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銀河帝国攻略戦⑳~白を塗りつぶせ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦 #白騎士ディアブロ

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 グリモアベースの一角、そこには多くの猟兵が集まっていた。
「よく集まってくれた。そろそろこのブリーフィングを聞き慣れたものもいるのだろうな」
 その猟兵の前に立つウィルトス・ユビキタスはそう前置いた。
「今回、諸君らの活躍によって⑭『白魔』艦隊、⑮『白城』艦隊の制圧が完了した。これによって敵の重要戦力である白騎士ディアブロへの攻撃が可能となった」
 そう言って背後のスクリーンに戦力概要を映し出す。
 既に白騎士は戦力のほとんどを失っており、周囲に他の戦力は存在しなくなっていた。
「だが、油断は禁物だ。これによって白騎士の力が削がれた訳ではない。むしろ周囲を気にすることなく全力で戦えるようになったと見る方が良いだろう」
 そして背後のスクリーンの画面を切り替える。
 そこには現在判明している白騎士の能力が記されていた。
 限定的ながらも未来を操作が可能。
 何らかの有効な対策が無い限り、彼は『全ての攻撃を逃れ』『絶対に命中する攻撃』を『最大の効果を発揮する』。
 生半可な防御では通用しない。
 そして力が尽きるまで、骸の海から復活する。
「と、まあ凶悪な相手で。今まで以上に覚悟と力、知識が求められる」
 作戦は待ち伏せ作戦。
 白騎士が骸の海から出現する場所は破壊された白騎士配下の艦艇と予知によって判明している。
 そこを待ち伏せ、撃破を狙うというものだ。
「だが諸君らなら可能だと信じている。持てる力を十全に発揮し、白騎士を撃破してくれ」


峯雲
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 白騎士ディアブロは、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 ボス戦 『白騎士ディアブロ』

POW   :    収束する運命の白光
【対象の未来位置に向け放たれるレーザー】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    ホワイトライト・トゥルーライト
【10秒先を見たかの様に的確な攻撃を行い、】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    デストロイマシン零式
戦闘力のない【66機の動画撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【正確無比な未来予想シミュレーション】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

オンカール・シン
「他と比べて落ち込むより、自分にできることを考えろ、と言われましたからね。」 僕は無力な一般人です。ですが、だからこそできる対処法があるかもしれません。僕は、先制攻撃のレーザーを避けることも防ぐこともできません。そして、あたればそれだけで瀕死に追い込まれます。しかし、その後現れる亡霊には、ルールは適用されないはずです。敵に、僕は何もできずに即死したと思わせるため亡霊には【見つからない】ようにして貰います。亡霊には、他の猟兵が窮地に陥った時に手榴弾による【衝撃波】や狙撃で助けるよう指示してあります。他の猟兵と比べれば遥かに微力ですが、これが僕のできることです!


トリテレイア・ゼロナイン
白騎士ディアブロ…人々を護る紛い物の騎士として銀河皇帝に仕える騎士に勝負を挑みます!

相手は圧倒的格上、死力を尽くして臨みます

白光への対処
ディアブロから常に自分を「かばう」ように機械馬を遠隔「操縦」し、接近
機械馬が操作不能になれば「盾受け」技能を使い自分の移動先で常に大盾が敵の攻撃を遮るようにしながら接近、もしくは投擲してレーザーを遮ります
自分がどの様に移動するか意識して動き、向けられている銃口の角度から着弾点を「見切る」ことで対処できれば…!

被弾が避けられないと判断した時点でUCを使用、使いたくはありませんでしたが

ダメージを無視して突撃、銃の「だまし討ち」と「怪力」での接近戦で相打ち覚悟で攻撃


シズホ・トヒソズマ
※他猟兵との連携・アドリブOK

【SPD】

私達の未来は貴方に読めなどしない!

【勇気・覚悟】を胸に【先制攻撃】を仕掛けるようにバスタードソードを構え突っ込みます
【ダッシュ】で無駄に避けようとしているように見せ、敵の先読み攻撃を言外に【誘惑・挑発】
攻撃に敵が構えた時、ソードで防御するように腕を動かし、事前に廃艦隊の瓦礫に【迷彩・目立たない・忍び足】で隠していたユングフラウを操作糸の【ロープワーク】で動かし白騎士の足狙いの【串刺し・鎧無視攻撃】で挟みこみ体勢を崩し未来予想攻撃・回避両方を封じます

