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第二次聖杯戦争②〜ラダガスト

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #背徳のラダガスト

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 ラダガスト。
 二つ名を背徳。
 得意は槍。
 過去の存在。
 記憶を忘れた裏切り者。
 思慮を捨てた人狼騎士。

「石川県金沢市の竪町商店街にオブリビオンとして甦った『背徳のラダガスト』が現れた」
 仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は商店街の簡単な図を用意した。アートやクラフトに力を入れた歴史ある商店街は綺麗に整備され、目抜き通りの左右には洒落たデザインの店舗が軒を連ねる。
 背徳のラダガストは見晴らしの良い建物の屋根の上に立ち、猟兵が来るのを待ち構えているようだ。
「彼は生前、ヨーロッパの『人狼十騎士第5席』に名を連ねた槍術の名手。ただし、オブリビオン化によって当時の記憶を失っている。性格も好戦的で残虐なものに変化という話だけど、おかげでそれが弱点にもなる」

 オブリビオンとして目覚めた背徳のラダガストは無尽蔵にあふれ出す力に酔っている。
 これなら敵はないと慢心するほどに。

「だから、何も考えずに前線まで飛び出してくる。自惚れというものの対極にいたかつての彼ならば絶対に犯すはずのない無謀、油断、暴挙」
 でも、と弥鶴は苦笑する。
「とても楽しそうだ。俺は昔の彼をあまり覚えていないけれど、何もかもを諦めて異形に従う姿には常に影が付き纏っていたから」

 ――圧倒的に強大な存在に立ち向かう意思は、私にはありませんからね。
 銀誓館学園の『ヨーロッパ人狼戦線3』の戦いにて、背徳のラダガストが死の間際に語った言葉。『異形』達の存在を知ってなお、最初から抵抗を諦めたはずの男が今、その無力さから解放されて愚かな|我《・》を張っている。
「どうする? だって、どうせ倒す他ないんだから結局のところ問題はどう倒すのかでしかないと思うんだ。背徳のラダガストは目覚めた力をあふれ出すままに振るうことを心底から楽しんでいる。それが最大の弱点となるなんて思いもよらずに」
 それはとても愚かで憐れで、けれどほんの少しだけ羨ましい。
「そろそろ時間だね。行こうか、第二次聖杯戦争の舞台となる金沢市へ」


ツヅキ
 プレイングが送れる間は常時受付中です。
 執筆のタイミングによっては早めに締め切られる場合があります。

●第1章
 記憶を忘れ、思慮を捨てたラダガストは『好戦的で自信過剰な性格』となって猟兵に襲いかかります。戦場は商店街に軒を連ねる建物の屋上や歩道など、猟兵のいるところにあちらから攻撃を仕掛けてくる形です。
『敵の慢心を突いて戦う』とプレイングボーナスです。
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第1章 ボス戦 『背徳のラダガスト』

POW   :    背徳の十騎士
常識的な行動を囁く【生前の自分の幻影】と、非常識な行動を囁く【『ドクター・オロチ』の幻影】が現れる。[『ドクター・オロチ』の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
SPD   :    旋律のヴァンパイアハンター
【召喚したゴーストウルフ】と合体し、攻撃力を増加する【人狼騎士の咆哮】と、レベルm以内の敵を自動追尾する【十字架型の紋様】が使用可能になる。
WIZ   :    呪装ライカンスロープ
【無敵の狼獣人】に変身する。変身後の強さは自身の持つ【勝利への確信度合い】に比例し、[勝利への確信度合い]が損なわれると急速に弱体化する。

イラスト:木田

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
我は異形を知らぬが、強大な力を持っていたのは分かる
故、今の忘却した貴様とも向かい合おう

そう言ってラダカストが我に誇示する様に召喚した生前の自分の幻影とドクター・オロチの幻影……それらがラダカストに指示を出す前にUCの羽弾で撃ち抜き、行動成功率8倍を阻止
あらゆるものを『貫く』この羽弾を前にはまだまだ、無力よ

そしてこのまま、惜し通る!
限りなく存在しないに等しい回転を以てラダカストの槍による刺突を撃墜し、そのままラダカストの腕を貫き、胴体を貫いていく

そして我はエンドブレイカー
その瞳に映るエンディングを見て、この戦いによる『悲劇の終焉』を食い止めて見せるとも!



