ヤクザが相手だからってニンジャ持ち出すのかよあいつら!
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サイバーザナドゥ、都市『ネオスリーホテルズ・茶屋シティ』に並ぶ黄金の金時タワービルの下で怒号と銃声が連続する。
それは一見すればとても日常的、あるいは現代においてはビジネスの一つとも取れる抗争の風景だった。
しかし、黒塗りの装甲車を盾にして銃撃を繰り返すヤクザ達にとっては平時と比べ退けない背景がある。
今宵、この夜は彼等の背にしている金時タワービルの最上階で彼等の“親”であり組織のトップ、『|曹彰《そうしょう》会』の会長と幹部が一堂に集まっていたのだ。
それ自体は通例であり特別な事ではないのだが、今回はよりにもよって敵対企業がその会食による集結を何らかの方法で事前に察知してしまったのだ。曹彰会の面々は引き連れて来た戦闘員がいるものの、こうした事態は初であり、僅かな油断から規模は本来の抗争に必要な戦力に比べ半数以下。緊急時に駆け付けるはずの事務所や傘下のヤクザからの救援も遅れている始末だった。
「……オイ! オイ、しっかりしろ金田ァ!」
「うぐ……っ、ぁ? なんだ、何処だここ……オレ何してたんだっけ」
「何を寝ぼけてやがるッ! とっとと起きて銃を拾え!! 奴等……傭兵以外にも厄介なの引き連れてるぞ……!」
金時タワービルを守る為に展開している曹彰会の装甲車の一画で起きる爆発、その先で戦う戦闘員が対峙する相手は統率の取れた傭兵集団だ。
装備はいずれも市街地での急襲に特化した戦闘用義体や近接戦用兵装を備えた手練れ、統率者も企業からの改造支援を受けたオブリビオンらしい。曹彰会の戦闘員や鉄砲玉といった場慣れしたサイボーグ達も苦戦を強いられている様だった。
それだけならばまだマシだった。しかし現状の曹彰会を更に追い詰めつつあったのは他の要因、巷でも殆ど名が挙がっていなかったオブリビオンの存在である。
「──ちくしょう、ヤクザが相手だからってニンジャ持ち出すのかよあいつら!」
戦闘員たちは苦しい戦いを強いられながらに武器を取り叫ぶ。
傭兵、そして企業によるチューンアップされたクローンタイプのサイバーニンジャが曹彰会を追い詰めて行くのだった。
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白衣を着た少女、グリモア猟兵のレイン・アメジストがカルテのように持った指令書を読み上げた。
「片や人間の屑が必要悪を名乗っているような連中、だけどそいつらが消えればサイバーザナドゥの都市が一つ巨大企業の箱庭と化すわ。猟兵さんにはそれを止めて欲しいの」
レインの言葉に集まった猟兵達が耳を傾ける中、それを見て彼女は頷き続けた。
「現場はサイバーザナドゥの都市内。ネオスリーホテルズ・茶屋シティという街の象徴でもある金時タワービルを中心に大規模な抗争が起きるの。
予知した内容を読み解いた限りでは、襲撃を受けているのはサイバーザナドゥで巨大企業とも癒着しているヤクザ……その名も『|曹彰《そうしょう》会』が13代目会長と本家幹部8人が敵対企業の私兵に命を狙われている状況になるわ。
彼等は非合法な薬物の取引や違法インプラントの売買によって利益を得ていて、それ以外にも不要になった労働者の身体をバラバラにして売り捌く様な人体洗浄取引も行っている。でも……代わりに彼等はストリートギャングを排除したり腐敗した警官達を上層部に働きかけて都市郊外の地区に異動させる事で『表向きの秩序』をクリーンにする事で市民からの信頼を得てる面もあるの。
──彼等は悪党よ、それは間違いない。
でも彼等を今回偶然にも仕留めるに至った敵対企業は『アブソリュートロータス製薬』という、ヤクザとは違って大勢の弱者を実験動物にしようと目論んでる|巨大企業群《メガコーポ》の一つで。今回の曹彰会を狙った背景にはヤクザの影響下にあった人々を新製品や薬物の被検体として確保しようとしてる動きがあるらしいの」
真剣に語ったレインが言うには、つまりこういう事らしい。
──どちらもクソだが、ここでヤクザが喰われれば多くの弱者がメガコーポとオブリビオンの毒牙に曝される事になるのだ。
「敵はアブソリュートロータス製薬の雇った急襲傭兵部隊、そして元『ヨシハラ組』の幹部だった|甲藤蓮華《くどうれんげ》という男が持ち込んだクローンニンジャ部隊よ。
どちらも薬物投与によるオブリビオンの覚醒がされている上に、サイバーニンジャとして調整されたニンジャ部隊は数も多い……傭兵部隊の隊長は最近名を上げつつあるデスブリンガーの徒党から脱却して私兵になったとされる女傭兵らしいわ。
……いずれにしても強敵。気が乗らないとは思うけれど、可能な限り猟兵達さん達には曹彰会と協力してアブソリュートロータス製薬の襲撃部隊を撃破して欲しいの」
どうか、お願い。
言い難そうにそう告げた白衣の少女は小さく頭を下げ、猟兵達を転移させる準備に向かうのだった。
チクワブレード
はじめまして、チクワブレードと申します。
よろしくお願いします。
依頼概要はこちら。
第一章『集団戦─アサギリ劣化クローン』
今回のロケーションはサイバーザナドゥ都市、ネオスリーホテルズ・茶屋シティの金時タワービル周辺です。
地下鉄の駅が近辺にありタワービルの四方は大通りのメインストリートともなっています。市街地戦です。
金時タワービルの出入口周辺一帯はヤクザ『曹彰会』が装甲車を盾に防衛線を築いており、彼等を突破させないように敵を撃破すればOKです。別に背後のヤクザと仲良くしなくても構いません。
敵は元ヨシハラ組の幹部が巨大企業にDNAデータマップを売った事で培養ないしチューンアップされたクローンニンジャが相手です。
猟兵にもなっているとある女性の劣化クローンではありますが企業バックアップによる機械化義体の恩恵で相応のニン=ジツに仕上がっているので注意が必要です。なんたるワザマエ。
第二章『ボス戦─蹂躙傭兵カーラ』
ほぼノンストップで戦闘となるのは敵襲撃部隊の隊長格とされている傭兵、カーラです。
彼女は元デスブリンガークラン『オニキス』の傭兵であり、現在は腕を買われアブソリュートロータス製薬の下でオブリビオンとなって暴力的な性格や戦闘スタイルを存分に発揮している様です。
P/S/Wいずれも強力な兵装や義体によるゴリ押しの戦闘で猟兵に迫って来るかと思われます。
ちなみに第一章での活躍やコミュニケーション次第で曹彰会からの援護があるかもしれません。
第三章『日常─曹彰会』
アブソリュートロータス製薬からの襲撃を退けて見せた姿に感激した曹彰会からお食事のお誘いが来ます。
皆様はそれに答えてタワービル内の上流階層へ向かうか、断るかの選択をして一日を終えるに至ります。
ちなみにメニューはこちら。
『13代目会長と60社から集めたバニラアイスを食べ比べるなどのコミュイベ』。