「全て【フェイント】。予測範囲は私自身の動きまでだと賭けました!」

UCでアンヘルの力を纏い、三剣で連続攻撃



 その宙域では『解放軍』や『白騎士』配下の艦が道端に横たわる夏のセミのように骸を晒していた。
 その中の一隻で猟兵達は息を潜めていた。
「本当にここに来るのでしょうか」
 作戦会議を終え、来るべき戦いに備え誰もが自然と口を噤む中、沈黙に耐えきれなくなったオンカール・シンがそう漏らす。
 『白騎士』が出現すると予測されたポイントは複数あり、この場に現れない可能性が存在したからである。
「ここが最初の出撃地点である必要はありません。他の艦にも仲間たちが待ち伏せていますからね。復活したところを叩けばいいのです」
 トリテレイア・ゼロナインは冷静に感情を殺したようにそう返した。
 冷たいという訳ではない、ただ圧倒的格上と戦うというプレッシャーが言葉少なにする。
「二人は緊張しすぎです。もう少し肩の力を抜いてはどうでしょうか。私なんか『白騎士』がどんな攻撃をしてくるか考えるだけで少し楽しくなってきてますよ」
 緊張し真剣な表情をしている二人とは対称的に楽しげに言葉を弾ませるのはシズホ・トヒソズマ。彼女もまた緊張しているが、どんな攻撃が来るか楽しみで楽しみで緊張しているという変わった人物だった。
「シズホさんは自然体って感じで羨ましいですね。無力な僕には荷が重すぎて倒れそうですよ」
 そう言ってオンカールは肩を落とす。だが、その言動とは裏腹にどこかリラックスしたようでもあった。
「これでも緊張して……」
 そう言いかけたところでトリテレイアは二人を静止する。
「静かに、標的『白騎士ディアブロ』が出現しました」
 彼の目線の先では、虚空から現れたように『白騎士』が音もなく立っていた。
 既に戦闘を終えた後なのかどうかそれは定かではない。一見『白騎士』には傷が見当たらないが復活の際には完全な状態で現れるという。
 ただ確かなのは、『白騎士』が万全な状態で現れたということだけである。

「では、作戦通りに」
 そう言ってトリテレイアは巨大な機械白馬『ロシナンテ』を先に進ませ、その背後に隠れるように『白騎士』との距離を詰めていく。
 それはレーザー対策であり、レーザーキャノンから放たれる【収束する運命の白光】対策でもあった。
『ロシナンテ』はその大きさからトリテレイアを完全にカバーしており、正面からで狙い撃つことが出来ない。
 だが『白騎士』はお構いなしとレーザーキャノンの引き金を絞る。
「収束する運命の白光」
 ぽつりと『白騎士』が呟くのと同時に、レーザーキャノンからレーザーが放たれる。
 放たれたレーザーはまっすぐ『ロシナンテ』に命中する。そして表面を容易く融かすとそのまま貫いていく。その先にあるのは当然トリテレイアの身体。
 だがレーザーがトリテレイアの身を焼くことはなかった。『ロシナンテ』の後ろで構えていた重質量大型シールドによってレーザーが辛うじて留められていたからだった。
「この威力!二発目は持たないか!」
 そう判断するとトリテレイアは【ベルセルクトリガー】を使用する。
 超攻撃力と超耐久力と引き換えに理性を失う【ベルセルクトリガー】は諸刃の剣。だがそれを踏まえての作戦は既に立ててあった。
「後は任せたぞ」
そうしてトリテレイアは理性を手放したのだった。

「任されました」
 そう言ってオンカールもまた『白騎士』へと向かっていく。手には手榴弾とライフル銃を抱えて。
 彼には高い戦闘能力もなく、戦闘経験もない。
 ジグザグに動きレーザーを避けようとしてはいるが、未来を操るとまで言われる『白騎士』が相手では無謀と言わざるを得なかった。
 結果は瞭然。【収束する運命の白光】によってその身を焼かれ、大きく後ろへと飛ばされうる。
 手に持った手榴弾とライフル銃はあらぬ方向へと投げ出されどこに落ちたかは定かではない。そしてオンカールは地に臥し、立ち上がる力も残ってはいなかった。
「ごめんなさい、これが精一杯です」
 後は任せました、と呟くように溢れた最後の言葉はなぜかこの戦場によく響いたのだった。