「来たか、猟兵よ! わざわざ死にに来るとはよい度胸じゃないか、クハハハハ!!」
 ブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首たる終焉破壊の騎士・f38903)を出迎えた高笑いの主こそ、オブリビオン化の際に全ての記憶を忘却した背徳のラダガストであった。
 屋上よりこちらを見下ろす男を真っ直ぐに見つめ返したブリュンヒルデは凛と名乗りを上げる。
「我はブリュンヒルデ・ブラウアメル! 異形を知らずとも、強大な力を持っていたと聞いている。故、貴様と向かい合おう。たとえ昔を忘却した今の貴様であろうとも、全力で」
「ハハハ、いいだろう。なにせ今の俺は最強だ! 俺の槍で貫かれたいというのならその望みを叶えてやるさ」
 ラダガストはブリュンヒルデの思惑通りに己の力を披露する。かつての自分とドクター・オロチの幻影が彼に囁いた。
 ――否、囁こうとした瞬間に何かがそれを撃ち抜いてゆく。
「な!?」
 それはとても不思議な羽弾であった。
 限りなく存在しないに等しい回転を以て敵を穿つ終焉破壊のための最終兵器。ブリュンヒルデは閉じていた目を開き、その称号を口にした。
「我はエンドブレイカー。奢ったなラダガスト。貴様の齎す『悲劇』はここに『終焉』しよう!」
「なにッ――」
 よもや、己の刺突がこのような羽弾に防がれるとは思ってもみなかったのだろう。自信があったゆえの驚愕は致命的な隙となる。
 初めに槍、次に腕、そして残るは胴――!」
「く……ッ」
 貫かれた。
 まさか、とラダガストは呻いた。
「この俺が!?」
「さあ、推し通らせてもらうぞ!」
 羽弾が貫いたのはラダガストのみならず、ブリュンヒルデの瞳に映る|絶望の未来《終焉すべきエンディング》そのものでもあった。
「必ずや食い止めてみせよう。エンドブレイカーの名にかけて」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

自信は大事ですが過ぎると毒なんですよ!
私も大層な名乗りを上げていますが慢心ではありませんよ?
事実なので!

こんな感じでラダガストさんを煽って視線を頂いちゃいましょう!
こっそり『催眠術』をかけて認識阻害させて作った私の『残像』を囮にして
頂いた視線を{ゲイズ・パワー}に変換してUC【醜悪!邪王穢澱烙印槍】で
不意打ち突撃を喰らわせちゃいます!



 ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は腕を組み、胸を張って高みから偉そうにこちらを見下ろしている背徳のラダガストに告げた。
「はじめまして! 私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター!」
「ほう、きちんと挨拶できるとは礼儀がなっているじゃないか。俺はラダガスト。強く生まれ変わった最強の人狼騎士だ!」
「おやおや、自信は大事ですが過ぎると毒なんですよ!」
 人差し指をちっちっと動かし、ダーティは増長するラダガストを嗜める。
「なんだと? 貴様だって似たようなものじゃないのか、そうだろう」
「いいえ!」
「なぜ否定できる」
「それが事実だからです」
 ダーティは誇らしそうに言い切った。
「確かに私も大層な名乗りを上げましたが事実である以上、慢心ではありません」
「なら俺だって実際に強いぞ」
「本当ですか?」
「当たり前だ!」
 ――まさか、このような押し問答を繰り返している間に自分が罠にかかっているなどラダガストは思いもしまい
 なぜならば、ダーティは視線を力の源とする悪魔。こうして話しながら視線を向け続けることがダーティの力になるのだとは知る由もなかったのだ。
「ふん、そこまで言うのならこれから俺の力をめいっぱい見せつけてやろうじゃないか」
 しかもラダガストの語り掛ける相手がいつのまにかダーティの残像とすり替わっていることすら気付く気配がない。
 こっそりかけた催眠術の効き目に満足しつつ、ダーティは建物を回り込んでラダガストの背後を取った。
「いきますよ!」
 たっぷりと集めた視線を力に変え、赤紫色の矢印オーラを纏ったダーティは一機の飛翔突撃で奇襲を仕掛ける。
「馬鹿な、いつの間に!?」
「油断大敵ですね!」
 体当たりを食らい、落下しながら呻いたラダガストにダーティは自信満々で言った。
「ね、事実だったでしょう!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
背徳のラダガスト、人狼十騎士第5席にして、「洗脳を受けなかった人狼騎士」だったな
今ここにいるのは随分と別人みたいだが、オブリビオンってのは意外とこのレベルで変わるもんなんだな

