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銀河帝国攻略戦⑳〜ホワイト・ディスペア

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #白騎士ディアブロ

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 猟兵たちが集う拠点、グリモアベース。今日も猟兵たちは、様々な世界へ戦いに赴いてゆく。その一角にある広場に集まった猟兵を、グリモア猟兵のガーネット・グレイローズが迎えた。
「皆、お疲れ様。銀河帝国攻略戦について、新たな情報が入ったので伝えておこう」
 猟兵たちは現在、今後のスペースシップワールドの行方を左右する『銀河帝国攻略戦』の真っ最中。銀河皇帝の末裔であるミディア・スターゲイザーが中心となり、スペースシップワールドの民が一丸となって結成した『解放軍』は猟兵の支援を得て進軍を続け、現在は帝国旗艦インペリウムへの総攻撃を行っている。さらに、猟兵たちによる黒騎士アンヘルとドクター・オロチ陣営への侵攻も並行して行われ、戦火はより広範囲に拡大している。
「諸君の奮戦により、白騎士ディアブロが率いる『白魔』『白城』両艦隊の攻略にも本日ついに成功した。これによって、残る最後の敵幹部、ディアブロの本隊に挑むことが可能になったぞ!」
 ガーネットがもたらした朗報に、猟兵たちから歓声が上がった。ディアブロ直属の精強な軍団を撃破したことにより、猟兵たちの士気は否応なしに高まる。
「さて、ここに集まった者達には、そのディアブロの撃破作戦に挑んでもらう。ディアブロは、帝国が誇る最高戦力、二大巨頭の一人。未だかつてない強敵ゆえ、まずは私の情報を頭に入れておいて欲しい」
 ガーネットはそう言うと、手の中のグリモアを操作して情報を検索した。
「部隊の大半を失ったディアブロは、配下を率いず単独で挑んでくるぞ。しかしこれは、彼が一人の戦士として最大の戦力を発揮できるという意味でもある」
「相手は奴一人か。で、どんな能力を使うんだ? その白騎士とやらは」
 猟兵が投げかけた質問に、ガーネットは小さく頷いて情報を抽出した。
「黒騎士アンヘルが『過去を操る能力』ならば、白騎士ディアブロは『未来を操る能力』の使い手だ。ユーベルコードによる攻撃は必ず先制攻撃。何らかの有効な対策を打たない限り、彼は『全ての攻撃を逃れ』『絶対に命中する攻撃』を『最大の効果を発揮する』ように行うだろう」
 確定した未来の予測とすら呼べるレベルの、極めて精度の高い演算能力。それが、『未来を操る力』の正体というわけだ。
「装備する武装も強力だ。フォースセイバーやレーザーキャノンといった兵装はスタンダードなものだが、銀河帝国の技術の粋を尽くした彼専用のものであり、生半可な防御は通用しないだろう」
 初めて明かされた白騎士の能力を耳にし、猟兵たちからどよめきが起こる。どうやって攻略したものかと、早速思案に耽る者もいる。
「たとえ撃破に成功しても、奴は骸の海へ還り、態勢を整えて何度も蘇るだろう。だが、短時間での撃破を繰り返すことで、やがて力を失い完全に滅ぼすことが出来るはずだ。幸い、私の予知能力によって、どの艦船に出現するかの確率を導き出すことができる。それぞれのポイントに出現するディアブロを待ち伏せし、撃破してくれ」
 ガーネットはそこまで説明すると、小さく息をついた。
「確かに奴は強い。だが、絶対に勝てないという相手ではない。何故なら我々は猟兵で、奴と同じくユーベルコードを使うことができる。そして何より、信じられる仲間が沢山いる。個人の戦闘能力だけが、勝敗を決定づける要素ではない。そうだろう? 君たちになら、必ず奴を討ち取ることが出来るはずだ。……さぁ、それでは作戦開始といこうか!」
 闘志を燃やす猟兵たちを真っ直ぐ見つめ、ガーネットは転移の準備に取り掛かるのだった。


弥句
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 こんにちは、弥句です。戦争シナリオをお届けいたします。
 今回のシナリオは、「ボス戦」一章のみの構成となっております。
 今回の敵は、帝国が誇る最大戦力の一人、白騎士ディアブロ。未来を操ると言われる、彼の正確無比な攻撃と比類なき堅守をどう攻略するか、猟兵の腕の見せ所です。難しい戦いになると思われますが、編み出したユーベルコードと鍛え抜いた技能、そしてみなさんの戦術を結集してディアブロに挑んでください!