『曹彰会の幹部ヤクザウォリアー(男性女性指定可)と会話イベ』。
『曹彰会戦闘員ヤクザウォリアーとのイベント』などなど、皆様のプレイング次第。
本シナリオに登場する企業はCEOの存在以外は好きに共有、使用されても構いません。
以上、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『アサギリ劣化クローン』
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POW : アサギリ少女クローン
自身の【神経反応を三千倍にすること】を代償に、【アサギリ劣化クローン(少女)】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【備えた技術と若々しさに溢れる身体】で戦う。
SPD : アサギリ幼女クローン
自身の【神経反応を三千倍にすること】を代償に、【アサギリ劣化クローン(幼女)】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【技術は未熟だが活発に動く小柄な身体】で戦う。
WIZ : アサギリ大人クローン
自身の【神経反応を三千倍にすること】を代償に、【アサギリ劣化クローン(大人)】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【熟練の技術を駆使する妖艶な成熟した身体】で戦う。
イラスト:沖田龍
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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猟兵が到着する直前──。
「金田ァ! 弾幕薄いぞ何やってんの!?」
「オイこっち手伝え金田ァ!」
「傭兵どもがチクショウめ、曹彰会の主戦力がいねー時を狙いやがってぇ! 何とかしろ金田ァ!」
「おやっさん達なんでも俺に振るのやめて下さい!!!!!!!!!」
黄金に煌めくネオスリーホテルズ・茶屋シティの金時タワービルを囲い守護する|曹彰《そうしょう》会のヤクザウォリアー達が口々に叫ぶ一方、彼等が盾としている黒塗りの装甲車の向こうで駆け回る傭兵集団は手を休めることなく銃撃を繰り返している。
周到な準備がされていたのだろう。補給に大きな移動をする事も無く入れ替わり、サイボーグや義体の性能をフルに活かしては一時離脱してはすぐに戻って来る傭兵達は周辺のビル内や地下鉄内に予め物資を積んでいたに違いない。
よりにもよって戦力の薄い時を狙われた曹彰会は救援の到着が遅れている事に歯噛みしながら、長期戦を覚悟して泥沼の様な籠城戦を強いられる事になっていたのだった。
ヤクザウォリアーの下っ端が次々に悲鳴を上げる。
そんな窮地に、更に悪い報せが届くのは普段の行いのせいか。曹彰会の面々にローカル通信で輸送車が数台近づいて来る内容の声が届く。
「味方かぁ!」
「輸送車の識別コード……嘘だろ、アブソリュートロータス製薬だぞ!?」
「くっそがァ……絵図描いてたのは奴等かよォ!!」
名の知れたメガコーポが自分達を獲りに来ていると知れた曹彰会の面々に焦りと緊張が走る。ただの抗争ではない、下手をすれば勢力図を変えに来ている様な本気の一手だ。
突っ込んで来る輸送車の群れに装甲車が横転し、数人のヤクザが跳ねられて宙を舞う。
すぐに曹彰会の弾幕が輸送車を引き裂いたものの、荷台の中に残っていたのは僅かな数人の幼いサイバーニンジャだけ。それすらもどこからともなく舞い込んだ妖艶なる紫陽の風が熟練した技の下に護り通し、同時に装甲車の爆発に乗じて影を縫って移動していた複数の若い女ニンジャに首を掻っ切られヤクザが討たれていく。
見覚えのある様相、風貌に曹彰会のヤクザが慄いて声を上げた。
「ヨシハラ組のサイバーニンジャか、コイツ……金田ァ!?」
「データ解析出たっス! 劣化クローン体、レプリカントベースのサイバーニンジャ……薬物投与で『キテる』連中です。おやっさん……!」
フィランサ・ロセウス
あはっ、やってるやってる!
よりどりみどりで誰から|壊す《あそぶ》か迷っちゃうな~❤
…え?うんうん、分かってるよ
今日はヤクザを守るんだよね?
そっちには手を出さないから安心してね♪
それで、倒すのはあの子供のニンジャ達?
ちっちゃくて可愛いね♥
元気ですばしっこいあなた達を捕まえる為に、まずはドーピングで身体強化!
さらにクロックアップ・スピードを発動して反応速度を上げれば、追いつくのはそう難しくないわね
攻撃が来る瞬間を第六感で察知したら、そこに合わせて|特殊警棒《スタンロッド》を押し当てちゃう!
あははっ、すっごくいい反応!
でもすぐに壊れちゃ嫌よ?私の“好き”な気持ち、いっぱい受け止めて♥
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敵に対するヤクザ達は幼い少女のクローン体だろうが関係なく、手慣れた様子で解体しにかかる。
猟兵達が戦う一方、辛うじて防衛線を保つ曹彰会の戦闘員たちに余裕がある筈は無い。
だから──義体の腕部を破壊して押さえつけた少女を徹底的に痛めつけて生かしたまま遺体袋に詰め込んでいるのは、きっと仕方のない事なのだ。
それはそうと。
「あはっ、やってるやってる! よりどりみどりで誰から|壊す《あそぶ》か迷っちゃうな~❤」
そんな光景をありありと見せつけられたフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は久しぶりに火照った頬を手で包みながら戦場を歩き回っていた。
その小柄な体躯からなる無邪気な声音は異様だが、声をかけようと思うヤクザは奇しくも居なかった。肌で感じるのだろう、曹彰会のヤクザは獣に近い感性を有している事で『それ』が自分達に背を向けている間こそが安全なのだと察していた。
(そうでなくても、どう見ても厄介だろこのガキ……ッ)
防衛線の外側をフラフラと歩いていた彼女を目にした戦闘員の一人が、思わず目を逸らす。フィランサは仲間に渡されていた小型のインカム越しに何かしらの指示や声を聞いている様だった。
その狭間に差し込まれる視線から彼は逃れただけだ。
フィランサが弾むように声を漏らす。
「……え? うんうん、分かってるよ。今日はヤクザを守るんだよね? そっちには手を出さないから安心してね♪」
心が揺れる度、その波飛沫に曝されるのは彼女の視線が向いた先にある物だ。
乾いた銃声。次ぐ爆発音の後、その場へ舞い込むのは数人の幼い少女のクローンニンジャ達。
フィランサの眼が細く絞られて。
「──ちっちゃくて可愛いね♥」
仲間からの支援が必要かの問いに「へーき♪」と答えてからインカムのマイクを指先で握り潰す。