【戦闘】
相手は槍の名手である人狼騎士がオブリビオンとしての強化も受けた存在
演技抜きで手ごわい相手なのは間違いねえな

数合打ち合った所で、臆した「演技」を行い、「ジャンプ」「ダッシュ」で逃走
「ここまで強いなんて聞いてねえぞ!」
半分位本気ではあるけどな

「地形の利用」で槍が使いづらい狭い路地に誘い込み、油断を突いてUC発動
攻撃力を上げた「斬撃波」で切り裂く

「本物の慎重さだったら、こんな所来なかったろうにな」



 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)の記憶にある背徳のラダガストと目の前の男はその印象がまるで一致しない。
 他の猟兵との戦いぶりを見ても差異は明らかだ。かつての人狼騎士第5席にして『洗脳を受けなかった人狼騎士』……業が深いのは確かだが、だからといって甦る際にここまで人が変わってしまうのを目の当たりにすると神妙な気分になる。
「なあ、本当に全部忘れちまったのか?」
「ああ、そうだ!」
 試しに質問を投げかけてもラダガストは直情的に返事をするばかりだ。そこに駆け引きは一切なく、嘘偽りもない。
 彼は本気で自分が強いと思っており、その勝利を決して疑いもしないのであった。
(「まあ、実際強ぇんだけどさ!」)
 槍の連撃を魔剣で受け止めた手がじんじんと痺れる。厄介なのはラダガストの耳元で囁くドクター・オロチの幻影だ。
『ムシュシュ~!!』
 あの状態のラダガストとそれは相性が良いらしく、その意見を聞き入れるごとに彼の操る槍は魎夜を追い詰めてゆく。
「おいおい、ここまで強いなんて聞いてねえぞ!」
 魎夜は頃合いを見て、逃げるみたいに後方へ飛び退いた。そのまま全速力で逃げ出す。まったくもって格好悪い演技だが、正直、半分は本気だ。
「クハハハハ! 俺の強さを思い知ったか!」
「……疑う気配すらなし、か。人間謙虚さを忘れたくないもんだぜ」
 ざっと周囲を見渡せば、あるはある。使えそうな路地裏が建物と建物の間にいくらでも見つかった。
 そのうちのひとつへ飛び込んだ魎夜を追ってラダガストも路地に入った。魎夜のプロテクターから噴き上がる太陽の炎を魔剣に纏わせ、急転回しながら灼熱の衝撃波を繰り出す。
 外せば後はないが――。
「なんだと!?」
 完全に虚を突かれたラダガストは顔面からもろにくらうはめになった。かきむしるように焼かれた顔を自分の手で掴む。
「ぐあ、あああッ!」
「本物の慎重さだったら、こんな所来なかったろうにな」
 ふう、と魎夜は息を吐いた。
「うまくいってよかったぜ。何しろ捨て身の一発だったからな、我ながら上出来だ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
背徳のラダガストか。なんとなく名前は聞いたことはあるけど、詳しくは知らないんだよね。同族だけど。

ただ、同じ槍使いとして、槍術の名手だというのはよく知ってる。
こんな形になってしまったけど、槍の手合わせができるなんて、最高だね!