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『白騎士ディアブロ』

POW   :    収束する運命の白光
【対象の未来位置に向け放たれるレーザー】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    ホワイトライト・トゥルーライト
【10秒先を見たかの様に的確な攻撃を行い、】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    デストロイマシン零式
戦闘力のない【66機の動画撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【正確無比な未来予想シミュレーション】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

竹城・落葉
 成程、新たなる敵が登場したという訳か。いいだろう、此方も策を練って挑むとしよう。
 我は奴とは直接戦わん。名物竹城を手に『支柱一閃』で切断する。ただし、切断するのは、”ディアブロの頭上にある天井または外壁”だ。天井の裏側や壁の向こう側から切り崩す事で天井や壁を破壊してぶつけ、間接的に攻撃を仕掛けよう。直接出会わなければ、レーザーを受けず、ルールを宣告される事も無い。もしレーザーが壁や天井をすり抜けるというのであれば、【第六感】で察知し【早業】【だまし討ち】【フェイント】で避けつつ照準を合わせぬよう工夫しよう。
 もし、この作戦が失敗してルールを宣告されたら、素直に負けを認めて引き下がろう。


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

未来を予知する、ねぇ……。
魔法や時空干渉ならいざ知らず、
演算でシミュレートか。
なら、その演算が終わる前に攻撃を叩き込んでやるよ!

カブに乗って戦場へ着いたなら即座に加速開始し、
無策で突っ込むように見せかけながら攻撃を誘う。
まず命中するだろうけど、カブ自体は衝撃をパーツ単位に
ばらす事で逃がし、
アタシ自身は【激痛耐性】と【覚悟】で耐える。
そのまま【人機一体】を発動!超高速戦闘の開始さ!
奴の演算が10秒先を見据えるなら、
アタシはその前に攻撃し、回避してみせる。
バイクと人型を瞬時に使い分け、
走り回りながらメーザーを照射!
【騎乗】と【操縦】のテクニックを最大限に駆使するよ!


中村・裕美
「……未来を守る…それが猟兵の仕事だもの。……あなたが思うような未来には…させない」
動画撮影ドローンが出現すると共にミームインベイジョンでドローンを【ハッキング】する。『正確無比な未来予想』を『自分にとって都合のいい未来予想』に書き換え、パワーアップを阻害。都合のいいようにしか未来を予測出来なくすれば、逆に弱くなるかも?
「…私が…未来を……変えてあげるわ」

後はドラゴンランスで【串刺し】を狙い攻撃。行動パターンを読まれたら【傷口をえぐる】ような攻撃が得意な副人格・シルヴァーナに人格を変え、惨殺ナイフで攻撃
「せっかく集めたデータもパァですわね?もともと役に立ってなかったかもしれませんが」


紫谷・康行
対策
未来はわからないものだ
観察と計算により完璧な行動予測をするというのであれば
情報を歪ませて計算を狂わせればいいのではないか
【無言語り】を使いドローンを通して虚無の言葉を送り込み、動画情報を気づかれないように不完全なものにしようとするとともにシミュレーションプログラムやロジックにも虚無の言葉を送りその一部をなかったことにしようとする
完璧な予測ほど小さな綻びで壊れるはず
言葉に力を、幸せな未来を掴むための力を
命の全てを込めて
言葉は覚悟の力だから
少しでも予想が外れればいい歯を食いしばって耐えろ
相打ちでもいいから