フィランサが動こうとした瞬間に飛来する苦無。それを肌に触れる直前で掴み取り、反射的に回し蹴りで弾いた彼女が恍惚の笑みを浮かべて少女達に赤い瞳を開いて見せた。
「すばしっこそうだね~♥ あはっ、いっぱい見てるよお姉ちゃん達! 君たちのコトが心配なのかなぁ……?」
ぞくぞくしながらも太腿や脊髄周辺に仕込んでおいた『ドーピング』を注射したフィランサが小首を傾げる。
血流が加速して、肌の下で色んなものがグルグルぐつぐつする感覚に少女が長く柔らかい舌を空気に触れさせようと突き出す。同時に打ち鳴らされる指先。加速した思考が埋め尽くす。
早かろうが何だろうが変わらない。フィランサの視界を埋め尽くすのはどこまでも愛らしい。『好き』な物ばかりだ。
「おいで──♥」
呼ぶまでも無い。両の手を広げたフィランサに数人の少女達が一気に単分子ソードを突き立てに来た。
刃が肌をカリリ、と引っ搔いた瞬間に加速したフィランサが前に一歩出る。微かに皮一枚を引き裂いた単分子ソードを持つ小さな手首を握り受け流しながら踵を返し、身を捻るようにして振り回した少女を他の少女に叩きつけ、サッカーボールでも蹴り上げるようにつま先で二人同時に宙へ蹴り飛ばした。
舞う鮮血を伸ばしていた舌先で味わいながら、蕩けた視線を走らせ高速で距離を詰めて来た成熟したクローン体のニンジャと鍔迫り合いになる。
弾かれるフィランサの手に一瞬で握られていたのは自前の得物。『改造特殊警棒』──スタンロッドだ。
弾き返しの次に至近で叩きつけられた苦無と手裏剣、それを警棒で叩き落したフィランサへ再度肉薄したクローンニンジャが息を飲む。
その黒髪をそっと撫でてから、相手の軸足を膝頭を蹴り砕いてから払ったフィランサが体勢を崩しかけていた女忍者の腹部へ警棒を突き込み、改造で増した高電圧による電流が肉体へ注がれる。
サイバースーツを焼き破り肉を焦がす一方で全身を跳ね上げる敵の姿に、フィランサが目の光を増して輝かせた。
「あはっ♥ すっごくいい反応!」
|特製の警棒《スタンロッド》から離れ地に崩れ落ちた相手に笑みを深めた彼女が、刹那に頭上から降って来た無数の暗器を後転で躱す。
包囲される。幼い少女も、自分くらいの少女も、お姉さんぶったくノ一も。フィランサを取り囲むその姿そのものに興奮を煽る。
溶けた思考。
(ああ、好き……♥)
加速する思いとドキドキに身を任せ、震わせながらフィランサが第六感を働かせて警棒を振るい薙ぐ。
死角から飛び込んで来ていたらしい少女の感度の増した肌へゴリゴリ、と押し当てたロッドと共に悲鳴を奏でる様を見下ろす彼女は暗い笑みと共に他のニンジャ達へ視線を巡らせて言った。
「いっぱい来てくれて嬉しいな♪ ──でもすぐに壊れちゃ嫌よ? 私の“好き”な気持ち、いっぱい受け止めて♥」
大成功
🔵🔵🔵
ボタン・アサギリ
アドリブ歓迎
ヨシハラ組の裏切りの粛清に来た
敵は私と同じアサギリのクローンね
一昔前に活躍したという伝説的なニンジャ「アサギリ」。今はDNAデータが裏で出回ってあちこちで数多くクローンが作られてるが、こいつらは劣化クローンね
私も比較的成功体とされてるけどオリジナルには及ばないが、こいつらよりはマシよ
【空間転移の術】で劣化クローンの背後に出現して一刀両断する
曹彰会を囮に、視線による転移を繰り返してフォトンセイバーと高周波ブレードで切り裂いていく
ニンジャマフラーによる奇襲や電磁手裏剣や電磁苦無による牽制も行って、曹彰会の連中や装甲車等の障害物も利用して劣化クローン達を片付けていく
甲藤蓮華は、何処……?
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都市から伸びるライトに混じり天へ昇る黒煙。
それらを見下ろすように、金時タワービルの屋上に立っていた妖艶な女忍者が黒髪のはためきと共に姿を消す。
激しい戦闘を繰り返すヤクザ達と『アブソリュートロータス製薬』の傭兵部隊の間で爆発が連続し、その中から飛び出したサイバーニンジャが『曹彰会』のヤクザに刃を突き立てに行く。
だがその直前で風切り音がひとつ鳴り響く。
ニンジャ達が一斉に糸の切れた人形のように崩れ落ちる。敵の急所を素早く貫いたのは──劣化クローン『アサギリ』と同じ風貌の女ニンジャだった。
「一時、私達がクローンの相手をするわ。あなた達は邪魔をしないで」
「テメェ……何を言ってやがる! これは何だ、あぁん!?」
「ヨシハラ組の裏切りの粛清に来た──甲藤蓮華は、何処?」
「何だと? ヨシハラ組はこの襲撃に加担してねえとでも言うのか!」
状況のせいか、混乱した様子を見せる曹彰会の戦闘員を前にした黒髪の忍者は、軽く頭を振って口を閉ざした。
(この様子では聞いても無駄ね)
次いで、彼女は仲間の猟兵たちへ視線を送り。
それからボタン・アサギリ(クローンニンジャ・f36651)は戦闘員に端的に説明する。
「敵は私と同じ“アサギリ”のクローンよ──今はDNAデータが裏で出回ってあちこちでクローンが作られてるみたいだけど、こいつらは劣化クローンね」
負傷した曹彰会のヤクザ達の方から動揺の声が聞こえて来る。メガコーポの下で量産された|あの《・・》アサギリのクローンが今回の襲撃に加わっているとすれば脅威だが、それよりも目の前に現れたボタンの方が問題だった。
「……あんたは味方という認識でいいのか」
「それを答える立場にはないとだけ言っておくわ」
面食らった戦闘員が包帯テープを体に巻き付けながらボタンにもう一度、訊く。
「奴等をなんとかできるか! 伝説のコピー品だろうが、ありゃどうなんだ!?」
「──私も比較的成功体とされてるけどオリジナルには及ばない。こいつらは私よりもっと、ね」
戦闘員の眼前に飛来して来た電磁苦無を軽やかな蹴り足が弾き、打ち上げた苦無を掴み取ったボタンがその場から姿を消す。
ゴン、と鈍い音が鳴り響く。
後転しながら曹彰会の防衛線そばに転移したボタンから放たれた苦無が幼いクローンのアサギリを捉え、鮮血と共に薙ぎ倒した直後。入れ替わりに飛び込んで来た少女体クローンニンジャ達に高周波ブレードの切先が跳んだ。
暗器が火花を散らして彼女達の間で弾かれる。
ボタンの姿は無い。
空中に躍り出た彼女が『空間転移の術』で姿を消した直後、少女の一人が胸元を切り裂かれて崩れ落ち。その影から這い出たボタンに足払いされたもう一人、二人が一瞬で急所を貫かれて意識を刈り取られる。
装甲車が爆発する音。
巡る視線の先へボタンの姿が転移しては斬撃が舞い、翻すマフラーを軌跡に残した残像で敵を翻弄しながら『伝説』の一端を敵味方双方に見せつけて行く。
(この戦場に出て来ていないのなら、甲藤蓮華は……)
闇に溶け込みながらブレードを引き抜いたボタンが独り静かに昏い感情を露わにする。巡る視線、ネオスリーホテルズ・茶屋シティの街並みの中にヨシハラ組の裏切り者の姿は無い。
(……いないのならば、出て来るまで潰そう)
