りのもとを探してきたルクスが目にしたのは、掌に浮かぶ炎の灯りを受けて夜に浮かぶ漆黒の美少女。
 それはとても幻想的で、物語の中の挿絵のようだとルクスはしばしの間見惚れていた。
 すると炎が一瞬大きく輝いて、揺らめき立ち消え、少女がゆっくりと前のめりに倒れ伏す。
「えぇ!?」
 ルクスが思わず声をあげながら駆け寄ると、少女は目をくるくる回しながら「腹減った……」とぽそりと呟いた。
 そして、鼻をヒクヒクと動かすと、
「食い物の匂いがする!」
 叫びながら、がばちょ、と起き上がりルクスの提げていた袋をじーっと見つめていた。
 なんだか瞳孔が開いている気がする。そしてちょっと涎も垂れている気がする。元が美少女だけにかなり怖い。

「あ、え、えと、もらいものですけどいいで」
 ルクスが全部言い終わる前に、美少女は包みを奪い取り抱え込むと、どこから出したのか箸を突き刺し、すごい勢いで中身を食べ始め……びくん、と震えてその動きを止めた。
 白かった頬がみるみるうちに青白く変わっていく。
「こ、これ、飲んでください!? わたし殺人容疑は嫌ですー!」
 なんだかとんでもないことを言いながらルクスが水筒を差し出すと、美少女はそれをいっきに飲み干し、そしてまた食べ始めた。
 その様子をなんだかむずむずした気持ちでみていたルクスに、
「なんだ? お主も食べたいのか? でもやらんぞ。っていうか足りんぞ。もっとないのか?」
 お弁当の包みを抱え込みながら、美少女もなかなかにとんでもないことを言う。
 ルクスは、そんなトンデモ発言をまったく嫌だと思わなかった。いやむしろ、もっと食べて欲しいな、と思ってしまった。

「お家にきていただければごちそうできますよ」
 ルクスが手を差し出しそう誘うと、美少女はその手を取って立ち上がり、急かすようにルクスを引っ張る。
その姿に、とくん、と不思議なときめきを感じ、ルクスは美少女と手を繋ぐと家路を急いだ。
 その美少女の名が『フィア・シュヴァルツ』であり、『魔女』であることを知ったのは、次の日の朝ご飯のときのことだったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年01月02日


挿絵イラスト