攻撃
命を懸けた言霊で白騎士の未来と存在そのものを消そうとする
未来はこの世界の人たちのものだ





 解放軍との戦闘の末、破壊されて航行不能となった一隻の帝国戦艦。空間が歪み、猟兵たちはその船内へと転移した。この船のコアマシンルームに、白騎士ディアブロが現れる確率が高いとのことだ。
「成程、新たなる敵が登場したという訳か。いいだろう、此方も策を練って挑むとしよう」
 竹城・落葉は、白騎士ディアブロとの戦いに思いを馳せる。ディアブロは、帝国最強のウォーマシン。『未来を操る』といわれる白騎士の実力、果たして如何ほどのものか。
 程なくして、コアマシンルーム付近の外壁が白いレーザーキャノンの光によって破壊された。そして、バーニアを噴射して一機のウォーマシンが船内に飛び込んでくる。ディアブロだ。
「随分派手な登場だけど遅刻だぜ、ディアブロさん!」
 数宮・多喜は闘志もあらわに宇宙カブJD-1172に跨り、激しくエンジンを吹かす。
「貴様らとの戦い、果たしてこれで何度目になるか。さあ猟兵達、貴様らの実力を見せてみろ!」
 ディアブロが挑発とともにフォースセイバーを出現させ、戦いの火蓋が切って落とされた。ディアブロは、戦闘能力のない動画撮影ドローン【デストロイマシン零式】を召喚した。この66機のドローンが正確無比な未来予測シミュレーションを行い、ディアブロの戦闘をより精密なものとするのだ。デストロイマシンは素早く部屋中に散開し、猟兵とディアブロの戦闘データを収集し始める。
「未来を予知する、ねぇ……。魔法や時空干渉ならいざ知らず、演算でシミュレートか。なら、その演算が終わる前に攻撃を叩き込んでやるよ!」
 多喜はカブを加速させ、ディアブロへと果敢に突撃する。それは一見、無謀とも思える戦法。
「正面から突撃か! 娘よ、血迷ったか?」
 ディアブロは多喜が進む未来位置へ向けてレーザーを撃ち込む。『止まれ』という宣告を込めた射撃が多喜を襲う。
「気合入れろよ相棒…いくぜ。アタシたちは、一心同体さ!」
 着弾の衝撃に顔を歪めながら、多喜はユーベルコード【人機一体】を発動させる。空中へ浮かびあがった宇宙カブが変形し、パワードアーマーとなって多喜の体を覆っていく。そして、多喜自身が精強なる宇宙バイクへと変身を遂げたのだ。
「さぁ、ここから超高速戦闘の開始さ!」
 多喜はコアマシンルームを縦横無尽に疾走し、メーザー砲を発射してディアブロを牽制する。
「……面白い。その勝負、乗ってやろう!」
 ディアブロが背部のブースターを噴射させ、多喜とのスピード対決に応じた。

「……未来を守る…それが猟兵の仕事だもの。……あなたが思うような未来には……させない」
「数宮さんを援護しよう。ディアブロの計算に綻びを生じさせれば、勝機は生まれる」
 スペースノイドの紫谷・康行と、多重人格者の中村・裕美。物静かな二人の猟兵が、後方から多喜を支援する。二人はそれぞれのユーベルコードを駆使し、ディアブロの【デストロイマシン零式】への干渉を試みる。ただ、そのアプローチの方法は若干異なる。
 康行は『芽吹くものの杖』を振るい、【無言語り】を発動させる。それは、対象に『虚無』の言霊を送り込むことで、対象の能力や存在を否定する技だ。ディアブロが観察と計算により完璧な行動予測をするというのであれば、その情報を歪ませることで計算を狂わせればいいという考えだ。未来とは誰にも想像できない、不確かなものである筈。ならば、完璧な計算というものも存在しないと康行は信じる。
 それに対し、裕美はデストロイマシンそのものへのハッキングを試みる。『電脳魔術デバイス』と『マテリアルクラッカー』を併用して、デストロイマシンの電脳空間に侵入する。
「……ハッキング開始………これが……貴方の新しい世界」
 裕美は【ミームインベイジョン】を発動させ、自身が作成したプログラムを送り込むことでドローンが得た情報そのものを書き換えようとする。
「私が……未来を変えてあげるわ……」
 『正確無比な未来予測』を、ディアブロ自身が望む『自分に都合のいい未来予測』へと書き換えるのだ。つまり、ディアブロがいち早く情報を得て『多喜がこう動いて攻めてきたらこう避け、こう反撃しよう』というシミュレートを確立させてしまえば、それを逆手に取ってフェイントをかけたり、罠にはめることも可能になる訳である。
「ムッ、我が演算に干渉したか!」
 多喜の足元を狙ったディアブロのレーザー射撃がわずかに逸れた。康行が放った『虚無の言霊』が、多喜の走行データを掻き消したのだ。消去された情報はコンマ数秒のものだったが、それはディアブロのミスを招くのに十分なものだった。
「よもや、この私が外すとは。……プログラムが書き換えられているな。なるほど、お前達の力か」
ディアブロが後衛の二人に狙いを付け、銃口を向ける。『未来を操る力』に対抗しようとするならば、その力を削ぐのは道理。
「アタシの仲間を、やらせはしないよ!」
 多喜は卓越したハンドル捌き(フットワーク)でディアブロを攻め立てる。長大なフォースセイバーを振るい、ディアブロは多喜と激しく斬り結ぶ。寿命を削るほどの高速戦闘の反動から、多喜の顔には大粒の汗が浮かんでいた。