ボタンは密かにそう呟き。直後に囮に放置していた負傷したヤクザ達の足元から這い出ては劣化クローンに刃を振り下ろすのだった。
──夜闇を駆け上る電光。
無数の電磁手裏剣が地上のニンジャや傭兵達に降り注ぐ最中、音も無く影から飛翔した斬撃と電磁苦無が金時タワービルの周囲に点在する『陰』を引き裂いた。
紫陽花が如く乱れ散る残像。
高周波ブレードを逆手にビルの壁面を駆け上がって行くボタンの対面、彼女と同様に成熟した肉体にまで調整の施された劣化クローン体の『アサギリ』が単分子ニンジャソードを口に咥え、錐揉みしながら降下して来る。
翻す黒髪。ボタンの眼前で妖艶に回転させたクローンニンジャの肢体から暗器が閃く。
バヂバヂッ! と電流と火花が爆ぜ飛んだ瞬間、すれ違い様にクローンと刃を交えたボタンの姿がブレた後。無数の赤黒い斬撃が花弁を開くかの如く奔った。
「斬華繚乱──……“落牡丹”」
「ッ、ぁあ……!?」
オブリビオンに成り果てた『アサギリ』の劣化クローンが地に堕ち行く様を振り返らず、高周波ブレードとフォトンセイバーの二刀を手にしたボタンがビルの壁面を蹴って背中から夜闇に溶け込み消える。
一方で場面が替わり。曹彰会の戦闘員たちが態勢を立て直す事に成功していた。
猟兵やボタンの参戦に伴い次第に傭兵達の注意も引きつけられつつあるからだった。
「金田ァ! とっとと味方の識別コード寄越せコラァ!」
「やってますおやっさん! ……うおぉ!!」
負傷した戦闘員を除き編成した防衛線の弾幕を潜り抜けたクローンニンジャの少女達が装甲車を乗り越えて来た直後、狼狽えるヤクザ達の目の前で手裏剣と苦無が炸裂する。
ヤクザを飛び越え尾を引くニンジャマフラー。
牽制に足を止めたクローン達が体勢を整える前に虚空から姿を見せたボタンが二刀で刻み、あるいはその視線が向いた先へと転移して次々に敵を仕留めて行く。
鮮やかだ。何よりも、妖艶に過ぎる。
曹彰会の男達から歓声が沸き上がる。
炎上していた装甲車を両断したボタンが残骸を蹴り上げて頭上を飛んでいたニンジャを叩き落す。
「……次は」
足元で身体をびくつかせている劣化クローンにトドメを刺しながら、彼女は悠然と戦場へ赴くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
新田・にこたま
ミニパト(四輪装甲車)で乗り込み、UCを発動してミニパトをどんどん大きく変形させながらどんどん武装を増やしていき、それらをどんどんぶっ放していきます。そのうち車両というよりは要塞と呼ぶべきサイズになってきますが遠慮せず全ブッパです。敵が隠れ潜んでいようが隠れている地形ごと破壊します。修繕費はヤクザどもに出させればいいんです。※【誘導弾】【制圧射撃】【弾幕】【範囲攻撃】【一斉発射】【砲撃】【爆破】
敵はニンジャ。弾幕を突破する者も出てくるでしょう。しかし、この正義の要塞には機銃による自動迎撃システムも搭載済です。※【自動射撃】
どちらもビビらせておきましょう。
ヤクザも味方というわけではありませんし。
●
それは曹彰会の誰かが叫んだ声が合図となった。
「やっべぇの来てるぞ────ッ!!!!!」
恐らくは索敵要員の為に控えていた者だろう。装甲車の陰から顔を出して叫び散らかす彼の事を周りが「隠れろ馬鹿野郎」などと怒鳴る最中、しかし当の本人はもう一度続けた。
手に持った端末からホログラムが浮かび上がり映像を出力する。
未だ戦闘の続く金時タワービル周辺において、いくらでも爆発音や轟音は鳴りようものだが。戦闘員の一人が映し出した映像と共に鳴り響き始めた“地鳴り”はまた別物だった。
「見た事あんぞ、この車両……サツだ!!」
揺れる足下に気付いたのと、映像に出されたこの場へ来る車両の正体に気付いたのは同時だ。
都市警察が事態収拾の為に動いたのかと思えば、そうではない。見覚えがあっただけである。
ザナドゥにある様々な馬鹿話の中にはこんな物がある。
「どっかの『家』が育て上げた、やべぇ警官……ッ」
──ユーベルコード『正義の違法製造』による、おぞましい程の大改造は彼女の秘めた暴力性を正しく現していた。
警官、新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)は転移して来てから早々にして発動していたユーベルコードによって自身のミニパトを大いに強化していたのだ。
「武装展開。砲撃用意! ────もっとですよ、もっと……!!」
普段ならば落ち着いた雰囲気にも見える彼女だが、その様子は車内において次第に荒々しいものへと変貌しつつあった。
人格が変わっているとかではない。
例えば、そう。四輪装甲車が次第に大量の装甲と武装、そして増え続ける自重に耐えるだけのエンジンその他規格を増して増して増量上昇加算乗算……とにかく増えていく内にそれらを『放つ』瞬間を脳裏にチラついた事で生まれた、ワクワク感のような物から来ている。
『必要な事です、あれは暴走ではありません』──彼女はそう後に他の警官に語ったという。
猟兵達には既に対応可能な者以外は退避を、と告げてある。
つまりは遠慮など無用。
信号機も百貨店も寿司屋もピザ屋も膨れ上がって行く移動砲台の巨大車輪やキャタピラに粉砕されていくのも、ヤクザに修繕費を出させればOKなのだから。
嫌とは言うまい。『アレら』は|面子《メンツ》なくして生きられないモノであり、特に彼女の記憶にある限りでは曹彰会の幹部は金を惜しまない性格だった。
それはそれ。
──そう、全ては悪が悪党であるがゆえに。
奴等は|悉《ことごと》くが忌むべき存在であり容赦などトクと不要。
「……む、火器管制システム? 勝手に増えてくれますねこの子は。ですが、同じ事……! 全武装展開! 射出、砲撃、銃撃、弾幕……一斉掃射────!!」
ガシャン、と鳴り響いて変形するかに見えた移動砲台が何故か内側から展開して膨らみを増すという異常過ぎる光景。
その中央。
コックピット座席と化した運転席に座したにこたまが声を上げた瞬間、小型要塞とも言える規模となったミニパト(仮)が無数の砲台と機銃台を巡らせ、いずれも敵に向いて火を噴いた。
車体から飛び立ったドローンが視覚と索敵双方の役目を担う事で敵味方の区別はある程度ついているつもりだった。
同時射撃。一斉砲撃の慣性によって金時タワービルの側面に要塞化した車体が一部衝突してビル全体を震動が襲い、次いで放たれた弾幕が一瞬の紅蓮を灯してから周辺一帯に爆風となって吹き荒れた。
「ぎゃああああああ────!?」
「か、金田ァァ──!!」
曹彰会の面々も爆風に耐え切れずどこかへ転がり吹き飛んでいくのをモニター越しに見遣り、防衛線が薄くなった箇所へにこたまがミニパト(?)を全速前進させる。
当然、防衛ラインが薄くなればその隙を衝くだろう。
そんなものはお見通しだとばかりに彼女がコックピットルームと化した運転席の目の前に生えた赤くてデカいボタンに拳を叩きつけて新たに武装を展開させる──!