せっかく出てきてくれたんだから、こっちも楽しませてもらおう。
新世代の力、見せてやるよ。

もちろん武器は黒槍『新月極光』。
UC【神燕武槍】を使って、真っ向勝負といこう。
【怪力】【気合い】任せ。【野生の勘】頼みだけどね。

もっとも伝説の使い手に勝つのも大変だから、タイミングを見て【武器に魔法を纏う】で【電撃】を使わせてもらおう。
そのぐらいのハンデは付けてほしいね。



 愛用の得物で肩を叩くような仕草のシモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は悠然とこちらを見下ろす男に向かって気さくに声をかけた。
「よぉ、アンタが背徳のラダガストかい? 槍術の名手なんだってね」
「俺を知っているのか! ハハッ、何も覚えていないが昔の俺は有名人だったようだな。お前は同族か?」
「ああ。手合わせを願いたいんだ」
「ちょうどいい。俺もこの力を早く試してみたいと思っていたところだ!」
 シモーヌの申し出は彼にとっても己の力を誇示する好機であった。槍を手に躍りかかるラダガストを迎え撃つは黒槍『新月極光』。互いに一歩も譲らず、激しい戟合を繰り出す様子は翠と黒の輪舞を思わせる。
「なかなかやるな」
 ラダガストが何度攻撃しようとも、シモーヌは器用に槍の柄で受け止め、すぐさま神速の突きを放ってカウンターを試みた。
「はッ!」
 相手の動きを読み、急所を狙いにいくシモーヌの鋭い感性はまるで野生に生きる獣のようだ。
 対するラダガストもドクター・オロチの幻影に支援され、ますます動きが冴え渡る。シモーヌが力任せに穂先を突き出せばその勢いを利用した反撃が必ず返った。
「さすが、伝説の使い手だね」
 いったん距離を取るために飛びずさったシモーヌの手元で槍が電撃を帯びる。
「ほう、雷を使うのか」
「これくらいのハンデがあったっていいだろ?」
「当然だ」
 慢心するラダガストはしかし、すぐさま息を呑むはめになった。シモーヌの操る穂先がさっきよりも伸びて見える。
 ――神速の突きが、ラダガストの胸元に初めて届いた。
「まさか……!?」
「ここからが本番だよ!」
 シモーヌの手元で槍が翻り、回転した柄がラダガストの頭部を強かに撃ち据える。
「ぐ――ッ」
 一本取ったシモーヌは最高の笑顔を浮かべた。
「アンタに見せたかったんだ、新世代の力ってやつをさ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

烏護・ハル
貴方は屈する事を善しとした。
……でも、抗う人たちもいた。
私も後者よ。


二人の式神さんを召喚。
一人を目立たないように物陰に潜ませる。
合図するまで出てきちゃダメよ。

残った君はついてきて。
私たちで囮になるの。
キツい役回りだけど耐えて。

UCで脚を狐火に。
随行する式神さんに魔力を充填してもらい、おびき寄せるように翔び続ける。
催眠性の呪詛を載せて呪殺弾を撃ち込む。
『私たち以外、誰もいない』ってね。

相手の注意を極限まで惹きつけたら、
潜伏してる式神さんに合図。
呪殺弾と念動力で相手の体勢を崩させる。
今だよ!やっちゃって!

こちらも掌を狐火変化。
魔力を集中。至近距離で放つ。
……今の貴方に捌ける?何も見えてない貴方に!



 ぽう。
 それは二人の式神だった。
「いい? 合図するまで出てきちゃダメよ」
 頷くように揺れ、一人が物陰へ。
「君はおいで」
 手招くのは烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)。
 人差し指を唇に当て、囁くように。
「囮になるのよ、私たちでね。キツい役回りになると思うけど耐えてくれる?」
 
 ……かつて、強大なる力を持つ者に屈する事を善しとした者がいた。
 これから戦う男がそう。
 その一方で、抗った者たちもいたのだ。
「いくわよ」
 一瞬にしてハルの両脚が劫火のような狐火に変異する。
 共に連れた式神から流れ込む魔力を燃料にして、一気に飛翔加速。
「相手をしてもらうわ、背徳のラダガスト!」
「よかろう。生まれ変わった俺の力をとくと味わえ!!」
 勝利の確信と共にラダガストが吼える。
 いくつもの紋様が魔法陣のように生み出され、空を翔けるハルの追跡を開始した。ハルはわざとそれらを引き付けながら呪殺弾を撃ち込んでゆく。
「効かんわ!」
 高笑いしつつ、ラダガストは弄ぶかのようにハルを狙い続けた。
(「ああ、本当にこの人は」)
 まさかこれが囮だとは考えもしないのだろう
 他に誰かいるだなんて夢にも思わない。
 これが今のラダガストなのだ。
 屈する事を善しとしたあの男はもうどこにもいない。
 あれは獣だ。
 力に酔う騎士の成れの果て。
「今だよ! やっちゃって!」
 ハルの合図を機にラダガストの体勢が崩れた。
「む……!?」
 まるで見えない手に押さえつけられるように身体が重くなる。伏せておいた式神による支援攻撃であった。飛来する呪殺弾を交差した腕で受け止めたラダガストの表情が変わる。
「もらったよ」
 炎の弧を描いて回り込んだハルの掌も炎となって燃え盛った。全部の魔力、ここに集めてありったけの一撃を解き放つ。
 今のラダガストには何も見えていないはず。
 ゆえに、この攻撃は捌けない。
 必ず――当たる!
「うお、おおおッ……!!」
「さようなら、背徳のラダガスト。抗った者の一人としてあなたの最期を見届けるわ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
初めましてでしょうか。
銀誓館の卒業生で現在は人狼騎士団に所属している
山吹慧といいます。
一応貴方の後輩という事になるのでしょうか。
心苦しいのですが騎士団の一員として引導を
渡させて頂きます(礼)