「……このあたりか」
 落葉はコアマシンルームの外周を歩き、壁に手を触れた。内部では、仲間達と白騎士が激しい戦闘を繰り広げている。
「――今だ!」
 精神統一して深呼吸一息、落葉が愛刀『名物竹城』を走らせる。――愛刀と言っても、その実態は何の変哲もないバールのようなものなのだが――艦船の装甲をも切り裂くサムライの奥義【支柱一閃】の斬撃は、コアマシンルームの壁を易々と切り崩し、崩壊させた。
「白騎士よ、この攻撃は、予測できたのか?」
「ムッ、何事……!?」
 予め打ち合わせていた猟兵たちは、突然の壁の崩壊にも対応できた。しかし完全に虚を突かれたディアブロは、咄嗟に背部のアームドフォートを起動。光弾を一斉発射させて瓦礫の雨を降らせるに留まる。
「我が『目』に捉えられなければ、行動を読まれることもないか……小賢しいが、よく考えたものだ!」
 落葉が作り出した猶予は、時間にして約二秒。破砕された瓦礫が地面に落下するまでの間のことである。しかし、その隙を逃す猟兵ではない。
「――覚悟っ!」
「いっ……けえええっ!」
 裕美がドラゴンランス『覇空竜スカイフォール』を腰だめに構え、ディアブロに向けて一直線に突進する。高速で疾走する多喜と呼吸を合わせてのコンビネーション攻撃だ。多喜がビームランチャーの抜き打ちをギリギリで躱し、すれ違いざまにメーザー砲を叩き込む。続けてサイキックナックルによるボディブローを加え、多喜は急停止した。
「っ……! 今は、ここが限界か……!」
 荒い息を吐き、多喜の変身が解除される。寿命を削るほどの超高速戦闘が、多喜の肉体に多大な負荷をかけていた。バイタルデータが活動限界に達したことによる、緊急措置だ。
「裕美っ……!」
 多喜が振り向いたその先で、裕美がドラゴンランスをディアブロに突き出していた。だが、その穂先は白騎士の無骨な左腕に掴まれている。――あと一歩が、足りなかった。
「娘よ、その華奢な体に似合わぬ見事な気魄。敵ながら天晴れだ」
 歯噛みする裕美の頭に、ビームランチャーの銃口が向けられる。多喜がその光景を正視できず、思わず顔を反らした瞬間。
「な……に……!?」
 グリップを握るディアブロの右腕が、今にも消え入りそうなほどに半透明と化している。急速に握力を失い、ディアブロはビームランチャーを地面に落下させる。
「虚ろなる眼窩に見出された全き無。お前は世界に在る真なる虚。在ることは無く、虚ろにして全。残るはただ静寂のみ」
 それが、康行が魂を込めて放った、言霊の力だ。ディアブロの存在そのものを否定し、消し去るつもりでいる。
「貴様かっ……!」
「未来はこの世界の人たちのものだ……お前たちの好きにはさせない!」
 康行がさらに強く念じて虚無の言霊を送り込むと、透明化はやがてディアブロの右腕全体におよぶ。
「ふ、ふふふっ! あははははっ! さしもの白騎士ディアブロも、異界の能力者の力までは予測できなかったようですわね……!」
 裕美の人格が、攻撃的な『シルヴァーナ』のものへとスイッチした。白い色の髪も、嗜虐的な目つきも、先ほどの裕美とはまるで別人だ。
「娘、貴様ひとつの肉体に別の人格を宿しているのか!」
 ディアブロが、シルヴァーナの体を突き飛ばす。そのままフォースセイバーを抜いて刺し貫こうとするが、
「――戻れ」
 シルヴァーナの命令に応じ、スカイフォールが槍から小竜の姿へと戻る。ドラゴンは素早くディアブロの頭に貼りつき、鋭い爪の一撃を加えた。
「ぐぅっ……! なんだ、こいつは!」
「ほら、この槍の力すらも知らなかったでしょう? 所詮あなたは、あなたの常識の中で戦っていたに過ぎないのよ。せっかく集めたデータもパァですわね? もともと役に立ってなかったかもしれませんが」
 シルヴァーナが艶めかしく微笑み、赤い瞳が妖しい輝きを放つ。惨殺ナイフ『principessa di tagliatore』による電光石火の刺突が、先ほど多喜の拳が打ち込まれた箇所に深々と突き刺さった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フィロメーラ・アステール
「目の良さが命取りだぞー!」
技の詳細を聞く限りじゃ、その演算能力ってヤツは視覚に頼るところが大きいみたいだな!
だったらこの『星の衣』で認識を歪めて、正確に計算できないようにしてやるよ!
ついでに無数の【残像】を放ちながら華麗な【空中戦】テクニックをお見舞いすることで、かく乱効果アップ!