中空を飛び交っていたドローンが銃口を内部から展開させ、無数の小型ガンビットドローンから機銃の嵐が地上を這い回るクローンニンジャ達を襲う。成体にして熟練の技術によって弾幕を躱していたニンジャがいようが、壁や建物を盾にしようが砲撃で吹き飛ばせば問題ない。
逃走する傭兵達を見つければ、そこへにこたまがハンドルを切って要塞で轢き潰して金時タワービルの正面にあった商店街へ突っ込んで大爆発を起こす。
傭兵達の反応が遠ざかって行く。
暴れ回る要塞による砲撃を恐れたのか、猟兵達による被害が許容できぬレベルに達したからかは定かではない。だが、それを見過ごして大人しくするくらいなら初めからこの手は使わない。
曹彰会の面々が防衛線を再度築いている間にも要塞が金時タワービルの周囲を回るように走る。
疾走、爆走、暴走と。併せて重機関銃が雨のように降り注いで敵を追撃していく。
瓦礫が山のように転がりばら撒かれていく一方、敵もまた一気に血煙と化すか爆炎の向こうに消えていく。
──武装が増え続けて行く。
そのトリガーを軽く引き絞りながら敵を追う警官の笑い声は、ひとまず味方には聴こえていないのが救いだった。
大成功
🔵🔵🔵
篁・綾
アドリブ歓迎。
衣装は相手に合わせて(?)、イェーガーカードの如何わしいニンジャスーツ
どこかで見たような顔をした遺伝子細工ね。
いえ、まぁどちらでもいいのだけれど。
とりあえず始末をつけましょう。
【見切り、残像】で相手の攻撃をかわしつつ、【目潰し、催眠術】で撹乱を。
【生命力吸収】でゆるゆると体力を吸いながら、【カウンター】で【鎧無視攻撃】を撃ち込んだりしながら、合間に指定UCを発動。全身毒の分身をぶつけ【だまし討ち】しましょう。…神経の反応が早いなら、毒や催眠術の具合はどうなのかしらね。
大きな隙を晒す者が入れば順次切り崩し。こちらのダメージが有る場合は融合【捕食】し回復材料に。
●
──随分と派手な事になっているな、と彼女は少女を背後から抱き寄せて思う。
「それにしても……どこかで見たような顔をした遺伝子細工ね。いえ、まぁどちらでもいいのだけれど」
小型の要塞が金時タワービルを中心に走り回る最中、力無く崩れ落ちた劣化クローンのニンジャを尻目に|篁《たかむら》・|綾《あや》(幽世の門に咲く桜・f02755)が曹彰会の戦闘員たちからの視線に振り返る。
特にかける言葉は無い。
爆風が舞い込んだのに次いで桜の花弁が散り舞い。残像が文字通りの狐の尾を引いてその場から掻き消える。
桜吹雪の如く、散開していたサイバーニンジャを囲う残像。
(仲間があれだけやってるのに数が減らない辺り、あのヤクザ連中も相当ね)
刹那に夜闇から奔った剣閃に次いで姿を現した綾が『彼岸桜』を片手に、婀娜やかにして鮮烈な体をニンジャスーツと共に魅せる。
肉薄する成熟したクローン体が二人同時にブレードを抜く。
されどその刃を打ち合いにまで繋ぐ事が無いまま、クローンニンジャたちが綾の狐耳が揺れたのに次いで視界を桜花に埋め尽くされて膝を着く。
「……──ッ?!」
「神経系に異常があると聞いてはいたけれど、そう……とりあえず始末をつけましょう」
興味のなさそうな声音と異なり、膝を着いたクローンニンジャ達には甘美に過ぎる歌が耳の中で反響し合い、一瞬で絶頂して義体の一部からバチンと電流を漏らして倒れ伏せた。
妖術。それをサイバーザナドゥのニンジャである彼女達がどう解釈したかはともかく、綾へ最大の警戒が集中する。
揺れる古刀。
綾が身構えるより先に背後から降り注いだ暗器。その全てが剣戟の下に叩き落とされる。
「──朽ちよ、朽ちよ。その褥の内で……一夜の夢への代償に、己の全てを捧げてみせよ」
残像、ではなかった。
舞い散る桜花弁の狭間から生まれ出た影は実体と化して歩み出て、綾を模倣した分身体が複数そこに並んだ。
『死桜夢酔』──二刀の刃が振るう其れとは異なる、甘い夢幻を魅せる桜である。
妖狐の群れを相手に『アサギリ』がクローン体たちは一斉に刀を抜いて駆ける、圧倒的な剣戟の嵐が衝突して火花がそこかしこで乱れ散るが一瞬。刹那に綾の分身体と切り結んでは接触した者、あるいは鮮血のように散った桜を浴びた者から順に強烈な『毒』によって崩れ落ちて沈んでいった。
耐え切れる者は総じて成体の者ばかり。
そして、『本体』である綾が直接その刃を揮って一閃の下に降すのは──動きを鈍らせた敵の成体たちである。
「ぁッ……かは……っ」
太刀筋が微睡みにブレたものを綾の剣閃が弾き、返す刃が桜の意匠を垣間見せてその首を斬り飛ばす。
「……沈み、還りなさい。写し身の影たち」
毒に侵され──影に堕ちて行く彼女達を送るかのように立つ綾が、その金色に光る尾を翻して刀を振り下ろして行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アテナ・カナメ
【心情】ヤクザ達も充分悪党だけどまぁ今は仕方ないわね…それよりもオブリビオンよ!忍者の女の子達…あの動き侮れないわね…でも負けられない!スーパーヒロイン、アテナマスクが相手よ!
【作戦】相手の攻撃は【見切り】や【残像】、【受け流し】で回避してバーニングパンチやバーニングキックで攻撃してできるだけ相手を1ヵ所に纏めてそこをファイヤー・バーストで吹き飛ばすわ!
曹彰会の人達は【救助活動】で守ったり逃がしたりするわね!あなた達の事も許せないけど今は味方よ!安心して!と一応呼び掛けるわ!