序盤は敵の攻撃を【オーラ防御】と【ジャストガード】からの
【受け流し】で凌ぎながら防戦に回り劣勢を装います。
「流石は十騎士。一介の騎士では相手にならないようですね」

敵が十字架型の紋様を放ったならば、【集中力】で
ギリギリまで引き付けてから【宿星天剣戟】による
飛翔で回避し、そのまま【リミッター解除】した
攻撃を放ちましょう。
「出来れば嘗ての貴方と戦いたかったですね……」



「……これは、聞きしに勝るお姿ですね」
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)はゴーストウルフと融合し、獣の如く吼え猛る背徳のラダガストの前に佇まいを正した。
「山吹慧といいます。銀誓館の卒業生で現在は人狼騎士団に所属しています」
「ほう……!?」
 ラダガストは皆まで聞かず、手当たり次第に槍を繰り出す。慧は槍の軌跡を見極め、攻撃を受けた瞬間に受け流すことで致命傷だけは避けた。オーラを纏わせて弾いた手の甲が少し痺れている。
「流石は十騎士。一介の騎士では相手にならないようですね」
「クハハハ! 後輩なぞに遅れは取らんさ。お前もあんなところに縛られるくらいなら俺のように自由になったらどうだ?」
「いいえ」
 慧は手袋を嵌め直し、決然と告げた。
「心苦しくも、引導を渡させて頂きます。騎士団の一員としてのそれが使命というものでしょう」
「やれやれ、話の分からんやつだな」
 完全に自分の方が上だと侮ったラダガストにとって、次の攻撃は必殺必中のつもりであったに違いない。
 解き放たれた紋様は十字架。慧の両目が細まり、躱すことにのみ集中する。タイミングが合うかは一瞬の判断に委ねられた。
「なに!?」
 直撃の寸前、宿星剣を手に身を翻した慧は紙一重で紋章を躱しながら空へと飛び立つ。ラダガストの顔に上を取った慧の影が落ちた。
 刹那、振り下ろした剣が無防備なラダガストを捉える。
「ば、かな……ッ」
「出来れば嘗ての貴方と戦いたかったですね……」
 肩越しに彼を見つめる慧の瞳にはさまざまな感情が渦巻いていた。こんな思いを此度の戦いではあと何度味わうことだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・絢音
流茶野先輩(f35258)と

あら?私の記憶の中の御仁と何か違うわね。もっと落ち着いたいい男だったはずなのだけど
オブリビオンだからかしら?
なんだか悲しいわね

ええ先輩。戦争を始めましょう
イグニッション!!
かつて魔法少女だった魔女がお相手するわ

十字の紋様、一手間違えると手こずりそうね
先輩、ちょっと策があるわ(耳打ちして)

銀糸絢爛と玲瓏玉鬘を伸ばし、逃げたり回避するふりをしながら網を張りましょう
時折、ワンドから呪殺弾を放ったりして「必死な反撃」感を出す

私がかけた蜘蛛糸に、見事に引っかかったようねえ
先輩、今よ!
私もハイヒールを脱いで月飛沫の黄薔薇を叩き込むわ

私達が手にした平和な時代、返して貰うわよ!