そして【全力魔法】を込めた【星の遊び場】を発動!
未来が見えない気分ってのを味わわせてやる!

空間属性の陽炎を生み出して、戦場全体に【迷彩】効果を仕掛けるぜ!
コイツで計算を狂わせて、他のみんなへの攻撃も妨害するぞー!
ひょっとしたら演算修正に追われて、反応がちょっと遅れてくれたりする可能性もある!


エルシー・ナイン
「帝国製ウォーマシンの偉大なる先達、白騎士ディアブロ。未来を見ることのできるアナタが、なぜ過去の遺物たる帝国に未だに従っているんですか!」

アナタが66機のドローンを操るというのなら、こちらはそれを上回る100体のミニエルシー軍団を出撃させるまで……!
さあ、ミニエルシー軍団、ここが最大の見せ場ですよ。目指すは一人一殺です。
ミニエルシー軍団でドローンを破壊し、未来予想シミュレーションを無力化します。
白騎士の攻撃は【覚悟】を決めて【オーラ防御】【拠点防御】で耐え、ミサイル、ブラスター、ガトリングの【一斉発射】で対抗します。
いくら未来を見ることができても、この飽和攻撃はどうにもできません!


緋翠・華乃音
……厄介な相手だな。
遠距離からの攻撃を得意とする狙撃手としては距離を取らないと必敗か。

それなら別の方法で攻略すれば良いだけのこと。
……久々に暗殺者として多少本気で殺らせて貰おう。

極めて精度の高い演算能力なら俺も負けてはいない。
先天的に優れた視力・聴力・第六感及び『見切り』や『第六感』等の高い技能と未来予測のユーベルコードを併用し、敵の攻撃を見切る方針。
未来位置や10秒先? 案山子相手なら通用するかもな。
言葉では嘲りつつも内心は一切の油断や慢心をしない。
可能なら猟兵と連携。
必要なのは直感と速度それら用いての回避。下手な防御は捨ててやる。
適宜有効な技能を使用。
先制すると分かってるなら対策も取れる。


ゼイル・パックルード
計算ね、ちょっとズレがでればつけいる隙があると思いたいね。
鉄塊剣を【武器受け】で現れた瞬間の初撃くらいはレーザーの直撃は避けたいな。
そうしたら跳びかかる、予測もクソもなく宙を浮いている格好の的。だから足を斬っておいてから炎を少しだしておく。遣えば移動できるように…そう見えるように
視線はわずかに空へ、だけど足の炎は使わない
それで避けようとする、と思ってくれればいい。
【激痛耐性】というか【捨て身の一撃】というか。
ダガーで自分の腹を縦に大きくかっさばく。
その傷口から、正真正銘のブレイズフレイムを放つ。
予測されたら俺の完敗、虚をつければ俺の勝ち。
負けでも、他の奴らの目くらましくらいにはなりゃまぁいいか