【他の猟兵との絡み・アドリブOK】
●
騒乱の波がもうすぐ終わりを迎えようとしている。
息を切らした曹彰会の戦闘員達に入った通信によれば、もうじき援軍が到着するという事だった。
「た、助かった……ッ! 守り切ったんだ!」
「金田をとっとと起こせ! 防備を固めろ!」
歓声がある一方、その声にも疲弊と損耗の色が大きく表れていた。
それもその筈。
猟兵達が参戦したとはいえ彼等を確実に守ろうと思う者は殆どいない、サイバーニンジャの始末に猟兵達が苦戦したわけではなくとも兵隊の少ないヤクザにしてみればギリギリだった。
とはいえ旗色が良くなれば少なくとも士気は上がるというもの。
「このクソガキニンジャどもがぁああ──!!」
気勢さえ良くなれば拳の勢いにもキラ付く。増した暴力性はそのまま、普段の彼等の姿が浮き彫りになっていく。
そんな姿を、ビルの上空を通過した輸送機から降下して来ていた『正義の炎』が観ていた。
「……ヤクザ達も充分悪党だけど。まぁ今は仕方ないわね……それよりもオブリビオンよ!」
『骸の海』を投与された事で覚醒した状態のクローン達。
その初出はヨシハラ組なるヤクザの下で管理されていたDNAマップから量産されたものだが、今やオブリビオンとしても|巨大企業群《メガコーポ》の狗としても使い勝手良くされた生体兵器でしかない。
猟兵達が金時タワービルの周辺で戦う最中、消耗の激しかった防衛線の一か所に真紅の稲妻と炎が竜巻を伴い舞い降りる。
そこに現れたのは仮面に緋色のマントはためかせた美女──スーパーヒロイン、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)が拳と片膝を着き参上した。
ヤクザ達の狼狽を背中から感じながら駆け出す彼女は真っすぐに敵へ向かう。
掴み取る装甲車の残骸。砲弾の如くそれを投げ放ち紅蓮と共に爆散させサイバーニンジャ『劣化クローン・アサギリ』が一群に牽制を見舞った。
ヒーローマスクに鮮やかな炎を灯したアテナマスクがガントレットから焔を燃え滾らせる最中、その力強い眼光が爆炎の中で蠢く相手を見据える。
「忍者の女の子達……あの動き侮れないわね──……でも負けられない! スーパーヒロイン、アテナマスクが相手よ!」
炎のカーテンが揺らいだのと同時にアテナマスクがしなやかな肢体を奮い、回し受けの要領で跳ねたガントレットで爆炎による衝撃を以て正面にシールドを一瞬だけ作り出す。
彼女の眼前で弾かれ吹き飛んだのは苦無や手裏剣といった投擲物。
本命は見切っていた。
「そこね──!」
狙い澄まされた一撃を炎を纏った回し蹴りが横殴りに吹き飛ばし、息の合った連携を思わせる後続のクローンニンジャの少女たちへ振り抜いた蹴撃を更に回転させて三連続で『バーニング・キック』を繰り出して迎え撃つ。
奔る爆炎に次いで吹き飛ぶ少女達。
円舞。アテナマスクが舗装された路面に鮮やかな炎の軌跡を描きながら着地した直後、ボンと地面に小さな亀裂とクレーターを残して姿を消す。
一瞬で加速した刹那に飛来するは無数の苦無。
手練れ。熟練したその技をアテナマスクが内心で賞賛しながら高温の熱を奔らせブレた残像を宙に残す。
飛翔──振り下ろすは正義の炎と共に握られた拳。
「────ッぐ……!!?」
「バァァ──ニングッ!! パァンチッッ!!」
叩きつけられた紅蓮の鉄槌に女忍者達が数人消し飛び、吹き飛ばされて周囲のビルや建物に突っ込んで行く。
傭兵達からの援護射撃だろう、大技の隙と見たかその場へ連続する銃撃をアテナマスクは容易く弾いては高速で身躱しに動いて敵を翻弄して見せる。
だが、そこで彼女の軌道が敵への追撃ではなく後方へ向く。
──|奇襲《バックスタブ》。
その矛先は当然、前門の虎ではなく傷つき負傷して動けなくなったヤクザ達である。
「させる……ッ、もんですか!!」
影から忍び寄って来ていた幼い少女忍者達の前に駆け付けたアテナマスクがガントレットから激しい炎を燃え滾らせて地面に叩きつけ、熱風伴う衝撃波で曹彰会の戦闘員たちを守護した。
「あなた達の事も許せないけど今は味方よ! ──安心して!」
「……!」
熱波に煽られ体勢を崩す曹彰会の男達がアテナマスクの背中に見惚れる。
とはいえその隙を逃す敵でもないようだ。赤い瞳、燃えるマスクがオブリビオンの気配を逸早く察知してはそちらに向いて更なる闘志を燃やす。
意を決するかのように、息を深く吸い込む。
「──……3!」
爆ぜる爆炎、その場に残った蜃気楼が如き残像に暗器が殺到し地面に突き刺さる最中。走り抜けたアテナマスクがバーニング・キックで薙ぎ払って幼い少女たちを金時タワービルから離れるように吹き飛ばす。
放たれる手刀。落ちる高周波ブレード。上下から成る三次元的挟撃にアテナマスクが回転してガントレットで弾き、受け流す。
中空で無防備に晒された背中へ拳と蹴りを成長体のクローンに間髪なく叩き込んだ直後、アテナマスクのマントが力強く大気を打って発した熱波が妖艶な女忍者達の動きを止める。
「2……!」
地面を殴りつけた破片による散弾でオブリビオン達を一気に吹き飛ばす。
燃え上がるガントレットの炎は次第に大きく、巨大なエネルギーを纏って膨れ上がって行く。
気づけばサイバーニンジャの部隊はそれぞれアテナマスクの手によって一か所に集められるようにされていた。気づいたのは成体、妖艶な女忍者の面影強く表れた者達だろうが。しかしアテナマスクの次の一撃から逃れる事は出来なかった。
「……ファイヤー・バースト──ッ!!」
ガントレットを打ち合わせたアテナマスクの掌を中心に束ねられる熱線が集中し、赤々とした極太の光線と化してサイバーニンジャを一掃した。
夜天を明るく照らす炎が吹き荒れた後、アテナマスクの勝利の拳が突き上がったそこには敵の姿は無くなっていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『蹂躙傭兵カーラ』
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POW : ヘル・フォーリング
【サイボーグレッグで空高く跳躍する事】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【視認性の低いステルスビーコン】で囲まれた内部に【上空からのビームランチャーによる蹂躙攻撃】を落とし、極大ダメージを与える。
SPD : アクセラレッグ・オーバーロード
【アクセラレッグの出力を限界以上に上げる】事で【超音速蹂躙戦闘形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ラスト・デストラクション
自身の【エネルギー炉心と接続したビームランチャー】から極大威力の【広範囲を破壊する超高出力ビーム】を放つ。使用後は【エネルギー枯渇】状態となり、一定時間行動できない。
イラスト:nno
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「岩社・サラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
──やたらと粘っているから何かと思えば、撤退寸前にまで追い込まれているとは。
「アタシもヤキが回って来たのかねぇ……!」
曹彰会の戦闘員たちが殆ど限界にまで追い込まれた頃、突如参上した猟兵達。
傭兵部隊もアブソリュートロータス製薬の送り込んだサイバーニンジャ部隊も壊滅した結果、襲撃で追い込んでいた筈の自分たちが追い込まれる事になってしまった。
当然だ。
しくじる事のない仕事を失敗すればどうなるかなど、サイバーザナドゥでは幾らでも見て来た。
ましてや今回は巨大企業、メガコーポの息が大いにかかった仕事。デスブリンガークラン『オニキス』の元一員だったことも買われた上での抜擢に、敗走の二文字だけを持ち帰れば粛清されるのは明らかだった。
だから、ここから先は泥沼になる。
「────うぉああああああああ──!!!」
爆散する装甲車。
悲鳴を上げるヤクザウォリアーが血煙と化して、あるいは車と共にスクラップになる最中。そこに降り立った女傭兵は首筋から注射器を抜きながら脚部軍用装備を携えたサイボーグレッグを打ち鳴らす。
見る者が見れば気づくだろう、相当に鍛え上げた強化生体。機械化義体の質もメガコーポからの支援でかなりアップグレードされた物だという事に。
「邪魔をする奴等は……アタシがジャンクにしてやるよ!」
※トミーウォーカーからのお知らせ
ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