「そう、やっぱりそうなったのですね」
 シズホはその様子を淡々と見ていた。残念という気持ちはあるし、悲しみや心配もしている。だがこうなるのは最初から分かっていた。
 辛うじて生きているのを確認すると、それからオンカールからは意識を外す。一人倒れたからといって『白騎士』が手加減してくれる訳ではないのだ。
 バスタードソードを構えるとシズホはフェイントを折りまぜながら、『白騎士』へと仕掛ける。
 オンカールは倒れたが覚悟は示した。なら自分もまた覚悟を示さなければならない。
 そんなことを考えながら前へ、前へと進んでいく。フェイントを織り交ぜ、時には後ろへ下がる動きを見せながら近付いていく。
 フェイント掛ける中で隙を伺っていくが、思うようには行かない。『白騎士』は最終武装モードとなったトリテレイアをいなしながらも決してシズホを視界から外そうとはしない。
 いかに苛烈となったとはいえトリテレイアは理性を失った分、次の動きが予想しやすくなっており十分に抑え込めてはいなかった。
「このまま近づくとベルセルクトリガーに巻き込まれる……」
 それは彼女自身の動きの幅を狭めていく。それは彼女の動きが完全に読まれ致命の一撃が飛んでくるのが時間の問題となっていた。
 そうして『白騎士』がシズホに狙いを定め、レーザーの銃口をゆっくりと向ける。
 そして、爆発する。
 それはレーザーキャノンからではなく、『白騎士』の背後、誰もいない筈の空間からだった。
 飛んできたのは手榴弾。オンカールが倒れたときに投げ出されたもの。
 オンカールが倒れたことで扱う人がいなくなり脅威ではなくなったもの。
 『白騎士』の認識の外にあったものだった。
 手榴弾の一撃で倒れるほど『白騎士』はやわではない。だが想定外の爆発は『白騎士』の注意をそらすのには十分すぎた。
「好機は今!」
 一瞬の隙をシズホは見逃さない。艦の残骸に隠していた『ユングフラウ』を操ると『白騎士』の足を貫き、そのまま拘束する。
 拘束はトリテレイアをいなす動きに乱れを生じさせ、『白騎士』はトリテレイアの一撃を正面から受けてしまった。
 これが致命的な隙だった。
「人形が吸いし過去の影、我が身に宿り力となれ。応報を持って因果を制す!」
 足元に食いついた『ユングフラウ』から影が立ち上る。それはシズホがかつて打倒した強敵、『白騎士』にとっての同胞、『黒騎士アンヘル』を形作ったかと思うとシズホの肉体を覆っていく。
「これで!」
 放たれるのはかつてアンヘルが得意とした技。三剣は『白騎士』へと吸い込まれるように命中する。
 あくまで幻影のため、本物には劣るがその効果はたしかに効いていた。
「ぐ……」
 それは『白騎士』がユーベルコードに使用時以外で漏らした初めての言葉。
 ダメージがたしかに通っていることの証左。
「作戦通りね」
 そう言うシズホには少しの安堵感があった
 トリテレイアが接近し、『白騎士』の動きを封じ込める。失敗した時はオンカールが敢えて攻撃を受け脱落することで認識の外へと出る。
 シズホが攻撃約を担い、オンカールが【戦場の亡霊】を使うことでサポートする。
 これが最初に立てた作戦だったが、『白騎士』の予測から外れるためだけにオンカールが攻撃を食らうというのはリスクが高く、失敗したらどうしようという考えがあったのだ。
 だがこれでダメージは十分に通った。
「後は任せました」
 そう言ってシズホはオンカールを回収し、トリテレイアの【ベルセルクトリガー】が終了するのを待つのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

御手洗・花子
(さて、通じるかどうかは実際に試してみないとのぉ…)

召喚されたドローン及び、白騎士に対して微笑みを向ける。(UC発動)
「撮影かの?、綺麗にとって欲しいのじゃ」
その後、微笑みを絶やさずに交戦、『見切り』、『第六感』等で攻撃を回避し、『呪詛』を込めた折り紙でマヒや毒を与え、白騎士の戦力を削る。

敵UC対策は本体とドローンに『危険という認識を失わせるミーム汚染(微笑み)』を見せたまま、敢えてシュミレーションさせる事により、正確な筈のシュミレーションを狂わせる…

(例え未来を予測出来ても、攻撃を攻撃と『認識』できなければ…どうじゃ?)