「――自分の常識の中で戦っていた、か。どうやら本当に、貴様達はこの世界の常識から外れた存在らしい」
 ボディに受けた損傷を確認し、ディアブロは新たに現れた猟兵たちを見据える。
「では――私もこれまでの常識はすべて打ち捨てるとしよう!」
 ディアブロが従える66機のドローンが猟兵達を観測し、未来予測のための情報を収集し始める。
「帝国製ウォーマシンの偉大なる先達、白騎士ディアブロ。未来を見ることのできるアナタが、なぜ過去の遺物たる帝国に未だに従っているんですか!」
 破壊された外壁の瓦礫を踏み越えて室内に入ってきたのは、桃色の髪の少女型ウォーマシン、エルシー・ナインだ。
「帝国は過去の遺物などではない! 皇帝陛下がおられる限り、これからも変わることなく未来永劫の繁栄を続けるだろう。そうさせねばならん!」
 エルシーは悲痛な表情を浮かべた。同じウォーマシンであるなら、分かり合えると思った。出来ることなら、分かり合いたかった。
「未来永劫の繁栄だと? それもまた、お前に都合のいい未来予測か?」
「抜かせ!」
 揺らめく炎とともに現れたゼイル・パックルードの挑発に、ディアブロはビームランチャーの抜き打ちで応えた。ゼイルは鉄塊剣を振りかざし、容赦なく叩きつけられる高出力の熱線をガード。地獄の炎にも耐えうる巨大な刃で、初撃を凌ぐ。
「――死ね」
 音もなく戦場に降り立った緋翠・華乃音はゼイルと連携をかけ、二挺のハンドガンでディアブロに銃撃を浴びせる。しかしディアブロは10秒先の映像を見るかのごとく射撃の弾道を計算し、的確に迎撃していく。ゼイルが豪快に薙ぎ払う大剣も、槍のごとく長いフォースセイバーで的確に打ち払い、長い脚で蹴飛ばす。
「ちっ。あの能力、厄介だな」
 華乃音は小さく舌打ちし、弾丸をリロードする。
「目の良さが命取りだぞー!」
 そのとき、一体のフェアリーがひらひらと戦場に飛来した。フィロメーラ・アステールだ。
「先発隊が話してた技の詳細を聞く限りじゃ、その演算能力ってヤツは視覚に頼るところが大きいみたいだな!」
「視覚……」
 フィロメーラからのアドバイスを聞き、エルシーはユーベルコードを発動させる。
「アナタが66機のドローンを操るというのなら、こちらはそれを上回る100体のミニエルシー軍団を出撃させるまで……!」
 エルシーの召喚に応じて、小型のエルシータイプが戦場に出現する。その数、100体。
「さあ、ミニエルシー軍団、ここが最大の見せ場ですよ。目指すは一人一殺です」
 エルシーの指示の元、小さなエルシー軍団が散開し、デストロイマシン零式への攻撃に取りかかる。エルシーもまた、自身の武装でディアブロを攻撃し始める。ガトリング、ブラスター、マルチプルミサイルをフル使用した総力戦だ。
「ええい、虫けらめ!」
 ディアブロは背部のレーザーキャノンを乱れ撃ち、エルシーと真っ向から撃ち合う。ミニエルシー軍団を次々と撃ち落とし、ついでにフィロメーラも照準に入れる。フィロメーラは自身が纏う『星の衣』の効果で周囲の認識を歪めることで、ステルス性能を発揮。空中を不規則な軌道で飛び回り、ドローンの目を逃れていく。
「あたしにまかせろー! バリバリ!」
 バリバリとは、フィロメーラが得意とするユーベルコードの効果音である。【星の遊び場】が発動すると、コアマシンルーム一帯にゆらめく陽炎が生み出された。ドローン撮影による視覚を封じるにはうってつけだ。フィロメーラは残像を描きながらひらひらと宙を舞い、容易に攻撃の的を絞らせない。
 ミニエルシー軍団が息の合った連携を発揮。ドローン一機に対し、常に複数で対処にあたる。数にものを言わせ、次々とデストロイマシンを撃ち落としていく。
「迷彩効果で視覚情報を遮断するか、考えたな」
「いくら未来を見ることができても、この飽和攻撃はどうにもできません!」
 エルシーは防御を固めて身を焼くレーザーに耐え、一斉射撃でディアブロを牽制する。ディアブロは背部レーザーキャノンで後衛の猟兵を狙いつつ、フォースセイバーとビームランチャーで前衛も同時にも相手取る。