藍沢・瑠璃(サポート)
【性格】
自分に自信がなくて基本的にネガティブな思考ですが臆病というわけではなく意外と思い切りはいい性格をしています。
強い相手には相応にビビりますが弱そうな相手(集団敵)には基本的に強気です。
普段は敬語で一人称は「ボク」です。
【戦闘】
ボス的にはビビりつつもなるべく油断させて隙に怪力を生かした接近戦で圧倒しようとします。基本は接近戦しか能がありません。
集団的では一転して強気になって敵陣に突っ込んで格闘で蹂躙したり怪力で(文字通り)ちぎっては投げして戦います。
基本的に接近戦しか能がありません。
「う、うわぁ……」
つい一瞬前に躊躇なく首筋に注射器を突き立てていた女傭兵の両脚が文字通り火を噴くのを見て、藍沢・瑠璃(ヤドリガミのゴッドハンド・f37583)は引き気味の声を零す。己には接近戦しかないと思っているからこそ、彼女は一目で理解していた。――あの女傭兵、恐らく銃器だけが得物ではない。
(「……だけど、付け入る隙は絶対にある筈。例えば……!」)
一瞬で打算を働かせ、敢えて瑠璃は頭を抱え込んだままその場に蹲ってみせる。同時に彼女を守るようにその周囲に浮かび上がるのは、ユーベルコードで複製された百はゆうに下らない数の巨大な刀たち。それらは瑠璃の念力によって個別に操られ、まるで刃の壁を作るようにして高速で瑠璃の周囲を飛び回る。
「は、ハハ……どうしたどうした! 怖くてあんよも動かないってか!?」
まるで恫喝を楽しむように、丁寧に一振り一振りの刀を叩き落とし、或いはへし折りながら、女傭兵は狂ったように笑う。一方で、瑠璃は未だぴくりとも動かずにその場に留まっていた。ふと、女傭兵の目の色が僅かに変わる。――おかしい。怯え震えて動けずにいるにしては、この少女、余りにも――。
「――ふッ!」
飛び回る刀たちを隠れ蓑にして放たれた重い拳の一撃が、瞬間軽装の傭兵の急所に刺さる。瓦礫の山目掛けて吹き飛ばされ、線の細い少女に殴られたとは思えぬ土煙を上げながら、女傭兵は怒りに目を剥いた。
「テメェこのガキ、謀りやがったな……!」
成功
🔵🔵🔴
四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ~……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ~?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ~。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう~。
案ずるより産むがやすしともいいますしぃ、躊躇うよりはいいですよねぇ~?
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ~。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう~。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ~。
※アドリブ・絡み歓迎
エル・バード(サポート)
「どうぞ、よろしくお願いいたします」
あまり物事に動じない、のんびりした性格をしています。
お茶と読書好きです。
ここぞという場所、ではない時にも何故か眼鏡が光を反射し、
目が見えなくなります。が、特に何も企んではいません。
敵にもとりあえずお茶を勧めてみます。
積極的に戦うよりも、誰かのサポートを好むタイプですが、
必要な戦闘は行います。
「皆さま、お茶をどうぞ」
解決したら、ティータイムの時間です。
他、おまかせします。
「……あらぁ? いつの間にか始まってましたかぁ~?」
「おはようございます。ええ、大激戦ですよ?」
未だ眠たげに目を擦る四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)は、ある意味で戦場慣れした大物とでも言うべきなのだろうか。そんな彼女にすかさず眠気の冷めるお茶を一杯手渡しつつ、こちらも戦場にはおおよそ似つかわしくない緩さでエル・バード(エンジェルのパーラーメイド・f36270)は笑う。ありがたくそれを受け取って飲み干し、ついでに大きく両腕を伸ばして、そうして歴戦の能力者は愛用の得物を構えた。
「それではぁ、サクッとやっちゃいましょうかぁ~。さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ~」
「ええ、賛成です。折角のお茶が冷めてしまっても大変ですからね」
にこりと笑み合い、真顔になるでもなく各々の武器をふわりと構える娘二人に、機械化義体の女傭兵は苛立たしげに大きく舌打ちした。
「ナメやがって、温室育ちのアマどもが……! まとめて潰して手土産に持ち帰ってやるよッ!」
「――あらあら」
放たれたエネルギー弾をこともなげに傘でいなして、エルが踊るように一歩前へと踏み出す。散歩用のお洒落傘にしか見えない風情のそれは、その実見えざる弾丸を撃ち出す軽機関銃だ。敵もそのことには一瞬で気付き、第二射を諦めるのと引き換えにエルの射線を逃れるようにして体を捌く。
「ッチ、ふざけやがる」
「油断したところを一気に……っていうのは、まぁ基本ですよねぇ」
「そっちもか……!」
すかさず己の髪に触れた眠斗の手の中で、外した髪飾りが煌く結晶輪へと即座に変じる。投げ放たれた結晶輪の軌跡をビームランチャーの銃身を使ってずらしつつ、女傭兵はぎりぎりと奥歯を鳴らした。その様を見たエルの眼鏡が、どこか意味ありげに光を放つ。果たしてそれは、次に起こることを予見していたからなのか――エルが眠斗に軽くアイコンタクトを送るのとほぼ同時、ビームランチャーが極大の光線を放つ。車両を、建物を、容赦なく粉砕する光の帯は、けれど二人の猟兵を飲み込む寸前に霧消した。
「くぁ~……危なかったですねぇ。おちおち欠伸もしていられません~」
咄嗟に極大の吹雪を放ち、光線を散らすと同時に女傭兵の腕を封じた眠斗の声は、やはり眠たげだ。ランチャーの反動と機械化義体の凍結で動けぬ様子の女傭兵に歩み寄り、エルはにこやかに問いかける。
「……お茶、いります?」
「いるかッ!」
――純粋な善意からの問いだったのだが、煽りかさもなければ毒かのどちらかと受け取られたらしい。けれどそれも仕方のない事だと割り切って、それならと再びエルは武器を構えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
サエ・キルフィバオム(サポート)
アドリブ歓迎
基本的には情報収集が得意かな
相手が何かの組織だったら、その組織の一員になり切って潜入して、内側から根こそぎ情報を頂いちゃうよ
そうじゃなければ、無害で魅力的な少女を演じて、上手く油断させて情報を引き出したいね
効きそうな相手なら煽てて誘惑するのも手段かな♪
戦いになったら、直接力比べの類は苦手だから、口先で丸め込んだりして相手を妨害したり、糸を利用した罠を張ったり、誘惑してだまし討ちしちゃうかな
上手く相手の技を逆に利用して、手痛いしっぺ返しが出来ると最高♪
敢えて相手の術中に陥ったふりをして、大逆転とかも良く狙うよ
アクセラレッグの性能を限界以上に引き出して、女傭兵は戦場を駆ける。己の義体はおろか、生身の部分の寿命さえも顧みぬその戦いぶりをじっと観察しながら、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)は困ったように眉を下げて笑う。
「あらら、覚悟決まっちゃってるタイプの娘だぁ。弱ったなー、あたしじゃ太刀打ちできる気がしなくなってきたかも……?」
「……キツネめ」
女傭兵の吐き捨てたその呟きは、彼女のあからさまな言葉に対するものか、それとも。ブースターで加速し、音すら追い抜く速度で駆けながらの彼女の射撃が、けれどサエの柔肌を傷付けることはなかった。ゆらりと現れたオブリビオンマシンがその連続射撃を余すところなく受け止めれば、表面を覆う液体金属装甲が蕩けるような光を含んで波を打つ。
「行くよ、メルク・フィクター」
己の身体にあらかじめ付着させておいた液体装甲の一部を通じ、サエはそう己のマシンに呼びかける。遠隔操作で伏せさせておいたメルク・フィクターを呼び戻した今、ここからは一人と一機で踊る時間だ。そうして二つの俊敏な影が、僅かな時間差をおいてオブリビオンの傭兵を襲った。
成功
🔵🔵🔴
フィランサ・ロセウス
いいね、いいね!