ノルナイン・エストラーシャ
未来を操作する力ですか。
やるだけやりましょう。

戦場に向かう前に、グリモアベースから目つぶしに使えそうなものを借りていきます。粉物が入った袋や煙幕やら何やら……なければどうしようもないですね、戦場で自分の腕に頼ります。

白騎士は先制攻撃をしてくるとの事。武器受けや盾受けが出来る訳ではないので、【目つぶし】と【激痛耐性】で凌ぎます。【零距離射撃】も使ってみましょう。
それが終われば、私は【選択したUC】で透明になり、ドローンを撃ち落としていきます。【スナイパー】と【地形の利用】【学習力】で、上手く落とせればいいのですが。
ドローンを落としきれば、白騎士をひたすら撃ちます。【2回攻撃】などで叩き込みます。


フェルト・ユメノアール
これは仮定
もし白騎士の能力が映画を見るように未来の光景を見通す力なら
『目に映らないものはかわせないし、当てられないんじゃないか』

この仮定を元にボクが打つ策はこれだ!
転移後、即座に煙幕弾を使用
自分の周囲を煙で包み、さらに攻撃に備え『地形の利用』で敵の射線が通らない物陰などに身を隠す
そして、ボクは手札から【SPウィングウィッチ】を召喚!
『D・スキャナー』と『視力』そして、ウィングウィッチの五感情報を活用すれば
深手を負いやすい顔とかを出さなくても物陰から腕だけを出して『トリックスター投擲』での攻撃ができるはず
見えない者、見えない場所からの同時攻撃を仕掛けるよ!(この時、一ヶ所に留まらないように注意)



 戦場への転移の間際、二人の猟兵、フェルト・ユメノアールとノルナイン・エストラーシャは言葉を交わしていた。
 仮定の話だけど、前置いてフェルトは話し始める。
「もし白騎士の能力が未来の光景を見通す力なら、目に移らないものはかわせないし、当てられないんじゃないか」
 もしそうなら、とノルナインは言葉を返す。
「煙幕を使って視界を封じるというのは有効でしょうね」
 二人は顔を見合わせると急いで自身の所持品に煙幕を追加する。
「じゃあ二人で最初に煙幕を使って視界を封じて後は別々の方向から攻撃するってことでいいかな?」
 そやって二人は最低限のすり合わせを行っていく。それは同士討ちを避けるためのものであり、連携を取れないか模索するためでもあった。
 そうやってお互いの戦法から着地点を探して行く中でひょこっと、ある人物が顔を出してきた。
「なにやら面白そうな話をしておるのう」
 面白レーダーに従ってやってきたのは御手洗・花子だった。
「開幕に煙幕を使って視界を封じるという作戦を立てているのですが花子さんもいかがでしょうか」
 乗りますか?とノルナインは尋ねるが花子それに対して困った顔をしていた。
「それはちと困るのぉ。むしろ見てもらわねば困るユーベルコードゆえ」
 戦術の不一致、それは同じ戦場に赴く身としてはどこかですり合わせねばならないことであったが、こと今回に限っては正反対だったために二人して頭を抱えていた

 しかし、そこで巧妙を見出したのは悩みこむ二人ではなく、それまでの話を聞いていたフェルトだった。
「むしろこれは上手く噛み合うんじゃないかな?」
 それは非常に楽観敵であっけらかんとした言い様だった。
「手品でよくある手法なんだけど、一方で派手なアクションをして注目を集めている内に、もう一方で見えないように小細工をするっていうのがあるんだ」
 フェルトが目指しているのは一流のエンターテイナー。それに関する知識を使って作戦を立てていく。
「花子が最初に転移して煙幕を使うんだ。その煙幕の中にボク達が転移する。それから花子が煙幕から飛び出るんだ。すると白騎士は花子に注目せざるをえない。その間にボク達が攻撃を仕掛けることで不意打ちになるって寸法だよ」
 花子が囮ってことになっちゃうけど、と言葉を濁しながらフェルトは提案する。
「私はそれでも構いませんが、これは花子さん次第のものになりますね」
 ノルナインも同意はするものの、最後の選択権は一番危険な役回りになる花子に託した。
「わしは構わないのぉ。なにかあれば煙幕に戻ればいいじゃろうし、向こうが一度見てくれれば十分じゃ」
 花子はそうやってにこやかに笑いながら危険な役回りを承知した。
「それじゃ善は急げと言うし、わしはもう行くのじゃ」
 そして二人から煙幕を受け取り、そのまま転移していったのだった。
 それに面食らうのはフェルトとノルナインの二人。
「え?そんな散歩に行くみたいなノリで!」
「良いよ、良いよ。面白くなってきたよ!」
 二人は慌てて後を追うように転移していく。
 それは狙ったのか狙ってないのか、二人が転移したのは花子が煙幕を展開した直後。これによって一分の隙もない完璧な初動となるのだった。