「計算ね、ちょっとズレがでれば付け入る隙があると思いたいね」
「今、後衛がドローンへの対処をやってくれている。あとはヤツ自身の能力を打ち破るだけだ」
 二挺拳銃で射撃しながら、華乃音は冷静に分析する。
「厄介な相手だな。遠距離からの攻撃を得意とする狙撃手としては、距離を取らないと必敗か。――では、俺がいこう」
 華乃音は両手に銃を握ったままだらりと全身の力を抜き、どの方向にも動ける状態を作り出す。自らの五感を研ぎ澄まし、さらに眠れる第六感も呼び起こしてディアブロの攻撃に備える。秘策は自身のユーベルコード。自身の特異体質である視覚と聴覚をさらに活性化させ、脳の処理能力を向上させる。これにより、未来予知にも等しい超感覚での戦闘の可能とするのだ。それが、寿命と引き換えに彼が手にした殺戮技巧。
「未来位置や10秒先? 案山子相手なら通用するかもな」
 言葉ではディアブロを嘲りつつも、内心は一切の油断や慢心をしない。肌が焼けつくようなヒリヒリした緊張感が、華乃音の心臓を締め付ける。
「それを見切れなければ、貴様は案山子以下ということだ」
 本当に、お笑い種だ。ゆえに、己のプライドをかけて目の前の敵を斃す。
「……久々に暗殺者として多少本気で殺らせて貰おう」
「多少、と申したか!」
 二人が完全に同時に動いた。ディアブロは、華乃音が跳躍する方向を未来予測によって割り出し、ビームランチャーの引き鉄を引いた。『――こいつは、右へ跳ぶ!』
 華乃音の痩身が宙を舞った。未来予測通り、華乃音はディアブロから見て右側へと大きく跳躍。背面跳びの姿勢でビームの回避を試み、そのまま空中で『追憶のレクイエム』と『収束のカプリース』から弾丸を放つ。精密に狙いをつける余裕はなかった。だが、華乃音の本能が瞬間的に『当てるべき場所』を割り出していた。二発の弾丸がディアブロの頭部へと撃ち込まれ、顔面パーツの破片が飛び散った。対してディアブロが放った粒子ビームは、濃藍色の外套を僅かに焼くに留まった。
「ちっ、映像に乱れが生じたか……!」
 フィロメーラの【星の遊び場】によるジャミング効果が発動したのだ。66機あったデストロイマシンも、30機あまりにまで減っている。華乃音の銃撃を皮切りに、猟兵たちが攻撃を畳みかける。
「当たって!!」
 エルシーが熱線と銃弾の雨を浴びせた直後、ゼイルが鉄塊剣を構えてディアブロへと大きく跳び、殴りつけるように斬りかかった。自ら足首を斬り、その傷口からは炎を噴出させている。それにより、瞬間的な超加速を可能としているのだ。
 ディアブロはフォースセイバーで鉄塊剣による斬撃を受け止めた。激しい閃光が照らし出すゼイルの視線は、わずかに虚空を捉えている。
「さあ、どう出る――小僧! 跳ぶか、退くか? それとも、このまま押し込むか!?」
 ディアブロは凄まじい膂力で、ゼイルをねじ伏せにかかる。力負けすれば、頭から真っ二つだ。だが、ゼイルの心は決まっていた。左手でベルトからダガーを引き抜く。そして、
「――こうやるんだよ」
 自らの胸から腹部にかけてを、勢いよく縦に切り裂いた。
「小僧! 貴様何を――」
「常識を捨てるといったな。ありゃあ嘘か?」
 噴き出した鮮血は、瞬く間に紅蓮の業火へと変わる。【ブレイズフレイム】。地獄の炎を操る、ブレイズキャリバーの狂気の業である。ゼイルは胸の炎をダガーを握る左手に引火させ、そのままディアブロの体へと刃を深く突き立てた。爆炎に包まれたディアブロの体が、激しく損壊する。勝敗を決したのは、ゼイルの捨て身の一撃だった。
「狂気……その炎、サイキックとは違うな。……どこで編み出した?」
 ディアブロの上半身を覆った猛火は、やがて全身へと燃え広がる。力尽き、倒れ伏したディアブロを一瞥し、ゼイルは短く返した。
「――地獄さ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト