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星神と竜の剣士はクリスマスケーキの夢を見るか

#アルダワ魔法学園 #ノベル

バロ・ヴァッハ
セルジュ・フォートリエ(ドラゴニアンのマジックナイト・f39315)とバロ・ヴァッハ(「星」を司る小さな聖神・f34828)と一緒で希望

■バロについて
キャラクター特徴は子供っぽく甘いものが好きな年相応の星の神です。
一人称は僕、三人称は〇〇兄ちゃん(又は姉ちゃん)です。
言動も行動も子供っぽく、ちらほら気になるものがあれば寄っていく自由奔放なところもあります。

■バロのやりたいこと
セルジュの肩に乗ってる(又はしがみついている)状態でアルダワ魔法学園のイルミネーションが飾られている街を観光している描写をお願いします。
バロがケーキ屋を見つけセルジュの身長はあるであろうチョコのホールケーキを見つけるとセルジュに買ってほしそうにおねだりしてるようにおねがいします。
ある程度街を観光したそのあと帰って一緒に食べてクリスマスを共に過ごす描写をお願いします。(細かなキャラ、行動、言動、セリフなどアドリブやおまかせでお願いします。)


セルジュ・フォートリエ




 クリスマスは、多くの世界に存在する祝日だ。
 多くのワールドでそれぞれの歴史に名を遺す聖人の逸話を由来とした特別な一日であり、盛大なお祝い事をする文化が存在する。
「セルジュ兄ちゃん! あそこのツリーぴっかぴかだよ!」
「そうですね」
 アルダワ世界もその例外ではない。飾り付けられた街並みをセルジュ・フォートリエ(f39315)とその肩にしがみついたバロ・ヴァッハ(f34828)は行く。
 クリスマスの街は多くの人で賑わっていた。光の精霊力を光源とした精霊灯のイルミネーションが街を照らし出し、その中を手を繋ぎ歩く恋人たちや騒ぎ立てる若者の集団。それから、プレゼントを抱えて歩く家族連れが行き交っている。
(……)
 幸せそうな家族の姿とすれ違い、セルジュは微かに目を細めた。
 思い出しかけた昔の記憶を、緩くかぶりを振って振り払い視線を前へと向ける。
「セルジュ兄ちゃん! ほら! あれ見てよ!」
 そんな様子を知ってか知らずか、バロはセルジュの肩をぽこぽこ叩き、前脚で何かを指し示す。
「あれは……」
 そこは街の広場であった。
 バロが示した場所にあったのは大きな壁画である。それは以前にアルダワで起きた戦いを描いた絵であり、大魔王の軍勢に挑む猟兵たちの姿が刻まれていた。
 イルミネーションの灯りに照らし出された壁画の情景は、神話めいて荘厳に輝いていた。
「僕らが合流する前にやってた戦いの記録?」
「魔王戦争ですね。資料で見ました。大きな戦いだったそうです」
「へー……。こーいうのもいつかクリスマスみたいなお祭りの日になったりするのかな」
「なるかもしれませんね」
「僕らの冒険も?」
「大きな戦いなら、もしかしたら」
「いいねー!」
 バロとセルジュは笑い合いながら歩き出した。
「それにしてもさ! ほーんと、すっごいね! 街中どこもきらきらだ!」
「そうですね。賑やかです」
 続けて二人は商店の並ぶ通りへと差し掛かる。
 商店街はこの時期を商機と見た多くの商店が季節商品や限定セールで攻勢をかけており、それを求める人々で賑わっていた。
 それぞれ店の軒先にも様々な商品が並び、買い物客を待ち構えている。
「セルジュ兄ちゃん、あそこのお店!」
 そんな中、バロは一軒の店に目を惹かれる。バロはセルジュをつついて促すと、そこへと足を向けさせた。
「どれですか?」
「あそこ!」
「これは……」
 それは焼き菓子の専門店であった。通りに面した部分はガラス張りになっており、その中にはクリスマス商戦を狙った煌びやかなケーキが並んでいる。
「……大きいですね」
「すごいよね!」
 中でも彼らの目を惹いたのは、人の背丈ほどもある特大のチョコレートケーキであった。
「これは、なかなか」
 ――こう見えて、セルジュは甘いものに目がない。
 その怜悧な風貌とは少々ギャップがあるが、彼は密かにクリスマスケーキに思いを寄せていたし、買って帰ろうとも考えていた。
(ですが、流石に大きすぎでは……?)
 しかし彼の思考に残る冷静さは検討を要求していた。ケーキを食べたい気持ち自体に偽りはないが、流石に限度がある。
「バロ」
 考え抜いた結果、セルジュは普通のケーキにすべきという結論に達する。
 もし足りなければ2個買いましょう。そういう折衷案も用意しながら、セルジュはバロに提案しようと口を開きかけた――その時である。
「セルジュ兄ちゃん! 僕、このケーキがいい!」
「む……」
 セルジュが提案を口にするよりも早く、バロがおねだりしたのである。
 きらきら輝く瞳にまっすぐ見つめられながらそんな風にお願いされてしまっては、断り切れるものではあるまい。
「……わかりました」
 自分が特大ケーキに惹かれていたのもまた事実だ。セルジュは苦笑いを浮かべながらバロに頷き、快哉を叫ぶバロと共に店内へと足を踏み入れた。

 そうして、2人は帰路へと就く。
 バロが根城にしている『憩い場』の一角にケーキを運び込んだ二人は、テーブルの周りに飾り付けたツリーやキャンドルを飾り、パーティの準備を整える。
「おっきいね~♪ おいしそうだね~♪」
「そうですね」
 わくわくするバロを見ながら、セルジュはキャンドルに火を灯した。
「始めましょうか」
「わーい!」
 準備が整ったところで、セルジュはバロに着席を促した。バロはそわそわしながらもお行儀よく席につき、ケーキを見上げる。
「メリークリスマス」
「メリークリスマース!」
 二人の声が重なって、小さなパーティは始まった。
 バロはセルジュの切り分けたケーキに喜び勇んで噛り付き、セルジュはその様子を微笑ましく見守る。
「おいしー! セルジュ兄ちゃんも食べなよ!」
「ええ、頂きます」
 そうして、二人のクリスマスは過ぎていったのだった。

 余談だが。
 予想通り2人だけでは持て余してしまった特大のケーキは、最終的に憩い場に集まった有志たちへと分配され、そのおなかに収まったのだという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年12月30日


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