 花子が転移したときには戦いの痕跡はあるものの、『白騎士』は未だ健在だった。
 『白騎士』が目の前に立っていることを視認するや否や、花子は煙幕を展開していく。
 煙幕の中ではフェルトとノルナインが転移してきたのかどうか確認することは出来ない
お互いの姿は当然見えないし、声を出せば二人の存在が『白騎士』に露見してしまうからだ。
 まあ来ているじゃろ、と軽く考えると花子は自らが展開して煙幕の外へと足を踏み出す。
「おっとカメラがたくさんじゃのぉ」
 そこには一目で数えるのは難しい程の『デストロイマシン零式』が煙幕を囲むように展開していた。
「撮影かの?綺麗にとって欲しいのじゃ」
 そう言って花子は『デストロイマシン零式』へと微笑みを向ける。
「安心して死ぬのじゃ」
 それは【完全に安全な花子さん】。危険という認識を失わせるミーム汚染を行い、その汚染されたままシミュレーションさせることで正確な筈のシミュレーションを狂わせるというカウンターとも言うべきユーベルコードだった。
 『白騎士』はそのミーム汚染に気がつくことが出来ない。ミーム汚染の恐ろしさを彼は知らないのである。
 上手くユーベルコードが発動できたために、花子はもう少しを『白騎士』の注意を引こうとする。
 それは他の二人の援護のためであり、ミーム汚染の結果を自身の目で確認するためであった。
「さて、狂ったシミュレーションはどういう結果を導くのか楽しみじゃ」

 後から転移してきた二人は、実のところつまづき掛けていた。
 転移して早々に吸ったのは、煙幕。それまでとくに何もない普通の空気を吸っていた二人は急に煙を吸ったことでむせかけていた。
 そこで咳をしなかったのは猟兵の嗜みだろうか。。
 二人してしかめっ面をすると別々の方向へと静かに移動していく。
 フェルトは右へ、ノルナインは左へ。

 所定の位置への移動中にフェルトはカードをそっと取り出すとユーベルコードをそっと使用する。
「手札からスペシャルゲストをご招待。現れろ、漆黒の魔女、SPウィングウィッチ……」
 その呼びかけに応え、現れたのは漆黒の翼を生やした魔女だった。そしてSPウィングウィッチをそっと煙幕の外へ出す。空気の動きでナニカがいるということを悟らせないように。
 煙幕の外へと出したのは攻撃のための布石。SPウィングウィッチの視界を介して煙幕の中から『トリックスター』を投擲できるようにするためだった。
「よろしくね。SPウィングウィッチ」
 そしてフェルトは近くに残骸を見つけるとその陰に身を潜ませたのだった。
 反対側でもまた、そっと煙幕から出るものがあった。それはノルナイン本人である。
「ブラックボックス解放。コマンドコード・インビジブル。世界に溶け込め」
 【非認証機能・不可視化】を使って透明になることで煙幕の中にいるという潜入観を利用して想定外の方向から急所への攻撃を画策していた。
「ドローンはミーム汚染済み、落とす必要はない。なら狙うべきは後頭部」
 慎重に、慎重に背後へと周っていく。
 そうして側面まで来た時だろうか。『白騎士』に動きがあった。
 突如としてレーザーキャノンを構えるとそのまま撃ったのだった。
 ノルナインはバレたと思って反射的に銃を打ち返す。
 しかしレーザーが飛んでいったのは自分とは別の場所煙幕の中の誰もいないであろう空間にとんでいったのだった。
 正面に敵がいるのに脅威として認識できない。それは自然と見えない敵の存在を連想させていた。
 しかし決して、二人の存在が露見したわけではない。戦闘状態であるべきという思考が先行した結果として見えない敵に対して攻撃を開始したのである。
 これは疑心暗鬼に近いものがあるのだろう。
 これは好機と潜む二人は攻撃を開始する。
「見えない敵と戦う気分はどんなもんかな?」
 フェルトはそうやって陰からトリックスターを投擲する。狙うは腕の関節部。もっとも弱い部分を破壊することで戦力低下を目論見、それは成功したのだった。
 かくて疑心暗鬼に陥った『白騎士』はその身の異常を気づけぬまま泥沼へと嵌っていったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アリア・ヴェルフォード
未来予知は確かに有効でしょう
ただそれが計算ならば付け入る隙があるはずです

【WIZ】
●ドローンによるシミュ前
光【属性(攻撃)】を付与した聖剣のみで戦います
回避方法は【見切り】
防御方法は【オーラ防御】を常時展開して【武器受け】

●ドローンによるシミュ後
邪聖剣を取りだし闇【属性(攻撃)】を付与し【2回攻撃】で対応
回避・防御方法はシミュ前と同様(2本になる分【武器受け】もし易いはず)
白騎士の2回目のシミュ前に『混沌閃光』で66機のドローンを破壊
未来演算では存在しない2刀流による攻撃で追い詰めます

※未来予想シミュはドローンの撮影中のものが基準になると考え
 そのシミュ前後でこちらのギアを変えて狂わします



 形勢はすでに猟兵が優勢となっていた。だが先制攻撃を避けるあまり攻め手にかけているのもまた事実。奇妙な膠着状態となっていた。
 そこで動きを見せたのはアリア・ヴェルフォードだった。
「私に良い考えがあります!」
 そう叫ぶと白い手袋から『聖剣Xカリバー』を抜き、『白騎士』へと向かっていくのだった。
 その様子を『白騎士』の感情が籠もっていない瞳がジッと見つめていた。
 そして無感動のまま66機の動画撮影ドローンを召喚したのだった。
「さあ行きますよ!」
 ドローンによる観察などお構いなしにアリアは聖剣を振りかぶるとそのまま上から振り下ろす。
 『白騎士』は最小の動作でダブルブレードのフォースセイバーを操り、アリアの一撃を受け流すとフォースセイバーをぐるりと回し反対側のブレードで斬りかかる。
「うわっと!」
 間一髪と言ったところだろうか。
 その動きを辛うじて見切ると大きくバックステップを踏みながら仰け反るようにフォースセイバーを回避していく。
 しかしこれで『白騎士』の攻撃は終わらない。回避したことで体勢を崩したアリアへと追撃を仕掛ける。
 だがアリアとてそのままやられる程未熟ではない。オーラを放出し強引に体勢を立て直すとフォースセイバーを聖剣で受け止める。
 しかし、そこで動きが止められてしまったのは痛手となった。『白騎士』はそのまま目にも留まらぬ連撃を仕掛けてるのだった。
 連撃の度に威力と精度が上がっていく。初めのうちは反撃の隙を伺う余裕があったが次第になんとか防ぐのが精一杯になっていった。
「ここが限界みたいですね」
 彼女とてもう少し粘りたいという意思はあった。だが彼女の想定よりも『白騎士』の素の能力が高く、ユーベルコードによるシミュレーションによって最適化が成されていくことによって追い詰められてしまっていた。
 そんな状況でアリアは叫ぶ、希望を籠めて。
「集え極黒!」
 彼女の手にはいつの間にか『邪聖剣Xカリバー』を握られており、その邪聖剣はどこまでも暗く、光をかき消すような闇を纏っていた。
 それは『白騎士』のシミュレートには無かったもの。ドローンは新たな状況をシミュレーションしようと情報を集めていく。
「カオス・レイ!」
 アリアの叫びとともに邪聖剣から無数の漆黒の槍が放たれる。その槍は戦場を縦横無尽に駆け巡り、見下ろすように宙に浮かんでいたドローンを貫き、撃ち落としていく。
 戦場から闇が消えた時、ドローンは一機も残らず地に落ちていた。
 それを『白騎士』はただ見ていた訳ではない。漆黒の槍を放ったアリアへと攻撃を仕掛けていた。
 だがアリアには届かない。先程まではアリアを圧していたはずが、今ではアリアによって逆に押されていた。
「不思議ですか?ただ剣が一本増えただけで形勢が逆転したことが」
 そう問いかける中でもアリアは攻撃の手を緩めることはない。振るわれた聖剣がレーザーキャノンを切り裂く。
「やっていることは単純です。あなたが参照しているのはさっきまでの私。今の私とはギアが違います」
 シミュレーションの全てが無意味だとアリアは告げる。
「そして私が参考にしているのはさっきまでのあなたの動き」
 邪聖剣がフォースセイバーを中央から切り捨てる。
「あなたが見た未来予想がどうだったのかは知りません。ですが私が見る未来は私の勝利です!」
 その言葉と共に両の剣がクロスするように振るわれ、無防備となった『白騎士』の身体を断ち切った。
 四つの塊となった『白騎士』の肉体は地に落ちる前に塵となっていく。
 この後どこかの艦で復活するのかもしれない。
 だがこの戦場で『白騎士ディアブロ』が打ち倒され、猟兵が勝利を刻んだのは紛れもない事実だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月23日


挿絵イラスト