流茶野・影郎
久遠寺(f37130)と同行

あんなキャラだったっけ、ラダガスト?
いやオブリビオンだから変ってしまったんだな
絶望を知らず、全能感に包まれてしまったというわけか

じゃあ、行くぞ久遠寺、戦争だ

「レスラー」「ニンジャ」
「ダブルイグニッション!」

十字架の紋様が厄介だな
詠唱風車で打ち落とすか、忍者刀で弾き返せるかってところか
なんだい?
久遠寺(耳を貸しながら)

前述の作戦で攻めあぐねる振りをする
機を見たら接近!
槍だからこそ間合いの中入ればこっちの者
そして『メキシカン忍法・空気投げ』から『メキシカン忍法・キャメルクラッチ』だ

良いか、今、平和に過ごしている人がいる
それを壊すというのなら……俺はお前らを許さない!



 ――『竪町商店街』と書かれたアーケードの上に佇む背徳のラダガストは過剰ともいえる自信に満ちた表情で猟兵を出迎えた。
 記憶の中の彼はもっと理知的ではなかったかと久遠寺・絢音(苧環の魔女・f37130)は首を傾げる。
「ねえ先輩? 確かもっと落ち着いたいい男だったはずよね。オブリビオンになったせいだとしたら悲しい話だわ」
「ああ、あんなキャラじゃなかったと思うんだがな。絶望を知らず全能感に包まれてしまったか……」
 流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)はオブリビオン化の余波で人が変わってしまったラダガストを前に神妙な気分を抱いた。
「どうやら、話しても無駄のようだ。行くぞ久遠寺、戦争の幕開けだ」
「ええ先輩。二人でお相手してあげましょう」
 絢音と影郎はイグニッションカードを掲げ、声を揃えて|あの《・・》合図を叫ぶ。

「レスラー」「ニンジャ」「ダブル「イグニッション!!」」

 覆面を付けた影郎の首元で長いマフラーが風になびいた。甲高い靴音を響かせ、絢音は髪の編み込みを指先で解きほぐす。
「ふふん。貴様等が俺を倒すというのか?」
「そうよ。かつて魔法少女だった魔女がお相手するわ」
「いいだろう、存分に新たな力を味わうがいい!!」
 吼えるラダガストの放つ十字架紋様は執拗かつ苛烈に戦場を飛び回った。これはかなり厄介な代物だと影郎は即座に判ずる。
「どうするか。詠唱風車や忍者刀で対抗できるといいんだが、難しいかな」
「先輩、ちょっと策があるわ」
「なんだい? 久遠寺」
 耳打ちされた内容に影郎は目を瞬き、すぐにわかったと頷いた。
「タイミングを合わせて、ね」
「了解だ」
 二人は同時に離れ、紋様の追跡を振りきろうと足掻く素振りを見せる。己が優勢とみたラダガストは更に増長した。
「いいぞいいぞ、もっと追い詰めろ!」
 絢音が苦し紛れに放ったと思しき呪殺弾を槍で薙ぎ払い、遂には高笑いさえ上げ始める。
「ハハハハハ! いいざまだな猟――」
 くん、と彼の腕が何かに引っかかったのはその時だった。
「何だ? 糸……いや、髪か?」
 それは絢音が張り巡らせた罠の巣。蜘蛛糸と呪髪が複雑な模様を描いてラダガストの周囲を取り囲み、彼から自由を奪い去る。
「見事に引っかかったようねえ。先輩、今よ!」
 すかさず接近した影郎は問答無用でラダガストの懐を攻めた。相手の武器は長物だ。これだけ近づいてしまえばもらったも同然。
「なッ……」
 それはフィニッシュ・ホールドとなる必殺の空気投げであった。ふわりとラダガストの身体が浮き上がり、体勢を崩しながら転倒する体に乗り上がった影郎がその首と腰をがっちり極める。
「久遠寺、やれ!」
「私達が手にした平和な時代、返して貰うわよ!」
 からんと脱ぎ捨てられたハイヒールが歩道の石畳に跳ねた。陽に透ける細身の刃は菫青。急所へ突き込んだ突剣がオブリビオン化したラダガストの命運をここに断ち切る。
「ば……かなッ……」
「聞け、ラダガスト」
 戦衣を解いた影郎は戦場の空を見上げた。
「今、この世界で平和に過ごしている人たちがいる。その日常を壊すというのなら……俺はお前らを許さない!」
 翠色の槍は主と共に細かく砕け、淡やかに消えてゆく。
 甦ったのも束の間、再び死の向こう側へと引き戻されるラダガストの胸に去来したのはあの日の無力かあるいはもっと別のものだったのか知れない。いずれにせよ、野心は砕かれたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月03日


挿絵イラスト