さっきのお人形さん達も“好き”だったけど、あなたはもっと“好き”になれそう!
さあ、さあ!どちらかが壊れちゃうまで、情熱的に殺あいし合いましょうよ!
引き続きドーピングで身体能力を強化
周囲の残骸も地形と見なして身を隠したり、盾代わりにして利用しながら、真っ向から殴りあい
相手がユーベルコードを放つ兆候を察知したら、すかさず『運命の赤い糸』で自分と相手を繋ぐ事で攻撃を耐え、相手が反動で動けなくなったのを見計らって「赤い糸」を解除
ボロボロな身体を無理矢理動かしながら(激痛耐性および継戦能力)、めいっぱいの|暴力《あい》を叩き込んであげる!
傷付き、肩で息をしながら、女傭兵はなおも武器を下ろしはしなかった。当然だ。メガコーポの尖兵にとって、敗北の先に待つ道は死という形での雇用終了か――或いは、最も尊厳なき形で『資源』として生かされ続けるか。いずれにせよ、負けて戻ることは許されない。だからこそ彼女は、いかに追い込まれようとも逃げはしない――逃げようがないのだ。
「いいね、いいね! さっきのお人形さん達も“好き”だったけど、あなたはもっと“好き”になれそう!」
そんな女傭兵の姿を前に、高揚を隠し切れない様子でフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は笑う。
「さあ、さあ! どちらかが壊れちゃうまで、情熱的に|殺《あい》し合いましょうよ!」
「ッ、るせェ……! 死ねよ、テメェだけで!」
放たれた光弾を、フィランサは瓦礫を蹴って宙を舞うことでこともなく躱し切る。崩れかけの壁を更に蹴り、女傭兵目掛けて放った蹴りは、彼女の体術にいなされた。瓦礫まみれの地を転がり、間合いを取り直しながら、フィランサは蕩けんばかりに笑う。――嗚呼、楽しい、楽しい、嬉しい!
銃口がこちらを向く。ユーベルコードが充填される。彼女は今、フィランサを殺そうとエネルギー炉心をブン回しているのだろう。それを『情熱』と――或いは『|殺意《あい》』と解釈して、フィランサが赤きオーラの鎖を伸ばした瞬間、極大のビームが著しい強化を帯びたフィランサの肉体をいとも容易く貫いた。
――真正面から貫かれてなお、フィランサは笑いながら立っていた。赤い糸で繋がれた二人は、決して片方を置いて死にはしない。死ねはしない、とも言うべきだろう。大技の反動で動けぬ様子の女傭兵に血みどろの両脚でゆっくりと歩み寄りながら、うっとりと元ヴィランの少女は微笑む。
そうして、赤い糸を引きちぎったその可憐な掌で、彼女は女傭兵に返すことを選んだ。
めいっぱい、致死量の『愛』と呼ぶものを。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『上流階級が利用する階層』
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POW : ●『飲食物やレジャーなどのサービスを堪能する』
SPD : ●『従業員や他の上流階級と会話してみる』
WIZ : ●『自分には居心地が悪く、この雰囲気は楽しめない』
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
キノ・コバルトリュフ
マーツータケ、キノコセラピーはいかがかな?
かぐわしいキノコは香りマツタケ、味シメジ!!
美味しそうなキノコ香りはみんなを元気にさせちゃうよ!
ナメコ!?なんだか、目が血走ってるね。
キノは食べても……おいしいけど食べちゃダメだからー。
かくして、オブリビオンを用いたアブソリュートロータス製薬からの襲撃は退けられた。一部猟兵が文字通りの『恐ろしい』働きを見せたこともあり、曹彰会の構成員たちはやや畏怖――否、むしろ怯えの入った目をしながらも、仁義としてこう持ち掛けたわけだ。
まあ、まずは美味いものでも食っていけ、と。
――そんなわけでここは金時タワービルの超高層階。集められた数十種にも及ぶバニラアイスを遠慮なく食べ比べ、それらを引き連れた星霊たちにもひと口ずつ分けてあげながら、キノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)はその辺にいた曹彰会のヤクザにも気楽に声をかける。
「マーツタケ、災難だったね。でも大丈夫! 無事解決したもんね」
「……まあ、どこの誰だか知らねえが、助けられた恩は事実だ。誓ってそのことは忘れやしねえよ」
「うんうん、良いことだね! ところでお兄さん、キノコ好き? 隠し味にトリュフ香る芳醇アイスとか、キノコセラピー的にも結構イケそうじゃない?」
「……堂々とシノギの提案とはいい度胸だな。いい商売になるとも思えねえが、恩人をあんまり無碍にする訳にもいかねえ。聞くだけ聞こうか」
……何か致命的に認識が食い違っている気がしなくもないが、少なくともキノは平和におしゃべりを楽しんだつもりらしいということはこの場で明言しておこう。
大成功
🔵🔵🔵
高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「……掃除をする、って文字通りの意味かよ姐さん」
「……? ええ、そうですが」
タワー上層への正体を断り、破壊され尽くした市街地へ戻って来た高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)に向けて、付いて来た曹彰会の下っ端と思しき青年は呆れたように肩をすくめた。一方の茉莉は飛散した瓦礫や義体の残骸を粛々と魔法も併用して片付けつつ、手を休めることはしないままにそう答える。肩透かしを食らったような顔をしていたチンピラ青年は、しばし大きめの瓦礫に腰を下ろしたままぶつぶつと納得いかなさそうに独り言を伸べていたが、ややあって所在なさげな表情と共に立ち上がる。その気配を感じて振り返った茉莉の表情は、やはり穏やかなものだった。
「どうなさいました?」
「いや……別に、何もねえよ」
言ってこちらに背を向け、思い出したように青年が放ってよこしたものを、茉莉は両の掌で受け止める。……冷たい。
「あら、アイス。いいんですか?」
「報酬としちゃ安いうちかもしれんが、ここらじゃ高級品なのも間違いないぜ。食っときな」
「ええ、では有難く」
そのまま立ち去る青年の背を見送り、茉莉はカップに詰められたアイスの蓋をめくる。人工甘味料と香料の結晶であろうそれは、けれど今この瞬間はなんとなくとても美味に感じられたような、そんな気がした。
成功
🔵🔵🔴